JP5624812B2 - 画像記録装置 - Google Patents
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Description
特許文献1では、インク循環経路でインクの循環を開始する際、連通バルブを閉めた状態で、つまりインク循環経路は画像記録部のノズル孔以外は外気に対し密閉の状態で循環を開始する。特許文献1のインク循環経路は、例えばサブタンクやバッファタンクの内部にあるエアバッファのように、ポンプから画像記録部にインクを供給する上流インク経路と、画像記録部からインクを回収する下流インク経路とに各々空気が介在している。ここで、空気は圧力により大きく収縮するが、インクは圧力による収縮がほとんどない。
[第1の実施の形態]
(構成)
図1〜3および図6、7は、本発明の第1の実施の形態を示す。図1は本発明に係る第1の実施の形態におけるインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示す図である。
インク循環部2は、画像記録部12aと、インクを循環させるポンプ6と、第1のインク経路14と、第2のインク経路15と、で構成される。
これらの各構成部間は、インク流路としてのチューブ(図の矢印つきの細い線)を介して順次接続されている。
第1のインク経路14はチューブを通して上述した熱交換部10、フィルタ11、圧力調整部24の順に接続されている。
熱交換部10は、チューブを介してポンプ6と接続され、ポンプ6によって送られたインクを所定の温度に維持するように調整している。即ち、熱交換部10に流入したインクを加温、又は、冷却する。
フィルタ11は画像記録部12aに供給されるインクに含まれる異物を除去し、画像記録部12aのノズル13のノズル孔の目詰まりなどに起因する印字不良をなくすために設けられている。フィルタ11は、インクを通過させるメッシュ状の部材を有し、そのメッシュの網目として、画像記録部12aの各ノズル13のノズル孔の口径を問題なく通過できるような、十分小さい異物までも除去できるサイズの網目となっている。
そして、フィルタ11から流出したインクを、後述する圧力調整部24を介した後、画像記録部12aに流入させるように設けられている。
記録ヘッド12は、インク供給器16とインク回収器17に接続されたノズル13と、前記ノズルに設けられ記録媒体にインクを吐出するノズル孔と、ノズル孔が並設されたノズルプレートとを有する。インク供給器16には、第1のインク経路14と接続されインクが供給される供給ポート29が設けられている。インク回収器17には、第2のインク経路15と接続されインクを排出する排出ポート30が設けられている。
また、画像記録部12aには記録ヘッド12を通過するインクの温度を検出するヘッドサーミスタ28が備えられている。
なお本実施例では、画像記録部12aを、複数の記録ヘッド12と、インク供給器16と、インク回収器17と、で構成する記載としたが、これに限らず、前述の特許文献1に記載の構成のように、インク供給器16とインク回収器17と複数の記録ヘッド12を一体的に設け、供給ポート29と排出ポート30と複数のノズル孔とを有する一体的な画像記録部(記録ヘッド)としてもよい。
記録ヘッド12は、図示しない用紙搬送部に対向して設けられ、外部から入力された画像信号に基づいて、各記録ヘッド12のノズルプレートに形成されているノズル13のノズル孔から、用紙搬送機構により搬送される図示しない記録媒体に向けて液体であるインクを吐出する。
なお、液面検出部5eは、上記の構成に限ることはなく、インク液面の位置を検出することができればよい。例えば、インクタンク5の壁面の一部を透明部材で構成し、透明部材の壁面を通して光学センサで直接液面の位置を検出するようにしてもよい。また、予め液面の位置と、インクタンク5の内圧との関係を調べておいて、圧力センサでインクタンク5の内圧を測定することで、液面の位置を検出するようにしてもよい。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のインクジェットプリンタ1の使用時には、ポンプ6を駆動して循環を開始する。このポンプ6を駆動する際に、特許文献1のように、インクタンク5に空気部があると、空気には圧縮する性質があるため、第2のインク経路15の圧力P2は、図4Aに示すようにポンプ6の駆動時点T1から緩やかに時間と共に変動する。このとき、第1のインク経路14には空気部がなく、インクで満たされている。インクは略非圧縮性であるため、圧力調整部24を作動させずにインクを循環させると、第1のインク経路14の圧力P1は、図4Bに示すようにポンプ6の駆動時点T1から略同時に変化する。したがって、第1のインク経路14の圧力P1と第2のインク経路15の圧力P2とでは単位時間当たりの圧力変化量が異なってしまう。即ち、第1のインク経路14の圧力P1のほうがより早く圧力一定状態になる。
ここで、ノズル圧力Pnは、供給ポート29の圧力P1と、出口である排出ポート30の圧力P2と、ノズル孔からの外気圧と、供給ポート29とノズル孔との水頭差による圧力と、排出ポート30との圧力P2とノズル孔との水頭差による圧力と、により決まるが、本実施形態の説明においては、便宜上、外気圧は一定とし、また供給ポート29とノズル孔との水頭差および排出ポート30との圧力P2とノズル孔との水頭差はないものとし、つまりはノズル圧力Pnはノズル孔に対して入り口である供給ポート29の圧力P1と、出口である排出ポート30の圧力P2との平均値で表されることとする。
即ち、ノズル圧力Pnは図5Bに示すようにポンプ6の駆動時点T1から時間と共に振る舞い、循環動作の開始直後にノズル圧力が急激に変動する。このとき、ノズル圧力Pnは、予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間から外れ、不安定になってしまう。したがって、ノズル圧力Pnの急激な変動により、メニスカスが破壊されてしまい、ノズル13のノズル孔から予期せぬインク滴が出て、印字不良の原因となってしまう場合がある。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のインクジェットプリンタ1では、第1のインク経路14に圧力調整部24を設けている。そして、圧力調整部24の圧力調整電磁弁25は、コントローラ43によってインク循環部2の循環開始直前、あるいは循環開始と共に、あるいは循環開始の直後の少なくともいずれか1つのタイミングで一旦開放され、その後、第2のインク経路15の圧力が圧力一定状態になるまでに閉じるという制御をしている。このとき、圧力調整電磁弁25が開放されて、ポンプ6を駆動すると第1のインク経路14は加圧され、同時に流路分岐27を経て容器26も加圧される。そのため、容器26は、この容器26にかかる正圧と釣合うまで伸びることで、第1のインク経路14の単位時間当たりの圧力変化量を少なくすることができる。その結果、図7に示すようにポンプ6の駆動時点T1から変化する画像記録部12aのノズル圧力Pnの変化量が少なくなり、ノズル圧力Pnが予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間から外れずにすむ。したがって、インクの循環動作の開始直後のノズル圧力の急激な変化を抑制(緩和)することで、画像記録部12aからの予期せぬインク漏れやメニスカスの破壊による印字不良を防止する画像記録装置を提供することができる。
(構成)
図9乃至図13は、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、第1の実施の形態(図1乃至図7参照)のインクジェットプリンタ1の構成を次の通り変更した変形例である。図9は、本実施の形態におけるインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示す図である。
なお、第1の実施の形態と同じ構成は説明を省略する。
インク循環部2の第1のインク経路14は、画像記録部12aの供給ポート29とポンプ6のインク出口との間を接続する。この第1のインク経路14には、熱交換部10と、フィルタ11と、インクタンク52とが、ポンプ6側から順次介設されている。第2のインク経路15は、画像記録部12aの排出ポート30とポンプ6のインク入口との間を接続する。この第2のインク経路15には、後述する圧力調整部51が介設されている。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態のインクジェットプリンタ1の使用時には、インク循環時は第1の実施の形態と同様に、大気解放電磁弁53を閉じることでインク循環部2を画像記録部12aのノズル孔以外は密閉し、ポンプ6を駆動することで、インク循環動作を行う。本実施の形態において、圧力調整部51を作動せずにインクを循環させると、図11に示すように画像記録部12aの供給ポート29の圧力P1の変化状態と、排出ポート30の圧力P2の変化状態との差により、ノズル圧力Pnは、予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間から外れ、不安定になってしまう。したがって、ノズル圧力が適正圧力範囲Rを逸脱し、メニスカスが破壊されてしまい、ノズル孔から外気を吸い込むことで、印字不良の原因となってしまう場合がある。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のインクジェットプリンタ1では、第2のインク経路15に圧力調整部51を設けている。そして、圧力調整部51の圧力調整電磁弁56は、コントローラ43によってインク循環部2の循環開始直前、あるいは循環開始と共に、あるいは循環開始の直後の少なくともいずれか1つのタイミングで一旦開放され、その後、第2のインク経路15の圧力が圧力一定状態になるまでに閉じるという制御をしている。このとき、圧力調整電磁弁56が開放されて、ポンプ6を駆動すると第2のインク経路15は減圧され、同時に流路分岐54を経て容器57に吸引力(負圧)が作用する。容器57は伸縮可能であるために容器57にかかる負圧と釣合うまで縮む。容器57が縮むことで、排出ポート30の圧力の変動量が少なくなる。その結果、図13に示すようにポンプ6の駆動時点T1から変化する画像記録部12aのノズル圧力Pnの変化量が少なくなり、ノズル圧力Pnが予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間から外れずにすむ。したがって、インクの循環動作の開始直後のノズル圧力の急激な変化を抑制(緩和)することで、画像記録部12aからの予期せぬインク漏れやメニスカスの破壊による印字不良を防止する画像記録装置を提供することができる。
(構成)
図15乃至図18は、本発明の第3の実施の形態を示す。図15は本実施の形態におけるインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示す図である。なお、上述の実施の形態と同じ構成は説明を省略する。
本実施の形態では、インク供給側の第1のインク経路14に第1のインクタンク61を設け、さらにインク排出側の第2のインク経路15に第2のインクタンク62を設けており、第1のインク経路14と第2のインク経路15との両方の経路に空気が介在している。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態では、第2のインクタンク62の空気部62dの容量と、第1のインクタンク61の空気部61dの容量とが異なる。そのため、本実施の形態の圧力調整部として機能する第2のインクタンク62の気圧路チューブ66の第2の大気解放電磁弁67を作動せずにインク循環部2にインクを循環させると、図16に示すように第1のインク経路14(画像記録部12aの供給ポート29)の圧力P1の単位時間あたりの圧力変動量と、第2のインク経路15(画像記録部12aの排出ポート30)の圧力P2の単位時間あたりの圧力変動量が異なってしまう。即ち、第2のインク経路15の方が、早く圧力一定状態になる。このとき、ノズル圧力Pnは、予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間から外れ、不安定になってしまう。したがって、ノズル圧力Pnの急激な変動により、メニスカスが破壊されてしまい、ノズル13のノズル孔から予期せぬ外気を吸い込むことで、印字不良の原因となってしまう場合がある。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のインクジェットプリンタ1では、第2のインクタンク62の気圧路チューブ66の第2の大気解放電磁弁67を本実施の形態の圧力調整部として機能させている。そして、第2の大気解放電磁弁67は、コントローラ70によってインク循環部2の循環開始直前のタイミングで一旦開放され、その後、図18中のT2の時点で閉じるという制御をしている。このとき、第2の大気解放電磁弁67が開放されて、ポンプ6を駆動すると第2のインク経路15に吸引力(負圧)が作用しない。そのため、図18に示すように第2のインク経路15側の排出ポート30の圧力変動の開始をポンプ6の駆動時点T1よりも遅くすることができる。これにより、図18に示すようにポンプ6の駆動時点T1から変化する画像記録部12aのノズル圧力Pnの変化量が少なくなり、ノズル圧力Pnが予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間から外れずにすむ。したがって、インクの循環動作の開始直後のノズル圧力の急激な変化を抑制(緩和)することで、画像記録部12aからの予期せぬインク漏れやメニスカスの破壊による印字不良を防止する画像記録装置を提供することができる。
[第4の実施の形態]
(構成)
図19乃至図22は、本発明の第4の実施の形態を示す。本実施の形態は第3の実施の形態(図15乃至図18参照)の変形例である。本実施の形態では、第1のインクタンク61の空気部61dの空気容量は、第2のインクタンク62の空気部62dの空気容量よりも小さくなっている。本実施の形態では、第1のインクタンク61の気圧路チューブ64の第1の大気解放電磁弁65がインク循環部2内の圧力を調整する圧力調整部として機能する構成になっている。第1の大気解放電磁弁65は、コントローラ(制御手段)71に接続されている。コントローラ71には、ポンプ6や、インクジェットプリンタ1の図示しない操作パネルなどが接続されている。そして、第1の大気解放電磁弁65は、コントローラ71によってインク循環部2の循環開始直前のタイミングで一旦開放され、その後、図18中のT2の時点で閉じるという制御をしている。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態では、第2のインクタンク62の空気部62dの容量が、第1のインクタンク61の空気部61dの容量よりも大きい。そのため、本実施の形態の圧力調整部として機能する第1のインクタンク61の気圧路チューブ64の第1の大気解放電磁弁65を作動せずにインク循環部2にインクを循環させると、図20に示すように第1のインク経路14(画像記録部12aの供給ポート29)の圧力P1の単位時間あたりの圧力変動量と、第2のインク経路15(画像記録部12aの排出ポート30)の圧力P2の単位時間あたりの圧力変動量が異なってしまう。即ち、第1のインク経路14の方が、早く圧力一定状態になる。このとき、ノズル圧力Pnは、予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間から外れ、不安定になってしまう。したがって、ノズル圧力Pnの急激な変動により、メニスカスが破壊されてしまい、ノズル13のノズル孔から予期せぬインク滴が出て、印字不良の原因となってしまう場合がある。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のインクジェットプリンタ1では、第1のインクタンク61の気圧路チューブ64の第1の大気解放電磁弁65を本実施の形態の圧力調整部として機能させている。そして、第1の大気解放電磁弁65は、コントローラ71によってインク循環部2の循環開始直前のタイミングで一旦開放され、その後、図22中のT3の時点で閉じるという制御をしている。このとき、第1の大気解放電磁弁65が開放されて、ポンプ6を駆動すると第1のインク経路14に吐出力(正圧)が作用しない。そのため、図22に示すように第1のインク経路14側の供給ポート29の圧力変動の開始をポンプ6の駆動時点T1よりも遅くすることができる。これにより、図22に示すようにポンプ6の駆動時点T1から変化する画像記録部12aのノズル圧力Pnの変化量が少なくなり、ノズル圧力Pnが予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間から外れずにすむ。したがって、インクの循環動作の開始直後のノズル圧力の急激な変化を抑制(緩和)することで、画像記録部12aからの予期せぬインク漏れやメニスカスの破壊による印字不良を防止する画像記録装置を提供することができる。
[第5の実施の形態]
(構成)
図23および図24は、本発明の第5の実施の形態を示す。本実施の形態は、第3の実施の形態(図15乃至図18参照)の変形例である。すなわち、本実施の形態では、図15のインク経路の構成で、インク循環部2のインクの循環開始時に、図23に示すフローチャートのインク循環処理を行うようにしたものである。
図23のフローチャートでは、STEP501からSTEP504までは図17に示すフローチャートのSTEP301からSTEP304までと同じである。STEP505で第2の大気解放電磁弁67を予め設定しておいた回数だけ間欠的に開閉させる制御を行う。ここで、予め設定しておいた回数だけ第2の大気解放電磁弁67を開閉させた後に、STEP506で第2の大気解放電磁弁67を閉鎖する。STEP507以降は図17に示すフローチャートのSTEP306からSTEP309までと同じである。
本実施の形態によると、第2のインクタンク62の気圧路チューブ66の第2の大気解放電磁弁67は、インク循環部2の循環開始直前のタイミングで一旦開放され、その後、予め設定しておいた回数だけ第2の大気解放電磁弁67を開閉させ、図24中のT4の時点で第2の大気解放電磁弁67を閉じるという制御をしている。これにより、図24に示すようにポンプ6の駆動時点T1から変化する画像記録部12aのノズル圧力Pnの圧力変化量が少なくなり、ノズル圧力Pnは適正圧力(予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間)を保つことができる。
[第6の実施の形態]
(構成)
図25および図26は、本発明の第6の実施の形態を示す。図25は、本実施の形態におけるインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示す図である。本実施の形態は、第3の実施の形態(図15乃至図18参照)の変形例である。すなわち、本実施の形態では、図25のインク経路の第2のインクタンク62の気圧路チューブ66にインクタンク62に負圧を生成するための負圧生成部33を接続したものである。この負圧生成部33を圧力調整部として機能させる構成にしている。
なお、メニスカスを形成するために、第2のインクタンク62の第2の大気解放電磁弁67を閉じて負圧生成部33を用いて第2のインクタンク62に負圧を生成する場合、第1のインクタンク61の位置は重力方向に制限はない。さらに、メニスカスを形成するための第2のインクタンク62の役割を第1のインクタンク61が担えば第2のインクタンク62の位置は重力方向に制限はない。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態では、インク循環部2は、画像記録時や循環によるクリーニング時は、第2のインクタンク62の第2の大気解放電磁弁67及び、第1のインクタンク61の第1の大気解放電磁弁65を閉じて第2のインクタンク62及び第1のインクタンク61を大気から遮断する。この状態でポンプ6を駆動すると、第1のインク経路14は加圧され、時間と共に正圧になる。さらに第2のインク経路15は減圧され、時間と共に負圧になる。
つまり、ベローズ部34を支えない位置までベローズ昇降機構36を降下させると、ベローズ部34が錘部35の重さによって下方に引っ張られ、上記閉じられた空間の体積が増加し、第2のインクタンク62内には、錘部35に加わる重力と釣り合う大きさの一定の負圧が発生する。
図26は、本実施の形態におけるインク循環処理を説明するフローチャートである。STEP601では、循環処理が実行される。なお、この処理は、図示しない印刷動作の命令や、経路洗浄の命令がなされて実行される。次にSTEP602では第2の大気解放電磁弁67が開放され、第2のインクタンク62が大気に対し開放される。なお、待機状態で第2の大気解放電磁弁67が開放されているならば、STEP602は必要ない。次にSTEP603でベローズ昇降機構36が下降する。即ち、ベローズ部34が伸びる。そして、STEP604で第2の大気解放電磁弁67と、第1の大気解放電磁弁65が閉じて、インク循環部2は密閉される。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のインクジェットプリンタ1では、図25のインク経路の第2のインクタンク62の気圧路チューブ66にインクタンク62に負圧を生成するための負圧生成部33を接続し、この負圧生成部33をインクの循環動作の開始時の圧力調整部として機能させる構成にしている。この負圧生成部33の動作により、インクの循環動作の開始時には、第2の大気解放電磁弁67が開放されて、ポンプ6を駆動すると第2のインク経路15に吸引力(負圧)が作用しない。そのため、第2のインク経路15側の排出ポート30の圧力変動の開始をポンプ6の駆動時点T1よりも遅くすることができる(図18参照)。これにより、ポンプ6の駆動時点T1から変化する画像記録部12aのノズル圧力Pnの変化量が少なくなり、ノズル圧力Pnが予め設定された適正圧力範囲Rの上限値Pnmaxと下限値Pnminとの間から外れずにすむ。したがって、インクの循環動作の開始直後のノズル圧力の急激な変化を抑制(緩和)することで、画像記録部12aからの予期せぬインク漏れやメニスカスの破壊による印字不良を防止する画像記録装置を提供することができる。
(構成)
図27は、本発明の第7の実施の形態を示す。図27は、本実施の形態におけるインクジェットプリンタ1のインク経路の構成を概略的に示す図である。本実施の形態は、第3の実施の形態(図15乃至図18参照)の変形例である。すなわち、本実施の形態では、第1のインク経路14の第1のインクタンク61の空気部61dと、第2のインク経路15の第2のインクタンク62の空気部62dとは、それぞれの空気容量(バッファ容量)が略等しい容量に設定されている。さらに、前記第1のインク経路14の流路抵抗R1と前記第2のインク経路の流路抵抗R2が略等しい。また、第1のインクタンク61と及び第2のインクタンク62内のインク液面高さは重力方向に略等しい高さにあると同時に、画像記録部12aより低い位置にある。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態では、インク循環部2は、画像記録時や循環によるクリーニング時は、第2のインクタンク62の第2の大気解放電磁弁67及び、第1のインクタンク61の第1の大気解放電磁弁65を閉じて第2のインクタンク62及び第1のインクタンク61を大気から遮断する。この状態でポンプ6を駆動すると、第1のインク経路14は加圧され、時間と共に正圧になる。さらに第2のインク経路15は減圧され、時間と共に負圧になる。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態のインクジェットプリンタ1では、第2のインクタンク62の空気部62dの容量と、第1のインクタンク61の空気部61dの容量とが略等しい容量に設定されている。さらに、前記第1のインク経路14の流路抵抗R1と前記第2のインク経路の流路抵抗R2が略等しいので、第1のインク経路14及び第2のインク経路15の圧力の単位時間当たりの圧力の変動量の絶対値は略均等になる。即ち、ノズル圧力の変動が抑制され、従ってノズル孔のメニスカスが破壊されることはない。
Claims (4)
- 記録媒体に画像を記録するために前記記録媒体にインクを吐出するノズル孔と、インクが供給される供給ポートと、インクを排出する排出ポートと、を有する画像記録部と、
インクを循環させるポンプと、
インク循環経路を有し、
前記インク循環経路は、前記ポンプと前記画像記録部の前記供給ポートを接続し、前記ポンプから前記画像記録部へインクを供給する第1のインク経路と、前記画像記録部の前記排出ポートと前記ポンプを接続し、前記画像記録部から前記ポンプへインクを回収する第2のインク経路と、からなり、
画像記録時の前記インク循環経路は、前記ノズル孔を除き密閉である画像記録装置において、
前記インク循環経路には、前記インク循環経路内の圧力を調整する圧力調整部を設けるとともに、
前記ポンプの駆動により前記インク循環経路にインクを循環させる循環開始時に、前記画像記録部の2つのポートの部分の循環開始時における単位時間当たりの圧力変化量が大きい方の圧力変化を調整して前記画像記録部のノズル孔における圧力を予め設定された適正な設定範囲内に保持する状態に前記圧力調整部を制御する制御手段を設け、
前記圧力調整部は、前記インク循環経路中に設けられた圧力解放弁を有し、
前記制御手段は、前記圧力調整部の作動時に前記圧力解放弁を解放し、前記圧力調整部の停止時に前記圧力解放弁を閉じることを特徴とする画像記録装置。 - 前記制御手段は、循環開始の直前、あるいは循環開始と共に、あるいは循環開始直後の少なくともいずれか1つのタイミングで前記圧力調整部を作動させた後、前記画像記録部の2つのポートの部分の圧力が圧力一定状態になる前に前記圧力調整部を停止することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
- 前記制御手段は、循環開始後、前記画像記録部の2つのポートの部分の循環開始時における単位時間当たりの圧力変化量の小さい方の圧力が一定になるまでに前記圧力調整部の作動、停止を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
- 前記圧力調整部は、前記インク循環経路に連通され、少なくとも一部の内部容量を変化可能な容量変化部と、
前記容量変化部と前記インク循環経路との連通経路を開閉可能な開閉弁と、を具備し、
前記制御手段は、前記圧力調整部の作動時に前記開閉弁を解放し、前記圧力調整部の停止時に前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
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