JP2014161746A - 酸性ガス分離用モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】酸性ガス分離用モジュールを原料ガスの温度変化に起因するガスリークを抑制することができ、分離性能の高いものとする。
【解決手段】多孔質支持体32Bと多孔質支持体32B上に設けられた酸性ガス分離層32Aとからなる酸性ガス分離膜32と、酸性ガス分離層32Aを透過した酸性ガスが流れる透過ガス流路用部材36とを備え、多孔質支持体32Bと透過ガス流路用部材36の幅方向両端部と長手方向一端部が樹脂により封止された封止部34を有し、酸性ガス分離膜32および透過ガス流路用部材36が透過ガス集合管12に巻回された酸性ガス分離用モジュールであって、封止部34が多孔質支持体32Bを封止する第1封止部34Aと透過ガス流路用部材36を封止する第2封止部34Bとを積層したものであり、第1封止部34Aと第2封止部34Bが別々に塗布されたものとする。
【選択図】図3

Description

本発明は、酸性ガス分離用モジュールに関するものである。
従来より、液体や気体などの原流体を濃縮したり原流体から特定成分を分離したりするために、スパイラル型、平膜型、中空糸型など各種形式の膜モジュールが用いられている。例えば、スパイラル型膜モジュールは、一般的に分離膜を二つ折りにした間に供給側流路材を配置したものと透過側流路材とを交互に積み重ね、供給側流体と透過側流体の混合を防ぐため接着剤を分離膜周辺部(3辺)に塗布して分離膜ユニットを作製し、このユニットの単数または複数を中心管の周囲にスパイラル状に巻き付けて、得られた円筒状巻回体の両端部をトリミング(端面修正加工)して製造されてなるものである。
上記接着剤は供給側流体と透過側流体の混合を防ぎ、分離性能を上げる観点から極めて重要であり、特に、多孔質支持体を備えた分離膜の場合、多孔質支持体部分における接着が不十分であるとリークが顕著となり分離性能が大きく低下する。このような観点から、例えば特許文献1においてはエポキシ系接着剤を用いて多孔質支持体の細孔の30%以上を接着剤により埋める技術が記載されている。また、特許文献2においてはショア硬さD45〜65を有するウレタン系接着剤が用いられている。
特開平3−68428号公報 特開2012−176345号公報
分離対象流体が気体(ガス)の場合には、液体の場合よりもはるかに漏れやすく、上記特許文献1や2の技術ではガスリークが生じやすい。特に、分離対象流体の温度変化が大きくなるとモジュールのガスリークが生じやすく、分離性能が低下するという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、原料ガスの温度変化に起因するガスリークを抑制することができ、分離性能の高い酸性ガス分離用モジュールを提供することを目的とするものである。
本発明の酸性ガス分離用モジュールは、多孔質支持体と該多孔質支持体上に設けられた酸性ガス分離層とからなる酸性ガス分離膜と、前記酸性ガス分離層を透過した酸性ガスが流れる透過ガス流路用部材とを備え、前記多孔質支持体と前記透過ガス流路用部材の幅方向両端部と長手方向一端部が樹脂により封止された封止部を有し、前記酸性ガス分離膜および前記透過ガス流路用部材が透過ガス集合管に巻回された酸性ガス分離用モジュールであって、前記封止部が前記多孔質支持体を封止する第1封止部と前記透過ガス流路用部材を封止する第2封止部とを積層したものであり、前記第1封止部と前記第2封止部が別々に塗布されたものであることを特徴とするものである。
前記第1封止部の樹脂は前記多孔質支持体の孔の30%以上を埋めていることが好ましい。
前記第1封止部の樹脂のショア硬さが60未満であり、前記第2封止部の樹脂のショア硬さが60以上であることが好ましい。
前記酸性ガス分離層は、酸性ガスと反応する酸性ガスキャリアおよび該酸性ガスキャリアを担持する吸水性ポリマーを含有するものであることが好ましい。
本発明の酸性ガス分離用モジュールは、多孔質支持体と多孔質支持体上に設けられた酸性ガス分離層とからなる酸性ガス分離膜と、酸性ガス分離層を透過した酸性ガスが流れる透過ガス流路用部材とを備え、多孔質支持体と透過ガス流路用部材の幅方向両端部と長手方向一端部が樹脂により封止された封止部を有し、酸性ガス分離膜および透過ガス流路用部材が透過ガス集合管に巻回された酸性ガス分離用モジュールであって、封止部が多孔質支持体を封止する第1封止部と透過ガス流路用部材を封止する第2封止部とを積層したものであり、第1封止部と第2封止部が別々に塗布されたものであるので、酸性ガスを含む原料ガスの温度変化に起因するリークを抑制することができ、分離性能の高いものとすることができる。
本発明の酸性ガス分離用モジュールの一実施の形態を示す一部切り欠き概略構成図である。 透過ガス集合管に積層体が巻回された円筒状巻回体の一部を示す断面斜視図である。 封止部の部分拡大断面図である。 酸性ガス分離用モジュールの製造工程図である。 図4Aに続く酸性ガス分離用モジュールの製造工程図である。 図4Bに続く酸性ガス分離用モジュールの製造工程図である。 図4Cに続く酸性ガス分離用モジュールの製造工程図である。 図4Dに続く酸性ガス分離用モジュールの製造工程図である。
以下、本発明の酸性ガス分離用モジュールを図面を用いて詳細に説明する。なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。図1は酸性ガス分離用モジュールの一実施の形態を示す一部切欠きを設けてなる概略構成図である。
図1に示すように、酸性ガス分離用モジュール10はその基本構造として、透過ガス集合管12の周りに、積層体14を単数あるいは複数が巻き付けられた状態で積層体14の最外周が被覆層16で覆われ、これらユニットの両端にそれぞれテレスコープ防止板18が取り付けられて構成される。このような構成の酸性ガス分離用モジュール10は、その一端部10A側から積層体14に酸性ガスを含む原料ガス20が供給されると、後述する積層体14の構成により、原料ガス20を酸性ガス22と残余のガス24に分離して他端部10B側に別々に排出するものである。
透過ガス集合管12は、その管壁に複数の貫通孔12Aが形成された円筒状の管である。透過ガス集合管12の管一端部側(一端部10A側)は閉じられており、管他端部側(他端部10B側)は開口し積層体14を透過して貫通孔12Aから集合した炭酸ガス等の酸性ガス22が排出される排出口26となっている。
透過ガス集合管12の表面積にしめる貫通孔12Aの割合(開口率)は、1.5%以上80%以下であることが好ましく、3%以上75%以下であることがより好ましく、さらには5%以上70%以下であることが好ましい。さらに、上記開口率は、実用的な観点から、5%以上25%以下であることが好ましい。各下限値以上とすることで、効率的に酸性ガス22を収集することができる。また、各上限値以下とすることで、筒の強度を高め、加工適性を十分に確保することができる。
貫通孔12Aの形状は特に限定されないが、1〜20mmφの円形の穴が開いていることが好ましい。また、貫通孔12Aは、透過ガス集合管12表面に対して均一に配置されることが好ましい。
被覆層16は、酸性ガス分離用モジュール10内を通過する原料ガス20を遮断しうる遮断材料で形成されている。この遮断材料はさらに耐熱湿性を有していることが好ましい。なお、耐熱湿性のうち耐熱性とは、80℃以上の耐熱性を有していることを意味する。具体的に、80℃以上の耐熱性とは、80℃以上の温度条件下に2時間保存した後も保存前の形態が維持され、熱収縮あるいは熱溶融による目視で確認しうるカールが生じないことを意味する。また、本実施形態において耐熱湿性のうち耐湿性とは、40℃80%RHの条件下に2時間保存した後も保存前の形態が維持され、熱収縮あるいは熱溶融による目視で確認しうるカールが生じないことを意味する。
テレスコープ防止板18は、外周環状部18Aと内周環状部18Bと放射状スポーク部18Cとを有しており、それぞれ耐熱湿性の材料で形成されていることが好ましい。
積層体14は、二つ折りした酸性ガス分離膜32の内側に供給ガス流路用部材30が挟み込まれ、これらの径方向内側で酸性ガス分離膜32が透過ガス流路用部材36に、これらに浸透した封止部34を介して封止されて構成される。
積層体14を透過ガス集合管12に巻き付ける枚数は、特に限定されず、単数でも複数でもよいが、枚数(積層数)を増やすことで、酸性ガス分離層32Aの膜面積を向上させることができる。これにより、1本のモジュールで酸性ガス22を分離できる量を向上させることができる。また、膜面積を向上させるには、積層体14の長さをより長くしてもよい。
また、積層体14の枚数が複数の場合、50枚以下が好ましく、45枚以下がより好ましく、さらには40枚以下が好ましい。これらの枚数以下であると、積層体14を巻き付けることが容易となり、加工適性が向上する。
積層体14の幅は、特に限定されないが、50mm以上10000mm以下であることが好ましく、60mm以上9000mm以下であることがより好ましく、さらには70mm以上8000mm以下であることが好ましい。さらに、積層体14の幅は、実用的な観点から、200mm以上2000mm以下であることが好ましい。各下限値以上とすることで、樹脂の塗布(封止)があっても、有効な酸性ガス分離層32Aの膜面積を確保することができる。また、各上限値以下とすることで、巻き芯の水平性を保ち、巻きずれの発生を抑制することができる。
図2は透過ガス集合管に積層体が巻回された円筒状巻回体の一部を示す断面斜視図であり、円筒状巻回体の幅方向全域を中央部を短縮して模式的に示した図である。図2に示すように、積層体14同士は、酸性ガス分離膜32に浸透した封止部34を介して接着され(後述するように封止部34は多孔質支持体32Bを封止する第1封止部34Aと透過ガス流路用部材36を封止する第2封止部34Bとからなるが、積層体14同士の接着は第2封止部34Bが担っている)、透過ガス集合管12の周りに積み重なっている。
積層体14は、具体的に、透過ガス集合管12側から順に、透過ガス流路用部材36、酸性ガス分離膜32、供給ガス流路用部材30、酸性ガス分離膜32を積層している。これらの積層により、酸性ガス22を含む原料ガス20は供給ガス流路用部材30の端部から供給され、被覆層16により区画された酸性ガス分離膜32を透過して分離された酸性ガス22が透過ガス流路用部材36および貫通孔12Aを介して透過ガス集合管12に集積され、透過ガス集合管12に接続された排出口26より回収される。また、供給ガス流路用部材30の空隙等を通過した酸性ガス22が分離された残余ガス24は、酸性ガス分離用モジュール10において、排出口26が設けられた側の供給ガス流路用部材30や酸性ガス分離膜32の端部より排出される。
酸性ガス分離膜32は、供給ガス流路用部材30側に設けられた酸性ガス分離層32Aと、酸性ガス分離層32Aを支持し透過ガス流路用部材36側に設けられた多孔質支持体32Bとを有している。図3は封止部の部分拡大断面図である。後述するように、多孔質支持体32Bは補強用の支持体と一体化した複合膜の場合もあり、この図3では多孔質支持体32Bが疎水性多孔膜32Bと支持体32Bの複合膜の場合を示している。封止部34は多孔質支持体32Bを封止する第1封止部34Aと透過ガス流路用部材36を封止する第2封止部34Bとを積層したものからなっている。ここで、第1封止部34Aは多孔質支持体32Bを封止していれば透過ガス流路用部材36側に滲み出していてもよく、酸性ガス分離層32Aに染み出していてもよい。また、第2封止部34Bは透過ガス流路用部材36を封止していれば多孔質支持体32Bに滲み出していてもよい。図3は第1封止部34Aが透過ガス流路用部材36側に滲み出している態様を模式的に示している。
第1封止部34Aと第2封止部34Bは別々に塗布されたものである。このように別々に塗布されたものであることにより、第1封止部34Aは多孔質支持体32Bを封止し、第2封止部34Bは透過ガス流路用部材36を封止するとともに、隣り合う積層体同士の接着を担わせることができ、封止と接着の両方を十分に行うことができる。封止部が1層の場合には多孔質支持体32Bの封止も、多孔質支持体32Bと透過ガス流路用部材36との接着(積層体同士の接着)も同時に行う必要があり、封止が不十分なままで接着されてしまったり、あるいは封止を十分にやろうとすると時間がかかって樹脂の硬化が始まり接着が不十分となったりする。本発明においては第1封止部34Aが封止を、第2封止部が概ね接着を担うように2層が機能分離することによって十分な封止と接着が可能であり、これによって酸性ガスを含む原料ガスの温度変化に起因するリークを抑制することができ、分離性能の高い酸性ガス分離用モジュールとすることができる。
第1封止部34Aの樹脂は多孔質支持体32Bの孔の30%以上を埋めていることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらには70%以上が好ましい。多孔質支持体32Bが疎水性多孔膜32Bと支持体32Bの複合膜である場合には、疎水性多孔膜32Bの孔の30%以上を埋めていることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらには70%以上が好ましい。ここで、多孔質支持体32Bの孔の封止率は、第1封止部34A(多孔質支持体32Bが疎水性多孔膜32Bと支持体32Bの複合膜である場合には疎水性多孔膜32Bの封止部)を凍結乾燥後切断し、封止部の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、全孔の面積に対する樹脂が埋められている孔の面積を測定することにより求めることができる。多孔質支持体32Bの孔の上記封止率はこの測定を5箇所ランダムに行った平均値である。
封止部は、第1封止部の樹脂のショア硬さが60未満であり、第2封止部の樹脂のショア硬さが60以上であることがより好ましい。このようにすることにより、第1封止部と第2封止部の機能分離をより効果的に行うことができる。望ましくは、第1封止部の樹脂のショア硬さが55以下であり、第2封止部の樹脂のショア硬さが65以上であることがより好ましく、第1封止部の樹脂のショア硬さと第2封止部の樹脂のショア硬さの差は10以上あることが望ましい。
樹脂のショア硬さは、JIS K6253に準拠して測定したものを意味する。
このような封止部を設けるための樹脂は耐熱湿性の樹脂であることが好ましい。例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が好ましく挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよいし、上記ショア硬さの調製のため2種類以上を適宜混合して用いてもよい。また、樹脂には必要に応じて無機フィラーを含有させてもよい。無機フィラーの種類は特に限定されず、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが例示できる。
樹脂には必要に応じて硬化剤を含ませることができる。例えば、ヒドラジド系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ポリアミンの塩、アミンイミドおよびジシアンジアミドが好ましく挙げられ、これらの硬化剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜混合して用いてもよい。
以下、酸性ガス分離用モジュールの各構成の詳細について説明する。
(多孔質支持体)
多孔膜の材質としては、紙、上質紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、アラミド、ポリカーボネートなどの樹脂材料、金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料等が挙げられる。樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリフッ化ビニリデン等が好適なものとして挙げられる。多孔質支持体としては、疎水性、または親水化処理を施したものいずれであってもよいが、疎水性のものがより好ましい。
また、耐熱性の観点から好ましい材質としては、セラミック、ガラス、金属などの無機材料、100℃以上の耐熱性を有した有機樹脂材料などが挙げられ、高分子量ポリエステル、ポリオレフィン、耐熱性ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、アラミド、ポリカーボネート、金属、ガラス、セラミックスなどが好適に使用できる。より具体的には、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、および、ポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種の材料を含んで構成されることが好ましい。
より具体的には、ポリフェニルサルファイド、ポリスルホン、およびセルロース等の材料からなるメンブレンフィルター膜、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、および高分子量ポリエチレン等の材料からなる延伸多孔膜、耐熱性ポリイミドナノファイバーの集積体からなる多孔膜などが挙げられ、耐熱性、空隙率、および二酸化炭素の拡散阻害が小さく、強度、製造適性などが良好であるという観点から、特にポリテトラフルオロエチレンの延伸膜が好ましい。
これらの多孔膜は多孔質支持体として単独に用いることもできるが、表面、即ち、酸性ガス分離膜と接触する面に疎水性多孔膜を有するものであれば、補強用の支持体と一体化した複合膜も好適に使用できる。補強用の支持体の材質としては、上記と同様の材質のものを使用することができる。
多孔質支持体は厚すぎるとガス透過性が低下し、薄すぎると強度に難がある。そこで多孔質支持体の厚さは30μm〜500μmが好ましく、さらには50μm〜300μmがより好ましく、さらには50μm〜200μmが特に好ましい。
また、多孔質支持体の孔の平均孔径は、樹脂塗布領域は樹脂を十分に滲み込ませ、ガスを通過させる領域はガスの通過の妨げとならないようにする観点から、0.001μm以上10μm以下が好ましく、0.002μm以上5μm以下がより好ましく、さらには0.005μm以上1μm以下が特に好ましい。ここで、平均孔径はバブルポイント法により計測、算出した値を意味する。詳細には、測定装置として、PMI社製パームポロメーターを使用し(JIS K 3832に準拠)、3cm四方に切り出した多孔質支持体を、界面活性剤液(ガルウィック液)に浸漬し、取り出して余分な界面活性剤液を軽くふき取った後、2枚の金属メッシュで挟み、装置の測定セルにセットし、室温(25℃)にて徐々に空気で加圧し、バブルポイントを測定し、算出した値である。
(酸性ガス分離層)
酸性ガス分離層は、酸性ガスと反応する酸性ガスキャリアおよび酸性ガスキャリアを担持する吸水性ポリマーを含有する促進輸送層であることが好ましい。このような構成の酸性ガス分離層は一般的に溶解拡散膜よりも耐熱性を有していることから、例えば100℃〜200℃の温度条件下でも酸性ガスを選択的に透過させることができるようになっている。また、原料ガスに水蒸気が含まれていても、水蒸気を吸水性ポリマーが吸湿して酸性ガス分離層が水分を保持することで、さらにキャリアが輸送し易くなるので、溶解拡散膜を用いる場合に比べて分離効率を高くすることができる。
酸性ガス分離層の膜面積は特に限定されないが、0.01m2以上1000m2以下であることが好ましく、0.02m2以上750m2以下であることがより好ましく、さらには0.025m2以上500m2以下であることが好ましい。さらに、上記膜面積は、実用的な観点から、1m2以上100m2以下であることが好ましい。各下限値以上とすることで、膜面積に対して効率よく酸性ガス22を分離することができる。また、各上限値以下とすることで、加工性が容易となる。
酸性ガス分離層の長さ(二つ折りする前の全長)は特に限定されないが、100mm以上10000mm以下が好ましく、150mm以上9000mm以下がより好ましく、さらには200mm以上8000mm以下がより好ましい。さらに、長さは、実用的な観点から、800mm以上4000mm以下であることが好ましい。各下限値以上とすることで、膜面積に対して効率よく酸性ガスを分離することができる。また、各上限値以下とすることで、巻きずれの発生が抑制され加工性が容易となる。
−吸水性ポリマー−
吸水性ポリマーはバインダーとして機能するものであり、酸性ガス分離層に使用するときに水を保持して酸性ガスキャリアによる酸性ガスの分離機能を発揮させる。吸水性ポリマーは、水に溶けて塗布液を形成することができるとともに、酸性ガス分離層が高い吸水性(保湿性)を有する観点から、吸水性が高いものが好ましく、吸水性ポリマー自体の質量に対して、5倍以上1000倍以下の質量の水を吸収するものであるものが好ましい。
吸水性ポリマーとしては、吸水性、製膜性、強度などの観点から、例えば、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩、およびポリビニルアルコール−ポリアクリル酸(PVAPAA)共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルブチラール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ニルアセトアミド、ポリアクリルアミドが好適であり、特にPVA−PAA共重合体が好ましい。PVA−PAA共重合体は、吸水能が高い上に、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きい。PVAPAA共重合体におけるポリアクリル酸塩の含有率は、例えば5モル%以上95モル%以下が好ましく、好ましくは30モル%以上70モル%以下がさらに好ましい。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が挙げられる。
市販されているPVA−PAA共重合体として、例えば、クラストマー−AP20(商品名:クラレ社製)が挙げられる。
−酸性ガスキャリア−
酸性ガス分離層に含まれ酸性ガスキャリアは、酸性ガスと親和性を有し、かつ水溶性を示すものであればよく、公知のものを用いることができる。ここで、酸性ガスとしては、二酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニル、硫黄酸化物(SOx)、および窒素酸化物(NOx)、塩化水素等のハロゲン化水素が挙げられる。酸性ガスキャリアとしては、例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムが好ましく挙げられる。
アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムが好ましく挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムなどが好ましく挙げられる。
これらの中でもアルカリ金属炭酸塩が好ましく、セシウムまたはルビジウムを含む化合物が好ましい。また、酸性ガスキャリアは2種以上を混合して使用してもよい。例えば、炭酸セシウムと炭酸カリウムとの混合したものを好適に挙げることができる。
酸性ガス分離層中の酸性ガスキャリアの含有量としては、吸水性ポリマーの量との比率、酸性ガスキャリアの種類にもよるが、酸性ガスキャリアとしての機能が発揮され、かつ使用環境下における酸性ガス分離層としての安定性に優れるという点から0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、さらに0.2質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、さらには0.3質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
酸性ガス分離層は、酸性ガス分離膜としての分離特性に悪影響を及ぼさない範囲で、吸水性ポリマー、酸性ガスキャリアおよび水以外の、他の成分(添加剤)を含んでいてもよい。任意に用いうる成分としては、例えば、吸水性ポリマーおよび酸性ガスキャリアを含む酸性ガス分離層形成用水溶液(塗布液)を多孔質支持体上に塗布し、乾燥する過程において、塗布液膜を冷却してゲル化させる、いわゆるセット性を制御するゲル化剤、上記塗布液を塗布装置で塗布する際の塗布時の粘度を調製する粘度調整剤、酸性ガス分離層の膜強度向上のための架橋剤、酸性ガス吸収促進剤、その他、界面活性剤、触媒、補助溶剤、膜強度調整剤、さらには、形成された酸性ガス分離層の欠陥の有無の検査を容易とするための検出剤などが挙げられる。
酸性ガス分離層の平均厚さは、酸性ガス分離層としての性能に優れたものが得られるという点から、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上40μm以下がより好ましく、15μm以上30μm以下が特に好ましい。
(透過ガス流路用部材)
透過ガス流路用部材はスペーサーとしての機能を有し、また透過した酸性ガスを透過ガス流路用部材よりも内側に流す機能を有し、また、樹脂を浸透させる機能を有するようにネット状の部材が好ましい。透過ガス流路用部材の材質は、多孔質支持体と同様のものを用いることができる。また、高温で水蒸気を含有する原料ガスを流すことを想定すると、透過ガス流路用部材も耐熱湿性を有することが好ましい。
透過ガス流路用部材の使用する具体的素材としては、エポキシ含浸ポリエステルなどポリエステル系、ポリプロピレンなどポリオレフィン系、ポリテトラフルオロエチレンなどフッ素系が好ましい。
透過ガス流路用部材の厚みは特に限定されないが、100μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは150μm以上950μm以下、さらに好ましくは200μm以上900μm以下である。
透過ガス流路用部材は、酸性ガス分離層を透過した酸性ガスの流路となるため、抵抗が少ないことが好ましく、具体的には、空隙率が高く、圧をかけたときの変形が少なく、かつ、圧損が少ないことが望ましい。空隙率に関しては、30%以上95%以下が好ましく、35%以上92.5%以下がより好ましく、さらには40%以上90%以下が好ましい。なお、空隙率の測定は次のように行うことができる。まず、透過ガス流路用部材の空隙部に超音波を利用するなどして十分に水を滲み込ませ、表面の余分な水分を取った後、単位面積あたりの質量を測定する。この質量を乾燥質量から差し引いた値が、透過ガス流路用部材の空隙に入った水の容積であり、水の密度で換算し、空隙量、ひいては空隙率を測定することができる。このとき、十分に水が滲み込んでいない場合は、アルコール系などの表面張力の低い溶剤を用いても測定が可能である。
圧をかけたときの変形は、引張試験を行ったときの伸度により近似でき、10N/10mm幅の荷重をかけたときの伸度が5%以内であることが好ましく、4%以内であることがより好ましい。
また、圧損に関しては、一定の流量で流した圧縮空気の流量損失に近似でき、15cm角の透過ガス流路用部材36に室温で15L/min流した際に、7.5L/min以内の損失であることが好ましく、7L/min以内の損失であることがより好ましい。
(供給ガス流路用部材)
供給ガス流路用部材は酸性ガスを含む原料ガスが供給される部材であり、スペーサーとしての機能を有し、かつ原料ガスに乱流を生じさせることが好ましいことからネット状の部材が好ましく用いられる。ネットの形状によりガスの流路が変わることから、ネットの単位格子の形状は目的に応じて、例えば、菱形、平行四辺形などの形状から選択して用いられる。供給ガス流路用部材の材質は多孔質支持体と同様のものを用いることができる。また、高温で水蒸気を含有する原料ガスを流すことを想定すると、供給ガス流路用部材もまた耐熱湿性を有することが好ましい。
供給ガス流路用部材の厚みは特に限定されないが、100μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは150μm以上950μm以下、さらには200μm以上900μm以下であることが好ましい。
<酸性ガス分離用モジュールの製造方法>
次に、上述した構成の酸性ガス分離用モジュールの製造方法を説明する。図4A〜図4Eは酸性ガス分離用モジュールの製造工程図である。酸性ガス分離用モジュール10の製造方法では、まず図4Aに示すように、カプトンテープまたは接着剤等の固定部材50で、長尺状の透過ガス流路用部材36の先端部を透過ガス集合管12の管壁(外周面)に固定する。ここで、管壁には軸方向に沿ってスリット(不図示)が設けられていることが好ましい。この場合、スリットに透過ガス流路用部材36の先端部を入れ込み、透過ガス集合管12の内周面に固定部材50で固定するようにする。この構成によれば、透過ガス流路用部材36を含んだ積層体14を透過ガス集合管12に巻き付けるときに、テンションをかけながら巻き付けるようにしても、透過ガス集合管12の内周面と透過ガス流路用部材36との摩擦で、透過ガス流路用部材36がスリットから抜けない、すなわち、透過ガス流路用部材36の固定が維持される。
次に、図4Bに示すように、酸性ガス分離層32Aを内側に二つ折りした長尺状の酸性ガス分離膜32に長尺状の供給ガス流路用部材30を挟み込む。なお、酸性ガス分離膜32を二つ折りする際は、酸性ガス分離膜32を二分割してもよいが、ずらして折ってもよい。
次に、図4Cに示すように、二つ折りした酸性ガス分離膜32の外表面のうち一方の外表面(多孔質支持体32Bの表面)に対して、膜の幅方向両端部と長手方向一端部に樹脂を塗布する(エンベロープ状に塗布する)。塗布によって樹脂が多孔質支持体32Bに滲み込み、滲み込んだ樹脂によって第1封止部34Aが形成される。
第1封止部34Aに用いる樹脂の粘度は10〜500Pa・sの範囲であることが好ましい。樹脂の粘度が10Pa・s未満の場合には、樹脂が多孔質支持体の孔に留まることなく通過しやすくなって多孔を埋めることができずにガスリークを抑制することが困難となり、500Pa・sを超えると多孔質支持体の孔に樹脂が入って行かないために多孔を埋めることができずにガスリークを抑制することが困難となる。なお、粘度はJIS K7233に準拠し、東機産業製BII型粘度計BM2を用い、プローブNo.4、回転数6rpmで測定した粘度を意味する。
このような粘度の樹脂を用いることにより、多孔質支持体32Bの30%以上の孔を第1封止部34Aで埋めることが可能となり、ガスリークを抑制することができる。また、必要に応じて特開平3−68428号に記載の手段等を利用してもよい。
続いて、第1封止部34Aの上に新たな樹脂を塗布し、図4Dに示すように、透過ガス集合管12に固定した透過ガス流路用部材36の表面に、樹脂を塗布した側を向けて供給ガス流路用部材30を挟んだ酸性ガス分離膜32を貼り付ける。これにより第2封止部34Bを介して多孔質支持体32Bと透過ガス流路用部材36が接着封止される。第2封止部34Bに用いる樹脂の粘度は第1封止部34Aに用いた樹脂と同粘度の樹脂であってもよいが、好ましくは30〜1000Pa・sの範囲であることがよい。樹脂の粘度が30Pa・s未満の場合にはたれやすく作業性が悪くなる。一方、1000Pa・sを超えると硬すぎて作業性が悪くなる。
なお、酸性ガス分離膜32を貼り付ける際、軸方向封止部34Bが透過ガス集合管12から離れるように貼り付けることが好ましい。これにより、封止部34全体として巻き始めの酸性ガス分離膜32と透過ガス流路用部材36の間の周方向端部が開口した形となり、封止部34で囲まれた部分に、酸性ガス分離膜32を透過した酸性ガス22が貫通孔12Aまで流れる流路が形成される。
次に、図4Eに示すように、透過ガス流路用部材36に貼り付けた酸性ガス分離膜32の表面(貼り付け面とは逆の面)に対して、膜の幅方向両端部と長手方向一端部に樹脂を塗布する。塗布によって樹脂が多孔質支持体32Bに滲み込み、滲み込んだ樹脂が硬化することにより第1封止部34Aが形成される。これによって積層体14が形成される。
さらに、図4Cに示す二つ折りした酸性ガス分離膜32の間に供給ガス流路用部材30を挟み込みエンベロープ状に第1封止部34Aを設けたものを新たに準備する。この新たに準備した分離膜と、図4Eに示す透過ガス流路用部材36に貼り付けた酸性ガス分離膜32のそれぞれの第1封止部34Aの上に新たな樹脂を塗布し(第2封止部、図示せず)、樹脂が硬化する前に分離膜上に載せ、透過ガス流路用部材36を貼り付けた酸性ガス分離膜32上に設置し、その上に新たに準備した分離膜を貼り合せる。同様にして供給ガス流路用部材を挟み込んだ分離膜と透過ガス流路材とを積層してゆき、最終的に透過ガス集合管12に積層物を巻き付ける。
この際、積層体14に張力をかけながら巻き付けることが好ましい。これにより、第2封止部の樹脂が透過ガス流路用部材36に滲みこみ、透過ガス流路用部材36の封止と積層体同士の接着を強固なものとすることができる。また、張力をかけるためには、上述したように、透過ガス流路用部材36の固定が外れないように、スリットに透過ガス流路用部材36の先端部を入れ込んで固定した方が好ましい。
以上の工程を経ることにより円筒状巻回体が得られ、得られた円筒状巻回体の最外周を被覆層で覆って、両端にテレスコープ防止板を取り付けることで図1に示す酸性ガス分離用モジュール10が得られる。
以下、本発明の酸性ガス分離用モジュールを実施例によりさらに詳細に説明する。
<樹脂A〜Fの作製>
表1に示す組成比率を変更することで樹脂A〜Fを作製した。なお、表のビスフェノールA型エポキシ樹脂はADEKA製アデカレジンEP−4100、ウレタンプレポリマーはADEKA製アデカレジンQR−9276、ヒドラジド系硬化剤は日本ヒドラジン工業製ADHである。
<樹脂の硬度測定>
フェノール樹脂をバインダーとするカーボンプレートに各種樹脂組成物を塗布し、150℃のオーブン中で約1時間加熱して硬化させ、このときの硬化後の樹脂層の厚みを約5mm程度に設定し、その硬化物層のショア硬度をJIS K6253に準拠して測定した。
樹脂の組成比率とともに測定したショア硬度を表1に示す。
Figure 2014161746
<分離膜の作製>
クラストマーAP-20(クラレ社製)3.3質量%、25%グルタルアルデヒド水溶液(Wako社製)0.016質量%を含む水溶液に、1M塩酸を添加し、架橋後、40%炭酸セシウム(稀産金属社製)水溶液を炭酸セシウム濃度が5.0質量%になるように添加し、次いで、40%炭酸カリウム(Wako社製)水溶液を炭酸カリウム濃度が0.83質量%になるように添加した。さらに、1%ラピゾールA−90(日油社製)を0.004質量%になるように添加し、昇温後、攪拌し脱泡して、塗布組成物とした。この組成物を、疎水性PTFEとPP不織布(補強支持体)との複合体(多孔質支持体)のPTFE側に塗布し、乾燥させることで、分離膜を作製した。
(実施例1)
仕切り付きの透過ガス集合管に透過ガス流路用部材を接着剤で固定した。供給ガス流路用部材として厚み0.5mmのポリプロピレン製ネットを、膜面を内側に二つ折りした上記で作製した分離膜に挟みこみ、二つ折り部にカプトンテープで補強した。折り目は膜面が傷つかないようしっかり折り、カールがないようにし、これをユニットとした。このユニットの多孔質支持体のPP不織布側にエンベロープ状になるように第1封止部の樹脂として硬化後のショア硬さが35であるエポキシ系樹脂Aを塗り室温で1時間放置した。放置後、その上から第2封止部の樹脂としてショア硬さ55のエポキシ系樹脂Cを塗布した。次に集合管に固定した透過ガス流路用部材の表面に、樹脂を塗布した側を向けて供給ガス流路用部材を挟んだ分離膜を貼り付けた。この分離膜の上に、同様の手順で樹脂を塗布したユニットを積層し、仕切り付きの透過ガス集合管の周りに多重に巻き付けた。巻き付け後室温で1時間放置後サイドカットし両端をそろえ、PPS(40%ガラス繊維入り)製のATD(アンチテレスコープ防止板)をつけた後、FRP(繊維強化プラスチック)で周囲を補強し、スパイラル型分離膜モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は1.2m2であった。
(実施例2〜14および比較例1〜4)
実施例1において、用いた樹脂を表1に示す樹脂に変更した以外は実施例1と同様にしてスパイラル型モジュールを作製した。
<多孔質支持体内微細孔の樹脂封止率の測定>
酸性ガス分離用モジュールから封止部分のサンプルをとりだし、凍結乾燥後切断し膜封止部分の断面を走査型電子顕微鏡で観察し、多孔質支持体の疎水性PTFEの全微細孔に対する樹脂が埋められている微細孔の面積比率を測定した。
<評価>
(ガス分離評価)
実施例および比較例で作製した酸性ガス分離用モジュールの各サンプルを、圧力容器に装填し、次のように酸性ガスの分離性能を評価した。
テストガスとしてH2:CO2:H2O=45:5:50の原料ガス(流量44L/min)を温度130℃、全圧301.3kPaで、酸性ガス分離用モジュールの各サンプルに供給し、透過側にH2O:Ar=50:50の混合ガス(流量12L/min)をフローさせた。透過してきたガスをガスクロマトグラフで分析し、CO2透過速度(P(CO2))、CO2/H2分離係数(α:H2の透過量に対するCO2の透過量の割合)を算出した。
<モジュール欠陥評価>
作製した各酸性ガス分離用モジュールの欠陥評価を行うために、25℃環境下において、作製したモジュールの供給側にHeガスを充填した後密閉し、0.34MPaから0.3MPaに圧力が減少する時間を測定することで評価した。同様の評価をモジュールを130℃に保温して行った。
結果を表2に示す。
Figure 2014161746
表2に示すように封止部が1層だけである比較例1〜5では、圧力減少時間が25℃と130℃で差が大きかった。このことは分離対象物質の温度変化によるモジュールのガスリークが生じやすいことを示すものである。また、同じ樹脂を用いたものと比較すると、実施例のCO2/H2分離係数は比較例に比べて大きく、このことから実施例ではガスリークが生じにくく高い分離性能を実現できていることがわかる。
実施例10および11と、実施例12〜14との比較から、多孔質支持体内微細孔の樹脂の封止率が30%以上であると、圧力減少時間が25℃と130℃で差が小さく、CO2/H2分離係数が高いことから、ガスリークが生じにくく分離性能が高いことがわかる。また、同じ樹脂封止率であっても、実施例4と実施例5〜7の比較、実施例8と9の比較から、第1封止部の樹脂のショア硬さが60未満であり、第1封止部に積層される第2封止部のショア硬さが60以上である方がよりガスリークが生じにくく分離性能が高いことがわかる。
以上の結果から明らかなように、本発明の酸性ガス分離用モジュールは封止部が多孔質支持体を封止する第1封止部と透過ガス流路用部材を封止する第2封止部とを積層したものであり、第1封止部と第2封止部が別々に塗布されたものであるので、酸性ガスを含む原料ガスの温度変化に起因するリークを抑制することができ、分離性能の高いものとすることができる。とりわけ、第1封止部の樹脂が多孔質支持体の孔の30%以上を埋めることにより、分離性能をより高く、温度変化に起因するリークをより抑制することができる。また、第1封止部の樹脂のショア硬さを60未満、第2封止部の樹脂のショア硬さを60以上とすることにより、第1封止部と第2封止部の機能分離をより効果的に行うことができ、さらに分離性能を高く、温度変化に起因するリークをより抑制することができる。
10 酸性ガス分離用モジュール
12 透過ガス集合管
12A 貫通孔
14 積層体
20 原料ガス
22 酸性ガス
26 排出口
30 供給ガス流路用部材
32 酸性ガス分離膜
32A 酸性ガス分離層
32B 多孔質支持体
32B 疎水性多孔膜
32B 補強用支持体
34 封止部
34A 第1封止部
34B 第2封止部
36 透過ガス流路用部材
50 固定部材

Claims (4)

  1. 多孔質支持体と該多孔質支持体上に設けられた酸性ガス分離層とからなる酸性ガス分離膜と、前記酸性ガス分離層を透過した酸性ガスが流れる透過ガス流路用部材とを備え、前記多孔質支持体と前記透過ガス流路用部材の幅方向両端部と長手方向一端部が樹脂により封止された封止部を有し、前記酸性ガス分離膜および前記透過ガス流路用部材が透過ガス集合管に巻回された酸性ガス分離用モジュールであって、
    前記封止部が前記多孔質支持体を封止する第1封止部と前記透過ガス流路用部材を封止する第2封止部とを積層したものであり、前記第1封止部と前記第2封止部が別々に塗布されたものであることを特徴とする酸性ガス分離用モジュール。
  2. 前記第1封止部の樹脂が前記多孔質支持体の孔の30%以上を埋めていることを特徴とする請求項1記載の酸性ガス分離用モジュール。
  3. 前記第1封止部の樹脂のショア硬さが60未満であり、前記第2封止部の樹脂のショア硬さが60以上であることを特徴とする請求項1または2記載の酸性ガス分離用スパイラルモジュール。
  4. 前記酸性ガス分離層が、酸性ガスと反応する酸性ガスキャリアおよび該酸性ガスキャリアを担持する吸水性ポリマーを含有するものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の酸性ガス分離用スパイラルモジュール。
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