本明細書では、「計量分配機」という用語は、いわゆる、「自動販売機」と「計量分配機」の両方、すなわち、分配される製品の支払い手段を含む機械(自動販売機)と、分配される製品の支払い手段を含まない機械(計量分配機)とを意味する。
例示的な自動販売機は、新聞、花、CD、ドリンク、スナック、および類似の製品を公衆に販売するための機械であり、例示的な計量分配機は、熱い飲料および冷たい飲料、食品などを分配するための、例えばホテルのロビーもしくは空港のラウンジで見出され得るような、または家庭用電気製品としてすら見出されるような機械である。本発明は特に、液体または固体形状をとる食料製品用の計量分配機に関する。上記の特徴の組合せ、例えば支払いシステムを有するコーヒー計量分配機も、明らかに本発明の範囲内にある。
電気またはデジタル信号を介して互いに相互接続されたモジュール(および最終的にはサブモジュール)として、異なる電気機械的コンポーネントを備える計量分配機は知られている。モジュール設計は、保守コストの削減をもたらし、実際、モジュールは通常、故障が発生した場合に、技術支援工場に計量分配機を送る必要なく、非専門要員ですら、短い分解時間で容易に交換できることを保証するように設計される。
例えば、典型的なモジュール式のエスプレッソコーヒーおよびカプチーノ計量分配機(組立体)は、複数のモジュール(サブ組立体)から構成されており、複数のモジュールは、焙煎コーヒー豆からコーヒーを抽出するための1つのモジュールと、粉ミルクを液体ミルクに還元するための1つのモジュールと、水濾過用の別のモジュールと、コントローラモジュールとを含んでいる。この例では、コーヒーを抽出するためのモジュールは、実際の抽出ユニットと、少なくとも1つのソレノイドバルブと、ポンプと、コーヒーグラインダモータと、抽出ユニットモータと、1杯分供給装置(dosing device)と、水加熱装置とによって構成することができる。
計量分配機によって買手に供給される製品に固定された電子タグ、主としてトランスポンダ、またはRFIDデバイス(RFID)に保存されている情報を読み取るためのシステムを備える計量分配機が知られている。
RFIDタグは、タグから離れた読み取り器(またはスキャナ)にデータを送信し、読み取り器(またはスキャナ)からデータを受信するための埋め込みアンテナを含む、低コストの小型化「スマート」チップである。一般に、電子タグは、製品パッケージが自動販売機に入れられる前に、製造業者によって製品パッケージに取り付けられ、または固定される。タグは、識別コード、不純物混和防止コード、関連する自動販売機に対する命令、ある製品の消費期限など、複数のデータを含むことができる。
バルフォー(Balfour)およびハリス(Harris)による特許文献1は、ディスプレイと、キーパッドと、計量分配機をリモート中央コンピュータに接続する制御ユニットとを有する、計量分配機を開示している。制御ユニットは、計量分配機のステータスを評価し、温度制御、水流などの論理機能を実行するために、センサ、およびその他のデバイスに接続されることができる。制御ユニットは、例えば期限切れストックの使用に警告を発するために、製品容器に備えられた電子タグに質問することもできる。
リンセイ(Lindsay)およびリード(Reade)による特許文献2は、計量分配機内の製品が、計量分配機に含まれる食料製品に関する情報を含むスマートタグに関連付けられた、計量分配機を開示している。スマートタグ読み取り器は、計量分配機に組み込まれ、スマートタグから製品情報を取り出すために使用される。
サベリーブ(Saveliev)およびシュスター(Shuster)による特許文献3は、取り付けまたは接続されたトランスポンダを有する食品容器および飲料容器を開示している。トランスポンダエキサイタは、食品または飲料容器上のトランスポンダに活動を起こさせるため、およびトランスポンダから情報を認識するため、食品または飲料分配機内またはその付近に配置される。容器からの情報は、容器を追跡するため、ならびに容器を満たす消耗品のタイプおよび量を制御するために、使用することができる。
トーマス(Thomas)、カードウェル(Cardwell)およびフー(Hu)による特許文献4は、プログラム可能RFIDタグなど、自動販売機によって可読なタグを提供するための装置および関連する方法に関する。タグは、加工されるか、または買手に供給される製品に関する機械可読情報を含んでいる。例えば、タグは、非許可製品が機械で使用されることを回避するため、製品についての電子形式の識別情報を含むことができる。
リーク(Riek)による特許文献5は、自動販売機に設けられた電磁的に起動されるストッパバルブによって開けられるようになっている容器上に配置された、トランスポンダを開示している。
電子タグは、製品を実施するためにも用いられる。例えば、特許文献6は、自動販売機内の在庫を追跡するための販売検査装置および方法を開示している。その技法は、タグを有する物品を計量分配機に入れることと、タグを感知することと、計量分配機内に備えられた制御回路に情報を転送することとを含んでいる。
自動販売機および計量分配機などに入れられる製品の追跡は、特許文献7に記載されているような、製品内に設けられている受動RFIDタグによって行われる。
シュバイツリ(Schwaizli)らの特許文献8では、自動販売機には、電子タグ内の各販売を記録するカウンタが設けられている。タグは、タグメモリに保存されているデータをダウンロードし消去する質問器によって、定期的に読み取られる。その目的は、販売の経過を追い、それを集金額と一致させることである。
電子タグは、製品の性質に応じて、異なる方法で製品に固定してもよい。特許文献9は、厚紙パッケージ素材などの基板に集積回路を接着し、基板および集積回路にパッチアンテナを適用し、集積回路および少なくともアンテナの部分を覆うようにシール層を貼ることによって、基板にトランスポンダを適用するための方法を開示している。
接着ラベル、チップなどによって、集積回路を異なる製品に埋め込むか、または固定するための、その他のシステムも知られている。
先に言及した文献は、計量分配機によって供給される製品と、機械自体との相互関係を提供する装置および方法に関する。ほとんどのケースで、装置および方法は、計量分配機の内部動作を考慮に入れていない。すなわち、タグは、計量分配機によって供給される食品についての情報を含むが、計量分配機は、動作するとき、事前設定された自動手続きに従ってデータを認識する。特許文献8では、タグは、販売イベントの数が記憶される、再書き込み可能部分(RAM)を有する。場合によっては、温度、販売される製品のタイプなど、さらなる動作データも、RAM部分に記憶される。
公知の計量分配機は、頻繁な使用にさらされ、かつ多くの異なる場所、異なる使用条件、および異なる保守ルーチンに置かれることに、主として由来する複数の短所を有する。
保守は主要な問題である。
計量分配機のモジュールおよび個々の機械的、電気的、または電気機械的なコンポーネントは、「動作時間」、「実行サイクル数」、または「水のリットル数」、「カップ数」、総販売などのその他の値によって、通常は表される限られた耐用期間を有する。また、熱いドリンクを分配する機械は、分配される製品に応じて、異なる手続きに従って動作することができるが、このことは、例えば「ミルクモジュール」よりもコーヒーモジュールのほうがより早く「耐用期間」が使い果たされる原因となる。
機械の故障および販売、または分配サービスの中断を回避するため、定期的な保守を実施しなければならず、実際、保守は、計量分配機の通常の契約の一部として提供される。このような保守は、モジュール式計量分配機であっても、きわめて多額のコストがかかり、労働コストの増大は、このような保守を担当するサービス会社に、機械の使用時間に関して、非常に正確とすることを強いている。さらに、機械の部品は瑕疵担保を有し、例えば、ポンプは、2時間の動作に対応する一定のサイクル数の間、または2年間は保証され、それらの条件の期間内で故障した場合には、無料で交換されることとなっている。
上記のことに鑑みて、機械が受けた実際の使われ方が、計量分配機の標準的な使用条件を守っていたかどうかをチェックする必要がある。一例として、先に言及したポンプの場合、故障した水ポンプに何が起きたのか、欠陥があったために故障したのか、あるいは例えば水フィルタが正しい時間で交換されなかったからなのか、またはポンプの耐用期間が尽きたからなのかを確かめる必要がある。
これらの公知の機械の別の問題は、製造段階と、保守が実施されるときの両方における品質管理である。間違ったモジュールを挿入することは、機械を損傷するか、または不良な飲料が分配される原因となる。
また別の問題は、従来の計量分配機は、特定のモジュールの起動を禁止できないということに由来している。例えば、コーヒー計量分配機などの自動販売機の製造業者または所有者が、その機械の貸与者、または特定の使用者、もしくは使用者グループに対して、自動販売機の1つまたは複数の機能を制限することが望ましいことがある。モジュール、特に食品モジュールの状態または出所が正しくない場合、すなわち、そのモジュールが機械製造業者または貸与者から出たものではない場合、または耐用期間が尽きている場合、そのモジュールの使用を拒否することも望ましい。
例えば、先に言及した特許文献4から、番号などの識別情報を含むタグを食品容器に設けること、計量分配機によって「使用」され得るすべてのタグに割り当てられたすべての識別情報のリストを有するコントローラを提供することが知られている。これは、コントローラのメモリに大量の情報を記憶する必要を生じさせ、それの定期的な更新を引き起こす。すなわち、各食品容器のID番号を記憶しなければならず、関連容器が計量分配機で使用できることを保証するには、新しい番号を提供しなければならない。同じプロセスを、タグ付き食品容器を使用できるすべての計量分配機で実施しなければならない。
そのような記憶作業は、時間が長くかかり、複雑であり、間違いの源泉ともなる。
したがって、計量分配機、そのモジュールおよびコンポーネント、ならびにその動作についての、信頼性が高く、容易で、費用対効果に優れた能動的制御が必要である。
より詳細には、計量分配機の動作、および計量分配機の動作に関連する消耗品に対する改良された新しい制御を提供できる計量分配機が必要とされている。
図1は、複数のモジュール、サブモジュール、およびコンポーネントを備える計量分配機を示している。詳細には、図1は、スナック、食品、冷たいドリンク、エスプレッソコーヒーなどを分配するための計量分配機の内部論理レイアウトを示す構成図であり、各製品は、関連モジュールによって調製および分配される。サブ組立体は、いくつかのモジュールに関する1つの可能な構成を示しており、1つの具体的な計量分配機を構成できるサブモジュールまたはモジュール、およびそれらの組合せの数量を制限するものではない。
モジュールは、複数のサブモジュール、またはコンポーネントを含むことができる。例えば、モジュール「エスプレッソ」は、電源ユニットと、1杯分供給装置と、ポンプと、湯沸しと、グラインダまたは類似装置とを含んでいる。同様に、モジュール「コールドドリンク」は、フィルタと、UVランプと、CO2(炭酸ユニット)サブモジュールと、売り切れセンサとを含む冷たいドリンクを調製するためのサブモジュールを含んでいる。図1では、各モジュール、および各サブモジュール、またはコンポーネントは、タグを備え、サブモジュールのタグは、モジュールタグに基づいて番号を付されている。すなわち、タグ3を有するエスプレッソモジュールのコンポーネント、およびサブモジュール用のタグは、タグ3/1、3/2、3/3、および3/4とされている。
買手/操作者と対話するために、ディスプレイモジュールと、使用者による命令を受け取るための制御パネルとが、すべての図に示されているわけではないが、通常は設けられ、上記した以外の入力方法(例えばチップカード)を採用可能としてもよい。
図1の機械は、自動販売機であり、手動支払いシステムを含む支払いモジュール、すなわち硬貨を収集するためのモジュール、あるいはキャッシュレス支払いシステム、すなわち磁気カード、または(以下で説明されるような)タグもしくはトランスポンダ読み取り器を備え、紙幣検証器(銀行券読み取り器)サブモジュールも備えている。
各モジュールは、従来の電気的接続によって、制御ユニットCPU(制御処理ユニット)に接続されている。CPUは、タグ読み取り器、すなわちタグを読み取る手段を備え、製造業者もしくは使用者、または自動販売機の実際の所有者から受け取った命令に応じて、モジュールの動作を制御する。タグ読み取り器は、CPUから分離されて離れた場所に配置することができ、有線または無線手段によって、CPUに接続される。
動作中、CPUは、買手がエスプレッソコーヒーを要求したとき、事前設定された手続きに従って、モジュール「エスプレッソ」を起動し、モジュール「エスプレッソ」は、買手によって指示された好みに従って、そのような飲料を調製および分配するために動作する。買手は、通常、ディスプレイまたは制御パネルを介して、制御ユニットと対話する。通常、使用者は、自動販売機自体、制御パネル、またはディスプレイ上に示された事前設定メニューの特定の品目、または品目の組合せを要求する。
分配される製品、例えば缶ドリンクおよびスナックなどは、あらかじめパックされて計量分配機に入れられることができ、または例えばカップ入りのエスプレッソ、もしくは入れたてコーヒー、および冷たいドリンクなどは、計量分配機の適切な貯蔵容器に保存された原料から、1つまたは複数のモジュールによって、即座に調製されることができる。例えば、スナックは、通常、計量分配機内に備えられた適切なトレイに、ラッピングを施されて入れられるが、熱い飲料は、通常、計量分配機の食品モジュールの一部である容器内に入れた粉ミルク、ココア粉末、または砂糖などの基本原料から、1つまたは複数のモジュールによって調製される。
図2は、本発明による装置を備える別の計量分配機の構成図である。この計量分配機は、6つのモジュールと、関連タグと共に示されたモータ、フィルタなど、いくつかのサブモジュールまたはコンポーネントとを含んでいる。装置は、CPUに接続されるか、または計量分配機内に配置されるか、もしくは計量分配機から、分離されてリモートに配置されるが計量分配機に接続されるモジュールおよびメモリ読み取り装置(タグ読み取り器)に結合される、少なくとも1つの可読メモリデバイスまたはタグを含んでいる。計量分配機に関するタグコントローラのこれら可能な配置のすべては、「前記計量分配機は、コントローラ装置を備え」という請求項1の定義の範囲内に包含される。タグ読み取り器は、CPUから物理的に分離してよく、したがって、CPU自体を情報を保存し取り出すことができるタグ装備モジュールと考えてよいことに留意することが重要である。この実施形態では、タグ読み取り器は、モジュールを識別するのに必要とされる情報(例えば構成リストまたはコード化アルゴリズム)が保存される手段を備えるメモリ手段を含んでいる。
さらに、本発明の可能な一実施形態は、2つ(またはそれより多く)の計量分配機を備え、第1の計量分配機(マスタ)は、タグ読み取り器と、CPUとを収容し、1つまたは複数の別の計量分配機(スレーブ)は、タグを有するモジュールを備え、第1の計量分配機に接続されている。第1の計量分配機のコントローラが、計量分配機のグループ全体の動作を制御する。
上述したように、可読メモリデバイスは、電子タグである。タグは、受動タグまたは能動タグとすることができる。例えば、タグは、RFIDデバイスとすることができる。好ましくは、電子タグは、計量分配機の各モジュール、またはサブモジュール/コンポーネントに適用される。より好ましくは、サブモジュール(サブ組立体)およびコンポーネントも、電子タグを備えている。タグは、関連モジュールに物理的に取り付けられること、例えば、ハードウェアのコンポーネントに埋め込まれることができ、または独立しており、コンポーネントから物理的に切り離されることができる。後でより詳細に説明するように、これは、モジュールが分配すべき食料製品などの消耗品に関する場合であり、有利な一実施形態では、食料製品の総量(例えばコーヒー3kgまたはコーヒー300単位)を考慮するただ1つのタグが存在し、そのタグは、個々の製品パッケージには配置されておらず、それから分離されている。
受動タグは、独自の電源ユニットをもたず、質問信号が、例えばCPU読み取り器または同等の装置によって生成されたときに、関連モジュールに関するデータまたは情報を、CPU読み取り器、またはそのようなデータを処理するための任意の適切な装置に送信する。質問信号は、この場合、タグに給電する起動信号でもある。能動タグは、独自の電源をもち、その結果、外部質問信号が供給されたかどうかにかかわらず、前記データまたは情報を、任意の適切な受信装置に独立して送信することができる。
能動電子タグは、相当に高コストであるため、本発明の装置は、好ましい受動タグを提供する。装置のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの能動タグを有し、能動タグは、例えばセンサとインターフェースをとり、計量分配機の最も重要なモジュール、またはサブ組立体、例えば湯沸しに適用されて、その状態、例えば湯沸しの圧力および温度を感知し、標準状態から要素の逸脱があった場合に、コントローラに通知する。そのようなセンサ−タグが、例えば特許文献10に開示されている。
適切な受動タグは、ST SRIX512またはXRA00など、富士通またはST−MicroelectronicsによるRFIDであり、適切なタグ読み取り器は、例えばST CRX−14である。これらのタグは、ライトワンス(write−once)、リードメニー(read−many)メモリと、再書き込み可能メモリとを備えている。
計量分配機の好ましい一実施形態では、タグは、第1の書き込み可能メモリと、第2の再書き込み可能メモリとを有するRFIDである。好ましくは、タグは、リードオンリー部分と、ライトワンス部分と、再書き込み可能部分とを有する。各タグは、計量分配機のモジュール、サブ組立体、またはコンポーネントと関連付けられ、CPUに結合されたタグ読み取り器と通信する。タグ読み取り器は、CPUから分離されていてもよく、計量分配機内に、または外部の遠隔の位置に配置される。必須なことは、タグ読み取り器が電子タグを読み取ることができ、タグ内に保存された情報またはデータにアクセスできることである。これは、公知の方法で達成されることができ、例えば、スキャナが、タグを起動するRF質問信号を生成する。タグは、起動されると、それらのメモリに保存されている情報を、RF信号によって読み取り器に送信し、この信号のCPUによる後続処理を可能にする。情報またはデータは、コードとして、タグ内に保存される。
タグは、上に言及した特許文献10に記載されているような感知装置を含む場合、コンポーネントのステータスに関する情報データを送信する。
図3〜図6は、センサを備える本発明の計量分配機のさらなる実施形態を示している。これらの実施形態では、モジュールおよびサブモジュール/コンポーネントは、タグを備え、タグのいくつかは、センサと接続されている。例えば、図3に示す実施形態では、冷却ユニットと分配ユニットは、ポンプ用のセンサと、冷却ユニット温度用のセンサとを備え、CO2ユニット用のセンサ−タグが提供される。
図5は、エスプレッソモジュールが詳述されている図4の計量分配機の可溶ドリンク(soluble drink)モジュールに対する代替モジュールを示している。可溶ドリンクモジュール、例えば粉ミルク入りの紅茶は、ミルク対紅茶の異なる調製要求(水温、製品量など)を考慮して、2つの泡立てサブサブモジュール(sub−sub−module)、分配サブサブモジュール、および加熱サブサブモジュールを備えている。したがって、2つのモータが、泡立て組立体と分配組立体とに提供され、2つの加熱要素が、加熱サブモジュールに提供され、各モジュール、サブモジュール、およびコンポーネントは、タグまたはタグ−センサを備えている。図6の計量分配機も、本発明の一実施形態の例示であり、ディスプレイ/インターフェースモジュールを示している。
先に言及したように、本発明の計量分配機組立体内のモジュールのタグは、リードオンリー部分と、ライトワンス部分とを有し、前記モジュールを識別するための識別データを格納する再書き込み可能部分を備えている。
識別データは、モジュールの初回使用日付、例えばモジュールが最初に計量分配機に組み立てられた時、あるいはモジュールの製造日付、または製造モジュールのテスト日付、もしくは品質テスト日付を有し、初期化データを含むことができる。したがって、モジュールが、すでに別の機械で使用されたことがあるかどうかを調べることが可能である。
上記のデータの代わりに、または上記のデータに加えて、識別データは、コード化データを含んでいる。より具体的には、タグは、通常はタグのシリアル番号である可読な第1のデータを格納するリードオンリーメモリと、第2のデータを格納する第2のメモリ部分とを備えている。
第2のデータは、要求された識別データを提供するために、コード化アルゴリズムによって書き込まれた第1のデータを含んでいる。したがって、コントローラは、モジュールの出所を検査し、それが使用可能かどうかを決定するのに、非常に短い内部情報を必要とし、コントローラは、現在日付(すなわち実際のカレンダ年月日)、構成表、および第1のデータをコード化された第2のデータに変換するのに使用されるアルゴリズム(または複数のアルゴリズム)を知る必要がある。
したがって、読み取りデータと内部情報、またはデータリストとの比較は、迅速かつ効率的に実施することができ、実際のカレンダ日付、モジュールのクラスまたはタイプ、およびタグのシリアル番号、または類似のリードオンリーデータをコード化したアルゴリズムの少なくとも1つによってモジュールを識別すれば、十分であるので、コントローラ情報は、従来技術の解決法で各個別モジュールを識別するために使用されるすべてのコードのリストをもつわけではない。
日付は、例えば、この情報をコントローラに提供するのに適した内部クロックを用いて、公知の方法で得られる。モジュールのクラスまたはタイプは、タグに、通常はタグのライトワンス部分に書かれる情報である。コントローラのメモリは、構成表、すなわち、モジュールの可能な組合せのリストに関する情報を保存している。
(特に食料製品モジュールまたはパッケージを含む)各モジュールを識別するには、コントローラは、アルゴリズムまたはアルゴリズムのリストを記憶しておく必要がある。各タグは、タグのメモリのリードオンリー部分に記憶された異なるデータを有し、このデータは、例えばタグのシリアル番号であって、タグ製造業者によって前記部分に記憶される。
機械製造業者は、同じアルゴリズムによって各シリアル番号をコード化し、そのようにして得られたコード化データ(すなわち、リードオンリー部分内の可読データにアルゴリズムを適用した結果)を、タグのライトワンス部分に記憶させる。このようにして、タグ毎に異なるが、それを得るためのコード化アルゴリズムを共有する識別データを得ることが可能である。
したがって、同じ許可された出所から来たすべてのタグは、同じアルゴリズムによって得られるIDコードを備え、コントローラは、モジュールが許可されたモジュールであるかどうかをチェックするために、承認されたアルゴリズムのリストをもつ必要があるだけである。
コントローラは、そのメモリからの承認されたアルゴリズムを、第1のタグデータ、すなわちモジュールのリードオンリー部分に記憶されたデータに適用する。得られた結果、すなわち第2のデータが、モジュールのライトワンス部分内のデータと同じであれば、タグは承認される。
上記の特徴につき、タグに保存される情報の非限定的な例を示す表1および表2を参照して説明する。表1は、コーヒーモジュール(組立体1)と、チョコレートモジュール(組立体2)とを含む計量分配機に関する。組立体1は、3つのサブモジュール1〜3、すなわち、エスプレッソモジュールと、湯沸しと、グラインダモータとを有する。エスプレッソモジュールは、2つのサブサブ組立体、すなわち、モータ5と、浸出モジュール6とを有し、各々は、本発明によるタグを備えている。
湯沸しサブ組立体2のタグは、タグの製造業者、例えばST−Microelectronicsによってリードオンリーメモリに保存されたシリアル番号002を有する。タグには、計量分配機の製造業者によって、タグのライトワンスメモリ部分に書き込まれた、サブ組立体2の識別コード101も格納される。
モジュールまたはコンポーネントのIDコードは、タグ製造業者によってリードオンリーメモリに保存されたシリアル番号002から、前記コードをアルゴリズムによって変更することによって得られる。言い換えると、タグがモジュールに固定されるとき(またはその前または後でさえ)、タグコントローラは、リードオンリーメモリ内の前記第1のデータを読み取り、前記第1のデータをアルゴリズムによって細工し、前記細工データをタグの書き込み可能メモリのライトワンス部分に、IDデータとして書き込み、正しいアルゴリズムによって細工されたシリアル番号を有するタグだけが、許容可能な「真正」モジュールである。
この例では、初期コード002は、アルゴリズム[シリアル番号+200]/2、すなわち、[002+200]/2=101によって、101に変換される。同じアルゴリズムが、その他のタグのシリアル番号にも適用される。
このように、CPUは、タグ読み取り器からそのような情報を受け取ったとき、IDタグが正しいアルゴリズムによって得られるように制御し、その後、同じ製造業者によって事前設定品質標準を与えられた計量分配機の承認部分として認識されたサブ組立体2の動作を可能にする。
タグ識別データは、それが適用されるモジュールの動作パラメータに関する情報も提供する。表1に示すように、モジュールが230ボルトの交流電流で動作し、4アンペアを吸収することを示すコードが、タグに保存される。表1の例の計量分配機のタグの書き込み可能メモリ部分は、製造業者の施設を出る前に、モジュールまたはコンポーネントが、誰によって、またはどのようにして品質に関してテストされたかを示す、タグメモリに書き込まれる品質保証コードも備えている。
さらに、タグは、初期化データ、例えばサブ組立体またはサブサブ組立体の初回使用日付を備えている。この日付は、タグのライトワンスメモリ部分に書き込まれ、計量分配機が組み立てられるときに、工場において、またはCPUによって書き込まれる。
表1の例では、初期化日付は、コーヒーコンポーネントの場合、01/01/2004として、チョコレート分配器組立体2の場合、10/10/2003として示されている。この情報から、CPUは、計量分配機に挿入または差し込まれたモジュールが、新しいものか、または改修されたものかを区別することができる。製造日付にも応じた耐用期間を有するモジュール、例えば食品モジュール、およびポンプなどのいくつかのハードウェアモジュールの場合、初期化データは、それらの製造日付またはテスト/品質管理日付も含んでいる。コントローラは、古くなりすぎた膜ポンプの使用を拒否するが、それは、事前に定められた期間が経過した後では、おそらく膜が硬くなりすぎているからである。
表2は、第1列に列挙されたサブモジュール、およびサブ組立体のタグ内に格納される情報データを示しており、さらなる非限定的な例である。
表2には、類似のレイアウトが示され、この実施形態では、シリアル番号の他に、タグのライトワンス部分は、モジュールのタイプを識別するためと、シリアル番号を製造業者コードに変換するための両方に使用されるリードオンリー番号を備えている。この場合、アルゴリズムは、リードオンリー番号に7を乗じ、その結果をシリアル番号に加えてから、3で除すること、すなわち、[(リードオンリー番号×7)+シリアル番号]/3=製造業者コードというアルゴリズムを提供する。
実際には、コード化に使用されるアルゴリズムは、製造業者が、シリアル番号または別の情報を安全にコード化して、ライトワンス部分に書き込めるよう、もっと複雑である。
電子タグは、動作時間(10000時間)で表された、または累積もしくは非累積形式、すなわち、実行されたサイクルもしくは耐用期間の完了までにまだ残されているサイクルの総数を示す形式で利用可能な、サイクル(コーヒー分配1000回)で表わされた、関連モジュールの予想耐用期間に関する情報も格納することができる。このように、CPUは、計量分配機のディスプレイまたはその他の任意の適切な方法を介して、警告メッセージを送り(例えば図1の出力を参照)、サブ組立体が予想耐用期間の終了に近づいた場合、技術支援を要求し、「ちょうどよい時点での」交換を可能にすることができる。
本発明による装置は、計量分配機/自動販売機の内部部分の制御を高めることを可能にすることを理解されたい。電子タグを有するモジュールが、本発明の装置を備える計量分配機に接続された場合、CPUは、タグ読み取り器を介して、前記モジュールに関するすべての情報を収集することができる。
最初に、新しいモジュールと計量分配機との互換性がCPUによってチェックされ、CPUは、新しいモジュールの「感知可能データ」を収集すると、それ自体と、計量分配機が動作する方法とを新しい構成に適合させることができ、その結果、新しいモジュールが計量分配機ソフトウェアによって承認されたバージョンである場合、新しいモジュールまたは組立体の「プラグアンドプレイ」接続を可能にする。
再書き込み可能メモリのおかげで、計量分配機のタグは、モジュールの有効使用量を追跡するために使用されることができる内部カウンタを備えている。例えば、計量分配機によって、飲料、例えばモジュール「エスプレッソ」によって調製される飲料が分配される毎に、タグ読み取り器は、1サイクルが実行されたことをタグ2に書き込む。この情報は、好ましくは、サイクルが実行される毎にサイクル総数に関する情報の一部を消去することによって記憶される。
表1を検討すると、CODE1およびCODE2は、「エスプレッソ」モジュールのサブ組立体5および6のタグ用のカウンタである。これらのコードは、実際は、関連するサブ組立体の使用についての情報を与え、すなわち、CPUはこの情報を収集し、サブ組立体によって実行されたサイクルを、それらの耐用期間内に提供される総サイクルと比較し、その結果、サブ組立体の残りの耐用期間の指示を得る。
書き込み可能および再書き込み可能メモリの存在は、チョコレート分配器などの食料製品容器に関連する組立体に大きな利点がある。
先に説明したように、最新技術の計量分配機の問題は、分配機に供給される製品に対する制御をもつことである。今までに見出された解決策は、各個別部分(例えば各スナックまたはコーヒー、紅茶、またはチョコレートの各個別部分パッケージ)に、計量分配機を使用するために計量分配機を承認するIDコードを有するバーコードまたはタグを提供することであった。
この解決策は、製品パッケージのコードの膨大なデータバンクを必要とする点で、非常にコストがかかり、非実用的であることが分かった。大きな容器、例えばコーヒー豆またはチョコレート粉末の容器上のタグは、安価な解決策を提供するが、この解決策は、最初の製品が終了した後、(承認IDコードを有する)容器を非許可製品で再補充することによって、不正が行われることがあり得る。
計量分配機のコントローラに論理的に接続された再書き込み可能メモリを有するタグを使用することによって、使用された製品の量の勘定を維持し、例えば作られたコーヒーの数量の形をとるこの量を最初の量と比較することが可能である。そのような書き込みは、例えば、タグの初期メモリをコーヒー100杯に設定し、計量分配機によってコーヒーが入れられる毎に、メモリの対応する部分を消去して、数量が0に達するまで、それを漸次減らしていくことによって、容易に実行されることができる。
したがって、容器状態は、リードオンリーメモリ内のタグコード、タグがタグ読み取り器に最初に接続された時を考慮に入れたライトワンスメモリ内のタグコード(おそらくはアルゴリズムによってコード化された初期化日付)、および製品ゼロに今設定されている再書き込み可能メモリで表される。製品がゼロになったことをメモリが告げ、再補充された非許可容器が計量分配機に挿入された場合、メモリは再び0を読み取り、その結果、製品が分配されることを阻止するので、容器は非許可製品で再補充されることはできない。
食品容器が廃棄可能である場合、新しい容器は、再びコーヒー100杯に初期設定される。食品容器が廃棄されない場合、空容器の設定は、容器が再補充された後で、100杯に戻されなければならない。
食品容器メモリにコーヒー100杯を設定し直すため、タグは、食品パッケージに固定されていなくても、食品の新たな数量に関連付けられる。このタグは、タグ読み取り器に別のコーヒー100杯を受け入れるように、または対応して食品容器タグに再書き込みをするように命令するメモリである。例えば、コーヒー100杯に対応するコーヒー量の納品書などの紙片に取り付けることができる。「納品書タグ」がタグ読み取り器に示された場合、それは読み取られ、スキャナは、コーヒーの数量を100に再設定する。
先に言及したように、本発明のさらなる一実施形態では、少なくとも1つのタグは、計量分配機の動作パラメータまたは状態を感知する機能を有するセンサとインターフェースをとる能動電子タグである。例えば、センサは、湯沸し内部の圧力および温度をそれぞれ測定するための、圧力センサまたは温度センサであってよい。
別のセンサは、流量計、または生産において協力して動作し、要求された食料製品を分配する2つの部品の間の距離を検出する近接センサとすることができる。この構成により、モジュールの内部動作の制御を可能にし、タグが、湯沸し内部の温度についての許容不可値を感知した場合、この情報は(タグ読み取り器を介して)CPUに送信され、CPUは、おそらくこの値を基準値と比較した後、この情報に対するフィードバックとして、新しい独立のルーチンを起動し、例えば、水の加熱を強めるか、または弱める。
同様に、近接センサは、許容可能であるよりも大きいか、または小さい距離を検出した場合、タグ読み取り器およびCPUを介して、距離を正すフィードバックルーチンを起動する。
図7は、計量分配機の動作の非限定的な一例である。使用者は、キーボード上で、キーボードコマンドを介して選択肢を選択する。選択肢が利用可能である場合、すなわち、選択された選択肢、例えばカプチーノに対応するモジュールが存在し、動作状態にある場合、CPUは、使用者が選ばれた選択肢を選択することを許可されているかどうかをチェックする。許可されている場合、CPUは、選ばれた選択肢を実行するモジュールを始動させ、それが実行されて、カプチーノが分配された後、CPUは、関連する各タグのメモリに、1サイクルが実行されたことを書き込む。この書き込みは、モジュールに応じたその他の方法によって表すことができ、そのような方法は、使用された製品の量、または使用された水の分量などとすることができる。
上で開示した計量分配機は、使用者に応じた動作の制御が必要とされる場合にも役に立つ。この場合、使用者は、対応するモジュールを、使用可能または使用不能にすることによって、使用者が分配製品のすべて、または一部だけを入手できるようにする、「動作容量」の所定消費可能量を格納するIDタグの保有者である。例えば、販売場所において、従業員は、1日当たり一定量の無料コーヒーを飲むことが認められるが、カプチーノまたはチョコレート製品は、支払いをしなければ得ることは、できない。