JP2014154274A - エキシマランプ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、放電容器の内部でエキシマ放電を誘起し紫外線を放射するエキシマランプにおいて、オゾンの発生を抑えつつ殺菌に有用な紫外光を放射でき、従来よりも優れた始動特性を発揮することが可能なランプ構造を提供することを課題としている。
【解決手段】長尺の放電容器と、その一方の端部から突出して形成されるチップ部と、その他方の端部に形成される封止部とを備え、前記放電容器の内部に配置された内部電極と前記放電容器の外部に配置された外部電極を一対の電極とし、前記放電容器内にエキシマ発光ガスが封入されており、前記放電容器の内壁には紫外線を発光する蛍光体が設けられており、前記内部電極は前記放電容器の管軸方向に沿って延びており、その一端が前記チップ部内に導入され、他端は前記封止部に埋設されており、前記外部電極は前記放電容器から前記チップ部まで延設されていることを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、放電容器の内部でエキシマ放電を誘起し紫外線を放射するエキシマランプに関し、特に、放電容器の外壁面に外部電極が配置され、放電容器の内部に内部電極が配置されてなるエキシマランプに関する。
冷蔵庫などに食品を長期間入れておくと、食品が腐食してガスが発生し冷蔵庫内で菌の繁殖、異臭、他の食品への悪影響を及ぼす可能性がある。そのために、冷蔵庫内で繁殖した菌を殺菌する手段として紫外線ランプがしばしば用いられている。
この紫外線ランプには、従来低圧水銀ランプが多用されているが、水銀ランプは低温環境下では発光効率が低く、光量も悪化してしまう。そこで代替光源としてエキシマランプが注目されている。
エキシマランプは、主に波長200nm以下の真空紫外光を放射する光源として多様な用途に用いられている。例えば、液晶表示パネルのガラス基板の光洗浄として、真空紫外光を放射するエキシマランプを備えた紫外線照射装置が知られている(特許文献1)。
図5に示すように、上記の紫外線照射装置9には長尺のエキシマランプ90が設けられる。エキシマランプ90は、内部に放電空間を形成する略直管状の放電容器91を備えており、放電容器内91には内部電極912が放電容器内をその管軸に沿って延びるよう配設されている。また放電容器91の外部には、メッシュ状の外部電極911が放電容器91の外周面に配設されている。また、放電容器91には排気管残部92(以下、チップ部と称す)が形成されている。
特開2005−302551号公報
波長200nm以下の真空紫外光は大気中にオゾンを発生させてしまう。そのため、冷蔵庫内の殺菌用光源としてエキシマランプを用いる際は、オゾンの発生を抑えつつ殺菌に有用な紫外光を放射する必要がある。また、上記用途にあたっては電源装置の小型化や省電力化が進んでおり、庫内の殺菌用光源に関してもより低い始動電圧で点灯可能なランプが望まれている。
この発明が解決しようとする課題は、オゾンの発生を抑えつつ殺菌に有用な紫外光を放射でき、従来よりも優れた始動特性を発揮することが可能なランプ構造を提供することである。
本発明の第一の態様に係るエキシマランプは、長尺の放電容器と、その一方の端部から突出して形成されるチップ部と、その他方の端部に形成される封止部とを備え、前記放電容器の内部に配置された内部電極と前記放電容器の外部に配置された外部電極を一対の電極とし、前記放電容器内にエキシマ発光ガスが封入されており、前記放電容器の内壁には紫外線を発光する蛍光体が設けられており、前記内部電極は前記放電容器の管軸方向に沿って延びており、その一端が前記チップ部内に導入され、他端は前記封止部に埋設されており、前記外部電極は前記放電容器から前記チップ部まで延設されることを特徴としている。
上記はさらに、前記外部電極が、前記チップ部の壁面に金属素線を密巻きして形成されている特徴を備えていても良い。
上記はさらに、前記内部電極の一端から前記内部電極の断面よりも狭小な断面形状を有する突起部が形成され、前記突起部は前記チップ部の内部に配置されている特徴を備えていても良い。
本発明の態様に係るエキシマランプは、放電容器の内壁に紫外線を発光する蛍光体が設けられており、エキシマ放電によって発生する波長200nm以下の真空紫外光は蛍光体に吸収され、殺菌に有用な紫外光が放射される。つまり、蛍光体によって真空紫外光の波長が変換され、オゾンの発生なく殺菌に有用な紫外光が放射でき、冷蔵庫内の殺菌が可能となる。
また、放電容器の一方の端部にはチップ部が形成されている。内部電極の一端はチップ部内に導入される。また外部電極は放電容器からチップ部まで延設されている。これにより、チップ部では内部電極と外部電極の離間距離が非常に狭くなり、チップ部では電極間の始動電圧が低下する。そのため、チップ部内では従来よりも低い電圧で初期放電を起こすことができ、ランプの始動特性を向上させることが可能である。また、内部電極の一端は電界集中しやすく、チップ部内での初期放電が容易となり、ランプの始動特性がより向上する。
さらに、前記外部電極は前記チップ部の壁面に金属素線を密巻きして形成することにより、ランプの始動特性をより向上させることができる。
さらに、内部電極の一端には前記内部電極の断面よりも狭小な断面形状を有する突起部を形成し、前記突起部が前記チップ部の内部に配置されることにより、前記突起部では電界集中がより大きくなって、ランプの始動特性がより向上する。
(a)本発明に係る実施態様を示す外観図、(b)本発明に係る実施態様の長手方向の断面図。 本発明に係る外部電極の実施態様を示す概念図。 本発明に係る内部電極の実施態様を示す概念図。 本発明に係るアンカー部の外観図。 従来の紫外線照射装置の概要を表す断面図。
本発明に係るエキシマランプの実施態様を図1に示す。図1に記載のエキシマランプは、長尺の放電容器1を備え、その内部にエキシマ発光ガスが封入されている。放電容器の部材には種々の透光性ガラス部材を用いることができる。好適には、真空紫外光の吸収率が高い部材が用いられる。例えば、ソーダ石灰ガラス、オゾンレス石英ガラス、溶融石英ガラス等を用いることができ、蛍光体の発光波長に応じて適宜部材が選定される。上記構成により、エキシマ放電によって発生する真空紫外光を好適に遮光でき、ランプの周囲にオゾンを発生させることがない。また放電容器内1には長手方向に沿って延びる内部電極12が設けられている。図1(b)に示すように、内部電極12は、その主要部分が螺旋状に巻いて形成されたコイル電極とすることができる。また、放電容器1の外部には外部電極11が設けられている。外部電極は、例えば、導電性を有する複数本の金属細線で形成することができる。より好適には、複数本の金属細線を網目に交差させてメッシュ状に形成し設けることができる。上記構成により、内部電極12と外部電極11が一対の電極となって電極間にエキシマ放電が誘起される。
放電容器1の内部にはエキシマ発光ガスとして希ガスが封入されている。例えば、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)の何れかの希ガスを封入する、又は、それらの複数の希ガスを適宜組合せていてもよい。
放電容器1の内壁には蛍光体13が設けられている。この蛍光体13は、上記のエキシマ発光ガスによって放射される波長200nm以下の真空紫外光を吸収し、より長波長域の紫外光を発光する。そのため、真空紫外光より長波長域の紫外光が放電容器から放射され、大気中にオゾンは発生しない。本発明に適用される蛍光体13としては、例えば、YPO:Nd、LiYP12:Pr、LaPO:Pr、LaPO:Pr、YAl12:Pr、YAl12:Bi、LaPO:Ce、LaMgAl1119:Ce、等が挙げられる。
また、蛍光体の選定により、用途に応じて殺菌効果の優れた紫外光を放射させることができる。例えば、LaPO:Prの蛍光体は、大腸菌や黄色ぶどう球菌等の殺菌効果の優れたピーク波長230nm〜250nmの光を発光する。対象とする菌に応じて蛍光体を適宜選択し、より好ましい実施態様とすることができる。
放電容器1の一方の端部にはチップ部2が設けられ、他方の端部には封止部3が設けられている。チップ部2は、ランプの製造過程において放電容器内1を排気するための排気経路の残部である。特に、放電容器内1に蛍光体13を設ける場合は内部に不純ガスが持ち込まれやすいため、ランプ製造過程において排気処理を行う必要性が高く、放電容器1には排気残部としてチップ部2が形成される。チップ部2は、例えば、排気経路として放電容器1の端部に細管を設け、この細管を介して排気を行い、排気後に細管の開口端部をチップオフすることで放電容器1の端部に形成される。尚、上記のチップ部2は、放電容器1の端部に細管を設けるのではなく、放電容器1の端部を直接チップオフすることによっても形成される。この場合、図1に示すチップ部2とは多少形状が異なるが、何れも放電容器1の端部から突出した形状であって、放電容器1よりも外径が小さく、放電容器1とチップ部2の内部空間は連通している。
さらに好ましい形態として、チップ部2は放電容器1の管軸の延長線上に配置される。これはランプの構造上、放電容器1の中央付近に内部電極12を配置させやすくするためである。放電容器1の他方の端部には封止部3が形成される。封止手段は特に限定しないが、例えば、図1は金属箔31を埋設して気密封止したいわゆる箔封止の構造である。封止部内3では、金属箔31と内部電極12が電気的に接続されている。
内部電極12の一端は、チップ部内2まで延設しチップ部2の内部に導入される。また、外部電極11は放電容器1の外表面に設けられ、またチップ部2の壁面にまで延設されている。つまり、内部電極12と外部電極11は、それぞれ放電容器1からチップ部2にわたって設けられている。チップ部2は放電容器1よりも外径が小さいため、チップ部2では内部電極12と外部電極11の離間距離が非常に狭くなる。そのため内部電極12と外部電極11の間の始動電圧は小さくなり、チップ部2では比較的低い電圧で初期放電が発生する。チップ部2の内部で発生した初期放電はランプ点灯のトリガーとなり、ランプ全域に亘ってエキシマ放電が誘起される。以上により、ランプの始動特性が向上する。尚、内部電極12の一端はチップ部2の内壁に当接されるが、チップ部2の壁内には封入させない。
また、内部電極12の一端は電界が集中しやすい。内部電極12の一端で電界が集中すると、その周囲の電位障壁が押し下げられ、放電空間内に電子が放出されやすくなる。つまり、内部電極12の一端の周囲では放電が起こりやすい。図1(b)に示すとおり、本発明に係る実施態様では、内部電極12の一端がチップ部2の内部に導入されるため、チップ部2の内部で初期放電を起こしやすい。以上の構成により、ランプの始動特性が向上する。
本発明に係る外部電極11にはいくつかの実施形態がある。例えば、図1に示す実施態様に、図2(a)〜(c)に示す外部電極11の構成をそれぞれ適用することができる。
図2(a)に示す実施形態は、外部電極11a、11bが放電容器1の全長に亘って設けられ、チップ部2の壁面まで延設している。好適には、外部電極11bはチップ部2の壁面に当接される。外部電極11a、11bは導電性を有する複数本の金属細線で形成され、各々の金属細線は網目状に交差している。この構成により、蛍光体13から放射される殺菌用の光は、外部電極11a、11bの網目の隙間からランプの外方へ放出される。またチップ部2では、内部電極12aの一端12bと外部電極11bの離間距離が非常に狭くなるため、比較的低い電圧で初期放電を引き起こし、従来よりもランプの始動特性を向上させることができる。
図2(b)は、チップ部2の外壁面に設けられた外部電極11bが、その各々の素線を密集して形成される。好適には、外部電極11bはチップ部2の壁面に当接し、隙間なく密集して形成されている。チップ部2の外壁面に外部電極11bを隙間なく密集させることで、チップ部内2では従来よりも低い電圧で初期放電を引き起こすことができ、ランプの始動特性をさらに向上させることができる。またチップ部2は、蛍光体13からの光が外部電極11bに完全に遮光される形態であっても構わない。また図2(a)の構成に加えて別体の金属細線を用意し、前記別体の金属細線を外部電極11bの上からチップ部2に巻きつける形態であってもよい。
図2(c)は、外部電極11bが放電容器1の一方の端部を覆って設けられた実施態様である。また上記と同様、図2(c)の構成に加えて別体の金属細線を用意し、チップ部2とその周囲の外部電極11bの上から、当該金属細線を密に巻きつける構成であっても良い。上記構成により、チップ部2において、内部電極の一端12bと外部電極11bの離間距離が狭められるため、従来よりもランプの始動特性を向上させることができる。
また、図2(d)に示すとおり、チップ部2の外径が漸次的に収縮する形状であっても、放電容器1の端部を覆った外部電極11bを形成させることが可能である。上記同様、チップ部2において、内部電極12aと外部電極11bの離間距離が狭められるため、従来よりもランプの始動特性を向上させることができる。
本発明に係る内部電極12にはいくつかの実施形態がある。例えば、図1及び図2に示す実施態様のそれぞれに、図3に示す内部電極の構成を適用させることができる。
図3は内部電極の一端12bを描写したものである。ここでいう一端とは、内部電極12の端部であって、チップ部内2に導入される部位である。前記内部電極の一端12bからは、前記内部電極12bの断面よりも狭小な断面形状を有する突起部12cが形成されている。この構成は、突起部12cにおいてより大きな電界集中を起こし、ランプの始動特性を良好にする。
図3(a)は、内部電極の一端12bを斜めにカットすることで、一端に鋭角な突起部12cを形成したものである。また図3(b)は、内部電極の一端12bを潰して平坦に圧潰し、内部電極の一端12bに平坦形状の突起部12cを形成したものである。
内部電極12の一部には、放電容器内1で電極を保持するためのアンカー部材14を設けることができる。アンカー部14は、放電容器1の内壁面に当接するリング形状の当接部14aと、内部電極12を保持する保持部14bが一体に形成された部位である。これにより、より好適に、内部電極12を放電容器1の所定位置に固定することができる。
以下、本発明の作用効果を示す実験例について説明する。
〔実験例〕
まず、図2(a)の構成を備えるエキシマランプ(実施例1)を以下の条件により作製した。
放電容器(1):全長200mm、外径φ10mm、
チップ部(2):外径φ6mm、
外部電極(11):金属素線径0.2mm、
内部電極(12):電極の外径2mm、
蛍光体(13):LaPO:Pr
封入ガス:Xe 13kPa
次に、図2(b)の構成を有する外部電極であり、それ以外は実施例1と同様の構成であるエキシマランプ(実施例2)を作製した。実施例2は、外部電極を構成する素線が、チップ部の外表面では密集して設けている。
また比較のため、チップ部の外表面に外部電極が設けられてないエキシマランプ(比較例1)を作製した。放電容器、チップ部、内部電極の構成は実施例1と同様であるが、放電容器の外壁面にのみ外部電極が設けられている。
作製した実施例1、実施例2、比較例1の各々を、1kV以上で使用可能な、高圧正弦波インバータにて入力電圧を上げていき、点灯した際の電圧を始動電圧として計測した。尚、以下の表1は測定結果を比較例1との相対値で示したものである。
Figure 2014154274
比較例1の始動電圧を100%とした場合、実施例1の始動電圧は68%に低下し、実施例2の始動電圧は65%まで低下した。つまり、エキシマランプの外部電極をチップ部にまで延設することで、ランプの始動電圧を7割以下に低減させることができ、エキシマランプの始動特性が向上した。
上記記載のとおり、本発明に係るエキシマランプは、放電容器1の端部において突起形状のチップ部2を設け、内部電極12の末端部12bがチップ部2の内壁にまで延在させ、外部電極11は放電容器だけでなくチップ部2の外表面にまで延設されている。また、内部電極12と外部電極11の離間距離を大幅に狭めることでき、チップ部2にて初期放電を発生させ、ランプの始動特性を大幅に向上させることができる。
1 放電容器
11 外部電極
12 内部電極
13 蛍光体
14 アンカー部
2 チップ部
3 封止部
31 金属箔

Claims (3)

  1. 長尺の放電容器と、その一方の端部から突出して形成されるチップ部と、その他方の端部に形成される封止部とを備え、前記放電容器の内部に配置された内部電極と前記放電容器の外部に配置された外部電極を一対の電極とし、前記放電容器内にエキシマ発光ガスが封入されたエキシマランプであって、
    前記放電容器の内壁には紫外線を発光する蛍光体が設けられており、
    前記内部電極は前記放電容器の管軸方向に沿って延びており、その一端が前記チップ部内に導入され、他端は前記封止部に埋設されており、
    前記外部電極は、前記放電容器から前記チップ部まで延設されることを特徴とするエキシマランプ。
  2. 前記外部電極は、前記チップ部の壁面に金属素線を密巻きして形成することを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
  3. 前記内部電極の一端からは、前記内部電極の断面よりも狭小な断面形状を有する突起部が形成されており、
    前記突起部は前記チップ部の内部に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のエキシマランプ。
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