JP2014148142A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動や衝撃によりタンク内のインクを大気開放経路内に溢れ出させない。
【解決手段】インクジェットヘッド11とタンク31,35とを少なくとも連通させたインク経路部30と、タンク31,35から溢れ出たインクIKを廃液として収容する廃液部60と、タンク31,35の大気ポート31c,35cと廃液部60との間を連通させた大気開放経路(51,56)と、を備えた際に、大気開放経路は、タンクの大気ポートからこの大気ポートよりも上方の最上部Umaxを経てタンクよりも下方の廃液部に至るように形成されており、且つ、タンクの大気ポートから最上部に到達するまでの間に少なくとも1箇所以上屈曲させた屈曲部を有することを特徴とする画像形成装置1を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット方式を適用した画像形成装置に関するものである。
一般的に、インクジェット方式を適用した画像形成装置は、インクジェットプリンタとも呼称されており、例えば、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)など多色のインクを使用して記録媒体上に画像や文字をカラー印刷できるので、家庭用や業務用のプリンタとして多用されているし、ブラック(K)のインク1色だけでも単色印刷できるように構成されている。
この種の画像形成装置の一例として、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドに供給するためのインクを貯留し、且つ、鉛直方向においてインクジェットヘッドより高い位置に配置されている第1のタンク(上部タンク)と、インクジェットヘッドで吐出されなかったインクを貯留し、且つ、鉛直方向においてインクジェットヘッドより低い位置に配置されている第2のタンク(下部タンク)と、第1のタンク,インクジェットヘッド,第2のタンクの間でインクを循環させるためのポンプとでインク経路部を形成した際に、インク経路部内の内圧を調整する圧力調整部を第2のタンクに連通させ、且つ、第1,第2のタンクの各大気ポートと各タンクよりも下方に設置した廃液部のオーバーフロータンクとの間を第1,第2の大気開放経路部により接続させて、第1,第2のタンクの内部を第1,第2の大気開放経路部内に設置した第1,第2の大気開放弁を介して大気と連通又は遮断させたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記した特許文献1に記載の画像記録装置(画像形成装置に相当)によると、インクジェットヘッドからインクを吐出させて記録媒体上にインク画像を形成するときには、第1のタンクと対応する第1の大気開放弁を開き、且つ、第2のタンクと対応する第2の大気開放弁を閉じると共に、圧力調整部内に設けたベローズをこれに固着した錘の重力により重力方向下方の伸長位置まで伸長させることで、ベローズ内に負圧を発生させ、この負圧が共通気圧室,第2のタンクを順に経由してインクジェットヘッドに記録に適する値として印加されるので、インクジェットヘッドのノズルからインクが記録媒体に向けて吐出できるようになっている。
特開2009−297961号公報
ところで、特許文献1に開示された画像記録装置(画像形成装置)によれば、圧力調整部内に設けた伸縮可能なベローズによりインクジェットヘッドに最適の負圧を与えることで、簡素な構成でインクジェットヘッドに対して圧力変動の少ない画像記録装置を提供することができる。
しかしながら、上記のように構成した画像記録装置に対して、インク経路部内にインクを導入したまま輸送を行ったときに、輸送時に生じる振動や衝撃が装置に加わると、第1,第2のタンク内に貯留したインクが各タンクの大気ポートに接続した第1,第2の大気開放経路部に向かって溢れ出し、これによりインクを無駄に消費したり、輸送後の装置の復帰に時間を要するなどの問題が発生する。
具体的に説明すると、輸送時の振動や衝撃により第1,第2のタンクの各大気ポートから第1,第2の大気開放経路部に溢れ出したインクは、第1,第2の大気開放経路部内に設けた第1,第2の大気開放弁が閉じていれば、各大気開放弁のところで止まって、廃液部に設けたオーバーフロータンク内に流れ込むことがないものの、輸送終了後にユーザが装置の電源を投入したときに、第1,第2の大気開放弁の少なくとも一方の大気開放弁が開いてしまうので、一方の大気開放弁のところで止まっていたインクがオーバーフロータンク内に流れ込んで、インクを無駄に消費してしまう。
また、輸送時の振動や衝撃によりオーバーフロータンク内にインクが流れ込んでしまうと、装置が正常に動作しないために、オーバーフロータンク内に流れ込んだインクを不図示の検出器で検出して装置が異常事態である旨の警報を出しているので、輸送後の装置の復帰に時間を要してしまう。
そこで、インクジェット方式を適用した画像形成装置に対して、インク経路部内にインクを導入した状態で装置に振動や衝撃が加わった場合でも、タンク内のインクがインク経路部ではない大気開放経路内に流れ出ないように構成した画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、請求項1に記載の発明は、インクを吐出して記録媒体上に画像を形成するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに供給するための前記インクを貯留するタンクとを少なくとも連通させたインク経路部と、
前記タンクよりも下方に設置されており、前記タンクから溢れ出た前記インクを廃液として収容する廃液部と、
前記タンクの大気ポートと前記廃液部との間を連通させた大気開放経路と、を備えた画像形成装置において、
前記大気開放経路は、前記タンクの大気ポートから該大気ポートよりも上方の最上部を経て該タンクよりも下方の前記廃液部に至るように形成されており、且つ、前記タンクの大気ポートから前記最上部に到達するまでの間に少なくとも1箇所以上屈曲させた屈曲部を有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
請求項1記載の画像形成装置によると、インクジェットヘッドとタンクとを少なくとも連通させたインク経路部と、タンクから溢れ出たインクを廃液として収容する廃液部と、タンクの大気ポートと廃液部との間を連通させた大気開放経路と、を備えて画像形成装置を構成した際に、大気開放経路は、タンクの大気ポートからこの大気ポートよりも上方の最上部を経てタンクよりも下方の廃液部に至るように形成されており、且つ、タンクの大気ポートから最上部に到達するまでの間に少なくとも1箇所以上屈曲させた屈曲部を有しているので、何等かの原因による装置の不具合でタンク内からインクが大気開放経路内に溢れ出て廃液部内に流れ込むことを許容するも、装置に振動や衝撃が加わった場合に、振動や衝撃によりタンク内のインクが動いて大気ポートに流れ出したとしても、大気ポートに流れ出したインクは、タンクの大気ポートからこの大気ポートよりも上方の最上部に至るまでに大気開放経路に沿って設けた少なくとも1箇所以上の屈曲部により溜められてタンク内に戻り、大気開放経路の最上部に到達しないので、タンク内のインクが大気開放経路内に流れ出すことを防止できる。
更に、タンクと廃液部との間を連通させた大気開放経路中に大気開放弁を設けた場合、振動や衝撃ではタンク内のインクが大気開放経路に沿って設けた大気開放弁に到達することはないので、輸送終了後にユーザが装置の電源を投入したときに、大気開放弁が開いたとしても、インクが廃液部内に流れ込まないので、インクを無駄に消費することがなく、装置を正常に動作することができる。
本発明に係る画像形成装置の全体構成を示した構成図である。 図1に示した第1,(第2)の大気開放経路部を説明するための斜視図である。 図2に示した第1,(第2)の大気開放経路部を断面して示した断面図である。 変形例1における第1,(第2)の大気開放経路部を説明するための縦断面図である。 変形例2における第1,(第2)の大気開放経路部を説明するための縦断面図である。
以下に本発明に係る画像形成装置の一実施例について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。
本発明に係る画像形成装置は、インクジェット方式を適用しており、インクジェットヘッドとタンクとを少なくとも連通させたインク経路部と、タンクよりも下方に設置されてタンクから溢れ出たインクを廃液として収容する廃液部と、タンクの大気ポートと廃液部との間を連通させた大気開放経路とを備えて、インクジェットヘッドから吐出させたインクにより記録媒体上に画像を形成する画像形成装置において、何等かの原因による装置の不具合でタンク内からインクが大気開放経路内に溢れ出て廃液部のオーバーフロータンク内に流れ込むことを許容するも、装置に振動や衝撃が加わった場合にはタンク内のインクが大気開放経路内に流れ出ないように大気開放経路に対して対策を施したことを特徴とするものである。
図1は本発明に係る画像形成装置の全体構成を示している。
図1に示す如く、本発明に係る画像形成装置1は、例えば、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)など多色のインクIKを使用して記録媒体となる用紙P上に画像や文字をカラー印刷できるように構成されている。
尚、図1には、代表的な1色のインクIKに関わる1系統のインク経路部30のみを図示しているが、例えば4色のインクIKを使用する場合にはインク色ごとに同様のインク経路部30を4系統備えれば良く、1色のインクIKを使用する場合には1系統のインク経路部30を備えれば良いものである。
上記した画像形成装置1は、大別すると、複数のインクジェットヘッド11及びインク温度計12を有し、複数のインクジェットヘッド11により記録媒体となる用紙P上にインク画像を形成する画像形成部10と、インクIKを下記するインク経路部30内に補充するインク補充部20と、第1,第2のタンク31,35間に配設した複数のインクジェットヘッド11を含み且つ第1,第2のタンク31,35に貯留したインクIKをポンプ37を介して複数のインクジェットヘッド11に向けて循環させるインク経路部(インク循環経路部)30と、インク経路部30内に設置した第1,第2のタンク31,35内を大気開放又は大気密閉する第1,第2の大気開放経路部50,55と、不要となったインクIKやオーバーフローしたインクIKを収容する廃液部60と、インク経路部30内の内圧を調整する圧力調整部70と、各部を全体的に制御する制御部80とを備えて構成されている。
ここで、上記した各部について具体的に説明する。
まず、画像形成部10について説明する。
上記した画像形成部10では、複数のインクジェットヘッド11が用紙Pを搬送するベルトプラテン機構部(図示せず)と対向して設けられている。
また、複数のインクジェットヘッド11の近傍には、インク経路部30内のインクIKの温度を計測するインク温度計12が設置されている。
上記した複数のインクジェットヘッド11は、用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向に例えば千鳥状に並べられており、且つ、各ヘッド11のノズル面11aには複数のノズル(図示せず)が列をなして形成されている。
そして、画像形成時には、複数のインクジェットヘッド11内が後述する圧力調整部70の動作により記録に適した負圧(例えば、約−1kPa)に保たれて、外部からの画像信号に応じて各ノズルからインクIKが用紙Pに向けて吐出されるようになっている。
また、ベルトプラテン機構部(図示せず)は、不図示の給紙部から送られた用紙Pを不図示の排紙部に向けて搬送するベルトプラテン(図示せず)がエンドレスに回転自在に設けられている。
次に、インク補充部20について説明する。
上記したインク補充部20では、インクIKを収容したインクカートリッジ21がトレイ22上に載置され、且つ、このインクカートリッジ21のインク供給口21aがジョイント部23の一端側に着脱自在に装着されている。
また、ジョイント部23の近傍には、カートリッジ検出部24が設置されており、このカートリッジ検出部24でカートリッジ誤装着を検出している。
更に、ジョイント部23の他端側に樹脂製のチューブ25が接続され、このチューブ25が開閉可能なインク補充弁26を介して第2のタンク(下部タンク)35に接続されている。
そして、インク経路部30内のインク量が所定量以上の場合には、インク補充弁26を閉じている。一方、インク経路部30内のインク量が所定量以下の場合には、インク補充弁26を開いてインクカートリッジ21内のインクIKを第2のタンク35内に補充している。
次に、インク経路部30について説明する。
上記したインク経路部(インク循環経路部)30は、第1のタンク31,インク分配器33,複数のインクジェットヘッド11,インク回収器34,第2のタンク35,ポンプ37,熱交換器38,フィルタ39をインク循環経路を形成する樹脂製のチューブ41〜43を介して順に連通させることで、インクIKを矢印方向に循環させている。
このインク経路部30では、インクIKを貯留する第1のタンク31が、複数のインクジェットヘッド11よりも重力方向上方に設置されている。
また、第1のタンク(上部タンク)31は内部が密閉されており、且つ、インクIKが流入するインク入口ポート31aが上方右側部位に設けられ、インクIKが流出するインク出口ポート31bが下方左側部位に設けられていると共に、大気ポート31cが上方左側部位に設けられている。
そして、第1のタンク31のインク入口ポート31aは、チューブ43を介してフィルタ39に接続されており、このフィルタ39を通ったインクIKを第1のタンク31内に流入させている。
また、第1のタンク31内には、インク液面31dを所定の高さに保つために、第1のインク液面検出部32が設けられている。この第1のインク液面検出部32は、第1のタンク31内で支持軸を中心にインク液面31dの高さに応じて回動するフロート部材と、フロート部材に取り付けられた磁石と、磁石の磁力を検出する磁気センサなどを用いた液面位置センサとにより構成されて、フロート部材の位置からインク液面31dの高さを検出するようになっている。
そして、画像形成時には、第1のインク液面検出部32の検出結果に応じて制御部80を介してポンプ37を選択的にON/OFF制御して第1のタンク31内に貯留されているインク量を所定量に保つことで、第1のタンク31内のインク液面31dがインクジェットヘッド11のノズル面11aよりも重力方向上方となり、インク液面31dとノズル面11aとの間で水頭差H1が保たれている。
一方、第1のタンク31のインク出口ポート31bは、チューブ41を介してインク分配器33に接続されており、且つ、インク分配器33は複数のインクジェットヘッド11に接続されて、各ヘッド11にインクIKを分配している。
また、複数のインクジェットヘッド11にはインク回収器34が接続されており、且つ、インク回収器34はチューブ42を介して第2のタンク35に接続されている。
この際、複数のインクジェットヘッド11に流入するインク量は、各ヘッド11のノズルから吐出されるインク量よりも上回るように設定されているので、ノズルから吐出されなかったインクIKはインク回収器34内にいったん回収され、その後、チューブ42を経由して第2のタンク35内に流入している。
ここでは、インクIKを貯留する第2のタンク35が、複数のインクジェットヘッド11よりも重力方向下方に設置されている。
また、第2のタンク(下部タンク)35は内部が密閉されており、且つ、インク回収器34からのインクIKが流入するインク入口ポート35aが上方左側部位に設けられ、インクIKが流出するインク出口ポート35bが下方中央部位に設けられていると共に、大気ポート35cが上方右側部位に設けられている。
また、第2のタンク35内には、インク液面35dを所定の高さに保つために、前述した第1のインク液面検出部32と同様の構成による第2のインク液面検出部36が設けられている。
そして、画像形成時に、インク経路部30のインク量が予め設定されたインク量よりも減った場合には、制御部80を介してインク補充弁26を選択的にON/OFF制御して第2のタンク35にインクIKの供給を行う。
一方、第2のタンク35のインク出口ポート35bは、チューブ43を介してポンプ37と、熱交換器38と、フィルタ39と、第1のタンク31のインク入口ポート31aとに順に接続されており、これにより第2のタンク35内のインクIKが第1のタンク31内へ帰還可能になっている。
この際、ポンプ37は、第1のインク液面検出部32の検出結果に応じて制御部80を介してON/OFF制御されており、これにより第1のタンク31のインク液面31dは所望の高さの範囲を維持している。
また、熱交換器38は、インク経路部30内を流れるインクIKの温度が略一定の温度となるように内部に設けた不図示のヒータでインクIKを加温したり、又は、内部に設けた不図示の冷却ファンでインクIKを冷却する機能を備えている。
この際、インクIKの温度は、インクジェットヘッド11の近傍に設置したインク温度計12で計測し、インク温度計12の計測結果に応じて制御部80を介して熱交換器38でインク温度を略一定な温度に制御している。
更に、フィルタ39は、インクジェットヘッド11に供給されるインクIKに含まれる異物を除去し、ノズルの目詰まりなどに起因する記録不良をなくすために、熱交換器38と第1のタンク31との間に設置されている。
次に、第1,第2の大気開放経路部50,55について説明する。
上記した第1の大気開放経路部50は、第1のタンク31の大気ポート31cと後述する廃液部60のオーバーフロータンク61との間を大気開放経路(51)により連通されており、大気開放経路(51)中に設置した開閉可能な第1の大気開放弁54により第1のタンク31の内部を大気と連通又は遮断させる機能を有していると共に、何等かの原因による不具合で第1のタンク31内のインクIKが溢れ出したとしても、溢れ出したインクIKを廃液部60内に設置したオーバーフロータンク61内に流し込む機能を備えている。ここで、第1のタンク31内のインクIKが溢れ出す不具合例としては、第1のタンク31内の第1のインク液面検出部32の故障によりポンプ37の動作が過剰に行われることが考えられる。
この第1の大気開放経路部50では、第1の大気開放経路を形成する樹脂製のチューブ51の一端側が第1のタンク31の大気ポート31cに接続されて、第1のタンク31内の空気部分に進入している。また、チューブ51の他端側は、後で詳述する樹脂製のL字状ジョイント52を介して各インク色に共通な第1のタンク共通気圧室53に接続された後に第1の大気開放弁54を経由して、廃液部60内に設置したオーバーフロータンク61内の空気部分に進入している。
一方、上記した第2の大気開放経路部55は、第2のタンク35の大気ポート35cと廃液部60のオーバーフロータンク61との間を大気開放経路(56)により連通されており、大気開放経路(56)中に設置した開閉可能な第2の大気開放弁59により第2のタンク35の内部を大気と連通又は遮断させる機能を有していると共に、何等かの原因による不具合で第2のタンク35内のインクIKが溢れ出したとしても、溢れ出したインクIKを廃液部60内に設置したオーバーフロータンク61内に流し込む機能を備えている。ここで、第2のタンク35内のインクIKが溢れ出す不具合の例としては、インク補充弁26の故障によるインクIKの過剰供給が考えられる。
この第2の大気開放経路部55では、第2の大気開放経路を形成する樹脂製のチューブ56の一端側が第2のタンク35の大気ポート35cに接続されて、第2のタンク35内の空気部分に進入している。また、チューブ56の他端側は、後で詳述する樹脂製のL字状ジョイント57を介して各インク色に共通な第2のタンク共通気圧室58に接続された後に第2の大気開放弁59を経由して、廃液部60内に設置したオーバーフロータンク61内の空気部分に進入している。
この際、廃液部60内に設置したオーバーフロータンク61は、常時、上面が開口したトレイ形状を有しており、大気と連通した状態となり、換言すると、大気にさらされた状態を保っている。
従って、制御部80を介して第1,第2の大気開放弁54,59を選択的に開閉(開放/遮断)することによって、第1,第2のタンク共通気圧室53,58を経由して第1,第2のタンク31,35の内部を大気と連通した大気開放状態、又は、大気から遮断した密閉状態にさせることができる。
更に、本発明では、前述したように、何等かの原因による装置1の不具合で第1,第2のタンク31,35内からインクIKが第1,第2の大気開放経路部50,55の大気開放経路(51,56)内に溢れ出て廃液部60のオーバーフロータンク61内に流れ込むことを許容するも、装置1を輸送するときに振動や衝撃が加わった場合に、第1,第2のタンク31,35の各大気ポート31c,35cからインクIKが第1,第2の大気開放経路部50,55の大気開放経路(51,56)内に流れ出ないように大気開放経路(51,56)に対して対策を施している。
ここで、第1,第2の大気開放経路部50,55の大気開放経路(51,56)に対する対策について、図2及び図3を用いて具体的に説明する。
図2は第1,(第2)の大気開放経路部を示した斜視図であり、図3は第1,(第2)の大気開放経路部を断面して示した縦断面図である。この図2及び図3においても、図1と同様に、代表的な1色のインクIKに関わる1系統の第1の大気開放経路部50,(第2の大気開放経路部55)のみを図示しているが、例えば4色のインクIKを使用する場合には4系統備えれば良い。
図2に拡大して示した如く、第1の大気開放経路部50では、前述したように、第1のタンク31の大気ポート31cに樹脂製で柔軟性を有するチューブ51の一端が接続されており、且つ、このチューブ51の他端に略L字状に屈曲した樹脂製のL字状ジョイント52の一端部52aが接続され、更に、L字状ジョイント52の他端部52bに接続されたチューブ51が重力方向上方に向かいながら第1のタンク31の大気ポート31cよりも重力方向上方の最上部Umaxに至り、この後、最上部Umaxから重力方向下方に向かいながら第1のタンク31よりも下方に設置した各インク色に共通な第1のタンク共通気圧室53に接続されている。
上記により、図3に示す如く、輸送時に生じた振動や衝撃により第1のタンク31内のインクIKが動いて大気ポート31cに流れ出したとしても、大気ポート31cに流れ出したインクIKは第1のタンク31の大気ポート31cからこの大気ポート31cよりも重力方向上方の最上部Umaxに至るまでに大気開放経路(51)に沿って設けたL字状ジョイント52の屈曲部により溜められて第1のタンク31内に戻り、チューブ51の最上部Umaxに到達しないので、第1のタンク31内のインクIKが大気開放経路(51)内に流れ出すことを防止できる。
更に、振動や衝撃では第1のタンク31内のインクIKが大気開放経路(51)に沿って設けた第1の大気開放弁54(図1)に到達することはないので、輸送終了後にユーザが装置1(図1)の電源を投入したときに、第1の大気開放弁54が開いたとしても、インクIKが廃液部60(図1)のオーバーフロータンク61内に流れ込まないので、インクIKを無駄に消費することがなく、装置1を正常に動作することができる。
また、第2の大気開放経路部55でも、第1の大気開放経路部50と同様に、第2のタンク35の大気ポート35cに樹脂製で柔軟性を有するチューブ56の一端が接続されており、且つ、このチューブ56の他端に略L字状に屈曲した樹脂製のL字状ジョイント57の一端部57aが接続され、更に、L字状ジョイント57の他端部57bに接続されたチューブ56が重力方向上方に向かいながら第2のタンク35の大気ポート35cよりも重力方向上方の最上部Umaxに至り、この後、最上部Umaxから重力方向下方に向かいながら第2のタンク35よりも下方に設置した各インク色に共通な第2のタンク共通気圧室58に接続されている。
上記により、図3に示す如く、輸送時に生じた振動や衝撃により第2のタンク35内のインクIKが動いて大気ポート35cに流れ出したとしても、大気ポート35cに流れ出したインクIKは第2のタンク35の大気ポート35cからこの大気ポート35cよりも重力方向上方の最上部Umaxに至るまでに大気開放経路(56)に沿って設けたL字状ジョイント57の屈曲部により溜められて第2のタンク35内に戻り、チューブ56の最上部Umaxに到達しないので、第2のタンク35内のインクIKが大気開放経路(56)内に流れ出すことを防止できる。
更に、振動や衝撃では第2のタンク35内のインクIKが大気開放経路(56)に沿って設けた第2の大気開放弁59(図1)に到達することはないので、輸送終了後にユーザが装置1(図1)の電源を投入したときに、第2の大気開放弁59が開いたとしても、インクIKが廃液部60(図1)のオーバーフロータンク61内に流れ込まないので、インクIKを無駄に消費することがなく、装置1を正常に動作することができる。
この実施例において、第1,第2のタンク31,35の各大気ポート31c,35cと、第1,第2のタンク31,35よりも重力方向下方に設置した廃液部60のオーバーフロータンク61とを連通させた大気開放経路(51,56)は、第1,第2のタンク31,35の各大気ポート31c,35cからこの各大気ポート31c,35cよりも重力方向上方の最上部Umaxを経て廃液部60のオーバーフロータンク61に至るように形成されており、且つ、第1,第2のタンク31,35の各大気ポート31c,35cから最上部Umaxに到達するまでの間に少なくとも1箇所以上屈曲させた屈曲部を有して、1箇所以上の屈曲部を経由した後に最上部Umaxに達すれば良いものであり、1箇所以上の屈曲部は適宜形成すれば良いものである。
即ち、図4に示した変形例1における第1,(第2)の大気開放経路部50A,(55A)では、大気開放経路中で大気ポート31c,(35c)と各最上部Umaxとの間に複数の屈曲部を形成するにあたって、第1,(第2)のタンク31,(35)の各大気ポート31c,(35c)に接続したチューブ51,(56)は、各大気ポート31c,(35c)よりも重力方向上方の各最上部Umaxに到達するまでの間に、複数(例えば2個)のL字状ジョイント52,(57)を用いて複数個所(例えば2箇所)を略L字状に屈曲させた後に各最上部Umaxに到達するように形成されている。この際、L字状ジョイント52,(57)を用いているので、大気開放経路中で複数の屈曲箇所を容易に形成することができる。
また、図5に示した変形例2における第1,(第2)の大気開放経路部50B,(55B)では、大気開放経路中で大気ポート31c,(35c)と各最上部Umaxとの間に複数の屈曲部を形成するにあたって、第1,(第2)のタンク31,(35)の各大気ポート31c,(35c)に接続したチューブ51,(56)は、各大気ポート31c,(35c)よりも重力方向上方の各最上部Umaxに到達するまでの間に、チューブ51,(56)そのものを曲線状に複数個所屈曲させた後に各最上部Umaxに到達するように形成されている。この際、L字状ジョイントを用いていないので、複数の屈曲箇所を安価に形成することができる。
尚、画像形成装置1(図1)を工場から出荷させるときには、輸送時の振動や衝撃を考慮して、第1,第2のタンク31,35に貯留されるインクIKの量を通常使用するインク量よりも少なくしている。
次に、廃液部60について説明する。
上記した廃液部60は、第1,第2のタンク31,35よりも下方に設置されて第1,第2の大気開放経路部50,55と接続したオーバーフロータンク61と、オーバーフロー検出部62と、オーバーフロータンク61とチューブ63を介して接続された廃液タンク64と、この廃液タンク64を載置する廃液タンクトレイ65と、廃インク量検知部66と、廃液タンク装着検知部67とで構成されている。
この際、オーバーフロータンク61の側面にオーバーフロー検出部62が取り付けられており、前述したように、何等かの異常により第1,第2のタンク31,35から溢れ出したインクIKが第1,第2の大気開放経路部50,55を介してオーバーフロータンク61内に流れ込んだときに、制御部80はオーバーフロー検出部62の検出結果により画像形成装置1が異常であると判断し、全ての動作を停止して警告を出すようになっている。
そして、オーバーフロータンク61内に流れ込んだインクIKはチューブ63を介して廃液タンク64内に貯留されている。尚、オーバーフロータンク61は、インク経路部30内に設けたポンプ37が破損してインクIKが漏れても、そのインクIKを全て受けるようにポンプ37の下方に設置されている。
また、廃液タンクトレイ65は、インク経路部30の最下部よりも低い位置に設けられており、この上に廃液タンク64が配置されている。
また、廃インク量検知部66は、廃液タンク64の重量や、廃液タンク64内のインク液面の高さの違いを読み取ることによって、廃液タンク64内に収容されたインク量を検知している。一方、廃液タンク装着検知部67は、光学的な検知により廃液タンク64の装着の有無を検知している。
次に、圧力調整部70について説明する。
上記した圧力調整部70は、画像形成時(インク循環時)に複数のインクジェットヘッド11に対して最適な圧力を印加する機能を備えている。
この圧力調整部70は、ゴム硬度が30°〜50°の範囲内で例えばクロロプレンゴム材を用い且つ重力方向上方の一端側をチューブ71を介して第2の大気開放経路部55内に設けた第2のタンク共通気圧室58に接続した伸縮可能なベローズ72と、ベローズ72の重力方向下方の他端側に固着させた錘73と、錘73に対して接離可能に昇降して錘73と一体にベローズ72を伸縮させるベローズ昇降機構(74〜76)とを備えている。
この際、ベローズ72の一端側は、第2のタンク共通気圧室58に接続した後に、更に、チューブ56を介して第2のタンク35に接続されている。
また、錘73は、伸縮可能なベローズ72と一体に重力により垂れ下がってこのベローズ72を伸長させる機能を有しており、この際に錘73の重力は、例えば、画像形成時にノズル圧が約−1kPaになる値に設定されている。
また、ベローズ72を伸縮させるベローズ昇降機構(74〜76)は、錘73に接離する平板部74aの下方にラック部74bを垂直に形成したベローズ昇降材74と、ベローズ昇降材74のラック部74bに噛合したギア75と、このギア75を回転駆動させる駆動源となるパルスモータ76とで構成されている。
この際、パルスモータ76を駆動してパルス数を制御部80内のカウンタ(図示せず)で計数することで、最大下降位置又は最大上昇位置のいずれか一方を基準としてベローズ昇降材74の昇降位置を制御している。
そして、ベローズ昇降材74が上昇すると、このベローズ昇降材74が錘73に当接しながらベローズ72は縮んで、ベローズ昇降材74が最大上昇位置に至る。一方、ベローズ昇降材74が最大下降位置まで下降すると、このベローズ昇降材74が錘73から離間して錘73の重力によりベローズ72が伸長するようになっている。
具体的には、待機時(非インク循環時)に、画像形成開始信号は出力されず、インク経路部30内においてインクIKを循環させるポンプ37は停止している。
この待機時に、第1の大気開放経路部50内に設けた第1の大気開放弁54を閉じ、第1のタンク31内を大気に対して遮断する。一方、第2の大気開放経路部55内に設けた第2の大気開放弁59を開放し、第2のタンク35内を大気開放状態にする。
そして、圧力調整部70内に設けたベローズ昇降機構(74〜76)を作動して、ベローズ昇降材74を最大上昇位置まで上昇させると、錘73と一体にベローズ72が押し込まれて最大圧縮位置に至り、この状態で待機する。
尚、待機時に第2のタンク35内は大気開放状態になっているので、ベローズ72はどの高さ位置で待機していても何等の支障はないが、次のインク循環動作を迅速に行うための準備として、通常、上記したようにベローズ72を最大圧縮状態(最大押し込み状態)で待機させている。
この際、インクジェットヘッド11にかかる圧力は、インクジェットヘッド11のノズル面11aと第2のタンク35内のインク液面35dとの水頭差H2で決まり、インクジェットヘッド11のノズルには水頭差H2によりメニスカスが形成されているので、インクジェットヘッド11からインクIKが垂れ落ちることはない。
一方、画像形成時(インク循環時)には、画像形成開始信号が出力される。
この画像形成時に、第1の大気開放経路部50内に設けた第1の大気開放弁54を開放し、第1のタンク31内を大気開放状態にする。これと共に、第2の大気開放経路部55内に設けた第2の大気開放弁59を閉じ、圧力調整部70により第2のタンク35内を負圧状態にする。
ここで、圧力調整部70内に設けたベローズ昇降機構(74〜76)を作動して、待機時(非インク循環時)に最大上昇位置まで上昇していたベローズ昇降材74を最大下降位置まで下降させると、ベローズ昇降材74は錘73から離間して錘73が自由解放されるので、錘73の自重により錘73と一体にベローズ72が伸長位置に至る。これにより、画像形成時に、ベローズ72は錘73により伸長状態となり、閉じられた空間の体積が増加する。
この時に、前述したように、錘73の重力は、例えば、画像形成時にノズル圧が約−1kPaになる値に設定されているので、この錘73の重力と釣り合う負圧が第2のタンク35にかかる。
そして、第2のタンク35はチューブを介してインクジェットヘッド11と連通しているので、画像形成時に記録に適した負圧(例えば、約−1kPa)がインクジェットヘッド11に加わり、ノズルからインクIKが用紙Pに向かって吐出される。
次に、制御部80について説明する。
上記した制御部80は、画像形成装置1の外部に設けたパソコン(図示せず)、又は、装置1内の操作パネル(図示せず)からの指令によって動作する。
この制御部80は、装置全体を制御しており、具体的には、インクジェットヘッド11と、インク温度計12と、カートリッジ検出部24と、インク補充弁26と、第1,第2の液面検出部32,36と、ポンプ37と、熱交換器38と、第1,第2の大気開放弁54,59と、オーバーフロー検出部62と、廃インク量検知部66と、廃液タンク装着検知部67と、ベローズ昇降材74とをそれぞれ制御している。
以上詳述した実施例では、第1,第2のタンク31,35間にインクジェットヘッドを配設してポンブ37でインクIKを循環させ、且つ、第1,第2のタンク31,35の各大気ポート31c,35cと廃液部60のオーバーフロータンク61との間を大気開放経路(51,56)により連通させたときに、第1,第2のタンク31,35の各大気ポート31c,35cに接続した大気開放経路(51,56)は、各大気ポート31c,35cよりも重力方向上方の最上部Umaxに到達するまでの間に少なくとも1箇所以上屈曲させた屈曲部を有して、1箇所以上の屈曲部を経由した後に最上部Umaxに到達させるように構成した例について説明したが、これに限ることなく、ここでの図示を省略するが、例えば、インクジェットヘッドに対して重力方向下側に1個のタンクを配置して、インク経路部によりインクジェットヘッドと1個のタンクとを少なくとも連通させ、1個のタンクの液面とインクジェットヘッドの水頭差でインクジェットヘッドに対して負圧を生成する構成でも本発明の技術的思想を適用することが可能である。
即ち、1個のタンクを採用した場合に、1個のタンクの大気ポートと、このタンクよりも下方に設置した廃液部との間を大気開放経路により連通させて画像形成装置を構成したときに、大気開放経路は、タンクの大気ポートからこの大気ポートよりも上方の最上部を経てタンクよりも下方の廃液部に至るように形成されており、且つ、タンクの大気ポートから最上部に到達するまでの間に少なくとも1箇所以上屈曲させた屈曲部を有することで、振動や衝撃によりタンクの大気ポートから溢れ出たインクIKを大気開放経路内に流れ出すことを防止できる。
1…画像形成装置、
10…画像形成部、11…インクジェットヘッド、11a…ノズル面、
12…インク温度計、13…ヘッドクリーニング機構部、
20…インク補充部、21…インクカートリッジ、26…インク補充弁、
30…インク経路部(インク循環経路部)、
31…第1のタンク、33…インク分配器、34…インク回収器、
35…第2のタンク、37…ポンプ、38…熱交換器、39…フィルタ、
41〜43…インク循環経路(チューブ)、
50…第1の大気開放経路部、50A…変形例1における第1の大気開放経路部、
50B…変形例2における第1の大気開放経路部、51…大気開放経路(チューブ)、
52…L字状ジョイント、53…第1のタンク共通気圧室、54…第1の大気開放弁、
55…第2の大気開放経路部、55A…変形例1における第2の大気開放経路部、
55B…変形例2における第2の大気開放経路部、56…大気開放経路(チューブ)、
57…L字状ジョイント、58…第2のタンク共通気圧室、59…第2の大気開放弁、
60…廃液部、61…オーバーフロータンク、64…廃液タンク、
70…圧力調整部、72…ベローズ、73…錘、
74〜76…ベローズ昇降機構、74…ベローズ昇降材、76…パルスモータ、
80…制御部、IK…インク、P…記録媒体(用紙)。

Claims (1)

  1. インクを吐出して記録媒体上に画像を形成するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドに供給するための前記インクを貯留するタンクとを少なくとも連通させたインク経路部と、
    前記タンクよりも下方に設置されており、前記タンクから溢れ出た前記インクを廃液として収容する廃液部と、
    前記タンクの大気ポートと前記廃液部との間を連通させた大気開放経路と、を備えた画像形成装置において、
    前記大気開放経路は、前記タンクの大気ポートから該大気ポートよりも上方の最上部を経て該タンクよりも下方の前記廃液部に至るように形成されており、且つ、前記タンクの大気ポートから前記最上部に到達するまでの間に少なくとも1箇所以上屈曲させた屈曲部を有することを特徴とする画像形成装置。
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