JP2012176345A - スパイラル型流体分離素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 スパイラル型流体分離素子におけるチャネリング現象を防ぎ、更には、原液流路の部分的拡大が引き起こす偏流による性能低下を防ぐ。
【解決手段】 有孔の集水管の周りに、分離膜、原液流路材、および透過液流路材をスパイラル状に巻回してなるとともに、分離膜に、原液側流体と透過側流体の混合を防止するために接着剤で接着された封止部が設けられているスパイラル型流体分離素子において、封止部に付着する接着剤が、ショア硬さD45〜65を有する接着剤であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 有孔の集水管の周りに、分離膜、原液流路材、および透過液流路材をスパイラル状に巻回してなるとともに、分離膜に、原液側流体と透過側流体の混合を防止するために接着剤で接着された封止部が設けられているスパイラル型流体分離素子において、封止部に付着する接着剤が、ショア硬さD45〜65を有する接着剤であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、逆浸透装置やナノ濾過装置、さらには限外濾過装置、精密濾過装置等に好適に用いられる流体分離素子に関するものである。
近年、海水淡水化や半導体分野における超純水用途、さらには、一般かん水用途や有機物分離、廃水再利用などを始めとする膜の透過液または濃縮液を利用するさまざまな流体分離分野において、分離膜を用いた流体分離素子の使用が急速に増加してきている。
流体分離素子の形態としては、中空糸膜を用いたものや、平膜を用いたプレートフレーム型やスパイラル型があげられる。この中で、スパイラル型の流体分離素子は、分離膜が透過液流路材と原液流路材と共に集水管の周りにスパイラル状に巻き付けられた構造をとる。このスパイラル型流体分離素子の代表的な形態の一部分解斜視図を図1に示す。通常、このような構成の分離素子は、第1の分離膜および第2の分離膜の3辺を互いに接着して形成した封筒状膜の膜間に、透過液流路材10を挟み込み、これに原液流路材11を重ねて1つの膜ユニットとし、この膜ユニットを単数もしくは複数用意し、集水管2の周囲にスパイラル状に巻き回すことにより製造される。封筒状膜の開口している辺は集水管2側に配置されている。
上記封筒状膜を作製する際に、膜の3辺を互いに接着させるための接着剤としては、2液型ポリウレタン系接着剤“UR3501”(積水フ−ラー社製)などが使用されている(特許文献1の段落0043参照)。上記“UR3501”接着剤の硬化後の硬度は、ショア硬さA90(D42)程度である。接着硬化後の硬度が高くなり過ぎると、接着部分で割れが生じて原水リークが発生し易くなるので、硬化後のショア硬さA90程度をもつ接着剤が好ましいと従来は考えられていた。
このスパイラル型流体分離素子において、原液6は、流体分離素子の一方の端面から供給され、第1の分離膜3および第2の分離膜4で分離処理される。分離膜3、4を透過した透過液は透過液流路材10を伝って流れ(矢印13)、集水管2で集められ透過液14として取り出される。分離膜3、4を透過しなかった原液は、原液流路材11を伝って流れ(矢印7)、流体分離素子の他方の端面から濃縮液12として排出される。このとき、スパイラル状に巻囲された分離膜同士が流体分離素子の軸方向にずれ、端部が円錐形になるテレスコーピングと呼ばれる現象が起きることがある。この現象を防止するために、スパイラル型流体分離素子の下流側の端部に、端板あるいはアンチテレスコーピングデバイスと呼ばれる端部補強材を設ける方法が採用されている。また、巻回体の軸方向中央付近から両端側に対称な力をかけシートを巻回することで、軸方向に均一な締め付け力を与えるとともに膜ユニットの密着性を高めることで膜同士のずれを防止する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、スパイラル型流体分離素子が使用される用途は、近年急速に拡大し、多様な原水条件、運転条件にて使用されるようになってきているため、用途によって新たな問題が生じてきている。例えば、原水のファウリングインデックス(FI)値が高い原水、もしくは析出物の発生しやすい原水の分離に適用する場合、あるいは析出物を誘発しやすい高回収率で運転する場合では、分離膜の膜面に、原水中の物質が堆積し易く、原水流路の一部を狭めてしまう現象が起こり易い。このような場合、スパイラル型流体分離素子では、分離膜同士がエレメント軸方向にずれるだけでなく、分離素子の半径方向に広がり(膨れ)、膜ユニット間に隙間が生じる現象(チャネリング現象)や、原液流路材が下流側に押流されて端面から流出する現象が発生し易い。また、分離膜および原液流路材、透過液流路材がクリープ変形し、それらの厚みが減少する場合もある。このように、原液流路が部分的に狭窄変形あるいは拡大変形することにより、原液流路中の原液の流れが大きく偏流化し、スパイラル型流体分離素子の性能低下を招くという問題が生じる。この問題は上述の端板やアンチテレスコーピングデバイスと呼ばれる端部補強材あるいは巻回シートを用いる従来技術では防ぐことが出来ない。
本発明の目的は、分離膜が半径方向に広がり、膜ユニット間に隙間が生じるというチャネリング現象を防ぐこと、更には、原液流路の部分的拡大が引き起こす偏流による性能低下問題を防ぐことである。
上記した目的を達成するために、本発明は以下の要件により特定される。
すなわち、有孔の集水管の周りに、分離膜、原液流路材、および透過液流路材をスパイラル状に巻回してなるとともに、分離膜に、原液側流体と透過側流体の混合を防止するために接着剤で接着された封止部が設けられているスパイラル型流体分離素子において、封止部に付着する接着剤の硬さがショア硬さD45〜65であることを特徴とするスパイラル型流体分離素子である。
ここで、前記封止部に付着する接着剤が、ウレタン系接着剤であることが好ましい。
本発明によると、チャネリング現象の発生を抑制することができ、さらに原液流路での偏流による性能低下を解消することができる。すなわち、スパイラル型流体分離素子を多様な原水および運転条件下において使用しても、また、析出物が生じ易い原液の分離に使用しても、安定した運転が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれら図面に示す実施態様に限定されるものではない。
図1は、本発明が適用されるスパイラル型流体分離素子の一例を示す部分破断した斜視図である。代表的なスパイラル型流体分離素子は、図1に示すように、分離膜3、4、原液流路材11、および透過液流路材10が積層状態で、有孔の集水管2の周囲にスパイラル状に巻回され、その分離膜巻回体の両端にテレスコープ防止板9が設置されている。分離膜3、4は、供給流体と透過流体の混合を防止するために、膜端部3辺が接着剤により封止された封筒状膜となっている。
分離膜3、4は平膜状の分離膜であって、逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜、ガス分離膜、脱ガス膜などが使用できる。原液流路材11には、ネット状材料、メッシュ状材料、溝付シート、波形シート等が使用できる。透過液流路材10には、ネット状材料、メッシュ状材料、溝付シート、波形シート等が使用できる。
テレスコープ防止板9は、分離膜巻回体が通過する流体の圧力により筒状に変形すること(テレスコープ現象)を防止するために設置された、原液流路用の孔を有する板状物であり、外周側にはシール材を装填するための周回溝を有していることが好ましい。テレスコープ防止板9の材質は熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、耐熱性樹脂などの樹脂材により構成されればよい。また、このテレスコープ防止板9は、外周環状部と内周環状部と放射状スポーク部とを有するスポーク型構造であることが好ましい。
中心に位置する集水管2は、管の側面に複数の孔を有するものであり、集水管2の材質は、樹脂、金属など何れでもよいが、ノリル樹脂、ABS樹脂等のプラスチックや、ガラスファイバー繊維強化樹脂(FRP)が通常使用される。
スパイラル型流体分離素子は、分離膜巻回体の外周部が外装材5により拘束されて拡径しない構造になっていることも好ましい。外装材5は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどからなるシートや、硬化性樹脂を塗ったガラス繊維あるいは樹脂繊維、炭素繊維などからなるものであり、分離膜巻回体の外周表面に、かかるシートや繊維を巻回してエレメントが拡径しないように拘束する。
また、分離膜3、4を端部3辺が封止された封筒状膜とするためには、膜端部3辺を接着剤を塗布して封止する手段をとればよい。その封止に用いる接着剤としては、従来は、硬化後のショア硬さA90(D42)程度のポリウレタン系接着剤が用いられていた。
従来用いられていた接着剤によって3辺を封止された封筒状膜を組み込んだ従来のスパイラル型流体分離素子の場合、使用条件によっては、分離膜が半径方向に広がる現象や、クリープ現象に起因する厚みが減少する現象や、あるいは、膜ユニット間に隙間が生じるチャネリング現象が発生し易くなる。チャネリング現象が発生した場合、エレメントを端面から観察した際に膜ユニット間の隙間が異常に拡大した部分がみられる。この隙間が異常に拡大した部分を「目開き」と称し、その隙間の間隔を「目開き量」と称する。この目開きが発生することにより、原液の偏流が生じ、ひいては性能の低下あるいは原水流路材のエレメント端面からの突出を引き起こし易くなる。
しかし、本発明では、分離膜3、4の端部3辺を封止するために、硬化後のショア硬さDが45〜65である接着剤(従来よりも高い硬さの接着剤)を用いているので、多様な原水および運転条件下で使用した場合においても、膜ユニット端部の厚み変化が発生せず、目開きの発生を抑制することができる。
接着剤の硬化後のショア硬度Dは、接着剤を、直径3mm、厚み6mm程度のサイズに広げた状態で60℃で48時間硬化させた後に、高分子計器(株)製のASKERタイプDデュロメーターを用いて室温下(約20℃)で計測することにより求める。
膜ユニット、封筒状膜及び膜積層構造物の形成方法について、図2及び図3に基づき説明する。図2は膜ユニット及び透過液流路材の積層状態を示す側面図である。図3は、膜ユニットの上に透過液流路材を載せ、膜端部3辺に接着剤を塗布した状態を示す平面図である。
まず、分離膜3を2つ折りにし、その間に原液流路材11を挟み込むことにより、膜ユニット16を作製する。次いで、台上に、1枚目の透過液流路材10を載せ、その上の所定位置に、前記膜ユニット16を重ねて載せる。続いてこの膜ユニット16の上の所定位置に2枚目の透過液流路材10′を重ねて載せる。次いで、2枚目の透過液流路材10′の上から、接着剤塗布ガン27等を用いて、接着剤を、積層された膜ユニット16の分離膜3の二つ折り辺20を除く端部3辺にコの字状に塗布する(図3の接着剤塗布部分18)。
接着剤の塗布に続いて次の膜ユニット16′を、2枚目の透過液流路材10′の上に重ねて載せ押し付けると、下段の膜ユニット16内の分離膜の上面と、その上の透過液流路材10′と、その上の膜ユニット16′内の分離膜の下面とが、コの字状の三辺で接着される。以下同様にして、透過液流路材10″を重ね、接着剤塗布し、膜ユニット16″を重ねて接着させることを所定回数繰り返し、図2に示すような膜積層構造物29を形成する。
続いて、図4に示す積層構造における最下部の透過液流路材10を、集水管2の周囲にテープ等で結合させた後、集水管2の回りに膜積層構造物29をロール状に巻囲させ、図1に例示するような構造のスパイラル型液体分離素子が得られる。
本発明では、膜ユニット内の分離膜の上面とその上の膜ユニット内の分離膜の下面とをコの字状に接着させるための接着剤として、硬化後のショア硬さがD45〜D65となるような接着剤を用いることが重要である。硬化後のショア硬さがD45未満であると、高圧力下あるいは偏流が発生した際に、エレメントの端部の厚みが変形し易くなり、チャネリング発生の原因となり易いので、使用時におけるエレメント端部の目開きを抑制できない。D65を越えると、硬化後の接着部で割れが生じて原水リークが発生し易くなる。使用する接着剤の種類は、硬化後の硬さが上記水準であるならば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤等、何でも良いが、溶出性の観点からウレタン系接着剤を用いるのが好ましい。
接着剤は、塗布時の接着剤の粘度は、装置から定量定速で吐出出来れば何でも良いが、4000mPa・s〜15000mPa・sの範囲内であることが好ましく、さらには、5000mPa・s〜12000mPa・sがより好ましい。
ウレタン系接着剤を用い、塗布時の接着剤の粘度を4000mPa・s〜15000mPa・sの範囲とするには、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールとを、イソシアネート:ポリオール=1:1〜1:5の割合で混合することが好ましい。塗布時の接着剤の粘度は、予め、主剤、硬化剤の単体、及び配合割合を規定した混合物の粘度測定をB型粘度計(JIS K 6833)で測定したものである。
塗布時の接着剤の粘度が高すぎる場合には、膜ユニットと透過液流路材とを交互に重ねて接着させた膜積層構造物を集水管回りに巻囲する際に、分離膜と透過液流路材とが接着面で滑りにくくなり、その結果、シワが発生し易くなり、膜エレメントの性能が損なわれ易くなる。また、塗布した接着剤の浸透に時間や圧力がかかるために、浸透不足による接着不良、漏れが起こりやすい。逆に、塗布時の接着剤の粘度が低すぎる場合は、塗布した接着剤が広がり過ぎるので、流体分離素子中の分離膜の有効膜面積を減少させてしまうばかりか、分離膜と透過液流路材の間への接着剤の留まりが悪いため接着不良を起こし漏れの原因となる。さらに、分離膜と透過液流路材との間の所定の接着面部分から接着剤が流出して装置を汚す他、不要な部分に付着して分離膜エレメントの性能を損なうと共に、流出した接着剤の除去作業により作業効率が著しく低下する。
接着剤の塗布量は、膜ユニットを集水管に巻囲した後に塗布幅5mm〜80mmが確保出来るような量とすることが好ましく、例えば、1面当たり8g〜50gの範囲が好ましい。塗布量が多すぎると塗布幅が広くなりすぎて透過有効膜面積が狭くなり、少なすぎるとリークの原因となる。
また、接着剤を塗布する前に、湿潤状態で保管されていた逆浸透膜を使用する場合は、その膜面のうち接着剤塗布部分(その近傍も含む)を乾燥させることが好ましい。但し、分離機能を発揮させる膜面部分については乾燥させずに湿潤状態のままとしても良いし、全体を乾燥させても良い。この乾燥は、接着剤塗布部分の含水率を10%以下に低減させる程度の乾燥条件で行えばよい。その含水率が10%を超えると、ウレタン系接着剤の主剤のイソシアネートが水と反応して炭酸ガスを発生し、これが原因で発泡しシール不十分によるリーク発生の原因となり易い。
接着剤塗布部分の乾燥方法としては、加熱した部材を、膜に接触させる方法、温風を吹き付ける方法、光を当てる方法、アルコール類など水分以外のもので置換する方法のいずれでも良い。中でも、近赤外線ヒーターからの光熱を照射する乾燥方法が、短時間で乾燥でき且つ照射距離を選択することにより乾燥幅を任意に選択できるので好ましい。
以下に具体例を挙げて本発明法を説明するが、本発明法はこれら実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
分離膜に塗布する接着剤として、硬化後のショア硬さがD50であるウレタン系接着剤を使用した。原液流路材として、0.7mm厚のネットを使用した。透過液流路材として、0.21mm厚のトリコットを使用した。これらを用いて、通常の方法により、膜面積400ft2の8インチスパイラル型流体分離素子(エレメント)を作製した。次いで、下記評価方法(1)(2)によりチャネリング現象の発生の難易性を評価した。結果は表1に示す。
分離膜に塗布する接着剤として、硬化後のショア硬さがD50であるウレタン系接着剤を使用した。原液流路材として、0.7mm厚のネットを使用した。透過液流路材として、0.21mm厚のトリコットを使用した。これらを用いて、通常の方法により、膜面積400ft2の8インチスパイラル型流体分離素子(エレメント)を作製した。次いで、下記評価方法(1)(2)によりチャネリング現象の発生の難易性を評価した。結果は表1に示す。
(1)チャネリング現象の強制発生テスト
小麦粉500ppm、高分子凝集剤10ppm、FeCl3 100ppmに調整した原水を、操作圧力0.5MPa、原水流量40L/minでエレメントに供給し、エレメント内にフロックを詰める。その後、高流量による運転と低流量による運転とを交互に繰り返すことで、チャネリングの発生を促した。
それらの運転条件は、下記の通りとした。交互運転7回を1セットとし、10セット終了時にエレメントを取り出し、端面の状態からチャネリング発生の有無と、原水流路材の突出の長さを調べた。
高流量時:流量400L/min、操作圧力0.5MPa、運転時間30分
低流量時:流量40L/min、操作圧力0.5MPa、運転時間10分
チャネリング強制発生テスト終了後のエレメント端面における状態を、テスト開始前と比較し、目視で明らかな隙間(目開き)の発生が認められた場合をチャネリング発生ありと判定した。
小麦粉500ppm、高分子凝集剤10ppm、FeCl3 100ppmに調整した原水を、操作圧力0.5MPa、原水流量40L/minでエレメントに供給し、エレメント内にフロックを詰める。その後、高流量による運転と低流量による運転とを交互に繰り返すことで、チャネリングの発生を促した。
それらの運転条件は、下記の通りとした。交互運転7回を1セットとし、10セット終了時にエレメントを取り出し、端面の状態からチャネリング発生の有無と、原水流路材の突出の長さを調べた。
高流量時:流量400L/min、操作圧力0.5MPa、運転時間30分
低流量時:流量40L/min、操作圧力0.5MPa、運転時間10分
チャネリング強制発生テスト終了後のエレメント端面における状態を、テスト開始前と比較し、目視で明らかな隙間(目開き)の発生が認められた場合をチャネリング発生ありと判定した。
(2)目開きの強制発生テスト
両端部のテレスコープ防止板を除去して、集水管の中心から側方に60mmの距離の所の膜にノギス先端を差し込み、ノギス先端に取り付けたひもを3kgの荷重で引っ張り、強制的に目開きを生じさせた。引っ張った際に生じる目開きの量(膜間の隙間の間隔)を測定することにより、目開きし易さを評価した。測定値の結果を表1に示す。ノギスはミツトヨ(株)製M型標準ノギス200mmを使用した。
両端部のテレスコープ防止板を除去して、集水管の中心から側方に60mmの距離の所の膜にノギス先端を差し込み、ノギス先端に取り付けたひもを3kgの荷重で引っ張り、強制的に目開きを生じさせた。引っ張った際に生じる目開きの量(膜間の隙間の間隔)を測定することにより、目開きし易さを評価した。測定値の結果を表1に示す。ノギスはミツトヨ(株)製M型標準ノギス200mmを使用した。
<実施例2>
分離膜に塗布する接着剤として、硬化後のショア硬さがD65であるウレタン系接着剤を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、膜面積400ft2の8インチスパイラル型流体分離素子を作製した。実施例1と同じ方法で評価した。
分離膜に塗布する接着剤として、硬化後のショア硬さがD65であるウレタン系接着剤を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、膜面積400ft2の8インチスパイラル型流体分離素子を作製した。実施例1と同じ方法で評価した。
<比較例1>
分離膜に塗布する接着剤として、硬化後のショア硬さがA40であるウレタン系接着剤を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、膜面積400ft2の8インチスパイラル型流体分離素子を作製した。チャネリング現象の強制発生テストの評価時点を1セット終了時とした以外は、実施例1と同じ方法で評価した。
分離膜に塗布する接着剤として、硬化後のショア硬さがA40であるウレタン系接着剤を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、膜面積400ft2の8インチスパイラル型流体分離素子を作製した。チャネリング現象の強制発生テストの評価時点を1セット終了時とした以外は、実施例1と同じ方法で評価した。
<比較例2>
分離膜に塗布する接着剤として、硬化後のショア硬さがA90であるウレタン系接着剤を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、膜面積400ft2の8インチスパイラル型流体分離素子を作製した。比較例1と同じ方法で評価した。
分離膜に塗布する接着剤として、硬化後のショア硬さがA90であるウレタン系接着剤を使用した。それ以外は実施例1と同様にして、膜面積400ft2の8インチスパイラル型流体分離素子を作製した。比較例1と同じ方法で評価した。
表1に示すとおり、本発明に係る実施例1、2の場合は、チャネリング現象が生じず、目開き発生を抑制できた。これに対し、ショア硬さが低い比較例1、2の場合には、チャネリング現象が生じ、目開きが大きくなり易かった。
本発明のスパイラル型流体分離素子は、特に、高温・高圧等の条件下で行う液体膜分離や、析出物が生じ易い原液の膜分離での使用に適している。
2: 集水管
3、4: 分離膜
5: 外装材
6、7: 原液の流れ
9: テレスコープ防止板
10、10′、10″: 透過液流路材
11: 原液流路材
12: 濃縮水の流れ
13、14: 透過水の流れ
16、16′、16″: 膜ユニット
18: 接着剤塗布部分(封止部)
20: 2つ折り辺
27: 接着剤塗布ガン
29: 膜積層構造物
3、4: 分離膜
5: 外装材
6、7: 原液の流れ
9: テレスコープ防止板
10、10′、10″: 透過液流路材
11: 原液流路材
12: 濃縮水の流れ
13、14: 透過水の流れ
16、16′、16″: 膜ユニット
18: 接着剤塗布部分(封止部)
20: 2つ折り辺
27: 接着剤塗布ガン
29: 膜積層構造物
Claims (2)
- 有孔の集水管の周りに、分離膜、原液流路材、および透過液流路材をスパイラル状に巻回してなるとともに、分離膜に、原液側流体と透過側流体の混合を防止するために接着剤で接着された封止部が設けられているスパイラル型流体分離素子において、封止部に付着する接着剤の硬さがショア硬さD45〜65であることを特徴とするスパイラル型流体分離素子。
- 前記封止部に付着する接着剤が、ウレタン系接着剤であることを特徴とする請求項1に記載のスパイラル型流体分離素子。
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