JP2014144878A - 混合セメント及びコンクリートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポルトランドセメントの使用量を抑制して二酸化炭素使用量を低減する一方で、コンクリートとしての特性の低下を抑制する。
【解決手段】結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、高性能減水剤とを含むコンクリート用の混合セメントであって、前記結合材が、普通ポルトランドセメント45質量%と、高炉スラグ微粉末40〜45質量%と、フライアッシュ10〜15質量%とを含み、水結合材質量比が40%以下、空気量が3.0〜6.0%である。上記構成により、コンクリートの耐凍害性、低収縮性、耐塩害性、中性化に対する抵抗性等の諸条件を維持して、強度発現性にも優れたコンクリートを実現できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、プレキャストコンクリートなどに使用するコンクリート組成物である混合セメント及びこれを用いたコンクリートの製造方法に関する。
近年の環境意識の高まりを受け、コンクリートの分野においても環境負荷を低減するため、二酸化炭素(CO2)排出量の削減が求められている。セメントは、その製造過程で多大な二酸化炭素を発生することが知られている。一般に利用されるポルトランドセメントの製造によって発生するCO2は、セメント1t当り焼成エネルギーで約350kg/t、原料の石灰石から約450kg/t、合計約800kg/tであり、膨大な量となっている。セメント産業全体ではわが国全体の約3%に相当する。セメントの年間消費量が莫大であることからも、セメントの消費量を節約できれば、二酸化炭素排出量の削減効果は極めて大きく、社会的意義も大きいと考えられる。
このような観点から、土木工事に用いるコンクリートについては、製鉄所の銑鉄製造工程である高炉から生成する副産物である高炉スラグの微粉末をポルトランドセメントに混合した混合セメントが一部で用いられている。高炉スラグの混入量を多くすることで、ポルトランドセメントの使用量を低減し、もって二酸化炭素排出量も削減できる。高炉スラグ微粉末を用いたセメントとしては、既に日本工業規格JISR5211において、高炉セメントとして規格化されている。これによれば、高炉セメントA種では高炉スラグ微粉末の含有量が5〜30質量%、B種では30〜60質量%、C種では60〜70質量%と定められている。ただし実際に流通し、使用されているのは、高炉スラグ微粉末の含有量が50質量%前後のB種セメントが大半を占める。なおセメント製造時のCO2を削減する目的に鑑みれば、高炉セメントA種では不十分である。B種も十分ではないが、これとは別に高炉セメントB種は普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比べて中性化が速く、乾燥収縮が大きいといった課題があり、その利用拡大は必ずしも進んでいない。また高炉セメントC種ではCO2削減効果はより大きくなるものの、上記のB種における中性化、乾燥収縮の問題がさらに強く発現するため、殆ど利用されていないのが実情である。
また、いずれにしても高炉セメントが利用されているのは港湾やダム等の大型土木工事に止まり、一般の建築の分野ではこのような高炉セメントは殆ど使用されていない。それは、高炉スラグを混入したセメントは、耐用年数が通常のセメントに比べて劣ること、初期強度がポルトランドセメントよりも低いこと、養生期間も長くなるため、工期が遅れ費用が嵩むこと等の理由による。このため、用途が多く、使用量も大きい建築物の分野では、高炉セメントの利用が進んでいない。
加えて、高炉セメント以外にも混合セメントとして、例えば火力発電所で発生する石炭の焼却灰であるフライアッシュを、ポルトランドセメントに混合したフライアッシュセメントが存在する。しかしながらフライアッシュセメントは、高炉セメント以上に利用されておらず、電力会社ではフライアッシュの処理に莫大な費用をかけており、さらに処理のために二酸化炭素を排出するという悪循環となっている。
さらに加えて、高炉セメントとフライアッシュを共にポルトランドセメントに混合した混合セメントについては、研究自体は行われているものの、実際の利用例は皆無という状体である。その理由は、高炉セメントすら普及が進んでいないことからも明らかな通り、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを、コンクリートの混練時に混和材として使用することで、初期の強度発現が遅くなる等の不都合があったためである。特に、早期の脱型が必要なプレキャストコンクリート製品には、殆ど利用されていなかった。
近年においては、環境の観点から都市低炭素化促進法に基づく低炭素住宅・建築物の認定基準案等も纏まりつつあり、高炉セメントやフライアッシュセメントの利用による低炭素化対策も認定基準案の中に取り入れられている。このような背景にあって、コンクリートの各種耐久性を確保しながら、高炉スラグ微粉末やフライアッシュの産業副産物を有効に利用し、コンクリートの二酸化炭素消費量を低減することは、住宅・建築物の低炭素化を促進し、都市低炭素化を推進する上で大きな課題である。
特開2010−6662号公報 特開2006−8442号公報 特開2005−272260号公報 特開2005−154213号公報
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、ポルトランドセメントの使用量を抑制して二酸化炭素使用量を低減する一方で、コンクリートとしての特性の低下を抑制した混合セメント及びコンクリートの製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の目的を達成するために、本発明に係る混合セメントによれば、結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、高性能減水剤とを含むコンクリート用の混合セメントであって、前記結合材が、普通ポルトランドセメント45質量%と、高炉スラグ微粉末40〜45質量%と、フライアッシュ10〜15質量%とを含み、水結合材質量比が40%以下、空気量を3.0〜6.0%とすることができる。上記構成により、コンクリートの耐凍害性、低収縮性、耐塩害性、中性化に対する抵抗性等の諸条件を維持して、強度発現性にも優れたコンクリートを実現できる。
前記高炉スラグ微粉末は、ブレーン比表面積3000〜6000cm2/gとすることが好ましい。
前記高炉スラグ微粉末は、JISA6206高炉スラグ微粉末4000の規定に該当するものを使用することが好ましい。このように、安価で入手しやすい高炉スラグ粉末を利用して、実用性に優れたコンクリートが得られる。
またフライアッシュは、JISA6201フライアッシュII種に該当するものを使用することが好ましい。
これらの混合セメントを混練し、蒸気養生してコンクリートを製造できる。これにより、温度ひび割れ対策の少ない特性が得られ、マスコンクリートにも適用可能である。また得られるコンクリートは、緻密で放射線遮蔽能力の高い特性を発揮できる。
なお、混合セメントを混練し、気中養生してコンクリートを製造することもできる。
さらにコンクリートの製造方法は、普通ポルトランドセメント45質量%と、高炉スラグ微粉末40〜45質量%と、フライアッシュ10〜15質量%とを含む結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、高性能減水剤を含み、かつ水結合材質量比が40%以下、空気量が3.0〜6.0%の混合セメントを、混練する工程と、該混合セメントを蒸気養生させて硬化させる工程とを含む。
各実施例、比較例に用いたコンクリートサンプルを示す斜視図である。 実施例1〜6、比較例1〜2の各サンプルの長さ変化試験結果を示すグラフである。 実施例1〜6、比較例1〜2の各サンプルの長さ変化試験時のサンプルの重量変化率を示すグラフである。 電気泳動試験の概要を示す模式図である。 実施例1〜6、比較例1〜2の各サンプルの塩化物イオン浸透試験結果を示すグラフである。 実施例1〜6、比較例1〜2の各サンプルの塩化物イオンの実効拡散係数を示すグラフである。 実施例1〜6、比較例1〜2の各サンプルの凍結融解試験結果を示すグラフである。 実施例1〜6、比較例1〜2の各サンプルの凍結融解作用による質量の減少率を示すグラフである。 比較例3のサンプルの長さ変化試験の結果を示すグラフである。 比較例3のサンプルの凍結融解試験の結果を示すグラフである。 各実施例及び比較例に係る混合セメント及びコンクリートの製造方法の一実施形態における蒸気養生条件を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための混合セメント及びコンクリートの製造方法を例示するものであって、本発明は混合セメント及びコンクリートの製造方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
本発明の実施の形態に係る混合セメントは、普通ポルトランドセメント45質量%と高炉スラグ微粉末40〜55質量%とフライアッシュ0〜15質量%からなる結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と高性能減水剤とを混練して製造されたコンクリートであって、水結合材質量比が40%以下、空気量が3.0〜6.0%である。
この耐凍害性、耐塩害性、低収縮性、中性化に対する抵抗性を確保しながら、二酸化炭素を低減したコンクリート組成物では、水結合材の比率が普通ポルトランドセメント45質量%、高炉スラグ微粉末が40〜55質量%、フライアッシュが0〜15質量%の比率で使用されると共に、水結合材比が40%以下のコンクリートとすることにより、コンクリート組織が緻密となるため、塩化物の浸透や中性化の抑制効果が優れている。また、プレキャストコンクリートに用いる場合には、蒸気養生時間を最小限にしながら脱型強度を確保すると共に、製品の出荷時の強度、耐久性から必要とされる基準強度を満足するため、コンクリートの調合設計に用いられる設計基準強度は36N/mm2とすることが一般的である。この設計基準強度を満足するためには、水結合材比は40%程度以下とする必要がある。また、空気量を3.0〜6.0%にすることにより、耐凍害性に優れたコンクリートを得ることができる。また、空気量は3.0%未満となれば耐凍害性が低下し、6.0%を超えると強度が低下する。
この混合セメントは、結合材に用いる高炉スラグ微粉末を、ブレーン比表面積3000〜6000cm2/gとすることが好ましい。すなわち、このコンクリートでは高炉スラグ微粉末を使用することにより、普通ポルトランドセメントのみを使用するコンクリート組成物に比べ、二酸化炭素を低減しながら耐凍害性、耐塩害性、低収縮性を兼ね備え、十分な初期強度も得られると共に、製造コストも低減できる。なお、ブレーン比表面積が3000cm2/g未満であると耐塩害性や低収縮性が低下し、逆に6000cm2/gを超えるとひび割れが増加傾向となって、製造コストも増加する。よって上述の通り、3000〜6000cm2/gの範囲とすることで、好ましい特性を発揮できる。
また、この混合セメントの結合材には、フライアッシュII種を用いることが好ましい。フライアッシュは球状の微粒子であるため、15質量%以下程度で使用することで、そのボールベアリング作用により、特に水結合材比の小さいコンクリートにおいて、流動性が向上し単位水量が減じられる。また、普通ポルトランドセメントの置換により、二酸化炭素を低減することができると共に、コンクリートがより緻密になり、耐凍害性、耐塩害性、低収縮性を確保できる。
コンクリートを製造するには、混合セメントを混練して蒸気養生する。この製造方法によれば、上述した二酸化炭素削減効果を発揮するコンクリート組成物である混合セメントを用いているので、優れた耐凍害性、耐塩害性、低収縮性を兼ね備えたプレキャストコンクリートに適した二酸化炭素低減型のコンクリートを得ることができる。一般的には、高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを単独で用いたコンクリートに比べて、乾燥収縮量が大きくなる。これに対して上述の混合セメントを用いたコンクリート組成物を蒸気養生し、早期に水和反応させ強度発現させることにより、蒸気養生後の乾燥収縮量を、普通ポルトランドセメントを単独で用いた場合に比べて低減することができる。これにより、製品として供用している間に乾燥収縮のために発生するひび割れを抑制することができる。
混合セメントに使用する減水剤には、一般に市販されている「JISA6204コンクリート用化学混和剤」に適合する高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することが好ましい。これにより、コンクリートを練り混ぜたときのワーカビリティも良好となり、単位水量を大幅に低減することができる。また水結合材比のより小さいコンクリートを容易に得ることができるため、更に耐久性を向上させることができる。
以上のようにして、耐凍害性、耐塩害性、低収縮性を備えた混合セメントを実現できる。特に、普通ポルトランドセメントを45質量%、高炉スラグ微粉末を40〜55質量%、フライアッシュを0〜15質量%を用い、空気量が、3.0〜6.0%に設定されており、蒸気養生を行うことで初期の強度発現性も確保されると共に、耐凍害性、耐塩害性、低収縮性に優れ、耐久性を向上させることができる。なおかつ、普通ポルトランドセメントの使用量を低減できる結果、二酸化炭素の発生量を低減できる。このように、本実施の形態によれば、耐久性に優れ、二酸化炭素を低減したプレキャストコンクリートを得ることが可能となる。
(実施形態)
以下、本発明の実施の形態に係る混合セメント及びこれを用いたプレキャストコンクリートの製造方法について説明する。
本実施形態に係る混合セメントは、普通ポルトランドセメントを45質量%、高炉スラグ微粉末を40〜55質量%、フライアッシュを0〜15質量の結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、減水剤を水結合材比が40質量%以下で、空気量3.0〜6.0%になるように混練りしてなるものである。この混合セメントは、耐凍害性、耐塩害性、低収縮性という優れた特性を備える。
また、この混合セメントは「JISA6206高炉スラグ微粉末4000」に適合する高炉スラグ微粉末を使用する。また、この混合セメントは「JISA6201フライアッシュII種」に適合するフライアッシュを使用する。
この混合セメントを用いたプレキャストコンクリートは、上記本発明の混合セメントを混練して製造されたコンクリートを蒸気養生して製造される。
なお、上記の減水剤としては「JISA6204コンクリート用化学混和剤」に適合する高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用する。このプレキャストコンクリートは、建築用の壁、柱、梁、床版、ベランダ、階段等として使用されるものである。
上記の水としては、例えば水道水、地下水、工業用水などが用いられる。
上記の高炉スラグ微粉末は、熔鉱炉で銑鉄を製造する際に副産物として生じるスラグであり、溶融している高炉スラグを水を用いて急冷、粉砕したものである。この高炉スラグ微粉末は、セメントに加えた際にセメントの水和反応で生じた水酸化カルシウムやアルカリ塩類、石膏などにより水和反応を起こす性質(潜在水硬性)を有している。
比表面積は、ブレーン空気透過装置で測定され、単位重量の粉体に含まれる粒子の表面積の総和(cm2/g)で表される。日本工業規格では、このブレーン値により種類が区分されている。
上記のフライアッシュは、石炭を燃料とする火力発電所では、燃焼時に大量の灰が生成される。フライアッシュは、燃焼ガスと共に吹き上げられる球状の微粒子で、電気集塵機などで回収される。コンクリートと相性が良く、耐久性や施工性、流動性を向上させることが着目され、工業製品として位置づけられた。日本工業規格で品質規格が定められており、一般には日本工業規格のI種及びII種がコンクリート用の混和材として使用されている。
上記の高性能減水剤は、日本工業規格のコンクリート用化学混和剤として品質規定があり、一般に市販されているもので良く、ポリカルボン酸系、ナフタリン系、アミノスルホン酸系等ある。
上記の細骨材は、一般にコンクリートに用いられるもので良く、川砂、山砂、海砂、砕砂スラグ骨材等の例がある。また、上記の粗骨材は、一般に用いられるもので良く、砂利、砕石、スラグ骨材等の例がある。
上記のコンクリートの空気量は、空気調整剤によって、3.0〜6.0%の範囲に設定される。
また、このコンクリート組成物を蒸気養生する際は、図11に示す養生温度と時間の条件とする。この蒸気養生条件は、前養生3時間、昇温2時間(15℃/h)、最高温度保持3時間、蒸気停止後、自然養生8時間経過後に脱型する。蒸気養生開始から脱型までの時間は約12時間である。
本実施形態の本発明による耐凍害性、耐塩害性、低収縮性を備えた混合セメントによれば、普通ポルトランドセメントを45質量%、高炉スラグ微粉末を40〜55質量%、フライアッシュを0〜15質量%、空気量が、3.0〜6.0%、水結合材比を40質量%以下に設定することにより、初期強度の発現性も確保され、コンクリートが緻密になり、中性化の抑制、塩化物の浸透の抑制、乾燥収縮の低減が図れる。また、材齢7日で25N/mm2、材齢28日で45N/mm2以上の圧縮強度が得られる。また、コンクリート部材に応じて水結合材比を変化させ、部材に必要な強度を得るための適切な水結合材比を選定できる。
また、高性能AE減水剤を使用することにより、良好なワーカビリティを得ることができ、単位水量の少ない、水結合材比の小さいコンクリートを得ることができる。これにより、耐久性を更に向上させることになる。
空気調整剤を用いて、空気量を3.0%〜6.0%に設定することにより、耐凍害性に優れたコンクリートを作ることができる。
このようにして、本実施形態の二酸化炭素低減したコンクリート組成物及びコンクリートの製造方法により、耐凍害性、耐塩害性、低収縮性、早期の強度発現性を備えた二酸化炭素消費量を大幅に低減したプレキャストコンクリートを造ることができる。
(実施例1〜6、比較例1〜2)
次に、低炭素型コンクリート組成物を用いて製造したコンクリートの耐久性を評価するため、凍結融解試験、乾燥収縮試験、塩化物浸透試験を行った。ここでは、実施例1〜6及び比較例1〜2として、図1の斜視図に示すコンクリート製のサンプル100を作成して、それぞれの耐久性等を調べた。各実施例、比較例においては、以下の材料を使用した。なお図1においては、サンプル100にコンタクトチップ1を配置した状態を示しているが、コンタクトチップ1は乾燥収縮試験にのみ使用した。
<使用材料>
・セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)
・高炉スラグ微粉末:ブレーン比表面積4000(水島リバーメント株式会社製)
・フライアッシュ:フライアッシュII種(四国電力株式会社)
・細骨材(粗砂):徳島県吉野川中流産採取 川砂(若進産業株式会社)
・細骨材(細砂):福岡県北九州市若松区岩屋沖産採取 海砂(大同産業株式会社)
・コンクリート用化学混和剤:高性能減水剤レオビルド8000(BASF株式会社)
・コンクリート用化学混和剤:AE剤マイクロエア202(BASF株式会社)
・水:地下水 徳島県美馬市美馬町明神原 北岡プレコン株式会社敷地内採取
各使用材料の品質等を表1に示す。また各コンクリートの配合条件を、以下の表2に示す。表中の結合材の種類の表記は「N」は耐久性能の比較用として普通ポルトランドセメントのみを使用したものを表す。「BS40FA15」(実施例1)は普通ポルトランドセメントを45質量%と高炉スラグ微粉末を40質量%とフライアッシュを15質量%使用したものを表す。「BS45FA10」(実施例2)は普通ポルトランドセメントを45質量%と高炉スラグ微粉末を45質量%とフライアッシュを10質量%使用したものを表す。「BS55」(実施例3)は普通ポルトランドセメントを45質量%と高炉スラグ微粉末を55質量%使用したものを表す。また表2における実施例1の結合材B45FA15の割合は、C:BS:FA=45:40:15であり、実施例2の結合材B40FA10の割合は、C:BS:FA=45:40:10であり、実施例3の結合材B55の割合は、C:BS:FA=45:55:0とした。
また比較例1として、普通ポルトランドセメントのみのもの(以下、「N」等と示すことがある)を使用した。これに対し、実施例1は上述の通りコンクリート組成物の15%をフライアッシュ、40%を高炉スラグ微粉末で置換したもの(FA15)、実施例2はこれらを10%、45%の割合でそれぞれ置換したもの(FA10)、実施例3は55%を高炉スラグ微粉末で置換したもの(BFS)とした。また、これら比較例1、実施例1〜3は蒸気養生させ、同じ配合で気中養生させたものをそれぞれ比較例2、実施例4〜6とした。
また表において、フライアッシュ及び高炉スラグ微粉末の置換率はコンクリート組成物(セメント)の質量に対し内割で表している。脱型後、普通コンクリートは気中養生(20℃、60%R.H.)、プレキャストコンクリートを模擬したサンプルにおいては常温で前養生した後、温度上昇速度15℃/hourで50℃まで昇温後、50℃にて2時間蒸気養生を行った。その後、蒸気を停止し脱型まで養生室にて自然に温度を低下させた。脱型後は、一般の製品の養生と同様に2回/日の散水養生を行った。なお、蒸気養生開始から脱型までの時間は約12時間とした。養生終了後、試験材齢までは先の実施例と同様に気中養生とした。
Figure 2014144878
Figure 2014144878
また、表2において、普通ポルトランドセメントを「C」、高炉スラグ微粉末を「BS」、フライアッシュを「FA」、水を「W」、結合材(C+BS+FA)を「P」、水結合材比を「W/P」、細骨材率を「s/a」として表わした。さらに、表2の配合を基にコンクリート組成物による二酸化炭素消費量の計算例を表3に示す。
Figure 2014144878
これらの比較例及び実施形態について、フレッシュコンクリートの性状としてのスランプフロー、空気量、塩化物含有量、コンクリート温度を測定した。結果を表4に示す。スランプ試験は、JISA1101(コンクリートのスランプ試験方法)、スランプフロー試験はJISA1150(コンクリートのスランプフロー試験方法)、空気量試験はJISA1128(コンクリートの空気量の圧力による試験方法)、塩化物量は塩分測定検知管により測定した。スランプの目標値は比較例については、12±2.5cm、実施例1及び実施例2についてはスランプフローの目標値を50±5cm、実施例3については15±2.5cmとした。
Figure 2014144878
また、フレッシュコンクリートの性状を試験した試料により、圧縮強度試験用のコンクリートサンプルを作成し、材齢1日、材齢7日、材齢28日、材齢35日、材齢42日、材齢91日、材齢182日で圧縮強度を測定した。この結果を表5〜表6に示す。
Figure 2014144878

Figure 2014144878
この結果から、普通ポルトランドセメント(N)のみを結合材として使用した比較例1に比べて、高炉スラグ微粉末及びフライアッシュを使用した実施例1〜3(B40F15、B45F10、B55)には、単位水量が少ないにも関わらず、実施例3の場合はスランプが大きくなり、フライアッシュを使用した実施例1、2の場合は、高流動コンクリートの性状となることがわかる。このことから、プレキャストコンクリートの製造に適していると言える。
また圧縮強度は、一般的なコンクリートの強度の管理基準材齢である材齢28日においては比較例(N)と比較して実施例1,2,3共にほぼ同程度の値となっており、またそれ以降の材齢においては、実施例の値が大きくなっている。この結果は、低炭素コンクリート組成物を用いて製造したコンクリートは、従来のコンクリートと比較して、圧縮強度としては同等と判断できる。
(長さ変化試験)
次に長さ変化試験について説明する。コンクリートに生じる収縮ひび割れは、鉄筋コンクリート構造物の外観に損傷を与えるだけではなく、耐久性を大きく損なわせる原因となる。コンクリート構造物の収縮ひび割れ抑制設計においては、その収縮量の把握が重要であり、実験もしくは、調合条件等に基づいて推定を行う2通りの方法がある。実験には膨大な時間を要するために、これまで数多くの乾燥収縮予測式が提案されているものの、近年のコンクリートにおいては、使用材料の種類の多様化により、これら提案されるモデルコードによる推定が困難な場合も多い。
既往の研究によれば、フライアッシュを混合したコンクリートの乾燥収縮は普通コンクリートに比べてやや小さくなる傾向にあるものの、高炉スラグ微粉末を混合したコンクリートの乾燥収縮はブレーン値・養生温度等に依存することが報告されており、調合・温度条件によっては収縮量が大きくなる場合もある。本実施例では、フライアッシュと高炉スラグ微粉末をセメント代替材料として利用し、かつ蒸気養生を行ったコンクリートの収縮量について検討を行った。
コンクリートの乾燥による自由収縮ひずみ試験(長さ変化試験)を、JISA1129−2「モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法(コンタクトゲージ法)」に準拠して行った。各サンプルには1000×1000×4000mmの角柱のものを用いた。養生後、図1に示すように、各実施例に係るサンプル100の2面に(打設時に型枠側面となる面)に長さ変化を測定するための標点となるコンタクトチップ1を標点間距離300mmとなるように接着剤で張り付けた。これらサンプルを各水準、それぞれ3体ずつ用意した。測定は乾燥材齢1、2、4、8、13、26週ごとに、室温20±2℃の室内で行っており、各サンプルの測定回数は原則として各2回とした。
実施例1〜6、比較例1〜2に係る各サンプルに対する長さ変化試験結果として、各サンプルの収縮ひずみの経時間変化量を3体の平均値として図2に、また乾燥による重量減少率を図3に、それぞれ示す。これらの結果をみると、比較例1〜2及び気中養生した実施例6において、まだ収縮が収束にいたってはいないが、26週までの範囲においては、すべてのコンクリートにおいて、JASS 5で目標品質の目安としている800×10−6以下の乾燥収縮率となることが確認された。
実施例1及び2のコンクリートにおいては、およそ12週で収縮の収束がみられた。またその収縮量は、比較例1と比べて30%ほど低減されている。
試験時の重量減少率をみると、実施例1〜3のコンクリートは比較例1に比べ全体的に小さな値になる傾向にあった。収縮量に関しては、調合時の単位水量の影響が大きいと言われているが、フライアッシュと高炉スラグ微粉末の混入による、単位水量の減少効果及び微細構造の緻密化の効果であると推測される。また、フライアッシュ等の結合材量については、乾燥収縮に関しての影響は小さく、フライアッシュの置換率5%の差異はあまり認められなかった。
一方で、高炉スラグの水和反応は、セメント鉱物とは異なった反応プロセスを示し、普通セメントと比べ自己収縮量の増大や、早期に乾燥収縮ひび割れが生じる場合もあることが指摘されているものの、収縮量は比較例より小さな値を示している。すなわち、フライアッシュと高炉スラグの特性がマイナスの作用を相殺し、さらに収縮低減効果が発揮されたものと推測され、本発明の有用性が確認された。
試験時の重量減少率をみると、蒸気養生を行った実施例のすべてにおいて重量の減少率が大きくなる傾向にあった。これは、蒸気及び散水養生により、サンプル中に多量の自由水が供給され、見かけ上、重量の減少率が大きくなったものと思われる。
一方で収縮量については、実施例2、3のコンクリートには、蒸気養生による低減効果が認められた。特に実施例3のBFSコンクリートは50%程度、収縮量が低減された。上述の通り、高炉スラグの水和反応は自己収縮量の増大や、早期に乾燥収縮ひび割れの可能性があることが報告されているが、打設直後からの十分な養生によって、これらの要因を抑制することができることが確認された。
(耐塩害試験)
沿岸部に建設されたコンクリート構造物には、多量の飛来塩分がその表面に付着することによって、コンクリートの内部に塩化物イオンが浸入、細孔溶液内を拡散する。この細孔溶液内の塩化物イオンの一部は、セメント水和物中に取り込まれ吸着し、フリーデル氏塩となる。一方で、液相の塩化物イオンはこれらの塩化物と化学的な平衡を保ちながら存在するが、万が一、鉄筋近くの塩化物イオン濃度が発錆限界濃度以上となると鉄筋の腐食が生じ、構造物の耐久性は著しく低下する。
また、一般にフライアッシュ及び高炉スラグ微粉末をセメント代替としてコンクリートに混和することで、塩化物イオン浸透抑制効果があると言われている。これは、ポゾラン反応、潜在水硬性によるコンクリート中の微細構造の緻密化及び、コンクリート表層において、フライアッシュ及び高炉スラグがコンクリート中に浸透してきた塩化物イオンと化合し、フリーデル氏塩を生成する固定化によるものである。
そこで、実施例1〜2に係るフライアッシュ及び高炉スラグ微粉末をセメント代替として用い、かつ蒸気養生を行ったコンクリートの塩化物イオン浸透抑制効果について、塩化物イオン浸透試験を行った。
(塩化物イオン浸透試験(電気泳動法)の概要)
コンクリートの塩害抵抗性を定量的に評価する手法として、土木学会基準「電気泳動法によるコンクリート中の塩化物イオンの実効拡散係数試験方法(案)JSCE−G 571−2003」が知られている。さらに、JSCE−G−572−2003に規定される「浸漬によるコンクリート中の塩化物イオンの見掛けの拡散係数試験方法(案)」もあるものの、今回用いた調合のように塩化物イオン浸透抵抗性が大きいと考えられるものの場合は、試験時間が著しく大きくなることが予想される。そのため、今回は短期間で塩化物イオン実効拡散係数を求められる電気泳動法によって検討を行った。
各サンプルは、ブリーディングなどの影響を考慮し、100φ×200mmの円柱サンプルの中央から100φ×50mmに切り出したものを用いた。この側面部を防水テープとエポキシでコーティングすることで、外部との接触を完全に遮断し、塩化物イオンの移動を100φ方向のみとなるようにした。電気泳動法による塩化物イオン浸透促進試験は、図4に示すように、予め作製したサンプル200と、その表裏に溶液を投入したセル210P、210N(容量:1リットル)を取り付けて行った。陽極側セル210Pには、コンクリート中の細孔溶液を模擬し、0.3mol/lの水酸化ナトリウム(NaOH)溶液、陰極側セル210Nには、海水を模擬し、0.5mol/lの塩化ナトリウム(NaCl)溶液でそれぞれ満たした。両セル内には、電極用チタンメッシュ220を挿入し、セル210P、210Nとコンクリートサンプル200との接点は、エポキシでシールした。その後、コンクリートサンプル200の両側に直流定電圧15Vを印加することで、負電荷を持つ陰極側の塩化物イオンを、コンクリート中の細孔溶液を通して陽極側セルへ電気泳動させた。通電期間中、各期間で、陽極側セル210Pから溶液を取出し、電位差滴定装置(硝酸銀滴定法)により塩化物イオン濃度を測定し、増加割合が一定に達したとき、細孔溶液中の塩化物イオンは定常状態にあるとみなし、このときの移動流速を測定した。なお、陽極側セルにおいて、溶液のアルカリの低下によって、移動した塩化物イオンが塩素ガスに変化するのを防ぐため、陽極側セルの塩化物イオン濃度が0.5mol/lに達した段階で溶液の交換を行った。
(塩化物イオン浸透試験結果)
このようにして電気泳動試験を行った結果を、図5に示す。またこの結果を基に、次式で示すNernst−Planckの流束方程式を用いて算出した塩化物イオンの実効拡散係数を求めた結果を、図6のグラフに示す。
Figure 2014144878
上式において、ここで、Jcl:流束(mol/cm2/s)、Dcl:拡散係数(cm2/s)、C:Cl−濃度(mol/cm3)、z:イオン価、F:ファラデー定数(C/mol)、R:気体定数(J/K/mol)、T:温度(K)、ψ:電位(V)を、それぞれ示している。
(フライアッシュ及び高炉スラグ微粉末の影響)
図6の棒グラフに示すように、通常の気中養生を行った実施例1〜6のすべてにおいて、塩化物イオンの実効拡散係数は比較例1、2と比べおよそ1/4程度小さくなった。これは、セメント代替としてフライアッシュ及び高炉スラグ微粉末による微細構造の緻密化及び、塩化物イオンの吸着性能が発揮されたためと推測される。特に実施例2において最も小さな値となっていることから、最適なフライアッシュと高炉スラグ微粉末の混合割合が存在することが示唆される。また、塩化物イオンの拡散に有効な連続空隙の減少など、内部構造の変化も考えられる。
(凍結融解試験)
寒冷地のコンクリート構造物が受ける代表的な被害の一つに凍害がある。特にコンクリートの細孔中の水分の凍結と融解が繰り返し作用する場合、水分の凍結時に生じたコンクリートの欠陥部にさらに水が浸入し、再び凍ることで欠陥部を拡大し、非常に深刻な劣化に至ることがある。
さらにフライアッシュ及び高炉スラグをセメント代替材料として利用したコンクリートにおいては、専用のAE剤を用いても、ACIの推奨値である200μm以下の気泡間隔係数が得られず、その凍結融解抵抗性は必ずしも良好ではないとの指摘がある。そこで、凍結融解抵抗性の向上等の作用を有する非空気連行タイプの耐久性改善剤などが開発されている。一方で置換率30%程度の範囲であればW/C=55%程度までは、影響は小さいと言われている。また、一定量のフライアッシュの混和においては、強度発現が十分ならば高いスケーリング抵抗性が期待できるとも言われている。また、高炉スラグ微粉末を用いたコンクリートの凍結融解に関する劣化事例や研究報告は少ないが、スラグ置換率が高いほど質量減少率(スケーリング)が大きくなる傾向があると言われている。ただし、これらは置換率が65%程度で、かつW/B=55%〜65%においてであり、置換率45%及びW/B=45%程度であれば、普通コンクリートと大差はないと言われている。
そこで、実施例1〜6、比較例1〜2について、フライアッシュと高炉スラグ微粉末をセメント代替材料として利用し、かつ蒸気養生を行ったコンクリートの耐凍害性についても試験を行った。
(急速凍結融解試験方法)
コンクリートの凍結融解抵抗性の定量的な評価試験方法として、2001年に制定されたJISA1148「コンクリートの凍結融解試験方法」が知られている。通常、コンクリートの設計において、対象とするコンクリートの耐凍害性の有無を評価するとき、この試験方法によって照査することができる。しかし、1サイクルに3時間以上4時間以内と規定され、これを最大300サイクルまで行う必要があり、計測時間を含めおよそ約2カ月が必要となる。さらに、装置も大型な物となり測定は非常に困難である。そこで本実施例に対して、液体窒素を用いた急速凍結融解試験を用いて、コンクリートの耐凍害性の検討を行った。
試験はまず、各サンプル(1000×1000×2000mmの角柱)を耐熱容器に入れ、210mlの液体窒素を注ぎ密閉状態にし、30秒間凍結させる。その後サンプルを取り出し、融解するまで約10分間程度、湯(約40℃程度)に浸す。そして融解を確認後、サンプルの水分をウェスで拭取り動弾性係数の測定及び外観の劣化状況の確認を行った。ここまで手順を1サイクルとして、繰り返し10サイクル行った。なお、既往研究によればこの10サイクルでJIS規格試験の300サイクル相当であるとこが確認されている。
このようにして行った凍結融解試験の結果を、図7のグラフに示す。またサイクルごとに重量変化率を測定した結果を、図8のグラフに示す。これらから、すべての実施例において、JIS規格試験での300サイクル相当である、急速凍結融解回数10回において、目標品質の目安としている相対動弾性係数の保持率60%以上が達成できたことが確認された。特に、比較例1〜2に比べ、実施例1〜6のコンクリートの方が、耐凍害性が優れている結果を示している。これは、十分な養生がされ一定の強度が確保されており、また、混和剤等により適切な空気量の連行がなされたものと推測される。特に、実施例1及び3において、高い凍結融解抵抗性が認められた。一方で、質量減少率においては実施例6が一番大きな値となっており、表層部の剥離等の劣化が進行していたことが伺える。
(比較例3)
さらに比較例3として、フライアッシュを20%使用したセメントを蒸気養生させたコンクリート(比較例3)をそれぞれ作成し、上述した各実施例と比較した。この結果を図9〜図10に、それぞれ示す。これらの図において、図9は長さ変化試験、図10は凍結融解試験の結果を、それぞれ示している。これらの試験において使用した比較例3に係るコンクリートは、配合比として普通ポルトランドセメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュの各使用割合を、45%:35%:20%としている。また、その配合比を、表7に示す。
Figure 2014144878
またこの比較例3について、フレッシュコンクリートのスランプフローを測定した結果を、表8に示す。
Figure 2014144878
上述した表4と比較しても、優れたスランプフローを示していることが確認できた。次に、このセメントを蒸気養生させた比較例3に係るコンクリートに対し、圧縮試験を行った。この結果を表9に示す。
Figure 2014144878
この結果によれば、実施例1〜3と比較して圧縮強度は一般的なコンクリートの管理基準材齢である材齢28日においては、実施例1〜3の方が優れた特性を示すことが確認された。このことから、フライアッシュの含有量は10から15質量%の方が好ましいといえる。
次に長さ変化試験結果については、図9によれば、26週の範囲においては、JASS 5で目標品質の目安としている800×10-6以下の乾燥収縮量となっているが、実施例1〜3の方がより好ましいといえる。
次に耐凍害性を定量的評価する凍結融解試験については、JSA1148よれば,凍結融解のサイクルを300サイクルまで行い、動弾性係数の試験を行うこととなっている。JASS 5では耐凍害性の評価として、上記試験による動弾性係数が300サイクルの試験結果後に60%以上であることが基準とされている。しかし、図10によれば試験回数が240サイクルにおいて、60%を下回っている。フライアッシュを多量に混入した場合には、空気調整剤を用いてコンクリートの空気量を3.0〜6.0%に調整した場合でも、ACIの推奨値である、200?以下の気泡係数が得られない場合は、その凍結融解抵抗性は必ずしも良好ではないとの指摘もある。比較例3の空気量については、空気量の推奨値である3.0〜6.0%の範囲にあるが、上記の気泡間隔係数が得られていないとも考えられる。また、比較例3の試験方法はJISA1148の試験方法に基いており、実施例1〜3とは相違するが、実施例1〜3の試験に用いた試験方法は、JISA1148の試験方法に相当することが確認されている。このことから、フライアッシュの含有量は10〜15%の方が好ましいといえる。
(放射線遮蔽機能)
さらに本実施例によれば、優れた放射線遮蔽効果を発揮できる。具体的には、鉛当量換算で、コンクリート10cmで1.4mmPb以上の効果を発揮できる。これは、上述した各実施例に係るコンクリート組成物から得られたコンクリートが、乾燥収縮に対して優れた特性を示しており、流動性が高く緻密でひび割れ効果が発生し難いことに加え、フライアッシュを10〜15質量%混合させたことで、このフライアッシュは長期に渡って徐々に化学反応する結果、乾燥収縮等によってヘアクラックのようなマイクロクラックが発生しても、これを埋めるような自己修復効果を発揮し、この結果放射線の遮蔽効果が長期に渡って維持できるためである。加えて、水分量が多いことも、遮蔽効果を高めていると予想される。このため、二酸化炭素削減効果に加えて、近年特に重視される放射線被害の観点からも、優れたコンクリートを得ることできるコンクリート組成物として利用できる。
本発明の混合セメント及びコンクリートの製造方法は、結合材として普通ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末とフライアッシュを加えた三成分系セメントとして好適に利用でき、これをコンクリート建造物等に利用することで二酸化炭素削減効果を高められる。特に三種類を混合したセメント自体は、知られてはいるものの、現実には殆ど利用されていない。本発明によれば、実用可能な三成分系セメントとして、フライアッシュ混合型高炉セメントコンクリート等と同様に好適に利用できる。
100、200…コンクリートサンプル
1…コンタクトチップ
210N…陰極側セル
210P…陽極側セル
220…電極用チタンメッシュ

Claims (7)

  1. 結合材と、
    水と、
    細骨材と、
    粗骨材と、
    高性能減水剤とを含むコンクリート用の混合セメントであって、
    前記結合材が、
    普通ポルトランドセメント45質量%と、
    高炉スラグ微粉末40〜45質量%と、
    フライアッシュ10〜15質量%とを含み、
    水結合材質量比が40%以下、空気量が3.0〜6.0%であることを特徴とする混合セメント。
  2. 請求項1に記載の混合セメントであって、
    前記高炉スラグ微粉末が、ブレーン比表面積3000〜6000cm2/gであることを特徴とした混合セメント。
  3. 請求項1又は2に記載の混合セメントであって、
    前記高炉スラグ微粉末が、JISA6206高炉スラグ微粉末4000の規定に該当するものを使用することを特徴とした混合セメント。
  4. 請求項1〜3のいずれか一に記載の混合セメントであって、
    前記フライアッシュが、JISA6201フライアッシュII種に該当するものを使用することを特徴とした混合セメント。
  5. 請求項1〜4のいずれか一に記載の混合セメントを混練した後、蒸気養生して製造されるコンクリート。
  6. 請求項1〜4のいずれか一に記載の混合セメントを混練した後、気中養生して製造されるコンクリート。
  7. コンクリートの製造方法であって、
    普通ポルトランドセメント45質量%と、高炉スラグ微粉末40〜45質量%と、フライアッシュ10〜15質量%とを含む結合材と、水と、細骨材と、粗骨材と、高性能減水剤を含み、かつ水結合材質量比が40%以下、空気量が3.0〜6.0%の混合セメントを、混練する工程と、
    該混合セメントを蒸気養生させて硬化させる工程と
    を含むことを特徴とするコンクリートの製造方法。
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