JP2014143182A - シートに液状物を含浸させる方法 - Google Patents

シートに液状物を含浸させる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維が脱落しやすいシートに対し、連続的かつ幅方向に均一に液状物を含浸させ、含浸法に比べ液状物のロスを著しく低減できる燃料電池用ガス拡散電極の製造方法を提供する。
【解決手段】シート(1)を連続的に一対のロール(3a、3b)の間に挟んで搬送する操作において、一対のロールのそれぞれのロールの軸線が平行で、かつ一対のロールはそれぞれのロールの軸線が水平面と平行なように設置されており、一対のロールの間に液状物を含浸可能なシートが供給され、一対のロールのいずれか一方のロールと当該シートの境界に液状物(6)を供給し、液状物をシートに含浸させる方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、シートに液状物を含浸させる方法に関し、より具体的には、燃料電池用ガス拡散電極基材の製造におけるシートへの樹脂組成物の添加方法に関する。
一般に、液状物をシートに含浸させるには、含浸槽と一対のニップロール(絞りロール)によるdip−nip法が広く用いられている。また、水やインクの紙内部への吸収を抑制すること等を目的として、液体の浸透に対して抵抗性を与える技術がサイジングあるいはサイズプレス工程として知られている(特許文献1、2参照)。しかし、特許文献1や2の方法で想定されている運転速度は600〜1200m/minと極めて高速のため、サイズ液の飛散や塗工むらが問題とされており、安定したサイズ液貯留部を作るための整流機構が必要とされ、装置の製造コストや維持コストがかかるものだった。
さて、燃料電池用ガス拡散電極基材は、従来、機械的強度を高くするために、炭素短繊維の抄紙体や不織布に、加熱により炭素化する樹脂組成物の有機溶液をdip−nip法やキスコート法等で含浸した後、有機溶剤を除去し、樹脂組成物を炭素化することにより製造される、ペーパー状の炭素−炭素複合体からなる多孔質電極基材であった(特許文献3参照)。
多孔質電極基材のベースとなる炭素短繊維の抄紙体は、一般にポリビニルアルコール等の水溶性バインダーによって繊維が結着されており、ゆえに有機溶液を含浸液とするdip−nip法でも繊維の脱落は問題にならなかった。
一方、湿潤状態での加工性やハンドリングの観点から、バインダーフリーの抄紙体をベースとする方法が開示されている(特許文献4参照)。特許文献4で開示されるようなウエブに対しては、特許文献3で開示されるような樹脂含浸方法では、繊維の脱落が著しい。また、一般にdip−nip法ではシートに付着させるのに必要な樹脂量よりも大量の樹脂を含浸槽に準備する必要があり、樹脂のロスが多いという問題点があった。一方、スプレー法は樹脂のロスは少ないが、噴霧範囲を広げようとすると粒子が細かくなり、シートに付着しにくくなる。そのため、シートの幅方向に均一に塗布するにはスプレーノズルを複数並べねばならず、また粘度が高かったり固形分が多かったりするとノズルが詰まりやすいという問題があった。
特開昭61−102496号公報 特開昭62−28489号公報 国際公開第2001/056103号パンフレット 特開2012−162835号公報
本発明は、上記の点を鑑みて行われたものであり、バインダーフリーで繊維が脱落しやすいシートに対し、連続的かつ幅方向に均一に液状物を含浸させる方法、および一般的な含浸法に比べ液状物のロスを著しく低減できる方法を提供することを目的とする。
本発明者等は前記課題が以下の発明(1)〜(10)によって解決されることを見出した。
(1) シートを連続的に一対のロールの間に挟んで搬送する操作において、一対のロールのそれぞれのロールの軸線が平行で、かつ一対のロールはそれぞれのロールの軸線が水平面と平行なように設置されており、一対のロールの間に液状物を含浸可能なシートが供給され、一対のロールのいずれか一方のロールと当該シートの境界に液状物を供給し、液状物をシートに含浸させる方法。
(2) 一対のロールの上流側及び下流側にシートのガイドロールを設け、一対のロールの一方のロールに対するシートのラップ角度を15°〜180°に調整することを特徴とする上記(1)に記載の方法。
(3) 一対のロールおよびガイドロールの下流側に、もう一対のロールを設け、当該ロールに液状物を含浸させたシートを挟んで更に押圧することを特徴とする上記(2)に記載の方法。
(4) シートの搬送速度が0.1〜20m/minであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 液状物の供給が、一対のロールを構成するロールの内、ロールの軸線が上に位置するロールと、液状物を含浸可能なシートの上面との境界に、液状物を供給することにより行われることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 一対のロールを構成するロールの軸線が同一水平面上に位置することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(7) 液状物の供給が、一対のロールの上流側において、行われることを特徴とする上記(5)または(6)に記載の方法。
(8) 液状物を供給する一対のロールでシートを押圧することを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9) 液状物が樹脂組成物であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10) 液状物の粘度が500mPa・s以下であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、装置の製造コストや維持コストを低減しながら、バインダーフリーで繊維が脱落しやすいシートに対し、幅方向及び長手方向に均一に液状物を添加することができる。また、一般的な含浸法に比べ液状物のロスを著しく低減できる。
本発明の連続液状物添加方法の一例を示す図である。 本発明の連続液状物添加方法の一例を示す図である。 本発明の連続液状物添加方法の一例を示す図である。 炭素短繊維と水平面との角度を測定するために、実施例1で得られた多孔質電極基材の断面の走査型電子顕微鏡写真に、測定する炭素繊維に点線にて直線を引いたものである。 本発明の液状物供給方法の一例を示す図である。
<シート>
本発明の方法で使用できるシートは、液状物を含浸できるものであればよく、例えば、液状物透過性を有する繊維構造物が挙げられる。具体的には、紙、不織布(湿式不織布、乾式不織布、乾式パルプ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、フラッシュ紡糸不織布、トウ開繊不織布)、織物(織物、多軸織物、三次元織物)、編物(たて編、よこ編、多軸編物)、等が挙げられる。
中でも不織布は、繊維を薄くランダムに配置してウエブを作り、次いで繊維同士を交絡あるいは接着などによって結合して作られるため、紙、織物、編物に比べ繊維が脱落しやすく、本発明の方法を適用することが好ましい。
燃料電池用ガス拡散電極基材への利用を考慮すると、導電性確保の観点から、好ましくは、炭素短繊維(A)を含むシートである。また、炭素化処理後の機械的強度確保の観点から、より好ましくは、炭素短繊維(A)と、炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)とを分散させて製造したシートである。更に、液状物を含浸させる際の取扱性の観点から、シートが、炭素短繊維(A)による3次元交絡構造を有していることが好ましい。
<<炭素短繊維(A)>>
多孔質電極基材を構成する1つの繊維である炭素短繊維(A)は、交絡接合構造体中で厚み方向に交絡されることができる。炭素短繊維(A)としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下「PAN系炭素繊維」と称する)、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の炭素繊維を適当な長さに切断したものが挙げられる。多孔質電極基材の機械的強度の観点から、PAN系炭素繊維が好ましい。
炭素短繊維(A)の平均繊維長は、分散性の点から、2〜12mmであることが好ましい。炭素短繊維(A)の平均繊維径は、炭素短繊維の生産コストおよび分散性の面から、3〜9μmであることが好ましく、多孔質電極基材の平滑性の面から、4〜8μmであることがより好ましい。
<<炭素繊維前駆体短繊維(b)>>
炭素繊維前駆体短繊維(b)は、長繊維状の炭素繊維前駆体繊維を適当な長さにカットしたものであることができる。また、この長繊維状の炭素繊維前駆体繊維は、後述するポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)から構成されることができる。
炭素繊維前駆体短繊維(b)の平均繊維長は、分散性の点から、2〜20mmが好ましい。炭素繊維前駆体短繊維(b)の断面形状は特に限定されないが、炭素化した後の機械的強度、製造コストの面から、真円度の高いものが好ましい。また、炭素繊維前駆体短繊維(b)の平均繊維径は、加熱加圧する工程[45]および炭素化処理する工程[3]における収縮による破断を容易に抑制するため、5μm以下であることが好ましい。また、紡糸性の観点から、炭素繊維前駆体短繊維(b)の平均繊維径は、1μm以上であることが好ましい。
炭素繊維前駆体短繊維(b)を構成するポリマーは、炭素化後にシート形態を維持する観点から、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えばアクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。
炭素繊維前駆体短繊維(b)に用いるアクリル系ポリマーは、アクリロニトリルの単独重合体でもよく、アクリロニトリルとその他のモノマーとを共重合体でもよい。アクリロニトリルと共重合されるモノマーとしては、一般的なアクリル系繊維を構成する不飽和モノマーであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどに代表されるメタクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
また、紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、炭素化処理時の残存質量が大きい点、さらに、上述した交絡処理を行う際の繊維弾性、繊維強度を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
炭素繊維前駆体短繊維(b)に用いるアクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜100万が好ましい。重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
炭素繊維前駆体短繊維(b)は、1種類を用いてもよく、繊維直径やポリマー種が異なる2種類以上の炭素繊維前駆体短繊維(b)を用いてもよい。炭素繊維前駆体短繊維(b)や後述するフィブリル状繊維(b’)の種類や炭素短繊維(A)との混合比によって、最終的に得られる多孔質電極基材中において、前駆体繊維(b)由来の炭素繊維(B)として残る割合を調整することができる。多孔質電極基材における炭素繊維(B)の含有率は、炭素短繊維(A)と炭素繊維(B)の合計に対して、10質量%以上が好ましく、多孔質電極基材の機械的強度の観点から60質量%以下が好ましい。適切な機械的強度および貫通方向抵抗を有する多孔質電極基材を容易に得るため、多孔質電極基材における炭素繊維(B)の含有率は、炭素短繊維(A)と炭素繊維(B)の合計に対して、10〜50質量%がより好ましい。
<<フィブリル状繊維(b’)>>
フィブリル状繊維は、炭素短繊維(A)と一緒に分散し、炭素短繊維(A)の再集束を防止すると共に、シートを自立シートたらしめる役割を果たす。また、樹脂によっては、樹脂の硬化に縮合水を生成するものもあるが、フィブリル状繊維には、その水を吸収、排出する役割も期待できる。そのため、水との親和性にも優れているものが好ましい。具体的なフィブリル状繊維としては、フィブリル化されたポリエチレン繊維、アクリル繊維、アラミド繊維などの合成パルプが用いられる。フィブリル状繊維は、炭素化処理後に残炭があるもの、ないもの、どちらでも良い。
フィブリル状繊維(b’)としては、繊維状の幹より直径が数μm以下(例えば0.1〜3μm)のフィブリルが多数分岐した構造を有する炭素前駆体繊維(b’−1)や、易割繊性海島複合繊維の叩解処理によってフィブリル化させた炭素前駆体短繊維(b’−2)を用いることができる。これらのフィブリル状炭素前駆体繊維を用いることにより、前駆体シート中で炭素短繊維(A)とフィブリル状炭素前駆体繊維(b’)が良く絡み合い、機械的強度の優れた前駆体シートを得ることが容易となる。フィブリル状炭素前駆体繊維(b’)の濾水度は特に限定されないが、一般的に濾水度が低いフィブリル状繊維を用いると前駆体シートの機械的強度が向上するが、多孔質電極基材のガス透過度が低下する傾向がある。なお、以下、この2つのフィブリル状炭素前駆体繊維(b’)をそれぞれ、繊維(b’−1)および繊維(b’−2)と称することがある。
フィブリル状繊維(b’)としては、繊維(b’−1)を1種類または濾水度、繊維直径またはポリマー種が異なる繊維(b’−1)を2種類以上用いることもできる。また、繊維(b’−2)を1種類または濾水度、繊維直径またはポリマー種が異なる繊維(b’−2)を2種類以上用いることもでき、これらを組み合わせて用いることもできる。
以下に、この2つのフィブリル状炭素前駆体繊維(b’)について詳しく説明する。
・フィブリルが多数分岐した構造を有する炭素前駆体繊維(b’−1)
繊維(b’−1)を構成するポリマーは、炭素化後に、炭素短繊維(A)と共に多孔質電極基材の構造を成立させる観点から、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。このようなポリマーとしては、例えばアクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーを挙げることができる。
繊維(b’−1)に用いるアクリル系ポリマーとしては、上述した炭素繊維前駆体短繊維(b1)に用いるアクリル系ポリマーを同様に用いることができる。中でも、紡糸性および低温から高温にかけて炭素短繊維(A)同士を接合させることができ、加熱加圧および炭素化処理時の残存質量が大きい点、さらに、炭素短繊維(A)との交絡、シート強度を考慮すると、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
繊維(b’−1)の製造方法は、特に限定されないが、濾水度のコントロールが容易な噴射凝固法を用いることが好ましい。
なお、繊維(b’−1)の平均繊維長は、多孔質電極基材の機械的強度を確保する観点から0.1mm以上とすることが好ましく、前駆体シート内での分散性の観点から3mm以下とすることが好ましい。また、繊維(b’−1)の直径(平均繊維径)は、前駆体シート製造時の脱水性や多孔質電極基材のガス透過性を確保する観点から0.01μm以上とすることが好ましく、熱処理時の収縮による破断を抑制する観点から30μm以下とすることが好ましい。
・叩解によってフィブリル化させた炭素前駆体短繊維(b’−2)
繊維(b’−2)は、長繊維状の易割繊性海島複合繊維を適当な長さにカットしたものを、リファイナーやパルパーなどによって叩解しフィブリル化したものであることができる。易割繊性海島複合繊維は、叩解によってフィブリル化する。長繊維状の易割繊性海島複合繊維は、共通の溶剤に溶解し、かつ非相溶性である2種類以上の異種ポリマーを用いて製造することができる。その際、炭素化後に、炭素短繊維(A)と共に多孔質電極基材の構造を成立させる観点から、少なくとも1種類のポリマーは、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であることが好ましい。
易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうち、炭素化処理する工程における残存質量が20質量%以上であるものとしては、例えば、アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、フェノール系ポリマーが挙げられる。
易割繊性海島複合繊維に用いられるアクリル系ポリマーは、上述した炭素繊維前駆体短繊維(b)に用いるアクリル系ポリマーを同様に用いることができる。中でも、紡糸性および炭素化処理工程における残存質量の観点から、アクリロニトリル単位を50質量%以上含有するアクリル系ポリマーを用いることが好ましい。
易割繊性海島複合繊維に用いられるアクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、5万〜100万が好ましい。重量平均分子量が5万以上であることで、紡糸性が向上すると同時に、繊維の糸質が良好になる傾向にある。重量平均分子量が100万以下であることで、紡糸原液の最適粘度を与えるポリマー濃度が高くなり、生産性が向上する傾向にある。
易割繊性海島複合繊維に用いられるポリマーのうちの1種類に、炭素化処理する工程(3)における残存質量が20質量%以上であるものとして、上述するアクリル系ポリマーを用いた場合、他のポリマーとしては、そのアクリロニトリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解し、紡糸原液とした場合に安定に存在することが望まれる。即ち、他のポリマーは、アクリロニトリル系ポリマーと共通の溶剤に溶解した場合に、アクリロニトリル系ポリマーに対して非相溶であり、紡糸の際に海島構造を形成できる程度の混和性を有することが望まれる。これにより、紡糸原液とした際に、2種のポリマーの非相溶性の度合いが大きい場合に生じる繊維の不均質性を容易に防ぐとともに、紡糸時における糸切れの原因となることを容易に防ぐことができ、さらに、繊維への賦形を容易にすることができる。また、湿式紡糸する場合に、凝固槽、および洗浄槽において他のポリマーが水に溶解して脱落が起こることを容易に防ぐことができるため、他のポリマーは水に難溶性であることが望まれる。
これらの要望を満足する他のポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられるが、酢酸セルロース、アクリル樹脂およびメタクリル樹脂は、前述した要望のバランスの点で、好ましく用いることができる。他のポリマーは、1種でもよく、2種以上でもよい。
繊維(b’−2)に用いる易割繊性海島複合繊維は、通常の湿式紡糸法で製造することができる。例えば、ポリマーのうちの1種類に、工程(3)における残存質量が20質量%以上であるアクリロニトリル系ポリマーを用いた場合、以下の方法により易割繊性海島複合繊維を製造することができる。まず、このアクリロニトリル系ポリマーと他のポリマーとを混合した後、溶剤に溶解して、易割繊性海島複合繊維の紡糸原液とする。または、アクリロニトリル系ポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液と、他のポリマーを溶剤に溶解して得られる紡糸原液とを、スタティックミキサー等で混合し、易割繊性海島複合繊維の紡糸原液としてもよい。溶剤としては、ジメチルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシドなどの有機溶剤を用いることができる。これらの紡糸原液を、ノズルより紡糸し、湿熱延伸、洗浄、乾燥および乾熱延伸を施すことで、易割繊性海島複合繊維を得ることができる。
易割繊性海島複合繊維の断面形状は、特に限定されない。分散性、熱処理時の収縮による破断を抑制するため、易割繊性海島複合繊維の繊度は、1〜10dtexであることが好ましい。易割繊性海島複合繊維の平均繊維長は、分散性の観点から、1〜20mmが好ましい。
易割繊性海島複合繊維は、機械的外力により相分離界面の剥離により叩解して、その少なくとも一部分が割繊し、フィブリル化する。叩解方法は、特に限定されないが、例えば、リファイナーやパルパー、ビーター、または加圧水流の噴射(ウォータージェットパンチング)によりフィブリル化する方法が挙げられる。
易割繊性海島複合繊維を機械的外力により相分離界面の剥離により叩解する際には、叩解方法、叩解時間に依存して、フィブリル化の状態は変化する。フィブリル化の度合いは濾水度によって評価できる。濾水度は、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)テスターを使用して、P8121(パルプ濾水度試験法:カナダ標準型)に準拠した方法によって求められる。まず、叩解した繊維を完全に乾燥させたものを3g用意し、1000mLの水に分散させる。その分散液を、CSFテスターの濾水筒に入れ、上蓋を閉めて空気コックを閉じる。次に下蓋を開けて、メスシリンダーをCSFテスターの側管に当て、空気コックを開けて、分散液を流す。メスシリンダーに溜まった排水量を読み取り、記録する。試験は2回以上行い、平均値との差が2%以内になるまで繰り返す。易割繊性海島複合繊維の濾水度は特に限定されないが、濾水度が小さくなるにつれ、3次元的な網目構造を形成した炭素繊維(B)が形成されやすくなる。また、十分な叩解を実施せず、濾水度が大きいままの易割繊性海島複合繊維を用いた場合は、繊維構造を形成した炭素繊維(B)が形成されやすくなる。
なお、繊維(b’−2)の平均繊維長は、前駆体シートの機械的強度を確保する観点から1mm以上とすることが好ましく、分散性の観点から20mm以下とすることが好ましい。また、繊維(b’−2)の幹の平均繊維径は、分散性の観点から1μm以上とすることが好ましく、熱処理時の収縮による破断を抑制する観点から50μm以下とすることが好ましい。さらに、繊維(b’−2)のフィブリル部の平均繊維径は、前駆体シート製造時の脱水性や多孔質電極基材のガス透過性を確保する観点から0.01μm以上とすることが好ましく、分散性の観点から30μm以下とすることが好ましい。
<<3次元交絡構造>>
本発明において、炭素短繊維(A)が3次元交絡構造を形成しているか否かは、シート状の測定対象物(多孔質電極基材)の断面観察を行い、断面における炭素短繊維(A)とシート面との角度を測定することにより判定できる。なお、断面観察を行う断面は、シート状の測定対象物のシート面に対して垂直方向の断面である。
測定した炭素短繊維(A)の水平面との角度の平均が3°以上、または測定した炭素短繊維(A)と水平面との角度の最大値が10°以上である場合は3次元交絡構造を形成している(3次元交絡構造を持つ)と判定され、測定した炭素短繊維の水平面との角度の平均が2°より小さい場合は3次元交絡構造を形成していない(3次元交絡構造を持たない)と判定される。具体的には、図4のように、シート面に対して垂直方向の断面のSEM写真を用い、測定する炭素短繊維に点線で示すような線を引き、この線とシート面との角度を測定すればよい。図4における直線1はシート面と平行な線である。
<<シートの製造方法>>
本発明で用いるシートは、例えば以下の[1]や[2]の方法によって製造できる。
[1]炭素短繊維(A)を分散し、シートとする
[2]炭素短繊維(A)を分散してシートとし、更にシートを交絡処理する
<<<[1]炭素短繊維(A)を分散し、シートとする方法>>>
シートを製造するにあたっては、液体の媒体中に、炭素短繊維(A)を分散させて抄造する湿式法、空気中に、炭素短繊維(A)を分散させて降り積もらせる乾式法などの抄紙方法を適用できる。好ましくは湿式法である。
炭素繊維(A)と共に、炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)を分散させることにより、炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)とが絡み合うことでシートの強度が向上し、実質的にバインダーフリーとすることもできる。
なお、本発明においては、有機高分子化合物をバインダーとして少量用いてもよい。バインダーとして使用する有機高分子化合物は特に限定されないが、例えばポリビニルアルコール(PVA)や、熱融着するポリエステル系あるいはポリオレフィン系のバインダー等が挙げられる。バインダーは繊維や粒子のような固体状でも液体状でもよい。繊維状のPVAは、硫酸ナトリウムを含む紡浴を用いて製造されることが多いため、一般にナトリウムを元素として多量に含有する。このようにナトリウム分を多量に含有するバインダーを用いると、そのナトリウム分はシートおよび前駆体シートにも残留するが、後の炭素化工程[3]でシート外に放出される。放出されたナトリウム分は炭素化炉内に飛散し、炉を傷める原因となるので、ナトリウム含有量が少ないことが前駆体シートとしては好ましい。炉の保護の観点から、その際のバインダーの含有量としては10g/m以下、好ましくは5g/m以下、より好ましくは1g/m以下である。バインダーの添加方法は特に限定されない。例えば、炭素短繊維(A)や、炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)と一緒に分散しても良いし、炭素短繊維(A)を含むシートを形成した後、後から添加しても良い。
炭素短繊維(A)、炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)等の繊維状物を分散させる媒体としては、例えば、水、アルコールなど、繊維状物が溶解しない媒体が挙げられるが、生産性の観点から、水が好ましい。
シートは、連続法とバッチ法のいずれによっても製造できるが、シートの生産性および機械的強度の観点から、連続法で製造することが好ましい。シートの目付は、10〜200g/m程度であることが好ましい。また、シートの厚みは、20〜400μm程度であることが好ましい。
<<<[2]炭素短繊維(A)を分散してシートとし、更にシートを交絡処理する方法>>>
炭素短繊維(A)を分散してシートとする方法は、上記[1]の通りである。そうして得られたシートを交絡処理することで、炭素短繊維(A)が3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。上記[1]において、炭素繊維(A)と共に、炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、シートを交絡処理することで、炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)とが3次元に交絡した交絡構造を有するシート(交絡構造シート)を形成することができる。
交絡処理は、交絡構造が形成される方法から必要に応じて選択することができ、特に限定されない。ニードルパンチング法などの機械交絡法、ウォータージェットパンチング法などの高圧液体噴射法、スチームジェットパンチング法などの高圧気体噴射法、あるいはこれらの組み合わせによる方法で行うことができる。交絡処理工程での炭素短繊維(A)の破断を容易に抑制することができ、かつ適切な交絡性が容易に得られるという点で、高圧液体噴射法が好ましい。以下、この方法について詳しく説明する。
高圧液体噴射処理とは、実質的に表面平滑な支持部材上にシートを載せ、例えば1MPa以上の圧力で噴射される液体柱状流、液体扇形流、液体スリット流等を作用させることによって、シート中の炭素短繊維(A)を交絡させる処理方法である。シート製造工程[1]において、炭素繊維(A)と共に、炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)を分散させた場合は、炭素短繊維(A)と炭素繊維前駆体短繊維(b)および/またはフィブリル状繊維(b’)とを交絡させる。ここで、実質的に表面平滑な支持部材としては、得られる交絡構造体に支持部材の模様が形成されることなく、かつ噴射された液体が速やかに除かれるようなものから必要に応じて選択して用いることができる。その具体例としては、30〜200メッシュの金網またはプラスチックネットあるいはロール等を挙げることができる。
実質的に表面平滑な支持部材上で、炭素短繊維(A)を含むシートを製造した後に、続けて高圧液体噴射処理等による交絡処理を連続的に行うことが、生産性の観点から好ましい。
シートの高圧液体噴射による交絡処理は、複数回繰り返してもよい。即ち、シートの高圧液体噴射処理を行った後、さらにシートを積層し、高圧液体噴射処理を行ってもよいし、できつつある交絡した構造を有するシート(交絡構造シート)を裏返し、反対側から、高圧液体噴射処理を行ってもよい。また、これらの操作を繰り返してもよい。
高圧液体噴射処理に用いる液体は、処理される繊維を溶解しない溶剤であれば特に制限されないが、通常は水を用いることが好ましい。水は、温水でもよい。高圧液体噴射ノズル中のそれぞれの噴射ノズル孔径は、柱状流の場合、0.06〜1.0mmが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。ノズル噴射孔と積層体の間の距離は、0.5〜5cmが好ましい。液体の圧力は、繊維の交絡の観点から1MPa以上が好ましく、より好ましくは1.5MPa以上で、交絡処理は、1列でも複数列でもよい。複数列行う場合、シート形態維持の観点から1列目よりも2列目以降の高圧液体噴射処理での圧力を高めることが有効である。
交絡構造シートを連続的に製造すると、シート化方向に筋状の軌跡パターンが形成され、シートに疎密構造が生じる場合がある。しかし、1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させることにより、前記軌跡パターンを抑制することができる。シート化方向の筋状の軌跡パターンを抑制することにより、シート幅方向に引張強度を発現することができる。また1列または複数列のノズル孔を備える高圧液体噴射ノズルを複数本使用する場合、高圧液体噴射ノズルをシートの幅方向に振動させる振動数、またその位相差を制御することにより、交絡構造シートに現れる周期的な模様を抑制することもできる。
交絡処理工程によりシートの引張強度が向上するため、通常抄紙で使用されるポリビニルアルコール等のバインダーを使用せずに済み、かつ水中あるいは湿潤状態でもシートの引張強度を維持できる。これにより、交絡処理したシートに連続して水分散性樹脂または水溶性樹脂を添加することが可能となる。さらに、水分散性樹脂または水溶性樹脂の使用により有機溶媒の回収もせずに済むため、従来よりも製造設備を簡略化でき、製造コストを低減することができる。
<一対のロール>
一対のロール(液状物添加上流側ロール3a及び液状物添加下流側ロール3bからなる一対のロール)は、連続的にシート1を搬送する役割に加え、シート1と前記一対のロールを構成するロールのうち、軸線が高い方のロールとの境界に液状物6を一時的に貯め、液状物をシートに含浸させる役割を果たす。なお、前記一対のロールに対し、液状物絞りトップロール5aおよび液状物絞りボトムロール5bからなる一対のロールがある側を「下流側」、その反対側を「上流側」とする。シートの蛇行防止の観点から、一対のロール(3a及び3bからなる一対のロール)はそれぞれのロール(3a、3b)の軸線が平行であり、また、液状物を貯める観点から、それぞれのロール(3a、3b)の軸線が水平面と平行となるように設置する。
なお、図1や図3のように、液状物6がシート1の上面と液状物添加下流側ロール3bとの境界に供給される場合、前記一対のロールでシートを押圧することにより、液状物のシートへの浸透を促すことができる。特に、押圧によって厚みが変化(弾性変形)しやすいウエブや不織布の場合、押圧後、厚みが回復する際にスポンジのように液状物を吸収することができる。押圧の圧力は、シートが破壊されて塑性変形を起こさない程度に低いことが好ましい。
一対のロールの、それぞれのロール径は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
<シートの搬送速度>
本発明において、シートは連続的に一対のロールに挟まれて搬送される。シートは速度制御および/または張力制御によって搬送されることが好ましい。速度制御の場合は、例えば、液状物絞りトップロール5aおよび液状物絞りボトムロール5bからなる一対のロールに速度計を備え、当該一対のロールの回転速度を制御することでシートを搬送することができる。一方、張力制御の場合は、例えば、液状物絞りトップロール5aおよび液状物絞りボトムロール5bからなる一対のロールよりも下流側に巻取り機を配し、シート張力を制御しながら巻取ることによって、実質的にシートを搬送することができる。張力制御の場合にも、一対のロールないしガイドロールなどに速度計を備えることにより、搬送速度をモニタリングすることが好ましい。液状物6とシート1の接触時間が長いほど、液状物がシート1の裏面に浸透しやすいが、作業の効率性の観点から、シート1の搬送速度は、0.1〜20m/minが好ましく、1〜15m/minがより好ましく、2〜10m/minが特に好ましい。
<液状物の供給方法>
液状物6は、液状物供給ユニット4を介して、図1〜3のように、シート1と一対のロール(液状物添加上流側ロール3a及び液状物添加下流側ロール3bからなる一対のロール)のうち軸線が高い方のロールとの境界に連続的に供給される。すなわち、液状物6はシート1の片面から添加される。このとき、シート1は一対のロールを構成するロールのどちらか一方のロール(図1においては3a、図2、3においては3b)表面に沿わせる。一対のロールを構成するロールの軸線の一方が他方より高い位置にある場合は、一対のロールを構成するロールのうち、ロールの軸線が上に位置するロール(図1、3においては3b、図2においては3a)と、液状物を含浸可能なシート1の上面との境界に、液状物6を供給することが好ましい。一対のロールを構成するロールの2本の軸線が同一水平面上に位置する場合、液状物6の供給は、シート1の上面と、一対のロールを構成するロールのどちらか一方のロールとの境界に、液状物を供給することが好ましい。
シート1を一対のロールのどちらか一方のロール(図1においては3a、図2、3においては3b)表面に沿わせることで、シートと前記ロールとの接触面において、毛管力によって液状物6はシート1の裏面まで浸透する。
液状物6の供給方法は、シート1と液状物添加上流側ロール3aまたは液状物添加下流側ロール3bとの境界に液状物を一時的に貯めることができる方法であれば、特に限定されない。
液状物供給ユニット4は、シート1と液状物添加上流側ロール3aまたは液状物添加下流側ロール3bとの境界に液状物を供給する役割を果たす。連続的かつ幅方向に液状物を供給できるものであれば特に限定されないが、具体的には液状物を貯蔵するタンク、液状物を送液するポンプおよび管(チューブ)から構成される。
タンク容量は、シートの全長に渡って供給できるだけの液状物の量に見合った大きさが好ましいが、一対の液状物添加ロール(3a、3b)や一対の液状物絞りロール(5a、5b)等からあふれた液状物を回収し、前記タンクに戻す機構を備えれば、タンク容量を小さくすることができる。
ポンプは定量ポンプが好ましく、特に、メンテナンス容易性の観点から機械的接触部の少ないチューブポンプ、サインポンプ、スネークポンプ等が好ましい。定量ポンプは脈動による供給量の時間変動が懸念される場合があるが、シート1と液状物添加上流側ロール3aまたは液状物添加下流側ロール3bとの境界は液状物を一定量保持できるため、液状物6の液量の変動があっても、液状物のシートへの付着量への影響は小さい。必要に応じて、追加の貯め枡を備えても良い。例えば、ポンプから管(チューブ)を通じていったん追加の貯め枡を介してからシート1と液状物添加上流側ロール3aまたは液状物添加下流側ロール3bとの境界に供給することで、さらにポンプ脈動の影響を低減することができる。貯め枡の例としては、例えば図5に示すような、貯め枡8、スロープ9からなるフローボックスが挙げられる。液状物は、貯蔵タンクからチューブ10を介して送液され、次いでフローボックス背面から貯め枡8に注入され、貯め枡8からオーバーフローすると同時にスロープ9から流下される。フローボックスの材質は、液状物が浸み込んだり、液状物によって劣化(錆、溶解)したり、乾燥した液状物が固着したりしないような材質が好ましい。さらに、貯め枡8は液状物の圧力に耐えうる堅牢さが求められる。以上の観点から、例えばポリメチルメタクリレート(アクリル)、塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート等のプラスチックや、錆に強いステンレス、アルミニウム等の金属を用いることが好ましい。プラスチックでフローボックスを作る場合、透明であっても不透明であっても良い。いずれの材質を用いる場合でも、スロープ9の表面は液状物に対し濡れやすいことが好ましい。濡れやすさは、液状物の表面張力や、液状物とフローボックスの間に働く界面張力によって決まるため一概には言えないが、液状物の表面張力は界面活性剤によって、液状物とフローボックス間の界面張力はスロープ9の表面粗さによってある程度制御できる。液状物の流れを乱さず、かつ液状物中の固形分の滞留を防止する観点から、貯め枡8とスロープ9の継ぎ目は無いことが好ましく、やむを得ず継ぎ目が残る場合でも研磨等により段差を無くしておくことが好ましい。
<シートのラップ角度>
本発明では、上述した通り、シート1を一対のロールのどちらか一方のロール(図1においては3a、図2、3においては3b)表面に沿わせることで、シート1と前記ロールとの接触面において、毛管力によって液状物6はシート1の裏面まで浸透する。その際、シート1を沿わせているロール(図1においては3a、図2、3においては3b)とシート1が接触している範囲を円弧とするロールの中心角であるラップ角度(抱き角)θは、ロール(図1においては3a、図2、3においては3b)とシート1との接触面積をできるだけ広く取る観点から180°以下が好ましく、液状物6をシートの上に貯める観点から15°以上が好ましい。より好ましいラップ角度は30°〜90°である。
ラップ角度の調整は、例えば、図1〜3に示すように、一対のロール(3a及び3b)の上流側及び下流側にシートのガイドロール2を設け、このガイドロール2により一対のロールの一方のロール(図1においては3a、図2、3においては3b)に対するシートのラップ角度θを調整すればよい。
<下流側のもう一対のロール>
液状物6のシート1への付着量は、液状物の濃度や粘度等の調整によっても制御できるが、一対のロール(3a及び3bからなる一対のロール)およびガイドロール2の下流側に、もう一対のロール(液状物絞りトップロール5a及び液状物絞りボトムロール5bからなる一対のロール)を設け、当該ロールに液状物6を含浸させたシート1を挟んで更に押圧することで、より容易に制御可能である。押圧の圧力は、液状物を絞れる程度に高く、かつシートが破壊されて塑性変形を起こさない程度に低いことが好ましい。
<液状物>
液状物6の粘度は、取扱性およびシート裏面への浸透性の観点から、500mPa・s以下が好ましく、200mPa・s以下がより好ましく、100mPa・s以下が特に好ましい。また、粘度が低くても表面張力が大きいとシートに浸透しにくくなるため、液状物の表面張力は50mN/m以下が好ましい。水を分散媒または溶媒とする市販の液状物の中には、分散質または溶質の凝集を防ぐ等の目的で、あらかじめ界面活性剤などが添加されている物もあるが、さらに、表面張力を下げるため、界面活性剤を添加しても良い。界面活性剤は、液状物の表面張力を下げることができれば、種類は特に限定されない。
燃料電池用ガス拡散電極基材への利用を意図して、液状物を樹脂組成物とする場合、該液状物は常温において粘着性、或いは流動性を示す物でかつ炭素化後も導電性物質として残存する物質が好ましく、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イミド樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ピッチ等を単体もしくは混合物として用いることができる。前記フェノール樹脂としては、アルカリ触媒存在下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって得られるレゾール型フェノール樹脂を用いることができる。
また、レゾール型の流動性フェノール樹脂に公知の方法によって酸性触媒下においてフェノール類とアルデヒド類の反応によって生成する、固体の熱融着性を示すノボラック型のフェノール樹脂を溶解混入させることもできるが、この場合は硬化剤、例えばヘキサメチレンジアミンを含有した、自己架橋タイプのものが好ましい。
フェノール類としては、例えば、フェノール、レゾルシン、クレゾール、キシロール等が用いられる。アルデヒド類としては、例えばホルマリン、パラホルムアルデヒド、フルフラール等が用いられる。また、これらを混合物として用いることができる。これらはフェノール樹脂として市販品を利用することも可能である。
燃料電池用ガス拡散電極基材に対する撥水処理への利用を意図して、液状物に撥水性高分子を添加する場合、該撥水性高分子としては、化学的に安定でかつ高い撥水性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂を用いることが好ましい。液状物中の撥水性高分子の固形分濃度は、一様に付着させる観点から1重量%以上が好ましく、ガス拡散電極基材の空隙を閉塞させない観点から30重量%以下が好ましい。
また、フェノール樹脂等の樹脂組成物を使用しない多孔質電極基材、例えば、炭素短繊維と炭素粉と撥水性高分子からなる多孔質電極基材への利用を意図して、液状物に炭素粉と撥水性高分子を添加する場合、該炭素粉としては、カーボンブラック、またはカーボンブラックと黒鉛粉の混合物を用いることが、導電性の発現およびシート形状維持の点で好ましい。
カーボンブラックは、一般に平均粒径が数十ナノメートルの一次粒子が互いに融着してストラクチャーを形成し、さらにストラクチャー同士がファンデアワールス力により結合した構造体(アグロメート)として存在する。カーボンブラックは、単位質量当たりの粒子数が黒鉛粉に比べて著しく多く、ある臨界濃度以上でアグロメートが3次元ネットワーク状に連なって巨視的な導電経路を形成する。したがって、炭素粉は少なくともカーボンブラックを含有することが好ましい。炭素粉に含まれるカーボンブラックの割合は、炭素粉全体に対し70〜100質量%の範囲であることがより好ましく、80〜90質量%の範囲であることが特に好ましい。カーボンブラックの割合を70質量%以上とすることで、3次元ネットワーク状の導電経路を形成しやすくする。
一方、炭素粉としてカーボンブラックのみを含有する分散液は粘度が高くなりやすいため、炭素粉の濃度を維持したまま分散液の粘度を下げるために、黒鉛粉を添加することが好ましい。黒鉛粉は、高結晶性のグラファイト構造からなり、その一次粒子の平均粒径は一般に数マイクロメートル〜数百マイクロメートルである。炭素粉に含まれる黒鉛粉の割合は、10〜20質量%の範囲であることが好ましい。カーボンブラックとしては、フォーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック等を用いることができるが、電気伝導性に優れるアセチレンブラックまたはケッチェンブラックがより好ましい。黒鉛粉としては、熱分解黒鉛、球状黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等を用いることができるが、電気伝導性に優れる熱分解黒鉛または球状黒鉛が好ましい。
炭素粉と撥水性高分子を併用する場合の質量比は、導電性の発現とバインダー性能の発現の点から、炭素粉:撥水性高分子=2:8〜8:2であることが好ましく、4:6〜7:3であることがより好ましい。また、炭素粉と撥水性高分子とは、シート状物に含浸する際の含浸性の観点から、スラリー状であることが好ましい。分散溶媒としては、取り扱い性、製造コストの観点から、水、アルコールまたはこれらの混合物を用いることが好ましい。分散液中の炭素粉の濃度は、炭素粉からなる導電経路を形成するために4質量%以上が好ましく、低粘度で含浸性が高い分散液とするために8質量%以下が好ましく、6〜8質量%がより好ましい。分散液中の撥水性高分子の濃度は、多孔質電極基材への撥水性付与のために2質量%以上が好ましく、導電性を阻害しないために6質量%以下が好ましく、3〜6質量%がより好ましい。
分散溶媒として水を用いる場合には、炭素粉や撥水性高分子を分散させるために、界面活性剤などの分散剤を用いることができる。分散剤としては特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのポリエーテル類や、ナフタレンスルホン酸塩などの芳香族スルホン酸塩類などを用いることができる。
樹脂組成物の含浸は、複数回繰り返してもよい。即ち、樹脂組成物の含浸を行った後、分散媒を乾燥させた後にさらに樹脂組成物の含浸を行ってもよいし、できつつある樹脂組成物含浸シートを裏返し、反対側から、樹脂組成物の含浸を行ってもよい。また、これらの操作を繰り返してもよい。樹脂組成物の含浸回数は特に限定されないが、含浸回数を少なくする方が、製造コスト低減の観点で好ましい。含浸回数を複数回とする場合、含浸する樹脂組成物は、種類や濃度が異なるものを用いても良い。また、樹脂組成物の含浸量はシートの厚さ方向に均一であっても、濃度勾配があっても良い。
上記樹脂組成物の付着量は、シート100質量部に対し、多孔質電極基材の機械的強度の観点から20質量部以上が好ましく、多孔質電極基材のガス透過度の観点から150質量部以下が好ましく、20〜120質量部がより好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。実施例中の各物性値等は、以下の方法で測定する。
<粘度>
液状物の粘度は、JIS K7117−1に従ってB型粘度計を用いて測定した。
(実施例1)
(1)シートの製造及び加圧水流噴射による3次元交絡処理
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素短繊維(A)と、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(B)(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)と、叩解によってフィブリル化するアクリル系ポリマーとジアセテート(酢酸セルロース)とからなる易割繊性アクリル系海島複合短繊維(三菱レイヨン(株)製、商品名:ボンネルM.V.P.−C651、平均繊維長:3mm)を叩解処理したもの(C)を用意し、質量比でA:B:C=60:20:20となるように抄紙用スラリーを調製した。次いで、例えば特開2009−129633に開示される湿式連続抄紙法および連続加圧水流噴射処理による交絡処理法により、幅48cm、平均目付64g/mの3次元交絡構造シートを得た。
(2)連続液状物添加
シートを案内するガイドロールと、間隙が調整可能かつ平行な一対の液状物添加ロールと、前記液状物添加ロールの上方に位置する液状物供給ユニットと、間隙が調整可能かつ平行な一対の液状物絞りロールからなる連続液状物添加装置を用意した。この時、液状物添加ロールおよび液状物絞りロールのどちらも、一対のロールのそれぞれのロールの軸線が平行で、かつ一対のロールはそれぞれのロールの軸線が水平面と平行となるように設置した。シートは図1のように導紙し、液状物添加上流側ロールに対するシートのラップ角度θが90°となるように調整した。ロールはすべて幅60cmである。前記液状物供給ユニットは、液状物タンクと、3連チューブポンプ(東京理化(株)製、商品名:RP−1000)と、3本のY字分岐管からなり、計6本のチューブ端をシートの幅方向に対し均等に配置した。また、前記液状物絞りロールは、駆動機構およびエアシリンダーによる圧力制御機構を有している。
次いで、液状物としてレゾール型フェノール樹脂の水分散液(住友ベークライト(株)製、商品名:PR−14170)を用意し、樹脂固形分が液状物の20質量%となるように純水で希釈し、液状物タンクに投入した。このとき、液状物の粘度は10mPa・sであった。次いで、図1に示すように前記3次元交絡構造シートを導紙した後、3連チューブポンプをポンプ回転数80rpmで運転し、液状物供給ユニットから連続的に液状物を流下した。流下された液状物が、液状物添加上流側ロール3aと液状物添加下流側ロール3bの間隙に均等に行き渡ったことを確認した後、液状物絞りロール(5a、5b)を搬送速度3.0m/min、エア圧0.2MPaで稼動し、樹脂が添加された3次元交絡構造シートを巻取り装置にて巻き取った。
巻き取った前記3次元交絡構造シートを、連続的に巻き出しながら、最高温度130℃の連続熱風乾燥機にて乾燥し、樹脂の不揮発分が3次元交絡構造シートに対し92質量%付着した樹脂添加シートを35m得た。目付変動は長手方向に±2.8g/m、幅方向に±2.0g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例2)
3次元交絡構造シートの導紙方法を、図2に示した方法としたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂添加シートを得た。この時、液状物添加ロールおよび液状物絞りロールのどちらも、一対のロールのそれぞれのロールの軸線が平行で、かつ一対のロールはそれぞれのロールの軸線が水平面と平行となるように設置した。液状物添加下流側ロール3bに対するシートのラップ角度θが60°となるように調整した。得られた樹脂添加シートの目付変動は長手方向に±3.3g/m、幅方向に±2.2g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例3)
3次元交絡構造シートの導紙方法を、図3に示した方法としたこと以外は実施例1と同様にして、樹脂添加シートを得た。この時、液状物添加ロールおよび液状物絞りロールのどちらも、一対のロールのそれぞれのロールの軸線が平行で、かつ一対のロールはそれぞれのロールの軸線が水平面と平行となるように設置した。液状物添加下流側ロール3bに対するシートのラップ角度θが30°となるように調整した。得られた樹脂添加シートの目付変動は長手方向に±3.7g/m、幅方向に±3.0g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例4)
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素短繊維(A)と、平均繊維径が4μm、平均繊維長が3mmのアクリル短繊維(B)(三菱レイヨン(株)製、商品名:D122)と、市販のポリエチレンパルプ(三井化学(株)製、商品名:SWP E400)(C)を用意し、質量比でA:B:C=50:10:40となるように抄紙用スラリーを調製した。次いで、例えば特開2009−129633に開示される湿式連続抄紙法と雰囲気温度130℃での連続乾燥処理により、幅48cm、平均目付42g/mのシートを得た。それ以外は実施例1と同様にして、前記シートに対し、樹脂の不揮発分が50質量%付着した樹脂添加シートを得た。得られた樹脂添加シートの目付変動は長手方向に±3.1g/m、幅方向に±2.3g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例5)
実施例4と同様にしてシートを得た。また、液状物として、レゾール型フェノール樹脂の水溶液(住友ベークライト(株)製、商品名:PR−9800D)を用意し、樹脂固形分が液状物の30質量%となるように純水で希釈し、さらに界面活性剤としてポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを液状物の0.1質量%だけ添加し、液状物タンクに投入したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂添加シートを得た。得られた樹脂添加シートの目付変動は長手方向に±2.6g/m、幅方向に±2.3g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例6)
液状物としてレゾール型フェノール樹脂の水分散液(住友ベークライト(株)製、商品名:PR−14170)を用意し、樹脂固形分が液状物の10質量%となるように純水で希釈し、さらに熱分解黒鉛(伊藤黒鉛工業(株)製、商品名:PC−H)を液状物の1.0質量%だけ添加し、熱分解黒鉛が沈殿しないように液状物タンク内を攪拌しながら液状物を供給したこと以外は、実施例1と同様にして樹脂添加シートを得た。得られた樹脂添加シートの目付変動は長手方向に±3.8g/m、幅方向に±3.6g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例7)
実施例4と同様にしてシートを得たこと以外は、実施例6と同様にして樹脂添加シートを得た。得られた樹脂添加シートの目付変動は長手方向に±4.3g/m、幅方向に±3.8g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例8)
平均繊維径が7μm、平均繊維長が3mmのPAN系炭素短繊維(A)が樹脂炭化物によって結着されてなる多孔質炭素シートを用意し、また、液状物として、純水にポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを20質量%添加したものを用意したこと以外は、実施例1と同様にして、界面活性剤で処理された多孔質炭素シートを得た。前記界面活性剤で処理された多孔質炭素シートの平均目付は62g/m、目付変動は長手方向に±1.5g/m、幅方向に±1.2g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例9)
液状物として、市販のPTFEディスパージョン(商品名:31−JR、三井・デュポンフロロケミカル社製)を純水で固形分が20質量%となるよう希釈したものを用意したことと、実施例8で作製した界面活性剤で処理された多孔質炭素シートを用意したこと以外は、実施例1と同様にして、フッ素樹脂により撥水処理された多孔質炭素シートを得た。前記撥水処理された多孔質炭素シートの平均目付は74g/m、目付変動は長手方向に±3.1g/m、幅方向に±2.8g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(比較例1)
液状物添加下流側ロールを取り外して使用したこと以外は実施例1と同様にして、液状物をシート上に連続的に流下したが、液状物が幅方向に広がらず、長手方向に筋模様が形成されたのみだった。
(比較例2)
フィルムを用い、速度2.0m/minで搬送したこと以外は実施例1と同様にして、液状物をシートに連続的に流下したが、液状物はフィルム上を流れるのみで含浸不可能であった。
(実施例10)
液状物供給ユニットの一部として、図5に示すような形状の貯め枡(有効幅560mm、深さ50mm、奥行50mm、透明塩化ビニル製)およびスロープ(有効幅560mm、長さ120mm、透明塩化ビニル製)からなり、貯め枡の背面に6箇所の接続口を有するフローボックスを用意し、貯め枡の背面から6本のチューブを挿入して使用した。それ以外は、実施例1と同様にして、樹脂添加シートを得た。得られた樹脂添加シートの目付変動は長手方向に±1.5g/m、幅方向に±1.2g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例11)
実施例10と同様の方法で液状物を供給したこと以外は、実施例2と同様にして、樹脂添加シートを得た。得られた樹脂添加シートの目付変動は長手方向に±1.6g/m、幅方向に±1.5g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。あふれた液状物への短繊維の混入はほとんど見られなかった。
(実施例12)
ケッチェンブラック(商品名:カーボンECP、ライオン(株)製)、球状黒鉛(商品名:SG−BH8、伊藤黒鉛工業(株)製)、PTFE(商品名:L172JE、旭硝子(株)製)、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(界面活性剤)を用意し、これらがそれぞれ5.5質量%、2.5質量%、6.0質量%及び6.0質量%となるように、純水に添加し、ホモジナイザーで1時間攪拌することで、ケッチェンブラック、球状黒鉛、PTFE、界面活性剤を含有する液状物を調製した。それ以外は、実施例10と同様にして、樹脂組成物含浸シートを得た。前記シートの平均目付は108g/m、目付変動は長手方向に±3.5g/m、幅方向に±3.1g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。
(実施例13)
デンカブラック(商品名:電気化学工業(株)製)、熱分解黒鉛(商品名:PC−H、伊藤黒鉛工業(株)製)、PTFE(商品名:L172JE、旭硝子(株)製)、ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(界面活性剤)を用意し、これらがそれぞれ6.3質量%、0.7質量%、4.5質量%及び4.9質量%となるように、純水に添加し、ホモジナイザーで1時間攪拌することで、デンカブラック、熱分解黒鉛、PTFE、界面活性剤を含有する液状物を調製した。この液状物を用いたこと以外は実施例12と同様にして、樹脂組成物含浸シートを得た。前記シートの平均目付は92g/m、目付変動は長手方向に±3.4g/m、幅方向に±3.5g/mであり、長手方向、幅方向共に均一な目付の樹脂添加シートが得られた。
1 : シート
2 : ガイドロール
3a:液状物添加上流側ロール
3b:液状物添加下流側ロール
4 : 液状物供給ユニット
5a:液状物絞りトップロール
5b:液状物絞りボトムロール
6 : 液状物
θ : ラップ角度
矢印: シートの進行方向
7 :シート面と平行な線
8 :貯め枡
9 :スロープ
10:チューブ

Claims (10)

  1. シートを連続的に一対のロールの間に挟んで搬送する操作において、一対のロールのそれぞれのロールの軸線が平行で、かつ一対のロールはそれぞれのロールの軸線が水平面と平行なように設置されており、一対のロールの間に液状物を含浸可能なシートが供給され、一対のロールのいずれか一方のロールと当該シートの境界に液状物を供給し、液状物をシートに含浸させる方法。
  2. 一対のロールの上流側及び下流側にシートのガイドロールを設け、一対のロールの一方のロールに対するシートのラップ角度を15°〜180°に調整することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 一対のロールおよびガイドロールの下流側に、もう一対のロールを設け、当該ロールに液状物を含浸させたシートを挟んで更に押圧することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. シートの搬送速度が0.1〜20m/minであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 液状物の供給が、一対のロールを構成するロールの内、ロールの軸線が上に位置するロールと、液状物を含浸可能なシートの上面との境界に、液状物を供給することにより行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 一対のロールを構成するロールの軸線が同一水平面上に位置することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  7. 液状物の供給が、一対のロールの上流側において、行われることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
  8. 液状物を供給する一対のロールでシートを押圧することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 液状物が樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 液状物の粘度が500mPa・s以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
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