JP2014167866A - Ito導電膜形成用塗料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ITO粉末と分散媒と表面処理剤とを含み、分散媒がアルコール系溶液であり、表面処理剤がアルキル基の炭素数が2以下の珪酸エステルであるか、又は表面処理剤がアミノ基若しくはメルカプト基を末端基に有するシランカップリング剤である。珪酸エステルはITO粉末100質量%に対して1〜30質量%含まれる。またシランカップリング剤はITO粉末100質量%に対して0.1〜30質量%含まれる。
【選択図】図1
Description
<ITO粉末>
図1(a)及び(b)に模式的に示されているように、本発明のITO粉末は多結晶ITO粒子10からなる。この多結晶ITO粒子10は、棒状中心核11と複数の棒状体12からなり、棒状中心核11の長手方向に基本的に同じ向きに沿って棒状中心核11を囲むようにして一体的に形成されている。更に図2の写真図に示すように、多結晶ITO粒子は、複数の短い棒状体が小枝のように観察され、これらの短い棒状体が棒状中心核の周囲を囲みながら互いに隣接し合いながら同様の方向に並んで棒状中心核に固着していることが観察される。なお、図2に示すように複数の棒状体のそれぞれの径及び長さは必ずしも同一である必要はなく、その断面形状、表面形状も必ずしも同一である必要はない。
本発明のITO粉末の製造方法を以下説明する。
先ず、第1の工程として、スズ塩とインジウム塩とを所定の割合で秤量混合し、当該混合物を純水に溶解してスズ塩とインジウム塩との混合溶液とし、当該混合溶液とアルカリとを反応させて、スズ含有水酸化インジウムの懸濁液を生成させる。混合の方法としては、スズ塩とインジウム塩との混合水溶液へ、アンモニア等のアルカリを添加して反応させる方法が好ましい。スズ塩とインジウム塩との混合水溶液へ、アルカリを添加すると、異方性粒子が生成し易い上に、アルカリ添加の際の温度、添加速度及び/又は粒子濃度を制御することによって、生成する水酸化物粒子の大きさや軸比を制御できる。
上記ITO粉末を、表面処理剤を添加したアルコール系溶液100質量%に対して1〜70質量%の割合となるように混合し、ミキサーで攪拌することによりITO導電膜形成用塗料を調製する。ここで、表面処理剤はアルキル基の炭素数が2以下の珪酸エステルであるか、又は前記表面処理剤がアミノ基(-R-NH2、-R-NHR、-R-NR1R2)又はメルカプト基(-R-SH)を末端基に有するシランカップリング剤である。ここでR、R1、R2はそれぞれアルキル基である。アルキル基の炭素数が2以下の珪酸エステルとしては、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランが例示される。またアミノ基若しくはメルカプト基を末端基に有するシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが例示される。なお、本発明の珪酸エステルは、粒子表面に結合した後、SiO2としてネットワークを組みやすい、複数のエステル結合を持つものが好ましい。
ITO導電膜は、例えば次のようにして製造される。予めITO導電膜を形成するための基材を作製しておく。この基材は、片面にポリウレタンが塗布されたポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムであって、このフィルムのうちポリウレタンが塗布されていない面をガラス基板上に両面粘着テープ等を用いて貼付けて作製される。先ず、ITO導電膜形成用塗料を、ガラス基板上に固定された基材上にバーコート法、ダイコート法、ドクターブレード法等により塗布した後に、乾燥させる。次にITO導電膜形成用塗料が塗布された基材をガラス基板から剥離し、基材のうちITO導電膜形成用塗料の塗布面にPET等の別のフィルムを重ね合せ、この状態でロールプレス機にてロール圧力100〜2000kg/cm、送り出し速度10〜50cm/分の条件で圧力を加えた後に、別のフィルムを剥離する。これによりフィルム上にITO導電膜が形成される。
上記のようにして得られた透明導電膜について、以下のようにして表面抵抗の評価を行った。即ち、上記のようにして得られた透明導電膜の予め定められた測定点につき、三菱油化製LorestaAP MCP−T400により測定し、その測定値を初期電気抵抗値とした。その後、85℃、相対湿度85%RHに制御された恒温恒湿槽内に、2000時間保管した後に、初期抵抗測定時に定めた測定点において再度電気抵抗の値を測定し、これを加湿後電気抵抗値とした。そして、下記式に基づいて変化率を算出した。
変化率 = [加湿後電気抵抗値/ 初期電気抵抗値]
分散媒のエタノール39.9gに表面処理剤のテトラメトキシシラン0.1g(多摩化学工業社製、商品名:正珪酸メチル)を徐々に滴下して溶液を調製した。この溶液を30分撹拌した。前述した方法で得られたITO粉末10gを前記溶液に添加し、超音波ホモジェナイザーで30分分散し、ITO導電膜形成用塗料を調製した。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して1質量%であった。このITO導電膜形成用塗料を前述した透明導電膜の製造方法に従って、PETフィルム上に、バーコート法で成膜し、この膜にロール圧力700kg/cm、送り出し速度30cm/分で圧力を加えることで、ITO導電膜を得た。
分散媒のメタノール39gに実施例1と同じ表面処理剤1gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して10質量%であった。
分散媒の2−プロパノール37gに実施例1と同じ表面処理剤3gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して30質量%であった。
分散媒の1−ブタノール39.9gに表面処理剤として珪酸エステルのオリゴマーであるテトラメトキシシランの3〜5量体(多摩化学社製、商品名:Mシリケート51)0.1gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して1質量%であった。
分散媒のメタノール39gに実施例4と同じ表面処理剤1gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して10質量%であった。
分散媒のエタノール37gに実施例4と同じ表面処理剤3gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して30質量%であった。
分散媒の1−プロパノール39.9gに表面処理剤のテトラエトキシシラン(多摩化学社製、商品名:高純度正珪酸エチル)0.1gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して1質量%であった。
分散媒のエタノール39gに実施例7と同じ表面処理剤1gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して10質量%であった。
分散媒のエタノール37gに実施例7と同じ表面処理剤3gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して30質量%であった。
分散媒の1−プロパノール39.9gに表面処理剤として珪酸エステルのオリゴマーであるテトラエトキシシランの3〜5量体(多摩化学社製、商品名:シリケート40)0.1gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して1質量%であった。
分散媒の2−プロパノール39gに実施例10と同じ表面処理剤1gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して10質量%であった。
分散媒のエタノール37gに実施例10と同じ表面処理剤3gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して30質量%であった。
分散媒のエタノール39.99gに表面処理剤のN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM603)0.01gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.1質量%であった。
分散媒の2−ブタノール39.5gに実施例13と同じ表面処理剤0.5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して5質量%であった。
分散媒の2−プロパノール37gに実施例13と同じ表面処理剤3gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して30質量%であった。
分散媒のメタノール39.99gに表面処理剤の3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM903)0.01gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.1質量%であった。
分散媒のエタノール39.5gに実施例16と同じ表面処理剤0.5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して5質量%であった。
分散媒のエタノール37gに実施例16と同じ表面処理剤3gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して30質量%であった。
分散媒のエタノール39.99gに表面処理剤の3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM802)0.01gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.1質量%であった。
分散媒の1−ブタノール39.5gに実施例19と同じ表面処理剤0.5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して5質量%であった。
分散媒のエタノール37gに実施例19と同じ表面処理剤3gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して30質量%であった。
分散媒のエタノール39.99gに表面処理剤の3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名:KBM803)0.01gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.1質量%であった。
分散媒のエタノール39.5gに実施例22と同じ表面処理剤0.5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して5質量%であった。
分散媒のエタノール37gに実施例22と同じ表面処理剤3gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して30質量%であった。
分散媒のエタノール40.0gに表面処理剤を加えることなく、前述した方法で得られたITO粉末10.0gを添加し、超音波ホモジェナイザーで30分間分散し、ITO導電膜形成用塗料を得た。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。
分散媒のエタノール39.5gに表面処理剤として特許文献2に記載されるシラザン化合物であるヘキサメチルジシラザン(信越化学工業社製、商品名: SZ−31 )0.5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して5質量%であった。
分散媒のエタノール39.95gに実施例1と同じ表面処理剤0.05gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.5質量%であった。
分散媒の2−プロパノール35gに実施例1と同じ表面処理剤5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して50質量%であった。
分散媒のメタノール39.95gに実施例4と同じ表面処理剤0.05gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.5質量%であった。
分散媒のエタノール35gに実施例4と同じ表面処理剤5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して50質量%であった。
分散媒の1−ブタノール39.95gに実施例7と同じ表面処理剤0.05gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.5質量%であった。
分散媒のエタノール35gに実施例7と同じ表面処理剤5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して50質量%であった。
分散媒のエタノール39.95gに実施例10と同じ表面処理剤0.05gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.5質量%であった。
分散媒のエタノール35gに実施例10と同じ表面処理剤5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して50質量%であった。
分散媒の1−ブタノール39.999gに実施例13と同じ表面処理剤0.001gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.01質量%であった。
分散媒のエタノール35gに実施例13と同じ表面処理剤5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して50質量%であった。
分散媒のエタノール39.999gに実施例16と同じ表面処理剤0.001gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.01質量%であった。
分散媒のエタノール35gに実施例16と同じ表面処理剤5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して50質量%であった。
分散媒のエタノール39.999gに実施例19と同じ表面処理剤0.001gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.01質量%であった。
分散媒のエタノール35gに実施例19と同じ表面処理剤5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して50質量%であった。
分散媒の1−プロパノール39.999gに実施例22と同じ表面処理剤0.001gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して0.01質量%であった。
分散媒のエタノール35gに実施例22と同じ表面処理剤5gを徐々に滴下して溶液を調製した。これ以外は実施例1と同様にしてITO導電膜を得た。この表面処理剤の濃度はITO粉末100質量%に対して50質量%であった。
実施例1〜24及び比較例1〜18で得られたITO導電膜について、前述した評価方法に基づいて、各膜毎に初期電気抵抗値と加湿後電気抵抗値を測定した。そのうえで、加湿後電気抵抗値を初期電気抵抗値で除して変化率を求めた。その結果を表1及び表2に示す。なお、表1及び表2では、表面処理剤のITO粉末100質量%に対する質量%を「濃度」で表している。
Claims (4)
- ITO粉末と前記ITO粉末の分散媒と前記ITO粉末の表面処理剤とを含むITO導電膜形成用塗料において、
前記分散媒がアルコール系溶液であり、
前記表面処理剤がアルキル基の炭素数が2以下の珪酸エステルであるか、又は前記表面処理剤がアミノ基若しくはメルカプト基を末端基に有するシランカップリング剤であって、
前記珪酸エステルが前記ITO粉末100質量%に対して1〜30質量%含まれるか、又は前記シランカップリング剤が前記ITO粉末100質量%に対して0.1〜30質量%含まれることを特徴とするITO導電膜形成用塗料。 - 前記珪酸エステルが炭素数が1のアルキル基を有するテトラメトキシシラン又は炭素数が2のアルキル基を有するテトラエトキシシランである請求項1記載のITO導電膜形成用塗料。
- 前記シランカップリング剤がN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシランである請求項1記載のITO導電膜形成用塗料。
- 請求項1ないし3いずれか1項に記載された塗料を用いてITO導電膜を形成する方法。
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