JP2014150731A - メナキノン−7含有食品および微生物によるメナキノン−7の製造法 - Google Patents
メナキノン−7含有食品および微生物によるメナキノン−7の製造法 Download PDFInfo
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Abstract
本発明の目的は、メナキノン−7の製造において従来の技術である中温域での培養では雑菌が増殖してしまうことが懸念されるのに対し、高温域で増殖可能な細菌を用いることで他の細菌の増殖を抑制し、安定的に製造することである。
【解決手段】
高温菌の一種であるアノキシバチルス属微生物が高いメナキノン−7の発現率を有することを見出し、本菌を培養することで課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【選択図】なし
Description
(1)アノキシバチルス属に分類される微生物を培養し、培養物中にメナキノン−7を生成させて得られる培養物を含むか、又は、該培養物から精製したメナキノン−7を含むことを特徴とする食品、
(2)骨粗鬆症の予防用又は治療用である、前記(1)記載の食品、
(3)窒素源を少なくとも含む原料を用いてアノキシバチルス属に分類される微生物を培養し、培養物中にメナキノン−7を生成させることを特徴とするメナキノン−7の製造法、
(4)前記アノキシバチルス属に分類される微生物が、メナキノン−7を24時間以内に培養液100mlあたり10μg以上生産する微生物である、前記(3)記載の製造法、
(5)培養を50℃以上の温度で行う、前記(3)又は(4)に記載のメナキノン−7の製造法、
(6)培養物からさらにメナキノン−7を精製する、前記(3)〜(5)の何れか1項に記載のメナキノン−7の製造法、
である。
本発明において、微生物を培養するための原料は、通常微生物の培養に必要な窒素源や炭素源を含むものであれば特に限定されない。窒素源としてはタンパク質やタンパク質加水分解物、アミノ酸、アンモニア、硫酸アンモニウムや塩化アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩、尿素等を含有させることができる。タンパク質としては動物性、植物性の何れを問わず使用することができ、例えば市販の乳タンパク質、小麦タンパク質、大豆タンパク質、コラーゲンや、これらの加水分解物などを用いることができる。また、これらのタンパク質を含む乳原料や小麦、大豆などの天然原料を用いることもできる。なお培地成分として一般に使用されるコーンスティープリカー、ポリペプトン、ペプトン、酵母エキス、小麦ふすま等も使用することができる。
本発明では、培養原料として窒素源の他に炭素源、無機塩、ビタミン類も適宜含めることができる。炭素源としては、グルコース、シュークロース等の糖類、有機酸、n−パラフィン等を使用することができる。無機塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、鉄塩、マンガン塩、リン酸塩、重炭酸塩等を使用することができる。
本発明のメナキノン−7の製造において培養に使用する微生物としてはアノキシバチルス属微生物を用いることが重要である。かかる属に分類される微生物は高温下でも増殖が可能であり、かつメナキノン−7を産生する能力を有することを本発明者らは見出したものである。アノキシバチルス属の中でもメナキノン−7産生能力の高い菌種を選択することが望ましい。当業者は適宜産生能の高い菌種、さらには菌株を培養試験によりスクリーニングして用いることができる。
特に、メナキノン−7を24時間以内に培養液100mlあたり10μg以上生産するものを選択して使用することが好ましい。そのスクリーニング方法としては、例えば試験菌株を10cfu/mlになるようにトリプチケース・ソイブロス液体培地(ベクトン・ディッキントン社製)に接種し、55℃で24時間培養したときの培養液100ml中のメナキノン−7の含量を測定する方法で行うことができる。そのような好ましい菌種としては例えばアノキシバチルス・フラビサームス、アノキシバチルス・コンタミナンスを使用できる。
したがって、アノキシバチルス属微生物は、50℃以上の高温環境下で培養することが雑菌の増殖を抑制しつつメナキノン−7を製造するのに適している。より好ましくは55℃以上の高温域で培養することが好ましい。また培養温度の上限は微生物が死滅しない常識的な範囲とすればよく、通常は80℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下で培養することで効率良く増殖させることができる。また、増殖に必要な倍化時間が15分〜30分程度と非常に短いため(参考文献1:The formation of thermophilic spores during the manufacture of whole milk powder : SCOTT et al., Int. J. Dairy Tech., 60 (2), p109-117 (2007))、本菌のみを効率良く純化培養させるのに適している。
培養は好気的条件、微好気的条件、嫌気的条件など目的の微生物が増殖する条件で行うことが好ましい。培養時のpHは6〜9が好適である。
培養方法は特に限定されず、一般的に知られている液体培養や平板培養などの公知の方法を用いると良いが、トリプチケース・ソイブロス液体培地(ベクトン・ディッキントン社製)等の大豆由来成分を含むものが使用できる。
培養工程において用いられるアノキシバチラス属細菌は予備培養しておくこともできる。予備培養後は菌液をそのまま加えるか、菌体を遠心分離やフィルターを用いて回収し工程中に加えることができる。
培養工程における初期菌数は、10の1乗〜10の6乗cfu/ml、好ましくは10の3乗〜10の5乗cfu/mlあればより効率的に発酵させることができる。
前記条件下で例えば4〜24時間、好ましくは4〜12時間程度培養するとメナキノン−7が培養物中に生成されるので、生成量が最大になった時点、例えばアノキシバチラス属細菌が10の6乗〜10の8乗cfu/ml程度まで十分増殖した時点で培養を停止すればよい。
参考文献2: Production of Menaquinone (Vitamin K2)-7 by Bacillus subtilis (2001) J.B.B., 91(1) 16-20
アノキシバチルス・フラビサーマス(NBRC 15317)、アノキシバチラス・コンタミナンス(DSM 15866)の2種をそれぞれ10cfu/mlになるようにトリプチケース・ソイブロス液体培地(ベクトン・ディッキントン社製)に接種し、55℃で培養して定常期(10の8乗cfu/ml)まで十分増殖させた後、産生されたメナキノン−7の含量を測定した。両者のメナキノン−7産生量は30μg/100mlおよび25μg/100mlであった。
アノキシバチルス・フラビサーマス(NBRC 15317)を10cfu/mlになるようにトリプチケース・ソイブロス液体培地(ベクトン・ディッキントン社製)に接種し、55℃で6.5時間培養した(最終菌数:10の7乗cfu/ml)。アノキシバチルス・フラビサーマスは短時間でメナキノン−7を蓄積し、その含量は13μg/100mlであった。
バチルス・ズブチリス(NBRC 3013)を10cfu/mlになるようにトリプチケース・ソイブロス液体培地(ベクトン・ディッキントン社製)に接種し、40℃で6.5時間培養した(最終菌数:10の5乗cfu/ml)。蓄積されたメナキノン−7含量は3μg/100mlと低いレベルであった。
標準菌株アノキシバチルス・フラビサーマス(NBRC 15317)をトリプチケース・ソイブロス液体培地(ベクトン・ディッキントン社製)を用いて55℃で前培養した。次に培養原料として、市販の粉末状大豆タンパク「フジプロR」(不二製油(株)製)100gを水900mlに分散させた。得られた大豆タンパク質溶液に前培養液を10の3乗cfu/mlの濃度になるよう接種した。55℃で8時間培養した後(最終菌数:10の8乗cfu/ml)、加熱殺菌して培養物を得た。得られた培養物のメナキノン−7含量は固形分100gあたり300μgであった。
Claims (6)
- アノキシバチルス属に分類される微生物を培養し、培養物中にメナキノン−7を生成させて得られる培養物を含むか、又は、該培養物から精製したメナキノン−7を含むことを特徴とする食品。
- 骨粗鬆症の予防用又は治療用である、請求項1記載の食品。
- 窒素源を少なくとも含む原料を用いてアノキシバチルス属に分類される微生物を培養し、培養物中にメナキノン−7を生成させることを特徴とするメナキノン−7の製造法。
- 前記アノキシバチルス属に分類される微生物が、メナキノン−7を24時間以内に培養液100mlあたり10μg以上生産する微生物である、請求項3記載の製造法。
- 培養を50℃以上の温度で行う、請求項3又は4に記載のメナキノン−7の製造法。
- 培養物からさらにメナキノン−7を精製する、請求項3〜5の何れか1項記載のメナキノン−7の製造法。
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