JP2014161744A - ガス分離膜モジュールユニットの運転方法 - Google Patents

ガス分離膜モジュールユニットの運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】促進輸送型ガス分離膜モジュールユニットを耐久性良く運転する。
【解決手段】供給された被分離ガス20を特定成分の透過ガス22と透過ガス以外の残余ガス24とに分離して排出する促進輸送型のガス分離膜モジュール10を、3基以上直列に接続して備えてなるガス分離膜モジュールユニット1において、定期又は不定期に、ガス分離膜モジュールユニットの端部に位置するガス分離膜モジュールを取り外して、その端部と反対側の端部に配置する。
【選択図】図1A

Description

本発明は、被分離ガス中の特定成分を、促進輸送膜を用いて選択的に分離するガス分離膜モジュールユニットの運転方法に関する。
近年、被分離ガス中のCO2等の酸性ガスを選択的に分離する技術の開発が進んでいる。例えば、CO2ガスを選択的に透過するCO2ガス分離膜によって、被分離ガスからCO2ガスを分離するガス分離膜モジュールが開発されている。
ガス分離膜は促進輸送膜と溶解拡散膜に大別される。促進輸送膜は、被分離ガス中の1つあるいは複数の特定成分と選択的に、かつ、可逆的に反応して輸送する物質(キャリア)を膜中に含有し、このキャリアを利用して特定成分を膜の反対側に輸送分離するものであり、また、溶解拡散膜は、膜に対する酸性ガスと分離対象物質の溶解性、および膜中の拡散性の差を利用して分離を行うものである。
促進輸送膜を利用したガス分離膜モジュールは、優れた分離特性を有することで注目されている。促進輸送膜を利用したガス分離膜モジュールは、圧力容器に、複数基(3基以上)のガス分離膜モジュールを直列に接続して充填した分離膜モジュールユニットを構成し、更にその分離膜モジュールユニットを複数連結させて、高い分離性能及び処理能力を有するガス分離装置を実現している。
しかしながら、ガス分離膜モジュールは、その使用に伴い劣化し、分離性能及び処理能力が低下する。劣化したガス分離膜モジュールを新しいものと交換することにより、分離性能及び処理能力を維持することは容易であるが、膜劣化を抑制する工夫や、運転方法を工夫して、できるだけ長い期間ガス分離膜モジュールを新しいものと交換をせずに、分離性能及び処理能力を維持可能とする、すなわち、モジュールユニットの耐久性を向上させることが低コストな分離ができ好ましい。
特許文献1には、パーフルオロ化合物ガスを効率よく分離回収する促進輸送膜を用いたガス分離プロセスの運転方法が開示されている。特許文献1には、供給するガスに高い圧力をかけて分離膜内外の圧力差を大きくすることでガスを分離膜の内側から外側は透過させて非透過ガス中のパーフルオロ化合物ガスを効率よく分離することが記載されており、かかる方法によれば、モジュールユニットの分離性能及び処理能力を高めることで、直列に接続させるガス分離モジュールの数を低減させることが可能である。
特許文献1の方法では、分離膜内外の圧力差を大きくすることにより効率の良い分離を実現しているが、分離膜内外の圧力差が大きいと膜劣化しやすいことが知られている。従って、モジュールユニットの耐久性の向上には、膜劣化を抑制可能とする工夫、あるいは、新しいモジュールとの交換頻度の低減に向けた工夫が更に必要である。しかしながら、このような工夫については、特許文献1にも、促進輸送型ガス分離モジュールに関するその他の公知文献にも記載がない。
一方、分離膜モジュールは、海水の淡水化や各種製造プロセス用水を得る方法等の気体分離以外の用途にも利用されており、液体分離においては、モジュールユニットの耐久性を向上させる運転方法等が検討されている。
特許文献2には、工業用水や水道水を浄水するスパイラル型膜分離モジュールが2段以上並列に配置された多段式分離膜モジュールの運転方法において、被処理水の流れ方向を、定期又は不定期に反対方向へ変更することにより、原水スペーサーに蓄積した濁質を効率よく除去して、モジュールユニットの耐久性を向上させることが記載されている。
また、特許文献3には、圧力容器に直列に接続されて充填された逆浸透型液体分離膜モジュールは、圧力容器の供給水側の端部に充填されたモジュールの劣化が最も速いと考えられてきたため、従来、一定期間ごとに供給水側の端部のモジュールを廃棄し、新品の分離膜モジュールを透過水側から追加するモジュール運転方法を採用してきたこと、また、膜の種類によっては必ずしもその方法では耐久性のよい運転ができないことが記載されている。
特許文献3では、溶存酸素により酸化劣化を起こす逆浸透膜を分離膜に用いた逆浸透膜モジュールが直列に接続配置された多段式分離膜モジュールにおいて、供給水側より透過水側のモジュールほど酸化劣化しやすいことを見出し、劣化したモジュール交換に当たり、透過水側に充填されている使用済分離膜モジュールを取り外し、供給水側に新品の逆浸透膜モジュールを接続充填することにより、モジュールユニットの耐久性を向上させることが記載されている。
特開2002−363114号公報 特開2004−261724号公報 特開平6−114239号公報
促進輸送型のガス分離膜モジュールにおいても、特許文献2又は特許文献3に記載の運転方法が適用可能であればよいが、液体分離の特許文献2や特許文献3と促進輸送型のガス分離膜モジュールとでは分離のメカニズムの全く異なり、特許文献2のような、いわゆる逆洗による膜洗浄は不適であるし、特許文献3の運転方法、及び、従来のモジュール交換方法を促進輸送型のガス分離膜モジュールにそのまま適用できるかどうかは不明である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、促進輸送膜を用いたガス分離膜モジュールユニットにおいて、耐久性の優れる運転方法を提供することを目的とするものである。
本発明のガス分離膜モジュールユニットの運転方法は、供給された被分離ガスを特定成分の透過ガスと該透過ガス以外の残余ガスとに分離して排出する促進輸送型のガス分離膜モジュールを、3基以上直列に接続して備えてなるガス分離膜モジュールユニットの運転方法であって、
定期又は不定期に、ガス分離膜モジュールユニットの端部に位置するガス分離膜モジュールを取り外して、その端部と反対側の端部に配置することを特徴としている。
ガス分離膜モジュールを取り外す側の端部は、被分離ガス供給側の端部であっても、残余ガス及び透過ガス排出側の端部であってもよいが、供給側の端部であることが好ましい。
ガス分離膜モジュールユニットの好適な態様としては、直列に接続された3基以上のガス分離膜モジュール全てを収納してなる収納部を有する態様が挙げられる。かかる収納部は圧力容器であることが好ましい。
本発明のガス分離膜モジュールユニットの運転方法は、ガス分離膜モジュールがスパイラル型膜モジュールである場合、また、透過ガスとして二酸化炭素を分離するガス分離膜モジュールである場合に好適に適用することができる。
また、本発明のガス分離膜モジュールユニットの運転方法は、被分離ガスの温度が100℃以上である場合にも好適である。
本発明のガス分離膜モジュールユニットの運転方法は、促進輸送型のガス分離膜モジュールが直列に接続されたガス分離膜モジュールユニットにおいて、定期又は不定期に、端部に位置するガス分離膜モジュールを取り外して、反対側の端部に配置する。かかる運転方法によれば、使用による膜劣化の少ないモジュールを有効に利用することができるため、モジュールユニットの耐久性を向上させることができる。
本発明にかかる一実施形態のガス分離膜モジュールユニットの運転方法の概略を示す断面模式図(その1) 本発明にかかる一実施形態のガス分離膜モジュールユニットの運転方法の概略を示す断面模式図(その2) 本発明にかかる一実施形態のガス分離膜モジュールユニットの運転方法の概略を示す断面模式図(その3) 本発明にかかる一実施形態のガス分離膜モジュールユニットの運転方法の概略を示す断面模式図(その1) 本発明にかかるその他の実施形態のガス分離膜モジュールユニットの運転方法の概略を示す断面模式図(その2) 本発明にかかるその他の実施形態のガス分離膜モジュールユニットの運転方法の概略を示す断面模式図(その3) 本発明のガス分離膜モジュールユニットの運転方法に好適なスパイラル型ガス分離膜モジュールの構成の一例を示す斜視図 透過ガス集合管に積層体が巻回された円筒状巻回体の一部を示す断面斜視図(図3A−A’断面) 透過ガス集合管に積層体を巻き付ける前の状態を示す概略模式図
<ガス分離膜モジュールユニットの運転方法>
図面を参照して、本発明のガス分離膜モジュールユニットの運転方法について説明する。図1A〜図1Cは、第1のガス分離膜モジュールユニットの運転方法の一例を示した断面模式図であり、また図2A〜図2Cは第2のガス分離膜モジュールユニットの運転方法の一例を示した断面模式図である。本明細書の図面において、視認しやすくするため、各部の縮尺は適宜変更して示してある。
本実施形態に係るガス分離膜モジュールユニット1は、図1A〜図1C及び図2A〜図2Cに示すように、3基以上のガス分離膜モジュール10(10a〜10e)と、これらのガス分離膜モジュール10が直列に接続されて装填される圧力容器202とを備えている。本実施形態では、5基のガス分離膜モジュール10a〜10eが圧力容器202内に直列に接続されて装填されてなる態様を例に説明する。
まず、ガス分離膜モジュールユニット1の構成について、図1Aを参照して説明する。ガス分離膜モジュール10は、供給された被分離ガス20を特定成分の透過ガス22と透過ガス以外の残余ガス24とに分離して排出する促進輸送型のガス分離膜モジュールである。ガス分離膜モジュール10は、分離膜として促進輸送膜を用いたものであれば特に制限されず、被分離ガス20や透過ガス22についてもその種類に制限はない。
ガス分離膜モジュール10の種類には特に制限はなく、平膜型,スパイラル型,プリーツ型等の公知の形状のモジュールを用いることができるが、スパイラル型が特に好ましい。スパイラル型モジュールは、有孔の中空状中心管に、促進輸送型のガス分離膜を備えた構造体がらせん状に巻かれて収納されてなる構成を有しており、膜面積/モジュール体積比率、耐圧性、生産性の点で好適である。以下、スパイラル型のガス分離膜モジュールを用いた場合を例に説明する。
各ガス分離膜モジュール10は、被分離ガス20が供給される側のテレスコープ防止板18(18A,18B)の外周面と圧力容器202の内壁との間をシール材204により封止された状態で、圧力容器202内に装填されている。
圧力容器202には、被分離ガス20が供給される側の端部に、被分離ガス20の供給口206Aが設けられた供給側容器端板206が嵌め込まれている。また、圧力容器202には、分離された透過ガス22が排出される側の端部に、透過ガス22が排出される透過ガス排出口208A及び残余ガス24が排出される残余ガス排出口208Bが設けられた排出側容器端板208が嵌め込まれている。
ガス分離膜モジュールユニット1では、被分離ガス20が、供給側容器端板206に設けた供給口206Aを通じて圧力容器202内へ流入されると共に、被分離ガス供給側の端部に位置するガス分離膜モジュール10aへ供給される。そして、各ガス分離膜モジュール10a〜10eにより、被分離ガス20から透過ガス22を分離した後、排出側容器端板208に設けた透過ガス排出口208Aを通じて分離された透過ガス22が排出され、残余ガス排出口208Bを通じて残余ガス24が排出される。ここで、透過ガス排出口208A及び残余ガス排出口208Bは、供給口206Aのある供給側の端部の反対側の端部に設けられている。
テレスコープ防止板18は、個々のガス分離膜モジュール10におけるガス供給側の開口率に対するガス排出側の開口率の割合が、ガス供給側に近いモジュールほど大きくなっていることが好ましい。かかる態様とすることにより、ガス供給側よりも、ガス排出側に接続されるガス分離膜モジュール10のガス排出側の背圧が高くなり、ガス排出側に行くにつれ、被分離ガスの供給圧が低下した状態でも、ガス分離膜モジュール10の外周側領域に、被分離ガスが流通し易い状態を作り出せ、ガスの分離に寄与させることができる。
「背景技術」の項において述べたように、膜分離モジュールユニットにおけるモジュールの劣化しやすさは、分離膜の構成や分離対象等により異なり、圧力容器に直列に接続されて複数の膜分離モジュールが充填された膜分離モジュールユニットでは、被分離対象の供給側が劣化しやすいものもあれば排出側が劣化しやすいものもある。
本実施形態のガス分離膜モジュール10は、促進輸送膜を分離膜として備えた促進輸送型のガス分離膜モジュールであるが、これまでに促進輸送膜を用いた場合のモジュール劣化の特性について検討された報告はない。本発明者らは、促進輸送型ガス分離膜モジュールユニットにおいて各モジュールの劣化しやすさ及びその速度等の評価を実施し、促進輸送型ガス分離膜モジュールユニットを耐久性良く運転する方法について検討を行った。
その結果、促進輸送膜は、ガス供給側のガス分離膜モジュールほど劣化しやすく、最もガス供給側のモジュールが極端に劣化しやすいことが確認された。
促進輸送膜は、被分離ガス中の1つあるいは複数の特定成分と選択的に、かつ、可逆的に反応して輸送する物質(キャリア)を利用する分離膜であり、通常の溶解拡散機構に加え、特定成分とキャリアが反応してその生成物の形で膜内を輸送されるので透過が促進されるという特徴がある。
分離膜中のキャリアは、被分離ガス中の特定成分とのみ反応して膜中に特定成分のガスを取り込み、一方、低分圧側(透過側)の気体相(図1Aにおいてはガス分離膜モジュール10内の透過ガス22が通過する相)との界面ではその逆反応により特定成分が脱離(拡散)されてキャリアが再生されるため、被分離ガス中の特定成分がキャリアにより輸送される形で透過ガスとして分離され、透過側で再生されたキャリアは再び被分離ガス中の特定成分との反応に利用される。通常、特定成分とキャリアとの反応を伴う透過は、溶解拡散による透過、すなわち、特定成分以外のガス成分の透過に比べて格段に速いため、極めて高い選択性を示す分離機能を有している。
本発明者らは、この高い選択性、及び、キャリアが再生していく分離メカニズムに基づき、促進輸送型のガス分離膜モジュールユニットは、定期又は不定期に、ガス分離膜モジュールユニットの端部に位置するガス分離膜モジュールを取り外して、廃棄せずに、その端部と反対側の端部に配置することで、耐久性良く運転可能である事を見出した。
ここで、ガス分離膜モジュールを取り外す側の端部は、被分離ガス供給側の端部であっても、残余ガス及び透過ガス排出側の端部であってもよいが、供給側の端部であることが好ましい。図1A〜図1Cは、ガス分離膜モジュールを取り外す側の端部が、被分離ガス供給側の端部である場合の運転方法を示した断面模式図、図2A〜図2Cは、残余ガス及び透過ガス排出側の端部である場合の運転方法を示した断面模式図である。
図1,図2において、最初のモジュール配置を示すA図では、いずれも、圧力容器202内において、被分離ガス20の供給側にはガス分離膜モジュール10aが配置され、供給側から順にガス分離膜モジュール10a,10b,10c,10d,10eと直列に接続されているが、所定の期間経過後の第1回目の運転後の態様を示すB図では、図1では最も供給側のガス分離膜モジュール10aを取り外して、残余ガス24及び透過ガス22の排出側の端部に配置するように、取り外したガス分離膜モジュール10aを、A図において最も排出側にあったガス分離膜モジュール10eに直列に接続して圧力容器202内に収容するのに対し、図2では、最も排出側のガス分離膜モジュール10eを取り外して、取り外したガス分離膜モジュール10eを被分離ガス20の供給側の端部に配置するように、A図において最も供給側にあったガス分離膜モジュール10aに直列に接続して圧力容器202内に収容する。
更に、所定の期間経過後、第2回目の運転後の態様を示すC図では、第1回目と同様に、図1では、最も供給側のガス分離膜モジュール10bを取り外して、B図において最も排出側にあったガス分離膜モジュール10aに直列に接続して圧力容器202内に収容し、図2では、最も排出側のガス分離膜モジュール10dを取り外して、B図において最も供給側にあったガス分離膜モジュール10eに直列に接続して圧力容器202内に収容する。更に第2回目以降においても同様のモジュールの移動を繰り返し、CO/H選択性が60を維持不可能となるまで繰り返すことができる(CO/H選択性の評価法については後記実施例を参照)。
促進輸送型ガス分離膜モジュールユニット1においては、その分離メカニズムから、その他の気体分離膜や液体分離膜に比して膜劣化の速度が遅く、更に、供給側に近い側の分離膜モジュールにより分離処理される比率が非常に高いため、排出側に近い分離膜モジュールの分離への寄与は、上記その他の分離膜を用いた場合に比して非常に少ない。そのため、ガス分離膜モジュールユニットの性能が、所定の期間の使用により所望とするガス分離性能の満足しなくなる前に、ガス分離膜モジュールユニット1において、最も分離処理の寄与率の高い、最も供給側に近い端部に配置されたガス分離膜モジュール(A図10a)を廃棄することなく、該端部に配置されるガス分離膜モジュールとして、相対的に分離処理の寄与率の低いガス分離膜モジュール(図1Aのガス分離膜モジュール10b,図2Aのガス分離膜モジュール10e)に換えることで分離性能を維持できる。
分離性能の低下の要因は、促進輸送分離膜のキャリアの再生ロス(流出)、また、被分離ガスの温度や水蒸気含有量等に起因する分離膜の湿熱劣化等の内因的な要因と、不純物付着(目詰まり)などによる外因的な要因が考えられる。
圧力容器202内に直列接続されて装填されてなる複数のガス分離膜モジュールは、作業効率及び容易性の点から、ガス供給側及びガス排出側の最端部に配置されたモジュールのみの配置を換えることが好ましい。従って、本発明では、供給された被分離ガス20を特定成分の透過ガス22と該透過ガス以外の残余ガス24とに分離して排出する促進輸送型のガス分離膜モジュール10を、3基以上直列に接続して備えてなるガス分離膜モジュールユニット1の運転方法において、定期又は不定期に、ガス分離膜モジュールユニット1の端部に位置するガス分離膜モジュール10a又は10eを取り外して、その端部と反対側の端部に配置する。
この運転方法の実施は、所望とする分離性能を維持できる範囲内であれば、定期的に行ってもよいし、不定期に行ってもよい。本発明の促進輸送型ガス分離膜モジュールユニットの運転方法は、回数を重ねるにつれて劣化の度合いの高いモジュールの数が増えていくことになるので、分離性能の低下速度も回数を重ねるにつれて速くなる可能性が高い。
所望とする分離性能は特に限定されず、その目的により決定される分離性能とすればよい。ガス分離の目的としては種々あり、その分離対象となる特定成分のガス(透過ガス22)は、例えば、二酸化炭素、一酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニル、硫黄酸化物(SOx)、および窒素酸化物(NOx)、塩化水素等のハロゲン化水素等の酸性ガスや、酸素、オレフィンガス等が挙げられる。特に酸性ガスは、地球環境や人体への悪影響の懸念から低コストで効率の良い分離が望まれている。
本発明の促進輸送型ガス分離膜モジュールユニットの運転方法によれば、作業効率良く容易にガス分離膜モジュールユニットを耐久性良く使用することができるので、低コストで効率の良いガス分離を実施することができる。
以下に、ガス分離膜モジュールユニット1に装填されるガス分離膜モジュール10の態様について、二酸化炭素(炭酸ガス)等の酸性ガスを分離対象(特定成分)とした場合に好適な態様を例に説明する。
「促進輸送型分離膜モジュール」
図3は促進輸送型の酸性ガス分離用ガス分離膜モジュール(以下、酸性ガス分離用モジュールと記す)の一実施の形態を示す一部切欠き概略構成図である。図3に示すように、酸性ガス分離用モジュール10は、その基本構造として、透過ガス集合管12の周りに、積層体14を単数あるいは複数が巻き付けられた状態で積層体14の最外周が被覆層16で覆われ、これらユニットの両端にそれぞれテレスコープ防止板18が取り付けられて構成される。このような構成の酸性ガス分離用モジュール10は、その一端部10A側から積層体14に酸性ガスを含む被分離ガス20が供給されると、後述する積層体14の構成により、被分離ガス20を酸性ガス22と残余のガス24に分離して他端部10B側に別々に排出するものである。
透過ガス集合管12は、その管壁に複数の貫通孔12Aが形成された円筒状の管である。透過ガス集合管12の管一端部側(一端部10A側)は閉じられており、管他端部側(他端部10B側)は開口し積層体14を透過して貫通孔12Aから集合した炭酸ガス等の酸性ガス22が排出される排出口26となっている。
貫通孔12Aの形状は特に限定されないが、1〜20mmφの円形の穴が開いていることが好ましい。また、貫通孔12Aは、透過ガス集合管12表面に対して均一に配置されることが好ましい。
被覆層16は、酸性ガス分離用モジュール10内を通過する被分離ガス20を遮断しうる遮断材料で形成されている。この遮断材料はさらに耐熱湿性を有していることが好ましい。ここで、耐熱湿性のうちの「耐熱性」とは、80℃以上の耐熱性を有していることを意味する。具体的に、80℃以上の耐熱性とは、80℃以上の温度条件下に2時間保存した後も保存前の形態が維持され、熱収縮あるいは熱溶融による目視で確認しうるカールが生じないことを意味する。また、耐熱湿性のうちの「耐湿性」とは、40℃80%RHの条件下に2時間保存した後も保存前の形態が維持され、熱収縮あるいは熱溶融による目視で確認しうるカールが生じないことを意味する。
テレスコープ防止板18は、外周環状部18Aと内周環状部18Bと放射状スポーク部18Cとを有しており、それぞれ耐熱湿性の材料で形成されていることが好ましい。
積層体14は、二つ折りした酸性ガス分離膜32の内側に供給ガス流路用部材30が挟み込まれ、これらの径方向内側において酸性ガス分離膜32が透過ガス流路用部材36に、これらに浸透した封止部34を介して接着封止されて構成される。
積層体14を透過ガス集合管12に巻き付ける枚数は、特に限定されず、単数でも複数でもよいが、枚数(積層数)を増やすことで、酸性ガス分離層32Aの膜面積を向上させることができる。これにより、1本のモジュールで酸性ガス22を分離できる量を向上させることができる。また、膜面積を向上させるには、積層体14の長さをより長くしてもよい。
また、積層体14の枚数が複数の場合、50枚以下が好ましく、45枚以下がより好ましく、40枚以下がさらにより好ましい。これらの枚数以下であると、積層体14を巻き付けることが容易となり、加工適性が向上する。
積層体14の幅は、特に限定されないが、50mm以上13000mm以下であることが好ましく、より好ましくは60mm以上12000mm以下、さらには70mm以上10000mm以下であることが好ましい。さらに、積層体14の幅は、実用的な観点から、200mm以上2000mm以下であることが好ましい。各下限値以上とすることで、樹脂の塗布(封止)があっても、有効な酸性ガス分離層32Aの膜面積を確保することができる。また、各上限値以下とすることで、巻き芯の水平性を保ち、巻きずれの発生を抑制することができる。
図4は透過ガス集合管に積層体が巻回された円筒状巻回体の一部を示す断面斜視図であり、円筒状巻回体の幅方向全域を、中央部を短縮して模式的に示した図である。図4に示すように、積層体14同士は、酸性ガス分離膜32に浸透した封止部40を介して接着され、透過ガス集合管12の周りに積み重なっている。積層体14は、具体的に、透過ガス集合管12側から順に、透過ガス流路用部材36、酸性ガス分離膜32、供給ガス流路用部材30、酸性ガス分離膜32を積層している。
酸性ガス分離膜32は、平均孔径0.5μm以下の多孔質支持体32Bとこの多孔質支持体32B上に設けられた吸水性ポリマーおよび被分離ガス20中の酸性ガスと反応する酸性ガスキャリアを含む酸性ガス分離層32Aとからなる。
上記積層構造により、酸性ガス22を含む被分離ガス20は、供給ガス流路用部材30の端部から供給され、被覆層16により区画された酸性ガス分離膜32を透過して分離された酸性ガス22が、透過ガス流路用部材36および貫通孔12Aを介して透過ガス集合管12に集積され、この透過ガス集合管12に接続された排出口26より回収される。また、供給ガス流路用部材30の空隙等を通過した、酸性ガス22が分離された残余ガス24は、酸性ガス分離用モジュール10において、排出口26が設けられた側の供給ガス流路用部材30や酸性ガス分離膜32の端部より排出される。
図5は透過ガス集合管に積層体を巻き付ける前の状態を示す図であり、封止部34と封止部40の形成領域の一実施形態を表した図である。図5に示すように、封止部40は、透過ガス流路用部材36で貫通孔12Aを覆い、透過ガス集合管12に積層体14を図中矢印R方向に巻き付けた状態で、酸性ガス分離膜32と透過ガス流路用部材36を接着するとともに封止している。一方で、封止部34は、透過ガス集合管12に積層体14を巻き付ける前から酸性ガス分離膜32と透過ガス流路用部材36を接着するとともに封止している。
封止部34と封止部40は共に、酸性ガス分離膜32と透過ガス流路用部材36の両側端部を透過ガス集合管12の周方向に沿って封止する周方向封止部34A,40Aと、酸性ガス分離膜32と透過ガス流路用部材36の上記周方向の端部を封止する軸方向封止部34B,40Bとを有している。
周方向封止部34Aと軸方向封止部34Bは繋がっており、封止部34全体として巻き始めの酸性ガス分離膜32と透過ガス流路用部材36の間の周方向端部が開口したいわゆるエンベロープ状となっている。そして、周方向封止部34Aと軸方向封止部34Bとの間には、酸性ガス分離膜32を透過した酸性ガス22が貫通孔12Aまで流れる流路P1が形成される。同様に、周方向封止部40Aと軸方向封止部40Bは繋がっており、封止部40全体として巻き始めの酸性ガス分離膜32と透過ガス流路用部材36の間の周方向端部が開口したエンベロープ状となっている。そして、周方向封止部40Aと軸方向封止部40Bとの間には、酸性ガス分離膜32を透過した酸性ガス22が貫通孔12Aまで流れる流路P2が形成される。
酸性ガス分離膜32においては、膜中に含まれた水分が多孔質支持体32Bに滲み出て多孔質支持体32Bの濡れ性を高めたりその表面張力で樹脂を引き込んだりすることによって、封止部34と封止部40の樹脂が透過ガス流路用部材36を介して多孔質支持体32Bの孔に染み込み易いため、周方向封止部34A,40Aを注封法で形成しなくとも、通常の塗布法で封止部34と封止部40の接着力が強固となり、結果としてガスリークを抑制することができる。
酸性ガス分離用モジュール10において、封止部34,40の樹脂は、運転により封止性が低下しないものであれば特に制限されないが、高温で水蒸気を含有する被分離ガス20を供給することを想定すると、耐湿熱性を有することが好ましい。好ましい樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。
以下、酸性ガス分離用モジュール10の各構成の詳細について説明する。
<酸性ガス分離層>
酸性ガス分離層32Aは、吸水性ポリマー、酸性ガスキャリアおよび水を含んで構成される促進輸送層である。高温で水蒸気を含有する被分離ガス20を流すことを想定すると、酸性ガス分離層は耐熱湿性を有することが好ましい。
(吸水性ポリマー)
吸水性ポリマーはバインダーとして機能するものであり、酸性ガス分離層に使用するときに水を保持して酸性ガスキャリアによる酸性ガスの分離機能を発揮させる。吸水性ポリマーは、水に溶けて塗布液を形成することができるとともに、酸性ガス分離層が高い吸水性(保湿性)を有する観点から、吸水性が高いものが好ましく、吸水性ポリマー自体の質量に対して、5倍以上1000倍以下の質量の水を吸収するものであるものが好ましい。
吸水性ポリマーとしては、吸水性、製膜性、強度などの観点から、例えば、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩、およびポリビニルアルコール−ポリアクリル酸(PVAPAA)共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルブチラール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ニルアセトアミド、ポリアクリルアミドが好適であり、特にPVA−PAA共重合体が好ましい。PVA−PAA共重合体は、吸水能が高い上に、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きい。PVAPAA共重合体におけるポリアクリル酸塩の含有率は、例えば5モル%以上95モル%以下が好ましく、好ましくは30モル%以上70モル%以下がさらに好ましい。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が挙げられる。
市販されているPVA−PAA共重合体として、例えば、クラストマー−AP20(商品名:クラレ社製)が挙げられる。
また、PVA−PAA共重合体は、被分離ガス20が100℃以上の高温であって水蒸気を含有するような被分離ガスである場合でも加水分解体制耐性のあるため好適である。
(酸性ガスキャリア)
酸性ガス分離層32Aに含まれ酸性ガスキャリアは、酸性ガスと親和性、及び可逆的反応性を有し、かつ水溶性を示すものであればよく、公知のものを用いることができる。ここで、酸性ガスとしては、二酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニル、硫黄酸化物(SOx)、および窒素酸化物(NOx)、塩化水素等のハロゲン化水素が挙げられる。酸性ガスキャリアとしては、例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アミン、Fe(II)錯体やCu(I)錯体、硝酸銀等が挙げられ、分離対象に応じて適宜好適なキャリアを選択することが好ましい。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムが好ましく挙げられる。
アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムが好ましく挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムなどが好ましく挙げられる。
これらの中でもアルカリ金属炭酸塩が好ましく、セシウムまたはルビジウムを含む化合物が好ましい。また、酸性ガスキャリアは2種以上を混合して使用してもよい。例えば、炭酸セシウムと炭酸カリウムとを混合したものを好適に挙げることができる。
酸性ガス分離層32A中の酸性ガスキャリアの含有量としては、吸水性ポリマーの量との比率、酸性ガスキャリアの種類にもよるが、酸性ガスキャリアとしての機能が発揮され、かつ使用環境下における酸性ガス分離層としての安定性に優れるという点から0.1質量%以上1000質量%以下であることが好ましく、さらに10質量%以上800質量%以下であることがより好ましく、さらに100質量%以上600質量%以下であることが特に好ましい。
酸性ガス分離層32Aは分離特性に悪影響を及ぼさない範囲で、吸水性ポリマー、酸性ガスキャリアおよび水以外の、他の成分(添加剤)を含んでいてもよい。任意に用いうる成分としては、例えば、吸水性ポリマーおよび酸性ガスキャリアを含む酸性ガス分離層形成用水溶液(塗布液)を多孔質支持体上に塗布し、乾燥する過程において、塗布液膜を冷却してゲル化させる、いわゆるセット性を制御するゲル化剤、上記塗布液を塗布装置で塗布する際の塗布時の粘度を調製する粘度調整剤、酸性ガス分離層の膜強度向上のための架橋剤、酸性ガス吸収促進剤、その他、界面活性剤、触媒、補助溶剤、膜強度調整剤、さらには、形成された酸性ガス分離層の欠陥の有無の検査を容易とするための検出剤などが挙げられる。
酸性ガス分離層32Aの平均厚さは、酸性ガス分離層として性能に優れたものが得られるという点から、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上40μm以下がより好ましくは、15μm以上30μm以下が特に好ましい。
<多孔質支持体>
多孔質支持体32Bは平均孔径0.5μm以下の多孔を有する支持体である。ここで、平均孔径はバブルポイント法により計測、算出した値を意味する。詳細には、測定装置として、PMI社製パームポロメーターを使用し(JIS K 3832に準拠)、3cm四方に切り出した多孔質支持体を、界面活性剤液(ガルウィック液)に浸漬し、取り出して余分な界面活性剤液を軽くふき取った後、2枚の金属メッシュで挟み、装置の測定セルにセットし、室温(25℃)にて徐々に空気で加圧し、バブルポイントを測定し、算出した値である。多孔質支持体32Bは厚すぎるとガス透過性が低下し、薄すぎると強度に難がある。このため支持体の厚さは30μm以上500μm以下が好ましく、さらには50μm以上450μm以下がより好ましく、さらには50μm以上400μm以下が好ましい。
多孔質支持体32Bの材質としては、何ら限定されるものではないが、紙、上質紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙、セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、アラミド、ポリカーボネートなどの樹脂材料、金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料等が挙げられる。樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリフッ化ビニリデン等が好適なものとして挙げられる。
また、耐熱湿性の観点から好ましい材質としては、セラミック、ガラス、金属などの無機材料、100℃以上の耐熱性を有した有機樹脂材料などが挙げられ、高分子量ポリエステル、ポリオレフィン、耐熱性ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、アラミド、ポリカーボネート、金属、ガラス、セラミックスなどが好適に使用できる。より具体的には、セラミックス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエーテルイミド、およびポリエーテルエーテルケトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の材料を含んで構成されることが好ましい。
<透過ガス流路用部材>
透過ガス流路用部材36はスペーサーとしての機能を有し、また透過した酸性ガスを透過ガス流路用部材よりも内側に流す機能を有し、また、樹脂を浸透させる機能を有するようにネット状の部材が好ましい。透過ガス流路用部材36の材質は、多孔質支持体と同様のものを用いることができる。また、高温で水蒸気を含有する被分離ガス20を流すことを想定すると、透過ガス流路用部材36も耐熱湿性を有することが好ましい。
透過ガス流路用部材36の具体的素材としては、エポキシ含浸ポリエステルなどポリエステル系、ポリプロピレンなどポリオレフィン系、ポリテトラフルオロエチレンなどフッ素系がより好ましい。
透過ガス流路用部材36の厚みは特に限定されないが、100μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは150μm以上950μm以下、さらに好ましくは200μm以上900μm以下である。
透過ガス流路用部材36は、酸性ガス分離層32を透過した酸性ガスの流路となるため、抵抗が少ないことが好ましく、具体的には、空隙率が高く、圧をかけたときの変形が少なく、かつ、圧損が少ないことが望ましい。空隙率に関しては、30%以上95%以下が好ましく、35%以上92.5%以下がより好ましく、さらには40%以上90%以下が好ましい。なお、空隙率の測定は、次のように行うことができる。まず、透過ガス流路用部材の空隙部に超音波を利用するなどして十分に水を染み込ませ、表面の余分な水分を取った後、単位面積あたりの質量を測定する。この質量を乾燥質量から差し引いた値が、透過ガス流路用部材の空隙に入った水の容積であり、水の密度で換算し、空隙量、ひいては空隙率を測定することができる。このとき、十分に水が染み込んでいない場合は、アルコール系などの表面張力の低い溶剤を用いても測定が可能である。
圧をかけたときの変形は、引張試験を行ったときの伸度により近似でき、10N/10mm幅の荷重をかけたときの伸度が5%以内であることが好ましく、4%以内であることがより好ましい。
また、圧損に関しては、一定の流量で流した圧縮空気の流量損失に近似でき、15cm角の透過ガス流路用部材36に室温で15L/min流した際に、7.5L/min以内の損失であることが好ましく、7L/min以内の損失であることがより好ましい。
<供給ガス流路用部材>
供給ガス流路用部材30は酸性ガスを含む被分離ガス20が供給される部材であり、スペーサーとしての機能を有し、かつ被分離ガス20に乱流を生じさせることが好ましいことからネット状の部材が好ましく用いられる。ネットの形状によりガスの流路が変わることから、ネットの単位格子の形状は目的に応じて、例えば、菱形、平行四辺形などの形状から選択して用いられる。供給ガス流路用部材30の材質は多孔質支持体と同様のものを用いることができる。また、高温で水蒸気を含有する被分離ガス20を流すことを想定すると、供給ガス流路用部材30もまた耐熱湿性を有することが好ましい。
供給ガス流路用部材30の厚みは特に限定されないが、100μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは150μm以上950μm以下、さらに好ましくは200μm以上900μm以下である。
以上、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に
限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当
業者にとって明らかである。
また、実際のガス分離は、分離膜モジュールユニットを複数直列に接続してなるガス分離装置として用いることがある。その場合、上記に述べた本発明のガス分離膜モジュールユニットの運転方法は、ガス分離装置の運転方法にも適用することができる。すなわち、ガス分離装置を上記ガス分離膜モジュールユニットとみなし、ガス分離装置内に直列に接続されてなるガス分離膜モジュールユニットを上記ガス分離膜モジュールとみなすことにより、耐久性の優れたガス分離装置の運転ができる。
以下、本発明について実施例に基づきさらに詳細に説明する。
(実施例1)
<塗布組成物の調液>
クラストマーAP-20(クラレ社製)2.4質量%、25%グルタルアルデヒド水溶液(Wako社製)0.01質量%を含む水溶液に、1M塩酸をpH1になるまで添加し、架橋後、40%炭酸セシウム(稀産金属社製)水溶液を炭酸セシウム濃度が3.66質量%になるように添加した。次いで、40%炭酸カリウム(Wako社製)水溶液を炭酸カリウム濃度が0.61質量%になるように添加した。さらに、ブロッキング抑止剤として、1%ラピゾールA−90(日油社製)0.003質量%になるように添加し、昇温後、別に調液しておいた寒天水溶液を加え、塗布組成物とした。
上記で調液した塗布組成物を、裏面にポリプロピレン不織布補助支持体が熱ラミネートされたPTFE多孔質膜(厚み30μm)に塗布した後乾燥させ、多孔質支持体上に酸性ガス分離膜を備えてなる構造体を得た。この構造体を、支持体側を外側に向けて2つ折りにし、供給ガス流路用部材としてポリプロピレンのネット(線径50μm、目開き500μm)を挟み、更に、多孔質支持体側にエンベロープ状になるようにヘンケル製Hysol E-90FLを塗り、透過側流路材としてポリエステルのトリコット編物(厚み300μm)を重ねた。これを20セット準備し、50mmφの透過ガス集合管の周りに200mmφになるように巻きつけて図2に示すようなスパイラル型モジュールを作製した。
作製したモジュールを密閉容器内で5本直列につなぎ、供給ガスとしてCO/H=10/90(体積比)の割合で混合された混合ガスを用い、これを飽和水蒸気下で、圧力200kPa、温度130℃、500L/minで膜に供給し続け、供給開始1時間後(初期)と、200時間経過後の透過側ガスの流量とガス組成をガスクロマトグラフにより測定し、CO/H選択性(分離係数)を算出した。200時間経過後にガス供給を止め、容器内の供給側先頭のモジュールを濃縮側最後尾に入れ換え、ガス供給を再開させ、入れ換え直後及び更に200時間経過後のガス流量とCO/H選択性を算出した。CO/H選択性を示す分離係数αは、定常状態(標準温度・標準気圧:STP)における各成分の透過係数Q(m/ms Pa)比であるので、透過側ガスの流量と組成比より算出した。
α=Q(CO)/Q(H
(実施例2)
200時間経過後にガス供給を止め、容器内のガス排出側(供給側最後尾)のモジュールを供給側先頭に入れ換えた以外は実施例1と同様にして、ガス供給を再開後のCO/H選択性を算出した。
(比較例)
200時間経過後のモジュールの入れ換えを実施しなかった以外は実施例1と同様にして、ガス流量とCO/H選択性を算出した。
(評価)
各実施例及び比較例の評価結果を表1に記載した。表1に示されるように、実施例1、実施例2のいずれの場合においても、モジュールの入れ換えにより、CO/H選択性が向上し、その後の分離性能も良好であることが確認された。
Figure 2014161744
1 ガス分離膜モジュールユニット
32 酸性ガス分離膜
32A 酸性ガス分離層
32B 多孔質支持体
34,40 封止部
36 透過ガス流路用部材
30 供給ガス流路用部材
10(10a〜10e) ガス分離膜モジュール
12 透過ガス集合管
12A 貫通孔
14 積層体
20 被分離ガス
22 透過ガス(特定成分)
26 排出口
34B,40B 軸方向封止部
34A,40A 周方向封止部
50 固定部材

Claims (7)

  1. 供給された被分離ガスを特定成分の透過ガスと該透過ガス以外の残余ガスとに分離して排出する促進輸送型のガス分離膜モジュールを、3基以上直列に接続して備えてなる多段式ガス分離膜モジュールの運転方法であって、
    定期又は不定期に、端部に位置する前記ガス分離膜モジュールを取り外して、前記端部と反対側の端部に配置することを特徴とする多段式ガス分離膜モジュールの運転方法。
  2. 前記ガス分離膜モジュールを取り外す側の端部が前記被分離ガス供給側の端部であることを特徴とする請求項1記載の多段式ガス分離膜モジュールの運転方法。
  3. 前記端部が前記残余ガス及び前記透過ガス排出側の端部であることを特徴とする請求項1記載の多段式ガス分離膜モジュールの運転方法。
  4. 前記多段式ガス分離膜モジュールが、前記直列に接続された3基以上のガス分離膜モジュール全てを収納してなる収納部を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか一項記載の多段式ガス分離膜モジュールの運転方法。
  5. 前記ガス分離膜モジュールがスパイラル型膜モジュールであることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項記載の多段式ガス分離膜モジュールの運転方法。
  6. 前記透過ガスが二酸化炭素であることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項記載の多段式ガス分離膜モジュールの運転方法。
  7. 前記被分離ガスの温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1〜6いずれか一項記載多段式ガス分離膜モジュールの運転方法。
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