JP2013071098A - 分離膜エレメント - Google Patents

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Abstract

【課題】凹凸を有する分離膜における分離除去性能が向上され、かつ初期だけでなく長期間にわたり高圧条件下で運転を実施した際の安定性能に優れる分離膜エレメントを提供する。
【解決手段】少なくとも片面に100μm以上2000μm以下の高低差を有する分離膜3bを重ね合わせて接着された封筒状膜5bを有孔集水管6の周りに巻囲してなる分離膜エレメント1bであって、孔72を分離膜エレメント1bの外周面に設けるとともに、濃縮流体出口82を分離膜エレメント1bの一方の側面に設けたことを特徴とする分離膜エレメント1b。
【選択図】図2

Description

本発明は、液体、気体等の流体に含まれる成分を分離するために使用される分離膜エレメントに関する。
液体、気体等の流体に含まれる成分を分離する方法としては、様々なものがある。例えば海水、かん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術を例にとると、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜には、その孔径や分離機能の点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜、正浸透膜などがあり、これらの膜は、例えば海水、かん水、有害物を含んだ水などから飲料水を得る場合や、工業用超純水の製造、廃水処理、有価物の回収などに用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。
分離膜エレメントは、分離膜の一方の面に原流体を供給し、他方の面から透過流体を得る点では共通している。分離膜エレメントは、各種形状からなる分離膜素子を多数束ねて膜面積を大きくし、単位エレメントあたりで多くの透過流体を得ることができるように構成されており、用途や目的にあわせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種エレメントが製造されている。
例えば、逆浸透ろ過に用いられる流体分離膜エレメントを例にとると、その分離膜エレメント部材は、原流体を分離膜の供給流体側へ供給する供給側流路材、原流体に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し原流体から分離された透過流体を有孔集水管へと導くための透過側流路材からなる部材を有孔集水管の周りに巻き付けたスパイラル型分離膜エレメントが、原流体に圧力を付与し、透過流体を多く取り出す点で広く用いられている。図1はスパイラル型分離膜エレメントの部材構成を模式的に示した一部展開斜視図である。
図1に示すスパイラル型分離膜エレメント1aでは、供給側の流路を形成する供給側流路材としては、高分子製のネット2が使用されている。また、透過側流路材としては、分離膜3aの落ち込みを防き、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも間隔が細かいトリコット4と呼ばれる編物部材が使用されている。透過側流路材の両面に重ね合わせて封筒状に接着された分離膜3aにより、封筒状膜5aが形成される。封筒状膜5aの内側が透過流体流路を構成しており、ネット2と交互に積層された封筒状膜5aは、開口部側の所定部分を有孔集水管の外周面に接着しスパイラル状に巻囲される。
近年、分離膜エレメントに造水コストの低減への高まりから、分離膜エレメントの低コスト化のニーズが高まっており、分離膜、各流路部材、エレメント部材の改良による低コスト化が提案されている。例えば、特許文献1では、溝を設けた平膜を積層及び接着し、さらに有孔集水間の周りに巻囲することで製造されたスパイラル型分離膜エレメントが提案されている。このスパイラル型分離膜エレメントでは、溝が形成された2枚の平膜を積層することによって平膜間に流路を形成し、供給側流路材や透過側流路材を用いない方法が提案されている。また、特許文献2および3では、凹凸を有する多孔性支持体と分離活性層とを備えるシート状分離膜を用い、ネットなどの供給側流路材及びトリコットなどの透過側流路材を用いない方法が提案されている。
このように製造されるスパイラル型分離膜エレメントは、通常、直列または並列に接続されて筒型圧力容器に収納された分離膜モジュールとして使用される。
スパイラル型分離膜エレメントは、図1に示すように原流体を分離膜エレメントの一方の側面のみの原流体供給口7より供給するいわゆる「I型」と呼ばれるものが多く用いられている。「I型」分離膜エレメントの場合、供給された原流体は、有孔集水管と平行に流れながら、透過流体と濃縮流体とに徐々に分離される。透過流体は、原流体供給口7と反対の側面の透過流体出口8から分離エレメントの外部へと出ていく。この方式においては、原流体が分離膜エレメントの一方の側面から他方の側面へ流れるため必然的に膜に接している距離が十分にあり、それにより原流体が、透過流体と濃縮流体とに十分に分離されるという特徴がある。
特開昭63−69503号公報 特開2010−99590号公報 特開2010−125418号公報
しかしながら、「I型」分離膜エレメントの場合、その構造上、圧力容器とスパイラル型膜分離膜エレメントの円柱形状における側面との間に隙間が必ず存在する。この隙間は流れの極めて悪い異常滞留部となり、雑菌、藻等が発生しやすくなる。このことは、とくに食品・製薬分野における衛生性の問題や超純水製造における水質低下を引き起こすことになる。また、圧力容器内に分離膜エレメントを装填するなどのメンテナンスの際に微粒子等の混入を避けることは極めて困難であるため、微粒子等が混入した場合に、それが分離膜エレメント内部に滞留し、極めて長い時間にわたり処理水の水質に影響を及ぼし続ける。このことは、換言すると、定期的な洗浄においても非常に洗浄性が悪く、効率が悪いということに他ならない。
また、分離膜に溝や凹凸を設けて供給側流路材や透過側流路材を用いない「I型」分離膜エレメントでは、分離膜エレメント全体の剛性が低下しやすく、原流体を分離膜エレメントの一方の側面から繰り返し通水させたり、高圧条件下で運転を実施したりした際に、巻回している分離膜等が有孔集水管の長手方向に押し出されるように変形することで(テレスコープ等)、十分な分離性能が発揮できなくなる場合がある。
そこで、本発明は、凹凸を有する分離膜エレメントにおける分離除去性能向上、および初期だけでなく長期間にわたり高圧条件下で運転を実施した際の安定性能に有効な分離膜エレメントを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の分離膜エレメントは、原流体を透過流体と濃縮流体とに分離する分離エレメントであって、有孔集水管と、少なくとも片面に100μm以上2000μm以下の高低差が形成されかつ前記有孔集水管の周囲に巻囲された分離膜を備える巻囲体と、前記有孔集水管の長手方向に直交する方向において、前記巻囲体の外側に設けられた原流体供給部と、前記有孔集水管の長手方向において、前記巻囲体の外側に設けられた濃縮流体排出部と、を備える。
本発明によれば、分離膜の少なくとも片面の高低差により高効率かつ安定した供給側流路を形成するとともに、繰り返し運転や、高圧条件下での運転においても分離成分の除去性能と高い透過性能を有する高性能、高効率の分離膜エレメントを得ることができる。
従来のスパイラル型分離膜エレメント(I型)の例を示す一部展開斜視図である。 本発明の分離膜エレメントの一例を示す一部展開斜視図である。 本発明の分離膜エレメントの他の例を示す一部展開斜視図である。 本発明の分離膜エレメントの他の例を示す一部展開斜視図である。 本発明の分離膜エレメントの他の例を示す一部展開斜視図である。 分離膜エレメントの第2端板の一例を示す平面図である。 分離膜エレメントの第2端板の他の例を示す平面図である。 分離膜エレメントの第2端板の他の例を示す平面図である。 分離膜の一例を示す断面図である。 分離膜の他の例を示す断面図である。 分離膜の他の例を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
1.第1実施形態
図2は分離膜エレメントの一例を示す一部展開斜視図である。
図2に示すように、本実施形態に係る分離膜エレメント1bは、原流体101を透過流体102と濃縮流体103とに分離する。分離膜エレメント1bは、有孔集水管6と、分離膜3bと、多孔性部材70と、第1端板71と、第2端板80と、を備える。
有孔集水管6は、内部が中空である管であって、かつその表面に内部と通ずる多数の孔が開けられている。その素材としては、PVC、ABS等の硬質プラスチックやステンレス等の金属など各種材質が用いられる。1本の分離膜エレメントに設けられる有孔集水管の数は、基本的には1本である。後述するように、分離膜を透過した透過流体102は、有孔集水管6によって集められる。
分離膜3bは、供給される原流体中の成分を分離することで、分離膜を透過した透過流体を得ることができるものであればよく、具体的な構成に限定されるものではない。分離膜の詳細については後述する。分離膜3bは、有孔集水管6の周りに巻囲されることで、巻囲体3を形成する。つまり、分離膜エレメント1bはいわゆるスパイラル型分離膜エレメントである。本実施形態では、巻囲体3は、流路材としてのネットもトリコットも備えない。ただし、分離膜3b以外の部材、具体的には供給側流路材及び透過側流路材等が巻囲体に含まれてもよい(図4等参照)。
本実施形態では特に、分離膜3bは封筒状膜5aを形成する。封筒状膜5aは、平面方向の形状が矩形であり、その矩形の一辺が開口しており、その開口が有孔集水管6の外周面に対向するように、有孔集水管6に接着されている。有孔集水管6に接着された封筒状膜5aは、有孔集水管6の周りにスパイラル状に巻き付けられることで、巻囲体3を形成している。
分離膜の詳細については後述する。
巻囲体3の外観は円柱状である。本実施形態では、有孔集水管6の長手方向における巻囲体3の2つの端面、つまり図2における左端面及び右端面をそれぞれ第1端面及び第2端面と呼ぶ。
多孔性部材70としては、原流体101を通過させることができる複数の孔72を有する部材が用いられる。多孔性部材70に設けられたこれらの孔は、原流体供給口と言い換えられてもよい。
多孔性部材70は、巻囲体3における分離膜3bの最外面を囲むように配置される。つまり、多孔性部材70は、巻囲体3の外周面、つまり巻囲体3の円柱形状における側面に該当する面を囲むように配置される。多孔性部材70がこのように設けられることで、孔72が分離膜エレメント1bの外周面に設けられる。「外周面」とは、特に、分離膜エレメント1b及び巻囲体3の外面全体のうち、上述の第1端面及び第2端面を除く部分であるとも言える。本実施形態では、多孔性部材70は、巻囲体3の外周面のほぼ全体を覆うように配置される。
第1端板71は、外縁が多角形の部材であり、巻囲体3の第1端面に装着されることで、第1端面からの巻囲体3への原流体101の流入を封止する。第1端板71として、例えば、四角形、五角形、六角形、または頂点の数が7個以上の多角形状の板状部材が適用可能である。なお、第1端板71は、正多角形状であってもよい。特に、分離膜エレメントが圧力容器内に直列に装填される場合、圧力容器の内面と第1端板71の外縁との間に隙間が生じるので、エレメントの外周面から原流体が容易に供給される。第1端板71が正多角形状であることで、直列に並んだ分離膜エレメントの中心(すなわち、巻囲体3の径方向に平行な平面における中心)の位置を、互いに容易に合わせることができる。
第2端板80は、透過流体出口81及び濃縮流体出口82を備えると共に、外縁が略円形の部材である。第2端板80が巻囲体3の第2端面に装着されることで、巻囲体3の端部に、透過流体出口81及び濃縮流体出口82が設けられる。巻囲体3の第2端面のうち、透過流体出口81及び濃縮流体出口82以外の部分からの流体の流出は、第2端板80によって封止される。
分離膜エレメント1bによる流体の分離について説明する。本実施形態では、原流体101は、分離膜エレメント1bの外周面に対して供給される。具体的には、分離膜エレメント1bが圧力容器(図示せず)内に配置された状態で、圧力容器の内壁と分離膜エレメント1bの外周面との間に原流体101が供給される。上述したように、巻囲体3の外周面には多孔性部材70が設けられているので、原流体101は、多孔性部材70の孔72を通って、巻囲体3に到達する。巻囲体3の第1端面は第1端板71によって封止されているので、圧力容器の端面から供給された原流体101は、巻囲体3の端面から膜面には供給されず、圧力容器の内壁と第1端板71との間に形成される隙間を通じて、分離膜エレメント1bの外周面に供給される。
供給された原流体101は、図2に示すように、分離膜3bを透過する透過流体102と、透過しない物質を含む濃縮流体103とに分離される。透過流体102は孔61を通過することで有孔集水管6内に到達する。有孔集水管6内を通った透過流体102は、透過流体出口81を通って、分離膜エレメント1b外に排出される。一方、濃縮流体103は、分離膜間を流れることで巻囲体3内を移動し、最終的には濃縮流体出口82から分離膜エレメント1bの外部に排出される。
このように、本実施形態によると、分離膜エレメント1bの外周面から巻囲体3に原流体101が供給される。つまり、原流体101は、分離膜3bの積層方向(分離膜3bの面方向に略垂直な方向とも言える)から、巻囲体3に供給される。よって、分離膜エレメント1bが繰り返し運転されても、又は分離膜エレメント1bが高圧条件下で運転されても、巻囲された分離膜3b等が長手方向に押し出されることによる巻囲体3の変形(いわゆるテレスコープ)の抑制が可能である。
さらに本実施形態では、原流体が圧力容器と分離膜エレメントの間の隙間から供給されるので、異常滞留部の発生が抑制される。
2.第2実施形態
原流体供給口を分離膜エレメントの一方の側面と外周面に設けるとともに、濃縮流体出口を分離膜エレメントの他方の側面に設けることもできる。具体的な構成を、図3を参照して説明する。なお、図3及び他の図面において、既に説明された部材については同符号を伏してその説明を省略することがある。
図3に示すように、本実施形態の分離膜エレメント1cは、第1端板71に代えて、第1端板73を備える以外は第1実施形態の分離膜エレメント1bと同様の構成を備える。また、第1単板71は原流体101が通過可能な孔を備えていないのに対して、第1単板73は、複数の孔74を備える。孔74は、原流体101を通過させることができるように形成されている。ただし、第1端板73によって、巻囲体3の第1端面において孔74以外の部分は封止される。すなわち、原流体101の流入量は、第1端板73によって調整される。
つまり、本実施形態において、原流体101は、多孔性部材70の孔72を通って外周面から巻囲体3に供給されるだけでなく、第1端板73の孔74を通って第1端面から巻囲体3に供給される。透過流体102及び濃縮流体103は、第1実施形態と同様に、第2端面から分離膜エレメント1cの外部に排出される。
本形態においても、分離膜エレメント1cの一端だけでなく、分離膜エレメント1cの外周面からも巻囲体3に原流体101が供給されるので、巻囲体3の変形の抑制が可能である。
また、本形態においても、原流体が圧力容器と分離膜エレメントの間の隙間から供給されるので、異常滞留の発生が抑制される。
3.第3実施形態
上述したように、巻囲体は、分離膜3b以外の要素を含むことができる。
図4に示すように、本実施形態の分離膜エレメント1dは、巻囲体3に代えて巻囲体31を備える以外、第1実施形態の分離膜エレメント1bと同様の構成を備える。巻囲体31は、分離膜3bの間に配置されたトリコット41を備える以外は、巻囲体3と同様の構成を備える。すなわち、本実施形態において、分離膜3bはトリコット41の両面に重ね合わされている。
4.第4実施形態
上述の各実施形態は、互いに組み合わせることができる。例えば、図5に示すように、第2実施形態の第1端板73が、第3実施形態の巻囲体31の第1端面に装着されていてもよい。
5.その他の実施形態
5−1.巻囲体
分離膜は封筒状膜を形成している必要はなく、分離膜エレメントの使用目的に応じた分離機能を備えていればよい。つまり、巻囲体は、上述の封筒状膜の構成に限定されるものではなく、巻囲された分離膜を備えていればよく、分離膜は、分離膜エレメントの使用目的に合わせて選択される。
また、巻囲体において、分離膜以外の構成、例えば種々の流路材及び他の膜等が、分離膜の間及び有孔集水管と分離膜との間等に設けられていてもよい。
5−2.原流体供給部(第1原流体供給部)
上述の各実施形態において、多孔性部材は、有孔集水管の長手方向に直交する方向において、巻囲体の外側に設けられた原流体供給部の一例である。原流体供給部は、上述のように配置されていることで、巻囲体に対して有孔集水管の長手方向に直交する方向から、つまり巻囲体の外周面から、原流体を供給することができる。有孔集水管の長手方向に直交する方向とは、有孔集水管の短手方向、有孔集水管の径方向、分離膜の積層方向、又は分離膜の面方向に略垂直な方向等と言い換えられる。
このように有孔集水管の長手方向に直交する方向から原流体が巻囲体に供給されることで、分離膜エレメントが繰り返し運転されても、又は分離膜エレメントが高圧条件下で運転されても、巻囲された分離膜等が長手方向に押し出されることによる巻囲体3の変形(いわゆるテレスコープ)の抑制が可能である。
原流体供給部は、多孔性部材に限定されるものではなく、上述したように、有孔集水管の長手方向に直交する方向から原流体を巻囲体に供給する機能を有していればよい。例えば巻囲体の外周面に巻き付けられたひも状の部材によっても、多孔性部材と同様の機能を実現することができる。また、多孔性部材としては、上述したネット及び多孔性フィルムのように、柔軟性又は可撓性を有する部材だけでなく、剛性が高く変形しにくい素材で形成された部材であってもよい。
また、上述の各実施形態では、複数の原流体供給口が巻囲体の外周面のほぼ全体にわたって均一に分布するように設けられている。つまり、上述の各実施形態では、原流体供給部は巻囲体の外周面のほぼ全体にわたって原流体を供給するように構成されている。しかし、原流体供給部は、この形態に限定されるものではない。例えば、多孔性部材の孔の分布は均一である必要はなく、巻囲体の外周面の少なくとも一部に原流体が供給されるように形成されていればよい。
また、原流体供給口の大きさ、1個の分離膜エレメント当たりの数、密度、ピッチ及び形状等は、原流体の種類及び分離膜エレメントの使用目的等に応じて、変更可能である。例えば、L型エレメントの原流体供給部として、5mm×5mm〜15mm×15mm程度のピッチを有するネットが使用されてもよい。原流体供給口の形状としては、だ円形(真円を含む)、三角形、四角以上の多角形等、種々の形状が適用可能である。
原流体供給部が、上述の多孔性部材等、巻囲体の外周面のほぼ全体を覆う連続状の部材であることで、原流体供給部は、巻囲体の外形を維持する機能も有することができる。
また、巻囲体の径方向に平行な方向において、原流体供給部の厚みが薄い方が、エレメントの単位体積当たりに充填できる膜面積が大きくなるという利点がある。
5−3.第2原流体供給部
第1端板73は、第2原流体供給部の一例である。すなわち、有孔集水管の長手方向における巻囲体の一方の端部から原流体を供給できる構成であれば、第1端板73に代えて適用可能である。
孔74の、つまり第2原流体供給部における原流体供給口の形状、大きさ、数等は、原流体の種類、分離膜の構成、巻囲体の構成等に応じて変更可能である。
5−4.濃縮流体排出部
第2端板80は、濃縮流体排出部の一例である。すなわち、有孔集水管の長手方向において、巻囲体の外側に設けられ、濃縮流体を排出できる構成であれば、第2端板80に代えて他の構成を適用可能である。さらには、濃縮流体排出部は、有孔集水管の長手方向における巻囲体の両端のうち、第2原流体供給部による原流体の供給を受ける端部とは逆側の端部から、濃縮流体を排出するように構成されていればよい。
例えば、第2端板80に代えて、図6〜図8に示す端板801〜803が用いられてもよい。
なお、孔を有する第1端板としては、第2端板とほぼ同じ形状を採用することができる。例えば、透過流体出口81を備えず、外縁が多角形である以外は端板801〜803と略同様の構成を有する部材が、第1端板73に代えて適用可能である。
5−5.分離膜
分離膜は、分離膜の供給流体側に供給される流体中の成分を分離し、分離膜を透過した透過流体を得るものであればよく、特定の構成に限定されるものではない。分離膜としては、分離機能層、多孔性支持層、及び基材を備えるものが好ましく使用される。
分離機能層としては、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという理由で、架橋高分子が好ましく使用される。特に、原流体中の成分の分離性能に優れるという理由で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層、及び有機無機ハイブリッド機能層などが好適に用いられる。分離機能層は、多孔性支持膜(多孔性支持層を包含する)上で重縮合することによって形成されてもよい。また、分離機能層として、セルロース膜、PVDF膜、PES膜、ポリスルホン膜のような分離機能及び支持体機能の両方を有する膜を用いることもできる。
分離機能層が、ポリアミドを主成分とする膜、すなわちポリアミド膜である場合を詳述する。ポリアミド膜は、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合により形成することができる。ここで、多官能アミンまたは多官能酸ハロゲン化物の少なくとも一方が3官能以上の化合物を含んでいることが好ましい。
ここで、多官能アミンとは、具体的には、一分子中に少なくとも2個の第一級アミノ基および/または第二級アミノ基を有し、かつそのアミノ基のうち少なくとも1つが第一級アミノ基であるアミンである。多官能アミンとしては、例えば、2個のアミノ基がオルト位やメタ位、パラ位のいずれかの位置関係でベンゼン環に結合したフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼン、1,2,4−トリアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミンなどの芳香族多官能アミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族アミン;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4−アミノピペリジン、4−アミノエチルピペラジンなどの脂環式多官能アミン等を挙げることができる。中でも、膜の選択分離性や透過性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の第一級アミノ基および/または第二級アミノ基を有する芳香族多官能アミンが好ましく用いられ、このような多官能芳香族アミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンが好適に用いられる。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさから、m−フェニレンジアミンが好ましく用いられる。これらの多官能アミンは、単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。2種以上を同時に用いる場合、上記アミン同士を組み合わせてもよく、上記アミンと一分子中に少なくとも2個の第二級アミノ基を有するアミンを組み合わせてもよい。一分子中に少なくとも2個の第二級アミノ基を有するアミンとして、例えば、ピペラジン、1,3−ビスピペリジルプロパン等を挙げることができる。
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に少なくとも2個のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物である。例えば、3官能酸ハロゲン化物としては、トリメシン酸クロリド、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリクロリド、1,2,4−シクロブタントリカルボン酸トリクロリドなどを挙げることができる。2官能酸ハロゲン化物としては、ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、アゾベンゼンジカルボン酸ジクロリド、テレフタル酸クロリド、イソフタル酸クロリド、ナフタレンジカルボン酸クロリドなどの芳香族2官能酸ハロゲン化物、アジポイルクロリド、セバコイルクロリドなどの脂肪族2官能酸ハロゲン化物、シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、テトラヒドロフランジカルボン酸ジクロリドなどの脂環式2官能酸ハロゲン化物を挙げることができる。多官能アミンとの反応性を考慮すると、多官能酸ハロゲン化物は多官能酸塩化物であることが好ましく、また、膜の選択分離性、耐熱性を考慮すると、一分子中に2〜4個の塩化カルボニル基を有する多官能芳香族酸塩化物であることが好ましい。中でも、入手の容易性や取り扱いのしやすさの観点から、トリメシン酸クロリドを用いるとより好ましい。これらの多官能酸ハロゲン化物は、単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。
分離膜の分離性能を保持する点で、2官能酸ハロゲン化合物と3官能ハロゲン化合物の比率は、モル比(2官能酸ハロゲン化合物のモル/3官能酸ハロゲン化合物のモル)で0.05〜1.5であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.0であることが好ましい。
さらに、分離膜は、Si元素などを含有する有機無機ハイブリッド膜を分離機能層として備えてもよい。有機無機ハイブリッド膜は、成形性及び耐薬品性の点で優れている。有機無機ハイブリッド膜としては、例えば、(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物、ならびに(B)前記ケイ素化合物以外のエチレン性不飽和基を有する化合物を用いた、(A)のケイ素化合物の加水分解性基の縮合物ならびに(A)のケイ素化合物および(B)のエチレン性不飽和基を有する化合物のエチレン性不飽和基の重合物が使用できる。
すなわち、分離機能層は、
・化合物(A)のみが縮合および/若しくは重合することで形成された重合物、
・化合物(B)のみが重合して形成された重合物、並びに
・化合物(A)と化合物(B)との共重合物
まず(A)のエチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物について説明する。
エチレン性不飽和基を有する反応性基はケイ素原子に直接結合している。このような反応性基としては、ビニル基、アリル基、メタクリルオキシエチル基、メタクリルオキシプロピル基、アクリルオキシエチル基、アクリルオキシプロピル基、スチリル基が例示される。重合性の観点から、メタクリルオキシプロピル基、アクリルオキシプロピル基、スチリル基が好ましい。
また、ケイ素原子に直接結合している加水分解性基が水酸基に変化するなどのプロセスを経て、ケイ素化合物同士がシロキサン結合で結ばれるという縮合反応が生じることで、高分子が形成される。加水分解性基としてはアルコキシ基、アルケニルオキシ基、カルボキシ基、ケトオキシム基、アミノヒドロキシ基、ハロゲン原子およびイソシアネート基などの官能基が例示される。アルコキシ基の炭素数は、1〜10であること好ましく、1〜2であることがさらに好ましい。アルケニルオキシ基の炭素数は、2〜10であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、3であることがさらに好ましい。カルボキシ基の炭素数は、2〜10であることが好ましく、さらには炭素数2であること(すなわち、カルボキシル基がアセトキシ基であること)が好ましい。ケトオキシム基としては、メチルエチルケトオキシム基、ジメチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基が例示される。アミノヒドロキシ基は、酸素を介してアミノ基が酸素原子を介してケイ素原子に結合しているものである。このようなものとしては、ジメチルアミノヒドロキシ基、ジエチルアミノヒドロキシ基、メチルエチルアミノヒドロキシ基が例示される。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましく使用される。
分離機能層の形成にあたっては、上記加水分解性基の一部が加水分解し、シラノール構造をとっているケイ素化合物も使用できる。また2以上のケイ素化合物が、加水分解性基の一部が加水分解、縮合し架橋しない程度に高分子量化したものも使用できる。
ケイ素化合物(A)としては下記一般式(a)で表されるものであることが好ましい。
Si(R(R(R4−m−n ・・・(a)
(Rはエチレン性不飽和基を含む反応性基を示す。Rはアルコキシ基、アルケニルオキシ基、カルボキシ基、ケトオキシム基、ハロゲン原子またはイソシアネート基のいずれかを表す。RはHまたはアルキル基を表す。m、nはm+n≦4を満たす整数であり、m≧1、n≧1を満たすものとする。R、R、Rそれぞれにおいて2以上の官能基がケイ素原子に結合している場合、同一であっても異なっていてもよい。)
はエチレン性不飽和基を含む反応性基であり、その例は上述したとおりである。
は加水分解性基であり、上で解説したとおりである。Rとなるアルキル基の炭素数としては1〜10のものが好ましく、さらに1〜2のものが好ましい。
加水分解性基としては、分離機能層の形成にあたって、反応液が粘性を持つことからアルコキシ基が好ましく用いられる。
このようなケイ素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシランが例示される。
(A)のケイ素化合物の他、エチレン性不飽和基を有する反応性基を有しないが、加水分解性基を有するケイ素化合物を併せて使用することもできる。このようなケイ素化合物は、一般式(a)では「m≧1」と定義されているが、一般式(a)においてmがゼロである化合物が例示される。このようなものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが例示される。
次に(A)のケイ素化合物以外のものであって、エチレン性不飽和基を有する化合物(B)について説明する。
エチレン性不飽和基は付加重合性を有する。このような化合物としてはエチレン、プロピレン、メタアクリル酸、アクリル酸、スチレンおよびこれらの誘導体が例示される。
また、この化合物は、分離膜を水溶液の分離などに用いたときに水の選択的透過性を高め、塩の阻止率を上げるために、酸基を有するアルカリ可溶性の化合物であることが好ましい。
好ましい酸の構造としては、カルボン酸、ホスホン酸、リン酸およびスルホン酸であり、これらの酸の構造としては、酸の形態、エステル化合物、および金属塩のいずれの状態で存在してもよい。これらのエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物は、2つ以上の酸を含有し得るが、中でも1個〜2個の酸基を含有する化合物が、好ましい。
上記のエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物の中でカルボン酸基を有する化合物としては、以下のものが例示される。マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリト酸および対応する無水物、10−メタクリロイルオキシデシルマロン酸、N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)−N−フェニルグリシンおよび4−ビニル安息香酸が挙げられる。
上記のエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物の中でホスホン酸基を有する化合物としては、ビニルホスホン酸、4−ビニルフェニルホスホン酸、4−ビニルベンジルホスホン酸、2−メタクリロイルオキシエチルホスホン酸、2−メタクリルアミドエチルホスホン酸、4−メタクリルアミド−4−メチル−フェニル−ホスホン酸、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)−2−オキサ−ブチル]−アクリル酸および2−[2−ジヒドロキシホスホリル)−エトキシメチル]−アクリル酸−2,4,6−トリメチル−フェニルエステルが例示される。
上記のエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物の中でリン酸エステルの化合物としては、2−メタクリロイルオキシプロピル一水素リン酸および2−メタクリロイルオキシプロピル二水素リン酸、2−メタクリロイルオキシエチル一水素リン酸および2−メタクリロイルオキシエチル二水素リン酸、2−メタクリロイルオキシエチル−フェニル−水素リン酸、ジペンタエリトリトール−ペンタメタクリロイルオキシホスフェート、10−メタクリロイルオキシデシル−二水素リン酸、ジペンタエリトリトールペンタメタクリロイルオキシホスフェート、リン酸モノ−(1−アクリロイル−ピペリジン−4−イル)−エステル、6−(メタクリルアミド)ヘキシル二水素ホスフェートならびに1,3−ビス−(N−アクリロイル−N−プロピル−アミノ)−プロパン−2−イル−二水素ホスフェートが例示される。
上記のエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物の中でスルホン酸基を有する化合物としては、ビニルスルホン酸、4−ビニルフェニルスルホン酸または3−(メタクリルアミド)プロピルスルホン酸が挙げられる。
分離膜では、分離機能層を形成するために、(A)のケイ素化合物以外に、エチレン性不飽和基を1個以上有する化合物、および重合開始剤を含んだ反応液が使用される。この反応液を多孔質膜上に塗布し、さらに加水分解性基を縮合することに加えて、エチレン性不飽和基の重合によって、これら化合物を高分子量化することができる。(A)のケイ素化合物自身の高分子量化および架橋に加え、(B)のエチレン性不飽和基を有する化合物を共重合させることで、加水分解性基の縮合による架橋点とエチレン性不飽和基の重合による架橋点が適度に分散される。このように適度に架橋点を分散させることで、均一な孔径を有する分離機能層が構成され、透水性能と除去性能のバランスが取れた分離膜を得ることができる。また、高分子化によって、エチレン性不飽和基を1個以上有し、かつ低分子量である化合物が、分離膜使用時に溶出することで膜性能低下を引き起こすことを抑制することができる。
分離膜の製造方法において、(A)エチレン性不飽和基を有する反応性基および加水分解性基がケイ素原子に直接結合したケイ素化合物の含有量は、反応液に含有される固形分量100重量部に対し10重量部以上であることが好ましく、さらに好ましくは20重量部〜50重量部である。ここで、反応液に含有される固形分とは、反応液に含有される全成分のうち、溶媒および縮合反応で生成する水やアルコールなどの留去成分を除いた最終的に分離機能層として含まれる成分のことを指す。(A)のケイ素化合物量が少ないと、架橋度が不足する傾向があるので、膜ろ過時に分離機能層が溶出し分離性能が低下するなどの不具合が発生するおそれがある。
(B)のエチレン性不飽和基を有する化合物の含有量は、反応液に含有される固形分量100重量部に対し90重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは50重量部〜80重量部である。(B)の化合物の含有量がこれらの範囲にあるとき、得られる分離機能層は架橋度が高くなるため、分離機能層が溶出することなく安定に膜ろ過ができる。
次に、分離機能層を多孔質支持膜上に形成する方法について説明する。
分離機能層形成のために例示される方法としては、(A)のケイ素化合物および(B)のエチレン性不飽和基を有する化合物を含有する反応液を塗布する工程、溶媒を除去する工程、エチレン性不飽和基を重合させる工程、加水分解性基を縮合させる工程の順に行うものである。エチレン不飽和基を重合させる工程において、加水分解性基が同時に縮合することがあってもいい。
まず、(A)および(B)を含有する反応液を多孔性支持膜に接触させる。かかる反応液は、通常溶媒を含有する溶液であるが、かかる溶媒は多孔性支持膜を破壊せず、(A)および(B)、および必要に応じて添加される重合開始剤を溶解するものであれば特に限定されない。この反応液には、(A)のケイ素化合物のモル数に対して1〜10倍モル量、好ましくは1〜5倍モル量の水を無機酸または有機酸と共に添加して、(A)のケイ素化合物の加水分解を促すことが好ましい。
反応液の溶媒としては、水、アルコール系有機溶媒、エーテル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒および、これらを混ぜ合わせたものが好ましい。例えば、アルコール系有機溶媒として、メタノール、エトキシメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル(2-メトキシエタノール)、エチレングリコールモノアセトエステル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、メトキシブタノール等が挙げられる。また、エーテル系有機溶媒として、メチラール、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、トリオキサン、ジオキサン等が挙げられる。また、ケトン系有機溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニトリルアセトン、ジメチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン、ダイアセトンアルコール等が挙げられる。また、溶媒の添加量としては、50〜99重量%が好ましく、さらには80〜99重量%が好ましい。溶剤の添加量が多すぎると膜中に欠点が生じやすい傾向があり、少なすぎると得られる分離膜の透水性が低くなる傾向がある。
多孔性支持膜と反応液との接触は、多孔性支持膜面上で均一にかつ連続的に行うことが好ましい。具体的には、例えば、反応液をスピンコーター、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、ロールコーター、スプレーなどの塗布装置を用いて多孔性支持膜にコーティングする方法があげられる。また多孔性支持膜を、反応液に浸漬する方法を挙げることができる。
浸漬させる場合、多孔性支持膜と反応液との接触時間は、0.5〜10分間の範囲内であることが好ましく、1〜3分間の範囲内であるとさらに好ましい。反応液を多孔性支持膜に接触させたあとは、膜上に液滴が残らないように十分に液切りすることが好ましい。十分に液切りすることで、膜形成後に液滴残存部分が膜欠点となって膜性能が低下することを防ぐことができる。液切りの方法としては、反応液接触後の多孔性支持膜を垂直方向に把持して過剰の反応液を自然流下させる方法や、エアーノズルから窒素などの風を吹き付け、強制的に液切りする方法などを用いることができる。また、液切り後、膜面を乾燥させ、反応液の溶媒分の一部を除去することもできる。
ケイ素の加水分解性基を縮合させる工程は、多孔性支持膜上に反応液を接触させた後に加熱処理することによって行われる。このときの加熱温度は、多孔性支持膜が溶融し分離膜としての性能が低下する温度より低いことが要求される。縮合反応を速やかに進行させるために通常0℃以上で加熱を行うことが好ましく、20℃以上がより好ましい。また、前記反応温度は、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。反応温度が0℃以上であれば、加水分解および縮合反応が速やかに進行し、150℃以下であれば、加水分解および縮合反応の制御が容易になる。また、加水分解または縮合を促進する触媒を添加することで、より低温でも反応を進行させることが可能である。さらに、分離機能層が細孔を有するよう加熱条件および湿度条件を選定することで、縮合反応を適切に行うことができる。
(A)のケイ素化合物および(B)のエチレン性不飽和基を有する化合物のエチレン性不飽和基の重合方法としては、熱処理、電磁波照射、電子線照射、プラズマ照射により行うことができる。ここで電磁波とは赤外線、紫外線、X線、γ線などを含む。重合方法は適宜最適な選択をすればよいが、ランニングコスト、生産性などの点から電磁波照射による重合が好ましい。電磁波の中でも赤外線照射や紫外線照射が簡便性の点からより好ましい。実際に赤外線または紫外線を用いて重合を行う際、これらの光源は選択的にこの波長域の光のみを発生する必要はなく、これらの波長域の電磁波を含むものであればよい。しかし、重合時間の短縮、重合条件の制御などのしやすさの点から、これらの電磁波の強度がその他の波長域の電磁波に比べ高いことが好ましい。
電磁波は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、UVランプ、エキシマランプ、メタルハライドランプ、希ガス蛍光ランプ、水銀灯などから発生させることができる。電磁波のエネルギーは重合できれば特に制限しないが、中でも高効率で低波長の紫外線は高い薄膜形成性を示す。このような紫外線は低圧水銀灯、エキシマレーザーランプにより発生させることができる。分離機能層の厚み及び形態はそれぞれの重合条件によっても大きく変化することがあり、電磁波による重合であれば電磁波の波長、強度、被照射物との距離、処理時間により大きく変化することがある。そのためこれらの条件は適宜最適化を行う必要がある。
重合速度を速める目的で分離機能層形成の際に重合開始剤、重合促進剤等を添加することが好ましい。ここで、重合開始剤、重合促進剤とは特に限定されるものではなく、用いる化合物の構造、重合手法などに合わせて適宜選択されるものである。
重合開始剤を以下例示する。電磁波による重合の開始剤としては、ベンゾインエーテル、ジアルキルベンジルケタール、ジアルコキシアセトフェノン、アシルホスフィンオキシドもしくはビスアシルホスフィンオキシド、α−ジケトン(例えば、9,10−フェナントレンキノン)、ジアセチルキノン、フリルキノン、アニシルキノン、4,4’−ジクロロベンジルキノンおよび4,4’−ジアルコキシベンジルキノン、およびショウノウキノンが、例示される。熱による重合の開始剤としては、アゾ化合物(例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)もしくはアゾビス−(4−シアノバレリアン酸))、または過酸化物(例えば、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウロイル、過オクタン酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチルもしくはジ−(tert−ブチル)ペルオキシド)、さらに芳香族ジアゾニウム塩、ビススルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アルキルリチウム、クミルカリウム、ナトリウムナフタレン、ジスチリルジアニオンが例示される。なかでもベンゾピナコールおよび2,2’−ジアルキルベンゾピナコールは、ラジカル重合のための開始剤として特に好ましい。
過酸化物およびα−ジケトンは、開始を加速するために、好ましくは、芳香族アミンと組み合わせて使用される。この組み合わせはレドックス系とも呼ばれる。このような系の例としては、過酸化ベンゾイルまたはショウノウキノンと、アミン(例えば、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン、p−ジメチル−アミノ安息香酸エチルエステルまたはその誘導体)との組み合わせである。さらに、過酸化物を、還元剤としてのアスコルビン酸、バルビツレートまたはスルフィン酸と組み合わせて含有する系もまた好ましい。
次いで、これを約100〜200℃で加熱処理すると重縮合反応が起こり、多孔性支持膜表面にシランカップリング剤由来の分離機能層が形成された分離膜を得ることができる。加熱温度は多孔性支持膜の素材にもよるが、高すぎると溶解が起こり多孔性支持膜の細孔が閉塞するため、分離膜の造水量が低下する。一方低すぎた場合には、重縮合反応が不十分となり機能層の溶出により除去率が低下するようになる。
なお上記の製造方法において、シランカップリング剤とエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物とを高分子量化する工程は、シランカップリング剤の重縮合工程の前に行っても良いし、後に行っても良い。また、同時に行っても良い。
このようにして得られた分離膜はこのままでも使用できるが、使用する前に例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させることが好ましい。
分離機能層の厚みとしては限定されないが、分離性能と透過性能の点で5〜3000nmであることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5〜300nmであることが好ましい。
分離機能層の厚みは、これまでの分離膜の膜厚測定法に準ずることができ、例えば分離膜を樹脂による包埋後に、超薄切片を作製し、染色などの処理を行った後に、透過型電子顕微鏡により観察することで測定することができる。主な測定法としては、分離機能層がひだ構造を有する場合、多孔性支持膜より上に位置するひだ構造の断面長さ方向に50nm間隔で測定し、ひだの数を20個測定し、その平均から求めることができる。
多孔性支持膜は、分離膜としての性能を保持しつつ分離機能層を支持する膜として用いることができる。
多孔性支持膜に使用する材料やその形状は特に限定されないが、例えば基材に多孔性支持体を形成した膜を例示することができる。多孔性支持体の素材としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂あるいはそれらを混合、積層したものが使用され、化学的、機械的、熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいポリスルホンを使用することが好ましい。
例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、製造することができる。
”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って、上述した形態を得るためにポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒を調整することで、多孔性支持膜を製造することができる。例えば、所定量のポリスルホンをDMFに溶解し、所定濃度のポリスルホン樹脂溶液を調製する。次いで、このポリスルホン樹脂溶液をポリエステル布あるいは不織布からなる基材上に略一定の厚さに塗布した後、一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、凝固液中でポリスルホンを凝固させることによって得ることが出来る。この時、凝固液と接触する表面部分などは溶媒のDMFが迅速に揮散するとともにポリスルホンの凝固が急速に進行し、DMFの存在した部分を核とする微細な連通孔が生成される。
また、上記の表面部分から基材側へ向かう内部においては、DMFの揮散とポリスルホンの凝固は表面に比べて緩慢に進行するので、DMFが凝集して大きな核を形成しやすく、したがって、生成する連通孔が大径化する。勿論、上記の核生成の条件は、膜表面からの距離によって徐々に変化するので、明確な境界のない、滑らかな孔径分布を有する支持膜が形成されることになる。この形成工程において用いるポリスルホン樹脂溶液ポリスルホン樹脂溶液の温度やポリスルホンの濃度、塗布を行う雰囲気の相対湿度、塗布してから凝固液に浸漬するまでの時間、凝固液の温度や組成等を調節することにより平均空隙率と平均孔径を制御したポリスルホン膜を得ることができる。
多孔性支持膜としては、分離膜に機械的強度を与え、イオン等の分子サイズの小さな成分に対して分離膜のような分離性能を有さないものであれば、孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、均一で微細な孔、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面まで徐々に大きな微細孔をもち、かつ、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡、電子顕微鏡などを用いて表面から測定された細孔の投影面積円相当径が1nm以上100nm以下であるような多孔性支持膜が好ましく使用される。特に界面重合反応性、分離機能膜の保持性の点で3〜50nmの投影面積円相当径を有することが好ましい。
多孔性支持膜の厚みは特に限定されないが、分離膜の強度を確保する点、分離膜の高低差を形成させる点、流路の形状安定性の点で、20〜500μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは30〜300μmである。多孔性支持膜の厚みはこの範囲にあることで、特に、供給側流路の形状を安定させることができる。
多孔性支持膜の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔質支持体を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、日立製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真から多孔性支持膜の膜厚や表面の投影面積円相当径を決定する。支持膜の厚み、孔径は、平均値であり、支持膜の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、孔を200個カウントし、各投影面積円相当径の平均値である。
基材としては、分離膜の分離性能および透過性能を保持しつつ、適度な機械強度を与え、分離膜表面の高低差を制御する点で、繊維状基材である不織布が用いられる。
不織布としては、ポリオレフィン、ポリエステル、セルロースなどからなるものが用いられるが、分離膜の高低差を形成させる点、形態保持性の点でポリオレフィン、ポリエステルからなるものが好ましい。また、複数の素材を混合させたものを使用することもできる。
基材としては、長繊維不織布および短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。ただし、基材には高分子重合体の溶液を流延した際に溶液が基材の裏にまで過浸透したり、微多孔性支持層が剥離したり、さらには基材の毛羽立ち等により膜の不均一化やピンホール等の欠点が生じたりすることがないような優れた製膜性が要求される。よって、特に長繊維不織布がより好ましく用いられる。基材として短繊維不織布を用いると、高分子溶液流延時に毛羽立ちによって不均一化および膜欠点等の不具合が発生しやすい。基材が、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、これらの不具合を抑制することができる。また、分離膜の連続製膜においては製膜方向に対し基材に張力がかけられることからも、基材には寸法安定性に優れる長繊維不織布を用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保って膜破れ等をより確実に防ぐことができるばかりか、分離膜に複数の凹凸部を形成する際の、多孔性支持層と基材とを含む積層体としての成形性も向上し、分離膜の凹凸部形状が安定するので好ましい。より具体的に、該長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°〜25°であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°〜90°であることが好ましい。
分離性能、透過性能、供給側流路形成の点で、本実施形態では、分離膜の少なくとも片面には、100μm以上2000μm以下の高低差が設けられている。さらに分離膜エレメントの供給流路を安定させ、分離、透過性能を高める上で、200μm以上1500μm以下、特に好ましくは200μm以上1000μmの高低差を設けることが好ましい。
「高低差が設けられている」とは、分離膜に、溝、凹み及び/又は突起等が形成されていることを包含する。なお、溝、凹み及び/又は突起等の縦断面及び横断面における大きさ並びに形状等は、変更可能であって、特定の形態に限定されるものではない。
高低差は、例えば、図9の分離膜3cのように、膜の厚みがほぼ一定であり、かつ断面に凹凸が表れるような構造によって形成されていてもよい。つまり、分離膜3cにおける供給側の面34の凸部が透過側の面35の凹部に対応し、供給側の面34の凹部が透過側の面35の凸部に対応する。分離膜3cにおいては、供給側の面34における高低差と透過側の面35における高低差とは略同一となる。よって、図9では、これらの高低差を併せてD1として示す。
また、高低差は、例えば、図10の分離膜3dのように、分離膜が厚みの異なる部分を有することによって断面に凹凸が表れる構造であってもよい。具体的には、分離膜3dは、供給側の面34及び透過側の面35の両方で突出する箇所と凹む箇所とを交互に並ぶように備える。つまり、分離膜3dは、厚みの大きい箇所と小さい箇所とを交互に並ぶように備える。供給側の面34における高低差をD2、透過側の面35における高低差をD3として示す。
また、分離膜が厚みの異なる部分を有する構成としては、他に、断面において片方の面のみに凹凸が形成され、他方の面は平滑である構成が挙げられる。図11では、供給側の面34のみに、高さD4の凹凸が形成されており、透過側の面35はほぼ平滑である。
なお、図示はしないが、透過側の面35のみに高低差が形成されていてもよい。
1個の巻囲体に含まれる全ての分離膜が上述の高低差を有していてもよく、一部の分離膜のみが上述の高低差を有していてもよい。また、1枚の分離膜の全面に高低差が設けられている場合、および、1枚の分離膜が、高低差が設けられていない領域と高低差が設けられている領域との両方を含んでいてもよい。
分離膜に高低差を付与する方法としては特に限定されないが、エンボス成形、水圧成形、カレンダ加工などの方法を用いることができる。さらに、分離膜の成形時や成形後に40〜150℃の熱処理を施すことで凹凸形状保持性を向上させることができる。熱処理温度は、分離膜から基材のみをはがし取り、基材のDSCを測定することでポリエステル繊維の熱処理温度を公知の方法を用いて同定することができる。
成形工程としては特に限定されないが、分離膜を作製する前の段階で支持膜を加工する工程、基材を加工する工程、支持膜、基材を積層した積層体を加工する工程、分離膜を加工する工程が好ましく用いることができる。また、加熱処理する前、加熱処理中、加熱処理後および、UV処理前、中、後のいずれにおいて加工してもよい。
分離膜の高低差は、市販の形状測定システムを用いて計測できる。例えば、レーザー顕微鏡によって、分離膜の断面を観察することで高低差を測定することもできるし、キーエンス製高精度形状測定システムKS−1100によって分離膜の表面を観察することで高低差を測定することもできる。測定は任意の高低差が存在する箇所について実施し、各高さの値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めることができる。高低差は、本書に挙げたいずれかの測定方法において上述の範囲を満たせばよい。具体的な測定方法については実施例で説明する。
分離膜の高低差のピッチは好ましくは0.1mm以上30mm以下、より好ましくは0.5mm以上15mm以下である。ピッチとは、高低差が存在する分離膜の少なくとも片面における高い箇所の最も高いところから近接する高い箇所の最も高い箇所までの水平距離のことである。
高低差の形状としては特に限定されないが、流路の流動抵抗を少なくし、かつ分離膜エレメントに流体を供給、透過させた際の流路を安定化させることが重要である。これらの点で、供給流体側の上部から観察した形では、楕円、円、長円、台形、三角形、長方形、正方形、平行四辺形、菱形、不定形があり、立体的には供給流体側の上部からの形をそのまま表面方向に賦形したもの、広がる形で賦形したもの、狭める形で賦形したものが用いられる。
高低差の中心線よりも供給流体側の上部方向に高い位置を有する凸面積は、供給流体側の上部からの観察面積(2次元面積)に対して、5%以上80%以下であることが好ましく、流動抵抗と流路安定性の点で10%以上60%以下であることが特に好ましい。
なお、透過側の面(つまり基材側の表面)に高低差が形成された分離膜は、透過側流路材が省略された分離膜エレメントに好適である。また、供給側の面(つまり分離機能層側の面)に高低差が形成された分離膜は、供給側流路材が省略された分離膜エレメントに好適である。また、両面に高低差が形成された分離膜は、透過側流路材及び供給側流路材が省略された分離膜エレメントに好適である。具体的には、第1及び第2実施形態では、両面に高低差が形成された分離膜が好適であり、第3及び第4実施形態では、供給側表面に高低差が形成された分離膜が好適である。
上述したように、向かい合う分離膜は互いに接着されている。接着に用いられる接着剤は、粘度が40PS以上150PS以下の範囲内であることが好ましく、さらに50PS以上120PS以下がより好ましい。接着剤粘度が高すぎる場合には、積層した封筒状膜5bを有孔集水管6に巻囲する際に、シワが発生し易くなって分離膜エレメントの性能を損なわれ易くなる。逆に、接着剤粘度が低すぎる場合は、封筒状膜5bの端部(接着面部分)から接着剤が流出して装置を汚す他、不要な部分に付着して分離膜エレメントの性能を損なうと共に、流出した接着剤の処理作業により作業効率が著しく低下する。
接着剤の塗布量は、封筒状膜5bを有孔集水管6に巻囲した後に塗布幅10mm以上100mm以下が確保出来るような量とすることが好ましい。この範囲であれば、接着不良の部分から原流体の一部が透過側に流入することなく、また巻囲時の接着剤の広がりによる透過有効膜面積低減を抑制することが出来る。
接着剤としてはウレタン系接着剤が好ましく、粘度を40PS以上150PS以下の範囲とするには、主剤のイソシアネートと硬化剤のポリオールとを、イソシアネート:ポリオール=1:1〜1:5の割合で混合したものが好ましい。接着剤の粘度は、予め主剤、硬化剤単体、及び配合割合を規定した混合物の粘度をB型粘度計(JIS K 6833)で測定したものである。
5−6.流路材
上述の第1及び第2実施形態の分離膜エレメントは、供給側及び透過側流路材のいずれも備えない。また、第3及び第4の分離膜エレメントは、供給側流路材は備えないが、透過側流路材としてトリコット41を備える。
ただし、本発明はこれらの形態に限定されない。すなわち、分離膜エレメントは、供給側及び透過側流路材の両方を備えることもできるし、透過側流路材を備えずに、供給側流路材を備えることもできる。
供給側流路材は、原流体及び濃縮流体の流路を確保することができるものであればよく、その形状、厚み、組成等は、具体的な構成に限定されるものではない。例えば、供給側流路材としては、従来用いられてきたネットが適用されてもよい。
透過側流路材は、透過流体の流路を確保することができるものであればよく、その形状、厚み、組成等は、具体的な構成に限定されるものではない。例えば、透過側流路材として、従来用いられてきたトリコットが適用されてもよい。
5−6.組み合わせ
異なる欄に記載した構成及び形態をそれぞれ組み合わせて得られる形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
6.分離膜エレメントの製造方法の一例
次に、分離膜エレメントの製造方法の一例について説明する。
分離膜エレメントの製造方法は限定されないが、ポリアミド分離機能層を多孔性支持膜、基材に積層し、分離膜を得た後に成形して分離膜エレメントを製造する代表的な方法について述べる。なお、分離膜に高低差を付与するための成形工程などは、前述したように分離膜製膜工程の前、途中、後のいずれにおいても取り入れることが可能である。
多孔性支持膜と基材を複合した後、多孔性支持膜に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去した後、多官能酸ハロゲン化物含有溶液を塗布し、ポリアミド分離機能層を形成させる。多官能酸ハロゲン化物含有溶液に用いられる有機溶媒は、水と非混和性であり、かつ多官能酸ハロゲン化物を溶解し、多孔性支持膜を破壊しないものが望ましく、多官能アミン化合物および多官能酸ハロゲン化物に対して不活性であるものであればよい。好ましい例として、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカンなどの炭化水素化合物が挙げられる。さらに、必要に応じて分離性能、透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリ、亜硝酸などの化学処理を施し、さらにモノマー等を洗浄し分離膜シートを得る。その後、予熱した分離膜を、加熱したエンボスロールの間に、圧力(30kg/cm)をかけながら通過させて、分離膜にエンボス加工を行う。続いて表面に高低差を設けたシート状分離膜を、従来の分離膜エレメント製作装置を用いて、シート状分離膜端部にウレタン系接着剤(イソシアネート:ポリオール=1:3)を塗布した後、1辺が開口するように折りたたみ重ね合わせて分離膜エレメントでの有効面積が37mになるように、幅930mmで26枚の封筒状膜を作製し、開口部側の所定部分を有孔集水管の外周面に接着しスパイラル状に巻囲し分離膜エレメントを作製する。分離膜エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭52−5431号公報、特公昭61−36965号公報、特開平1−266808号公報、特開平1−266808号公報、特開平5−208120号公報)に記載される方法を用いることができる。
このように製造される分離膜エレメントは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納した分離膜モジュールとすることもできる。
また、上記の分離膜エレメント、モジュールは、それらに流体を供給するポンプや、その流体を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、例えば原流体を飲料水などの透過流体と膜を透過しなかった濃縮流体とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
流体分離装置の操作圧力は高い方が除去率は向上するが、運転に必要なエネルギーも増加すること、また、分離膜エレメントの供給流路、透過流路の保持性を考慮すると、分離膜モジュールに原流体を透過する際の操作圧力は、0.2MPa以上、8MPa以下が好ましい。原流体温度は、高くなると塩除去率が低下するが、低くなるにしたがい膜透過流束も減少するので、5℃以上、45℃以下が好ましい。また、原流体pHは、高くなると海水などの高塩濃度の供給水の場合、マグネシウムなどのスケールが発生する恐れがあり、また、高pH運転による膜の劣化が懸念されるため、中性領域での運転が好ましい。
分離膜エレメントによって処理される流体は特に限定されないが、水処理に使用する場合、原流体としては、海水、かん水、排水等の500mg/L〜100g/LのTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」あるいは「重量比」で表される。定義によれば、TDSは、0.45ミクロンのフィルターでろ過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させて得られる残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算できる。
以上、異なる欄に記載された事項を組み合わせて得られる形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(分離膜の高低差)
キーエンス製高精度形状測定システムKS−1100を用い、分離膜表面における高低差を測定した。具体的には、分離膜の供給側表面の5cm×5cmの領域において、10μm以上の高低差のある100箇所について、凸部の頂点とその凸部に隣接する凹部の低点との高低差を測定した。測定された高さの総和を測定個所の数で除して平均値を得た。これを3枚の分離膜について行うことで、3つの平均値を得た。これらの平均値の総和を3で除することで、さらに平均値を算出し、得られた平均値を分離膜の高低差とみなした。
(脱塩率(TDS除去率))
スパイラル型分離膜エレメントに、温度25℃、pH6.5に調整した海水(TDS濃度3.5%)を操作圧力5.5MPaで供給した。得られた透過水の電気伝導度を東亜電波工業株式会社製電気伝導度計により測定することで、実用塩分(S)を測定した。こうして得られた実用塩分を塩濃度とみなして、次の式を用いることで、TDS除去率を求めた。
TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/供給水中のTDS濃度)}。
(造水量)
供給水の分離膜エレメント透過水量を、分離膜エレメントあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)を造水量(m/日)として表した。
(耐久性)
スパイラル型分離膜エレメントに、温度25℃、pH6.5に調整した海水(TDS濃度3.5%)を圧力5.5MPaで1分間×200回通水し、その後の脱塩率、造水量を測定した。
(実施例1)
ポリエステル長繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm/sec、繊維配向度:多孔性支持層側表層40°、多孔性支持層とは反対側の表層20°)上にポリスルホンの15.0重量%、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を180μmの厚みで室温(25℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持膜(厚さ130μm)ロールを作製した。
その後に、多孔性支持膜のポリスルホンがキャストされた面に、多官能アミン全体で3.5重量%、メタフェニレンジアミン/1,3,5−トリアミノベンゼン=60/40モル比となるように調製した多官能アミン水溶液を塗布し、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.15重量%を含む25℃のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布した。その後、膜から余分な溶液をエアーブローで除去し、90℃の熱水で洗浄して分離膜連続シートを得た。
その後、分離膜連続シートを30kg/cmの圧力で120℃に加熱したエンボスロールの間を通過させることにより分離膜の供給流体側に350μmの高低差を付与した。
続いて供給流体側に高低差を設けたシート状分離膜の有孔集水管の長手方向の両側の端部にウレタン系接着剤(イソシアネート:ポリオール=1:3)を塗布した後、1辺が開口するように折りたたみ、重ね合わせて、分離膜エレメントでの有効面積が37mになるように、幅930mmで26枚の封筒状膜を作製した。
その後、封筒状膜の開口部側の所定部分を有孔集水管の外周面に接着し、さらにスパイラル状に巻囲することで巻囲体を作製した。巻囲体の外周面を、筒状に連続押し出し成形されたポリプロピレン製ネット(厚み1.5mm、ピッチ7.5mm)で被覆した。被覆された巻囲体の両端のエッジカットを行った後、一端からの原流体流入を防ぐための封止板(第1端板71に相当する)の取り付けを行った。こうして、原流体供給口を分離膜エレメントの外周面のみに設けた。さらに、第2端板80に相当する端板を被覆された巻囲体の他端に取り付けることで、濃縮流体出口が分離膜エレメントの他端に設けられた8インチ分離膜エレメントを作製した。
該分離膜エレメントを繊維強化プラスチック製筒型圧力容器に入れて、TDS濃度3.5%海水、運転圧力5.5MPa、運転温度25℃、pH6.5で運転(回収率15%)したところ、表1に示すように、初期性能は脱塩率99.4%、造水量20.7m/日であった。また、圧力5.5MPaで1分間×200回繰り返し通水した耐久性試験後の性能は、脱塩率99.5%、造水量20.3m/日であり性能低下は見られなかった。
(実施例2〜7)
実施例2では分離膜エレメント側面からの原流体流入量を調整するための孔空き封止板(第1端板73に相当)を分離膜エレメント側面に取り付けることで、原流体供給口を分離膜エレメントの一端及び外周面に設け、濃縮流体出口を分離膜エレメントの他端に設けた以外は、実施例1と同様の方法で分離膜エレメントを作製し評価を行ったところ、初期性能は脱塩率99.4%、造水量21.8m/日であった。また、圧力5.5MPaで1分間×200回繰り返し通水した耐久性試験後の性能は、脱塩率99.4%、造水量21.4m/日であり性能低下は見られなかった。
実施例3では分離膜の供給流体側の高低差を110μmとする以外は、実施例1と同様の方法で分離膜エレメントを作製し評価を行ったところ、初期性能は脱塩率99.6%、造水量19.7m/日であった。また、圧力5.5MPaで1分間×200回繰り返し通水した耐久性試験後の性能は、脱塩率99.6%、造水量19.4m/日であり性能低下は見られなかった。
実施例4では分離膜の供給流体側の高低差を110μmとする以外は、実施例2と同様の方法で分離膜エレメントを作製し評価を行ったところ、初期性能は脱塩率99.5%、造水量20.1m/日であった。また、圧力5.5MPaで1分間×200回繰り返し通水した耐久性試験後の性能は、脱塩率99.6%、造水量19.7m/日であり性能低下は見られなかった。
実施例5では分離膜の供給流体側の高低差を1920μmとする以外は、実施例1と同様の方法で分離膜エレメントを作製し評価を行ったところ、初期性能は脱塩率96.1%、造水量23.4m/日であった。また、圧力5.5MPaで1分間×200回繰り返し通水した耐久性試験後の性能は、脱塩率96.0%、造水量23.1m/日であり脱塩率が若干低下した。
実施例6では分離膜の供給流体側の高低差を1920μmとする以外は、実施例2と同様の方法で分離膜エレメントを作製し評価を行ったところ、初期性能は脱塩率96.2%、造水量24.4m/日であった。また、圧力5.5MPaで1分間×200回繰り返し通水した耐久性試験後の性能は、脱塩率96.0%、造水量23.8m/日であり脱塩率が若干低下した。
実施例7では分離膜の基材を長繊維不織布から抄紙法で得られた不織布に変更した以外は、実施例1と同様の方法で分離膜エレメントを作製し評価を行ったところ、分離膜表面に凹凸を付与する際の成形性が低下したため、初期性能は脱塩率98.4%、造水量19.7m/日であり脱塩率が若干低下した。また、圧力5.5MPaで1分間×200回繰り返し通水した耐久性試験後の性能は、脱塩率97.3%、造水量19.2m/日であり脱塩率がさらに低下した。
(比較例1)
ポリエステル長繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm/sec、繊維配向度:多孔性支持層側表層40°、多孔性支持層とは反対側の表層20°)上にポリスルホンの15.0重量%、ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を180μmの厚みで室温(25℃)でキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる多孔性支持膜(厚さ130μm)ロールを作製した。
その後に、多孔性支持膜ロールを巻きだし、ポリスルホン表面に、多官能アミン全体で3.5重量%、メタフェニレンジアミン/1,3,5−トリアミノベンゼン=60/40モル比となるように調製した多官能アミン水溶液を塗布し、エアーノズルから窒素を吹き付け支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.15重量%、を含む25℃のn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布した。その後、膜から余分な溶液をエアーブローで除去し、90℃の熱水で洗浄して分離膜連続シートを得た。
その後、分離膜連続シートを30kg/cmの圧力で120℃に加熱したエンボスロールの間を通過させることにより分離膜の供給流体側に350μmの高低差を付与した。
続いて供給流体側に高低差を設けたシート状分離膜の有孔集水管の長手方向の両側の端部にウレタン系接着剤(イソシアネート:ポリオール=1:3)を塗布した後、1辺が開口するように折りたたみ、重ね合わせて、分離膜エレメントでの有効面積が37mになるように、幅930mmで26枚の封筒状膜を作製した。
その後、封筒状膜の開口部側の所定部分を有孔集水管の外周面に接着し、スパイラル状に巻囲した分離膜エレメントを作製し、外周面に透水性を有さないポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み150ミクロン)を巻き付け、片面粘着テープでフィルムを分離膜エレメントに固定し、分離膜エレメント両端のエッジカットを行った後、エレメント側面からの原流体を供給するための端板取り付けを行い、樹脂を含浸させた強化ガラス繊維を分離膜エレメント外周面に巻き付け加熱硬化させることにより(フィラメントワインディング法)、原流体供給口を分離膜エレメントの一方の側面のみより供給する「I型」8インチ分離膜エレメントを作製した。
該分離膜エレメントを圧力容器に入れて、TDS濃度3.5%海水、運転圧力5.5MPa、運転温度25℃、pH6.5で運転(回収率15%)したところ、初期性能は脱塩率99.5%、造水量24.7m/日であった。しかし、圧力5.5MPaで1分間×200回繰り返し通水した耐久性試験後の性能は、脱塩率86.5%、造水量19.9m/日であり耐久性が大きく低下した。圧力容器から取り出した分離膜エレメントは巻回している凹凸を有するシート状分離膜が有孔集水管の長手方向に押し出されるように変形(テレスコープ)していた。
(比較例2〜3)
比較例2では分離膜にエンボス加工を行わず、分離膜の供給流体側の高低差が18μmとなった以外は、実施例1と同様の方法で分離膜エレメントを作製し評価を行ったところ、シート状分離膜同士が密着し供給側および透過側流路が確保できず分離膜エレメント性能を測定できなかった。
比較例3では分離膜の供給流体側の高低差を2300μmとする以外は、実施例1と同様の方法で分離膜エレメントを作製し評価を行ったところ、初期性能は脱塩率87.1%、造水量25.4m/日であった。また、圧力5.5MPaで1分間×200回繰り返し通水した耐久性試験後の性能は、脱塩率80.1%、造水量25.1m/日であり脱塩率が低下した。
Figure 2013071098
本発明の分離膜および分離膜エレメントは、特に、かん水や海水の脱塩に好適に用いることができる。
1a、1b、1c、1d、1e:分離膜エレメント
2 :ネット
3、31 :巻囲体
3a、3b、3c、3d、3e:分離膜
4 :トリコット
41 :トリコット(透過側流路材)
5a、5b、5c :封筒状膜
6 :有孔集水管
61 :有孔集水管の孔
70 :多孔性部材
72 :孔(原流体供給口)
71,73 :第1端板
74 :第1端板の孔(原流体供給口)
80 :第2端板
81 :透過流体出口
82 :濃縮流体出口
D1〜D4 :高低差

Claims (5)

  1. 原流体を透過流体と濃縮流体とに分離する分離エレメントであって、
    有孔集水管と、
    少なくとも片面に100μm以上2000μm以下の高低差が形成されかつ前記有孔集水管の周囲に巻囲された分離膜を備える巻囲体と、
    前記有孔集水管の長手方向に直交する方向において、前記巻囲体の外側に設けられた原流体供給部と、
    前記有孔集水管の長手方向において、前記巻囲体の外側に設けられた濃縮流体排出部と、
    を備える分離膜エレメント。
  2. 前記原流体供給部を第1原流体供給部として備え、かつ、
    前記有孔集水管の長手方向において、前記巻囲体の一方の端部の外側に設けられた第2原流体供給部と、
    前記有孔集水管の長手方向において、前記巻囲体の他方の端部の外側に設けられた濃縮流体排出部と、
    をさらに備える請求項1に記載の分離膜エレメント。
  3. 前記原流体供給部は、複数の孔を備えると共に、前記巻囲体における分離膜の最外面を囲むように配置された多孔性部材である、
    請求項1又は2に記載の分離膜エレメント。
  4. 前記分離膜は、基材、前記基材上に形成された多孔性支持層、および前記多孔性支持層上に形成された分離機能層を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜エレメント。
  5. 前記基材が長繊維不織布である、請求項4に記載の分離膜エレメント。
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