JP2013054990A - 発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機バインダーの使用なしで実用上十分な機械的強さを有し、無機EL素子として有用な発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜の提供。
【解決手段】前記発光性自立薄膜は、ゾルゲル法により製造され、30〜5000のアスペクト比と、10nm以下のナノオーダーファイバー幅を有するファイバー状アルミナナノ粒子からなる自立薄膜形成成分と、この自立膜形成成分により担持されている発光性遷移金属(例えばTb、Eu、Smなど)を含有する発光源成分とを含み、前記発光源成分に含まれる遷移金属の、前記自立薄膜成形成分に含まれるアルミニウムに対するモル比は1/0.001〜1/1の範囲内にある。
【選択図】図2

Description

本発明は発光性を有する遷移金属化合物を含むアルミナ自立薄膜及びその製造方法に係るものである。
エレクトロルミネッセンス(EL)は蛍光素子に電圧をかけることにより発光する現象で、ブラウン管や液晶に比較して低電力で構造がシンプルであるという特長を有するため、この現象を利用する次世代ディスプレイが注目されている。さらにエレクトロルミネッセンスは自ら発光し、バックライトを必要としないから、非常に薄くフレキシブルなディスプレイ構造が可能となり、その視野角が広いなどの特徴を有している。EL発光素子は有機EL素子及び、無機EL素子に分別され、ディスプレイ分野では有機EL素子の開発が先行しているが、無機EL素子は有機EL素子に比較して酸素や水の影響を受けにくいという長所があり、機器のディスプレイや液晶のバックライトなどに使用されている。
無機EL発光装置の典型的な構成は、背面電極と透明電極の間に蛍光体層と強誘電体層を配置してなるものであって、その構造形態から分散型と薄膜型に分類される。前記分散型は、蛍光粉末と強誘電体粉末とをそれぞれ有機バインダー中に分散させ、これを透明電極と背面電極との間に積層させた構造を有し、薄膜型は、前記電極を配置した基板上に蛍光体からなる発光層と誘電体層とを蒸着法などにより積層させた構造を有するものである。
特許文献1(特開平11−293239)は、分散型EL素子に関するもので、蛍光体粒子の粒径を制御して、粒度分布の狭い球状蛍光体粒子を使用することにより、高充填蛍光体膜を作製する方法が記載されている。この分散型EL素子製造方法は、蛍光体粉末および強誘電体粉末を予め熱処理し、有機バインダーを使用して膜体上に接着する方法であり、生産性の面では効率の良い方法である。しかし使用する蛍光体および強誘電体粉末に微細粒子や粗大粒子が大量に存在することは好ましくないため、必要に応じて分級操作が必要となる。そのため作業工程が増え、さらには収率が低下する等の問題を有していた。
また上記方法に用いられる蛍光体及び強誘電体の粉末自身には成膜性がないために、その成型には有機バインダーを使用する必要があり、このようにすると、発光輝度を上げるために蛍光粒子量の充填率を高くすると、塗工性が悪化し均一な発光膜が得られず、蛍光体粒子の充填率に制限があり、十分な輝度が得られないなどの問題があった。
特許文献2(特開2008−251336号公報)には、薄膜型無機EL素子およびその製造方法について記載されている。この製造方法において発光体層形成のためにスパッタ法や蒸着法を用いる場合、強誘電体層の平滑化が必要であるから、この方法は大画面の製膜には適してはない。
特許文献3(特開2008−251313号公報)には無機EL素子、及びその製造方法が開示されており、この無機EL素子は背面電極、絶縁層、発光層及び透明電極が順次に配列されたものであって、前記絶縁層は、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛などの誘電体からなり有機バインダーを含まない第1の絶縁層と、ゾルゲル法により形成された、例えばアルミナからなる第2の絶縁層(バッファー層)とを含むものである。前記第2の絶縁層をゾルゲル法により形成するためには、ゾルゲル液を基板にコーティングした後、その上に発光層(蛍光膜)を形成するために、400℃以上の温度で焼成を施す必要があるから、基板は前記焼成温度に耐え得るものでなければならない。また基板にNaが含まれていると、高温焼成時にNaが、電極、絶縁層及び発光層中に拡散してこれらを汚染し、これが発光輝度の低下の原因となるなどの問題点を生ずる。前記焼成温度が、1000℃以上である場合、基板としてアルミナ板、ジルコニア板シリコンウエハー又は石英ガラスなどのように、軟化点が高い基板を必要とするが、このような基板を用いると、製品コストの上昇を招くという問題点がある。また、このEL素子に用いられるITO導電性酸化物からなる電極膜は熱安定性が低く、600℃以上の温度において導電性が低下するなどの問題点もある。
上記のような従来の分散型無機EL素子において、その蛍光体膜及び強誘電体膜を調製するに当り、これらの膜の原料粒子の粒度を所定値に調整することが必要になり、このため作業効率及び収率の低下があり、さらに前記粒子には、いずれも成膜性がないため有機バインダーの使用が不可欠であるが、有機バインダーが含まれることにより、得られるEL素子の発光点密度の低下を生ずるなどの、多数の問題点が知られている。
また無機EL素子製造のための薄膜法は、大規模工業的製法には適しておらず、さらにゾルゲル法は、基板及び電極の材質、特性に制約があり、蛍光体及び絶縁体の調製条件にもきびしい制約があるなどの問題点があり、これらの問題点のない新規な無機EL素子及びその製造方法の提供が強く望まれていた。
特開平11−293239号 特開2008−251336号 特開2008−251313号
本発明は、有機バインダーを含有していなくとも自立して使用するのに十分な強度を有し、高密度の面発光を有する発光性遷移金属含有アルミナ自立膜材およびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らはこのような状況の中で、上記従来技術に鑑みて、有機バインダーを使用せず高密度で面発光を有する蛍光体層の開発をすることを目標として鋭意検討を重ねた結果、特定の性状および構造を有するアルミナナノファイバーと発光中心を形成する遷移金属元素の混合溶液から、特定の製造方法及び製造条件で成形することにより、有機バインダーを使用しなくとも自立して使用するのに十分な強度を有し、発光点が高密度かつ均一に充填されかつ面発光を有する無機EL発光素子として有用な自立膜材を、基板の種類や成膜方法の制約を受けずに作製することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜は、発光源成分として、発光性遷移金属化合物の少なくとも1種と、自立薄膜形成成分としてアルミナとを含み、
前記発光性遷移金属化合物が発光性遷移金属イオン含有化合物及び発光性遷移金属酸化物から選ばれ、
前記アルミナが、ゾルゲル法により製造され、30〜5000の数平均アスペクト比を有するファイバー状形状を有し、かつ少なくともそのファイバー幅が10nm以下のナノメートルオーダーにあるファイバー状ナノ粒子の形状寸法を有し、
前記発光源成分に含まれる遷移金属の、前記自立膜形成成分に含まれるアルミニウムに対するモル比が1:0.001〜1:1の範囲内にあり、
前記発光源成分が、前記自立薄膜を形成している前記ファイバー状アルミナナノ粒子により担持されていることを特徴とするものである。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜において、前記自立薄膜形成アルミナのファイバー状ナノ粒子の短径が2〜10nmであり、かつその長径が100〜10000nmであることが好ましい。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜において、前記発光源成分に含まれる遷移金属が、チタン、ユーロピウム、テルビウム、セリウム、ジスプロシウム、イッテルビウム、サマリウム、亜鉛及びクロムから選ばれることが好ましい。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜において、前記自立薄膜形成成分を構成するアルミナが、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ及びχ−アルミナの少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜の製造方法は、加水分解性アルミニウム化合物から、ゾルゲル法によって、短径が10nm以下であって、アスペクト比が30〜5000の範囲内にある、ファイバー状アルミナ前駆体のナノ粒子の水性ゾルを調製し、
前記ファイバー状アルミナナノ粒子含有水性ゾル中に、少なくとも1種の発光性遷移金属化合物の水性溶液又は水性分散液を混合し、このとき、水性溶液又は分散液中に含まれる前記発光性遷移金属の合計量の、前記水性ゾル中に含まれるアルミニウム含有量に対するモル比を1:〜0.001〜1:1の範囲内に調整し、
得られた混合分散液を成形容器内表面上に塗布し、乾燥して、薄膜状に成型し、
得られた薄膜状成型物を焼成して前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子をファイバー状アルミナナノ粒子に変化させる、ことを特徴とするものである。
本発明の製造方法において、前記ファイバー状アルミナ前駆体のナノ粒子の水性ゾルは、前記加水分解性アルミニウム化合物を水中において加水分解し、加熱解膠して製造されたものであって、前記アルミナ前駆体が水酸化アルミニウムのアモルファス、ベーマイト、又は擬ベーマイト構造体であることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記薄膜状成型物の焼成が、400〜1300℃の温度において施されることが好ましい。
本発明の製造方法において、前記焼成温度が600〜1000℃の範囲内にあることが好ましい。
本発明の発光性遷移金属を含有するアルミナ自立薄膜は、有機バインダーを含んでいないのにも拘らず、自立使用が十分可能な強度を有し、かつ高密度をもって均一に分布した発光点を有する面発光を有し、無機EL素子として有用なものであり、また本発明方法は前記発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜を容易かつ簡便な方法により、効率よく製造することができる。
実施例1に記載の本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜の製造において、自立膜材形成成分として用いられるファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子含有水性ゾルの一例の遷移型電子顕微鏡写真画像であり、 実施例1において製造された、本発明の硝酸テルビウム含有アルミナ自立薄膜の、正弦波1kHzの交流電圧印加による発光スペクトルを示し、 実施例3において製造された、本発明の硝酸ユウロピウム含有アルミナ自立薄膜の、正弦波1kHzの交流電圧印加による発光スペクトルを示す。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜は、発光源成分として発光性遷移金属化合物の少なくとも1種と、自立薄膜形成成分としてアルミナとを含むものである。
前記発光源成分として用いられる発光性遷移金属化合物は、発光性を有する遷移金属イオン含有化合物及び遷移金属酸化物から選ばれる。前記発光性遷移金属は、周期率表の第3〜12族元素(タンタノイド及びアクチノイド類元素を包含する)から選ばれ、好ましくは、チタン(Ti)、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、セリウム(Ce)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)、亜鉛(Zn)、及びクロム(Cr)などから選ばれる。
前記発光性遷移金属イオン含有化合物は、前記発光性遷移金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物並びに有機カルボン酸の塩(好ましくは、酢酸塩)から選ぶことが好ましく、さらに好ましくは、水溶性硝酸塩、塩化物、及び酢酸塩から選ばれる。
前記発光性遷移金属酸化物は、それが非水溶性である場合には1μm以下、好ましくは100nm以下の、平均粒径を有する微粒子であることが好ましい。
前記自立薄膜形成成分を構成するアルミナは、ゾルゲル法により製造されたファイバー状粒子であって、少なくともそのファイバー幅が10nm以下のナノメートルオーダーにあるファイバー状ナノ粒子である。
本発明において、「ファイバー状」とは、ワイヤー状、針状、棒状または柱状などと表現される形状を包含するものである。
前記ファイバー状アルミナナノ粒子のアスペクト比は30〜5000であり、好ましくは100〜3000である。前記アスペクト比が、30未満であると、得られるアルミナ自立薄膜の機械的強さが不十分になり、また前記アスペクト比が5000を超えるアルミナナノ粒子の製造には多大の時間を要し、製造コストが高くなるため実用的に不利である。
前記ファイバー状アルミナナノ粒子は前述のように10nm以下の平均ファイバー幅を有し、その平均ファイバー幅は2〜10nmであることが好ましく、3〜7nmであることが特に好ましい。前記平均ファイバー幅が10nmを超えると、ファイバー状アルミナナノ粒子が凝集して高い可撓性を有する自立薄膜を形成することが難しくなる。また、平均ファイバー幅が2nm未満のファイバー状アルミナ粒子の工業的収率が不十分になることがある。前記ファイバー状アルミナナノ粒子の平均ファイバー長さは100〜10,000nmであることが好ましく、200〜6,000nmであることがさらに好ましい。前記平均ファイバー長さが100nm未満であると、得られる自立薄膜の機械的強さが不十分になることがあり、また、10,000nmを超えるものは、その合成に長時間を要し、製造コストが高くなるという不利を生ずることがある。
前記ファイバー状アルミナナノ粒子の平均ファイバー幅はファイバー状アルミナナノ粒子を透過型電子顕微鏡(TEM、例えば、商品名「FEI−TECNAI−G20」、FEI社製)を用いて倍率71万倍で観察したときの観察視野内におけるファイバー状アルミナナノ粒子の最も太い部分を、「ファイバー状アルミナナノ粒子の幅」として測定する。測定個数は300本とし、個数分布を作成して個数平均値を平均繊維幅とする。一方、ファイバー状アルミナナノ粒子の平均繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM、例えば、商品名「S−4800」、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて倍率2500倍でファイバー状アルミナナノ粒子を観察したとき、その軸線長さを「ファイバー状アルミナナノ粒子の繊維長」として測定する。測定個数は300本とし、体積平均から算出した値を平均繊維長とする。アルミナナノファイバーのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)は、このようにして算出される平均繊維長を平均繊維幅で除して算出する。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜において、前記発光源成分に含まれる少なくとも1種の発光性遷移金属の、前記自立薄膜形成成分に含まれるアルミニウムに対するモル比は1:0.001〜1:1の範囲内にあり、好ましくは1:0.01〜1:0.5の範囲内にある。前記モル比が1:0.001未満のときは得られる発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜における発光輝度(Luminance)が不十分になることがあり、また、前記モル比が1:1を超えるときは、発光性遷移金属化合物の含有量増大に対比して発光輝度の増大量が飽和し、製造コストが過大になることがあり、かつ、発光輝度が却って低下することもある。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜において、自立薄膜を形成しているファイバー状アルミナナノ粒子は、所要形状の平面又は曲面にほぼ平行に分布し、互に隣接するファイバー状アルミナナノ粒子とランダムに交差し、或は交絡して所要形状及び寸法の自立薄膜を形成しており、前記発光性遷移金属化合物は、前記自立薄膜を形成しているファイバー状アルミナナノ粒子により、担持されている。前記ファイバー状アルミナナノ粒子によって担持されている発光性遷移金属化合物は、微細粒子の形状で吸着されていてもよく、或は、発光性金属原子が、ファイバー状アルミナの骨格構造に結合していてもよい。例えば発光性遷移金属イオン含有化合物として、硝酸テルビウム(Tb(NO33)が用いられたとき、この化合物はファイバー状アルミナナノ粒子含有水性ゾル中に溶解し、前記ファイバー状アルミナナノ粒子表面に均一に分散した状態で吸着する。このとき吸着されているTb3+イオンは、その周りに6個の水分子と3個の硝酸イオンが配位した状態を形成している。この状態の硝酸テルビウム担持ファイバー状アルミナナノ粒子が焼成されると−Al−O−Tb−O−の形でアルミナ骨格構造に結合することが認められている。この場合Tb23が形成されないことは広域X線吸収微細構造分光法(EXAFS)により確認されている。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ薄膜の膜厚は、0.1〜500μmであることが好ましく、0.5〜200μmであることがさらに好ましい。前記膜厚が0.1μm未満である場合には、得られる自立薄膜の機械的強さが不十分となり、この自立薄膜にITOなどの電極をコーティングする際のハンドリング性が不十分になることがあり、またそれが500μmを超えると、発光のための所要駆動電圧が高くなるという不利を生ずることがある。
前記自立薄膜形成成分を構造するファイバー状アルミナナノ粒子は、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ及びχ−アルミナの少なくとも1結晶系を有し、好ましくはγ、θ、δ−結晶系である。これらの結晶系は最終的にα−アルミナに遷移する。
前記ファイバー状アルミナナノ粒子により形成される自立薄膜形成成分は、高純度を有することが好ましく、例えばナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、塩素イオン(Cl-)、及び硫酸イオン(SO4 2-)などの不純物の許容含有量は、それぞれ2ppm以下である。自立薄膜形成成分における不純物の含有量は、通常、アルミナの原料の純度、各処理に用いられる薬剤の種類及び純度等に影響され、これらを適宜選択することによって、高純度の自立薄膜形成成分を製造できる。ここで、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)及び硫酸イオン(SO4 2-)の含有量はそれぞれ、自立薄膜形成成分約2.0gを精秤して少量の塩酸で加熱分解後に精製水を加えて正確に10mLに調整した測定試料液を、原子吸光光度計(例えば、商品名「Z5300」、(株)日立製作所製)を用いて、波長589.0nmの条件で測定して、決定できる。一方、塩素イオン(Cl-)の含有量は、自立薄膜形成成分約1.0gを精秤して精製水で正確に10mLに調整した測定試料液をイオンクロマトグラフィーによって測定できる。イオンクロマトグラフィーは、例えば、東ソー製のイオンクロマト装置(カラム「TSKgel IC−Anion−PW 4.6×50」を備えている。)を用いて、温度:40℃、溶離液:TSK eluent IC−Anion−A、流量:1.5mL/min、サンプルサイズ:50μL、検出器:CMの条件の下で実施する。
本発明に係る発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜を製造する方法は、下記工程(1)〜(4)を含むものである。
(1)加水分解性アルミニウム化合物から、ゾルゲル法によって、ファイバー状アルミナ前駆体のナノ粒子の水性ゾルを調製する。前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子のファイバー幅は10nm以下であり、また、そのアスペクト比は30〜5000であり、好ましくは100〜3000である。
(2)前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子含有水性ゾル中に、少なくとも1種の発光性遷移金属化合物の水性溶液又は水性分散液を混合する。このとき、前記水性溶液又は分散液中に含まれる前記発光性遷移金属原子の含有量の、前記水性ゾル中のアルミニウム原子の含有量に対するモル比を1:0.001〜1:1の範囲内に調整する。
(3)得られた混合液を、成型容器の内表面に塗布し、乾燥して薄膜状に成型する。
(4)得られた薄膜状成型物を焼成して、前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子をファイバー状アルミナナノ粒子に変化させる。
前記本発明方法の前記工程(1)において、加水分解性アルミニウム化合物を、水中において加水分解し、加熱解膠する方法(ゾル調製方法)によりファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の水性ゾルが得られる。前記アルミナ前駆体は、水酸化アルミニウムのアモルファス、ギブサイト、バイアライト、ダイアスポア、ベーマイト、又は擬ベーマイト構造体である。
本発明方法に用いられる加水分解性アルミニウム化合物は加水分解性有機及び無機アルミニウム化合物から選ぶことができる、加水分解性無機化合物としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等の無機酸の塩、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸塩、水酸化アルミニウム等が挙げられる。有機基を有するアルミニウム化合物としては、アルミニウムの水溶性炭酸塩、例えば、炭酸アルミニウムアンモニウム塩など、アルミニウムの水溶性カルボン酸塩、例えば、酢酸アルミニウムなど、アルミニウムアルコキシド、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、及びアルミニウムsec−ブトキシドなど、環状アルミニウムオリゴマー、アルミニウムキレート化合物、例えば、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなど、並びにアルキルアルミニウム、例えば、トリエチルアルミニウムなどが挙げられる。
ゾル調製方法における加水分解性アルミニウム化合物としては、これらのうち、適度な加水分解性を有し、副生成物の除去が容易な、アルミニウムアルコキシドを用いることが好ましく、炭素数2〜5のアルコキシ基を有するものが特に好ましい。
前記ゾル調製方法において、加水分解性アルミニウム化合物の加水分解は、酸の存在において進行する。加水分解用酸としては、塩酸及び硝酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の有機酸の一価の酸が好ましく、無機酸は焼成後もアルミナ中に残存する傾向があるため有機酸を用いることが好ましい。有機酸として、操作性、経済性の面から、酢酸を用いることが特に好ましい。酸の使用量は、加水分解性アルミニウム化合物に対して0.2〜2.0モル倍であることが好ましく、0.3〜1.8モル倍であることが特に好ましい。酸の使用量が0.2モル未満であると、得られるファイバー状アルミナナノ粒子のアスペクト比が過小になる場合があり、酸の使用量が2.0モルを超えるとファイバー状アルミナナノ粒子の水性ゾルの経時安定性が低下し、更に経済的不利を生ずることがあるので好ましくない。
前記加水分解の条件は、100℃以下で0.1〜3時間であることが好ましい。加水分解温度が100℃を超えると突沸の恐れがあり、加水分解時間が0.1時間未満であると温度コントロールが困難であり、3時間を超えると工程時間が長くなるという不利を生ずる。
加水分解工程における加水分解性アルミニウム化合物の酸水溶液の固形分濃度は、2〜15質量%であることが好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。この固形分濃度が2質量%未満であると得られるファイバー状アルミナナノ粒子のアスペクト比が過小になることがあり、固形分濃度が15質量%を超えると解膠中に反応液の撹拌性が低下することがある。
前記ゾル調製方法においては、加水分解性アルミニウム化合物の加水分解により副生するアルコールを好ましくは留去した後に、得られた反応混合液に解膠処理を施す。解膠処理は、前記加水分解後の反応混合液を100℃〜200℃で0.1〜10時間加熱し、更に好ましくは110〜180℃で0.5〜5時間処理する。加熱温度が100℃未満であると反応に長時間必要とし、200℃を超えると高圧の容器等を必要とし、経済的に不利となることがある。加熱時間が0.1時間未満であると得られるファイバー状アルミナナノ粒子のサイズが小さく、保存安定性が低くなることがあり、10時間を超えると工程時間が長くなるという不利を生ずる。
上記解膠処理によって、ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の水性ゾルが得られる。前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子は、水酸化アルミニウムのアモルファス、ベーマイト又は擬ベーマイト構造体であることが好ましい。前記アモルファス水酸化アルミニウムは、ギブサイト、ベイアライト及びダイアスポアのいずれの構造を有していてもよい。
本発明方法において、目的ファイバー状アルミナナノ粒子の寸法・形状並びにその所望の結晶構造は、例えば加水分解性アルミニウム化合物の種類、加水分解条件及び解膠の処理条件、及び焼成条件などを適宜に選択し設定することによって調整することができる。
本発明の製造方法の前記工程(1)によって得られたファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の水性ゾルは、中性又はアルカリ性であってもよいが、ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の収束を容易にするためには、そのpHが2.5〜4であることが好ましい。このpHを調整するpH調整試薬は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム若しくはアンモニア、又は、エチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、尿素等の有機アミン類等が使用できる。これらの中でも、有機アミン類を使用すると得られる目的製品中に残存しくにくく、高純度の目的製品を製造することができる。なお、後の工程、工程(4)において、アンモニア、有機アミン等の塩基性物質が生成する場合は、この生成する塩基性物質が、pH調整試薬として機能するので、前記pH調整試薬は特に添加しなくてもよい。
このようにして調製されたファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の水性ゾルが、高粘度である場合には、その中に気泡を含んでいることが多いため脱気処理をしてこれらの気泡を除去することが好ましい。気泡を除去する方法として、例えば、減圧処理、遠心処理等の各種脱気処理方法が挙げられる。
本発明方法の工程(2)において、前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の水性ゾル中に、前記発光性遷移金属化合物の少なくとも1種の水性溶液又は水性分散液を混合する。このとき、前記水性溶液又は分散液中に含まれる前記発光性遷移金属原子の含有量の、前記水性ゾル中に含まれるアルミニウム原子の含有量に対するモル比を、1:0.001〜1:1の範囲内に調製することが重要である。上記混合操作は、好ましくは、20〜50℃の温度において行われる。
本発明の工程(3)において、前記混合液を成型溶液の内表面上に塗布し、乾燥して、薄膜状に成型する。前記成型容器の内表面は、撥水性であることが好ましく、前記乾燥は、30〜60℃の温度において1〜5時間施すことが好ましい。乾燥後の薄膜状成型物を、成型容器の内表面から剥離して採取する。
前記薄膜状成型物を、本発明方法の工程(4)において、400〜1500℃、好ましくは600〜1000℃の焼成温度において1〜10時間焼成する。この焼成には、焼成炉、電気炉などの高温熱処理装置を用いることができる。前記焼成により前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子から、ファイバー状アルミナナノ粒子が得られる。焼成された前記ファイバー状アルミナナノ粒子は、少なくともベーマイト結晶系又は擬ベーマイト系の結晶構造を含み、それによって、前記ファイバー状アルミナナノ粒子により形成された自立薄膜形成成分が、実用上十分に高い機械的強さを得ることができる。前記ベーマイトは組成式:Al23・nH2Oによって表されるアルミナ水和物の結晶である。
前記焼成工程(4)において、焼成温度が400℃未満のときは、得られる発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜の発光輝度が不十分になることがあり、またそれが1500°を超えると、温度上昇に伴う発光輝度向上効果が飽和し、製造コストの上昇を伴うなどの不都合を生ずることがある。
前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子及びファイバー状アルミナナノ粒子の結晶構造はX線回折装置(例えば、商品名「Mac.Sci.MXP−18」、マックサイエンス社製)を用いて次の条件で確認できる。
<条件>管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:250mA、ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング幅:0.020°、走査速度:10°/min、発散スリット:0.5°、散乱スリット:0.5°、受光スリット:0.30mm
本発明を、下記実施例によってさらに説明する。
実施例1
(ファイバー状アルミナナノ粒子の調製)
500mlの四つ口フラスコに、イオン交換水300g、酢酸3.1g(0.051mol)を取り、撹拌しながら液温を75℃に上昇させた。これにアルミニウムイソポロポキシド34g(0.17mol)を0.6時間かけて滴下し、発生するイソプロピルアルコールを留出除去しながら液温を95℃まで上昇させて加水分解を行った。この反応液を電磁撹拌式のオートクレーブに移し、撹拌しながら150℃で6時間解膠反応を行った。その後液温を40℃以下に冷却して反応を終了し、ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子水性ゾルを得た。この水性ゾル中のファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の固形分濃度は2.8質量%であった。得られたファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子を前記のようにして透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、平均繊維幅が4nm、平均繊維長が2,000nm、平均アスペクト比が500であった。前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子水性ゾルの透過型電子顕微鏡画像を図1に示す。図1において多数のファイバー状アルミナ前駆体粒子が、表示平面にほぼ平行に分布し、互に交差し、或は交絡している。
(発光性遷移金属アルミナ自立膜調製)
前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の水性ゾル20gに、硝酸テルビウム6水和物0.25g(5mol%)を添加し20分撹拌後、遠心機で脱気することにより均一な分散液を得た。この分散液をテフロン(登録商標)コート容器80mm×80mm×10mm中に流し込んで容器の底基板上に展延し、送風式オーブン内で40℃、3時間乾燥させ、得られた薄膜体を容器の基板から剥離することにより、縦80mm、横80mm、膜厚60μmの均一な自立薄膜体を得た。この自立薄膜体を800℃で5時間焼成することにより発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜を得た。
(EL測定)
この自立薄膜を5mm×5mmの正方形にカッティングし、ITOを蒸着した2枚のガラスの間に挟み、正弦波1KHzの交流電圧を印可した結果、印加電圧が350Vから緑色光を確認でき、電圧の上昇とともに輝度増加を確認できた。交流印加電圧500Vにおける輝度は2.1cd/m2であった。このときのEL発光スペクトル(f−f emissions from 57J(J.6;5;4;3)transition in Tb3+)を図2に示す。
図2において発光強度は、印加電圧:450Vのとき波長約550nmにおいて最大発光強度を示している。
比較例1
500mlの四つ口フラスコに、イオン交換水300g、酢酸4.08g(0.068mol)を取り、撹拌しながら液温を75℃に上昇させた。これにアルミニウムイソポロポキシド64g(0.34mol)を滴下し、発生するイソプロピルアルコールを留出除去しながら液温を98℃まで上昇させ加水分解処理を行った。この反応液を電磁撹拌式のオートクレーブに移し、撹拌しながら230℃で1時間解膠反応を行った。その後液温を40℃以下に冷却し、反応を終了して、ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の水性ゾルを得た。この水性ゾル中のアルミナ前駆体の固形分濃度は4.8質量%であった。得られたファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の水性ゾルを前記のようにして透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、平均繊維幅が10nm、平均繊維長が100nm、平均アスペクト比が10の柱状体であった。
この柱状アルミナゾル11.6gに、イオン交換水8.4g、硝酸テルビウム6水和物0.25g(5mol%)を添加し20分撹拌後、遠心機で脱気することにより均一な分散液を得た。この分散液を、実施例1と同様にして自立薄膜形成工程に供した。しかし得られた膜はクラックが入り十分利用できる大きさの自立膜を得ることができなかった。
比較例2
実施例1で得られたTb含有アルミナ自立薄膜を乳鉢で粉砕し、エチルセルロース0.056gとエタノール5gを添加し20分撹拌後均一な分散液を得た。この分散液をこの分散液をテフロン(登録商標)コート容器80mm×80mm×10mmに流し込み送風式オーブン内で40℃、3時間乾燥させ剥離させることにより白色のシート状膜を得た。
この膜を実施例1と同様にEL測定に供した結果、500V印可時点での輝度は1.1cd/m2に低下していた。
実施例2
実施例1と同様にしてTb含有アルミナ自立薄膜を作製した。但し、平均アスペクト比=150のファイバー状アルミナ前駆体粒子(平均短径:3nm、平均長径:450nm)が得られるようにした。得られたTb含有アルミナ自立薄膜を5mm×5mmにカッティングし、ITOを蒸着したガラスで挟み、正弦波1KHzの交流電圧を印可した結果、320Vから緑色光を確認でき、電圧の上昇とともに輝度増加を確認できた。交流印加電圧500Vでの輝度は2.5cd/m2であった。
実施例3
実施例1で調製したファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子の水性ゾル20gに硝酸ユウロピウム6水和物0.24g(5mol%)を添加し20分撹拌後、遠心機で脱気することにより均一な分散液を得た。この分散液をテフロン(登録商標)コート容器80mm×80mm×10mmに流し込み送風式オーブン内で40℃、3時間乾燥させ基板から剥離させることにより縦80mm、横80mm、膜厚60μmの均一な自立薄膜を得た。この自立薄膜を800℃で5時間焼成することによりEu含有アルミナ自立薄膜を得た。
(EL測定)
このEu含有アルミナ自立薄膜を5mm×5mmにカッティングし、ITOを蒸着したガラスで挟み、正弦波1KHzの交流電圧を印可した結果、200Vから赤色光を確認でき、電圧の上昇とともに輝度増加を確認できた。この時の、輝度は1.5cd/m2であった。
交流印加電圧400Vのときの発光スペクトル(f−f emissions from 50−7FJ(J=0,1,2)transitions in Eu3+)を図3に示す。図3において、印加電圧が400Vのときの発光スペクトルは、波長約614nmにおいて発光強度のピークを示している。
実施例4
実施例1において調製した水性アルミナナノファイバーゾル20gに、硝酸サマリウム6水和物0.24g(5mol%)を添加し、20分撹拌後遠心機で脱気することにより均一な分散液を得た。この分散液をテフロン(登録商標)コート容器80mm×80mm×10mmに流し込み、送風式オーブン内で40℃、3時間乾燥させ、乾燥薄膜を、基板から剥離させることにより縦80mm、横80mm、膜厚60μmの均一な自立膜を得た。この自立膜を800℃で5時間焼成することにより無機EL素子自立膜を得た。
(EL測定)
この無機EL素子自立膜を5mm×5mmにカッティングし、ITOを蒸着したガラスで挟み、正弦波1KHzの交流電圧を印可した結果、350Vから黄色光を確認でき、電圧の上昇とともに輝度増加を確認できた。この時の、輝度は1.1cd/m2であった。
本発明の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜は、有機バインダーを含むことなく自立可能な無機EL素子或は発光表示面構成要素として有用なものであり、本発明方法は発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜を効率よく、かつ安価に製造を可能にするものである。

Claims (8)

  1. 発光源成分として、発光性遷移金属化合物の少なくとも1種と、自立薄膜形成成分としてアルミナとを含み、
    前記発光性遷移金属化合物が発光性遷移金属イオン含有化合物及び発光性遷移金属酸化物から選ばれ、
    前記アルミナが、ゾルゲル法により製造され、30〜5000の数平均アスペクト比を有するファイバー状の形状を有し、かつ少なくともその平均ファイバー幅が10nm以下のナノメートルオーダーにあるファイバー状ナノ粒子の形状寸法を有し、
    前記発光源成分に含まれる遷移金属の、前記自立膜形成成分に含まれるアルミニウムに対するモル比が1:0.001〜1:1の範囲内にあり、
    前記発光源成分が、前記自立薄膜を形成している前記ファイバー状アルミナナノ粒子により担持されている
    ことを特徴とする発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜。
  2. 前記自立薄膜形成アルミナのファイバー状ナノ粒子の幅(太さ)が1〜10nmであり、かつその長さが100〜10000nmである、請求項1に記載の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜。
  3. 前記発光源成分に含まれる遷移金属が、チタン、ユーロピウム、テルビウム、セリウム、ジスプロシウム、イッテルビウム、サマリウム、亜鉛及びクロムから選ばれる、請求項1に記載の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜。
  4. 前記自立薄膜形成成分を構成するアルミナが、γ−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ及びχ−アルミナの少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜。
  5. 加水分解性アルミニウム化合物から、ゾルゲル法によって、ファイバー幅が10nm以下であって、アスペクト比が30〜5000の範囲内にある、ファイバー状アルミナ前駆体のナノ粒子の水性ゾルを調製し、
    前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子含有水性ゾル中に、少なくとも1種の発光性遷移金属化合物の水性溶液又は水性分散液を混合し、このとき、前記水性溶液又は分散液中に含まれる前記発光性遷移金属含有量の、前記水性ゾル中に含まれるアルミニウム含有量に対するモル比を1:〜0.001〜1:1の範囲内に調整し、
    得られた混合液を成形容器内表面上に塗布し、乾燥して、薄膜状に成型し、
    得られた薄膜状成型物を焼成して、前記ファイバー状アルミナ前駆体ナノ粒子をファイバー状アルミナナノ粒子に変化させる
    ことを特徴とする発光性遷移金属含有アルミナ自立薄膜の製造方法。
  6. 前記ファイバー状アルミナ前駆体のナノ粒子の水性ゾルが、前記加水分解性アルミニウム化合物を水中において加水分解し、加熱解膠して製造されたものであって、前記アルミナ前駆体が水酸化アルミニウムのアモルファス、ベーマイト、又は擬ベーマイト構造体である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記薄膜状成型物の焼成が400〜1300℃の温度において施される、請求項5に記載の製造方法。
  8. 前記焼成温度が600〜1000℃の範囲内にある、請求項7に記載の製造方法。
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