JP2014152594A - トンネル施工方法 - Google Patents

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則夫 金田
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【課題】トンネルの切羽の前方の地山を掘削するのに適した含水状態の地山とでき、トンネルの切羽の崩落を防止できるとともにトンネルの切羽の乾燥流砂の発生を防止できるトンネル施工方法を提供する。
【解決手段】本トンネル1を掘削する前に本トンネル1の切羽4の前方の地山5に水抜きを目的とした推進トンネル2を形成して当該推進トンネル2の切羽6を本トンネル1の切羽4よりも一定距離Hだけ前方に位置させながら、本トンネル1の掘進作業と推進トンネル2の掘進作業とを同時に行う。また、一定距離Hは、2m〜5mの範囲内とした。さらに、推進トンネル2の外殻を構成する管3として、推進中は非排水構造状態で密閉型推進工法を実現でき、推進終了後に排水構造状態にできる二重管を用いた。
【選択図】図1

Description

本発明は、切羽前方に管を設置して切羽前方の地山の水を抜きながらトンネルを施工する方法に関する。
トンネル施工において、推進工法によって地山の水抜き用の管を設置することが知られている(特許文献1等参照)。
特開2002−295180号公報
上述したトンネル施工方法では、地山の水を十分に抜くことができずにトンネルの切羽を崩落させる可能性があったり、逆に、地山の水が過剰に水抜きされてトンネルの切羽の乾燥流砂の発生を招く可能性があった。
本発明は、トンネルの切羽の前方の地山を掘削するのに適した含水状態の地山とでき、トンネルの切羽の崩落を防止できるとともにトンネルの切羽の乾燥流砂の発生を防止できるトンネル施工方法を提供する。
本発明に係るトンネル施工方法によれば、本トンネルを掘削する前に本トンネルの切羽の前方の地山に水抜きを目的とした推進トンネルを形成して当該推進トンネルの切羽を本トンネルの切羽よりも一定距離だけ前方に位置させながら、本トンネルの掘進作業と推進トンネルの掘進作業とを同時に行うようにした。換言すれば、地山の地質に応じて上記一定距離を決めて当該一定距離に維持しながら本トンネルの掘進作業と推進トンネルの掘進作業とを同時に行うようにしたことで、本トンネルの切羽の前方の地山を掘削するのに適した含水状態の地山とでき、本トンネルの切羽の崩落を防止できるとともに本トンネルの切羽の乾燥流砂の発生を防止できる。即ち、本トンネルの切羽から前方の一定距離の範囲内の地山部分は、掘削前に、地下水位が適度に低下し、かつ、過剰な地下水位低下が防止されて適度な含水状態の地山となり、本トンネルの切羽の崩落を防止できるとともに本トンネルの切羽の乾燥流砂の発生を防止できる。
上記一定距離を、2m〜5mの範囲内としたので、本トンネルの切羽から前方の2m〜5mの範囲内の地山部分は、掘削前に、地下水位が適度に低下し、かつ、過剰な地下水位低下が防止されて適度な含水状態の地山となり、本トンネルの切羽の崩落を防止できるとともに本トンネルの切羽の乾燥流砂の発生を防止できる。
また、推進トンネルの外殻を構成する管として、管の内外に貫通する貫通孔が複数形成された断面円形の外管と断面円形の内管とを備え、内管の外周面と外管の内周面とが接触した状態で内管のみを内管の中心軸線を回転中心として回転させることが可能なように内管の外径寸法と外管の内径寸法とが設定され、内管を内管の中心軸線を回転中心として回転させることで、内管の各貫通孔の中心と外管の各貫通孔の中心とが一致して内管の貫通孔と外管の貫通孔とが連通する排水構造状態と、内管の各貫通孔の管の外周面側開口が外管の内周面で塞がれかつ外管の各貫通孔の管の内周面側開口が内管の外周面で塞がれた非排水構造状態とに設定可能で、かつ、内管及び外管のうちの少なくとも一方の管の各貫通孔内に土砂を通さずに水を通すフィルターが設置された構成を備え、推進中は非排水構造状態で密閉型推進工法を実現でき、推進終了後に排水構造状態にできる二重管を用いたので、推進工法によって管を地山に確実に設置できるとともに、地山の水抜きを確実に行える管を得ることができる。
トンネル施工方法の工程を示す図。 本トンネルの断面図。 管を示す斜視図であって、(a)は推進中における非排水構造状態を示し、(b)は水抜き時における排水構造状態を示す。 管を構成する内管(外管)の断面図。
図1に示すように、例えば小土被りや断層破砕帯等の地山において山岳トンネル工法等によって道路トンネル等の本トンネル1を施工する場合に、本トンネル1の切羽4の前方の地山5に推進工法を利用して水抜きを目的とした推進トンネル2を先行させ、推進トンネル2に設置された水抜き用の管3を介して施工中の本トンネル1の切羽4の前方の地山5の地下水位を下げてから、施工中の本トンネル1の掘進作業と推進トンネル2の掘進作業とを並行して行う。
例えば、本トンネル1を施工する前に、本トンネル1の下方となる地山5に推進トンネル2を形成して、当該推進トンネル2の切羽6を本トンネル1の切羽4よりも前方に先行させ、その後、本トンネル1の掘進作業と推進トンネル2の掘進作業とを同時に進行させる。
そして、推進トンネル2の切羽6を、その上方に掘進する本トンネル1の切羽4の先端から当該切羽4の前方の地山5に向けて一定距離Hだけ前方に位置させた後、本トンネル1の掘進作業と推進トンネル2の掘進作業とを同時に行って、本トンネル1の切羽4と推進トンネル2の切羽6との距離を一定距離Hに維持する。
上記一定距離Hは、例えば2m〜5mの範囲内とする。通常、小土被りや断層破砕帯等の地山に山岳トンネルを掘削施工する場合、本トンネル1の切羽4の先端から当該切羽4の前方の地山5に向けて2m〜5m前方までの地山範囲は、本トンネル1を形成するために地山5を掘削する場合の1日〜2日の掘削作業量に相当する。
従って、本トンネル1の切羽4と推進トンネル2の切羽6との間の距離を2m〜5mに維持しながら、本トンネル1を形成するための掘進作業と推進トンネル2を形成するための掘進作業とを同時に行うようにすれば、本トンネル1のトンネル空洞部の切羽4から前方の2m〜5mの範囲内の地山部分5Aは、1日〜2日の間放置された後に掘削されることになり、1日〜2日の間放置された本トンネル1の切羽4から前方の2m〜5mの範囲内の地山部分5Aの水は、当該地山部分5Aに推進トンネル2によって設置された管3によって水抜きされる。
よって、本トンネル1の切羽4から前方の2m〜5mの範囲内の地山部分5Aは、掘削前の1日〜2日の間に、管3によって水抜きされて地下水位が適度に低下し、かつ、過剰な地下水位低下が防止されて適度な含水状態の地山5となるので、施工中の本トンネル1の切羽4の崩落を防止できるとともに、本トンネル1の切羽4の乾燥流砂現象を防止できるようになる。
推進工法により管3を地山5に設置するための管設置装置10は、掘削時の切羽安定機能と土砂搬出機能とを備えた密閉型推進工法を実現する装置であって、図1に示すように、管3と、管3の先頭側に設けられた掘削手段11と、管3の後端側に設けられて管3を前方に押圧する推進手段12とを備える。
図3に示すように、推進工法によって地山に設置される管3は、推進中は非排水構造状態(図3(a)参照)を維持できることで密閉型推進工法を実現できて地山の崩落を防止でき、かつ、推進終了後においては排水構造状態(図3(b)参照)にできて地山の水抜きを行えるように構成された二重管構造の管である。
当該管3は、断面円形の外管31と断面円形の内管32とを備え、外管31の中心軸線と外管の内側に設けられた内管32の中心軸線とがほぼ一致する状態、即ち、外管31と内管32とが同軸状に配置された構成の二重管である。例えば、内管32の外周面と外管31の内周面とが接触した状態で内管32のみを内管32の中心軸線を回転中心として回転させることが可能なように内管32の外径寸法と外管31の内径寸法とが設定された構成である。各管31;32の管壁には、管の内外に貫通する貫通孔35が複数形成されている。複数の貫通孔35は、例えば、管の中心軸線と平行な複数の線上に貫通孔35の中心が位置するように設けられるとともに、管の中心軸線と直交する複数の円の円周上に貫通孔35の中心が位置するように設けられる。
当該管3は、内管32を内管32の中心軸線を回転中心として回転させることで、内管32の各貫通孔35の中心と外管31の各貫通孔35の中心とが一致して内管32の貫通孔35と外管31の貫通孔35とが連通する排水構造状態(図3(b)参照)と、内管32の各貫通孔35;35…の管の外周面側開口が外管31の内周面で塞がれかつ外管31の各貫通孔35;35…の管の内周面側開口が内管32の外周面で塞がれた非排水構造状態(図3(a)参照)とに設定可能である。
図3;図4に示すように、内管32及び外管31のうちの少なくとも一方の管の各貫通孔35内には、土砂を通さずに水だけを通すドレーン材等のフィルター36が設置されている。即ち、内管32及び外管31のうちの少なくとも一方の管は、貫通孔35内に、土砂を通さずに水だけを通すフィルター36が設けられた透水管に構成される。
尚、外管31の貫通孔35内にフィルター36を設けた場合、管3を地山5に設置する際に地山5と外管31のフィルター36とが接触しやすいので、内管32又は外管31の一方の管のみをフィルター36を備えた透水管とする場合には、内管32を透水管とすることが好ましい。
掘削手段11は、例えば、管3の先頭側に設けられて管の中心軸線を回転中心として回転するカッタヘッドやオーガー等である。
推進手段12は、例えば、管3の後部を押す押圧機械としてのジャッキ13と、管3の後部を押す際にジャッキに加わる反力を受ける反力受けとなる支圧体14とを備えた構成である。
以下、トンネル施工方法の手順の一例を図1を参照して説明する。
上述した管設置装置10を用いて、本トンネル1のトンネル空洞部を形成するために掘削する地山5の例えば下方に、推進工法によって管3が設置された推進トンネル2を施工し、推進トンネル2の切羽6を、当該推進トンネル2の上方に掘進する本トンネル1の切羽4の先端から2m〜5mとする(図1(a)参照)。
次に、本トンネル1の掘進作業と推進トンネル2の掘進作業と同時に行い、本トンネル1の切羽4と推進トンネル2の切羽6との間の一定距離Hを2m〜5mの範囲内に維持する(図1(c)参照)。これにより、本トンネル1を形成するために掘削される切羽4の前方の地山部分5Aの水が掘削前に管3を介して水抜きされるので、掘削される切羽4の前方の地山部分5Aは、地下水位が適度に低下するとともに過剰な地下水位低下が防止されて適度な含水状態の地山5となることから、施工中の本トンネル1の切羽4の崩落を防止できるとともに、切羽4の乾燥流砂現象を防止できる。
尚、推進トンネル2の掘進作業は、管3の後端部にジャッキ13を設置するとともにジャッキ13の後方に支圧体14を設置し、ジャッキ13を伸長させて管3を推進させるとともに掘削手段11で地山5を掘削しながら管3を推進させればよい。管3の1回の推進作業が終了する後に、ジャッキ13を前方に移設するとともに支圧体14を設置し、かつ、管3を推進させる分だけジャッキ13の前方部分の地山5を掘削した後(図1(b)参照)、上記動作を繰り返すことにより、1本の管を前進させていくので、推進トンネル2の後方に管3が残置されない。打設されたインバートコンクリート7によって支圧体14を構成すれば、支圧体14の増設設置作業を簡略化できる。
尚、ジャッキ13の伸長ストロークが不足する場合には、ジャッキ13のピストンヘッド15と管3の後端16との間に図外の管(ダミー管)を介在させればよい。例えば、伸長ストロークが3mのジャッキ13を用いて管3を5m推進させたい場合には、管を3m推進させた後に縮退させたピストンヘッド15と管3の後端16との間に2m以上の長さの管(ダミー管)を介在させてピストンを伸長させることで管3を推進させればよい。
また、本トンネル1の掘進作業は、図外の掘削機械を操作して行えばよい。
尚、図2において、7は本トンネル1のインバートコンクリート、8は本トンネル1の覆工コンクリート、9は本トンネル1の支保工である。
実施形態によれば、管3を推進させて設置する推進トンネル2の切羽6を、推進トンネル2の上方に掘進する施工中の本トンネル1の切羽4の先端から2m〜5mの所に位置させ、施工中の本トンネル1の掘進を1日〜2日のトンネル掘削作業量に相当する2m〜5m進行させることで、この1日〜2日のトンネル掘削作業で掘削される地山部分5Aの地下水位が当該1日〜2日の期間内に適度に低下し、当該地山部分5Aが乾燥する前に掘削されるようにしたので、当該地山部分5Aを掘削するのに適した含水状態の地山とでき、本トンネル1の切羽4の崩落を防止できるとともに本トンネル1の切羽4の乾燥流砂の発生を防止できる。
また、実施形態では、管3の推進中は管3を非排水構造状体として密閉型推進工法で推進するので、例えば、推進中に断層破砕帯が存在した場合でも管3内に水が流れ込むようなことを防止できて、推進工法によって管3を地山5に確実に設置できるとともに、推進終了後に管3を排水構造状態とすることで地山5の水抜きを確実に行える。
また、推進工法で管3を設置するので、管3の径を大きくできて(例えば1m以上にでき)、管3の集水能力を高くできるので、十分な水抜き効果が得られる。また、1本の管3を推進させていくだけであるので、施工コストを安価にできる。即ち、集水能力が高く、施工コストを安価にできるトンネル施工における水抜き方法を実現できる。
尚、一定距離Hを地山5の地質に応じて決め、当該一定距離Hを維持しながら本トンネル1の掘進作業と推進トンネル2の掘進作業とを同時に行うようにすれば、本トンネル1の切羽4の前方の地山5を掘削するのに適した含水状態の地山5とでき、本トンネル1の切羽4の崩落を防止できるとともに本トンネル1の切羽4の乾燥流砂の発生を防止できるようになる。
1 本トンネル、2 推進トンネル、3 管、4 本トンネルの切羽、5 地山、
5A 地山部分、6 推進トンネルの切羽、31 外管、32 内管、35 貫通孔、
36 フィルター、H 一定距離。

Claims (3)

  1. 本トンネルを掘削する前に本トンネルの切羽の前方の地山に水抜きを目的とした推進トンネルを形成して当該推進トンネルの切羽を本トンネルの切羽よりも一定距離だけ前方に位置させながら、本トンネルの掘進作業と推進トンネルの掘進作業とを同時に行うことを特徴とするトンネル施工方法。
  2. 一定距離は、2m〜5mの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のトンネル施工方法。
  3. 推進トンネルの外殻を構成する管として、管の内外に貫通する貫通孔が複数形成された断面円形の外管と断面円形の内管とを備え、内管の外周面と外管の内周面とが接触した状態で内管のみを内管の中心軸線を回転中心として回転させることが可能なように内管の外径寸法と外管の内径寸法とが設定され、内管を内管の中心軸線を回転中心として回転させることで、内管の各貫通孔の中心と外管の各貫通孔の中心とが一致して内管の貫通孔と外管の貫通孔とが連通する排水構造状態と、内管の各貫通孔の管の外周面側開口が外管の内周面で塞がれかつ外管の各貫通孔の管の内周面側開口が内管の外周面で塞がれた非排水構造状態とに設定可能で、かつ、内管及び外管のうちの少なくとも一方の管の各貫通孔内に土砂を通さずに水を通すフィルターが設置された構成を備え、推進中は非排水構造状態で密閉型推進工法を実現でき、推進終了後に排水構造状態にできる二重管を用いたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトンネル施工方法。
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