JP2006103982A - 棒状導電性錫含有酸化インジウム微粉末の製造方法、及び棒状導電性錫含有酸化インジウム微粉末 - Google Patents
棒状導電性錫含有酸化インジウム微粉末の製造方法、及び棒状導電性錫含有酸化インジウム微粉末 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 錫塩及びインジウム塩を水に溶解して、錫(Sn)とインジウム(In)を合量で0.001mol/L〜0.05mol/L含有する水溶液を調製し、この水溶液に前記錫(Sn)とインジウム(In)の合計モル量の20〜100倍量に相当する量のヘキサメチレンテトラミンを添加し、析出した析出物を焼成する。
【選択図】 なし
Description
ここで濃度を0.001〜0.05mol/Lにした理由は、0.001mol/L未満では生産性に劣るためであり、0.05mol/Lを越える場合には生成する棒状粒子のアスペクト比が5未満になってしまうからである。
このヘキサメチレンテトラミンは、錫とインジウムの沈殿剤として作用するものである。本発明においては、沈殿剤としてヘキサメチレンテトラミンを用いることが重要であり、沈殿材として従来から使用されているアンモニア水、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸アンモニウム等を用いると、本発明の目的を達成できない。
ヘキサメチレンテトラミンの加水分解により生成するホルムアルデヒドは、析出した沈殿物の表面に吸着されて結晶成長制御剤として作用するものと考えられる。
前記水溶液は、ヘキサメチレンテトラミンを添加した後に加熱すると、反応速度を高め、前記析出物を効率よく得ることができる。
加熱温度は効果的な反応速度を得るために80℃以上が好ましい。加熱時間は12〜24時間程度が好ましい。
焼成温度は、低すぎれば水和物から酸化物への転換が不充分となり、高すぎれば長径またはアスペクト比が上記範囲を下回るおそれがあるため、300〜800℃、好ましくは400〜600℃が好適である。
焼成する際の雰囲気は、焼成温度で酸化反応が起る雰囲気であれば特に制限はなく、通常、大気下で焼成する。
また、焼成に引き続き、必要に応じてN2、Ar等の不活性ガス雰囲気下あるいはH2、NH3等の還元雰囲気下にて更に熱処理することが、導電性が更に向上するので好ましい。
上記製造方法により得られた微粉末は、長径が50〜100nmでアスペクト比が5以上であるので、導電性および透明性がいずれも良好となる。
「実施例1」
塩化第2錫(SnCl4・5H2O)0.77g及び塩化インジウム(InCl3・4H2O)5.86gを純水に溶解した溶液に純水を加えて1Lにした後に93gのヘキサメチレンテトラミンを添加して均一な水溶液(In+Sn:0.02mol/L、ヘキサメチレンテトラミン:30倍モル量)とした。
この水溶液を加熱して沸騰させると、ヘキサメチレンテトラミンが分解して生成するアンモニアにより溶液のpHが上昇してインジウムと錫の水和物が析出した。この析出物を洗浄乾燥後、大気雰囲気下400℃にて3時間焼成し、微粉末を得た。
この微粉末は、X線回析(XRD)の結果、ITOの微粉末であることが判明した。また、図1の透過型電子顕微鏡写真が示すように長径60nmでアスペクト比が6の棒状粒子を多数有していた。
なお、長径およびアスペクト比は、次のように測定した。図1に示す透過型電子顕微鏡写真から20個の粒子を無作為に抽出し、粒子の最も長い部分の長さの平均値を長径とし、この最長方向に垂直な方向の長さが最も大きい部分の長さの平均値を短径とし、これらに基づいてアスペクト比を算出した。
塩化第2錫(SnCl4・5H2O)0.38g及び塩化インジウム(InCl3・4H2O)2.93gを純水に溶解した溶液に純水を加えて1Lにした後に93gのヘキサメチレンテトラミンを添加して均一な水溶液(In+Sn:0.01mol/L、ヘキサメチレンテトラミン:60倍モル量)とした。
この水溶液を加熱して沸騰させると、ヘキサメチレンテトラミンが分解して生成するアンモニアにより溶液のpHが上昇してインジウムと錫の水和物が析出した。この析出物を洗浄乾燥後、大気雰囲気下400℃にて3時間焼成しさらに窒素中600℃にて10時間焼成して、微粉末を得た。
この微粉末は、X線回析(XRD)の結果、ITOの微粉末であることが判明した。また、図2の透過型電子顕微鏡写真が示すように長径70nmでアスペクト比が6の棒状粒子を多数有していた。
長径およびアスペクト比の測定法は実施例1と同様である。
塩化第2錫(SnCl4・5H2O)0.77g及び塩化インジウム(InCl3・4H2O)5.86gを純水に溶解した溶液に純水を加えて1Lにした後に310gのヘキサメチレンテトラミンを添加して均一な水溶液(In+Sn:0.02mol/L、ヘキサメチレンテトラミン:100倍モル量)とした。
この水溶液を加熱して沸騰させると、ヘキサメチレンテトラミンが分解して生成するアンモニアにより溶液のpHが上昇してインジウムと錫の水和物が析出した。この析出物を洗浄乾燥後、大気雰囲気下400℃にて3時間焼成し、微粉末を得た。
この微粉末は、X線回析(XRD)の結果、ITOの微粉末であることが判明した。また、図3の透過型電子顕微鏡写真が示すように長径60nmでアスペクト比が5.5の棒状粒子を多数有していた。
長径およびアスペクト比の測定法は実施例1と同様である。
塩化第2錫(SnCl4・5H2O)3.8g及び塩化インジウム(InCl3・4H2O)29.3gを純水に溶解した溶液に純水を加えて1Lにした後に466gのヘキサメチレンテトラミンを添加して均一な水溶液(In+Sn:0.1mol/L、ヘキサメチレンテトラミン:30倍モル量)とした。
この水溶液を加熱して沸騰させると、ヘキサメチレンテトラミンが分解して生成するアンモニアにより溶液のpHが上昇してインジウムと錫の水和物が析出した。この析出物を洗浄乾燥後400℃にて3時間焼成し、微粉末を得た。
この微粉末は、X線回析(XRD)の結果、ITOの微粉末であることが判明した。また、この微粉末は図4の透過型電子顕微鏡写真が示すように長径60nmであったがアスペクト比が5未満の粒子しかなかった。
長径およびアスペクト比の測定法は実施例1と同様である。
塩化第2錫(SnCl4・5H2O)0.77g及び塩化インジウム(InCl3・4H2O)5.86gを純水に溶解した溶液に純水を加えて1Lにした後に31gのヘキサメチレンテトラミンを添加して均一な水溶液(In+Sn:0.02mol/L、ヘキサメチレンテトラミン:10倍モル量)とした。
この水溶液を加熱して沸騰させると、ヘキサメチレンテトラミンが分解して生成するアンモニアにより溶液のpHが上昇してインジウムと錫の水和物が析出した。この析出物を洗浄乾燥後400℃にて3時間焼成し、微粉末を得た。
この微粉末は、X線回析(XRD)の結果、ITOの微粉末であることが判明した。また、この微粉末は図5の透過型電子顕微鏡写真が示すように長径40nmでアスペクト比が5未満であった。
長径およびアスペクト比の測定法は実施例1と同様である。
実施例1〜3で得られたITO微粉末30gを、テトラメトキシシラン10.5g、純水50g及びプロピレングリコールプロピレングリコール175gに混合し、60分間振とうして塗料を調製した。
この塗料を用いてガラス板上に厚みが0.5μmの膜を成膜したところ、透明性(可視光透過率が96%〜99%程度)と導電性(表面抵抗率が12kΩ/□〜50kΩ/□程度)に優れた透明導電膜を形成することができた。
Claims (4)
- 錫塩及びインジウム塩を水に溶解して、錫(Sn)とインジウム(In)を合量で0.001mol/L〜0.05mol/L含有する水溶液を調製し、この水溶液に前記錫(Sn)とインジウム(In)の合計モル量の20〜100倍量に相当する量のヘキサメチレンテトラミンを添加し、析出した析出物を焼成することを特徴とする、棒状導電性錫含有酸化インジウム微粉末の製造方法。
- 前記ヘキサメチレンテトラミンを添加した後、前記焼成に先だって、前記水溶液を80℃以上に加熱することを特徴とする請求項1記載の棒状導電性錫含有酸化インジウム微粉末の製造方法。
- 前記焼成は、300℃〜800℃の温度で行われることを特徴とする請求項1または請求項2記載の棒状導電性錫含有酸化インジウム微粉末の製造方法。
- 長径が50〜100nmで、アスペクト比が5以上であることを特徴とする、棒状導電性錫含有酸化インジウム微粉末。
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