JP2015142911A - 分離膜および分離膜エレメント - Google Patents
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Abstract
【課題】分離膜エレメントについて、透過側の流動抵抗を低減することと、高圧下での長期運転時におけるエレメント性能の安定性を両立することができる分離膜エレメントを提供することを目的とする。【解決手段】供給側の面と透過側の面とを備える分離膜本体2と、前記分離膜本体の透過側の面に固着された複数の突起物3と、を備え、突起物3の横断面は、外周が丸みを帯びており、かつ、点A、点Cおよび点Eを結ぶ円Gの半径、または点A、点Dおよび点Fの3点を結ぶ円Hの半径が、0.1mm以上0.5mm以下である。【選択図】図5
Description
本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用する分離膜エレメントに関する。
液体、気体等の流体に含まれる成分を分離する方法としては、様々なものがある。例えば海水、かん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術を例にとると、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径および分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜などに分類される。これらの膜は、例えば海水、かん水または有害物を含んだ水などからの飲料水の製造、工業用超純水の製造、排水処理、有価物の回収などに用いられている。
分離膜エレメントは、分離膜の一方の面に原流体が供給され、他方の面から透過流体を得る。多数の分離膜を束ねて分離膜エレメントに組み込むことで、1つの分離膜エレメントあたりの膜面積を大きくすることができ、その結果、1つの分離膜エレメントあたりの透過流体の製造量を大きくすることができる。現在、分離膜エレメントとしては、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、および平膜集積型などの各種形態が提案されている。
例えば、逆浸透ろ過に用いられる流体分離膜エレメントには、原流体を分離膜表面へ供給する供給側流路材、原流体に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し供給流体から分離された透過流体を中心管へと導くための透過側流路材が組み込まれている。供給側流路材としては、高分子製のネットなどが使用されている。また、透過側流路材としては、分離膜の落ち込みを防き、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも間隔が細かいトリコットと呼ばれる編み物部材が使用されている。分離膜は、透過側流路材の両面に重ね合わせて貼り合わされることで、封筒状膜を形成する。封筒状膜の内側は透過流体の流路を構成している。封筒状膜は、供給側流路材と交互に積層され、開口部側の所定部分を集水管の外周面に接着しスパイラル状に巻囲される。
分離膜エレメントを高性能化するために、透過側流路材の流動抵抗を低減する手法として、特許文献1では、分離膜の透過側の面に分離膜とは異素材の透過側流路材を配置させることが記載されており、特許文献2では、透過側流路材を分離膜の一端から他端まで連続するように設けることが提案されている。特許文献2では、透過側流路材の幅方向断面形状の例として、台形および径:0.5mmの半円が記載されている。
特許文献1および2に記載の方法により、透過側の流動抵抗を低減することができ、エレメントの初期性能を向上させることができるものの、長期的な安定性の維持については、改善の余地がある。
本発明は、分離膜エレメントについて、透過側の流動抵抗を小さくすることと、高圧下において長期運転した場合においても、膜に損傷を与えることなく、安定的に運転することを両立することができる分離膜エレメントを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、供給側の面と透過側の面とを備える分離膜本体と、前記分離膜本体の透過側の面に固着された複数の突起物と、を備える分離膜であって、
前記突起物は、
前記分離膜本体の面内第1方向における長さが、前記第1方向に垂直な第2方向における長さよりも大きく、
前記第2方向において、互いに間隔をおいて配置されており、
前記第1方向に垂直な断面において、前記分離膜本体に固着していない周の少なくとも一部が、丸みを帯びており、かつ、
前記断面において、下記点A、点Cおよび点Eを結ぶ円Gの半径、または点A、点Dおよび点Fの3点を結ぶ円Hの半径の少なくとも一方が、0.1mm以上0.5mm以下である。
前記突起物は、
前記分離膜本体の面内第1方向における長さが、前記第1方向に垂直な第2方向における長さよりも大きく、
前記第2方向において、互いに間隔をおいて配置されており、
前記第1方向に垂直な断面において、前記分離膜本体に固着していない周の少なくとも一部が、丸みを帯びており、かつ、
前記断面において、下記点A、点Cおよび点Eを結ぶ円Gの半径、または点A、点Dおよび点Fの3点を結ぶ円Hの半径の少なくとも一方が、0.1mm以上0.5mm以下である。
点A:前記分離膜本体に固着していない周の頭頂部、
点B:点Aから前記突起物の固着している分離膜本体に対して垂直に下ろした垂点、
点C、点D:前記突起物が前記分離膜本体と接している端点、
点E:点Aと点Cとを結ぶ周の長さを2等分する点
点F:点Aと点Dとを結ぶ周の長さを2等分する点
点B:点Aから前記突起物の固着している分離膜本体に対して垂直に下ろした垂点、
点C、点D:前記突起物が前記分離膜本体と接している端点、
点E:点Aと点Cとを結ぶ周の長さを2等分する点
点F:点Aと点Dとを結ぶ周の長さを2等分する点
本発明の分離膜エレメントによると、透過側流動抵抗の低減と、高圧下で運転と停止とを繰り返したときのエレメント性能の安定性を両立させることができる。
以下、本発明の実施の一形態について、詳細に説明する。
なお、本書において、「XがYを主成分として含有する」とは、XにおけるYの含有率が、50重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、又は95重量%以上であることを意味する。また、Yに該当する複数の成分が存在する場合は、それら複数の成分の合計量が、上述の範囲を満たせばよい。
〔1.分離膜〕
(1−1)概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。分離膜は、分離膜本体と、分離膜本体上に配置された突起物とを備えていてもよい。
(1−1)概要
分離膜とは、分離膜表面に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得ることができる膜である。分離膜は、分離膜本体と、分離膜本体上に配置された突起物とを備えていてもよい。
このような分離膜の例として、本実施形態の分離膜1は、図1−図2に示すように、分離膜本体2と突起物3とを備える。分離膜本体2は、供給側の面21と透過側の面22とを備える。
本書において、分離膜本体の「供給側の面」とは、分離膜本体の2つの面のうち、原流体が供給される側の表面を意味する。「透過側の面」とは、その逆側の面を意味する。後述するように、分離膜本体が基材及び分離機能層を備える場合は、一般的に、分離機能層側の面が供給側の面であり、基材側の面が透過側の面である。
突起物3は、透過側の面22上に、流路を形成するように設けられている。分離膜1の各部の詳細については後述する。
本書において、分離膜の「長さ方向」とは図中に示すy軸方向であり、第1方向と称されることもある。また、分離膜の「幅方向」とは図中に示すx軸方向であり、第2方向と称されることもある。また、z軸は、分離膜の厚さ方向に相当する。
(1−2)分離膜本体
<概要>
分離膜本体としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜本体は、単一層によって形成されていてもよいし、分離機能層と基材とを備える複合膜であってもよい。また、複合膜においては、分離機能層と基材との間に、多孔性支持層が設けられていてもよい。
<概要>
分離膜本体としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜本体は、単一層によって形成されていてもよいし、分離機能層と基材とを備える複合膜であってもよい。また、複合膜においては、分離機能層と基材との間に、多孔性支持層が設けられていてもよい。
<分離機能層>
分離機能層の厚みは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5〜3000nmであることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5〜300nmであることが好ましい。
分離機能層の厚みは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5〜3000nmであることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5〜300nmであることが好ましい。
分離機能層の厚みは、これまでの分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することで、厚みの測定が可能である。また、分離機能層がひだ構造を有する場合、多孔性支持層より上に位置するひだ構造の断面長さ方向に50nm間隔で測定し、ひだの数を20個測定し、その平均から求めることができる。
分離機能層は、分離機能および支持機能の両方を有する層であってもよいし、分離機能のみを備えていてもよい。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を備える層を指す。
分離機能層が分離機能および支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、またはポリスルホンを主成分として含有する層が好ましく適用される。
一方、多孔性支持層分離機能層としては、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという点で架橋高分子が好ましく使用される。特に、原流体中の成分の分離性能に優れるという点で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層、有機無機ハイブリッド機能層などが好適に用いられる。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成可能である。
例えば、分離機能層は、ポリアミドを主成分として含有することができる。このような膜は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することで形成される。例えば、多孔性支持層に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで、ポリアミド分離機能層が得られる。
また、分離機能層は、Si元素などを有する有機−無機ハイブリッド構造を有してもよい。有機無機ハイブリッド構造を有する分離機能層は、例えば、以下の化合物(A)、(B):
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)前記化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物
を含有することができる。具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合体中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに
(B)前記化合物(A)以外の化合物であってエチレン性不飽和基を有する化合物
を含有することができる。具体的には、分離機能層は、化合物(A)の加水分解性基の縮合物ならびに化合物(A)および/または(B)のエチレン性不飽和基の重合物を含有してもよい。すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/または重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
のうちの少なくとも1種の重合物を含有することができる。なお、重合物には縮合物が含まれる。また、化合物(A)と化合物(B)との共重合体中で、化合物(A)は加水分解性基を介して縮合していてもよい。
ハイブリッド構造は、公知の方法で形成可能である。ハイブリッド構造の形成方法の一例は次のとおりである。化合物(A)および化合物(B)を含有する反応液を多孔性支持層に塗布する。余分な反応液を除去した後、加水分解性基を縮合させるためには、加熱処理すればよい。化合物(A)および化合物(B)のエチレン性不飽和基の重合方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射を行えばよい。重合速度を速める目的で分離機能層形成の際に重合開始剤、重合促進剤等を添加することができる。
なお、いずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させてもよい。
<多孔性支持層>
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
多孔性支持層に使用される材料やその形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基板上に形成されてもよい。多孔性支持層としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂あるいはそれらを混合、積層したものが使用され、化学的、機械的、熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいポリスルホンを使用することが好ましい。
多孔性支持層は、分離膜に機械的強度を与え、かつイオン等の分子サイズの小さな成分に対して分離膜のような分離性能を有さない。多孔性支持層の有する孔のサイズおよび孔の分布は特に限定されないが、例えば、多孔性支持層は、均一で微細な孔を有してもよいし、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面にかけて径が徐々に大きくなるような孔径の分布を有してもよい。また、いずれの場合でも、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡または電子顕微鏡などを用いて測定された細孔の投影面積円相当径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。特に界面重合反応性および分離機能層の保持性の点で、多孔性支持層において分離機能層が形成される側の表面における孔は、3〜50nmの投影面積円相当径を有することが好ましい。
多孔性支持層の厚みは特に限定されないが、分離膜に強度を与えるため等の理由から、20μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下である。
多孔性支持層の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真に基づいて、多孔性支持層の膜厚、表面の投影面積円相当径を測定することができる。
多孔性支持層の厚み、孔径は、平均値であり、多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、200個の孔について測定された、各投影面積円相当径の平均値である。
次に、多孔性支持層の形成方法について説明する。多孔性支持層は、例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、製造することができる。
多孔性支持層は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成される。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒は調整可能である。
例えば、所定量のポリスルホンをDMFに溶解し、所定濃度のポリスルホン樹脂溶液を調製する。次いで、このポリスルホン樹脂溶液をポリエステル布あるいは不織布からなる基材上に略一定の厚さに塗布した後、一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、凝固液中でポリスルホンを凝固させることによって得ることができる。
<基材>
分離膜本体の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜本体は基材を有してもよい。基材としては、強度、凹凸形成能および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
分離膜本体の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜本体は基材を有してもよい。基材としては、強度、凹凸形成能および流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は、優れた製膜性を有するので、高分子重合体の溶液を流延した際に、その溶液が過浸透により裏抜けすること、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じることを抑制できる。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布と比べて、高分子溶液流延時に繊維の毛羽立ちによって起きる不均一化および膜欠点の発生を抑制することができる。さらに、分離膜は、連続製膜されるときに、製膜方向に対し張力がかけられるので、寸法安定性に優れる長繊維不織布を基材として用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現されるだけでなく、分離膜に凹凸を付与する際の、多孔性支持層と基材とを含む積層体としての成形性も向上し、分離膜表面の凹凸形状が安定するので好ましい。
より具体的には、長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°〜25°であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°〜90°であることが好ましい。
分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において、収縮は顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°〜90°であると、熱による幅方向の変化を抑制することもでき、好ましい。
ここで、繊維配向度とは、多孔性支持層を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標である。具体的には、繊維配向度とは、連続製膜を行う際の製膜方向、つまり不織布基材の長手方向と、不織布基材を構成する繊維との間の角度の平均値である。つまり、繊維の長手方向が製膜方向と平行であれば、繊維配向度は0°である。また、繊維の長手方向が製膜方向に直角であれば、すなわち不織布基材の幅方向に平行であれば、その繊維の配向度は90°である。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は以下のように測定される。まず、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。次に、そのサンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影する。撮影像の中で、各サンプルあたり10本を選び、不織布の長手方向(縦方向、製膜方向)を0°としたときの角度を測定する。つまり1つの不織布あたり計100本の繊維について、角度の測定が行われる。こうして測定された100本の繊維についての角度から平均値を算出する。得られた平均値の小数点以下第一位を四捨五入して得られる値が、繊維配向度である。
基材の厚みは、基材と多孔性支持層との厚みの合計が、0.03〜0.3mmの範囲内、または0.05〜0.25mmの範囲内となる程度に設定されることが好ましい。
(1−3)透過側流路材
透過側流路材は、分離膜本体の透過側の面に設けられた突起物であってもよく、空隙を有するシートに突起物が設けられたものであってもよい。ここでは、分離膜本体の透過側の面に設けられた突起物について述べる。
透過側流路材は、分離膜本体の透過側の面に設けられた突起物であってもよく、空隙を有するシートに突起物が設けられたものであってもよい。ここでは、分離膜本体の透過側の面に設けられた突起物について述べる。
<突起物>
分離膜本体の透過側の面には、透過側流路を形成するように突起物が設けられる。「透過側の流路を形成するように設けられる」とは、分離膜が後述の分離膜エレメントに組み込まれたときに、分離膜本体を透過した透過流体が集水管に到達できるように、突起物が形成されていることを意味する。
分離膜本体の透過側の面には、透過側流路を形成するように突起物が設けられる。「透過側の流路を形成するように設けられる」とは、分離膜が後述の分離膜エレメントに組み込まれたときに、分離膜本体を透過した透過流体が集水管に到達できるように、突起物が形成されていることを意味する。
突起物3は、分離膜本体2とは異なる素材で形成されることが好ましい。異なる素材とは、分離膜本体2で使用される材料とは異なる組成を有する材料を意味する。特に、突起物3の組成は、分離膜本体2のうち、流路材3が形成されている面の組成とは異なることが好ましく、分離膜本体2を形成するいずれの層の組成とも異なることが好ましい。
突起物3は、例えばロール型コーター、ノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、グラビア法、押出型コーター、印刷、噴霧などを用いることで形成するができる。
突起物3を構成する成分としては特に限定されないが、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや共重合ポリオレフィンなどが好ましく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーも選択でき、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。特に、熱可塑性樹脂は成形が容易であるため、均一な形状の突起物を形成することができる。
突起物3の形成方法として、例えばグラビア法を用いる場合、要求される形状を満足するように彫刻したグラビアロールを用い、用いる樹脂の種類を変更することや流路材形成後に冷却過程や圧縮工程を追加することで、形状を自由に調整することができる。
突起物3の幅および流路5の幅および形状は、用いるグラビアロールの溝幅、線幅によって調整することが可能である。
このような突起物は、透過側の流路を形成する点で、少なくとも幅方向に対して不連続であることが好ましい。「不連続」とは、突起物3を分離膜本体2から剥離すると、複数の突起物3が互いに分かれる構造であることを指す。これに対して、ネット、トリコットおよびフィルム等の部材は、分離膜本体2から分離されても一体として連続した形状を有する。
分離膜は、分離膜エレメントにおいて、第1方向が巻回方向と一致するように配置されることが好ましい。つまり、分離膜エレメントにおいて、分離膜は、幅方向が集水管9の長手方向に平行であり、第1方向が集水管9の長手方向に直交するように配置されることが好ましい。
図1に示す例では、突起物3は、幅方向において不連続に設けられると共に、第1方向においては、分離膜本体2の一端から他端まで連続するように設けられている。つまり、図3のように分離膜エレメントに分離膜が組み込まれたときに、図2の突起物3は、巻回方向における分離膜1の内側端部から外側端部まで連続するように配置される。巻回方向の内側とは、分離膜において集水管に近い側であり、巻回方向の外側とは、分離膜において集水管から遠い側である。
図1,図2のいずれにおいても、突起物3は、分離膜本体2の面内第1方向(つまり長さ方向)における長さが、前記第1方向に垂直な第2方向(つまり幅方向)における長さよりも大きい。これによって、透過水を効率良く集水管へ運ぶことができる。
分離膜を透過した透過水は、隣り合う突起物3の間隔を流れるため、透過側流路の流動抵抗を小さくするには、流路5の断面積および代表径を大きくすることが有効である。しかし、突起物3の高さを高くすると、分離膜エレメント内に充填可能な膜面積が小さくなってしまう。また、隣り合う突起物3の間隔を広くし、流路5の幅を広くすると、加圧ろ過時に分離膜本体の流路5への落ち込みが大きくなってしまい、流路を閉塞するため、結果として透過側流路の流動抵抗が大きくなってしまう。また、流路5の数を増やすことで、一つの流路に流れる透過水の量が減少するため、流動抵抗を小さくすることができる。流路5の数は、突起物3の幅と隣り合う突起物の間隔の和を小さくすることで増やすことができるが、突起物3の幅を小さくすると、突起物3の加圧ろ過時の変形が大きくなってしまい、流路5の幅を小さくすると、流動抵抗は大きくなってしまうため、それらを考慮し、適宜調整する必要がある。
流路5の幅が大きいと、流路が広くなるため、圧力損失は小さくなるという利点がある。その一方で、間隔が小さいと、膜落ち込みが生じにくくなるという利点がある。それらのバランスから、間隔は0.2〜1.5mmであることが好ましく、この範囲であれば、膜落ち込みを防止できるうえに、圧力損失を小さくすることができる。より好ましくは0.3〜1mmであり、さらに好ましくは0.4〜0.8mmである。
突起物3の幅方向における断面(つまり長さ方向に垂直な断面)の形状としては、流路5の流動抵抗を少なく、かつ加圧ろ過時の分離膜本体の落ち込みを抑制することができ、かつ長期間に亘って透過水の流路および水質を安定的に保つことができるような形状が好ましい。
本発明の実施形態においては、幅方向における突起物の断面形状が、分離膜本体に固着していない部分の周の少なくとも一部が丸みを帯びている。また、この断面において、下記点A、点Cおよび点Eを結ぶ円Gの半径、または点A、点Dおよび点Fの3点を結ぶ円Hの半径の少なくとも一方が、0.1mm以上0.5mm以下である。
点A:前記分離膜本体に固着していない周の頭頂部、
点B:点Aから前記突起物の固着している分離膜本体に対して垂直に下ろした垂点、
点C、点D:前記突起物が前記分離膜本体と接している端点、
点E:点Aと点Cとを結ぶ周の長さを2等分する点
点F:点Aと点Dとを結ぶ周の長さを2等分する点
突起物3の断面幅方向の形状として、膜面と接していない周の少なくとも一部が丸みを帯びていることによって、分離膜エレメントにした際に、高圧の運転条件において運転と停止を長期間繰り返しても、膜に損傷を及ぼすことなく、安定的に透過水の水質を保つことができる。そのような断面形状として、具体的には半楕円型、ドーム型、角丸長方形、角丸台形等が挙げられる。
点A:前記分離膜本体に固着していない周の頭頂部、
点B:点Aから前記突起物の固着している分離膜本体に対して垂直に下ろした垂点、
点C、点D:前記突起物が前記分離膜本体と接している端点、
点E:点Aと点Cとを結ぶ周の長さを2等分する点
点F:点Aと点Dとを結ぶ周の長さを2等分する点
突起物3の断面幅方向の形状として、膜面と接していない周の少なくとも一部が丸みを帯びていることによって、分離膜エレメントにした際に、高圧の運転条件において運転と停止を長期間繰り返しても、膜に損傷を及ぼすことなく、安定的に透過水の水質を保つことができる。そのような断面形状として、具体的には半楕円型、ドーム型、角丸長方形、角丸台形等が挙げられる。
突起物3の断面幅方向の形状が長方形や台形のような丸みを有しない形状あれば、分離膜本体と突起物3の接触面積を大きくすることができるため、加圧ろ過時に突起物に加わる圧力による突起物3の変形を抑制することができ、また、隣り合う突起物の間隔を小さくすることができる。その結果、加圧ろ過時の分離膜本体の落ち込みを抑制することができる。
その一方で、断面形状における外形が丸みを帯びている場合、高圧力下での長期間運転と停止とを繰り返しても、膜の損傷およびそれに起因するエレメント性能の低下を起こしにくい。
また、突起物3の幅方向の断面積が一定である場合、上記円Gおよび円Hの半径が小さいことで、透過側流路材における突起物の上部と分離膜とが接する部分の幅と、透過側流路材における突起物下部と分離膜とが接する部分の幅との差が小さくなるので、加圧ろ過時の分離膜の透過側流路への落ち込みを効果的に抑制することができる。
上記円Gおよび円Hの半径が小さくなることは、突起物3の形状が台形や長方形に近くなる、または、突起物3の断面積が小さくなることを意味し、半径が大きくなることは、突起物3の形状が三角形に近くなる、または、突起物3の断面積が大きくなることを意味する。
上記円Gおよび円Hの少なくとも一方の半径が0.1mm以上であると、流路5の断面積を十分に確保することができるので、透過側の流動抵抗を小さくできる。また、上記円Gおよび円Hの少なくとも一方の半径が0.5mm以下であることで、(1)流路5の流路材が設けられていない膜面側においても、隣りあう流路材3の間隔を小さくすることができ、分離膜本体の加圧ろ過時の落ち込みが小さくなるか、(2)突起物3の高さが小さくなるので、1つのエレメント当たりの膜数を多くすることで十分な膜面積を確保することができるか、あるいは(3)突起物3の幅が小さくなることで、一つの流路5を流れる透過水の量が少なくなるので、透過側の流動抵抗が小さくなる。
上記円Gおよび円Hの半径は両方ともが0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。円Gおよび円Hの両方の半径がこの範囲であることによって、上述の理由によりどちらか一方のみがこの範囲にある場合に比べて、より流動抵抗を小さく、また、長期安定性を保つことができる。
上記円Gおよび円Hの半径の差は0.1mm以内であることが好ましい。円Gおよび円Hの半径の差がこの範囲であることによって、上述の理由により、より流動抵抗を小さく、また、長期安定性を保つことができる。
上記線分ABの長さ(突起物3の高さ)は、0.5mm以上0.8mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.12mm以上0.4mm以下である。これらの範囲であれば、安定した膜面積を保つことができ、また、流動抵抗の点で安定した透過水流量を確保することができる。
上記線分CDの長さ(突起物3の幅)が大きいと、分離膜エレメントの運転時に突起物3に圧力がかかっても、突起物3の形状を保持することができ流路5が安定的に形成される。小さいと、流路5の幅が相対的に大きくなるために、透過水の流速を小さくすることができ、流動抵抗を小さくすることができる。線分CDの長さは、好ましくは0.1mm以上1mm以下であり、より好ましくは0.15mm以上0.5mm以下である。
上記線分ABと線分CDの長さの比((線分ABの長さ)/(線分CDの長さ))は、小さいほど分離膜エレメントに充填可能な膜面積が大きくなる。一方で、この比が大きいほど流路5の断面積が大きくなるので透過側の流動抵抗が小さくなる。(線分ABの長さ)/(線分CDの長さ)は、0.4以上1.5以下であることが好ましい。この範囲であれば、膜面積の確保と流動抵抗の低減の点で分離膜エレメントの透過水量を十分確保することができる。
線分ABの長さや線分CDの長さ、円Gおよび円Hの半径等は、マイクロスコープや画像解析ソフトImageJなどを用いることで計測することができる。
また、突起物3の分離膜平面方向における形状は、例えば、図1に示すように直線状であってもよく、曲線状、波線状であってもよい。
また、突起物3の分離膜の平面方向における形状が直線状である場合、隣り合う突起物は、互いに略平行に配置されていてもよい。「略平行に配置される」とは、例えば、突起物が分離膜上で交差しなければよく、好ましくは隣り合う2つの突起物の長手方向のなす角度が0°以上30°以下であること、より好ましくは上記角度が0°以上15°以下であること、さらに好ましくは上記角度が0°以上5°以下である。
また、突起物3の長手方向と集水管の長手方向との成す角度は、60°以上120°以下であることが好ましく、75°以上105°以下であることがより好ましく、85°以上95°以下であることがさらに好ましい。突起物3の長手方向と集水管の長手方向との成す角度が上記範囲であることで、透過水が効率良く集水管に集められる。
透過側に設けられた突起物3が、分離膜エレメントに組み込まれたときに、透過流体の良好な回収率を得るために、透過側の流路は、分離膜1の一端から他端まで連続するように設けられていてもよい。このような構成の一例として、流路5は長さ方向において連続的に形成されている。このような流路5は、複数の突起物3が幅方向において不連続に配置されていることによって形成される。
突起物3は分離膜中に、より具体的には基材中に、突起物3の成分が含浸していてもよい。分離膜の基材側、すなわち透過側に突起物3を配置すると、分離膜の裏側から表側に向かって突起物3の含浸が進行する。含浸が進行するにつれて突起物3と基材との接着が強固になり、加圧ろ過しても突起物3が基材から剥離しにくくなる。
ただし、突起物3の成分が基材に浸透し、多孔性支持層の分離機能層の近傍まで含浸していると、加圧ろ過した際に含浸した突起物3が分離機能層を破壊することがある。そのため、突起物3の成分が基材に含浸している場合、基材の厚みに対する突起物の含浸厚みの割合(すなわち含浸率)は、5〜95%の範囲であることが好ましく、10〜80%の範囲であることがより好ましく、20〜60%の範囲であることがさらに好ましい。なお、含浸厚みとは、1つの断面において、1つの突起物3に対応する含浸部の厚みの最大値を意味する。
突起物3の含浸厚みは、例えば、突起物3を構成する材料の種類(より具体的には樹脂の種類)および/または材料の量を変更することで、調整可能である。
なお、突起物3の含浸部を含む基材を示差走査熱量測定といった熱分析に供することにより、基材とは別に突起物3の成分に起因するピークが得られれば、突起物3が基材に含浸していることを確認することができる。
突起物3の基材への含浸率は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡により、突起物3が存在する分離膜の断面を観察して突起物3含浸厚みと基材厚みを算出することができる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば分離膜を突起物3と共に深さ方向に切断し、断面を走査型電子顕微鏡で観察して、含浸厚みと基材厚みを測定する。そして、基材で突起物が最も含浸している最大含浸厚みと基材厚みとの比から算出できる。なお、含浸深さを算出する場合の「基材厚み」とは、最大含浸厚みを測定した部分に対応する基材の厚みである。
〔2.分離膜エレメント〕
(2−1)概要
図3に示すように、分離膜エレメント100は、集水管9と、上述したいずれかの構成を備え、集水管9の周囲に巻回された分離膜1を備える。また、分離膜エレメント100は、図示しない端板等の部材をさらに備える。
(2−1)概要
図3に示すように、分離膜エレメント100は、集水管9と、上述したいずれかの構成を備え、集水管9の周囲に巻回された分離膜1を備える。また、分離膜エレメント100は、図示しない端板等の部材をさらに備える。
(2−2)分離膜
分離膜1は、集水管9の周囲に巻回されており、幅方向が集水管9の長手方向に沿うように配置される。その結果、分離膜1は、長さ方向が巻回方向に沿うように配置される。
分離膜1は、集水管9の周囲に巻回されており、幅方向が集水管9の長手方向に沿うように配置される。その結果、分離膜1は、長さ方向が巻回方向に沿うように配置される。
「巻回方向の内側」及び「巻回方向の外側」は、図3に示す通りである。つまり、「巻回方向の内側端部」及び「巻回方向の外側端部」とはそれぞれ、分離膜1において集水管9に近い方の端部、及び遠い方の端部に該当する。
図4に示すように、分離膜はリーフを形成する。リーフとは、巻回しやすい長さに切断された2枚一組の分離膜である。リーフでは、分離膜1の供給側の面21が、供給側流路材6を挟んで他の分離膜7の供給側の面71と対向するように配置される。分離膜エレメント100において、互いに向かい合う分離膜の供給側の面の間には供給側流路が形成され、透過側の面の間には透過側流路が形成される。
さらにリーフ4が重ねられることで、分離膜1と、分離膜1の透過側の面22に対向する他のリーフ4の分離膜7とが、封筒状膜を形成する。封筒状膜において、向かい合う透過側の面の間は、透過水が集水管9に流れるように、分離膜の長方形状において、巻回方向内側の一辺のみにおいて開放され、他の三辺においては封止される。透過水はこの封筒状膜によって供給水から隔離される。
封止としては、接着剤またはホットメルトなどにより接着されている形態、加熱またはレーザなどにより融着されている形態、およびゴム製シートが挟みこまれている形態が挙げられる。接着による封止は、最も簡便で効果が高いために特に好ましい。
また、分離膜の供給側の面において、巻回方向における内側端部は、折りたたみ又は封止により閉じられている。分離膜の供給側面が、折り畳まれているのではなく封止されていることで、分離膜の端部における撓みが発生しにくい。折り目近傍での撓みの発生が抑制されることで、巻囲したときに分離膜間での空隙の発生およびこの空隙によるリークの発生が抑制される。
分離膜に突起物3が設けられている場合、突起物3は、分離膜1の透過側の面22において、少なくとも集水管9の長手方向に不連続状に配置される。つまり、流路5は、巻回方向において分離膜の外側端部から内側端部まで連続するように形成される。その結果、透過水が中心パイプへ到達し易く、すなわち流動抵抗が小さくなるので、大きな造水量が得られる。
上述したように、突起物は分離膜の縁まで達していなくてもよいので、例えば、巻回方向における封筒状膜の外側端部、及び集水管長手方向における封筒状膜の端部では、突起物が設けられていなくてもよい。
なお、互いに対向する分離膜は、同じ構成を備えてもよいし、異なる構成を備えてもよい。すなわち、分離膜エレメントにおいて、向かい合う2枚の透過側の面のうち、少なくとも一方に上述の突起物が設けられていればよいので、突起物を備える分離膜と、備えない分離膜とが交互に重ねられていてもよい。ただし、説明の便宜上、分離膜エレメントおよびそれに関係する説明においては、「分離膜」は、突起物を備えない分離膜(たとえば分離膜本体と同じ構成を備える膜)を含む。
透過側の面において、または供給側の面において、互いに対向する分離膜は、2枚の異なる分離膜であってもよいし、1枚の膜が折りたたまれたものであってもよい。
(2−3)集水管
図3において、集水管9は、その中を透過水が流れるように構成されていればよく、材質、形状、大きさ等は特に限定されない。集水管9としては、例えば、複数の孔が設けられた側面を有する円筒状の部材が用いられる。
図3において、集水管9は、その中を透過水が流れるように構成されていればよく、材質、形状、大きさ等は特に限定されない。集水管9としては、例えば、複数の孔が設けられた側面を有する円筒状の部材が用いられる。
(2−4)供給側流路材
分離膜エレメントは、分離膜本体の供給側の面に対向するように配置された供給側の流路材を備えてもよい。供給側流路材は、分離膜本体2に原流体を供給する流路を形成するように形成されていればよく、原流体の濃度分極を抑制するために、原流体の流れを乱すように設けられていることが好ましい。
分離膜エレメントは、分離膜本体の供給側の面に対向するように配置された供給側の流路材を備えてもよい。供給側流路材は、分離膜本体2に原流体を供給する流路を形成するように形成されていればよく、原流体の濃度分極を抑制するために、原流体の流れを乱すように設けられていることが好ましい。
供給側流路材は、フィルムやネットといった連続形状を有している部材であってもよいし、あるいは分離膜本体に対して0より大きく1未満である投影面積比を示す不連続形状を有するものであってもよい。また、供給側流路材は分離膜とは別に設けられる部材であってもよいし、分離膜と一体として形成されていてもよい。
なお、供給側流路材の素材は特に限定されず、分離膜と同素材であっても異素材であっても良い。
供給側流路では、流路を安定に形成することも重要であるが、通過する流体が透過側流路よりも多量であるため圧力損失を低減することが最も重要である。そのため、供給側流路材の投影面積比は0.03〜0.5であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.4、さらに好ましくは、0.15〜0.35である。
しかしながら、分離膜の供給側表面の高低差が深すぎると圧力損失が小さくなるが、エレメント化した場合にベッセルに充填できる膜面積が小さくなる。高低差が小さいと流路の圧力損失が大きくなり、分離特性や水透過性能が低下してしまう。そのため、エレメントの造水能力が低下し、造水量を増加させるための運転コストが高くなる。従って、上述した各性能のバランスや運転コストを考慮すると、分離膜においては、分離膜の供給側表面の高低差は80〜2000μmであってもよく、好ましくは200〜1000μmである。
分離膜の供給側表面の高低差は、上述した分離膜透過側の高低差の場合と同手法で求めることができる。
同様の理由から溝幅は好ましくは0.2mm以上10mm以下であり、より好ましくは0.5mm以上3mm以下であり、ピッチは溝幅の10分の1倍以上50倍以下の間で適宜設計すると良い。溝幅とは高低差が存在する表面で沈下している部位のことであり、ピッチとは、高低差が存在する表面における高い箇所の最も高いところから近接する高い箇所の最も高い箇所までの水平距離のことである。
エンボス加工によって凸となる部分の投影面積比は、供給側流路材の場合と同様の理由から、0.03以上0.5以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.10以上0.40以下、特に好ましくは、0.15以上0.35以下である。
(2−5)透過側流路
上述したように、分離膜本体上に突起物が設けられている場合、透過側流路は突起物によって形成される。
上述したように、分離膜本体上に突起物が設けられている場合、透過側流路は突起物によって形成される。
一方、分離膜本体上に突起物が設けられていない場合、透過側流路は、突起物が設けられた、分離膜本体とは異なるシートを、分離膜の透過側の面に配置することによって形成される。
<シート>
上述のとおり、透過側流路材は、分離膜本体とは別に設けられた部材であって、空隙を有するシートと、シート上に設けられた突起物とを備えてもよい。シートとは、分離膜の間に配置される平たい形状の部材であり、不織布またはトリコット等の空隙を有する部材であることが好ましい。
上述のとおり、透過側流路材は、分離膜本体とは別に設けられた部材であって、空隙を有するシートと、シート上に設けられた突起物とを備えてもよい。シートとは、分離膜の間に配置される平たい形状の部材であり、不織布またはトリコット等の空隙を有する部材であることが好ましい。
なお、「分離膜本体とは異なるシート」とは、分離膜本体とは別の部材を指す用語として用いられるが、このシートとしては、分離膜本体を構成する「基材」と同様の構成が適用可能である。
分離膜とは別のシートに突起物が固着されている場合、図5に示すように、シート8は、膜リーフ4の透過側の面22に配置される。
シートは、分離膜の透過側の面同士を接着する領域に存在する。つまり、2枚の分離膜は、透過側流路材を構成するシートを間に挟んで接着されており、その接着部分の少なくとも一部において、分離膜間に当該シートが存在することが好ましい。透過側流路材を構成するシート8の大きさと分離膜の大きさは同一でもよく、シートの方が大きくてもよいし、分離膜の方が大きくてもよい。
シート8の空隙率は20%以上90%以下が好ましく、45%以上80%以下が特に好ましい。ここで、空隙率とは、基材の単位体積当たりの空隙の割合をいい、所定の見かけ体積を有する基材に純水を含ませたときの重量から、基材の乾燥時の重量を差し引いた値を、基材の見かけ体積で除した値を百分率(%)で表すことで得ることができる。
空隙率が90%以下であることで、突起物3のシートへの含浸量を適度に制限し、裏抜け(突起物の成分がシートの裏側にまで達すること)の発生を抑制することができるので、シート8の厚みが均一に維持される。また、リーフ同士を接着する接着剤のシート中での広がりを抑制することができ、分離膜エレメント形成後に接着剤が塗布されていない領域、すなわち、加圧ろ過が有効に機能する領域(有効膜面積)を大きく確保することができる。その結果、分離膜エレメントの造水量を高く維持することができる。また 、突起物の配置精度が不十分で溝が閉塞するような形状になった場合においても、シートの空隙が流路となり透過水はシートを介して別の溝へ移動することができる。
また、シート8の空隙率が20%以上であることで、突起物3のシートへの含浸を適度に進めることができるので、突起物3のシート8からの剥離を抑制することができるし、接着剤を適度にシートに含浸させることができるので、供給水の透過側流路への流入を抑制することができる。また、空隙率が20%以上であることで、透過水がシート8を透過しやすくなり、分離膜エレメントの造水量を増大させることができる。
シート8の厚みは0.2mm以下であることが好ましい。なぜなら、2枚の分離膜の透過側の面の間を封止するために、シート8には接着剤が含浸することが好ましいからである。ただし、シート8の厚みが0.2mmを超えても、シート8の空隙率が80%以上であれば、分離膜間を接着剤で封止することができる。また、シート8の厚みが0.02mm以上であることで、シート8の強度を確保することができるので、シート8の破損を抑制することができる。
特に、シート8の厚みが0.02mm以上0.2mm以下であれば、空隙率は20%以上80%以下であることが好ましく、シート8の厚みが0.02mmを超えて0.4mm以下であれば、空隙率は30%以上90%以下であることがより好ましい。
突起物の高さと、シートの厚みとの関係について説明する。突起物の高さと、シートの厚みと突起物の高さとの和との比(突起物の高さ/(突起物の高さ)+(シートの厚み))は、0.05以上であることが好ましい。これによって、広い流路を確保できるからである。一方で、比が0.7以下であることで、張力を負荷しながら、シートを巻き取った際に、突起物によるシートの破壊や傷を防ぐことができるために好ましい。これは、比が大きいほど突起物のシートへの負荷が大きく、かつシートの物理的耐久性が小さくなるためである。
比が0.13以下である場合、シートの空隙率は30%以上90%以下であることが好ましい。また、比が0.13を超え(または0.15以上であって)、かつ0.7以下である場合は、シートの空隙率は20%以上かつ80%以下であることが好ましい。
〔3.分離膜エレメントの製造方法〕
分離膜エレメントの製造には、従来のエレメント製作装置を用いることができる。また、エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭44−14216、特公平4−11928、特開平11−226366)に記載される方法を用いることができる。詳細には以下の通りである。
〔3.分離膜エレメントの製造方法〕
分離膜エレメントの製造には、従来のエレメント製作装置を用いることができる。また、エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭44−14216、特公平4−11928、特開平11−226366)に記載される方法を用いることができる。詳細には以下の通りである。
(3−1)分離膜本体の製造
分離膜本体の製造方法については上述したが、簡単にまとめると以下のとおりである。
分離膜本体の製造方法については上述したが、簡単にまとめると以下のとおりである。
良溶媒に樹脂を溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストして純水中に浸漬して多孔性支持層と基材を複合させる。その後、上述したように、多孔性支持層上に分離機能層を形成する。さらに、必要に応じて分離性能、透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリ、亜硝酸などの化学処理を施し、さらにモノマー等を洗浄し分離膜本体の連続シートを作製する。
(3−2)供給側流路材の配置
供給側流路材が、ネット等の連続的に形成された部材である場合は、分離膜と供給側流路材とを重ね合わせることで、供給側流路を形成することができる。
供給側流路材が、ネット等の連続的に形成された部材である場合は、分離膜と供給側流路材とを重ね合わせることで、供給側流路を形成することができる。
また、分離膜に樹脂を直接塗布することで、不連続な、または連続な形状を有する供給側流路材を形成することができる。分離膜本体に固着された供給側流路材によって形成される場合も、供給側流路材の配置が分離膜の製造方法の一部と見なされてもよい。
また、分離膜本体を凹凸加工することで、流路を形成してもよい。凹凸加工法としては、エンボス成形、水圧成形、カレンダ加工といった方法が挙げられる。エンボス加工の条件、エンボス加工形状等は、求められる分離膜エレメントの性能等に応じて変更可能である。この凹凸加工は、分離膜の製造方法の一部と見なされてもよい。
(3−3)透過側流路の形成
上述したように、透過側流路は、分離膜本体上に設けられた突起物あるいは分離膜本体とは異なる、空隙を有するシート上に設けられた突起物によって形成される。突起物を配置する方法は特に限定されないが、ロール型コーター、ノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、グラビア法、押出型コーター、印刷、噴霧などを用いることができる。
上述したように、透過側流路は、分離膜本体上に設けられた突起物あるいは分離膜本体とは異なる、空隙を有するシート上に設けられた突起物によって形成される。突起物を配置する方法は特に限定されないが、ロール型コーター、ノズル型のホットメルトアプリケーター、スプレー型のホットメルトアプリケーター、フラットノズル型のホットメルトアプリケーター、グラビア法、押出型コーター、印刷、噴霧などを用いることができる。
(3−4)分離膜の積層および巻回
1枚の分離膜を透過側面が内側を向くように折り畳んで貼り合わせることで、または2枚の分離膜を透過側面が内側を向くように重ねて貼り合わせることで、封筒状膜が形成される。上述したように、封筒状膜は三辺が封止される。封止は、接着剤またはホットメルト等による接着、熱またはレーザによる融着等により実行できる。
1枚の分離膜を透過側面が内側を向くように折り畳んで貼り合わせることで、または2枚の分離膜を透過側面が内側を向くように重ねて貼り合わせることで、封筒状膜が形成される。上述したように、封筒状膜は三辺が封止される。封止は、接着剤またはホットメルト等による接着、熱またはレーザによる融着等により実行できる。
封筒状膜の形成に用いられる接着剤は、粘度が40ps以上150ps以下の範囲内であることが好ましく、さらに50ps以上120ps以下がより好ましい。分離膜にしわが発生すると、分離膜エレメントの性能が低下することがあるが、接着剤粘度が、150ps以下であることで、分離膜を集水管に巻囲するときに、しわが発生しにくくなる。また、接着剤粘度が40ps以上である場合、分離膜間からの接着剤の流出が抑制され、不要な部分に接着剤が付着する危険性が低下する。なお、1ps=0.1Pa・sである。
接着剤の塗布量は、分離膜が集水管に巻囲された後に、接着剤が塗布される部分の幅が10mm以上100mm以下であるような量であることが好ましい。これによって、分離膜が確実に接着されるので、原流体の透過側への流入が抑制される。また、有効膜面積も比較的大きく確保することができる。
接着剤としてはウレタン系接着剤が好ましく、粘度を40ps以上150ps以下の範囲とするには、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールとが、イソシアネート:ポリオール=1:1〜1:5の割合で混合されたものが好ましい。接着剤の粘度は、予め主剤、硬化剤単体、及び配合割合を規定した混合物の粘度をB型粘度計(JIS K 6833)で測定される。
こうして接着剤が塗布された分離膜は、封筒状膜の閉口部分が巻回方向内側に位置するように配置され、集水管の周囲に分離膜を巻きつけられる。こうして、分離膜がスパイラル状に巻回される。
(3−5)その他の工程
分離膜エレメントの製造方法は、上述のように形成された分離膜の巻回体の外側に、フィルムおよびフィラメント等をさらに巻きつけることを含んでいてもよいし、集水管の長手方向における分離膜の端を切りそろえるエッジカット、端板の取り付け等のさらなる工程を含んでいてもよい。
分離膜エレメントの製造方法は、上述のように形成された分離膜の巻回体の外側に、フィルムおよびフィラメント等をさらに巻きつけることを含んでいてもよいし、集水管の長手方向における分離膜の端を切りそろえるエッジカット、端板の取り付け等のさらなる工程を含んでいてもよい。
4.分離膜エレメントの利用
分離膜エレメント100に供給された原流体は、分離膜1の供給側の面21に供給される。原流体の一部が分離膜1を透過することで、原流体は透過流体と濃縮流体とに分離される。透過流体は、封筒状膜の内側、つまり向かい合う2つの透過側の面22の間を流れて、集水管9に到達する。集水管9内を流れた透過流体は集水管9の端部から分離膜エレメント100の外に排出される。濃縮流体は、向かい合う2つの供給側の面21の間を流れ、分離膜エレメント100の端部から流出する。
分離膜エレメント100に供給された原流体は、分離膜1の供給側の面21に供給される。原流体の一部が分離膜1を透過することで、原流体は透過流体と濃縮流体とに分離される。透過流体は、封筒状膜の内側、つまり向かい合う2つの透過側の面22の間を流れて、集水管9に到達する。集水管9内を流れた透過流体は集水管9の端部から分離膜エレメント100の外に排出される。濃縮流体は、向かい合う2つの供給側の面21の間を流れ、分離膜エレメント100の端部から流出する。
分離膜エレメントは、直列または並列に接続されて圧力容器に収納されることで、分離膜モジュールとして使用可能である。
また、上記の分離膜エレメント、モジュールは、それらに流体を供給するポンプや、その流体を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、例えば原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の運転圧力は高い方が塩除去性は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、複合半透膜の耐久性を考慮すると、複合半透膜に被処理水を透過する際の運転圧力は、0.2MPa以上7MPa以下が好ましい。なお、運転圧力とはいわゆる膜間圧力差(trans membrane pressure)である。供給水温度は、高くなると塩除去性が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、供給水pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
複合半透膜によって処理される原水としては、海水、かん水、排水、水道水等の200mg/L〜100g/LのTDS(TotalDissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」で表されるか、1Lを1kgと見なして「重量比」で表される。定義によれば、0.45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分から換算する。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(突起物断面の線分AB、BC、CD、BDの長さ)
走査型電子顕微鏡(S−800)(日立製作所製)を用いて、任意の30箇所の突起物の断面を500倍で写真撮影した。撮影された写真において、線分AB、線分BC、線分CD、線分BDの長さを測定し、30箇所の平均値を各線分の長さとした。
走査型電子顕微鏡(S−800)(日立製作所製)を用いて、任意の30箇所の突起物の断面を500倍で写真撮影した。撮影された写真において、線分AB、線分BC、線分CD、線分BDの長さを測定し、30箇所の平均値を各線分の長さとした。
(円Gおよび円Hの半径)
点Eおよび点Fの位置は、撮影された任意の断面写真に関して、点Aと、点Cおよび点Dを結ぶ周の中間点であり、撮影された断面写真を用いて画像解析ソフトImageJを用いてその位置を決定した。円Gは、点A、点C、点Dの3点を結ぶ円であり、マイクロスコープを用いてその半径を測定した。
点Eおよび点Fの位置は、撮影された任意の断面写真に関して、点Aと、点Cおよび点Dを結ぶ周の中間点であり、撮影された断面写真を用いて画像解析ソフトImageJを用いてその位置を決定した。円Gは、点A、点C、点Dの3点を結ぶ円であり、マイクロスコープを用いてその半径を測定した。
(透過側流動抵抗測定)
透過側の流動抵抗は、突起物の設けられた分離膜あるいは突起物の設けられたシートを幅20cm×長さ50cm四方に切り取り、圧力損失測定用のセルにセットし、5.5MPaの加圧下で流量500ml/minで25℃の純水を流し、入口と出口の圧力差を圧力計にて測定した。
透過側の流動抵抗は、突起物の設けられた分離膜あるいは突起物の設けられたシートを幅20cm×長さ50cm四方に切り取り、圧力損失測定用のセルにセットし、5.5MPaの加圧下で流量500ml/minで25℃の純水を流し、入口と出口の圧力差を圧力計にて測定した。
(脱塩率(TDS除去率))
供給水として、濃度35000mg/LかつpH6.5の食塩水を用い、運転圧力5.5MPa、運転温度25℃の条件下で、運転3分と停止3分のサイクルを繰り返した。
運転50回目と10000回目での透過水の電気伝導度を測定し、TDS濃度を算出した。この透過水のTDS濃度と、供給水のTDS濃度を、下記式に当てはめることで、運転50回目と10000回目のTDS除去率を算出した。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
(長期運転安定性(SP比))
上記の運転50回目と10000回目でのTDS除去率に関して、下記式に当てはめることで長期運転安定性を示す指標である、SP比を算出した。
SP比=(100−(50回目のTDS除去率))/(100−(10000回目のTDS除去率))
SP比が小さいほど性能の低下が小さく、長期運転安定性に優れた分離膜エレメントとなる。
供給水として、濃度35000mg/LかつpH6.5の食塩水を用い、運転圧力5.5MPa、運転温度25℃の条件下で、運転3分と停止3分のサイクルを繰り返した。
運転50回目と10000回目での透過水の電気伝導度を測定し、TDS濃度を算出した。この透過水のTDS濃度と、供給水のTDS濃度を、下記式に当てはめることで、運転50回目と10000回目のTDS除去率を算出した。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}
(長期運転安定性(SP比))
上記の運転50回目と10000回目でのTDS除去率に関して、下記式に当てはめることで長期運転安定性を示す指標である、SP比を算出した。
SP比=(100−(50回目のTDS除去率))/(100−(10000回目のTDS除去率))
SP比が小さいほど性能の低下が小さく、長期運転安定性に優れた分離膜エレメントとなる。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維から抄紙法で得られた不織布(糸径は1デシテックス、厚み:90μm、通気度:0.9cc/cm2/sec、繊維配向度:多孔性支持層側表層で40°であり、多孔性支持層とは反対側の表層で20°である)上にポリスルホンの16.0重量%のDMF溶液を190μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって、厚さ140μmの繊維補強ポリスルホン支持膜ロールを作製した。
ポリエチレンテレフタレート繊維から抄紙法で得られた不織布(糸径は1デシテックス、厚み:90μm、通気度:0.9cc/cm2/sec、繊維配向度:多孔性支持層側表層で40°であり、多孔性支持層とは反対側の表層で20°である)上にポリスルホンの16.0重量%のDMF溶液を190μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって、厚さ140μmの繊維補強ポリスルホン支持膜ロールを作製した。
その後、支持膜ロールを巻き出し、ポリスルホン表面に、m−PDAの5.0重量%水溶液を塗布し、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.15重量%を含む25℃のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布した。その後、膜から余分な溶液をエアブローで除去し、85℃の熱水で洗浄して、エアブローで液切りして分離膜ロールを得た。
次いで、溝幅0.3mm、線幅0.15mm、溝高さ0.26mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いて、ポリプロピレン(温度230℃・荷重2.16kgf/cm2でのMFR1000g/10分、80重量%)/スチレン系エラストマー(JSR社製“DYNARON・SEBS・8600P”、20重量%)からなる組成物ペレットを230℃で溶融させた樹脂を、樹脂温度230℃、走行速度3m/minで、分離膜本体の透過側表面に、集水管の長手方向に対して垂直になり、かつ巻回方向の内側端部から外側端部まで連続的かつ直線状にストライプ状に加工し、突起物を得た。
得られた突起物の断面形状は図6のような半楕円状であり、線分ABの長さは0.26mm、線分BCの長さは0.15mm、円Gの半径は0.282mm、線分BDの長さは0.15mm、円Hの半径は0.288mm、線分CDの長さは0.3mm、(線分ABの長さ)/(線分CDの長さ)は0.87、(円Gの半径)と(円Hの半径)の長さの差は0.006mmであった。透過側流路の流動抵抗を測定したところ、125kPaであった。
そして、供給側の面が対向するように分離膜を折り畳むことで、分離膜エレメントでの有効膜面積が37m2になるように、ネット(厚み:700μm、ピッチ:5.6mm×4.3mm)を供給側流路材として、リーフ長さ850mm、リーフ幅:930mmのリーフ状物を26枚作製した。
こうして得られた26枚のリーフ状物をABS製集水管(幅:1020mm、径:30mm、孔数40個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付けた。さらに、外周にフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカット、端板の取りつけ、フィラメントワインディングを行うことで、8インチエレメントを作製した。
このエレメントを圧力容器に入れて、上述の条件で運転したところ、運転50回目の除去率は99.77%、10000回目の除去率は99.71%であり、SP比は1.26であった。なお、上記運転の回収率は8%であった。
表1および表2に、実施例ならびに比較例のエレメント構成、およびエレメント性能をまとめて示す。
(実施例2)
バックアップロールの温度を向上させ、樹脂の冷却速度を遅くすることで、円Gおよび円Hの半径を小さくした以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
バックアップロールの温度を向上させ、樹脂の冷却速度を遅くすることで、円Gおよび円Hの半径を小さくした以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、228kPaであった。
得られた分離膜を用いて分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.75%、10000回目の除去率は99.66%であり、SP比は1.36であった。
(実施例3)
バックアップロールの温度を低下させ、樹脂の冷却速度を速くすることで、円Gおよび円Hの半径を大きくした以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
バックアップロールの温度を低下させ、樹脂の冷却速度を速くすることで、円Gおよび円Hの半径を大きくした以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、107kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.79%、10000回目の除去率は99.68%であり、SP比は1.52であった。
(実施例4)
溝幅0.17mm、線幅0.15mm、溝高さ0.22mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
溝幅0.17mm、線幅0.15mm、溝高さ0.22mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、182kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.77%、10000回目の除去率は99.71%であり、SP比は1.24であった。
(実施例5)
バックアップロールの温度を向上させ、樹脂の冷却速度を遅くすることで、円Gおよび円Hの半径を小さくした以外は、実施例4と同様にして突起物を形成した。
バックアップロールの温度を向上させ、樹脂の冷却速度を遅くすることで、円Gおよび円Hの半径を小さくした以外は、実施例4と同様にして突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、254kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.77%、10000回目の除去率は99.70%であり、SP比は1.29であった。
(実施例6)
バックアップロールの温度を低下させ、樹脂の冷却速度を速くすることで、円Gおよび円Hの半径を大きくした以外は、実施例4と同様にして突起物を形成した。
バックアップロールの温度を低下させ、樹脂の冷却速度を速くすることで、円Gおよび円Hの半径を大きくした以外は、実施例4と同様にして突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、179kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.78%、10000回目の除去率は99.66%であり、SP比は1.55であった。
(実施例7)
実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により透過側流路材の幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により透過側流路材の幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、130kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.78%、10000回目の除去率は99.63%であり、SP比は1.67であった。
(実施例8)
溝幅0.5mm、線幅0.15mm、溝高さ0.22mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
溝幅0.5mm、線幅0.15mm、溝高さ0.22mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、369kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.79%、10000回目の除去率は99.73%であり、SP比は1.28であった。
(実施例9)
実施例1と同様にして突起物を形成した後、フリーロールと突起物を接触させることにより、断面幅方向の形状が図7のように角の丸い台形である、突起物が得られた。
実施例1と同様にして突起物を形成した後、フリーロールと突起物を接触させることにより、断面幅方向の形状が図7のように角の丸い台形である、突起物が得られた。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、295kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.78%、10000回目の除去率は99.72%であり、SP比は1.27であった。
(実施例10)
バックアップロールの温度を低下させ、樹脂の冷却速度を速くした以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した後、フリーロールと突起物を接触させることにより、断面幅方向の形状が図8のように角の丸い長方形である、突起物が得られた。
バックアップロールの温度を低下させ、樹脂の冷却速度を速くした以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した後、フリーロールと突起物を接触させることにより、断面幅方向の形状が図8のように角の丸い長方形である、突起物が得られた。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、319kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.79%、10000回目の除去率は99.74%であり、SP比は1.22であった。
(実施例11)
溝幅0.16mm、線幅0.15mm、溝高さ0.26mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により突起物の幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
溝幅0.16mm、線幅0.15mm、溝高さ0.26mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により突起物の幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、374kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.76%、10000回目の除去率は99.52%であり、SP比は2.00であった。
(実施例12)
溝幅0.95mm、線幅0.25mm、溝高さ0.35mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
溝幅0.95mm、線幅0.25mm、溝高さ0.35mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、341kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.76%、10000回目の除去率は99.5あり、SP比は2.08であった。
(実施例13)
溝幅0.81mm、線幅0.15mm、溝高さ0.26mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により突起物の幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
溝幅0.81mm、線幅0.15mm、溝高さ0.26mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により突起物の幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、319kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.75%、10000回目の除去率は99.58%であり、SP比は1.68であった。
(実施例14)
溝幅0.86mm、線幅0.15mm、溝高さ0.35mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
溝幅0.86mm、線幅0.15mm、溝高さ0.35mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻精度不良により幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、247kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.73%、10000回目の除去率は99.56%であり、SP比は1.63であった。
(実施例15)
溝幅0.25mm、線幅0.1mm、溝高さ0.2mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、突起物の形成場所を分離膜の透過側の面ではなく、抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)に形成した以外は、実施例1と同様にして、断面形状が図9のように引き伸ばした弦のような突起物を形成した。
溝幅0.25mm、線幅0.1mm、溝高さ0.2mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、突起物の形成場所を分離膜の透過側の面ではなく、抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)に形成した以外は、実施例1と同様にして、断面形状が図9のように引き伸ばした弦のような突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、392kPaであった。
透過側流路材として、突起物の設けられた抄紙不織布を用いる以外は、実施例1と同様に分離膜、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.74%、10000回目の除去率は99.56%であり、SP比は1.69であった。
(実施例16)
溝幅0.25mm、線幅0.4mm、溝高さ0.38mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、突起物の形成場所を分離膜の透過側の面ではなく、抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)に形成した以外は、実施例1と同様にして、断面形状が図6のように半楕円の突起物を形成した。
透過側流路材として、突起物の設けられた抄紙不織布を用いる以外は、実施例1と同様に分離膜、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.74%、10000回目の除去率は99.56%であり、SP比は1.69であった。
(実施例16)
溝幅0.25mm、線幅0.4mm、溝高さ0.38mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、突起物の形成場所を分離膜の透過側の面ではなく、抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)に形成した以外は、実施例1と同様にして、断面形状が図6のように半楕円の突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、69kPaであった。
透過側流路材として、突起物の設けられた抄紙不織布を用いる以外は、実施例1と同様に分離膜、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.80%、10000回目の除去率は99.74%であり、SP比は1.30であった。
(実施例17)
溝幅0.25mm、線幅0.4mm、溝高さ0.38mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、突起物の形成場所を分離膜の透過側の面ではなく、抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)に形成した以外は、実施例1と同様に断面形状が図6のように半楕円の突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻不良により幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
透過側流路材として、突起物の設けられた抄紙不織布を用いる以外は、実施例1と同様に分離膜、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.80%、10000回目の除去率は99.74%であり、SP比は1.30であった。
(実施例17)
溝幅0.25mm、線幅0.4mm、溝高さ0.38mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、突起物の形成場所を分離膜の透過側の面ではなく、抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)に形成した以外は、実施例1と同様に断面形状が図6のように半楕円の突起物を形成したが、グラビアロールの彫刻不良により幅方向断面の形状が、左右で異なる形状になっていた。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、95kPaであった。
透過側流路材として、突起物の設けられた抄紙不織布を用いる以外は、実施例1と同様に分離膜、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.80%、10000回目の除去率は99.63%であり、SP比は1.85であった。
透過側流路材として、突起物の設けられた抄紙不織布を用いる以外は、実施例1と同様に分離膜、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.80%、10000回目の除去率は99.63%であり、SP比は1.85であった。
(比較例1)
グラビアロールの溝形状を台形にして、図10のように断面が台形の突起物を、実施例1と同様にして形成した。
グラビアロールの溝形状を台形にして、図10のように断面が台形の突起物を、実施例1と同様にして形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、143kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.75%、10000回目の除去率は97.40%であり、SP比は10.40であった。
(比較例2)
グラビアロールの溝形状を長方形にして、図11のように断面が長方形の突起物を、実施例1と同様にして形成した。
グラビアロールの溝形状を長方形にして、図11のように断面が長方形の突起物を、実施例1と同様にして形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、341kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.76%、10000回目の除去率は96.57%であり、SP比は14.30であった。
(比較例3)
溝幅0.4mm、線幅0.15mm、溝高さ0.26mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、バックアップロールの温度を低下させ、樹脂の冷却速度を速くした以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
溝幅0.4mm、線幅0.15mm、溝高さ0.26mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、バックアップロールの温度を低下させ、樹脂の冷却速度を速くした以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、520kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.79%、10000回目の除去率は98.45%であり、SP比は7.40であった。
(比較例4)
溝幅0.18mm、線幅0.15mm、溝高さ0.1mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
溝幅0.18mm、線幅0.15mm、溝高さ0.1mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用いた以外は、実施例1と同様にして突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、2050kPaであった。
得られた分離膜を用いて、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.77%、10000回目の除去率は98.09%であり、SP比は8.30であった。
(比較例5)
透過側流路材として、トリコット(厚み:210μm、溝幅:130μm、畦幅:350μm、溝高さ:105μm、ポリエチレンテレフタレート製)を用いた以外は実施例1と同様にして分離膜エレメントを作製、運転を行った。
透過側流路材として、トリコット(厚み:210μm、溝幅:130μm、畦幅:350μm、溝高さ:105μm、ポリエチレンテレフタレート製)を用いた以外は実施例1と同様にして分離膜エレメントを作製、運転を行った。
トリコットの流動抵抗を測定したところ、478kPaであり、運転50回目の除去率は99.78%、10000回目の除去率は99.7%であり、SP比は1.36であった。
(比較例6)
溝幅0.25mm、線幅0.4mm、溝高さ0.22mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、突起物の形成場所を分離膜の透過側の面ではなく、抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)に形成した以外は、実施例1と同様にして、断面形状が図6のように半楕円の突起物を形成した。
溝幅0.25mm、線幅0.4mm、溝高さ0.22mmとなるように彫刻されたグラビアロールを用い、突起物の形成場所を分離膜の透過側の面ではなく、抄紙不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.03mm、空隙率25%)に形成した以外は、実施例1と同様にして、断面形状が図6のように半楕円の突起物を形成した。
透過側流路の流動抵抗を測定したところ、631kPaであった。
透過側流路材として、突起物の設けられた抄紙不織布を用いる以外は、実施例1と同様に分離膜、分離膜エレメントの作製、運転を行った。運転50回目の除去率は99.75%、10000回目の除去率は98.33%であり、SP比は6.68であった。
表1および表2に結果をまとめて示す。これらの結果から分かるように、本発明によると、流動抵抗の低減と長期運転時のエレメント性能安定性を両立させることができる。
A 突起物断面頭頂部
B 突起物断面頭頂部から分離膜に下ろした垂点
C、D 突起物断面における分離膜との接触面の端点
E、F 点Aと点C(または点D)を結ぶ周の中間点
G、H 点Aと点C(または点D)および点E(または点F)の3点を通る円
I 突起物断面頭頂部
J 突起物断面頭頂部からシートに下ろした垂点
K、L 突起物断面におけるシートとの接触面の端点
M、N 点Iと点K(または点L)を結ぶ周の中間点
O、P 点Iと点K(または点L)および点M(または点N)の3点を通る円
1、7 分離膜
2 分離膜本体
3 突起物
4 分離膜リーフ
5 透過側流路
6 供給側流路材
8 シート
9 集水管
21、71 分離膜供給側の面
22、72 分離膜透過側の面
100 分離膜エレメント
B 突起物断面頭頂部から分離膜に下ろした垂点
C、D 突起物断面における分離膜との接触面の端点
E、F 点Aと点C(または点D)を結ぶ周の中間点
G、H 点Aと点C(または点D)および点E(または点F)の3点を通る円
I 突起物断面頭頂部
J 突起物断面頭頂部からシートに下ろした垂点
K、L 突起物断面におけるシートとの接触面の端点
M、N 点Iと点K(または点L)を結ぶ周の中間点
O、P 点Iと点K(または点L)および点M(または点N)の3点を通る円
1、7 分離膜
2 分離膜本体
3 突起物
4 分離膜リーフ
5 透過側流路
6 供給側流路材
8 シート
9 集水管
21、71 分離膜供給側の面
22、72 分離膜透過側の面
100 分離膜エレメント
Claims (9)
- 供給側の面と透過側の面とを備える分離膜本体と、
前記分離膜本体の透過側の面に固着された複数の突起物と、
を備える分離膜であって、
前記突起物は、
前記分離膜本体の面内第1方向における長さが、前記第1方向に垂直な第2方向における長さよりも大きく、
前記第2方向において、互いに間隔をおいて配置されており、
前記第1方向に垂直な断面において、前記分離膜本体に固着していない周の少なくとも一部が、丸みを帯びており、かつ、
前記断面において、下記点A、点Cおよび点Eを結ぶ円Gの半径、または点A、点Dおよび点Fの3点を結ぶ円Hの半径の少なくとも一方が、0.1mm以上0.5mm以下である、
分離膜。
点A:前記分離膜本体に固着していない周の頭頂部、
点B:点Aから前記突起物の固着している分離膜本体に対して垂直に下ろした垂点、
点C、点D:前記突起物が前記分離膜本体と接している端点、
点E:点Aと点Cとを結ぶ周の長さを2等分する点、
点F:点Aと点Dとを結ぶ周の長さを2等分する点 - 前記点A、B、Cに関して、(線分ABの長さ)/(線分CDの長さ)が0.4〜1.5である、
請求項1に記載の分離膜。 - 前記円Gの半径と前記円Hの半径との差の絶対値が0.1mm以下である、
請求項1または2のいずれかに記載の分離膜。 - 線分BCおよび線分CDの長さが0.05mm以上0.5mm以下である、
請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜。 - 集水管と、前記集水管に巻回された請求項1〜5のいずれかに記載の前記分離膜と、を備える分離膜エレメント。
- 集水管と、
供給側の面と透過側の面とを備える分離膜本体と、
前記分離膜本体の透過側の面に対向するように配置される空隙を有するシートと、
を備える分離膜エレメントであって、
前記空隙を有するシートは固着された複数の突起物を有し、
前記突起物は、
前記分離膜本体の面内第1方向における長さが、前記第1方向に垂直な第2方向における長さよりも大きく、
前記第2方向において、互いに間隔をおいて配置されており、
前記第1方向に垂直な断面において、前記シートに固着していない周の少なくとも一部が、丸みを帯びており、かつ、
前記断面において、下記点I、点Kおよび点Mを結ぶ円Oの半径、または点I、点Lおよび点Nの3点を結ぶ円Pの半径の少なくとも一方が、0.1mm以上0.5mm以下である、
分離膜エレメント。
点I:前記シートに固着していない周の頭頂部、
点J:点Iから前記突起物の固着しているシートに対して垂直に下ろした垂点、
点K、点L:前記突起物が前記シートと接している端点、
点M:点Iと点Kとを結ぶ周の長さを2等分する点、
点N:点Iと点Lとを結ぶ周の長さを2等分する点 - 前記点I、J、Kに関して、(線分IJの長さ)/(線分KLの長さ)が0.4〜1.5である、
請求項6に記載の分離膜エレメント。 - 前記円Oの半径と前記円Pの半径との差の絶対値が0.1mm以下である、
請求項6または7のいずれかに記載の分離膜エレメント。 - 線分JKおよび線分KLの長さが0.05mm以上0.5mm以下である、
請求項6〜8のいずれかに記載の分離膜エレメント。
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