JP2014148952A - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制御装置4は、噴射時の減圧量ΔPから実噴射量Qを求めて、複数の実噴射量Qと目標噴射量Qtrgの「バラツキ量の比」の傾きによる個体差指標%Qを求め、この個体差指標%Qを学習値としてインジェクタ3の個体差補正を行う。「バラツキ量の比」の傾きによる個体差指標%Qを用いることで、ショット間バラツキを除去してインジェクタ3の個体差補正を実施できる。ある圧力条件下で得た個体差指針%Qは、目標噴射量Qtrgやコモンレール1の目標圧力が異なっても普遍的に同一の値として使用することができるため、製造工場等において最小1回の学習により個体差指針%Qが得られれば、全運転領域においてインジェクタ3の機差補正を実施できる。
【選択図】 図1
Description
そのような場合には、インジェクタの個体差精度をさらに高める必要があり、部品規格を厳しくしたり、組み直しを実施することで対応しているが、コストアップの要因になってしまう。
しかし、インジェクタは、個体差だけでなく、噴射毎にバラツキ(以下、ショット間バラツキと称す)がある。このため、「レール圧変化に基づく検出量」が安定せず、個体差補正を実用化するのが困難になっている。
しかし、QRコード(登録商標)による個体差補正を実施できず、インジェクタの噴射時の「レール圧変化」で個体差補正を行う場合は、エンジンの組付ライン上で実際にエンジンを始動させて学習補正を行う必要があり、アイドリング程度のエンジン負荷の低い条件(コモンレールの目標圧力の低い条件)でしか工場学習を実施できない。
このため、アイドリング等のエンジン負荷の低い運転領域とは異なる他の運転領域においてインジェクタの機差補正ができない。即ち、例えば、エンジン負荷が大きい特性領域では、インジェクタの個体差補正を実施できず、エンジン性能を十分に発揮できなくなる懸念がある。
「バラツキ量の比」の傾きによる個体差指標%Qを「個体差バラツキの指標」として用いることで、ショット間バラツキを除去してインジェクタの個体差補正を実施できる。また、エンジン負荷の低い条件(コモンレールの目標圧力の低い条件)での工場学習で得た個体差指標%Q(学習値)を、インジェクタの特性全域に反映して補正することができる。このように、コモンレールに設けた圧力センサを用いてインジェクタの個体差補正を実用化することができる。
図1〜図6を参照して燃料噴射装置を説明する。
燃料噴射装置は、例えばディーゼルエンジン(以下、エンジンα)に燃料噴射を行うシステムであり、図1に示すように、コモンレール1(燃料蓄圧容器の一例)、サプライポンプ2、インジェクタ3、制御装置(ECU+EDU等)4を用いて構成される。
なお、サプライポンプ2には、高圧ポンプによる燃料の圧送量を調整する調量弁2aが搭載されており、この調量弁2aと、コモンレール1に搭載される減圧弁1aとが制御装置4によって調整されることで、コモンレール1の燃料圧力が目標圧力に調整される。
このインジェクタ3は、所謂電磁式燃料噴射弁であり、
(i)背圧室i1(制御油室)に与えられる高圧の燃料圧力(閉弁油圧)によってニードルi2を閉弁させるノズルi3と、
(ii)背圧室i1を溢流させてニードルi2の閉弁油圧を低下させる電磁弁i4と、
を備える。
プレッシャピンは、コマンドピストンi7とニードルi2との間に介在され、プレッシャピンの周囲には、ニードルi2を下方(閉弁方向)へ付勢するスプリングi11が配置されている。
流入通路i5は、高圧燃料通路i9から供給される高圧燃料を減圧する入口側の燃料絞りであり、高圧燃料通路i9と背圧室i1は流入通路i5を介して連通する。
排出通路i6は、背圧室i1の上側に形成され、背圧室i1から排圧燃料通路i10(低圧側)に排出される燃料を絞る出口側の燃料絞りであり、背圧室i1と排圧燃料通路i10は排出通路i6を介して連通する。
例えば、バルブi13は、下端に排出通路i6を開閉するボール弁を備えるものであり、ソレノイドi12がOFFの状態では、リターンスプリングi14の付勢力によってバルブi13が下方に押し付けられて、排出通路i6を塞ぐ。
逆に、ソレノイドi12がONの状態では、リターンスプリングi14の付勢力に抗してバルブi13が上方に移動して、排出通路i6が開かれる。
つまり、円錐弁が弁座に着座する際は、円錐弁の着座シートが弁座に当接してノズル室と噴孔i15との連通を遮断するものである。
インジェクタ3に駆動電流が付与されると、電磁弁i4がバルブi13を吸引し、そのバルブi13がリフトアップを開始すると、排出通路i6が開いて、流入通路i5で減圧された背圧室i1の圧力が低下を開始する。
背圧室i1の圧力が開弁圧力以下に低下すると、ニードルi2が上昇を開始する。ニードルi2が弁座から離座すると、ノズル室と噴孔i15とが連通し、ノズル室に供給された高圧燃料が噴孔i15から噴射する。
ニードルi2が下降して、ニードルi2が弁座に着座すると、ノズル室と噴孔i15の連通が遮断されて、噴孔i15からの燃料噴射が停止する。
制御装置4に接続されるセンサ類の一例を開示すると、制御装置4には、アクセル開度を検出するアクセルセンサ6、エンジン回転数を検出する回転数センサ7、コモンレール圧(蓄圧燃料の圧力)を検出する圧力センサ8等がある。
しかし、新興国には、QRコード(登録商標)の読み込み、および制御装置4への書き込みのツールが普及しておらず、QRコード(登録商標)によるインジェクタ3の個体差補正を実施できない地域が存在する。
即ち、インジェクタ3は、新品時の個体差や、使用中の摩耗や詰まり等により、制御装置4が算出した目標噴射量Qtrgに対して、インジェクタ3が実際に燃料を噴射する実噴射量Qがズレる可能性がある。
この機差補正手段を以下において説明する。
具体的に、インジェクタ3の噴射前後の圧力差を減圧量ΔPとすると(図3参照)、実噴射量Qは、次式で求められる。
Q=(V/E)・ΔP−(Qd+Qst)
ここで、Vは高圧燃料を蓄圧する容積、Eは燃料の体積弾性係数、Qdはインジェクタ3の作動に伴う動リーク量、Qstはインジェクタ3内の静リーク量である。このように、制御装置4は、リーク量(動リーク量Qdと静リーク量Qst)を考慮して実噴射量Qを求める。
なお、図3において、噴射後にコモンレール圧力が上昇するのは、サプライポンプ2から高圧燃料の供給を受けて目標圧力(目標レール圧)に昇圧されるためである。
このように、「バラツキ量の比」を用いることにより、目標噴射量Qtrgが絶えず変化しても(即ち、ショット間バラツキが生じても)、ある一定の噴射圧下(即ち、コモンレール圧の一定時)では、同一の個体差指標%Qを得ることができる。
ΔQ=%Q×Qtrg1
ここで、Qtrg1はある目標噴射量の一例である。
このように、個体差指標%Qは、インジェクタ3の目標噴射量Qtrgが異なる場合であっても、普遍的に同一の値として使用することができる。
このことを、図5を参照して説明する。なお、図5中の「実特性」は通電期間Tq(指令パルス長)に対して補正前のインジェクタ3が実際に噴射する噴射特性の一例であり、図5中の「基準特性」は通電期間Tq(指令パルス長)に対する目標の噴射特性である。
目標圧力が高圧PH時の目標噴射量をQHT、高圧時の実噴射量をQH、高圧時の補正噴射量をΔQHとする。
・高圧時の目標噴射量QHT=QLT×√(PH/PL)
・高圧時の実噴射量QH=QL×√(PH/PL) ・・・(1)
・高圧時の補正噴射量ΔQH=ΔQL×√(PH/PL) ・・・(2)
となる。
2点を上述した「バラツキ量の比」から求める場合は、「バラツキ量の比」の傾きの精度を高める目的で、1点はアイドリングなどの微小噴射で「バラツキ量の比」を求め、他の1点はレーシング(空ぶかし)などで噴射量を多くして「バラツキ量の比」を求めることが望ましい。
・噴射前圧力P1から噴射終了後圧力P3に至る圧力取得時間差ΔTと、
・噴射終了直後圧力P2から噴射終了後圧力P3に至る圧力取得時間差ΔTsと、
を取得する(ステップS1)。
次に、時間差ΔTs、圧力変化ΔPs、基準変化値Psdotに基づき、静リーク量Qstを求める(ステップS3)。
次に、複数の実噴射量Qと目標噴射量Qtrgの「バラツキ量の比」の傾きによる個体差指標%Qを求め、個体差指標%Qを学習値として記憶する(ステップS5)。
次に、補正噴射量ΔQ1を目標噴射量Qtrgに加算して、補正後の目標噴射量Qtrg’を算出する(ステップS7)。
次に、補正された目標噴射量Qtrg’を用いて機差補正された通電期間Tq’を求める(ステップS8)。
その後、この制御ルーチンから離脱する(エンド)。
燃料噴射装置は、上述したように、圧力センサ8によって求めた噴射時の減圧量ΔPから実噴射量Qを求めて、複数の実噴射量Qと目標噴射量Qtrgの「バラツキ量の比」の傾きによる個体差指標%Qを求め、この個体差指標%Qを学習値としてインジェクタ3の個体差補正を行う。
このように、「バラツキ量の比」の傾きによる個体差指標%Qを「個体差バラツキの指標」として用いることで、ショット間バラツキを除去してインジェクタ3の個体差補正を実施できる。
さらに、インジェクタ3における摩耗や、劣悪燃料の使用等によるインジェクタ3内の詰まりにより、インジェクタ3の個体差が変化しても、学習を実施することで摩耗や詰まりによる個体差を補正することができる。
燃料噴射装置は、上述したように、リーク量(動リーク量Qdと静リーク量Qst)を考慮して実噴射量Qを求めるため、個体差指標%Q(学習値)の精度を高めることができ、結果的にインジェクタ3の機差補正の精度を高めることができる。
上述したように、ある圧力条件下で得た個体差指針%Qは、目標噴射量Qtrgが異なる場合であっても、コモンレール1の目標圧力が異なる場合であっても、普遍的に同一の値として使用することができる。
これにより、製造工場等において最小1回の学習により個体差指針%Qが得られれば、全運転領域においてインジェクタ3の機差補正を実施することができる。
車両の出荷後においても、上述した機差補正手段を常時あるいは定期的(予め設定した学習要件を満たす際など)に作動させることにより、広い運転範囲において種々の学習を実施させることができ、その結果、学習による機差補正の精度を広い運転範囲において高めることができる。
具体的な一例として、広い運転範囲で得た種々の学習値をマップ化し、そのマップ化した学習値に基づいてインジェクタ3の機差補正を行うことで、インジェクタ3の噴射精度を長期に亘って高めることができる。
燃料の体積弾性係数Eを精度良く見積もるために、燃料温度の計測値を制御装置4に与えても良い。
燃料の体積弾性係数Eを精度良く見積もるために、圧力センサ8の実特性を制御装置4に認識させても良い。
圧力センサ8の検出精度を高めるために、燃料の圧力脈動の影響をアナログ回路やデジタル処理で除去しても良い。
噴射時の減圧量ΔPの検出精度を高めるために、高圧燃料を蓄圧する容積Vを小さく設けても良い。
3 インジェクタ
4 制御装置
8 圧力センサ
Claims (6)
- 加圧燃料を蓄えるコモンレール(1)と、このコモンレール(1)の蓄圧燃料を噴射するインジェクタ(3)と、前記コモンレール(1)に蓄圧された燃料圧力を検出する圧力センサ(8)と、この圧力センサ(8)の検出結果を含む種々の運転状態に基づいて前記インジェクタ(3)の噴射制御を実施する制御装置(4)とを備える燃料噴射装置において、
前記制御装置(4)は、前記圧力センサ(8)によって検出された噴射時の減圧量(ΔP)から実噴射量(Q)を求め、
複数の実噴射量(Q)と目標噴射量(Qtrg)のバラツキ量の比の傾きによる個体差指標(%Q)を求め、
この個体差指標(%Q)を学習値として前記インジェクタ(3)の個体差補正を行うことを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
個体差指標(%Q)は、目標噴射量(Qtrg)と噴射量機差(ΔQ)の関係においてバラツキ量の傾きとして表されるものであり、
前記制御装置(4)は、個体差指標(%Q)と目標噴射量(Qtrg)から補正噴射量(ΔQ1)を求めることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項2に記載の燃料噴射装置において、
前記制御装置(4)は、目標噴射量(Qtrg)を補正噴射量(ΔQ1)で補正した補正後の目標噴射量(Qtrg’)に基づいて前記インジェクタ(3)の通電期間(Tq’)を求めることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1〜請求項3いずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
前記制御装置(4)は、インジェクタ(3)において燃料の一部を燃料タンク(5)へ戻すリークが存在する場合、このリーク量を考慮して実噴射量(Q)を求めることを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
前記制御装置(4)は、前記インジェクタ(3)の目標噴射量(Qtrg)が異なる場合であっても、個体差指標(%Q)を普遍的に同一の値として使用することを特徴とする燃料噴射装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
前記制御装置(4)は、前記コモンレール(1)の目標圧力が異なる場合であっても、個体差指標(%Q)を普遍的に同一の値として使用することを特徴とする燃料噴射装置。
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