JP2014094369A - スパイラル型分離膜モジュール、スパイラル型分離膜モジュールの製造方法及び支持体 - Google Patents

スパイラル型分離膜モジュール、スパイラル型分離膜モジュールの製造方法及び支持体 Download PDF

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Abstract

【課題】スパイラル型分離膜モジュールの支持体端部における所望されないガスの透過が防止され、分離効率に優れたスパイラル型分離膜モジュール、分離効率に優れたスパイラル型分離膜モジュールの製造方法及び該モジュールに好適に使用される支持体を提供する。
【解決手段】補強材シートの幅方向中央部に、前記補強材シートの幅よりも狭い幅のガス透過性シートを配置してなり、支持体の幅方向両端部に補強材シートが露出した領域を有する支持体と、該支持体上に配置された分離膜及び流路材を備える積層体を、有孔の中空状中心管に巻き付けてなるスパイラル型分離膜モジュールである。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパイラル型分離膜モジュール、パイラル型分離膜モジュールの製造方法及び該スパイラル型分離膜モジュールに好適に使用される支持体に関する。
近年、混合ガス中の二酸化炭素を選択的に分離する技術の開発が進んでいる。例えば、地球温暖化対策として排ガス中の二酸化炭素を回収して濃縮する技術や、水蒸気改質により炭化水素を水素と一酸化炭素(CO)に改質し、さらに一酸化炭素と水蒸気を反応させて二酸化炭素と水素を生成させ、二酸化炭素を選択的に透過する膜によって二酸化炭素を排除することで水素を主成分とする燃料電池用等のガスを得るために用いられる、二酸化炭素分離用複合体を形成する技術が開発されている。小さな体積でより多くのガスを処理するために二酸化炭素複合体を密に充填した二酸化炭素分離用モジュールに代表されるスパイラル型分離膜モジュールは、気体を透過させる流路材としての支持体と、二酸化炭素キャリアを含有する二酸化炭素分離層と、気体透過性を有する多孔質膜とからなる二酸化炭素分離用複合体を備え、支持体の空隙を気体が通過する途上において二酸化炭素分離膜の機能により気体中の二酸化炭素が分離、除去される。
通常は、二酸化炭素分離用複合体による効率のよい二酸化炭素の分離を行うために、二酸化炭素分離用複合体を複数層積層して使用しており、有孔の中空状中心管に二酸化炭素分離用複合体と流路材との積層体を巻いてなる円筒状のスパイラル型分離膜モジュールが好適に用いられる。
例えば、未架橋のビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体水溶液を、二酸化炭素透過性支持体上へ膜状に塗布した後、加熱して架橋させて水不溶化し、この水不溶化物に二酸化炭素キャリア水溶液を吸収させてゲル化することにより二酸化炭素分離ゲル膜を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、気体や液体を分離するためのフィルターを長期間安定に維持するためにフィルターをカートリッジに内包させ、端部に設けた段差に接着剤層を形成し、カートリッジの周縁を密閉する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特公平7−102310号公報 特開2007−125497号公報
上記特許文献1では、二酸化炭素分離ゲル膜を小さい面積(例えば、有効面積9.62cm)で形成することができるが、広い面積の二酸化炭素透過性支持体上に二酸化炭素分離ゲル膜をほぼ均一な膜厚で安定して形成することが難しい。また、上記特許文献2においては、外周部に接着剤を塗布することでモジュールを作製しているが、全周を封止することはフィルターと分離すべき気体との接触効率を低下させる懸念がある。
通常は、上記特許文献1に記載の如き強度の弱いゲル膜を効率よく形成するために、例えば、広い面積を有する帯状の支持体を連続して搬送し、支持体上に二酸化炭素分離ゲル膜又は含水ゲル状気体分離膜を形成することが望ましい。このような製造方法を適用する場合、支持体の強度や耐延伸性が良好で有ることが必要である。
このため、通常は、強度の充分ではないガス透過性シートの裏面、即ちゲル膜の非形成面に不織布などの補強材を積層することが一般に行われており、補強材により充分な強度を有する支持体を用いることで、連続製造にて、帯状の支持体(基材フィルム)を用いたロールトゥロール(Roll−to−Roll、以下、「RtoR」と略記する場合がある。)方式で製造することが行われている。
ところが、本発明者の検討によれば、微細孔のガス透過性シート中に接着剤が浸透せず、リークパスが形成され、分離能が低下するという懸念があることが見出された。そこで、支持体の端面に接着剤層を設けて、端面におけるリークパスを抑制する方法も考えられるが、ガス透過性シートは、開口部が微細孔であり、このような微細孔に接着剤が充分に浸透しないために、リークパスの抑制が充分に行われないという懸念があることが判明した。
本発明はこのような状況を考慮してなされたものであり、二酸化炭素分離用スパイラルモジュール端部における所望されないガス透過を防止し、二酸化炭素の分離効率に優れたスパイラル型分離膜モジュールを提供することを課題とする。また、二酸化炭素分離効率に優れたスパイラル型分離膜モジュールの製造方法及びスパイラル型分離膜モジュール用支持体を提供することを課題とする。
上記課題を解決する手段は以下に示すとおりである。
<1> 補強材シートの幅方向中央部に、前記補強材シートの幅よりも狭い幅のガス透過性シートを配置してなり、支持体の幅方向両端部に補強材シートが露出した領域を有する支持体と、前記ガス透過性シート表面に形成された分離膜と、流路材と、を備える積層体を、有孔の中空状中心管に巻き付けてなるスパイラル型分離膜モジュールである。
<2> 前記補強材シートの両端部に接着剤により形成された気体非透過性領域を有する、<1>に記載のスパイラル型分離膜モジュールである。
<3> 前記分離膜が、前記補強シートの幅方向の全領域に亘り形成された、<1>又は<2>に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
<4> 前記分離膜が、酸性ガス分離膜である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュールである。
<5> 前記酸性ガス分離膜が、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、水とを含む二酸化炭素分離用分離膜である<4>に記載のスパイラル型分離膜モジュールである。
<6> 前記ガス透過性シートが、最大孔径0.001μm以上0.5μm以下の多孔質樹脂シートである、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュールである。
<7> 前記ガス透過性シートの厚みが、0.0001μm以上100μm以下である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュールである。
<8> 前記ガス透過性シートの幅が、前記補強材シートの幅よりも5%以上狭い、<1>〜<7>のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュールである。
<9> 前記補強材シートの全幅に対して、前記ガス透過性シートの幅が80%以上95%以下である<8>に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
<10> 前記ガス透過性シートが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種を含んで形成される多孔質樹脂シートである、<1>〜<9>のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュールである。
<11> 幅方向中央部に、前記補強材シートの幅よりも狭い幅のガス透過性シートを配置してなり、支持体の幅方向両端部に補強材シートが露出した領域を有する支持体上に、分離膜を形成する工程と、前記補強材シートが露出した領域のガス透過性を備える面とは反対の面に接着剤を塗布する工程と、前記支持体上に形成された分離膜上に流路材を配置してなる積層体を、有孔の中空状中心管に巻き付ける工程と、を含むスパイラル型分離モジュールの製造方法である。
<12> 前記分離膜が、前記補強シートの幅方向の全領域に亘り形成された、<11>に記載のスパイラル型分離膜モジュールの製造方法である。
<13> 補強材シートの幅方向中央部に、前記補強材シートの幅よりも狭い幅のガス透過性シートを配置してなり、支持体の幅方向両端部に補強材シートが露出する領域を有し、該領域が分離膜と直接接する領域であるスパイラル型分離膜モジュール用支持体である。
<14> 前記補強材シートにおける補強材シートが露出してなり、分離層と直接接する領域に、接着剤による気体非透過性領域が形成されてなる<11>に記載のスパイラル型分離膜モジュール用支持体である。
<15> 前記ガス透過性シートを有する面に形成される分離膜が、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、を含む二酸化炭素分離用分離膜である<13>又は<14>に記載のスパイラル型分離膜モジュール用支持体。
本発明によれば、二酸化炭素分離層が形成される支持体において、通気性を有する支持体の補強材端部からのガス透過性が効果的に抑制されるために、二酸化炭素分離用のガスが二酸化炭素分離層中に効率よく誘導され、二酸化炭素の分離が効率よく行われる。また、補強材を有するガス透過性シートは、強度に優れるために、例えば、RtoR等の連続法により、高い生産性で二酸化炭素分離用複合体を製造しうる。
また、支持体の端部に、ガス透過性シートを有さず、補強材シートが露出した領域を有するが、この補強材シートは不織布、織布などから構成されており、多孔質膜などからなるガス透過性シートよりも開口部が大きく、通気性に優れた素材であることから、本発明の好ましい態様においては、補強材シートのガス透過性シートを有しない領域の裏面に接着剤を塗布してから分離膜を積層し、得られた積層体を管壁に貫通孔が形成された透過ガス集合管に巻き付けてなるスパイラル型分離膜モジュールとすることで、接着剤が補強材シート中に浸透してシートの表面、即ち、分離膜と直接接する面まで至るために、支持体の側端部に接着剤による気体非透過性領域が形成され、ガス透過性シートの側端部に隣接した領域が気体非透過性領域となることから、支持体の端面における所望されないリークパスが生じることが無く、分離効率がより向上する
さらに、積層される補強材シートとガス透過性シートとの幅が互いに異なり、幅方向の両端部に補強材シートが露出した領域を有するために、2枚のシートを積層する際に、両者の物性の違いに起因するカーリングやしわの発生が抑制されるという利点をも有する。
本発明によれば二酸化炭素分離用スパイラルモジュール端部における所望されないリークパスを防止し、二酸化炭素の分離効率に優れたスパイラル型分離膜モジュールを提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、二酸化炭素分離効率に優れたスパイラル型分離膜モジュールを高い生産性で製造しうるスパイラル型分離膜モジュール製造方法及びスパイラル型分離膜モジュール用支持体を提供することができる。
(A)は本発明の支持体の一態様を示す概略断面図であり、(B)は(A)に示す支持体上に分離膜を形成した状態の一態様を示す概略断面図であり、(C)は本発明のスパイラル型分離膜モジュールの代表的な態様である二酸化炭素分離用モジュールにおける層構成の一態様を示す概略断面図である。 本発明のスパイラル型分離膜モジュールの製造方法における、接着剤を塗布する工程で形成された支持体の一態様を示す部分構成図である。 本発明のスパイラル型分離膜モジュールの製造方法における、流路材を挟んでなる支持体と分離膜との積層体を、管壁に貫通孔が形成された透過ガス集合管に巻き付ける工程における透過ガス集合管と積層体との状態の一態様を示す部分構成図である。 本発明のスパイラル型分離膜モジュールの代表的な態様である二酸化炭素分離用スパイラル型モジュールの一実施形態を示す、一部切り欠きを設けてなる概略構成図である。
<スパイラル型分離膜モジュール>
以下、本発明の一実施形態であるスパイラル型分離膜モジュール、スパイラル型分離膜モジュール及びスパイラル型分離膜モジュールに好適に使用される支持体について、図1〜図3を参照しながら説明する。
本発明者は、スパイラル型分離膜モジュールを高効率(高速、低コスト)で生産するためには、帯状の支持体(基材フィルム)を用いたRtoR方式が適していると考えた。RtoRにおいて、薄層の分離膜を積層したり、水系塗布を塗布して分離層を形成する場合、乾燥工程で乾燥用の風を当てたときに分離層にシワが発生したり、塗布膜の一部が飛ばされたり、膜厚のバラツキを生じたりすることを抑制することが必要である。さらに、従来の方法では、このような分離膜や塗布膜をガス透過性シート上に直接配置していたが、ガス透過性シートは引っ張り応力により変形や破断を生じやすい。このため本発明においては、微細な空隙を有する多孔質樹脂シートなどのガス透過性シートを不織布などの補強材と予め積層することで支持体の強度の問題を解決したものである。
本明細書において、支持体の幅とは、長尺の支持体の長手方向と直行する横方向の長さを指し、例えば、支持体をRtoR等に適用する場合に、一定方向に搬送しながら供給され、二酸化炭素分離用複合体を形成するために用いられる長尺の支持体においては、支持体の搬送方向と直行した横方向の長さを指す。
以下、本発明のスパイラル型分離膜モジュールの一態様であるスパイラル型二酸化炭素分離膜モジュールを例に挙げて説明するが、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、この態様に限定されることがないことは、いうまでもない。
図1(C)は、分離膜を有する積層体の一態様を示す幅方向の概略断面図である。図1(C)に記載の分離膜14を有する二酸化炭素分離用複合体10は、図1(A)に示す支持体12、即ち、補強材シート12Aの中央部に、前記補強材シート12Aの幅よりも狭い幅のガス透過性シート12Bを積層、固定化してなる支持体12であって、支持体12の両端部では補強材シート12Aが露出している支持体12を用いる。図1(B)に示すように、支持体12の補強材シート12Aに接着剤を塗布し、その後、分離膜14を配置する。本実施形態では、分離膜14として、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、水とを含む二酸化炭素分離層14を用いており、これを備える二酸化炭素分離用複合体10を例示している。図1(C)に示すように、前記二酸化炭素分離用複合体10の二酸化炭素分離層14側の表面には流路材16が積層されて積層体18が構成される。
補強材シート12Aの幅方向両端部には、補強材シート12Aの裏面、即ち、ガス透過性シート12Bを有しない面側から、補強材シート12Aが露出している領域のみに接着剤が塗布されて形成される気体非透過性領域20が設けられ、支持体12、特に空隙が大きく、幅広の補強材シート12Aの端部が封止され、気体非透過性の領域20により、所望されない気体の透過(リークパス)が抑制される。ここで用いる接着剤は気体透過性で空隙率の高い補強材シート12Aの空隙の内部まで浸透して、ガス透過性シート12Bを備える側の表面にまで至り、補強材シート12Aの幅方向の両端部表面に浸出した接着剤により、補強材シート12Aと二酸化炭素分離膜14とが接着され、ガス透過性シート12Bの両端部は二酸化炭素分離層14により覆われる。
図2は、図1に示す支持体12の斜視図である。図2に示すように、補強材シート12A表面の幅方向中央部には、補強材シート12Aよりも幅の狭いガス透過性シート12Bが固定化されて、支持体12を構成する。補強材シート12Aの幅方向両端部であって、ガス透過性シート12Bを有しない領域のみに、接着剤を塗布して形成された気体非透過性領域20を有しており、接着剤を補強材シート12A表面に塗布する際に、接着剤は補強材シート12Aの空隙に浸透し、この接着剤が硬化することで、補強材シート12Aの両端部に気体非透過性領域20が形成される。なお、接着剤は、補強材シート12Aの両端部の表面、即ち、補強材シート12Aの両端部であって二酸化炭素分離層14の形成される側の表面に浸出し、この接着剤を介して二酸化炭素分離層14と補強材シート12Aの両端部とが密着する。接着されるこのため、補強材シート12Bの中央部のみに存在するガス透過性シート12Bの両端部は、二酸化炭素分離層14により覆われることになる。
このような、本発明の支持体12は、幅方向側端部におけるリークパスが抑制され、且つ、以下に詳述するように、製造時におけるカールやシワの発生が抑制され、生産性よく製造されるために、酸性ガスのみならず、不純物の分離など目的とする各種成分の分離に使用される種々のスパイラル型分離膜モジュール、或いは、気体分離のみならず液体中の不純物等の分離にも、好適に用いられる。
即ち、分離膜として、種々の態様を用いることで目的とする分離を効率よく行うスパイラル型分離膜モジュールとすることができる。
以下に示す実施形態では、スパイラル型二酸化炭素分離膜モジュールを例に挙げて説明するが、本発明のスパイラル型分離膜モジュールの用途は、これに限定されるものではない。
本発明の支持体12表面には、二酸化炭素分離層形成用組成物が付与され、乾燥されて二酸化炭素分離層14が形成され、支持体上に二酸化炭素分離層(分離膜)14を備える二酸化炭素分離用複合体10が得られる。一般的には、図1(B)に示すように、二酸化炭素分離層14は、支持体12の幅方向の全域に亘って形成される。
その後、得られた二酸化炭素分離用複合体10の二酸化炭素分離層14表面に流路材16が配置されて積層体18が形成される。この積層体を有孔の中空状中心管に巻き付けて後述する二酸化炭素分離用スパイラルモジュール22が形成される。
このとき、二酸化炭素分離層14表面に流路材16を配置し、流路材16を挟むように、積層体18を2つ折りにした状態で重ね合わせ、中空状中心管に巻き付けて後述する二酸化炭素分離用スパイラルモジュールとしてもよい。
前記のようにして得られた二酸化炭素分離用複合体10は、二酸化炭素分離用モジュールに組み込まれて使用される。組み込まれる二酸化炭素分離用モジュールの種類には特に制限はなく、公知の装置に適宜使用される。
本発明に係る二酸化炭素分離用スパイラルモジュール22は、二酸化炭素分離用複合体10を適切な流路材16と重ね合わせてらせん状に巻きつける工程により形成される。巻き付ける場合、図3に示すように、カプトンテープ又は接着剤等の固定部材24で、長尺状の二酸化炭素分離用複合体10と流路材16との積層体18の先端部を有孔の中空状中心管26の管壁(外周面)に固定する。
ここで、管壁には、軸方向に沿ってスリット(不図示)が設けられていることが好ましい。この場合、スリットに、積層体18の先端部を入れ込み、中空状中心管26の内周面に固定部材(不図示)で固定するようにする。この構成によれば、透過ガス流路用部材36を含んだ積層体14を透過ガス集合管12に巻き付けるときに、テンションをかけながら巻き付けるようにしても、積層体18の固定が維持される。
図4は、二酸化炭素分離用モジュール22を例に挙げた本発明のスパイラル型分離膜モジュールの一実施形態を示す、一部切り欠きを設けてなる概略構成図である。図4において、分離膜として二酸化炭素分離膜である二酸化炭素分離層14を、種々の分離膜に変更することで、目的に応じたスパイラル型分離膜モジュールを構成することができる。
二酸化炭素分離用スパイラルモジュール22は、その基本構造として、有孔の中空状中心管26の回りに、二酸化炭素分離用複合体10と流路材16とを単数あるいは複数を巻き回して構成される。二酸化炭素分離用複合体10により形成された二酸化炭素を分離する領域の周辺は、モジュール内を通過する気体などの流体を遮断しうる材料で形成された被覆層28で被覆され、モジュール22の両端にそれぞれ。巻き付けた積層体18の巻きずれを防止する巻きずれ防止板30が取り付けられて構成される。
このような構成の二酸化炭素分離用モジュール22は、その一端部22A側から積層体18に二酸化炭素を含む原料ガス32が供給されると、積層体18の構成により、原料ガス20を二酸化炭素34と残余のガス36に分離して他端部22B側に別々に排出するものである。
ここで、二酸化炭素分離用複合体10は、補強材シート12Aとガス透過性シート12Bと二酸化炭素分離層14とからなる積層体18である。これに、流路材16を重ね合わせる。切り欠き図では、補強材シート12Aの中央部には、補強材シート12Aよりも幅の狭いガス透過性シート12Bが配置、固定化され、補強材シート12Aの端部であって表面にガス透過性シート12Bが存在しない部分(補強材シート12Aが露出した部分)に接着剤が塗布されてなる気体非透過性領域20を有する。接着剤を塗布することにより、補強材シート12A端部に気体非透過性領域20が形成され、補強材シート12Aの両端からの気体の透過が抑制される。図4では、ガスが排出される側の端面に気体非透過性領域20が形成された態様が開示されているが、ガス流入側の端部も同様に接着剤からなる気体非透過性領域を有する。
ここで、ガス透過性シート12Bが補強材シート12Aの中央部に配置されるとは、長尺の支持体における幅方向の中央部により幅の狭いガス透過性シート12Bを配置することで、下層である補強材シート12Aが露出した領域が幅方向の両端部に存在することを意味する。即ち、中央部とは厳密に補強材シート12Aとガス透過性シート12Bとの幅方向の中心線が一致することを意味するものではない。ここで、ガス透過性シート12Bが幅方向の中央部に配置されることで、補強材シート12Aが露出した領域が気体非透過性領域20を形成するのに十分な幅となるものであれば、本発明の効果を奏することになる。
ガス透過性シート12Bの幅は、接着剤により形成された気体非透過性領域20における気体遮断性を向上させる観点から、補強材シート12Aよりも幅方向に5%以上幅が狭いことが好ましい。即ち、補強材シート12Aの全幅に対して、ガス透過性シート12Bの幅は95%以下であることが好ましい。補強材シート12とガス透過性シート12Bとの幅の差が5%であることで、補強材シート12Aの幅方向両端部には、それぞれ支持体12全幅の2.5%の幅で補強材シート12Aが露出した領域が形成され、ここに接着剤層が塗布されて形成される気体非透過性領域20の幅が充分な気体遮断性を発現する。
即ち、補強材シート12Aの全幅に対して、ガス透過性シート12Bの幅は5%以上狭いこと(95%以下)が好ましく、6%以上狭いこと(94%以下)がより好ましく、7%以上狭いこと(93%以下)が最も好ましい。なお、この幅の差違が大きくなると、気体非透過性領域が広くなりすぎてしまい、分離能が低下することが懸念されるため、差異は20%以下、即ち、ガス透過性シート12Bの幅は、補強材シート12Aの全幅に対して80%以上となることが好ましい。
<二酸化炭素分離用モジュールの製造方法>
以下、本発明の二酸化炭素分離用モジュールについて、その製造方法とともに詳細に説明する。
(支持体)
本発明のスパイラル型分離膜モジュール(二酸化炭素分離用モジュール)22に使用される本発明の支持体12は、補強材シート12Aと、該補強材シート12Aよりも幅の狭いガス透過性シート12Bとを積層してなる。
なお、本発明者の検討によれば、通常は、ガス透過性シート12Bである多孔質樹脂シートに補強用に不織布を接着させた積層体により支持体を形成する場合には、積層したシート同士の物性が異なるため、カーリングが生じたり、加熱によりシワが生じたりして均一性や生産性が低下するという問題が生じる懸念があるが、本実施形態によれば、耐伸張性がより低いガス透過性シート12Bは、補強材シート12Aよりも幅が狭く、補強材シート12Aの中央部のみに積層されるために、同幅のシート同士を積層し、接着させる場合に比較してカーリングなどが生じ難いという利点を有し、この点においても従来品に比較して生産性に優れる。
(1.補強材シート)
本発明において支持体の作製に使用される補強材シート12Aは、強度、耐延伸性及び気体透過性が良好であれば、特に制限はなく、不織布、織布、織布、及び、開孔径が0.1μm以上2000μm以下であるメッシュなどを適宜選択して用いることができる。
本発明にかかる二酸化炭素分離複合体18は、適用用途に応じて使用温度が異なるものの、例えば、130℃程度の高温かつ蒸気を使用した加湿下で使用される場合が多い。そのため、補強材シート12Aは130℃においても強度や耐延伸性の低下が少ない耐熱性を有し、また加水分解性の少ない素材からなることが好ましい。不織布、織布、編布を構成する繊維としては、耐久性、耐熱性に優れる、ポリプロピレンや、アラミド(商品名)などの改質ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂、などの耐熱性樹脂からなる繊維が好ましい。メッシュを構成する樹脂材料も同様の素材により成型されることが好ましい。
補強材シート12Aは厚すぎるとガス透過性が低下し、薄すぎると充分な強度が得難いという懸念がある。このため、補強材シート12Aの厚さは30μm以上500μm以下が好ましく、さらには50μm以上450μm以下がより好ましく、さらには50μm以上400μm以下が特に好ましい。
また、補強材シート12Aの開口部の平均孔径は、接着剤塗布領域において接着剤を十分に染み込ませて有効な気体非透過性領域を形成しうると共に、接着剤を塗布しない領域においては気体通過の妨げとならないようにする観点から、0.001μm以上200μm以下が好ましく、さらには0.002μm以上200μm以下がより好ましく、さらには0.005μm以上200μm以下が特に好ましい。また、メッシュを用いる場合には、平均開口径が1000μm以上8000μm以下であることがより好ましい。
(2.ガス透過性シート)
本工程において既述の補強材シート12Aと貼り合わせて支持体12を構成するガス透過性シート12Bは、ガス透過性、なかでも二酸化炭素の透過性を有する限り特に限定されない。
前記ガス透過性シート12Bの材質としては、紙、上質紙、コート紙、キャストコート紙、合成紙、セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、及びポリエチレンテレフタレートポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、金属、ガラス、セラミックスなどが好適に使用できる。
より具体的には、ガス透過性シート12Bとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種を含んでなる樹脂が好適に挙げられる。また、高分子量ポリエチレンからなる延伸多孔質膜もまた好ましく用いられる。
また、支持体の形態としては、二酸化炭素分離層の浸み込み、具体的には、加湿環境でのガス分離使用による粘度の低下、高圧環境下での形状変化等に起因する二酸化炭素分離層14に含まれる材料のガス透過性シート12Bへの滲み込みを防止しうるという観点から、多孔質樹脂シートが最も好ましい。
多孔質樹脂シートとしては、二酸化炭素分離層材料の浸み込みを抑制するという観点から、多孔質樹脂シートの孔径は小さいことが好ましい。具体的には最大孔径が0.001μm以上0.5μm以下であり、0.05μm以上0.5μm以下であること好ましく、0.2μm以下であることがより好ましい。入手容易性の観点から、最も適当な範囲は0.05μm〜0.2μmである。
なお、本発明における多孔質膜の最大孔径は、以下の方法により測定される。
最大孔径については、バブルポイント法により最大孔径(バブルポイント)を測定した。測定装置として、PMI社製パームポロメーターを使用し(JIS K 3832に準拠)、具体的には、3cm四方に切り出した多孔質膜を、界面活性剤液(ガルウィック液)に浸漬する。取り出して余分な界面活性剤液を軽くふき取ったのち、2枚の金属メッシュで挟み、装置の測定セルにセットする。測定液として、ガルウィック液を用い、室温(25℃)にて徐々に空気で加圧し、バブルポイントを測定した。
また、ガス透過性シート12Bの、少なくとも二酸化炭素分離層14と接する側の表面が疎水性表面であることが好ましい。表面が親水性であると、使用環境下で水分を含有した二酸化炭素分離層が多孔部分に浸み込み易くなり、膜厚分布や経時での性能劣化を引き起こす懸念がある。
ここで疎水性とは、室温(25℃)における水の接触角が100°以上130°以下程度であることを指す。
前記多孔質樹脂シートとしては、一般的には、自己支持性が高く、空隙率が高い膜体が好適に使用できる。なかでも、PTFE、PVDF、PSF、PEEK、TPX(商品名)などのPMP、PES、PP、PPS、及びPETから選ばれる少なくとも1種を含んで形成される多孔質樹脂シートが好ましく、より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリサルホン(PSF)等からなる多孔質樹脂シート、或いは、高分子量ポリエチレンの延伸多孔質膜等が、空隙率が高く、二酸化炭素の拡散阻害が小さく、強度や製造適性の観点から好ましい。
本発明にかかる二酸化炭素分離複合体18は、適用用途に応じて使用温度が異なるものの、例えば、130℃程度の高温かつ蒸気を使用した加湿下で使用される場合が多い。そのため、ガス透過性シート12Bは130℃においても孔構造の変化が少ない耐熱性を有し、また加水分解性の少ない素材からなることが好ましい。このため、耐久性、耐熱性に優れる、ポリプロピレンや、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素含有樹脂からなる群より選択される樹脂を含んで形成されるものが好ましく、最も好ましい支持体の形態はPTFE多孔質膜である。
ガス透過性シート12Bの厚みには特に制限はないが、ガス透過性、強度、ハンドリング性などの観点から、厚さが0.0001μm以上100μm以下であることが好ましく、0.0002μm以上50μm以下の範囲であることが好ましい。厚さが上記範囲において、良好なガス透過性と強度とが達成される。
本発明における支持体12としては、ガス透過性シートとしての多孔質樹脂シート12Bと補強材シートとしての不織布12Aとの複合体も好ましい態様である。支持体12が、多孔質樹脂シート12Bと不織布12Aとの複合体の場合、二酸化炭素分離層14は、多孔質樹脂シート12B側に形成される。多孔質樹脂シート12Bと不織布12Aとは接着剤を介して積層されてもよく、熱ラミネートにより積層されてもよい。
接着剤としては、エポキシ樹脂系の接着剤(例えば、スリーボンド社製HP120:商品名、ヘンケルジャパン社製、高粘度(約40Pa・s)エポキシ樹脂接着剤 E120HP:商品名)等が好ましく挙げられる。
補強材シート12Aをガス透過性シート12Bに密着させる方法は、いずれの方法でもよいが、生産性の観点から加熱ローラや熱平板を用いた加熱プレス方式が好ましい。加熱プレスする場合、加熱ローラと支持ローラとからなる一対の加熱ローラにより加熱圧着する方法が適用しうる。一対の加熱ローラを用いる場合、双方にヒータを備えるものとして、双方の加熱ローラを同じ温度条件としてもよく、互いに異なる温度条件としてもよく、また、片側のローラのみにヒータを備え、他方を支持ローラとしてもよい。このとき、ヒータを有しない他方の支持ローラは、金属製のロールであってもよく、ゴムロールや表面に軟質樹脂層を有する弾性ロールであってもよい。
熱ラミネートにおける加熱温度は、ガス透過性シート12Bへ影響を与えない温度範囲であれば特に制限はない。
なお、加熱温度が高すぎると、ガス透過性シート12Bとして用いられる多孔質樹脂シートや補強材シート12Aとして用いられる不織布などが熱圧縮されることにより、ガス透過性が大幅に低下する懸念がある。このため、両者が安定に密着される限りにおいて、低温かつ低圧力で転写することが好ましい。
本発明者の検討によれば、補強材シート12Aとしてポリプロピレン製の不織布を用いた場合、160℃を超える加熱及び加圧条件で透明化し通気性が著しく低下する可能性があることが判明した。これを考慮するに、加熱温度、本明細書においては加熱ローラの表面温度は70℃〜160℃の範囲内であることが好ましい。加熱温度を上記範囲とすることで補強材シート12A、ガス透過性シート12Bの形状やガス透過性に大きな影響を与えることなく両者が密着され、支持体12が得られる。なお、加熱ローラの表面温度は、接触型又は非接触型の公知の温度計にて測定することができる。
また、両者を積層する前に補強材シート12A及びガス透過性シート12Bの少なくともいずれかを予め加熱することや、表面に易接着層(接着剤層)を形成することで、積層構造の支持体12を作製してもよい。
本実施形態では、ガス透過性シート12Bの幅が、補強材シート12Aの幅よりも狭いために、両者の物性が異なるために生じる、カーリングや加熱によるシワの発生が抑制される。
(3.接着剤による気体非透過性領域の形成)
支持体12の両端、即ち、補強材シート12A表面の両端部で表面にガス透過性シート12Bが存在しない領域に、接着剤を塗布して気体非透過性領域20を設けた後、後述するように二酸化炭素分離層14が形成される。
なお、用いられる支持体12では、ガス透過性シートである多孔質樹脂シート12Bは、補強材シートである不織布12Bよりも幅が小さいものを用いるが、二酸化炭素分離層14は、支持体12の表面の幅方向全面に亘り形成される。このため、幅方向端部では、補強材シート12Aは、接着剤を介して二酸化炭素分離層14と密着する。
補強材シート12A表面の両端部に、接着剤により形成される気体非透過性領域20は、補強材シート12Aの端部における気体非透過性領域の耐久性の観点から、耐熱性が良好であることが好ましい。
なお、本実施形態において接着剤により形成される気体非透過性領域20の「耐熱湿性」のうち「耐熱性」とは、硬化後のガラス転移温度Tgが60℃以上であることを意味し、特に80℃以上であることが好ましい。また、本実施形態において気体非透過性領域20の「耐熱湿性」のうち「耐湿性」とは、80℃80%RHの条件下に2時間保存した後も接着力が半減しないことを意味する。耐湿熱性を上げるには、接着剤層を形成する接着剤の材料である樹脂材料(主成分)を選択したり、その主成分にポリスチレン又は流動パラフィン、シリカなどのフィラーを主成分100質量部に対して1質量部〜10質量部添加したりすることで実現できる。
気体非透過性領域20を構成する接着剤の材料としては、耐熱湿性を有するものであれば特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等の耐熱性の接着剤に通常用いられる樹脂材料の1種以上を適宜選択して用いればよい。また、必要に応じて架橋剤などを添加し、接着剤が補強材シート12A中に十分に浸透してからエネルギーを付与して架橋構造を形成してもよい。
図3は、スパイラル型二酸化炭素分離膜モジュールにおいて有孔の中空状中心管12に積層体14を巻き付ける前の状態を示す図であり、且つ、接着剤層により気体非透過性領域20の形成領域の一実施形態を表した図である。補強材シート12Aの側端部、即ち、表面にガス透過性シート12Bを有しない領域に、裏面、即ち、補強材シート12Aのガス透過性シート12Bを有しない側の面より接着剤を塗布すると、接着剤は補強材シート12Aの空隙に浸透して表面にまで至り、補強材シート12Aの両端部に気体非透過性領域20が形成される。
図4に示すように、接着剤からなる気体非透過性領域20は、補強材シート12Aの端部に形成され、透過ガスが補強材シート12Aの端部の空隙を通過することが防止され、補強材シート12A端部の気密性が維持される。さらに、前記端部には、ガス透過性シート12Bが存在しないために、接着剤により補強材シート12Aと分離膜14とが直接接着され、ガス透過性シート12Bの端部の気密性が確保される。ここでは、ガスが放出される一端部22Bに気体非透過性領域20が形成された態様が記載されているが、図示されない二酸化炭素分離用モジュール22の原料ガス32が供給される一端部22A側の端部にも同様に気体非透過性領域を備える。このため、原料ガス32は、気体透過性の流路材16に誘導され、隣接する二酸化炭素分離層14において効率よく二酸化炭素の分離が行われる。
(4.分離膜の形成)
次に、上記のようにして得られた両端に気体非透過性領域20を有する支持体12上に、分離膜14が形成される。ここでは、二酸化炭素分離層14が形成される態様を一例として示す。
なお、分離膜14は、以下の二酸化炭素分離層14は限定されず、例えば、ポリアミド膜、ポリイミドキャスト膜などを用いることで、液体中のハロゲン化合物や、アルコールを分離する分離膜モジュールとして用いることができ、分離膜として酸性ガス分離膜を使用することで、二酸化炭素のみならず硫化水素などの酸性ガス分離用にも用いることができる。
(4−1.二酸化炭素分離層形成用の塗布液)
二酸化炭素分離用複合体をする製造装置は、帯状の支持体12を一定方向に送り出す搬送手段の一例としての送り出しローラと、支持体を支持する複数の裏面支持ローラと、を備えている。送り出しローラから送り出された支持体12の搬送方向に沿って上流側から下流側の順に、支持体12の表面に後述する二酸化炭素分離層形成用の塗布液を塗布する塗布装置と、支持体12上に塗布された二酸化炭素分離層形成用の塗布液により形成された塗膜を非接触状態で乾燥して二酸化炭素分離層を得る乾燥装置と、を備えている。
なお、低温でゲル化するゲル化剤を含む塗布液組成物を用いる場合には、前記乾燥ユニットの上流に、非接触状態で冷却してゲル膜を得る冷却装置の一例としての冷却ユニットを備えていてもよい。所望により使用されるゲル化剤は、塗布液組成物のハンドリング性や塗膜均一性向上のため用いる添加剤であり、粘度など塗布液組成物自体の物性が塗布に適する場合には、添加しなくてもよい。
塗布装置により支持体12の表面に塗布する二酸化炭素分離層形成用の塗布液(水系組成物)は、少なくとも吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアとを、水に適量添加して構成されている。二酸化炭素分離層形成用の塗布液は少なくとも塗膜を保持する吸水性ポリマーと二酸化炭素キャリアと水とを含有すればよく、必要に応じて種々の公知の添加剤を併用してもよい。例えば、塗布均一性を向上させる目的で、塗布液の粘度調整用ゲル化剤を併用してもよい。
以下、二酸化炭素分離層形成用の塗布液に含まれうる各成分について説明する。
4−1a.吸水性ポリマー
本発明の塗布液組成物に含まれる吸水性ポリマーはバインダーとして機能するものであり、二酸化炭素分離層に使用するときに水分を保持して二酸化炭素キャリアによる二酸化炭素の分離機能を発揮させる。吸水性ポリマーは、水に溶けて塗布液を形成することができるとともに、二酸化炭素分離層が高い吸水性(保湿性)を有する観点から、吸水性が高いものが好ましく、10倍以上の吸水性を有することが好ましい。
本発明の塗布液(水系組成物)に含まれる吸水性ポリマーとしては、吸水性、製膜性、強度などの観点から、例えば、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸(PVA−PAA)共重合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルブチラール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ニルアセトアミド、ポリアクリルアミドが好適であり、特にPVA−PAA共重合体が好ましい。PVA−PAA共重合体は、吸水能が高い上に、高吸水時においてもハイドロゲルの強度が大きい。PVA−PAA共重合体におけるポリアクリル酸塩の含有率は、例えば5〜95モル%、好ましくは30〜70モル%である。ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩の他、アンモニウム塩や有機アンモニウム塩等が挙げられる。
市販されているPVA−PAA共重合体として、例えば、クラストマー−AP20(商品名:クラレ社製)が挙げられる。
塗布液(水系組成物)中の吸水性ポリマーの含有量としては、その種類にもよるが、バインダーとして膜を形成し、二酸化炭素分離層が水分を十分保持できるようにする観点から、1質量%〜30質量%であることが好ましく、2質量%〜15質量%であることがより好ましい。
4−1b.二酸化炭素キャリア
本発明の塗布液(水系組成物)に含まれる二酸化炭素キャリアは、二酸化炭素と親和性を有し、かつ水溶性を示すものであればよく、公知のものを用いることができる。この場合の二酸化炭素キャリアは、二酸化炭素と親和性を有する物質であり、塩基性を示す各種の水溶性の無機及び有機物質が用いられる。例えば、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウムを挙げられる。
アルカリ金属重炭酸塩としては、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムを挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化セシウム、水酸化ルビジウムなどが挙げられる。
これらの中でもアルカリ金属炭酸塩が好ましく、セシウム、ルビジウムを含む化合物が好ましい。
また、二酸化炭素キャリアは2種以上を混合して使用してもよい。
なお、キャリアとして炭酸セシウムを含有することで、分離膜は水素と二酸化炭素との分離能、或いは、窒素と二酸化炭素との分離能を有することになる。なお、酸性ガス分離膜は、既述の促進輸送膜には限定されず、例えば、デンドリマーを有する分子ゲート膜やポリイミド等に代表される溶解拡散膜であってもよい。
塗布液(水系組成物)中の二酸化炭素キャリアの含有量としては、その種類にもよるが、塗布前の塩析を防ぐとともに、二酸化炭素の分離機能を確実に発揮させるため、0.5質量%〜30質量%であることが好ましく、さらに3質量%〜20質量%であることがより好ましく、さらに5質量%〜15質量%であることが特に好ましい。
4−1c.その他の成分
本発明に用いられる二酸化炭素分離層形成用の塗布液(以下、単に塗布液組成物とも称する)は、成膜性(塗布性、セット性)やガス分離特性に悪影響しない範囲で、吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、及び水以外の他の成分(添加剤)を含むことができる。
任意に用いうる成分としては、例えば、塗膜のセット性や粘度を制御するゲル化剤、膜強度向上のための架橋剤、その他、界面活性剤、触媒、補助溶剤、膜強度調整剤、欠陥検出剤などが挙げられる。
4−1c−1.ゲル化剤
本発明に係る塗布液組成物は、ゲル化剤を含んでもよい。ゲル化剤を含むことで分離層の粘度が向上し、ハンドリング性がより良好になる。本発明に使用しうるゲル化剤としては、吸水性ポリマーと二酸化炭素キャリア等のキャリアを含む水溶液にゲル化剤を加えた塗布液を支持体上に塗布して形成した塗布膜を形成したとき、或いは、これを冷却したときに、膜厚均一性が高いゲル膜(セット膜)を形成することができるものを使用すればよい。
温度依存性のないゲル化剤としては、カルボキシメチルセルロースなどの増粘剤が挙げられ、さらに冷却によりゲル膜を形成しうるゲル化剤としては、増粘性多糖類、より具体的には、寒天類が挙げられる。このような多糖類としては、製膜性、入手容易性、コスト、膜強度などの点から寒天が好ましく、市販品として、伊那寒天UP−37、UM−11S、SY−8、ZY−4、ZY−6(以上、伊那寒天社製)、Agarose H、Agarose S(以上、ニッポンジーン社製)などが挙げられる。
冷却によりゲル膜を形成しうるゲル化剤としては、具体的には、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、ゲル化剤と、水とを含む塗布液組成物を50℃以上で調製し、溶液膜厚1mm以下において12℃の温度条件下において120秒以内でゲル化し、液が重力により落下しないような性質を有するゲル化剤が挙げられる。
塗布液組成物中にゲル化剤を用いる場合の含有量としては、ゲル化剤の種類にもよるが、含有量が多過ぎると塗布液が短時間で高粘度となって塗布し難くなる場合があり、また、膜厚均一性の低下を抑制する観点から、10質量%以下が好ましく、0.1質量%〜8質量%であることがより好ましく、さらには0.3質量%〜5質量%であることが最も好ましい。
4−1c−2.架橋剤
吸水性ポリマーに架橋構造を形成させて二酸化炭素分離層の強度を向上させてもよく、この場合の架橋は、熱架橋、紫外線架橋、電子線架橋、放射線架橋など従来公知の手法を実施すればよい。なかでも、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸塩共重合体などの吸水性ポリマーと反応して熱架橋し得る官能基(架橋性官能基ともいう)を2以上有する架橋剤を用いて架橋構造を形成することが膜強度向上の観点から好ましく、この目的で用いうる架橋性官能基を2以上有する架橋剤としては、多価グリシジルエーテル、多価アルコール、多価イソシアネート、多価アジリジン、ハロエポキシ化合物、多価アルデヒド、多価アミン等が挙げられる。
(5−1.二酸化炭素分離層(分離膜)の形成)
二酸化炭素分離層は、塗布装置により、一定方向に搬送される支持体12の表面に、好ましくは50℃以上90℃以下で調製された二酸化炭素分離層形成用の塗布液組成物を塗布し、乾燥して形成される。
5−1.塗布液組成物の調製
塗布液組成物の調製は、前記した吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、及び水、さらに必要に応じてゲル化剤、架橋剤などの他の添加剤を、それぞれ適量で水(常温水又は加温水)に添加して十分攪拌して行い、必要に応じて攪拌しながら加熱することで溶解を促進させる。なお、吸水性ポリマー、二酸化炭素キャリア、及びその他の成分を別々に水に添加してもよいし、予め混ぜ合わせたものを添加してもよい。
塗布液組成物の調製温度は、均一性の観点から、50℃〜90℃で行われることが好ましい。
5−1a.塗布液組成物の塗布
塗布装置により塗布する際に塗布液組成物の温度が低下すると、吸水性ポリマーが析出(塩析)して支持体への均一な塗布が困難となったり、膜厚のバラツキが大きくなったりするおそれがある。そのため、本発明においては。塗布液組成物を調製した後、塗布するまでの間は塩析が生じないように保温することが好ましい。塗布する際における塗布液組成物の温度は、組成や濃度に応じてゲル化や塩析が生じないように決めればよいが、温度が高すぎると塗布液組成物から水が多量に蒸発して組成濃度が変化したり、局所的にゲル化が進行したりする恐れがあるので、通常は20℃以上90℃以下であり、20℃〜60℃程度が好ましい。
本発明の製造方法に用いられる一実施形態としての塗布装置は、調製された二酸化炭素分離層形成用の塗布液が貯留される貯留部Aと、貯留部Aに貯留された塗布液が流れ出て、塗布時に裏面支持ローラに接近する塗布ダイを備えている。塗布ダイは、塗布液の流量と、支持体との隙間幅を自由に調節可能で、様々な厚みの支持体について様々な厚みで塗布可能である。貯留部には、塗布液組成物の温度を制御するヒータと、塗布液を攪拌する攪拌装置と、が設けられていてもよい。
塗布装置は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等が適宜選択される。特に、膜厚均一性、塗布量などの観点から、エクストルージョンダイコーターが好ましい。
塗布量は、塗布液組成物の組成、濃度などにもよるが、単位面積あたりの塗布量が少な過ぎると乾燥工程で塗膜に孔が形成されたり、二酸化炭素分離層としての強度が不十分となったりするおそれがある。一方、上記塗布量が多過ぎると、膜厚のバラツキが大きくなったり、得られる二酸化炭素分離層の膜厚が大きくなり過ぎて二酸化炭素の透過性が低下したりするおそれがある。
これらの観点から、塗膜の厚さは30μm以上、より好ましくは50μm以上、特に好ましくは100μm以上であり、加熱工程を経た後に得られる二酸化炭素分離層の厚さが5μm〜50μm、より好ましくは10μm〜40μm、特に好ましくは15μm〜30μmになるように塗布量を調整することが好ましい。
5−1b.塗膜の乾燥
塗布液組成物からなる層を乾燥する際には、乾燥ユニットにおいて、支持体12上に形成された塗布液組成物の塗膜を乾燥させて二酸化炭素分離層14を得る。なお、このとき、所望により熱架橋を同時に行ってもよい。例えば、乾燥ユニットに搬送された支持体12上の塗膜に温風を当てて乾燥させるが、塗布液組成物に架橋剤を含む場合には、この温風加熱により架橋反応が進行する。
風速は、塗膜を迅速に乾燥させることができ、且つ、塗膜が崩れない速度、例えば、1m/分〜80m/分に設定することが好ましく、さらには2m/分〜70m/分がより好ましく、さらには3m/分〜60m/分が特に好ましい。
風の温度は、支持体の変形などが生じず、かつ、塗膜を迅速に乾燥させることができるように20℃〜80℃に設定することが好ましく、さらには30℃〜70℃がより好ましく、さらには40℃〜60℃が特に好ましい。
塗布液組成物に架橋剤を含む場合、乾燥時に、乾燥と架橋を同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。例えば、塗膜に温風を当てて乾燥させた後、赤外線ヒータなどの加熱手段によって架橋させてもよいし、温風によって乾燥とともに架橋させてもよい。熱架橋は例えば100℃〜150℃程度に加熱することによって行うことができる。
乾燥ユニットとしては、例えば、塗布液により塗膜が形成された支持体12が搬入及び搬出されるハウジングと、このハウジング内に配置されて支持体12の表面の塗膜を乾燥させる複数の温風器及び複数のハロゲンヒータと、を備えている態様が好ましく挙げられる。温風器は、支持体12の表面に対して所定の間隔をおいて配置されており、支持体12の表面に温風を吹き付けることによって、支持体12上の塗膜を乾燥させて二酸化炭素分離層14を得る。
ハロゲンヒータは、支持体12の表面に対して所定の間隔をおいて配置されており、熱によって支持体12上の塗膜を乾燥させるものである。本実施形態では、温風器とハロゲンヒータが交互に複数配置されており、これらの温風器とハロゲンヒータによって支持体12の表面の塗膜を乾燥すると共に熱架橋して二酸化炭素分離層14を得る。本実施形態では、温風器とハロゲンヒータが交互に複数配置されているが、この構成に限定されず、例えば、複数の温風器のみを備えた構成でもよい。
また、二酸化炭素分離用複合体10の製造装置では、必要に応じて、乾燥ユニットよりも支持体12の搬送方向下流側に、支持体12の表面に形成された二酸化炭素分離層14の表面に、キャリア溶出防止層を形成するための塗布装置及び乾燥装置などを設けてもよい。
この塗布及び乾燥工程により、支持体12上にほぼ均一な膜厚の二酸化炭素分離層14が形成される。
支持体12上に二酸化炭素分離層14を有する二酸化炭素分離用複合体10は、支持体12上に、二酸化炭素分離層14以外の他の層を有するものであってもよい。他の層としては、例えば、ガス透過性シート12Bと二酸化炭素分離層14との間に設けられる下塗り層、中間層、二酸化炭素分離層14上に設けられる保護層(例えば、キャリア溶出防止層)などが挙げられる。
このような二酸化炭素分離用複合体10の製造においては、帯状の支持体12を一定方向に搬送しながら、支持体12上にほぼ均一な膜厚の二酸化炭素分離層14を高い生産性で安定して製造することができる。
<スパイラル型分離膜モジュール(スパイラル型二酸化炭素分離膜モジュール)及びその製造方法>
既述の二酸化炭素分離用複合体10は、スパイラル型二酸化炭素分離用モジュールに組み込まれて使用される。二酸化炭素分離膜14を有する複合体10を組み込むことで、本発明のスパイラル型分離膜モジュールは、二酸化炭素分離膜モジュールとなり、公知の分離用装置に適宜使用される
本発明のスパイラル型分離膜モジュール(スパイラル型二酸化炭素分離用モジュール)22は、本発明に係る二酸化炭素分離用複合体10を適切な流路材16と重ね合わせて、有孔の中空状中心管26の周囲にらせん状に巻きつけることで得られる。
図4は、本発明に係る二酸化炭素分離用複合体10を用いた二酸化炭素分離用モジュール22の一実施形態を示す、一部切り欠きを設けてなる概略構成図である。
二酸化炭素分離用スパイラルモジュール22は、その基本構造として、有孔の中空状中心管26の回りに、二酸化炭素分離用複合体10と流路材16とを単数あるいは複数を巻き付けて構成される。二酸化炭素分離用複合体10により形成された二酸化炭素を分離する領域の周辺は、モジュール内を通過する気体などの流体を遮断しうる材料で形成された被覆層28で被覆されている。
ここで、二酸化炭素分離用複合体10は、既述の製造方法により得られた、補強材シート12Aと補強材シート12Aよりも幅の狭いガス透過性シート12Bとからなる本発明の支持体12の表面に二酸化炭素分離層14を有する。補強材シート12Aの両端部は接着剤により形成された気体非透過性領域20となっており、補強材シート12A端部からの所望されないガス透過を防止している。この二酸化炭素分離用複合体10に、流路材16を重ね合わせてなる積層体18を中空管26に巻いてスパイラルモジュール22を得る。
二酸化炭素分離用複合体10に流路材16を積層する場合、二酸化炭素分離用複合体10の二酸化炭素分離層14表面に流路材16を配置してなる積層体としてもよく、二酸化炭素分離用複合体10の二酸化炭素分離層14表面に、複合体10の長手方向の長さの半分ほどの長さの流路材16を配置して、複合体10を、流路材16を挟むようにして二つ折りにしたものを積層体18としてもよい。
(流路材)
流路材16は、気体を通過させる機能を有し、且つ、流体に乱流を生じさせることが好ましいことから、目開き30μm以上2000μm以下である、樹脂ネット及びモノフィラメントメッシュから選択されるネット状の支持体が好ましく用いられる。ネットの形状により流体の流路が変わることから、ネットの単位格子の形状は、目的に応じて、例えば、菱形、平行四辺形などの形状から選択して用いられる。
また、充分な通気性と引っ張り応力に対する耐伸張性を有するものであれば、不織布、織布、編物なども使用することができる。
材質としては、例えば、本発明の製造方法により得られた二酸化炭素分離部用複合体は100℃以上、例えば、130℃程度の温度条件下で使用されることもありうるために、耐熱性の材料が好ましく用いられる。
支持体の材質としては、たとえば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトロフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ塩化ビニリデンなどの樹脂が挙げられ、さらには、セラミックス、金属、ガラス等無機材料を使用してもよい。
また、既述の樹脂や無機材料からなる繊維、モノフィラメント、コードなどを用いてなる不織布、織布、編物なども好ましく使用される。
流路材16の形状は、RtoRによって量産するため、長尺帯状のシート又はファブリックであることが好ましい。
樹脂ネット及びモノフィラメントメッシュの目開きが上記範囲において、搬送に耐えうる充分な強度が達成され、ウェブハンドリング適性を持たせ得るとともに、開口部が大きすぎることによる塗布液が固まる前に開口部に浸透することが抑制される。
樹脂ネットは上記好ましい目開きを有するものであれば、樹脂ネットの成型法は任意であるが、製造法の簡易性及び目開きの均一性の観点から押出し成型により得られた樹脂ネットが好ましい。樹脂ネットを構成する材料は、既述の樹脂材料から任意に選択されるが、なかでも、耐熱性が良好であり、水分解が生じないという観点からは、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン等が好ましい。
本発明において支持体として好ましく用いられる押し出し成型ネットは、市販品としても入手可能であり、例えば、delstar社製ナルテックス、ネトロンネット等の汎用の市販ネットを用いてもよい。
モノフィラメントメッシュとは、モノフィラメントが網状に編成されたものであり、メッシュの網目サイズとしては、樹脂ネットと同様に、目開き30μm以上2000μm以下であることが好ましい。
メッシュを構成するモノフィラメントの材質としては、有機材料としてはポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられ、無機材料としては編成が可能な径を有する金属製モノフィラメントなどが挙げられ、金属製モノフィラメントからなる金網等が好適に使用されるが、特に限定されるものではない。
モノフィラメントとして金属材料を用いる場合には、耐久性の観点から防錆性に優れた金属材料を選択するか、表面を防錆処理したものが好ましい。
既述のように、本実施形態では、スパイラル型分離膜モジュール22は、二酸化炭素分離用として用いられた例が挙げられており、分離された二酸化炭素を回収するための有孔の中空状中心管26の周辺に、二酸化炭素分離層(分離膜)14と支持体12との積層体である二酸化炭素分離用複合体10と、流路材16とを重ね合わせて巻く工程により形成された二酸化炭素を分離する領域を備え、その周辺が流体不透過性の被覆層28で被覆されている。また、支持体12を構成する気体透過性に優れた補強材シート12Aの端部には接着剤による気体非透過性領域20が形成されている。
二酸化炭素を含む気体(供給ガス)32は、二酸化炭素分離用複合体22の一方の端部22Aから供給され、前記被覆層28により区画された、本発明にかかる二酸化炭素分離用複合体10を備える二酸化炭素を分離する領域を透過する際に、二酸化炭素分離層14を透過して分離された二酸化炭素34が中空状中心管26に集積され、該中空状中心管26に接続された開口部38より回収される。また、二酸化炭素分離用複合体10におけるガス透過性シート12Aの空隙や流路材16の空隙を通過した、二酸化炭素が分離された残余の気体26は、二酸化炭素分離用スパイラルモジュール22において、二酸化炭素回収用の開口部38が設けられた側の、二酸化炭素分離部材の端部22Bより排出される。
このとき、気体透過性に優れた補強材シート12Aの端部に気体非透過性領域が設けられていることで、供給ガス32が補強材シート12Aの空隙を透過することで二酸化炭素分離層14と接触せずにモジュール内を通過し、これに起因して二酸化炭素分離効率が低下することが防止される。
二酸化炭素回収用の中空状中心管26には不活性ガス等から選ばれるキャリアガスが供給されてもよい。
また、分離膜14としてポリイミドキャスト膜を使用する場合、例えば、メタンガスと炭酸ガスとを効率よく分離することができる。
本発明の支持体12を使用することで、分離膜14の構成を、必要とする機能に応じて適宜変更することで、種々の化合物の分離に使用される、リークパスが抑制され分離効率に優れたスパイラル型分離膜モジュールを得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
また、特に断らない限り、以下に記載される「%」、「部」は、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
<二酸化炭素分離層用塗布液組成物の調製>
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体(クラストマーAP−20:商品名、クラレ社製)に水を攪拌しながら加えた。次に炭酸セシウム水溶液(固形分濃度:40質量%)を加え、温度25℃の条件下で、充分に攪拌を行い、水溶性ポリマーであるポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体の濃度が2.5質量%、二酸化炭素キャリアである炭酸セシウム濃度が6.0質量%である水溶液を調製し、脱泡を行って二酸化炭素分離層形成用塗布液組成物(1)を得た。
<支持体の作製>
補強材シートとして、膜厚200μmのPP不織布(廣瀬製紙製、HOP60CF:商品名)の1000mm幅品上の中央部に、ガス透過性シートとして、孔径0.05μm、厚さ20μm、空隙率70%のPTFE多孔質膜(GEエナジー社製、EXPG_PTFE:商品名)の900mm幅品を配置し、熱圧着によりRtoRで積層し、固定して支持体12を作製した。即ち、ガス透過性シート12Bとして、補強材シート12Aよりも10mm幅が狭いものを用いた。
PP不織布12Aの表面の両端部であって、PTFE多孔質膜12Bが存在せず、PP不織布12Aのみが存在する領域においてPP不織布14裏面(PTFE多孔質膜12Bを有しない面)に接着剤(ヘンケルジャパン社製、高粘度(約40Pa・s)エポキシ樹脂接着剤 E120HP:商品名)を塗布した。接着剤はPP不織布12Aの表面のみならず、不織布のPP繊維の間隙に浸透し、PRTF多孔質膜12Bが積層されている面の表面に達した。接着剤を乾燥させることで、PP不織布12Aの両端部に接着剤により形成された気体非透過性領域20を備える本発明の支持体12を得た。
<二酸化炭素分離層の形成>
得られた支持体12表面に、前記で得られた二酸化炭素分離層形成用塗布液組成物(1)を、ロールコータを用いて塗工し、60℃に維持された乾燥ゾーンを通過させることで乾燥させ、支持体12表面に二酸化炭素分離層12を備える複合体(1)10を得た。塗工速度は10m/min、乾燥温度(乾燥ゾーンの温風温度)は60℃とした。
<スパイラル型二酸化炭素分離膜モジュールの作製>
得られた二酸化炭素分離用複合体(1)を、二酸化炭素分離層14を内側にして二つ折りした。二つ折りした谷部にカプトンテープをはり、供給ガス流路材の端部が複合体10の谷部の面状を傷つけないように補強した。そして、二つ折りした二酸化炭素分離層14と間に供給ガスの流路材16として厚み0.5mmのポリプロピレン製ネットを挟み込んだ。この積層体18の補強材シート12A側にエンベロープ状になるように高粘度(約40Pa・s)のエポキシ樹脂からなる接着剤(ヘンケルジャパン社製、E120HP:商品名)を塗り、トリコット編みのエポキシ含浸ポリエステル製透過ガス流路材16を重ね、有孔の中空状中心管26の周りに多重に巻き付けた。
これにより、実施例1の二酸化炭素分離用モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は0.025mであった。
〔実施例2〕
<支持体の作製>
補強材シートとして、廣瀬製紙の膜厚200μmのPP不織布(HOP60CF:商品名)の1000mm幅品上に、実施例1で用いたものと同じエポキシ樹脂系の接着剤をドット上に滴下し、該PP不織布12Aの中央部に、ガス透過性シートとして、孔径0.05μm、厚さ20μmのPTFE多孔質膜(GEエナジー社製、EXPG_PTFE:商品名)の900mm幅品を配置し、RtoRで積層し、固定して支持体12を作製した。
PP不織布12Aの表面の両端部であって、PTFE多孔質膜12Bが存在せず、PP不織布幅12Aが露出している領域に実施例1で用いたものと同じ接着剤を塗布した。接着剤はPP不織布12Aの表面のみならず、不織布のPP繊維の間隙に浸透した。これを乾燥させることで、PP不織布12Aの両端部に接着剤により形成された気体非透過性領域20を備える。
<二酸化炭素分離層の形成>
得られた支持体12表面に、前記で得られた二酸化炭素分離層形成用塗布液組成物(1)を、ロールコータを用いて塗工し、60℃に維持された乾燥ゾーンを通過させることで乾燥させ、支持体12表面に二酸化炭素分離層12を備える二酸化炭素分離用複合体(2)10を得た。塗工速度は10m/min、乾燥温度(乾燥ゾーンの温風温度)は60℃とした。
この二酸化炭素分離用複合体(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の二酸化炭素分離用モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は0.025mであった。
〔実施例3〕
<支持体の作製>
実施例1と同様にして両端部に気体非透過性領域20を備える支持体12を得た。
<二酸化炭素分離層用塗布液組成物の調製>
ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体クラストマーAP-20(商品名、クラレ社製):2.4%、25%グルタルアルデヒド水溶液(和光純薬製):0.01%を含む水溶液に、1M塩酸をpH1になるまで添加し、架橋後、キャリアとしての40%炭酸セシウム(稀産金属社製)水溶液を炭酸セシウム濃度が6.0%になるように添加した。さらに、1%ラピゾールA−90(商品名、日油社製)が0.003%になるように添加し、昇温後、別に調液しておいた寒天水溶液を加え、脱泡を行って二酸化炭素分離層形成用塗布液組成物(2)を得た。
<二酸化炭素分離層の形成>
得られた支持体12表面に、前記で得られた二酸化炭素分離層形成用塗布液組成物(2)を、4℃に冷却し、ロールコータを用いて塗工し、60℃に維持された乾燥ゾーンを通過させることで乾燥させ、支持体12表面に二酸化炭素分離層12を備える複合体(3)10を得た。塗工速度は10m/min、乾燥温度(乾燥ゾーンの温風温度)は60℃とした。
この二酸化炭素分離用複合体(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の二酸化炭素分離用モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は0.025mであった。
〔実施例4〕
<支持体の作製>
実施例1と同様にして両端部に気体非透過性領域20を備える支持体12を得た。支持体12の表面にポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる厚さ500nmの多孔質保護層(モメンティブ社製、UV9300:商品名)を形成した。この保護層はガス透過性を有する。
<二酸化炭素分離層の形成>
得られた支持体12表面に多孔質保護層を設けたものを用いた以外は、実施例3で得られた二酸化炭素分離用複合体(2)を用い、実施例3と同様にして、実施例4の二酸化炭素分離用モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は0.025mであった。
〔実施例5〕
<支持体の作製>
実施例2と同様にして両端部に気体非透過性領域20を備える支持体12を得た。支持体12の表面にPDMSからなる厚さ500nmの多孔質保護層を形成した。多孔質保護層における孔の最大径は0.15μmであり、この保護層はガス透過性を有する。
<二酸化炭素分離層の形成>
得られた支持体12表面に多孔質保護層を設けたものを用いた以外は、実施例3で得られた二酸化炭素分離用複合体(2)を用い、実施例3と同様にして、実施例5の二酸化炭素分離用モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は0.025mであった。
〔実施例6〕
<支持体の作製>
実施例1において用いたガス透過性シート12BであるPTFE多孔質膜(GEエナジー社製、EXPG_PTFE:商品名)の900mm幅品に代えて、同幅の孔径10μm、厚さ20μm空隙率70%のPTFE(ゴアテックス社製、SMO−10:商品名)を用いたこと以外は実施例1と同様にして両端部に気体非透過性領域20を備える支持体12を得た。
<二酸化炭素分離層の形成>
上記で得られた支持体を用いた以外は、実施例3で得られた二酸化炭素分離用複合体(2)を用い、実施例3と同様にして、実施例6の二酸化炭素分離用モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は0.025mであった。
〔実施例7〕
<支持体の作製>
実施例1において用いたガス透過性シート12BであるPTFE多孔質膜(GEエナジー社製、EXPG_PTFE:商品名)の900mm幅品に代えて、同幅の、孔径0.05μm、厚さ80μm、空隙率70%のPTFE(GEエナジー社製、EXPG:商品名)を用いたこと以外は実施例1と同様にして両端部に気体非透過性領域20を備える支持体12を得た。
<二酸化炭素分離層の形成>
上記で得られた支持体を用いた以外は、実施例3で得られた二酸化炭素分離用複合体(2)を用い、実施例3と同様にして、実施例7の二酸化炭素分離用モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は0.025mであった。
〔実施例8〕
<支持体の作製>
実施例1において用いたガス透過性シート12BであるPTFE多孔質膜(GEエナジー社製、EXPG_PTFE:商品名)の900mm幅品に代えて、同幅の、孔径0.16μm、厚さ40μm、空孔率5%のPP微多孔質膜(住友3M社製、マイクロポーラスフィルム:商品名)を用いたこと以外は実施例1と同様にして両端部に気体非透過性領域20を備える支持体12を得た。
<二酸化炭素分離層の形成>
上記で得られた支持体を用いた以外は、実施例4でと同様にして、実施例8の二酸化炭素分離用モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は0.025mであった。
〔実施例9〕
実施例1で用いた、水溶性ポリマーとしてのポリビニルアルコール−ポリアクリル酸共重合体(濃度:2.5質量%)、二酸化炭素キャリアとしての炭酸セシウム(濃度:6.0質量%)を含有する二酸化炭素分離層形成用塗布液組成物(1)に代えて、Matrimid(マトリイミド)5218(商品名、チバガイギー社製)の1質量%THF溶液に、キシレンジアミン(XDA)をマトリイミド5218に対して濃度1質量%となるように添加し、35℃で180分攪拌したポリイミド溶液を二酸化炭素分離層形成用塗布液組成物(3)として用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例9の二酸化炭素分離膜モジュールを作製した。
実施例9における分離膜は、二酸化炭素と面ガスとの分離に用いられる分離膜である。
〔比較例1〕
<支持体の作製>
実施例1において用いたガス透過性シート12BであるPTFE多孔質膜(GEエナジー社製、EXPG_PTFE:商品名)の900mm幅品に代えて、PTFE多孔質膜(GEエナジー社製、EXPG_PTFE:商品名)の1000mm幅品同幅を用いたこと以外は実施例1と同様にして支持体12を得た。即ち、ガス透過性シート12Bとして、補強材シート12Aと同じ幅のものを用いた。
<二酸化炭素分離層の形成>
上記で得られた支持体を用いた以外は、実施例3でと同様にして、比較例1の二酸化炭素分離用モジュールを作製した。かかるモジュールの膜面積は0.025mであった。
(二酸化炭素分離用スパイラルモジュールの評価)
1.漏れチェック
実施例1〜9、及び比較例1で作製した各酸性ガス分離モジュールの欠陥評価を、供給側にHeガスを充填した後、密閉し、0.34MPaから0.3MPaに圧力が減少する時間を測定することで評価した。欠陥評価の基準を以下に示す。
−評価基準−
AA: 上記の時間が3000秒以上
A : 上記の時間が2000秒以上
B : 上記の時間が1000秒以上
C : 上記の時間が1000秒未満
2−1.酸性ガス分離性試験−1(実施例1〜実施例8、比較例1の評価)
実施例1〜実施例8、比較例1において得られた支持体上に分離膜を有する積層体を、それぞれ支持体ごと直径47mmのサイズに切り取り、切り取った試料片をPTFEメンブレンフィルターの間に挟み、透過試験サンプルを作製した。
なお、実施例1〜実施例8及び比較例1のモジュールは、二酸化炭素と水素とを分離する分離膜を備えるモジュールである。
テストガスとしてCO/H=10/90(容積比)の混合ガスを相対湿度70%、流量500ml/分、温度130℃、全圧301.3kPaの条件にて、各試験サンプル(有効面積:2.40cm)の一方の側から供給し、他方の側にArガス(流量:90ml/分)をフローさせた。
分離膜を透過してきたテストガスを、ガスクロマトグラフで分析し、CO透過速度(P(CO))と選択性(α)を算出した。
選択性(α)は、下記式に基づき算出した。
(式) 選択性(α)=Q(CO)/Q(H
この値を基に、以下の基準で評価した。結果を下記表1に示す。
−評価基準−
AA:COの透過速度が1.2×10−5mol/m・s・kPa以上であり、且つ、選択性(α)が80以上
A :COの透過速度が1.0×10−5mol/m・s・kPa以上であり、且つ、選択性(α)が50以上80未満
B :COの透過速度が1.0×10−5mol/m・s・kPa以上であり、且つ、選択性(α)が10以上50未満
C :COの透過速度に関わらず、選択性(α)が10未満
2−2. 酸性ガス分離性試験−2(ポリイミド膜を用いた実施例9の評価)
実施例9のモジュールは、二酸化炭素とメタンガスとを分離する分離膜を備えるモジュールである。
CO/CHガス分離・ガス透過試験
GTR社製等圧式ガス透過率測定装置にて、CO透過度、CH透過度、及びCO/CH選択性を測定した。測定条件は、フィードガス(CO=300sccm、CH=300sccm)、フィード側圧力(800kPaG)、スイープガス(Ar=100sccm)、スイープ側圧力(0kPaG)、温度40℃で実施した。
この値を基に、以下の基準で評価した。結果を下記表1に示す。
AA:COの透過度が50GPU以上であり、且つ、CO透過度/CH透過度比が25以上である
B :COの透過度が50GPU以上であり、且つ、CO透過度/CH透過度比が25未満である。
C :COの透過度が50GPU未満であり、且つ、CO透過度/CH透過度比が25以上である
D :COの透過度が50GPU未満であり、且つ、CO透過度/CH透過度比が25未満である。
3.接着剤の浸み込み
実施例1〜9、及び比較例1で得られた複合体10を切断し、支持体12の断面をSEM(走査型顕微鏡)で観察し、支持体12の裏面(補強材シート12A)側から、ガス透過性シート12Bが存在する側への深さ方向に、接着剤の浸み込んだ様子を観察し、支持体の厚さ方向の割合で換算した。評価基準は以下の通りである。
なお、接着剤の浸み込み率が70%以上であれば、支持体12上に分離膜14を形成し、密着させたとき、補強材シート12Aと分離膜との接着剤による密着が可能となる。
−評価基準−
AA:接着剤の浸み込み率が80%以上
A :接着剤の浸み込み率が70%以上80%未満
B :接着剤の浸み込み率が60%以上70%未満
C :接着剤の浸み込み率が60%未満
表1に示すように、本発明に係る実施例1〜8のスパイラル型分離膜モジュールはいずれも、比較例1に対して、所望されない気体の漏れ(リークパス)がなく、二酸化炭素分離用モジュール全体においてはカス透過性及び二酸化炭素分離における選択性に優れ、支持体に用いる補強材シートへの接着剤の浸み込みが良好で気密性に優れた気体非透過性領域が形成されていることがわかる。また、実施例1〜8と実施例9との対比より、分離膜の種類を代えて、二酸化炭素とメタンガスとの分離に用いた場合においても、本発明のスパイラル型分離膜モジュールは、同様に優れた効果が得られることが確認された。
なお、本発明に係るスパイラル型分離膜モジュール、その製造方法及びスパイラル型分離膜モジュールの作製に用いられる支持体は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10 分離膜複合体(二酸化炭素分離用複合体)
12 支持体
12A 補強材シート
12B ガス透過性シート
14 分離膜(二酸化炭素分離層)
16 流路材
20 気体非透過性領域
22 スパイラル型分離膜モジュール(スパイラル型二酸化炭素分離膜モジュール)

Claims (15)

  1. 補強材シートの幅方向中央部に、前記補強材シートの幅よりも狭い幅のガス透過性シートを配置してなり、支持体の幅方向両端部に補強材シートが露出した領域を有する支持体と、前記ガス透過性シート表面に形成された分離膜と流路材とを備える積層体を、有孔の中空状中心管に巻き付けてなるスパイラル型分離膜モジュール。
  2. 前記補強材シートの両端部に接着剤により形成された気体非透過性領域を有する、請求項1に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
  3. 前記分離膜が、前記補強シートの幅方向の全領域に亘り形成された、請求項1又は請求項2に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
  4. 前記分離膜が、酸性ガス分離膜である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
  5. 前記酸性ガス分離膜が、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、を含む二酸化炭素分離用分離膜である請求項4に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
  6. 前記ガス透過性シートが、最大孔径0.001μm以上0.5μm以下の多孔質樹脂シートである、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
  7. 前記ガス透過性シートの厚みが、0.0001μm以上100μm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
  8. 前記ガス透過性シートの幅が、前記補強材シートの幅よりも5%以上狭い、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
  9. 前記補強材シートの全幅に対して、前記ガス透過性シートの幅が80%以上95%以下である請求項8に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
  10. 前記ガス透過性シートが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、及びポリアクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種を含んで形成される多孔質樹脂シートである、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のスパイラル型分離膜モジュール。
  11. 幅方向中央部に、前記補強材シートの幅よりも狭い幅のガス透過性シートを配置してなり、支持体の幅方向両端部に補強材シートが露出した領域を有する支持体上に、該支持体の(B)前記ガス透過性シート表面に分離膜を形成する工程と、
    前記補強材シートが露出した領域のガス透過性を備える面とは反対の面に接着剤を塗布する工程と、
    前記支持体上に形成された分離膜上に流路材を配置してなる積層体を、有孔の中空状中心管に巻き付ける工程と、
    を含むスパイラル型分離モジュールの製造方法。
  12. 前記分離膜が、前記補強シートの幅方向の全領域に亘り形成された、請求項11に記載のスパイラル型分離膜モジュールの製造方法。
  13. 補強材シートの幅方向中央部に、前記補強材シートの幅よりも狭い幅のガス透過性シートを配置してなり、支持体の幅方向両端部に補強材シートが露出する領域を有し、該領域が分離膜と直接接する領域であるスパイラル型分離膜モジュール用支持体。
  14. 前記補強材シートにおける補強材シートが露出してなり、分離膜と直接接する領域に、接着剤による気体非透過性領域が形成されてなる請求項13に記載のスパイラル型分離膜モジュール用支持体。
  15. 前記ガス透過性シートを有する面に形成される分離膜が、吸水性ポリマーと、二酸化炭素キャリアと、を含む二酸化炭素分離用分離膜である請求項13又は請求項14に記載のスパイラル型分離膜モジュール用支持体。
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