JP5276902B2 - インクジェットプリンタ及びそのインク検出方法 - Google Patents
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Description
前記液面位置センサがOFF状態となってから前記インクカートリッジ内のインクが空になったか否かの状態を判定するまでの待機時間Tとすると、補給されるインクの増加時に前記液面位置センサがOFFからONするのに要する第1の時間t1=(V1)/(P1−R)、前記インクカートリッジからインクが補給されない場合に、前記第1インクタンクから前記インクヘッドに向かうインクに気泡が発生するまでに要する第2の時間t2=(V2)/(H)とし、前記待機時間Tは、t1<T<t2の関係式を満たすように設定されるインクジェトプリンタを提供する。
図1は、本発明に係る一実施形態のインクジェットプリンタにおけるインク経路構成を概略的に示す図である。図1には図示していないが、通常のインクジェットプリンタが備えている、記録媒体を供給する供給部、供給された記録媒体を搬送する搬送機構、画像形成された記録媒体を搬出する排出部及び、インクヘッドのメンテナンスを行うメンテナンス部、インク吐出制御を含み装置全体を制御する装置制御部等を有しているものとして説明する。本実施形態のインクジェットプリンタ1は、少なくとも4種類の色のインク(C、M、Y、K)を用いて画像を形成する。図1においては、1色のインクに関わるインク循環経路の構成を代表的に示している。
このインク循環部4は、ヘッドホルダ部(画像記録部)3と、上部タンク(第1タンク)31と、下部タンク(第2タンク)32と、ポンプ33と、インク熱交換器34と、フィルタ部35と、で構成される。このインク循環部4において、インクは上部タンク31から、イヘッドホルダ部3、下部タンク32、ポンプ33、インク熱交換器34及び、フィルタ部35の順に流れ、上部タンク31へ帰還する。本実施形態では、これらの構成部位は、鉛直方向(重力方向)に低い位置から順に、ポンプ33、下部タンク32(内部のインク液面の位置)、インクヘッド2(ノズル液面の位置)、上部タンク31(内部のインク液面の位置)となるように配置されている。尚、インク熱交換器34と、フィルタ部35は、上部タンク31と下部タンク32の間にあれば任意の高さ位置でよい。
第1の経路40は、上部タンク31からヘッドホルダ部3を経由して下部タンク32へ水頭差によってインクが自然落下する経路部分である。第2の経路41は、下部タンク32から熱交換器34、フィルタ部35を経由して、上部タンク31まで、ポンプ33によってインクを揚送する経路部分である。
上部タンク31は、後述するヘッドホルダ部3より重力方向上方となるように配置されている。さらに詳細には、上部タンク31内のインク液面がインクヘッド2のノズル面より重力方向上方となるように配置されている。そして、この上部タンク31には、インク入口ポート31aと、インク出口ポート31bと、大気ポート31cと、が設けられている。また、上部タンク31内には、インク液面の位置を所定の高さに保つために、液面検出部42が設けられている。
ヘッドホルダ部3は、インクを吐出する複数のインクヘッド2と、インクヘッド2にインクを供給するためのインク分配器11と、インクヘッド2で吐出されなかったインクを回収するインク回収器12と、温度センサ47と、を備えている。本実施形態のインクヘッド2は、記録媒体の幅に満たない記録幅(ノズル列の長さ)を有する短尺のインクヘッドを用いて、これらを記録媒体の幅方向に、例えば千鳥配置してフレーム等に固定された構成である。勿論、インクヘッド2は、記録媒体の幅以上の記録幅を有する長尺な1本のインクヘッドでもよい。
温度センサ47は、各インクヘッド2又はその近傍のインク流路に配置され、インクヘッド2から吐出されるインクの温度を検出している。
インク出口ポート32bは、チューブを介して後述するポンプと接続されている。大気ポート32cは、チューブを介して圧力調整部10と接続さている。
ベローズ部51は、下部タンク共通気室9にチューブによって接続され、伸び下がることで下部タンク共通気室9内を負圧状態にすることができる。この負圧は、まず、大気開放弁54を開放し、下部タンク共通気室9を大気に対して開放した状態でベローズ昇降機構によりベローズ部51及び錘部52を上昇させる。そしてベローズ部51及び錘部52を所定の位置まで上昇させた後、大気開放弁54を閉じる。このように大気開放弁54を閉じると、下部タンク32の空気部分、下部タンク共通気室部9及びベローズ部51の内部は連通しつつ外部とは閉じられた空間となる。この状態でベローズ部51を伸縮させると、上記閉じられた空間の体積が増減する。つまり、ベローズ昇降機構を降下させるとベローズ部51が錘部52の重さによって下方に引っ張られ、上記閉じられた空間の体積が増加し、下部タンク共通気室9内には、錘部52に加わる重力と釣り合う大きさの負圧が発生する。
下部タンク共通気室9内に発生させた負圧は、チューブで連通する下部タンク32内も同じ負圧状態にする。下部タンク32の負圧状態は、チューブで連通するインクヘッド2内にも所定の負圧をかける。この所定の負圧により、ノズルに掛かるインクにメニスカスを形成することができる。また、この所定の負圧は、インク循環にも寄与している。このように、圧力調整機構53は、インクヘッド2に負圧を与えて、ノズルに掛かるインクにメニスカスを形成し、正常な印字動作を可能としている。
ポンプ33は、下部タンク32のインク出口ポート32bとチューブで接続されており、下部タンク32内のインクを上部タンク31へ送るために設けられている。
タンクトレイ21と、廃液タンク22と、廃インク量検知部23と、タンク装着検知部24と、オーバーフローパン44とで構成される。
インク流路部は、ポンプ33によって汲み上げられたインクが流れる流路であり、外形が板形状に形成され、内部が複数の壁により仕切られて、インクに対して熱が伝達しやすくなるように構成されている。
このように、インク流路部に対して、一方の面にヒートシンク部を配置し、他方の面にヒータ部を配置することによって、インクを冷却するときのヒートシンク部とインク間の熱抵抗、加熱する時のヒータ部とインク間の熱抵抗を最小とすることができ、効率よく熱交換を行うことができる。
図2は、第1の実施形態に係るインクジェットプリンタのインク循環部4の構成を概略的に示している。尚、図2に示すインク循環部4は、説明に必要な構成部位のみ図示し、その他は省略している。また、図2に示すインク循環部4の構成部位の配置は、図1に示すインク循環部4と多少異なっているが、インクの循環順路は前述と同様である。
インク温度(℃) 1 5 10 25 40 45
インク流量(ml/s) 0.82 1.50 1.86 2.46 3.73 5.46
表1に示すように、インク温度とインク流量の関係は、温度と共に流量も上昇する。これは、前述したようにインクの粘度は温度に依存(低温では高粘度で、高温では低粘度)するため、インクがチューブを流れる際の抵抗値は、粘度、即ちインク温度に反比例する。つまり、高温のインクは流れやすく、低温のインクは流れにくくなる。そのため、インク循環中のインクの温度が本実施形態の印字品質を保証するインクの温度範囲内(例えば10℃〜40℃)に収まっていたとしても、インク循環部4内を流れるインク流量は異なってくる。従って、流量計測部67は、上部タンク31からインクヘッド2に流れる単位時間当たりのインク流量、及び下部タンク32から上部タンク31に流れる単位時間当たりのインク流量をインク温度に基づいて算出している。すなわち、流量計測部67は、インク循環部4内のインク温度に基づいて単位時間当たりにインク循環部4内を流れるインク流量が算出している。
まず、記録媒体に画像を記録するためインクヘッド2からインクを吐出するとインク循環部4内のインクが消費され、上部タンク31の液面65の高さが徐々に低くなる。これを液面検出部42によりインクの液面の高さを検出し(ステップS1)、液面位置に基づく規定された残量が有るか否かを判断する(ステップS2)。規定された残量があれば(YES)、ステップS1へ戻る。なお、規定された残量を有している時、液面検出部42(液面位置センサ42b)はON状態を維持している。しかし、予め設定されたインクの液面の高さよりも低くなると(NO)、液面位置センサ42bがON状態からOFF状態に切り替わる(ステップS3)。
そこで、本実施形態においては、上記(a)(b)の条件を共に満たすように、インクカートリッジ5内のインクが空になったか否かを判断する時間を以下のように設定する。
V1:上部タンク31の液面位置センサ42bのON/OFF位置高低差分の体積、
V2:液面位置センサ42bがOFFした後、出口ポートの開口が液面上に露呈するまで体積、
V3:上部タンク31の設計空気量(通常状態の空気体積)、
P1:下部タンク32から上部タンク31に向かって流れるインク流量、
H:ヘッドのインク吐出量、
R:上部タンクからインクヘッドへ向かって流れるインク流量、とすると、
装置がインクカートリッジ5のインクなしを検知するまでの待機時間Tは、
(V1)/(P1−R)<T<(V2)/(H) …式1
となるように設定すればよい。
Ta=(V2)/(2*H)
とする。
また、上述の説明では、温度センサを配置させたが、温度センサを配置しない場合は、下記のように設定すればよい。
つまり、(1)式の左辺において一番厳しい条件は、上部タンク31からインクヘッド2に流れるインク流量が最大で、下部タンク32から上部タンク31に送られるインク流量が最小の時である。
従って、待機時間Tは、
(V1)/(P1min−Rmax)<T<(V2)/(Hmax) …式2
の条件が成り立つように設定すれば、温度センサを用いずに待機時間Tを固定値として利用することができ、単純な制御で不用意にインクの空を通知することなく且つ、インクヘッド2に空気が混入することを確実に防止することができる。
待機時間Tに対して、その時間内で下部タンク32にインクがオーバーフローしないための条件は、
S:インクカートリッジからのインク補給量、
V4:下部タンク32の設計空気量(通常状態の空気体積)、
V5:下部タンク32の液面調整器45aが下降してインク出口ポート45bの開口を閉鎖するまでの高低差分の体積、とすると
(V1)/(P1−R)<T<(V4)/{(R−H)+S−P1} …式3
である。この式3において、右辺が小さく、左辺が大きいときには、オーバーフローに対して一番条件が厳しい状態となる。
・上部タンク31からインクヘッド2に流れるインク流量が最大で、下部タンク32から上部タンク31に送られるインク流量が最小の時である。
・H=0:インクヘッド2からインクが吐出されていない。
・S=Smax:インクカートリッジ5から補給されているインクが高温でインク流量が多い。
・(R−P1):装置環境温度によって値が一番大きくなる時が一番厳しい条件となる。すなわち、
(V1)/(P1min−Rmax)<T<(V4)/{R+Smax−P1} …式4
この式が成り立つようにすれば、問題ない。
(V2)/(H)<T<V5/{P1−(R−H)−S} …式5
である。この式5においては、左辺が最大、右辺が最小のときに一番厳しい状態となる。
・H=Hmax:インクヘッド2からインクが吐出している。
右辺の一番厳しい条件は、
・H=Hmax:インクヘッド2から吐出している。
・S=0:インクカートリッジ1から補給なし。
・P1=P1max:装置環境が高温で、ポンプ送液量が多い。
このような状態で式5が成り立つようにすれば、問題は発生しない。即ち、
(V2)/(Hmax)<T<V5/{P1max−(Rmax−Hmax)} …式6
この式が成り立つようにすれば、問題ない。
Claims (6)
- インクを吐出するためのインクヘッドと、
前記インクを貯留して前記インクヘッドに前記インクを供給する第1タンクと、
前記第1タンク内に配置され、前記インクの液面の高さを検出し、規定された残量を示す第1液面位置でON状態となり、前記第1液面位置から下降した予め設定された第2液面位置でOFF状態に切り替わる液面位置センサと、
前記インクヘッドからのインクが流入する第2タンクと、
前記第2タンクから前記第1タンクヘインクを汲み上げるためのポンプと、
前記第2タンクにインクを補給するためのインクカートリッジと、
前記第1タンクから前記インクヘッド、前記第2タンク、前記ポンプの順で上流側からインク流路で連結されて、前記ポンプから前記第1タンクにインク流路でインクを戻して、一巡するインク循環経路におけるインク補給を制御する制御手段と、
を具備し、
前記液面位置センサがOFF状態に切り替わったならば、前記カートリッジから前記第2タンクにインクが補給されると共に、前記ポンプによって、インクが前記第1タンクに汲み上げられ、前記液面位置センサがON状態に切り替わったならば、前記カートリッジから前記第2タンクへのインクの補給が停止され、
前記制御手段は、前記第1液面位置と前記第2液面位置の間のインク量をV1、前記液面位置センサの前記第2液面位置からヘッドヘのインク出口ポートまでインク液面が下がるまでのインク容量をV2、前記第1タンクヘのインク流入量として算出された所定値をP1、前記第1タンクからのインク流出量として算出された所定値をR、前記インクヘッドから吐出されるインク吐出量をH、V1<V2、としたときに、
前記液面位置センサがOFF状態となってから前記インクカートリッジ内のインクが空になったか否かの状態を判定するまでの待機時間Tとすると、
補給されるインクの増加時に前記液面位置センサがOFFからONするのに要する第1の時間t1=(V1)/(P1−R)
前記インクカートリッジからインクが補給されない場合に、前記第1インクタンクから前記インクヘッドに向かうインクに気泡が発生するまでに要する第2の時間t2=(V2)/(H)とし、
前記待機時間Tは、t1<T<t2の関係式を満たすように設定されることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記インクジェットプリンタは、さらに、
前記インク循環経路中のインクの温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによって検出されたインク温度に基づいて、前記第2タンクから前記第1タンクヘのインク流入量P1及び、前記第1タンクから前記インクヘッドへ流れるインク流出量Rを、それぞれ算出する流量算出手段と、
を具備すること特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記インクジェットプリンタにおいて、前記制御手段は、
前記Tをt1<T<t2/2となるように設定し、
前記待機時間Tに対して、前記第1タンクから前記インク流路への気泡混入のマージンを有して時間設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記インクカートリッジから前記第2タンクにインクを補給する際に、
前記制御手段は、さらに、インクカートリッジからのインク補給量をS、第2タンクの設計空気量即ち、通常状態の空気体積をV4として、オバーフローをしないインク補給の待機時間T2は
T2<(V4)/{(R−H)+S−P1}
の関係式を満たすように設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記インクジェットプリンタにおいて、
前記第2タンク内に設けられて、インクの液面位置により移動し、タンク内下方に配置された前記第1タンクへのインク出口ポートの開口を下降により閉鎖する調整器を備え、
前記制御手段は、
前記第2タンク内の通常稼働時のインクの所定の液面位置から該インクの減少により前記調整器が下降して前記インク出口ポートの開口を閉鎖するまでのインクの体積をV5とし、前記第1タンクに送出するインクに空気が混入する直前を該第2タンクにおけるインクが空になったか否かの状態を判断するまでの最大待機時間T3とすれば、空気混入を防止するための条件は、
前記第1タンクに送出するインクに空気が混入することを防止するための前記第2タンクにおけるインクが空になったか否かの状態を判断するまでの最大待機時間T3は、
T3<V5/{P1−(R−H)−S}
の関係式を満たすように設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。 - インクを吐出するためのインクヘッドと、
前記インクを貯留して前記インクヘッドに前記インクを供給する第1タンクと、
前記第1タンク内に配置され、前記インクの液面の高さを検出し、規定された残量を示す第1液面位置でON状態となり、前記第1液面位置から下降した予め設定された第2液面位置でOFF状態に切り替わる液面位置センサと、
前記インクヘッドからのインクが流入する第2タンクと、
前記第2タンクから前記第1タンクヘインクを汲み上げるためのポンプと、
前記第2タンクにインクを補給するためのインクカートリッジと、
前記第1タンクから前記インクヘッド、前記第2タンク、前記ポンプの順で上流側からインク流路で連結されて、前記ポンプから前記第1タンクにインク流路でインクを戻して、一巡するインク循環経路におけるインク補給を制御する制御手段と、
を具備するインクジェットプリンタであって、
前記液面位置センサがOFF状態に切り替わったならば、前記カートリッジから前記第2タンクにインクが補給されると共に、前記ポンプによって、インクが前記第1タンクに汲み上げられ、前記液面位置センサがON状態に切り替わったならば、前記カートリッジから前記第2タンクへのインクの補給が停止され、
前記制御手段は、前記第1液面位置と前記第2液面位置の間のインク量をV1、前記液面位置センサの前記第2液面位置からヘッドヘのインク出口ポートまでインク液面が下がるまでのインク容量をV2、前記第1タンクヘのインク流入量として算出された所定値をP1、前記第1タンクからのインク流出量として算出された所定値をR、前記インクヘッドから吐出されるインク吐出量をH、V1<V2、としたときに、
前記液面位置センサがOFF状態となってから前記インクカートリッジ内のインクが空になったか否かの状態を判定するまでの待機時間Tとすると、
補給されるインクの増加時に前記液面位置センサがOFFからONするのに要する第1の時間t1=(V1)/(P1−R)
前記インクカートリッジからインクが補給されない場合に、前記第1インクタンクから前記インクヘッドに向かうインクに気泡が発生するまでに要する第2の時間t2=(V2)/(H)とし、
前記待機時間をTとして、t1<T<t2の関係式を満たすように設定されることを特徴とするインクジェットプリンタの検出方法。
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