JP2024044510A - エキシマランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】発光効率の低下を抑制しながらも、発光空間の外側における沿面放電の発生を抑制することのできるエキシマランプを提供する。【解決手段】管軸方向に延在する外側管と、前記外側管の内側に前記管軸方向に延在して配置された内側管とを含み、前記外側管と前記内側管とが前記管軸方向に係る端部において封止された、発光管と、前記外側管と前記内側管とに挟まれた発光空間に封入された発光ガスと、前記外側管の外壁面上の外側電極領域に配置された外側電極と、前記内側管の内壁面上の内側電極領域に配置された内側電極とを備え、前記内側電極領域は、前記管軸方向に直交する方向に関して前記外側電極領域と対向しており、前記外側電極領域の前記管軸方向に係る両端は、前記内側電極領域と前記外側電極領域とが対向する領域よりも前記管軸方向に関して外側に位置していることを特徴とする。【選択図】 図1A
Description
本発明は、エキシマランプに関する。
エキシマランプは、誘電体からなる発光管の内部空間(以下、「発光空間」と称することがある。)に発光ガスを封入した状態で、発光空間の外側に対応する発光管の管壁に配置された一対の電極に電圧を印加することによって発光する。詳細には、電圧の印加によって発光空間内で放電(誘電体バリア放電)が生じ、当該放電によって発光ガスに含まれる原子又は分子等が励起されることで発光する。このようなエキシマランプの構造の一例が、下記特許文献1に開示されている。
エキシマランプを発光させる際には、一対の電極の間に発光空間内で放電が生じる程度の電圧、典型的には1kV~10kV程度の高電圧を印加する必要がある。このような高電圧が一対の電極間に印加されると、これらの電極同士の沿面距離によっては、発光空間内ではなく、発光空間の外側において両電極間で放電(沿面放電)が生じる懸念がある。沿面放電が生じると発光空間内における印加電圧が低下し、この結果、誘電体バリア放電が十分に生じず、場合によっては全く放電が生じなくなる。つまり、発光量が大幅に低下してしまう。
本発明は、上記事情に鑑み、発光効率の低下を抑制しながらも、発光空間の外側における沿面放電の発生を抑制することのできるエキシマランプを提供することを目的とする。
本発明に係るエキシマランプは、
管軸方向に延在する外側管と、前記外側管の内側に前記管軸方向に延在して配置された内側管とを含み、前記外側管と前記内側管とが前記管軸方向に係る端部において封止された、発光管と、
前記外側管と前記内側管とに挟まれた発光空間に封入された発光ガスと、
前記外側管の外壁面上の外側電極領域に配置された外側電極と、
前記内側管の内壁面上の内側電極領域に配置された内側電極とを備え、
前記内側電極領域は、前記管軸方向に直交する方向に関して前記外側電極領域と対向しており、
前記外側電極領域の前記管軸方向に係る両端は、前記内側電極領域と前記外側電極領域とが対向する領域よりも前記管軸方向に関して外側に位置していることを特徴とする。
管軸方向に延在する外側管と、前記外側管の内側に前記管軸方向に延在して配置された内側管とを含み、前記外側管と前記内側管とが前記管軸方向に係る端部において封止された、発光管と、
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前記内側管の内壁面上の内側電極領域に配置された内側電極とを備え、
前記内側電極領域は、前記管軸方向に直交する方向に関して前記外側電極領域と対向しており、
前記外側電極領域の前記管軸方向に係る両端は、前記内側電極領域と前記外側電極領域とが対向する領域よりも前記管軸方向に関して外側に位置していることを特徴とする。
ここで、「外側電極領域」とは、外側管の外壁面に配置された外側電極の外縁で区画される領域をいう。また、「内側電極領域」とは、内側管の内壁面に配置された内側電極の外縁で区画される領域をいう。
従来のエキシマランプは、限られたランプサイズの下で発光量を高めるために、すなわち、発光効率を高めるために、発光管内部の発光空間において、放電が発生する領域(以下、便宜上、「放電発生領域」という。)が大きくなるように設計されることが典型的である。具体的には、発光管を介して一対の電極が対向するように配置されるエキシマランプにおいては、これら一対の電極が対向する領域の面積がなるべく大きくなるように、各電極が配置される。詳細な例として、エキシマランプが管軸方向に延在する長尺形状を呈している場合、一対の電極もまた、発光管の壁面において前記管軸方向に沿って延在する形状を呈する。
本発明者は、この点に関し、外側管と内側管とを含む発光管を有する、いわゆる二重管構造のエキシマランプについて検討を進めた。その結果、前述した外側電極領域と内側電極領域が大きくなりすぎると、エキシマランプの発光量が低下したり、場合によっては不点灯になることを見出した。その理由としては、上述したように外側電極領域と内側電極領域の双方の面積を大きくした結果、一対の電極間の沿面距離が短くなり、沿面放電が発生したことによるものと考えられる。
二重管構造のエキシマランプにおいて沿面放電を抑制する方法として、当該管軸方向に係る発光管の長さを大きくすることが考えられる。つまり、発光管の管軸方向に係る両端を、各電極が配置されている領域よりも大幅に外側に位置させる方法が考えられる。しかし、この場合、発光空間内において放電が発生しない領域が大きくなってしまうため、エキシマランプの効率的な発光が実現できない。
これに対し、本発明に係るエキシマランプは、外側電極領域の管軸方向に係る両端は、内側電極領域と外側電極領域とが対向する領域よりも管軸方向に関して外側に位置するように構成されている。この構成によれば、内側電極領域と外側電極領域の双方を発光空間の大きさに対して小さくする必要がない。言い換えれば、外側電極領域については発光管の管軸方向に係る長さに応じた十分な長さを採用できる。よって、本発明のエキシマランプの構成によれば、内側電極領域と外側電極領域の両者を小さくする場合と比べて、大きな放電発生領域を維持することができるため、発光効率の低下を抑制できる。さらに、内側電極領域は外側電極領域よりも小さく形成されることから、従来構造と比較して電極間の沿面距離を確保できる。つまり、上記構成によれば、発光効率の低下を抑制しながらも沿面放電を抑制することが可能となる。
ところで、上述したように、エキシマランプを発光させるに際しては、一対の電極間、より詳細には、外側電極と内側電極との間に、高電圧が印加される。この電圧印加によって、外側電極及び内側電極は加熱され、場合によっては高温状態になる。特に、電極領域が広い場合には、発光管において電極によって加熱される領域が広がり、発光管への加熱が助長される。発光管が極めて高温になると、熱応力によって変形したり、最悪の場合には破損することが懸念される。
二重管構造のエキシマランプにおいては、外側電極は外側管の管壁に配置されているため、発光管の外側の雰囲気(典型的には空気)によって冷却されやすい一方、内側電極は内側管の管壁に配置されているため、冷却されにくい。同様に、外側管は雰囲気によって比較的冷却効果を得やすい反面、内側管は冷却されにくい。つまり、内側管の方が、外側管よりも、電極の熱によって高温化しやすい傾向にあるといえる。しかしながら、本発明のエキシマランプによれば、上述したように内側電極領域が外側電極領域よりも小さく形成されるため、外側管と比較して内側管への加熱の程度が抑制され、この結果、発光管全体の温度上昇を抑制することができるという効果も奏される。
本発明は、特に小型のエキシマランプに適用することで優位性が高い。なぜなら、小型のエキシマランプの場合には、外側電極と内側電極との間の距離が小さくなりやすいため、前述した沿面放電が生じる可能性が高まるからである。小型のエキシマランプは、例えば殺菌・不活化用途や、空気清浄用途に利用される。
本発明において、エキシマランプの発光波長は限定されない。言い換えれば、発光空間に封入されている発光ガスの種類には限定されない。しかしながら、本発明は、特に発光ガスとして第17族に属する元素(ハロゲン元素)を含む場合に、高い効果が得られる。ハロゲン元素を含む発光ガスとしては、KrCl、KrBr、XeCl、XeBr等が挙げられる。なお、各発光ガスと主ピーク波長の組み合わせは、KrCl(222nm)、KrBr(207nm)、XeCl(308nm)、XeBr(283nm)である。ここでいう主ピーク波長の値は、発光空間に封入されるガスの分圧等の個体差によって生じる、±2nm程度の変動を包含する。
エキシマランプの点灯時においては、発光ガスに含まれるハロゲン元素が、発光管を構成するガラス材料と反応する現象が生じる。この反応は、特に発光管が高温となることで顕著となり、この現象によって発光ガス中のハロゲン元素が減少すると、エキシマランプの発光効率が低下するという事情がある。また、エキシマランプの発光効率が低下することから、エキシマランプから発せられる光の照度を維持するために、印加電圧を高める操作が行われた場合、前述した沿面放電が発生しやすくなるという懸念もある。
これに対し、上記構成によれば、発光管全体の温度上昇が抑制される効果が得られる。したがって、発光ガスにハロゲン元素を含む場合においても、ハロゲン元素と発光管を構成するガラス材料との反応が抑制される。
つまり、上記エキシマランプにおいて、前記発光ガスは第17族に属する1以上の元素からなるガス、及び第18族に属する1以上の元素からなるガスを含んでも構わない。
また、上記エキシマランプにおいて、前記外側管及び前記内側管の主材料は、石英ガラスであっても構わない。なお、本明細書において、「主材料」とは、対象物を構成する材料のうち、最も比率の高い材料を指す。
発光管に含まれる外側管及び内側管は、石英ガラス、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス材料で構成することができる。このうち、アルカリ金属元素や、アルカリ土類金属元素を含むガラス材料は、比較的、ハロゲン元素と反応しやすい。したがって、発光ガスに、例えば、塩素等のハロゲン元素が含まれる場合には、外側管及び内側管を石英ガラスで構成することで、発光管とハロゲン元素との反応を低減させ、この反応に起因するエキシマランプの発光効率の低下を抑制できる。
発光空間で発生した光は、典型的には、外側管を介して発光管外部に取り出される。この場合、外側電極で光を遮ることを抑制する観点から、外側電極を網形状又は線形状とするのが好適である。
なお、このように外側管を介して発光管の外部に光が取り出される場合においては、外側管を透過する際に、外側管の材料にごくわずかではあるが吸収される結果、光は減衰する。したがって、この光の減衰を軽減する観点からは、外側管の厚みを2.0mm以下とするのが好適である。一方で、発光空間に封入される発光ガスの圧力に対する耐圧性を確保する観点からは、外側管の厚みを0.5mm以上とするのが好適である。
上記エキシマランプは、
前記発光管が発する光を外部に取出し可能な態様で、前記発光管を内部に収容する筐体を含み、
点灯時において、前記内側電極は、前記外側電極よりも絶対値で高電位とされても構わない。
前記発光管が発する光を外部に取出し可能な態様で、前記発光管を内部に収容する筐体を含み、
点灯時において、前記内側電極は、前記外側電極よりも絶対値で高電位とされても構わない。
エキシマランプの外側に存在する操作者等への感電や他の物品への漏電を回避する観点から、点灯時において、内側電極が外側電極よりも高電位とされることが典型的である。ここで、前述した通り、上記エキシマランプは、管軸方向に関して、内側電極領域は外側電極領域よりも小さく形成される。このため、発光管を筐体に収容した場合において、内側電極と筐体との間における放電が抑制され、好適である。
前記筐体は、金属材料を主材料として構成されても構わない。
前記筐体は、典型的には、窓又は開口からなる光取出し領域を有する。このとき、発光管から発せられた当該光のうち、光取出し領域に向かって進行する光は直接外部に取出されるものの、光取出し領域に向かって進行しない光は、直接外部に取出せないことが想定される。これに対し、金属材料を主材料として筐体を構成することで、当該光を筐体の壁面で反射させることができる。つまり、光取出し領域に向かって進行しない光の一部を反射して、光取出し領域に向かわせることで、発光管が発する光を効率的に利用できる。
筐体を構成する金属材料としては、アルミニウム、チタン等の純金属、又はステンレス等の合金が利用できる。なお、これらの材料を単体で用いても構わないし、2種以上を組み合わせて用いても構わない。また、金属材料を、例えば樹脂と練り込んだ状態で、筐体を構成することもできる。
本発明によれば、発光効率の低下を抑制しながらも、発光空間の外側における沿面放電の発生を抑制することのできるエキシマランプを提供することが可能となる。
本発明に係るエキシマランプの実施形態について、以下、図面を参照して説明する。なお、以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
以下の説明では、各図面に併記されたX-Y-Z座標系が用いられる。例えば、方向を表現する際に正負の向きを区別する場合には、「+X方向」、「-X方向」のように、正負の符号を付して記載される。また、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「X方向」と記載される。すなわち、本明細書において、単に「X方向」と記載されている場合には、「+X方向」と「-X方向」の双方が含まれる。Y方向及びZ方向についても同様である。
図1A及び図1Bは、本実施形態に係るエキシマランプを模式的に示す断面図であり、それぞれの図面は、異なる平面で切断した断面図に対応する。具体的には、図1Aは、エキシマランプの管軸方向(X方向)に沿った平面(X-Z平面)で切断した断面図に対応し、図1Bは、前記管軸方向に直交する平面(Y-Z平面)で切断した断面図に対応する。なお、図1Aでは、エキシマランプ1内で発生した光L1の進行の態様の例についても、模式的に図示されている。
図1A及び図1Bに示すように、本実施形態に係るエキシマランプ1は、外側管11と内側管21とを含む二重管構造の発光管10を備える。典型的には、外側管11と内側管21とは同軸上に配置され、外側管11が内側管21の周囲を取り囲む。外側管11及び内側管21の双方は、X方向に係る端部位置において封止され、当該端部位置には、ベース(不図示)が配置される。外側管11と内側管21とで挟まれた空間(発光空間31)には、所定の発光ガスが、例えば10kPa~100kPaの圧力で封入される。外側管11及び内側管21は誘電体で形成され、典型的には石英ガラスで形成される。
一例として、外側管11の外径は28mm、内側管21の外径は16mmであり、両者のX方向に係る長さは130mmである。また、外側管11の厚み及び内側管21の厚みは1.0mmである。この場合、リング状を呈する発光空間31の径方向に係る長さは5.0mmとなる。
また、後述するように、光L1は、外側管11を介してエキシマランプ1の外部に取り出される。したがって、外側管11を構成する材料(典型的には石英ガラス)の吸収による、光L1の減衰を軽減する観点から、外側管11の厚みは2.0mm以下であるのが好ましい。一方で、封入された発光ガスのガス圧に対する耐性を確保する観点からは、外側管11の厚みを0.5mm以上とするのが好ましい。内側管21の厚みについても、外側管11の厚みと同様の議論が可能である。
エキシマランプ1は、外側管11の外壁面に設けられた外側電極12と、内側管21の内壁面に設けられた内側電極22とを備える。外側電極12及び内側電極22には、それぞれ電源40が電気的に接続される。
図1Aに示すように、電源40から外側電極12及び内側電極22の間に、例えば1kHz~5MHz程度の高周波の交流電圧が印加されると、発光空間31内において、光L1が発生する。光L1の波長は、発光ガスのガス種によって決定される。一例として、発光空間31にKrClを含む発光ガスが封入された場合、主ピーク波長が222nmの光L1が得られる。主ピーク波長が222nmの光L1は、例えば殺菌・不活化用途に用いることができる。ただし、本発明は、外側管11及び内側管21の材料、及び、発光空間31内に封入されている発光ガス種には限定されない。
また、図1Aに示すように、発光空間31内において発生した光L1をエキシマランプ1の外部に取り出す場合、外側電極12が光L1の進路を妨げることを防止する観点から、外側電極12は、網形状又は線形状を呈するように形成される(図1C、図1D参照)。具体的な外側電極12の形成例としては、外側管11の外壁に導電性のテープを貼り付ける方法や、外側管11の外壁に導電性ペーストをスクリーン印刷によって塗布した後、焼成する方法が採用できる。
図1Cは、図1Aに係るエキシマランプ1を、Z方向から見た際の平面図である。図1Cに示すように、外側電極12を例えば網形状で構成することで、外側電極12同士の隙間を通じて、光L1がエキシマランプ1の外側に取り出される。なお、図1Cでは、外側電極12を構成する線幅が、隣接する電極線同士の隙間の大きさに比べて、比較的大きく図示されているが、これはあくまで図示の都合によるものである。実際には、光L1の進行を遮る程度をなるべく小さくする観点から、外側電極12を構成する線幅に対して、隣接する電極線同士の隙間の寸法をなるべく大きく確保するのが好ましい。図1Dの構造を採用する場合についても、同様の議論が可能である。なお、外側電極12として線形状を呈する構造を採用する場合、図1Dでは外側電極12の延伸方向を管軸方向(X方向)に交差する方向としたが、この延伸方向は任意である。他の一例として、外側電極12を、管軸方向に沿った方向に延伸する形状としても構わないし、螺旋形状としても構わない。
一方で、内側電極22については、網形状であっても膜形状であっても構わない。ただし、特に後者の場合には、光取出し効率を高める観点から、内側電極22を光L1に対して反射性を示す材料で構成するのが好適である。なお、外側電極12及び内側電極22を構成する材料としては、例えば、アルミニウム、チタン、又はステンレス等の金属が利用できる。
エキシマランプ1を発光させる際においては、電源40によって、典型的には、入力電力が10W~100Wとされ、1kV~10kV程度の高電圧が外側電極12と内側電極22の間に印加される。したがって、エキシマランプ1の外側に存在する、操作者等への感電や他の物品への漏電を回避する観点から、典型的には、外側電極12が電源40のグラウンド側に接続され、内側電極22は、外側電極12よりも絶対値で高電位とされるのが好適である。
また、図1Aには、外側電極12が配置されている領域(外側電極領域14)と、内側電極22が配置されている領域(内側電極領域24)とが図示されている。外側電極領域14は、外側電極12の外縁によって区画され、内側電極領域24は、内側電極22の外縁によって区画される。両電極(12,22)の間に電圧が印加されることにより、発光空間31内において、外側電極領域14と内側電極領域24に挟まれた領域に放電が発生する。この領域は、後述する図2Aにおいて、「放電発生領域33」として図示されている。
ここで、本実施形態に係るエキシマランプ1では、図1Aに示すように、外側電極領域14のX方向に係る両端は、内側電極領域24よりもX方向に関して外側に位置する。つまり、内側電極領域24は、外側電極領域14よりもX方向に関して小さく形成されている。この結果、外側電極12と内側電極22との間の沿面距離が十分に確保され、両電極(12,22)の間における沿面放電の発生が抑制される。
この点について、図2A及び図2Bを参照して、より詳細に説明する。図2Aは、図1Aに示す本実施形態のエキシマランプ1の図面に、外側電極12と内側電極22との間の沿面距離(以下、単純に「沿面距離32」という。)、及び、発光空間31において、両電極(12,22)との間で放電が発生する領域(放電発生領域33)の図示を付加した図面に対応する。一方で、図2Bは、比較例として示すエキシマランプ50の図面に対応する。
エキシマランプ50においては、図1Aに示すエキシマランプ1に比べて、内側電極領域24がX方向に関して大きくなるように、内側電極22が配置されている。この場合、図2Bに示すエキシマランプ50は、図1Aに示すエキシマランプ1と比較して、放電発生領域33が大きくなるものの、沿面距離32が短くなる。すなわち、外側電極12と内側電極22とが沿面方向に関して近くなる。このため、点灯に際して外側電極12と内側電極22との間に高電圧が印加されると、発光管10の外側の空間における絶縁破壊、つまり、沿面放電が生じやすくなる。この結果、発光空間31内に封入された発光ガスに対して、発光に十分な電圧を印加できなくなり、エキシマランプ50の発光効率は低くなる。
これに対し、図1A及び図2Aに示す、本実施形態のエキシマランプ1のように、内側電極領域24が、外側電極領域14よりもX方向に関して小さく形成されることで、図2Bに示すエキシマランプ50よりも沿面距離32がより長く確保されるため、発光管10の外側の空間における沿面放電の発生が抑制される。
具体的には、沿面距離32は、例えば、印加電圧が3kV程度の場合には、8mm以上確保されることが好ましく、10mm以上確保されることがより好ましい。また、印加電圧が6kV程度の場合には、沿面距離32は、16mm以上確保されることが好ましく、20mm以上確保されることがより好ましい。さらに、印加電圧が9kV程度の場合には、沿面距離32は、24mm以上確保されることが好ましく、30mm以上確保されることがより好ましい。
また、本実施形態に係るエキシマランプ1は、比較例のエキシマランプ50に比べて、内側電極領域24が小さいことから、前述したとおり、内側管21への加熱の程度が軽減される結果、発光管10全体の温度上昇が抑制される。
[別実施形態]
図3Aに示すように、エキシマランプ1は、発光管10を収容する筐体42を含んでもよい。図3Aは、この別実施形態のエキシマランプ1の構造を模式的に示す外観斜視図である。例えば、筐体42はアルミニウム等の金属材料を主材料として構成される。
図3Aに示すように、エキシマランプ1は、発光管10を収容する筐体42を含んでもよい。図3Aは、この別実施形態のエキシマランプ1の構造を模式的に示す外観斜視図である。例えば、筐体42はアルミニウム等の金属材料を主材料として構成される。
図3Aに示すエキシマランプ1は、-Y方向に光L1を取り出すことが想定されている。このため、筐体42は、-Y側の壁面に光取出し領域41を有する。光取出し領域41は、光L1に対して透過性を示す窓部材であっても構わないし、開口であっても構わない。
また、図3Bは、図3Aに示すエキシマランプ1を、所定のX座標の位置においてY-Z平面で切断したときの模式的な断面図である。発光管10から取り出された光L1には、光取出し領域41に向かって進行しない光L1が含まれる。しかし、筐体42の主材料が金属材料とされ、筐体42の内壁面が光L1を反射することから、光L1を-Y側に効率的に取り出すことが可能となる。
ところで、この場合、筐体42は導電性を示す。しかし、上述した通り、内側電極領域24は、外側電極領域14よりもX方向に関して小さく形成される。したがって、図3Cに示すように、筐体42の-X側の内壁面を例にとると、当該内壁面と内側電極22との離間距離D1が十分確保されることにより、両者間の放電の発生が抑制される。このため、当該放電に起因する、エキシマランプ1の発光効率の低下が抑制される。図3Cは、図3Aに係るエキシマランプ1を、Y方向に見た際の概念図であり、外側電極12の図示が一部省略され、内側電極22が破線によって示されている。
また、図3A~図3Cに示すように、典型的には金属製の筐体42で発光管10の周囲を覆うことで、仮にエキシマランプ1の近くに電子機器が設置されている場合であっても、当該電子機器に対して高周波ノイズが重畳するのを抑制する効果も期待される。
1,50 : エキシマランプ
10 : 発光管
11 : 外側管
12 : 外側電極
14 : 外側電極領域
21 : 内側管
22 : 内側電極
24 : 内側電極領域
31 : 発光空間
32 : 沿面距離
33 : 放電発生領域
40 : 電源
41 : 光取出し領域
42 : 筐体
10 : 発光管
11 : 外側管
12 : 外側電極
14 : 外側電極領域
21 : 内側管
22 : 内側電極
24 : 内側電極領域
31 : 発光空間
32 : 沿面距離
33 : 放電発生領域
40 : 電源
41 : 光取出し領域
42 : 筐体
Claims (7)
- 管軸方向に延在する外側管と、前記外側管の内側に前記管軸方向に延在して配置された内側管とを含み、前記外側管と前記内側管とが前記管軸方向に係る端部において封止された、発光管と、
前記外側管と前記内側管とに挟まれた発光空間に封入された発光ガスと、
前記外側管の外壁面上の外側電極領域に配置された外側電極と、
前記内側管の内壁面上の内側電極領域に配置された内側電極とを備え、
前記内側電極領域は、前記管軸方向に直交する方向に関して前記外側電極領域と対向しており、
前記外側電極領域の前記管軸方向に係る両端は、前記内側電極領域と前記外側電極領域とが対向する領域よりも前記管軸方向に関して外側に位置していることを特徴とする、エキシマランプ。 - 前記発光管が発する光を外部に取出し可能な態様で、前記発光管を内部に収容する筐体を含み、
点灯時において、前記内側電極は、前記外側電極よりも絶対値で高電位とされることを特徴とする、請求項1に記載のエキシマランプ。 - 前記筐体は、金属材料を主材料とすることを特徴とする、請求項2に記載のエキシマランプ。
- 前記発光ガスは第17族に属する1以上の元素からなるガス、及び第18族に属する1以上の元素からなるガスを含むことを特徴とする、請求項1に記載のエキシマランプ。
- 前記外側管及び前記内側管は、石英ガラスを主材料とすることを特徴とする、請求項4に記載のエキシマランプ。
- 前記外側管の厚みが、0.5mm~2.0mmであることを特徴とする、請求項1に記載のエキシマランプ。
- 前記外側電極は網形状又は線形状を呈することを特徴とする、請求項1に記載のエキシマランプ。
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2023
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