JP2015142899A - 分離膜エレメント - Google Patents

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洋帆 広沢
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由恵 丸谷
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Abstract

【課題】本発明は、加圧条件下で運転を実施しても良好な造水性能を発揮しつつ、取扱性に優れた分離膜エレメントを提供する。【解決手段】集水管と、供給側の面および透過側の面を有し前記集水管の周囲に巻囲された分離膜リーフと、前記分離膜の透過側の面に固着した流路材と、を備える分離膜エレメントであって、透過側流路材は分離膜の内周側から外周側に向かって連続した形状であり、かつ流路材上面から分離膜方向へ凹部が設けられている分離膜エレメント。【選択図】図6

Description

本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用される分離膜エレメントに関する。より詳しくは、良好な取扱性を有し、かつ安定した性能を有する分離膜エレメントに関する。
液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために、様々な方法が提案されている。例えば、海水またはかん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。
分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径および分離機能などに基づいて、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜などに分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水若しくは有害物を含んだ水からの飲料水の製造、工業用超純水の製造、廃水処理または有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
分離膜エレメントは、分離膜の一方の面に原流体を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、束ねられた多数の分離膜を備えることで大きな膜面積を確保しており、単位エレメントあたりで多くの透過流体を得ることができるように構成されており、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種エレメントが製造されている。
例えば、逆浸透ろ過には、スパイラル型分離膜エレメントがよく用いられる。スパイラル型分離膜エレメントは、集水管、分離膜へ原流体を供給する供給側流路材、原流体に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過した透過流体を集水管へと導くための透過側流路材を備える。供給側流路材、分離膜および透過側流路材は、集水管の周りに巻き付ける。スパイラル型分離膜エレメントは、原流体に圧力を付与し、透過流体を多く取り出すことができるので、広く用いられている。
近年、分離膜エレメントに造水コストの低減への高まりから、分離膜エレメントの低コスト化のニーズが高まっており、分離膜、各流路部材、分離膜エレメント部材の改良による低コスト化が提案されている。例えば、特許文献1では凹凸賦形されたシート状物を透過側流路材として使用する方法、特許文献2〜3では、スパイラル型分離膜エレメントにおいて、平膜の表面または裏面に、ドット形状あるいはストライプ形状からなる流路材が設けられている。
特開2006−247453号公報 国際公開第2011/152484号 特開2012−40487号公報
しかし、特許文献1〜3に記載された分離膜エレメントは、加圧条件下で運転を実施することで、高造水化や安定運転を達成できるものの、分離膜エレメントを作製する際、分離膜に固着している流路材の部分的な破壊が生じ、エレメント製造時の分離膜の取扱性に問題がある。
スパイラル型分離膜エレメントを例にとると、その分離膜エレメント部材は、原流体を分離膜の供給流体側へ供給する供給側流路材、原流体に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し原流体から分離された透過流体を集水管へと導くための透過側流路材からなる部材を集水管の周りに巻回して作製されるが、例えば、流路材が分離膜上に形成されたドット状等の不連続形状の場合、巻回時に分離膜から部分的に剥離した流路材の縁辺で分離膜本体を傷つけて除去性能の低下を招くことがある。
一方、流路材がストライプ状等の分離膜の内周側から外周側に向かって連続した形状の場合は、部分的に剥離した流路材の縁辺で分離膜本体を傷つけることは無いものの、分離膜本体の剛性が高まるため、集水管に対して高精度に隙間無く分離膜および流路材を巻回することが難しくなり、集水管周囲封止部のシール不良により原流体が集水管内部に漏れ込むことにより除去性能の低下を招くことがある。
そこで、本発明は、加圧条件下で運転を実施しても良好な性能を発揮しつつ、取扱性に優れた分離膜エレメントを提供することを目的とする。
本発明者らは上記した課題を解決するために鋭意検討を行った結果、取扱性に優れた分離膜エレメントを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の構成を要旨とするものである。
第1の発明は、集水管と、供給側の面および透過側の面を有し上記集水管の周囲に巻囲された分離膜リーフと、上記分離膜の透過側の面に固着した流路材と、を備える分離膜エレメントであって、透過側流路材は分離膜の内周側から外周側に向かって連続した形状であり、かつ流路材上面から分離膜方向へ凹部が設けられている分離膜エレメントである。
第2の発明は、上記透過側流路材の凹部最大深さが、上記流路材高さの50%以上である上記第1に記載の分離膜エレメントである。
第3の発明は、上記透過側流路材に設けられる凹部が、上記分離膜エレメントの巻回方向に対して0〜180°の角度で設けられることを特徴とする上記第1または2に記載の分離膜エレメントである。
第4の発明は、上記分離膜が、基材、上記基材上に形成された多孔性支持層、および上記多孔性支持層上に形成された分離機能層を備える、上記第1〜3のいずれかに記載の分離膜エレメントである。
本発明によれば、分離膜の内周側から外周側に向かって連続した形状の透過側流路材に凹部が形成されているため、分離膜の取扱性に優れ、工程通過性が良好であるとともに、高圧条件下での運転においても、安定した性能を示す分離膜エレメントを得ることができる。
分離膜エレメントの概要を示す一部展開斜視図である。 透過側流路材を備える分離膜の一例を示す断面図である。 分離膜本体の一例を示す断面図である。 分離膜本体の他の例を示す断面図である。 分離膜エレメントの一形態を示す展開斜視図である。 透過側流路材を備える分離膜の一例を示す斜視図である。 透過側流路材を備える分離膜の一例を示す平面図である。 透過側流路材を備える分離膜の他の例を示す平面図である。 透過側流路材を備える分離膜のさらに他の例を示す平面図である。 図7分離膜のA−A断面図である。 図8分離膜のA−A断面図である。 図9分離膜のA−A断面図である。
以下、本発明の分離膜エレメントについて詳細に説明する。
1.分離膜エレメント
図1に示すように、分離膜エレメント1は、集水管6と、集水管6の周囲に巻回された分離膜3とを備える。また、分離膜エレメントは、供給側流路材2および端板等の部材をさらに備える。
分離膜3は、分離膜本体30と、分離膜本体30の透過側の面に配置された透過側流路材4とを備える。
分離膜3は、透過側の面を内側に向けた矩形状の封筒状膜5を形成する。封筒状膜5は、透過水が集水管6に流れるように、その一辺のみにおいて開口し、他の三辺においては封止される。透過水はこの封筒状膜によって供給水から隔離される。
供給側流路材2は、封筒状膜5の間、つまり分離膜の供給側の面の間に配置される。供給側流路材2および複数の封筒状膜5は、重なった状態で、集水管6の周囲に巻き付けられる。
分離膜エレメント1の長手方向における一端から供給された原水(図中に「供給水7」として示す。)は、供給側流路材2によって形成された流路を通って、分離膜本体30に供給される。
分離膜本体30を透過した水(図中に「透過水8」として示す。)は、透過側流路材4によって形成された流路を通って集水管6に流れこむ。こうして、透過水8は、集水管6の一端から回収される。
一方、分離膜本体30を透過しなかった水(図中に「濃縮水9」として示す)は、分離膜エレメント1の他端から回収される。
図1に示す分離膜エレメント1は、集水管と、集水管の周囲に巻回された分離膜とを備えるスパイラル型分離膜エレメントの構成の一例であり、本発明はこの形態に限定されるものではない。
2.分離膜
上述の分離膜エレメントに用いられる分離膜3としては、以下に述べる各種形態の分離膜を適用することができる。図面を参照しながら各形態について説明するが、以下において、他の図面を参照して説明した要素については、同符号を付してその説明を省略することがある。
2−1 概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。分離膜は、分離膜本体と、分離膜本体上に配置された流路材とを備える。
このような分離膜の一例を図2に示す。図2に示すように、分離膜31は、分離膜本体301と透過側流路材41とを備える。分離膜本体301は供給側の面17と透過側の面18とを備えている。
本発明において、分離膜本体の「供給側の面」とは、分離膜本体の2つの面のうち、原流体が供給される側の表面を意味する。「透過側の面」とは、その逆側の面を意味する。分離膜本体が、図3および図4に示すように、基材(11,15)及び分離機能層(13,16)を備える場合は、一般的に、分離機能層側の面が供給側の面であり基材側の面が透過側の面である。
2−2 分離膜本体
2−2−1 概要
分離膜本体30としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜本体30は、単層であっても、基材および分離機能層を備える複合膜であってもよい。
図3および図4に複合膜の例を示す。図3に示す分離膜本体301は、基材11、多孔性支持層12および分離機能層13を備える。一方、図5に示す分離膜本体302は、基材15および分離機能層16の2つの層からなる。以下に、各層について説明する。
2−2−2 分離機能層
分離機能層の厚みは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5〜3000nmであることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5〜300nmであることが好ましい。
分離機能層の厚みは、これまでの分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することで、厚みの測定が可能である。また、分離機能層がひだ構造を有する場合、多孔性支持層より上に位置するひだ構造の断面長さ方向に50nm間隔で測定し、ひだの数を20個測定し、その平均から求めることができる。
分離機能層は、分離機能および支持機能の両方を有する層であってもよいし、分離機能のみを備えていてもよい。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を備える層を指す。
分離機能層が分離機能および支持機能の両方を有する場合(図4の例)、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、またはポリスルホンを主成分として含有する層が好ましく適用される。
一方、分離機能層が、多孔性支持層とは別の層として設けられる場合(図3の例)、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという点で、多孔性支持層を構成する材料として、架橋高分子が好ましく使用される。特に、原流体中の成分の分離性能に優れるという点で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層、有機無機ハイブリッド機能層などが好適に用いられる。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成可能である。
例えば、分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有することができる。このような膜は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することで形成される。例えば、多孔性支持層に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで、ポリアミド分離機能層が得られる。
また、分離機能層は、Siなどを有する有機−無機ハイブリッド構造を有してもよい。有機無機ハイブリッド構造を有する分離機能層は、例えば、以下の化合物(A)、(B):
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)前記化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物
を含有することができる。具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合体中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
ハイブリッド構造は、公知の方法で形成可能である。ハイブリッド構造の形成方法の一例は次のとおりである。化合物(A)および化合物(B)を含有する反応液を多孔性支持層に塗布する。余分な反応液を除去した後、加水分解性基を縮合させるためには、加熱処理すればよい。化合物(A)および化合物(B)のエチレン性不飽和基の重合方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射を行えばよい。重合速度を速める目的で分離機能層形成の際に重合開始剤、重合促進剤等を添加することができる。
なお、いずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させてもよい。
2−2−3 多孔性支持層
以下の構成は、分離機能と支持機能とが1つの層で実現される場合における分離機能層(図4)、および分離機能と支持機能とが別々の層で実現される場合における多孔性支持層(図3)に適用可能である。
多孔性支持層に使用される材料やその形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基材上に形成されてもよい。多孔性支持層としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂あるいはそれらを混合、積層したものが使用され、化学的、機械的、熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいポリスルホンを使用することが好ましい。
多孔性支持層は、分離膜に機械的強度を与え、かつイオン等の分子サイズの小さな成分に対して分離膜のような分離性能を有さない。多孔性支持層が有する孔のサイズおよび孔の分布は特に限定されないが、例えば、多孔性支持層は、均一で微細な孔を有してもよいし、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面にかけて径が徐々に大きくなるような孔径分布を有してもよい。また、いずれの場合でも、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡または電子顕微鏡などを用いて測定された細孔の投影面積円相当径は、1〜100nmであることが好ましい。特に界面重合反応性および分離機能層の保持性の点で、多孔性支持層において分離機能層が形成される側の表面における孔は、3〜50nmの投影面積円相当径を有することが好ましい。
多孔性支持層の厚みは特に限定されないが、分離膜に強度を与えるため等の理由から、20〜500μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは30〜300μmである。
多孔性支持層の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真に基づいて、多孔性支持層の膜厚、表面の投影面積円相当径を測定することができる。
多孔性支持層の厚み、孔径は、平均値であり、多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、200個の孔について測定された、各投影面積円相当径の平均値である。
次に、多孔性支持層の形成方法について説明する。多孔性支持層は、例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル織布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、製造することができる。
多孔性支持層は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成される。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒は調整可能である。
例えば、所定量のポリスルホンをDMFに溶解し、所定濃度のポリスルホン樹脂溶液を調製する。次いで、このポリスルホン樹脂溶液をポリエステル織布あるいは不織布からなる基材上に略一定の厚さに塗布した後、一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、凝固液中でポリスルホンを凝固させることによって得ることができる。
2−2−4 基材
基材としては、強度および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。繊維状基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は、優れた製膜性を有するので、高分子重合体の溶液を流延した際に、その溶液が過浸透により裏抜けすること、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じることを抑制できる。また、基材が熱可塑性長繊維より構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布と比べて、高分子溶液流延時に繊維の毛羽立ちによって起きる不均一化および膜欠点の発生を抑制することができる。さらに、分離膜は、連続製膜されるときに、製膜方向に対し張力がかけられるので、寸法安定性に優れる長繊維不織布を基材として用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現される。
より具体的には、長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°〜25°であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°〜90°であることが好ましい。
分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において、収縮は顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°〜90°であると、熱による幅方向の変化を抑制することもでき、好ましい。
ここで、繊維配向度とは、多孔性支持層を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標である。具体的には、繊維配向度とは、連続製膜を行う際の製膜方向、つまり不織布基材の長手方向と、不織布基材を構成する繊維との間の角度の平均値である。つまり、繊維の長手方向が製膜方向と平行であれば、繊維配向度は0°である。また、繊維の長手方向が製膜方向に直角であれば、すなわち不織布基材の幅方向に平行であれば、その繊維の配向度は90°である。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は以下のように測定される。まず、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。次に、そのサンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影する。撮影像の中で、各サンプルあたり10本を選び、不織布の長手方向(縦方向、製膜方向)を0°としたときの角度を測定する。つまり1つの不織布あたり計100本の繊維について、角度の測定が行われる。こうして測定された100本の繊維についての角度から平均値を算出する。得られた平均値の小数点以下第一位を四捨五入して得られる値が、繊維配向度である。
基材の厚みは、基材と多孔性支持層との厚みの合計が、30〜300μmの範囲内、または50〜250μmの範囲内となる程度に設定されることが好ましい。
2−3 透過側流路材
2−3−1 概要
分離膜本体の透過側の面には、透過側流路を形成するように透過側流路材が設けられる。「透過側の流路を形成するように設けられる」とは、分離膜が後述の分離膜エレメントに組み込まれたときに、分離膜本体を透過した透過流体が集水管に到達できるように、透過側流路材が形成されていることを意味する。透過側流路材の構成の詳細は以下のとおりである。
2−3−2 透過側流路材の構成成分
図5に示す透過側流路材4は、分離膜本体30とは異なる素材で形成されることが好ましい。異なる素材とは、分離膜本体30で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。特に、透過側流路材4の組成は、分離膜本体30のうち、透過側流路材4が形成されている面の組成とは異なることが好ましく、分離膜本体30を形成するいずれの層の組成とも異なることが好ましい。
透過側流路材を構成する成分としては特に限定されないが、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや共重合ポリオレフィンなどが好ましく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーも選択でき、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。特に、熱可塑性樹脂は成形が容易であるため、均一な形状の透過側流路材を形成することができる。
また、流路材を構成するポリマーにワックス等の減粘剤を添加することで、基材への含浸を促進し、それによって流路材の基材への接着力を高めることができる。また、流路材に、接着成分(例えばタッキファイヤー)などの各種添加剤を加えることで、流路材となる溶融樹脂の表面自由エネルギーを大きくすることができ、その結果、流路材の基材への接着力を高めることができる。このように流路材の表面自由エネルギーを調整することで、基材の材質に応じた接着力を実現することができる。さらに、流路材の材料として、そのSP値(Solubility Parameter)と基材のSP値との差が小さい材料を用いることも、流路材と基材との接着性を高める上で効果的である。具体的には、流路材の主成分のSP値と、基材の主成分のSP値との差が、好ましくは3以下、より好ましくは2以下であることが好ましい。
なお、流路材を基材に固着させるに先立ち、基材をプライマー処理しても良い。
2−3−3 透過側流路材の配置
従来広く用いられているトリコットは編み物であり、立体的に交差した糸で構成されている。つまり、トリコットは、二次元的に連続した構造を有している。このようなトリコットが透過側流路材として適用された場合、流路の高さはトリコットの厚みよりも小さくなる。すなわち、トリコットの厚みの全てを流路の高さとして利用することはできない。
これに対して、本発明の構成の例として、図5に示す透過側流路材4は、互いに重ならないように配置されている。よって、本実施形態の透過側流路材4の高さ(つまり厚み)は全て、流路の溝の高さとして活用される。よって、本実施形態の透過側流路材4が適用された場合、透過側流路材4の高さと同じ厚みを有するトリコットが適用された場合よりも、流路は高くなる。つまり、流路の断面積がより大きくなるので、流動抵抗はより小さくなり、造水量を増加させることができる。
また、分離膜3は、分離膜エレメント1において、第2方向が巻回方向と一致するように配置されることが好ましい。つまり、分離膜エレメントにおいて、分離膜3は、第1方向が集水管6の長手方向に平行であり、第2方向が集水管6の長手方向に直交するように配置されることが好ましい。
図5に示す例では、透過側流路材4は、第1方向において不連続に設けられると共に、第2方向においては、分離膜本体30の一端から他端まで連続するように設けられている。つまり、分離膜エレメント1に分離膜3が組み込まれたときに、分離膜本体に固着した透過側流路材4は、巻回方向における分離膜1の内側端部から外側端部まで連続するように配置される。巻回方向の内側とは、分離膜において集水管6に近い側であり、巻回方向の外側とは、分離膜において集水管6から遠い側である。
流路材が「分離膜本体の一端から他端まで設けられている」とは、流路材が分離膜本体の縁まで設けられていなければならない、という意味ではない。流路材は、透過側の流路を形成できる程度に、分離膜本体の第2方向全体に渡って配置されていればよい。透過側の面における他の分離膜との接着部分には、流路材が設けられる必要はない。また、その他の仕様上または製造上の理由により、分離膜本体の外縁付近等の一部の箇所には、流路材が配置されない領域が設けられていてもよい。
透過側流路材が「第2方向において連続する」とは、図5のように途切れなく設けられることを指すが、本発明では図6に示すように、透過側流路材4上面から分離膜方向へ凹部40が設けられている。透過側流路材4へ凹部を設けることにより、分離膜エレメントを巻回時の分離膜本体に固着している流路材の部分的な破壊を防止でき、かつ、分離膜の剛性を低く抑えることが出来るため、取り扱い性に優れた分離膜エレメントが得られる。
流路材に設けられる凹部は、分離膜の剛性を低く抑えるために設けられるため、流路材を構成する材料、流路材幅および流路の幅および形状、集水管の外径に合わせて設計され、分離膜の一部または全体に設けられる。膜の剛性低減による巻囲性向上という観点から、透過側流路材に設けられる凹部は透過側流路材を横切っても横切っていなくても良い。
透過側流路材を設ける工程は、分離膜製造のどの時点で行われてもよい。例えば、流路材は、基材上に多孔性支持層が形成される前に設けられてもよいし、多孔性支持層が設けられた後であって分離機能層が形成される前に設けられてもよいし、分離機能層が形成された後に行われてもよい。
凹部が設けられた透過側流路材を形成する工程には、塗布、印刷、噴霧、切削、型抜き等が採用される。また、使用される機材としては、ノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、ロール型コーター、押出型コーター、グラビア印刷機、噴霧器、ダイカットユニットなどが挙げられる。
凹部が設けられた透過側流路材を形成するには、上記工程による流路材形成を2回以上繰り返し実施する方法、要求される形状を満足するように彫刻したグラビアロールを用い一度に形成する方法、凹部が設けられていない透過側流路材を一旦形成した後に、切削、型抜き、溶融等の加工により凹部を形成する方法のいずれも適用可能である。いずれの方法を採用するかは、形成する流路材の大きさ、形状、流路材組成により、選択される。特に、グラビアロールを用い凹部が設けられた透過側流路材を一度に形成する方法、凹部が設けられていない透過側流路材を一旦形成した後に、ロータリーダイカットユニット(打ち抜き型)より凹部を形成する方法は、加工精度が高く、流路材および後述する凸部深さのコントロールが容易で、装置スペースも小さくできることから特に好ましい。
透過側流路材を構成する材料として好ましい組成は、上述したとおりである。
加熱によって樹脂を加工して透過側流路材を形成する場合、加工温度は、樹脂を溶融、加工できる温度であれば特に限定されないが、熱収縮による膜性能低下を抑制する点で250℃以下であることが好ましい。
また加熱による加工の際、透過側流路材を構成する組成物の溶融粘度は、1〜100Pa・secであることが好ましい。組成物の溶融粘度を1Pa・sec以上とすることで透過側流路材の溶融成形性が高まり、所望の形状付与が可能となり、また流路材自体も機械的特性に優れ、取扱性が良好となる。また溶融粘度を100Pa・sec以下とすることで分離膜本体の透過側の面への組成物の含浸が速やかに進行し、流路材の固着性を高めることができ、分離膜本体からの剥離を抑制し、取扱性に優れた分離膜を得ることができる。組成物の溶融粘度は、3〜95Pa・secであることがより好ましく、5〜90Pa・secであることが更に好ましい。
2−3−4 透過側流路材の形状
本発明における透過側流路材は、上述の通り分離膜の内周側から外周側(第2方向)に連続した形状であり、かつ流路材上面から分離膜方向へ凹部が設けられている。一方、集水管の長手方向(第1方向)の透過側流路材の形状については、連続形状であってもよいし、不連続形状であってもよい。「連続」な流路材とは、流路材を1枚の分離膜本体から分離したときに、複数の部分に分かれずに一体の形状を有する部材として分離される流路材である。例えば、ネット、トリコットおよびフィルム等の部材は、連続な流路材である。
これに対して、「不連続」とは、流路材を分離膜本体から剥離すると、流路材が複数の部分に分かれる状態である。便宜上、1枚の分離膜本体上で分かれた個々の部分、および1つの分離膜本体上に設けられた流路材全体のいずれも、「流路材」と呼ぶことがある。
図7−図9に、本発明の透過側流路材形状の流路材の例を示す。図7に示すように、流路材42は、平面形状は直線状の壁状部材である。壁状部材は、互いに平行なストライプ状に配置されており、凹部40は千鳥状に配置されている。図10に示すように、膜面に垂直な平面における流路材42の断面は、上部の幅が下部の幅よりも狭い台形である。
また、加圧ろ過時における複数の流路材間の膜落ち込みを抑制する観点から、隣接する流路材の間隔は、0.05〜5.00mmであることが好ましく、0.10〜2.00mmであることがより好ましく、この範囲内で適宜設計すると良い。なお流路材の間隔とは、高低差が存在する流路材における高い箇所の最も高いところから近接する高い箇所の最も高い箇所までの水平距離のことである。
流路材42の幅が大きいと、分離膜エレメントの運転時に流路材42に圧力がかかっても、流路材42の形状を保持することができ、流路50が安定的に形成される。小さいと、流路50の幅が相対的に大きくなるために、透過水の流速を小さくすることができ、流動抵抗を小さくすることができる。流路材の幅は、好ましくは0.1mm以上1mm以下であり、より好ましくは0.15mm以上0.5mm以下である。流路材の間隔および流路材の幅は、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000などを用いて平面サンプルから計測することができる。測定は任意の流路材が存在する箇所について実施し、各距離の値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めることができる。
分離膜に固着する流路材の高さは50〜500μmであることが好ましく、より好ましくは75〜450μm、さらに好ましくは100〜400μmである。流路材の厚みを500μm以下とすることで、1つのベッセルに充填できる膜リーフ数を多くすることができる。また、流路材の厚みを50μm以上とすることで、流体の流動抵抗を比較的小さくすることができるので、良好な分離特性および透過性能を得ることができる。
各透過側流路材の凹部40の最大深さは、流路材高さの50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。透過側流路材の凹部最大深さを流路材高さの50%以上とすることで、分離膜エレメントを巻回時の分離膜本体に固着している流路材の部分的な破壊(剥離)を防止でき、かつ、分離膜の剛性を低く抑えることが出来る。その結果、
凹部40を備える流路材は、例えばドット形状のように細かく分断された流路材と比べて、分離膜エレメントの巻回時に分離膜から部分的に剥離した流路材の縁辺で分離膜本体を傷つけることがないため、除去性能に優れる。また、例えばストライプ状等の分離膜の内周側から外周側に向かって凹部を有さない連続した流路材と比べて、分離膜の剛性を低く抑えることが出来るため、集水管に対して高精度に隙間無く分離膜および流路材を巻回することができるため、集水管周囲封止部のシール不良による除去性能の低下を防ぐことが出来るばかりでなく、集水管長手方向への透過水流路を形成できることから、流動抵抗をより低減することができる利点がある。
具体的には、凹部40の最大深さは、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。
流路材高さおよび凹部の最大深さは、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000などを用いて断面サンプルから計測することができる。測定は任意の流路材が存在する箇所について実施し、各高さの値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めることができる。
また、本発明では加圧ろ過時における複数の流路材間の膜落ち込みを抑制する観点から、透過側流路材に設けられる凹部の最大幅と、集水管の長手方向において隣り合う流路材の間隔とが、凹部の最大幅/隣り合う流路材の間隔≦3.0 の関係式を満足することが好ましい。凹部の最大幅は、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000などを用いて平面サンプルから計測することができる。
測定は任意の流路材が存在する箇所について実施し、各距離の値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めることができる。
流路材の分離膜透過側の面に対する投影面積比は0.03以上0.85以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.2以上0.75以下、特に好ましくは、0.3以上0.6以下である。なお、投影面積比とは、分離膜を5cm×5cmで切り出し、分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる流路材の投影面積を、切り出し面積(25cm)で割った値である。投影面積比が0.03以上であることで、透過側流路の流動抵抗が低く抑えられ、投影面積比が0.85以下であることで、流路が安定に形成される。
図8に示す流路材43は、平面形状は直線状の壁状部材である。壁状部材は、互いに平行なストライプ状に配置されており、凹部40は千鳥状に配置されている。図11に示すように、膜面に垂直な平面における流路材43の断面は、上部が略半円形状である。図8に示すように、
過側流路材に設けられる凹部40は分離膜エレメントの巻回方向に対し、斜行した形状で配置することもできる。流路材の形状によっては凹部を斜行した形状で配置することにより、エレメント巻回性がさらに向上したり、流路材幅と凹部の幅とが均一になることで、流路材間の膜落ち込みをより抑制したりする効果が得られる。また、種々の角度の凹部を1枚の分離膜中に共存させることも採用できる。
図9に、連続形状の流路材の例を示す。図9に示すように、流路材44は、膜面方向に連続するネット状の部材である。
図7−図9のいずれに示す流路材のA−A断面図も、図10−図12の形状に変更可能である。つまり、異なる形態として説明した流路材の平面形状および断面形状、ならびに配置は、互いに組み合わせることができる。このように、流路材は、図7−図9の平面形状のいずれかを、図10−図12の断面形状のいずれかと任意に組み合わせることで得られる形態も、本発明の実施形態に含まれる。
3.分離膜の製造方法
3−1 分離膜本体
分離膜本体の製造方法については上述したが、簡単にまとめると以下のとおりである。良溶媒に樹脂を溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストして純水中に浸漬して多孔性支持層と基材を複合させる。その後、上述したように、多孔性支持層上に分離機能層を形成する。さらに、必要に応じて分離性能、透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリ、亜硝酸などの化学処理を施し、さらにモノマー等を洗浄し分離膜本体の連続シートを作製する。
3−2透過側流路材
透過側流路材を設ける工程は、分離膜製造のどの時点で行われてもよい。例えば、流路材は、基材上に多孔性支持層が形成される前に設けられてもよいし、多孔性支持層が設けられた後であって分離機能層が形成される前に設けられてもよいし、分離機能層が形成された後、上述の化学処理が施される前または後に行われてもよい。
流路材に含まれる各層を形成する工程には、塗布、印刷、噴霧、切削、型抜き等が採用される。また、使用される機材としては、ノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、ロール型コーター、押出型コーター、グラビア印刷機、噴霧器、ダイカットユニットなどが挙げられる。
4.分離膜エレメントの製造方法
4−1 概要
分離膜エレメントの製造には、従来のエレメント製作装置を用いることができる。また、エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭44−14216、特公平4−11928、特開平11−226366)に記載される方法を用いることができる。詳細には以下の通りである。
4−2 供給側流路の形成
供給側流路材が、ネット等の連続的に形成された部材である場合は、分離膜と供給側流路材とを重ね合わせることで、供給側流路を形成することができる。
また、分離膜本体に樹脂を直接塗布することで、不連続な、または連続な形状を有する供給側流路材を形成することができる。分離膜本体に固着された供給側流路材によって形成される場合も、供給側流路材の配置が分離膜の製造方法の一部と見なされてもよい。
また、分離膜本体を凹凸加工することで、流路を形成してもよい。凹凸加工法としては、エンボス成形、水圧成形、カレンダ加工といった方法が挙げられる。エンボス加工の条件、エンボス加工形状等は、求められる分離膜エレメントの性能等に応じて変更可能である。この凹凸加工は、分離膜の製造方法の一部と見なされてもよい。
4−3 分離膜の積層および巻回
1枚の分離膜を透過側面が内側を向くように折り畳んで貼り合わせることで、または2枚の分離膜を透過側面が内側を向くように重ねて貼り合わせることで、封筒状膜5が形成される。上述したように、封筒状膜は三辺が封止される。封止は、接着剤またはホットメルト等による接着、熱またはレーザによる融着等により実行できる。
分離膜を折り畳んで封筒状膜を形成する場合、折り目部分になる箇所に凹部を設けることで、分離膜への折り目付け性が向上し、封筒状膜周囲封止部のシール性が高められるため好ましい。折り目部分になる箇所に設けられる凹部は、折り畳まれた封筒状膜の巻回方向に対する厚みムラを低減し集水管周囲封止部のシール不良を改善するために設けられるため、分離膜本体の材料、分離膜の膜厚、流路材を構成する材料、流路材幅および流路の幅および形状に合わせて設計され、分離膜の幅方向に対し一部または全体に設けられる。
各透過側流路材に設けられる凹部は、分離膜全体または一部に設けられるが、分離膜の一部に設けられる場合は、巻回性向上の観点から、封筒状膜の巻回方向内側から50mm以上の範囲であることが好ましく、120mm以上の範囲であることがより好ましい。各透過側流路材に設けられる凹部の巻回方向(第2方向)内側からの長さ範囲を、集水管の外周長以上にすることで、封筒状膜および流路材を集水管に対して高精度に隙間無く巻回することができる。
また、巻回方向(第2方向)における凹部同士の間隔を、内側から外側にかけてその間隔を漸増させることで、巻回におけるエレメント外径(曲率)の変化に合わせて巻回することができるため好ましい。
同じく巻囲性向上の観点から、各透過側流路材に設けられる凹部は、集水管6の長手方向(第1方向)に対して、分離膜の両端部からそれぞれ20mm以上の範囲で設けられることが好ましく、50mm以上の範囲であることがより好ましい。分離膜の両端部つまり封筒状膜の封止部になる箇所の透過側流路材に凹部を形成することで、集水管周囲封止部のシール不良を抑制することが出来る。
凹部の透過側流路材の面に対する投影面積比は、巻囲性向上の効果を発現するために、0.01以上0.75以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.03以上0.5以下である。なお、凹部の透過側流路材の面に対する投影面積比とは、分離膜の面方向に平行な平面に投影した時に得られる流路材の投影面積を計測し、さらに流路材の面方向に平行な平面に投影した時に得られる凹部の投影面積を、流路材の投影面積で割った値である。
封筒状膜の形成に用いられる接着剤は、粘度が4〜15Pa・secの範囲内であることが好ましく、さらに5〜12Pa・secがより好ましい。分離膜にしわが発生すると、分離膜エレメントの性能が低下することがあるが、接着剤粘度が、15Pa・sec以下であることで、分離膜を集水管に巻囲するときに、しわが発生しにくくなる。また、接着剤粘度が4Pa・sec以上である場合、分離膜間からの接着剤の流出が抑制され、不要な部分に接着剤が付着する危険性が低下する。
接着剤の塗布量は、分離膜が集水管に巻囲された後に、接着剤が塗布される部分の幅が10mm以上100mm以下であるような量であることが好ましい。これによって、分離膜が確実に接着されるので、原流体の透過側への流入が抑制される。また、有効膜面積も比較的大きく確保することができる。
接着剤としてはウレタン系接着剤が好ましく、粘度を4〜15Pa・secの範囲とするには、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールとが、イソシアネート:ポリオール=1:1〜1:5の割合で混合されたものが好ましい。接着剤の粘度は、予め主剤、硬化剤単体、及び配合割合を規定した混合物の粘度をB型粘度計(JIS K 6833)で測定される。
こうして接着剤が塗布された分離膜は、封筒状膜の閉口部分が巻回方向内側に位置するように配置され、集水管の周囲に分離膜を巻きつけられる。こうして、分離膜がスパイラル状に巻回される。
4−4 その他の工程
分離膜エレメントの製造方法は、上述のように形成された分離膜の巻回体の外側に、フィルムおよびフィラメント等をさらに巻きつけることを含んでいてもよいし、集水管の長手方向における分離膜の端を切りそろえるエッジカット、端板の取り付け等のさらなる工程を含んでいてもよい。
5.分離膜エレメントの利用
分離膜エレメントは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることで、分離膜モジュールとして使用されてもよい。
また、上記の分離膜エレメント、モジュールは、それらに流体を供給するポンプや、その流体を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、例えば供給水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、分離膜エレメントの供給流路、透過流路の保持性も考慮すると、膜モジュールに原流体を透過する際の操作圧力は、0.2MPa以上、8MPa以下が好ましい。原流体温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、原流体pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
分離膜エレメントによって処理される流体は特に限定されないが、水処理に使用する場合、供給水としては、海水、かん水、排水等の500mg/L〜100g/LのTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」あるいは「質量比」で表される。定義によれば、0.45μmのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算できる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
A.分離膜の取扱性評価
分離膜本体の基材側に透過側流路材を固着させる加工工程において、長さ20mの加工を実施し、巻取機(中心コア外径3インチ)に巻き取った。その後、巻取機から分離膜を巻き出し、全長1.2mに定長カットした。カットした分離膜を折りたたみ長が0.6mで1辺が開口するように折りたたみ、分離膜シートの間に供給側流路材ネット(厚み500μm)を積層して、分離膜エレメントでの有効面積が0.5mになるように、幅260mmの封筒状膜2枚を作製した。封筒状膜の開口部側の所定部分を集水管の外周面に接着し、さらにスパイラル状に巻回することで巻回体を作製した。
その後、巻回体を開き流路材が破壊されている箇所を数え上げ、下記基準によって、分離膜の取扱性を評価した。なお◎および○を合格とし、分離膜の取扱性が優れていると評価した。
◎:透過側流路材の破壊箇所が0〜2箇所/巻回体1本
○:透過側流路材の破壊箇所が3〜5箇所/巻回体1本
△:透過側流路材の破壊箇所が6〜10箇所/巻回体1本
×:透過側流路材の破壊箇所が11箇所以上/巻回体1本
B.分離膜エレメントの巻回性評価(シール性)
分離膜本体の基材側に透過側流路材を固着させる加工工程において、長さ20mの加工を実施し、巻取機(中心コア外径3インチ)に巻き取った。その後、巻取機から分離膜を巻き出し、全長1.2mに定長カットした。カットした分離膜を折りたたみ長が0.6mで1辺が開口するように折りたたみ、分離膜シートの間に供給側流路材ネット(厚み500μm)を積層して、分離膜シートの集水管の長手方向の両側の端部にウレタン系接着剤(イソシアネート:ポリオール=1:3)を塗布した後、重ね合わせて、分離膜エレメントでの有効面積が0.5mになるように、幅260mmの封筒状膜2枚を作製した。封筒状膜の開口部側の所定部分を有孔集水管の外周面に接着し、さらにスパイラル状に巻回することで巻回体を作製した。巻回体の外周面にフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、ブラインシール取り付けを行い、直径2インチエレメントを作製した。
エレメントの接着剤が硬化した後、集水管の一端から真空ポンプを用いて−100kPaの圧力で真空吸引を行った。圧力が−100kPaになった段階で、真空ポンプとエレメントとをつなぐ配管に設けられたコックを閉じてエレメント内部の圧力を保持した。その後、下記基準によって、エレメントのシール性を評価した。なお◎および○を合格とし、分離膜の巻回性が優れていると評価した。
◎:15秒後のエレメント保持圧力が−80kPa以下
○:15秒後のエレメント保持圧力が−70kPa以下
△:15秒後のエレメント保持圧力が−50kPa以下
×:15秒後のエレメント保持圧力が0kPa以下
本評価はエレメント5本について実施し、その平均値を分離膜エレメントの巻回性とした。
C.透過側流路材の幅・間隔・凹部の幅
デジタルマイクロスコープ走査型電子顕微鏡(VHX−1000)(キーエンス製)を用いて10個の任意の透過側流路材の平面を100倍で写真撮影した。撮影された画像において、透過側流路材の幅、隣り合う透過側流路材の間隔および凹部の幅を測定した。
D.透過側流路材の高さ・凹部の最大深さ
デジタルマイクロスコープ走査型電子顕微鏡(VHX−1000)(キーエンス製)を用いて10個の任意の透過側流路材の断面を200倍で写真撮影した。撮影された画像において、透過側流路材の高さ、並びに凹部の最大深さ測定した。
E.透過側流路材凹部の角度
走査型電子顕微鏡(S−800)(日立製作所製)を用いて10個の任意の透過側流路材の凹部の平面を100倍で写真撮影した。撮影された画像において、透過側流路材凹部の角度を測定した。なお、透過側流路材の角度は、図8に示すように、集水管の長手方向を0°とした。
F.造水量および脱塩率
スパイラル型分離膜エレメントに、供給水として濃度250mg/L、pH6.5、温度25℃の食塩水を用い、操作圧力0.5MPaの条件下で1時間運転した。その後、同条件で5分間の運転を行うことで透過水を得た。
得られた透過水量から、分離膜エレメントあたり、かつ1日あたりの透水量(立方メートル)を造水量[m/日]とした。
また、供給水、得られた透過水の電気伝導度を、東亜電波工業株式会社製電気伝導度計を用いて測定し、実用塩分(S)を測定した。こうして得られた実用塩分を塩濃度とみなして、下記式を用いることで、脱塩率を求めた。
脱塩率(%)=100×{1−(透過水中の塩濃度/供給水中の塩濃度)}。
本評価はエレメント5本について実施し、その平均値を造水量、脱塩率とした。
(分離膜シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート長繊維からなる不織布(繊度:1.1dtex、厚み:90μm、通気度:1cc/cm/sec、繊維配向度:多孔性支持層側表層40°、多孔性支持層とは反対側の表層20°)上に、ポリスルホン15.7重量%のジメチルホルムアミド(DMF)溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに20℃の純水中に浸漬して5分間放置し、厚さ130μmの繊維補強ポリスルホン多孔性支持膜ロールを作製した。
その後、多孔性支持膜のポリスルホンがキャストされた面に、メタフェニレンジアミン(2.2重量%)・ε−カプロラクタム(4.5重量%)水溶液を塗布し、続いて、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.06重量%を含む25℃のn−デカン溶液を膜表面が完全に濡れるように塗布した。その後、膜から余分な溶液をエアブローで除去し、熱水洗浄(75℃)後、エアブローで液切りして分離膜本体である分離膜連続シートを得た。
(実施例1)
エチレン−ビニル酢酸共重合体けん化品(H−6822x)ペレットを190℃で溶融させた後、円周方向に溝高さの異なるグラビアロールを用いて、表1および図7に示す流路材形状になるように、分離膜の透過側の面に塗布し、加工部分と未加工部分が交互に現れるように長さ20mの加工を実施し、フリーロールを介して、一旦、巻取機に巻き取った。加工速度は5m/分とした。
その後、流路材を加工した分離膜シートを巻取機から巻き出し、加工部分と未加工部分がそれぞれ0.6m含まれるように全長1.2mに定長カットした。カットした分離膜を1辺が開口するように折りたたみ、分離膜シートの間に供給側流路材ネット(厚み500μm)を積層して、分離膜エレメントでの有効面積が0.5mになるように、幅260mmの封筒状膜2枚を作製した。封筒状膜の開口部側の所定部分を集水管の外周面に接着し、さらにスパイラル状に巻回することで巻回体を作製した。その後、巻回体を開き流路材の破損箇所を評価した結果、1箇所であり、取扱性に極めて優れた分離膜シートであった。
次いで、分離膜シートの集水管の長手方向の両側の端部にウレタン系接着剤(イソシアネート:ポリオール=1:3)を塗布した後、にスパイラル状に巻回することで巻回体を作製し、巻回体の外周面にフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、ブラインシール取り付けを行い、直径2インチエレメントを作製した。
該分離膜エレメントの巻回性(シール性)を評価した結果、エレメント保持圧力が−81kPaであり巻回性は良好であった。
さらに、該分離膜エレメントを繊維強化プラスチック製筒型圧力容器に入れて、脱塩率および造水量を測定したところ、エレメント性能は脱塩率98.4%、造水量0.27m/日であり、良好な性能を示した。
(実施例2〜3)
透過側流路材の凹部最大深さを変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。
流路材の破損箇所については、実施例2、3ではそれぞれ2箇所、4箇所であり、取扱性に優れた分離膜シートであった。エレメント保持圧力については、実施例2、3ではそれぞれ−76kPa、−74kPaであり、巻回性は良好であった
エレメント性能は表1に示すとおりであり、脱塩率および造水量が若干低下したもののいずれも良好な性能を示した。
(実施例4〜5)
透過側流路材の凹部最大幅を変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。
流路材の破損箇所については、実施例4、5ではそれぞれ4箇所、5箇所であり、取扱性に優れた分離膜シートであった。エレメント保持圧力については、実施例4、5ではそれぞれ−84kPa、−72kPaであり、巻回性は良好であった
エレメント性能は表1に示すとおりであり、脱塩率および造水量が若干低下したもののいずれも良好な性能を示した。
(実施例6)
透過側流路材の凹部の角度を集水管長手方向中心部から左右対称の角度となるように、それぞれ45°、135°(図8に示す形状)に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。
流路材の破損箇所については、1箇所であり、取扱性に極めて優れた分離膜シートであった。エレメント保持圧力については、−85kPaであり、巻回性は良好であった。
エレメント性能は表1に示すとおりであり、脱塩率および造水量のいずれも極めて良好な性能を示した。
(実施例7)
透過側流路材の高さ、幅、間隔、凹部の最大幅を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。
流路材の破損箇所については、2箇所であり、取扱性に優れた分離膜シートであった。エレメント保持圧力については、−78kPaであり、巻回性は良好であった。
エレメント性能は表1に示すとおりであり、脱塩率および造水量が若干低下したもののいずれも良好な性能を示した。
(実施例8)
透過側流路材形状をネット状とし、透過側流路材の高さ、幅、間隔、凹部の最大幅を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。
流路材の破損箇所については、3箇所であり、取扱性に優れた分離膜シートであった。エレメント保持圧力については、−71kPaであり、巻回性は良好であった。
エレメント性能は表1に示すとおりであり、脱塩率および造水量が若干低下した。
(実施例9) エチレン−ビニル酢酸共重合体けん化品(H−6822x)ペレットを190℃で溶融させた後、ギアポンプにより、櫛形シム(スリット幅0.4mm、ピッチ0.8mm)が装填されたアプリケーターに溶融樹脂を供給した。
次いで、櫛形シムから溶融樹脂を吐出させ、表1に示す流路材形状になるように、分離膜シートの透過側に透過側流路材をストライプ状に間欠加工し、加工部分と未加工部分が交互に現れるように長さ20mの加工を実施し、フリーロールを介して、一旦、巻取機に巻き取った。なお加工速度は10m/分とした。
その後、流路材を加工した分離膜シートを巻取機から巻き出し、ロータリーダイカット装置を用いて表1に示す凹部形状になるように加工部分に溝入れ加工を行い、再度巻取機に巻き取った。
次いで、凹部形状を有する流路材を加工した分離膜シートを巻取機から巻き出し、実施例1と同様に、加工部分と未加工部分がそれぞれ0.6m含まれるように全長1.2mに定長カットした。カットした分離膜を1辺が開口するように折りたたみ、分離膜シートの間に供給側流路材ネット(厚み500μm)を積層して、分離膜エレメントでの有効面積が0.5mになるように、幅260mmの封筒状膜2枚を作製した。封筒状膜の開口部側の所定部分を集水管の外周面に接着し、さらにスパイラル状に巻回することで巻回体を作製した。その後、巻回体を開き流路材の破損箇所を評価した結果、破損箇所はなく、取扱性に極めて優れた分離膜シートであった。
次いで、分離膜シートの集水管の長手方向の両側の端部にウレタン系接着剤(イソシアネート:ポリオール=1:3)を塗布した後、にスパイラル状に巻回することで巻回体を作製し、巻回体の外周面にフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、ブラインシール取り付けを行い、直径2インチエレメントを作製した。
該分離膜エレメントの巻回性(シール性)を評価した結果、エレメント保持圧力が−82kPaであり巻回性は良好であった。
さらに、該分離膜エレメントを繊維強化プラスチック製筒型圧力容器に入れて、脱塩率および造水量を測定したところ、エレメント性能は脱塩率98.0%、造水量0.25m/日であり、良好な性能を示した。
(実施例10)
エチレン−ビニル酢酸共重合体けん化品(H−6822x)ペレットを190℃で溶融させた後、ギアポンプにより、櫛形シム(スリット幅0.4mm、ピッチ0.8mm)が装填されたアプリケーターに溶融樹脂を供給した。
次いで、櫛形シムから溶融樹脂を吐出させ、表1に示す流路材形状になるように、分離膜シートの透過側に透過側流路材をストライプ状に20m連続加工し、フリーロールを介して、一旦、巻取機に巻き取った。なお加工速度は10m/分とした。
その後、流路材を加工した分離膜シートを巻取機から巻き出し、ロータリーダイカット装置を用いて表1に示す凹部形状になるように加工部分に溝入れ加工を行い、再度巻取機に巻き取った。
次いで、凹部形状を有する流路材を加工した分離膜シートを巻取機から巻き出し、全長1.2mに定長カットした。カットした分離膜を折りたたみ長が0.6mで1辺が開口するように折りたたみ、分離膜シートの間に供給側流路材ネット(厚み500μm)を積層して、分離膜エレメントでの有効面積が0.5mになるように、幅260mmの封筒状膜2枚を作製した。封筒状膜の開口部側の所定部分を集水管の外周面に接着し、さらにスパイラル状に巻回することで巻回体を作製した。その後、巻回体を開き流路材の破損箇所を評価した結果、破損箇所はなく、取扱性に極めて優れた分離膜シートであった。
次いで、分離膜シートの集水管の長手方向の両側の端部にウレタン系接着剤(イソシアネート:ポリオール=1:3)を塗布した後、にスパイラル状に巻回することで巻回体を作製し、巻回体の外周面にフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、ブラインシール取り付けを行い、直径2インチエレメントを作製した。
該分離膜エレメントの巻回性(シール性)を評価した結果、エレメント保持圧力が−89kPaであり巻回性は良好であった。
さらに、該分離膜エレメントを繊維強化プラスチック製筒型圧力容器に入れて、脱塩率および造水量を測定したところ、エレメント性能は脱塩率98.2%、造水量0.27m/日であり、良好な性能を示した。
(比較例1)
透過側流路材の凹部を設けない以外は、実施例1と同様に評価を行った。
流路材の破損箇所については、2箇所であり、取扱性に優れた分離膜シートであったが、分離膜本体の剛性が高いためシール性が悪化し、エレメント保持圧力については、−55kPaであった。
エレメント性能は表1に示すとおりであり、シール性不良により脱塩率が大幅に低下した。
(比較例2)
透過側流路材形状をドット状とし、透過側流路材の高さ、幅、間隔を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様に評価を行った。
透過側流路材が分離膜の内周側から外周側に向かって連続した形状でないため、巻回時の曲率変化で流路材の一部が基材から剥離し、流路材の破損箇所については、28箇所であり、取扱性が大幅に低下した。一方で、エレメント保持圧力については、−72kPaであり、巻回性は良好であった。
エレメント性能は表1に示すとおりであり、巻回時に分離膜から部分的に剥離した流路材の縁辺で分離膜本体を傷つけたため、脱塩率が大幅に低下した。
Figure 2015142899
Figure 2015142899
本発明の分離膜エレメントは、特にかん水や海水の脱塩や飲料水の製造に好適に用いることができる。
1:分離膜エレメント
2:供給側流路材
3、31:分離膜
30、301、302 :分離膜本体
4、41−44:透過側流路材
40 :透過側流路材に設けられた凹部
5 :封筒状膜
6 :集水管
7 :供給水(原流体)
8 :透過水
9 :濃縮水
11、15 :基材
12 :多孔性支持層
13、16 :分離機能層
17 :供給側の面
18 :透過側の面

Claims (4)

  1. 集水管と、供給側の面および透過側の面を有し前記集水管の周囲に巻囲された分離膜リーフと、前記分離膜の透過側の面に固着した流路材と、を備える分離膜エレメントであって、
    透過側流路材は分離膜の内周側から外周側に向かって連続した形状であり、
    かつ流路材上面から分離膜方向へ凹部が設けられている分離膜エレメント。
  2. 前記透過側流路材の凹部最大深さが、前記流路材高さの50%以上である請求項1記載の分離膜エレメント。
  3. 前記透過側流路材に設けられる凹部が、上記分離膜エレメントの巻回方向に対して0〜180°の角度で設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の分離膜エレメント。
  4. 前記分離膜が、基材、前記基材上に形成された多孔性支持層、および前記多孔性支持層上に形成された分離機能層を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜エレメント。
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