JP2014152708A - 水力機械用ステーリング - Google Patents

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Abstract

【課題】ステーベーンの周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる水力機械用ステーリングを提供する。
【解決手段】実施の形態による水力機械用ステーリング10のステーベーン14は、ベーン本体部分16とケーシング側部分20とを有している。ケーシング側部分20は、ケーシング側本体部分21と、ケーシング側本体部分21より上流側に設けられたケーシング側上流端部22と、を有している。ケーシング側部分20に、ケーシング側部分20を貫通する貫通孔40が設けられている。貫通孔40は、水車運転時にケーシング2から流入する水の一部を取り込む入口側端部41と、入口側端部41に取り込まれた水が流出する出口側端部42と、を含んでいる。貫通孔40の出口側端部42は、ケーシング側本体部分21のケーシング側面23またはランナ側面24に配置されている。
【選択図】図3

Description

本発明の実施の形態は、水力機械用ステーリングに関する。
従来より、フランシス型水車が知られている。フランシス水車の水車運転時においては、上池から水圧鉄管を通って渦巻き状のケーシングに水が流入し、ケーシングに流入した水は、ケーシングからステーベーンおよびガイドベーンを通ってランナに流入する。このランナへ流入する水によってランナが回転駆動され、ランナに主軸を介して連結された発電電動機が駆動され、発電が行われる。ランナに流入した水は、ランナから吸出し管を通って下池へ流出する。このような水車運転時には、ガイドベーンの開度を変えることにより、ランナに流入する水量を調整し、発電量を変化させている。
一方、ポンプ運転(揚水運転)時には、ランナは、発電電動機によって回転駆動され、水車運転時とは反対方向に回転する。このことにより、下池の水が吸出し管を通ってランナに流入する。ランナに流入した水は、ランナから、ガイドベーンおよびステーベーンを通ってケーシングに流れ、ケーシングから水圧鉄管を通って上池に放出される。この際、ガイドベーンの開度が、ポンプ揚程に応じて適切な揚水量になるように変えられる。
一般に、ポンプ水車のポンプ運転は、夜間の電力消費が少ない時間帯において余剰電力を使用して行われ、下池から上池へ揚水される。水車運転は、主に昼間に行われて、発電電動機にて発電が行われる。
ところで、ケーシングの断面形状やステーベーンの取付角度は、水車運転時にケーシングからステーベーンに流入する水の流れの角度がステーベーンの入口角度に沿うように、設計されている。このことにより、ステーベーンにおける損失の低減を図っている。
しかしながら、実際の水車運転時において、ステーベーンに流入する水の流れの角度が、ステーベーンの入口角度とずれる場合がある。製造年の古い水車(例えば、20年から30年前に製造された水車)の場合には、このずれが大きくなる傾向にある。これは、製造年の古い水車を設計する際には、近年のような流れ解析技術が無く理論的に角度を算出していたが、この理論と実現象には相違があったことに起因する。
このようなことに対処するために、水車の改修時に、ステーベーンの入口端部に流入する流れの角度に沿うように形成された整流ピースを設けて、ステーベーンの入口における衝突損失の低減を図った水車が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ステーベーンを固定する上部壁と下部壁に整流体を設けて、ステーベーンの入口における衝突損失の低減を図った水車もある(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−223074号公報 特開2007−16711号公報
しかしながら、特許文献1に示す整流ピースや、特許文献2に示す整流体を設けた場合であっても、既設のステーベーンの入口角度が流れの角度に対してずれている場合には、ステーベーンの入口付近における衝突損失は低減されるものの、ステーベーンの中央付近においては流れが剥離し、損失が発生する場合がある。
また、ポンプ運転時には、上述したように、ポンプ揚程に応じてガイドベーンの開度が変えられているため、ガイドベーンからステーベーンに流入する流れの角度は、ポンプ揚程によって異なる。ステーベーンに流入する流れは、ポンプ揚水量が多い場合には、ステーベーンの外周側(ケーシング側)に流入し、ポンプ揚水量が少ない場合にはステーベーンの内周側(ランナ側)に流入する。このため、ステーベーンにおいて、流れの剥離が生じ、損失が発生し得るという問題がある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ステーベーンの周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる水力機械用ステーリングを提供することを目的とする。
実施の形態による水力機械用ステーリングは、水車運転時にケーシングから流入する水流をランナに導く。水力機械用ステーリングは、環状の上部壁と、上部壁の下方に設けられ、上部壁に対向する環状の下部壁と、上部壁と下部壁との間において周方向に配列された複数のステーベーンと、を備えている。ステーベーンは、ベーン本体部分と、ベーン本体部分よりケーシングの側に設けられたケーシング側部分と、を有している。ケーシング側部分は、ベーン本体部分の側に設けられたケーシング側本体部分と、ケーシング側本体部分より上流側に設けられたケーシング側上流端部と、を有している。ケーシング側本体部分は、ケーシングの側を向くケーシング側面と、ランナの側を向くランナ側面と、を含んでいる。ケーシング側部分に、ケーシング側部分を貫通する貫通孔が設けられている。貫通孔は、水車運転時にケーシングから流入する水の一部を取り込む入口側端部と、入口側端部に取り込まれた水が流出する出口側端部と、を含んでいる。貫通孔の出口側端部は、ケーシング側本体部分のケーシング側面またはランナ側面に配置されている。
また、実施の形態による水力機械用ステーリングは、揚水運転時にランナから流入する水流をケーシングに導く。水力機械用ステーリングは、環状の上部壁と、上部壁の下方に設けられ、上部壁に対向する環状の下部壁と、上部壁と下部壁との間において周方向に配列された複数のステーベーンと、を備えている。ステーベーンは、ベーン本体部分と、ベーン本体部分よりランナの側に設けられたランナ側部分と、を有している。ランナ側部分は、ベーン本体部分の側に設けられたランナ側本体部分と、ランナ側本体部分より上流側に設けられたランナ側上流端部と、を有している。ランナ側本体部分は、ケーシングの側を向くケーシング側面と、ランナの側を向くランナ側面と、を含んでいる。ランナ側部分に、ランナ側部分を貫通する貫通孔が設けられている。貫通孔は、揚水運転時にランナから流入する水の一部を取り込む入口側端部と、入口側端部に取り込まれた水が流出する出口側端部と、を含んでいる。貫通孔の出口側端部は、ランナ側本体部分のケーシング側面またはランナ側面に配置されている。
また、実施の形態による水力機械用ステーリングは、水車運転時にケーシングから流入する水流をランナに導く。水力機械用ステーリングは、環状の上部壁と、上部壁の下方に設けられ、上部壁に対向する環状の下部壁と、上部壁と下部壁との間において周方向に配列された複数のステーベーンと、を備えている。ステーベーンは、ベーン本体部分と、ベーン本体部分よりケーシングの側に設けられたケーシング側部分と、を有している。ケーシング側部分は、ケーシングの側を向くケーシング側面と、ランナの側を向くランナ側面と、を含んでいる。ケーシング側部分のケーシング側面またはランナ側面に、突起部が設けられている。
また、実施の形態による水力機械用ステーリングは、揚水運転時にランナから流入する水流をケーシングに導く。水力機械用ステーリングは、環状の上部壁と、上部壁の下方に設けられ、上部壁に対向する環状の下部壁と、上部壁と下部壁との間において周方向に配列された複数のステーベーンと、を備えている。ステーベーンは、ベーン本体部分と、ベーン本体部分よりランナの側に設けられたランナ側部分と、を有している。ランナ側部分は、ケーシングの側を向くケーシング側面と、ランナの側を向くランナ側面と、を含んでいる。ランナ側部分のケーシング側面またはランナ側面に、突起部が設けられている。
図1は、第1の実施の形態における水力機械の全体構成を示す図である。 図2(a)は、第1の実施の形態における水力機械用ステーリングを示す平面断面図であり、図2(b)は、図2(a)の水力機械用ステーリングを示す側面断面図である。 図3は、図2のステーベーンの作用を説明するための図である。 図4は、比較例としてのステーベーンの作用を説明するための図である。 図5(a)は、第2の実施の形態における水力機械用ステーリングを示す平面断面図であり、図5(b)は、図5(a)の水力機械用ステーリングを示す側面断面図である。 図6は、図5のステーベーンの作用を説明するための図である。 図7(a)は、第3の実施の形態における水力機械用ステーリングを示す平面断面図であり、図7(b)は、図7(a)の水力機械用ステーリングを示す側面断面図である。 図8は、図7のステーベーンの作用を説明するための図である。 図9は、比較例としてのステーベーンの作用を説明するための図である。 図10(a)は、第4の実施の形態における水力機械用ステーリングを示す平面断面図であり、図10(b)は、図10(a)の水力機械用ステーリングを示す側面断面図である。 図11は、図10のステーベーンの作用を説明するための図である。 図12(a)は、第5の実施の形態における水力機械用ステーリングを示す平面断面図であり、図12(b)は、図12(a)の水力機械用ステーリングを示す側面断面図である。 図13は、図12のステーベーンの作用を説明するための図である。 図14(a)は、第6の実施の形態における水力機械用ステーリングを示す平面断面図であり、図14(b)は、図14(a)の水力機械用ステーリングを示す側面断面図である。 図15は、図14のステーベーンの作用を説明するための図である。 図16(a)は、第7の実施の形態における水力機械用ステーリングを示す平面断面図であり、図16(b)は、図16(a)の水力機械用ステーリングを示す側面断面図である。 図17は、図16のステーベーンの作用を説明するための図である。 図18(a)は、第8の実施の形態における水力機械用ステーリングを示す平面断面図であり、図18(b)は、図18(a)の水力機械用ステーリングを示す側面断面図である。 図19は、図18のステーベーンの作用を説明するための図である。
(第1の実施の形態)
図1乃至図3を用いて、本発明の第1の実施の形態における水力機械用ステーリングについて説明する。
ここでは、まず、水力機械用ステーリングを備えたフランシス水車(水力機械)について説明する。
図1に示すように、フランシス水車1は、水車運転時に図示しない上池から水圧鉄管を通って水が流入する渦巻き状のケーシング2と、ケーシング2に対して回転軸線Xを中心に回転自在に構成され、ケーシング2から流入する水により回転駆動されるランナ5と、を備えている。このうちランナ5は、ケーシング2より内周側に配置されている。
ケーシング2とランナ5との間には、水力機械用ステーリング10が設けられている。この水力機械用ステーリング10は、後述するステーベーン15を有し、ケーシング2とランナ5との間で水流を導くようになっている。すなわち、水車運転時には、ケーシング2から流入する水をランナ5へ導くようになっている。
ステーベーン15とランナ5との間には、ガイドベーン4が設けられている。ガイドベーン4は、ステーベーン15とランナ5との間で水流を導くようになっている。なお、ガイドベーン4は、その開度を変えることにより、水車運転時にケーシング2からランナ5に流入する水量を調整し、発電量を変化させるように構成されている。
ランナ5には、主軸6を介して発電電動機7が連結されている。この発電電動機7は、水車運転時には発電を行うように構成されている。また、ランナ5の水車運転時の下流側には、吸出し管8が設けられている。この吸出し管8は、図示しない下池に連結されており、ランナ5を回転駆動させた水が下池に放出されるようになっている。
ポンプ運転時(揚水運転時)には、発電電動機7がランナ5を回転駆動することにより、吸出し管8内の水を吸い上げて揚水する。ランナ5に吸い上げられた水は、ガイドベーン4およびステーベーン15を通って、ケーシング2に流入し、ケーシング2から水圧鉄管を通って上池に放出される。ステーベーン15は、ランナ5から流入する水をケーシング2に導く。この際、ガイドベーン4の開度が、ポンプ揚程に応じて適切な揚水量になるように変えられる。
次に、本実施の形態による水力機械用ステーリング10について説明する。
図2(a)および(b)に示すように、水力機械用ステーリング10は、環状の上部壁11と、上部壁11の下方に設けられ、上部壁11に対向する環状の下部壁12と、上部壁11と下部壁12との間において周方向に配列された複数のステーベーン15と、を備えている。このうち、ステーベーン15は、ケーシング2の側からランナ5の側に延びている。より具体的には、ステーベーン15は、ケーシング2の側から周方向かつ半径方向内側に延びるように形成されており、所定の入口角度を有するように形成されている。
図2(a)に示すように、ステーベーン15は、ベーン本体部分16と、ベーン本体部分16よりケーシング2の側に設けられたケーシング側部分20と、ベーン本体部分16よりランナ5の側に設けられたランナ側部分30と、を有している。すなわち、ケーシング側部分20とランナ側部分30との間にベーン本体部分16が配置されている。本実施の形態においては、ベーン本体部分16とケーシング側部分20とランナ側部分30とは、一体に形成されており、上部壁11と下部壁12とに固定されている。
ケーシング側部分20は、ベーン本体部分16の側に設けられたケーシング側本体部分21と、ケーシング側本体部分21より水車運転時の上流側に設けられたケーシング側上流端部22と、を有している。このうち、ケーシング側本体部分21は、ケーシング2の側を向く外周面(ケーシング側面)23と、ランナ5の側を向く内周面(ランナ側面)24と、を含んでいる。
図2(a)に示すように、ケーシング側部分20には、ケーシング側部分20を貫通する貫通孔40が設けられている。貫通孔40は、水車運転時にケーシング2から流入する水の一部を取り込む入口側端部41と、入口側端部41に取り込まれた水が流出する出口側端部42と、を含んでいる。本実施の形態においては、入口側端部41はケーシング側上流端部22に配置されて、当該ケーシング側上流端部22において貫通孔40が開口している。出口側端部42はケーシング側本体部分21の外周面23に配置されて、当該外周面23において貫通孔40が開口している。このようにして、貫通孔40は、ケーシング2から流入する水の一部をケーシング側上流端部22において取り込み、取り込まれた水をケーシング側本体部分21の外周面23の近傍領域に供給するようになっている。
上述した貫通孔40は、図2(b)に示すように、ステーベーン15のケーシング側部分20に複数設けられていることが好適である。この場合、複数の貫通孔40は、上下方向に配列されていることが好ましい。なお、貫通孔40の流路断面の大きさは、貫通孔40内を水が流れることができるとともに、ステーベーン15の周囲の流れが貫通孔40によって損失を被ることがないとみなされる程度であれば、特に限定されるものではない。また、貫通孔40の流路断面の形状は、特に限定されるものではないが、貫通孔40内における流れの損失を低減するために、図2(b)に示すように、略円形であることが好適である。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
本実施の形態によるフランシス水車において水車運転を行う場合、図示しない上池から水圧鉄管を通ってケーシング2に水が流入する。ケーシング2に流入した水は、ケーシング2からステーベーン15およびガイドベーン4を通ってランナ5に流入する。このランナ5へ流入した水によって、ランナ5が回転駆動される。このことにより、ランナ5に連結された発電電動機7が駆動され、発電が行われる。ランナ5に流入した水は、ランナ5から吸出し管8を通って、図示しない下池へ放出される。
水車運転の間、ケーシング2から流入する水の一部が、貫通孔40の入口側端部41に取り込まれる。入口側端部41に取り込まれた水は、貫通孔40内を通って出口側端部42から流出(より具体的には噴出)される。このことにより、ステーベーン15の近傍領域の流れが剥離することを抑制できる。
ここで、比較例として示した図4から明らかなように、ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さい場合には、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域Aが形成され得る。なお、通常、ステーベーン15を設計する際、ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1に、ステーベーン15の入口角度φ2を合わせるようにステーベーン15は設計される。しかしながら、運転状況によっては、上述したような流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さくなる場合(または、後述するように大きくなる場合)も起こり得る。例えば、製造年の古いフランシス水車にあっては、現代に比べると解析技術に困難があったことから、比較的最近製造されたフランシス水車よりも、流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さくなる傾向にある。
これに対して本実施の形態においては、図3に示すように、ケーシング側本体部分21の外周面23に配置された貫通孔40の出口側端部42から、ケーシング2から流入した水の一部が噴出される。このことにより、図4に示すような剥離領域Aに、ケーシング2からの水流の一部を供給することができる。この場合、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域に、ランナ5へ向う水の流れを供給することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。また、本実施の形態における貫通孔40の出口側端部42は、ステーベーン15のベーン本体部分16よりケーシング2の側に、すなわち、ケーシング側本体部分21の外周面23に配置されている。このことから、当該出口側端部42を、ステーベーン15のうち上流側の部分に配置することができる。このため、図4に示すような剥離領域Aのうち上流側の領域に、ランナ5へ向う水の流れを供給することができ、ステーベーン15のケーシング2の側の面において、流れの方向に広い範囲で剥離領域Aが形成されることを抑制できる。
なお、既に設置されている水車の場合には、ステーベーン15に、本実施の形態による貫通孔40を、例えば追加加工すること等によって得ることができる。このことにより、比較的最近製造されたフランシス水車より流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さくなる傾向にある製造年の古い水車であっても、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを効果的に抑制することができる。
このように本実施の形態によれば、ステーベーン15のケーシング側本体部分21の外周面23に配置された貫通孔40の出口側端部42から、水車運転時にケーシング2から流入する水の一部を流出させることができる。このことにより、流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2より小さい場合に、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域に、ケーシング2からの水流を供給することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる。
また、本実施の形態によれば、貫通孔40の入口側端部41は、ステーベーン15のケーシング側上流端部22に配置されている。このことにより、貫通孔40に、ケーシング2から流入する水をスムースに取り込むことができる。
また、本実施の形態のように、ステーベーン15のケーシング側部分20に上下方向に複数の貫通孔40が設けられている場合、ステーベーン15の上下方向にわたって流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することをより一層抑制することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、貫通孔40の入口側端部41が、ステーベーン15のケーシング側上流端部22に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、貫通孔40の入口側端部41は、ステーベーン15のケーシング側本体部分21の内周面24に配置されていてもよい。この場合においても、水車運転時にステーベーン15の内周面24の近傍領域を流れる水の一部を取り込み、出口側端部42から流出させることができる。ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さい場合には、内周面24の近傍領域の圧力が、外周面23の近傍領域の圧力より高くなる傾向にあるため、外周面23の近傍領域に水流をスムースに供給することができる。
また、上述した本実施の形態においては、貫通孔40の出口側端部42が、ケーシング側本体部分21の外周面23に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、貫通孔40の出口側端部42は、ケーシング側本体部分21の内周面24に配置されていてもよい。このような形態は、水車運転時にケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも大きい場合に好適である。すなわち、この場合、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域が形成され得る。しかしながら、貫通孔40の出口側端部42をケーシング側本体部分21の内周面24に配置することにより、ケーシング2から流入する水の一部を、当該内周面24から流出させることができる。このことにより、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域に、ケーシング2からの水流を供給することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。なお、この場合、貫通孔40の入口側端部41は、ステーベーン15のケーシング側本体部分21の外周面23に配置されていてもよい。この場合においても、ステーベーン15の外周面23の近傍領域を流れる水の一部を取り込み、出口側端部42から流出させることができる。ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも大きい場合には、外周面23の近傍領域の圧力が、内周面24の近傍領域の圧力より高くなる傾向にあるため、内周面24の近傍領域に水流をスムースに供給することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図5および図6を用いて、本発明の第2の実施の形態における水力機械用ステーリングについて説明する。
図5および図6に示す第2の実施の形態においては、ステーベーンのケーシング側部分が、水車運転時にケーシングから流入する水の流れに沿うように形成された整流ピースであって、ベーン本体部分に取付部を介して取り付けられている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図5および図6において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図5(a)に示すように、ステーベーン15のベーン本体部分16は、上部壁11と下部壁12に固定されている。ケーシング側部分20は、ベーン本体部分16に取付部を介して取り付けられている。本実施の形態においては、取付部は、溶接部60により構成されていることが好適である。すなわち、ケーシング側部分20は、溶接部60を介してベーン本体部分16に取り付けられている。なお、取付部は、ボルト等によって構成されていてもよく、ベーン本体部分16とケーシング側部分20とを取り付ける方法は溶接に限定されることはない
本実施の形態におけるケーシング側部分20は、水車運転時にケーシング2から流入する水の流れに沿うように形成されるとともにベーン本体部分16とは別部品で構成された整流ピース25となっている。ここで、上述したように、製造年の古いフランシス水車にあっては、比較的最近製造されたフランシス水車よりも、ケーシング2からの流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さくなる傾向がある。このため、既設のステーベーンに、このような整流ピース25を溶接する場合がある。この場合、既設のステーベーンがベーン本体部分16に相当し、ベーン本体部分16とは別部品である整流ピース25がケーシング側部分20に相当する。本実施の形態は、このように既設のステーベーンに整流ピース25が溶接された場合を例として挙げている。なお、図5に示す形態では、ケーシング側部分20は、ベーン本体部分16の入口角度より小さな入口角度を有しており、これにより、ステーベーン15としての入口角度φ2を小さくするように形成されている。
本実施の形態においては、このような整流ピース25としてのケーシング側部分20に、貫通孔40が設けられている。この貫通孔40の入口側端部41がケーシング側上流端部22に配置され、出口側端部42がケーシング側本体部分21の外周面23に配置されている。図5(b)に示すように、貫通孔40は、ケーシング側部分20に複数設けられて、上下方向に配列されていることが好ましい。
このように本実施の形態によれば、ステーベーン15のベーン本体部分16に溶接部60を介して取り付けられた整流ピース25としてのケーシング側部分20に、貫通孔40が設けられている。ケーシング側部分20は、水車運転時のステーベーン15の入口角度φ2を小さくするような形状を有していることから、ケーシング2からの流れの角度φ1が小さい場合に、ケーシング2からの流れに、ステーベーン15を沿わせることができ、ステーベーン15の入口における衝突損失の低減を図ることができる。しかしながら、運転状況によっては、水の流れの角度φ1が、整流ピース25としてのケーシング側部分20を含むステーベーン15の入口角度φ2よりも小さくなる場合がある。この場合であっても、ケーシング側部分20に貫通孔40が設けられていることにより、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、貫通孔40の入口側端部41が、ステーベーン15のケーシング側上流端部22に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、貫通孔40の入口側端部41は、ステーベーン15のケーシング側本体部分21の内周面24に配置されていてもよい。この場合においても、水車運転時にステーベーン15の内周面24の近傍領域を流れる水の一部を取り込み、出口側端部42から流出させることができる。ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1が、整流ピース25としてのケーシング側部分20を含むステーベーン15の入口角度φ2よりも小さい場合には、内周面24の近傍領域の圧力が、外周面23の近傍領域の圧力より高くなる傾向にあるため、外周面23の近傍領域に水流をスムースに供給することができる。
また、上述した本実施の形態においては、貫通孔40の出口側端部42が、ケーシング側本体部分21の外周面23に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、貫通孔40の出口側端部42は、ケーシング側本体部分21の内周面24に配置されていてもよい。このような形態は、水車運転時にケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも大きい場合に好適である。すなわち、運転状況によっては、水の流れの角度φ1が、整流ピース25としてのケーシング側部分20を含むステーベーン15の入口角度φ2よりも大きくなる場合がある。この場合、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域に、ケーシング2からの水流を供給することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域が形成され得る。しかしながら、貫通孔40の出口側端部42をケーシング側本体部分21の内周面24に配置することにより、ケーシング2から流入する水の一部を、当該内周面24から流出させることができる。このことにより、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。なお、この場合、貫通孔40の入口側端部41は、ステーベーン15のケーシング側本体部分21の外周面23に配置されていてもよい。この場合においても、ステーベーン15の外周面23の近傍領域を流れる水の一部を取り込み、出口側端部42から流出させることができる。ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも大きい場合には、外周面23の近傍領域の圧力が、内周面24の近傍領域の圧力より高くなる傾向にあるため、内周面24の近傍領域に水流をスムースに供給することができる。
また、上述した本実施の形態においては、ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さい場合を想定し、整流ピース25としてのケーシング側部分20は、ベーン本体部分16の入口角度より小さな入口角度を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも大きい場合を想定し、整流ピース25としてのケーシング側部分20が、ベーン本体部分16の入口角度より大きな入口角度を有していてもよい。
(第3の実施の形態)
次に、図7および図8を用いて、本発明の第3の実施の形態における水力機械用ステーリングについて説明する。
図7および図8に示す第3の実施の形態においては、貫通孔が、ステーベーンのランナ側部分に設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7および図8において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図7(a)に示すように、ステーベーン15のランナ側部分30は、ベーン本体部分16の側に設けられたランナ側本体部分31と、ランナ側本体部分31よりポンプ運転時の上流側に設けられたランナ側上流端部32と、を有している。このうちランナ側本体部分31は、ケーシング2の側を向く外周面(ケーシング側面)33と、ランナ5の側を向く内周面(ランナ側面)34と、を含んでいる。
図7(a)に示すように、ランナ側部分30には、ランナ側部分30を貫通する貫通孔50が設けられている。貫通孔50は、ポンプ運転時(揚水運転時)にランナ5から流入する水の一部を取り込む入口側端部51と、入口側端部51に取り込まれた水が流出する出口側端部52と、を含んでいる。本実施の形態においては、入口側端部51はランナ側上流端部32に配置されて、当該ランナ側上流端部32において貫通孔50が開口している。出口側端部52はランナ側本体部分31の内周面34に配置されて、当該内周面34において貫通孔50が開口している。このようにして、貫通孔50は、ランナ5から流入する水の一部をランナ側上流端部32において取り込み、取り込んだ水をランナ側本体部分31の内周面34の近傍領域に供給するようになっている。
上述した貫通孔50は、図7(b)に示すように、ステーベーン15のランナ側部分30に複数設けられていることが好適である。この場合、複数の貫通孔50は、上下方向に配列されていることが好ましい。なお、貫通孔50の流路断面の大きさは、貫通孔50内を水が流れることができるとともに、ステーベーン15の周囲の流れが貫通孔50によって損失を被ることがないとみなされる程度であれば、特に限定されるものではない。また、貫通孔50の流路断面の形状は、特に限定されるものではないが、貫通孔50内における流れの損失を低減するために、図7(b)に示すように、略円形であることが好適である。
本実施の形態によるフランシス水車のポンプ運転を行う場合、図1に示すように、ランナ5は、発電電動機7によって回転駆動され、水車運転時とは反対方向に回転する。このことにより、図示しない下池から吸出し管8を通ってランナ5に水が流入する。ランナ5に流入した水は、ランナ5からガイドベーン4およびステーベーン15を通ってケーシング2に流れ、図示しない水圧鉄管を通って上池に放出される。
ポンプ運転の間、ランナ5から流入する水の一部が、貫通孔50の入口側端部51に取り込まれる。入口側端部51に取り込まれた水は、貫通孔50内を通って出口側端部52から流出(より具体的には噴出)される。このことにより、ステーベーン15の近傍領域の流れが剥離することを抑制できる。
ここで、比較例として示した図9から明らかなように、ランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さい場合には、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域Bが形成され得る。なお、通常、ステーベーン15を設計する際、ランナ5から流入する水の流れ角度φ3に、ステーベーン15の入口角度φ4を合わせるようにステーベーン15は設計される。しかしながら、運転状況によっては、上述したような流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さくなる場合(または、後述するように大きくなる場合)も起こり得る。例えば、製造年の古いフランシス水車にあっては、現代に比べると解析技術に困難があったことから、比較的最近製造されたフランシス水車よりも、流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さくなる傾向にある。
これに対して本実施の形態においては、図8に示すように、ランナ側本体部分31の内周面34に配置された貫通孔50の出口側端部52から、ランナ5から流入した水の一部が流出される。このことにより、図9に示すような剥離領域Bに、ランナ5からの水流の一部を供給することができる。この場合、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域に、ケーシング2へ向う水の流れを供給することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。また、本実施の形態における貫通孔50の出口側端部52は、ステーベーン15のベーン本体部分16よりランナ5の側に、すなわち、ランナ側本体部分31の内周面34に配置されていることから、当該出口側端部52を、ステーベーン15のうち上流側の部分に配置することができる。このため、図9に示すような剥離領域Bのうち上流側の領域に、ケーシング2へ向う水の流れを供給することができ、ステーベーン15のランナ5の側の面において、流れの方向に広い範囲で剥離領域Bが形成されることを抑制できる。
なお、既に設置されている水車の場合には、ステーベーン15に、本実施の形態による貫通孔50を、例えば追加加工すること等によって得ることができる。このことにより、比較的最近製造されたフランシス水車より流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さくなる傾向にある製造年の古い水車であっても、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを効果的に抑制することができる。
このように本実施の形態によれば、ステーベーン15のランナ側本体部分31の内周面34に配置された貫通孔50の出口側端部52から、ポンプ運転時にランナ5から流入する水の一部を流出させることができる。このことにより、流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4より小さい場合に、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域に、ランナ5からの水流を供給することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる。
また、本実施の形態によれば、貫通孔50の入口側端部51は、ステーベーン15のランナ側上流端部32に配置されている。このことにより、貫通孔50に、ランナ5から流入する水をスムースに取り込むことができる。
また、本実施の形態のように、ステーベーン15のランナ側部分30に上下方向に複数の貫通孔50が設けられている場合、ステーベーン15の上下方向にわたって流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することをより一層抑制することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、貫通孔50の入口側端部51が、ステーベーン15のランナ側上流端部32に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、貫通孔50の入口側端部51は、ステーベーン15のランナ側本体部分31の外周面33に配置されていてもよい。この場合においても、ポンプ運転時にステーベーン15の外周面33の近傍領域を流れる水の一部を取り込み、出口側端部52から流出させることができる。ランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さい場合には、外周面33の近傍領域の圧力が、内周面34の近傍領域の圧力より高くなる傾向にあるため、内周面34の近傍領域に水流をスムースに供給することができる。
また、上述した本実施の形態においては、貫通孔50の出口側端部52が、ランナ側本体部分31の内周面34に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、貫通孔50の出口側端部52は、ランナ側本体部分31の外周面33に配置されていてもよい。このような形態は、ポンプ運転時にランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも大きい場合に好適である。すなわち、この場合、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域が形成され得る。しかしながら、貫通孔50の出口側端部52をランナ側本体部分31の外周面33に配置することにより、ランナ5から流入する水の一部を、当該外周面33から流出させることができる。このことにより、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域に、ランナ5からの水流を供給することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。なお、この場合、貫通孔50の入口側端部51は、ステーベーン15のランナ側本体部分31の内周面34に配置されていてもよい。この場合においても、ステーベーン15の内周面34の近傍領域を流れる水の一部を取り込み、出口側端部52から流出させることができる。ランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも大きい場合には、内周面34の近傍領域の圧力が、外周面33の近傍領域の圧力より高くなる傾向にあるため、外周面33の近傍領域に水流をスムースに供給することができる。
(第4の実施の形態)
次に、図10および図11を用いて、本発明の第4の実施の形態における水力機械用ステーリングについて説明する。
図10および図11に示す第4の実施の形態においては、ステーベーンのランナ側部分が、揚水運転時にランナから流入する水の流れに沿うように形成された整流ピースであって、ベーン本体部分に取付部を介して取り付けられている点が主に異なり、他の構成は、図7および図8に示す第3の実施の形態と略同一である。なお、図10および図11において、図7および図8に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図10(a)に示すように、ステーベーン15のベーン本体部分16は、上部壁11と下部壁12に固定されている。ランナ側部分30は、ベーン本体部分16に取付部を介して取り付けられている。本実施の形態においては、取付部は、溶接部61により構成されていることが好適である。すなわち、ランナ側部分30は、溶接部61を介してベーン本体部分16に取り付けられている。なお、取付部は、ボルト等によって構成されていてもよく、ベーン本体部分16とランナ側部分30とを取り付ける方法は溶接に限定されることはない
本実施の形態におけるランナ側部分30は、ポンプ運転時にランナ5から流入する水の流れに沿うように形成されるとともにベーン本体部分16とは別部品で構成された整流ピース35となっている。ここで、上述したように、製造年の古いフランシス水車にあっては、比較的最近製造されたフランシス水車よりも、ランナ5からの流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さくなる傾向がある。このため、既設のステーベーンに、このような整流ピース35を溶接する場合がある。この場合、既設のステーベーンがベーン本体部分16に相当し、ベーン本体部分16とは別部品である整流ピース35がランナ側部分30に相当する。本実施の形態は、このように既設のステーベーンに整流ピース35が溶接された場合を例として挙げている。なお、図10に示す形態では、ランナ側部分30は、ベーン本体部分16の入口角度より小さな入口角度を有しており、これにより、ステーベーン15としての入口角度φ4を小さくするように形成されている。
本実施の形態においては、このような整流ピース35としてのランナ側部分30に、貫通孔50が設けられている。この貫通孔50の入口側端部51がランナ側上流端部32に配置され、出口側端部52がランナ側本体部分31の内周面34に配置されている。図10(b)に示すように、貫通孔50は、ランナ側部分30に複数設けられて、上下方向に配列されていることが好ましい。
このように本実施の形態によれば、ステーベーン15のベーン本体部分16に溶接部61を介して取り付けられた整流ピース35としてのランナ側部分30に、貫通孔50が設けられている。ランナ側部分30は、ポンプ運転時のステーベーン15の入口角度φ4を小さくするような形状を有していることから、ランナ5からの流れの角度φ3が小さい場合に、ランナ5からの流れに、ステーベーン15を沿わせることができ、ステーベーン15の入口における衝突損失の低減を図ることができる。しかしながら、運転状況によっては、水の流れの角度φ3が、整流ピース35としてのランナ側部分30を含むステーベーン15の入口角度φ4よりも小さくなる場合がある。この場合であっても、ランナ側部分30に貫通孔50が設けられていることにより、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、貫通孔50の入口側端部51が、ステーベーン15のランナ側上流端部32に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、貫通孔50の入口側端部51は、ステーベーン15のランナ側本体部分31の外周面33に配置されていてもよい。この場合においても、ポンプ運転時にステーベーン15の外周面33の近傍領域を流れる水の一部を取り込み、出口側端部52から流出させることができる。ランナ5から流入する水の流れの角度φ3が、整流ピース35としてのランナ側部分30を含むステーベーン15の入口角度φ4よりも小さい場合には、外周面33の近傍領域の圧力が、内周面34の近傍領域の圧力より高くなる傾向にあるため、内周面34の近傍領域に水流をスムースに供給することができる。
また、上述した本実施の形態においては、貫通孔50の出口側端部52が、ランナ側本体部分31の内周面34に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、貫通孔50の出口側端部52は、ランナ側本体部分31の外周面33に配置されていてもよい。このような形態は、ポンプ運転時にランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも大きい場合に好適である。すなわち、運転状況によっては、水の流れの角度φ3が、整流ピース35としてのランナ側部分30を含むステーベーン15の入口角度φ4よりも大きくなる場合がある。この場合、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域に、ランナ5からの水流を供給することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域が形成され得る。しかしながら、貫通孔50の出口側端部52をランナ側本体部分31の外周面33に配置することにより、ランナ5から流入する水の一部を、当該外周面33から流出させることができる。このことにより、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。なお、この場合、貫通孔50の入口側端部51は、ステーベーン15のランナ側本体部分31の内周面34に配置されていてもよい。この場合においても、ステーベーン15の内周面34の近傍領域を流れる水の一部を取り込み、出口側端部52から流出させることができる。ランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも大きい場合には、内周面34の近傍領域の圧力が、外周面33の近傍領域の圧力より高くなる傾向にあるため、外周面33の近傍領域に水流をスムースに供給することができる。
また、上述した本実施の形態においては、ランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さい場合を想定し、整流ピース35としてのランナ側部分30は、ベーン本体部分16の入口角度より小さな入口角度を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも大きい場合を想定し、整流ピース35としてのランナ側部分30が、ベーン本体部分16の入口角度より大きな入口角度を有していてもよい。
(第5の実施の形態)
次に、図12および図13を用いて、本発明の第5の実施の形態における水力機械用ステーリングについて説明する。
図12および図13に示す第5の実施の形態においては、ステーベーンのケーシング側部分のケーシング側面に、突起部が設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図12および図13において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図12(a)に示すように、ステーベーン15のケーシング側部分20において、ケーシング側本体部分21の外周面23に、突起部70が設けられている。この突起部70は、当該外周面23から半径方向外側(ケーシング2の側)に突出するように形成されている。このような突起部70が形成されることにより、水車運転時に、突起部70の下流側領域において縦渦を形成することができる。
上述した突起部70は、図12(b)に示すように、ステーベーン15のケーシング側部分20に複数設けられていることが好適である。この場合、複数の突起部70は、上下方向に配列されていることが好ましい。なお、突起部70の平面形状は、特に限定されるものではないが、縦渦を効果的に形成するために、図12(b)に示すように、水の流れの方向に沿った三角形形状とすることが好適である。また、突起部70の高さおよび平面形状の大きさは、当該突起部70の近傍領域を流れる水に縦渦を効果的に形成することができれば、特に限定されるものではない。
水車運転の間、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域において、ケーシングから2流入した水が突起部70を通過することにより、突起部70の下流側領域において縦渦が形成される。このことにより、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。また、本実施の形態における突起部70は、ステーベーン15のベーン本体部分16よりケーシング2の側に、すなわち、ケーシング側本体部分21の外周面23に配置されている。このことから、突起部70を、ステーベーン15のうち上流側の部分に配置することができる。このため、図4に示すような剥離領域Aのうち上流側の領域に、縦渦を形成することができ、ステーベーン15のケーシング2の側の面において、流れの方向に広い範囲で剥離領域Aが形成されることを抑制できる。
なお、既に設置されている水車の場合には、ステーベーン15に本実施の形態による突起部70を、例えば溶接すること等によって得ることができる。このことにより、比較的最近製造されたフランシス水車より流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さくなる傾向にある製造年の古い水車であっても、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを効果的に抑制することができる。
このように本実施の形態によれば、ステーベーン15のケーシング側部分20において、ケーシング側本体部分21の外周面23に突起部70が設けられている。このことにより、水車運転時に流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2より小さい場合に、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域において縦渦を形成することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる。
また、本実施の形態のように、ステーベーン15のケーシング側部分20に上下方向に複数の突起部70が設けられている場合、ステーベーン15の上下方向にわたって流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することをより一層抑制することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、突起部70は、ステーベーン15のケーシング側部分20において、ケーシング側本体部分21の外周面23に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、突起部70は、ケーシング側本体部分21の内周面24に設けられていてもよい。このような形態は、水車運転時にケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも大きい場合に好適である。すなわち、この場合、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域が形成され得る。しかしながら、突起部70を、ケーシング側本体部分21の内周面24に設けることにより、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。
(第6の実施の形態)
次に、図14および図15を用いて、本発明の第6の実施の形態における水力機械用ステーリングについて説明する。
図14および図15に示す第6の実施の形態においては、ステーベーンのケーシング側部分が、水車運転時にケーシングから流入する水の流れに沿うように形成された整流ピースであって、ベーン本体部分に取付部を介して取り付けられている点が主に異なり、他の構成は、図12および図13に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、図14および図15において、図12および図13に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図14(a)に示すように、ステーベーン15のベーン本体部分16は、上部壁11と下部壁12に固定されている。ケーシング側部分20は、ベーン本体部分16に取付部を介して取り付けられている。本実施の形態においては、取付部は、溶接部60により構成されていることが好適である。すなわち、ケーシング側部分20は、溶接部60を介してベーン本体部分16に取り付けられている。なお、取付部は、ボルト等によって構成されていてもよく、ベーン本体部分16とケーシング側部分20とを取り付ける方法は溶接に限定されることはない
本実施の形態におけるケーシング側部分20は、水車運転時にケーシング2から流入する水の流れに沿うように形成されるとともにベーン本体部分16とは別部品で構成された整流ピース25となっている。ここで、上述したように、製造年の古いフランシス水車にあっては、比較的最近製造されたフランシス水車よりも、ケーシング2からの流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さくなる傾向がある。このため、既設のステーベーンに、このような整流ピース25を溶接する場合がある。この場合、既設のステーベーンがベーン本体部分16に相当し、ベーン本体部分16とは別部品である整流ピース25がケーシング側部分20に相当する。本実施の形態は、このように既設のステーベーン15に整流ピース25が溶接された場合を例として挙げている。なお、図5に示す形態では、ケーシング側部分20は、ベーン本体部分16の入口角度より小さな入口角度を有しており、これにより、ステーベーン15としての入口角度φ2を小さくするように形成されている。
このような整流ピース25としてのケーシング側部分20において、ケーシング側本体部分21の外周面23に突起部70が設けられている。図14(b)に示すように、ケーシング側部分20に複数の突起部70が設けられて、上下方向に配列されていることが好ましい。
このように本実施の形態によれば、ステーベーン15のベーン本体部分16に溶接部60を介して取り付けられた整流ピース25としてのケーシング側部分20において、ケーシング側本体部分21の外周面23に突起部70が設けられている。ケーシング側部分20は、水車運転時のステーベーン15の入口角度φ2を小さくするような形状を有していることから、ケーシング2からの流れの角度φ1が、ステーベーン15の入口角度φ2より小さい場合に、ケーシング2からの流れに、ステーベーン15を沿わせることができ、ステーベーン15の入口における衝突損失の低減を図ることができる。しかしながら、運転状況によっては、水の流れの角度φ1が、整流ピース25としてのケーシング側部分20を含むステーベーン15の入口角度φ2よりも小さくなる場合がある。この場合であっても、ケーシング側本体部分21の外周面23に突起部70が設けられていることにより、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、突起部70は、ステーベーン15のケーシング側部分20において、ケーシング側本体部分21の外周面23に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、突起部70は、ケーシング側本体部分21の内周面24に設けられていてもよい。このような形態は、水車運転時にケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも大きい場合に好適である。すなわち、運転状況によっては、水の流れの角度φ1が、整流ピース25としてのケーシング側部分20を含むステーベーン15の入口角度φ2よりも大きくなる場合がある。この場合、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域が形成され得る。しかしながら、突起部70を、ケーシング側本体部分21の内周面24に設けることにより、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。
また、上述した本実施の形態においては、ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも小さい場合を想定し、整流ピース25としてのケーシング側部分20は、ベーン本体部分16の入口角度より小さな入口角度を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ケーシング2から流入する水の流れの角度φ1がステーベーン15の入口角度φ2よりも大きい場合を想定し、整流ピース25としてのケーシング側部分20が、ベーン本体部分16の入口角度より大きな入口角度を有していてもよい。
(第7の実施の形態)
次に、図16および図17を用いて、本発明の第7の実施の形態における水力機械用ステーリングについて説明する。
図16および図17に示す第7の実施の形態においては、突起部が、ステーベーンのランナ側部分のランナ側面に設けられている点が主に異なり、他の構成は、図12および図13に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、図16および図17において、図12および図13に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図16(a)に示すように、ステーベーン15のランナ側部分30は、ベーン本体部分16の側に設けられたランナ側本体部分31と、ランナ側本体部分31よりポンプ運転時の上流側に設けられたランナ側上流端部32と、を有している。このうちランナ側本体部分31は、ケーシング2の側を向く外周面(ケーシング側面)33と、ランナ5の側を向く内周面(ランナ側面)34と、を含んでいる。
図16(a)に示すように、ステーベーン15のランナ側部分30において、ランナ側本体部分31の内周面34に、突起部80が設けられている。この突起部80は、当該内周面34から半径方向内側(ランナ5の側)外方に突出するように形成されている。このような突起部80が形成されることにより、ポンプ運転時に、突起部80の下流側領域において縦渦を形成することができる。
上述した突起部80は、図16(b)に示すように、ステーベーン15のランナ側部分30に複数設けられていることが好適である。この場合、複数の突起部80は、上下方向に配列されていることが好ましい。なお、突起部80の平面形状は、特に限定されるものではないが、縦渦を効果的に形成するために、図16(b)に示すように、水の流れの方向に沿った三角形形状とすることが好適である。また、突起部80の高さおよび平面形状の大きさは、当該突起部80の近傍領域を流れる水に縦渦を効果的に形成することができれば、特に限定されるものではない。
本実施の形態によるフランシス水車のポンプ運転を行う場合、図1に示すように、ランナ5は、発電電動機7によって回転駆動され、水車運転時とは反対方向に回転する。このことにより、図示しない下池から吸出し管8を通ってランナ5に水が流入する。ランナ5に流入した水は、ランナ5からガイドベーン4およびステーベーン15を通ってケーシング2に流れ、図示しない水圧鉄管を通って上池に放出される。
ポンプ運転の間、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域において、水流が突起部80を通過することにより、縦渦が形成される。このことにより、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。また、本実施の形態における突起部80は、ステーベーン15のベーン本体部分16よりランナ5の側に、すなわち、ランナ側本体部分31の内周面34に配置されている。このことから、突起部80を、ステーベーン15のうち上流側の部分に配置することができる。このため、図9に示すような剥離領域Bのうち上流側の領域に、縦渦を形成することができ、ステーベーン15のランナ5の側の面において、流れの方向に広い範囲で剥離領域Bが形成されることを抑制できる。
なお、既に設置されている水車の場合には、ステーベーン15に本実施の形態による突起部80を、例えば溶接すること等によって得ることができる。このことにより、比較的最近製造されたフランシス水車より流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さくなる傾向にある製造年の古い水車であっても、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを効果的に抑制することができる。
このように本実施の形態によれば、ステーベーン15のランナ側部分30において、ランナ側本体部分31の内周面34に突起部80が設けられている。このことにより、ポンプ運転時に流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4より小さい場合に、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域において縦渦を形成することができ、当該面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる。
また、本実施の形態のように、ステーベーン15のランナ側部分30に上下方向に複数の突起部80が設けられている場合、ステーベーン15の上下方向にわたって流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することをより一層抑制することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、突起部80は、ステーベーン15のランナ側部分30において、ランナ側本体部分31の内周面34に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、突起部80は、ランナ側本体部分31の外周面33に設けられていてもよい。このような形態は、ポンプ運転時にランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも大きい場合に好適である。すなわち、この場合、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域が形成され得る。しかしながら、突起部80を、ランナ側本体部分31の外周面33に設けることにより、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。
(第8の実施の形態)
次に、図18および図19を用いて、本発明の第8の実施の形態における水力機械用ステーリングについて説明する。
図18および図19に示す第8の実施の形態においては、ステーベーンのランナ側部分が、揚水運転時にケーシングから流入する水の流れに沿うように形成された整流ピースであって、ベーン本体部分に取付部を介して取り付けられている点が主に異なり、他の構成は、図16および図17に示す第7の実施の形態と略同一である。なお、図18および図19において、図16および図17に示す第7の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図18(a)に示すように、ステーベーン15のベーン本体部分16は、上部壁11と下部壁12に固定されている。ランナ側部分30は、ベーン本体部分16に取付部を介して取り付けられている。本実施の形態においては、取付部は、溶接部61により構成されていることが好適である。すなわち、ランナ側部分30は、溶接部61を介してベーン本体部分16に取り付けられている。なお、取付部がボルト等によって構成されていてもよく、ベーン本体部分16とランナ側部分30とを取り付ける方法は溶接に限定されることはない
本実施の形態におけるランナ側部分30は、ポンプ運転時にランナ5から流入する水の流れに沿うように形成されるとともにベーン本体部分16とは別部品で構成された整流ピース35となっている。ここで、上述したように、製造年の古いフランシス水車にあっては、比較的最近製造されたフランシス水車よりも、ランナ5からの流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さくなる傾向がある。このため、既設のステーベーンに、このような整流ピース35を溶接する場合がある。この場合、既設のステーベーンがベーン本体部分16に相当し、ベーン本体部分16とは別部品である整流ピース35がランナ側部分30に相当する。本実施の形態は、このように既設のステーベーンに整流ピース35が溶接された場合を例として挙げている。なお、図18に示す形態では、ランナ側部分30は、ベーン本体部分16の入口角度より小さな入口角度を有しており、これにより、ステーベーン15としての入口角度φ4を小さくするように形成されている。
本実施の形態においては、このような整流ピース35としてのランナ側部分30において、ランナ側本体部分31の内周面34に突起部80が設けられている。図18(b)に示すように、突起部80は、ランナ側部分30に複数設けられて、上下方向に配列されていることが好ましい。
このように本実施の形態によれば、ステーベーン15のベーン本体部分16に溶接部61を介して取り付けられた整流ピース35としてのランナ側部分30において、ランナ側本体部分31の内周面34に突起部80が設けられている。ランナ側部分30は、ポンプ運転時のステーベーン15の入口角度φ4を小さくするような形状を有していることから、ランナ5からの流れの角度φ3が、ステーベーン15の入口角度φ4より小さい場合に、ランナ5からのランナ5からの流れに、ステーベーン15を沿わせることができ、ステーベーン15の入口における衝突損失の低減を図ることができる。しかしながら、運転状況によっては、水の流れの角度φ3が、整流ピース35としてのランナ側部分30を含むステーベーン15の入口角度φ4よりも小さくなる場合がある。この場合であっても、ランナ側本体部分31の内周面34に突起部80が設けられていることにより、ステーベーン15のランナ5の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。このため、ステーベーン15の周囲において流れが剥離することを抑制し、損失を低減することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、突起部80は、ステーベーン15のランナ側部分30において、ランナ側本体部分31の内周面34に設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、突起部80は、ランナ側本体部分31の外周面33に設けられていてもよい。このような形態は、ポンプ運転時にランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも大きい場合に好適である。すなわち、運転状況によっては、水の流れの角度φ3が、整流ピース35としてのランナ側部分30を含むステーベーン15の入口角度φ4よりも大きくなる場合がある。この場合、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離し、剥離領域が形成され得る。しかしながら、突起部80を、ランナ側本体部分31の外周面33に設けることにより、ステーベーン15のケーシング2の側の面の近傍領域における流れが剥離することを抑制できる。
また、上述した本実施の形態においては、ランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも小さい場合を想定し、整流ピース35としてのランナ側部分30は、ベーン本体部分16の入口角度より小さな入口角度を有している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、ランナ5から流入する水の流れの角度φ3がステーベーン15の入口角度φ4よりも大きい場合を想定し、整流ピース35としてのランナ側部分30が、ベーン本体部分16の入口角度より大きな入口角度を有していてもよい。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による水力機械用ステーリングは、上述した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上述した実施の形態では、本発明による水力機械用ステーリングをフランシス水車に適用した例について説明したが、このことに限られることはなく、フランシス水車以外の水車に本発明による水力機械用ステーリングを適用することもできる。
また、上述した8つの実施の形態は、少なくとも部分的に、適宜組み合わせることも可能である。例えば、第1の実施の形態または第2の実施の形態における貫通孔40と、第3の実施の形態または第4の実施の形態における貫通孔50を、同一のステーベーン15に設けてもよい。また、第5の実施の形態または第6の実施の形態における突起部70と、第7の実施の形態または第8の実施の形態における突起部80を、同一のステーベーン15に設けてもよい。
1 フランシス水車
2 ケーシング
5 ランナ
10 水力機械用ステーリング
11 上部壁
12 下部壁
15 ステーベーン
16 ベーン本体部分
20 ケーシング側部分
21 ケーシング側本体部分
22 ケーシング側上流端部
23 外周面
24 内周面
25 整流ピース
30 ランナ側部分
31 ランナ側本体部分
32 ランナ側上流端部
33 外周面
34 内周面
35 整流ピース
40、50 貫通孔
41、51 入口側端部
42、52 出口側端部
60、61 溶接部
70、80 突起部

Claims (6)

  1. 水車運転時にケーシングから流入する水流をランナに導く水力機械用ステーリングにおいて、
    環状の上部壁と、
    前記上部壁の下方に設けられ、当該上部壁に対向する環状の下部壁と、
    前記上部壁と前記下部壁との間において周方向に配列された複数のステーベーンと、を備え、
    前記ステーベーンは、ベーン本体部分と、前記ベーン本体部分より前記ケーシングの側に設けられたケーシング側部分と、を有し、
    前記ケーシング側部分は、前記ベーン本体部分の側に設けられたケーシング側本体部分と、前記ケーシング側本体部分より上流側に設けられたケーシング側上流端部と、を有し、
    前記ケーシング側本体部分は、前記ケーシングの側を向くケーシング側面と、前記ランナの側を向くランナ側面と、を含み、
    前記ケーシング側部分に、当該ケーシング側部分を貫通する貫通孔が設けられ、
    前記貫通孔は、前記ケーシングから流入する水の一部を取り込む入口側端部と、前記入口側端部に取り込まれた水が流出する出口側端部と、を含み、
    前記貫通孔の前記出口側端部は、前記ケーシング側本体部分の前記ケーシング側面または前記ランナ側面に配置されていることを特徴とする水力機械用ステーリング。
  2. 前記貫通孔の前記入口側端部は、前記ケーシング側本体部分の前記ケーシング側面および前記ランナ側面の一方に配置され、当該貫通孔の前記出口側端部は、当該ケーシング側本体部分の当該ケーシング側面および当該ランナ側面の他方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の水力機械用ステーリング。
  3. 揚水運転時にランナから流入する水流をケーシングに導く水力機械用ステーリングにおいて、
    環状の上部壁と、
    前記上部壁の下方に設けられ、当該上部壁に対向する環状の下部壁と、
    前記上部壁と前記下部壁との間において周方向に配列された複数のステーベーンと、を備え、
    前記ステーベーンは、ベーン本体部分と、前記ベーン本体部分より前記ランナの側に設けられたランナ側部分と、を有し、
    前記ランナ側部分は、前記ベーン本体部分の側に設けられたランナ側本体部分と、前記ランナ側本体部分より上流側に設けられたランナ側上流端部と、を有し、
    前記ランナ側本体部分は、前記ケーシングの側を向くケーシング側面と、前記ランナの側を向くランナ側面と、を含み、
    前記ランナ側部分に、当該ランナ側部分を貫通する貫通孔が設けられ、
    前記貫通孔は、揚水運転時に前記ランナから流入する水の一部を取り込む入口側端部と、前記入口側端部に取り込まれた水が流出する出口側端部と、を含み、
    前記貫通孔の前記出口側端部は、前記ランナ側本体部分の前記ケーシング側面または前記ランナ側面に配置されていることを特徴とする水力機械用ステーリング。
  4. 前記貫通孔の前記入口側端部は、前記ランナ側本体部分の前記ケーシング側面および前記ランナ側面の一方に配置され、当該貫通孔の前記出口側端部は、当該ランナ側本体部分の当該ケーシング側面および当該ランナ側面の他方に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の水力機械用ステーリング。
  5. 水車運転時にケーシングから流入する水流をランナに導く水力機械用ステーリングにおいて、
    環状の上部壁と、
    前記上部壁の下方に設けられ、当該上部壁に対向する環状の下部壁と、
    前記上部壁と前記下部壁との間において周方向に配列された複数のステーベーンと、を備え、
    前記ステーベーンは、ベーン本体部分と、前記ベーン本体部分より前記ケーシングの側に設けられたケーシング側部分と、を有し、
    前記ケーシング側部分は、前記ケーシングの側を向くケーシング側面と、前記ランナの側を向くランナ側面と、を含み、
    前記ケーシング側部分の前記ケーシング側面または前記ランナ側面に、突起部が設けられていることを特徴とする水力機械用ステーリング。
  6. 揚水運転時にランナから流入する水流をケーシングに導く水力機械用ステーリングにおいて、
    環状の上部壁と、
    前記上部壁の下方に設けられ、当該上部壁に対向する環状の下部壁と、
    前記上部壁と前記下部壁との間において周方向に配列された複数のステーベーンと、を備え、
    前記ステーベーンは、ベーン本体部分と、前記ベーン本体部分より前記ランナの側に設けられたランナ側部分と、を有し、
    前記ランナ側部分は、前記ケーシングの側を向くケーシング側面と、前記ランナの側を向くランナ側面と、を含み、
    前記ランナ側部分の前記ケーシング側面または前記ランナ側面に、突起部が設けられていることを特徴とする水力機械用ステーリング。
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