JP2014138555A - 餡製品の品質改善方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】餡製品の保存中における原料砂糖の結晶化による食感の悪化を抑制し、保湿性及び味質を向上させる方法、およびその方法により得られる餡製品を提供する。また、餡製品特有の雑味を抑え、他の食材の風味を引き立たせる方法およびその方法により得られる餡製品を提供する。
【解決手段】有効成分として、少なくともD−プシコースを含む希少糖を餡製品の製造工程において共存させることで、上記課題が解決された、味質の好ましい餡製品を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、餡製品の品質改善方法に関し、より具体的には、有効成分として、少なくともD−プシコースを含む希少糖を餡製品の製造工程において共存させることで、餡製品の保存中における原料砂糖の結晶化による食感の低下を防止し、保湿性及び味質を改善する方法に関する。
餡は、羊羹、饅頭、菓子パン、ぜんざい、おはぎなどの菓子類に幅広く利用される加工食品であり、その甘味、保形性、保湿性、保存性を維持するために、製造加工時に大量の砂糖を使用するのが一般的である。
しかし、多量の砂糖を含むことにより、保存中に砂糖が結晶化・析出することがしばしばあり、そうすると、餡の艶がなくなり外観が悪くなることに加え、喫食時にはその砂糖の結晶が口中でザラついて食感が好ましくないという問題があった。
これらの課題を解決するために、これまでに種々の方法が検討され、開示されてきている。例えば、菓子製品の保存性を改善するために、特定量の糖アルコール及び/又は還元澱粉加水分解物である保湿剤を餡や外皮に含ませた菓子を、脱酸素剤と共にバリヤー性を有する合成樹脂製フィルムで密閉包装することを特徴とする食品の保存方法(特許文献1)、色調やなめらかさを改善するために、低甘味度・低カロリーである人口甘味添加物としてのキシロースの特定量を特定の温度と条件下で原料に混入させてようかんを製造する方法(特許文献2)、砂糖の結晶析出や保湿性を改善するために、フラクトオリゴ糖を含有させることを特徴とする餡製品(特許文献3)、同じく砂糖の結晶析出や保湿性を改善する目的で、高糖化還元水飴を含有させることを特徴とする餡製品(特許文献4)、味質改善及び砂糖の結晶析出防止の目的で、ショ糖とイソマルツロース及び/又はイソマルツロース還元物の特定量を含ませることを特徴とする食品(特許文献5)などが開示されている。
しかし、これらの従来技術では、問題が十分に解決されたとは言い難い。例えば、特許文献1は、餡の配合よりもむしろ脱酸素剤や特殊なフィルムによって保存性を高めるものであって、製品形態が著しく制限されるもので方法であるし、特許文献2〜4はそれぞれ、キシロース、フラクトオリゴ糖、高糖化還元水(例えば、ソルビトール)、イソマルツロース及び/又はイソマルツロース還元物を含有させることを特徴とする、餡製品における砂糖の結晶化や保湿性を改善する方法ではあるが、これら物質は、いずれも甘味度が砂糖の3割〜7割程度と低いことに加え、溶解度が砂糖の2分の1と非常に低いものもあるために、砂糖と同等の甘味質を得ようとすれば多量に添加する必要があり、そうすると好ましくない白濁を引き起こしてしまうという難点があった。
特開昭57−12957号公報 特開平09−009876号公報 特開平09−000159号公報 特開2006−61130号公報 特開2011−229422号公報 特開2002−17392号公報 国際公開第2010/113785号
そこで、本発明は、結晶析出による食感の劣化が少なく、保湿性や甘味質に優れた、砂糖と比べても遜色のない品質を有する餡製品を提供することを課題とする。
本発明者は、前記の目的を達成すべく鋭意研究した結果、少なくともD−プシコースを含む希少糖を、餡製品の加工製造の際に共存させることにより、非常に簡便に餡製品の保存中に起こる砂糖の結晶化を防止することができる、すなわち、外観上の艶の劣化や喫食時の食感の悪化を改善できることを見出した。また、少なくともD−プシコースを含む希少糖を、練り上げ餡の中に特定の割合で含まれるように加工することで、その甘味質は、砂糖の味質に比して優るとも劣らないことを見出し、この知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
すなわち具体的には、本発明は、以下に技術的事項からなる。
(1)少なくともD−プシコースを含む希少糖を含ませることを特徴とする、餡製品の品質改善方法。
(2)品質改善が、砂糖の結晶化防止、保湿性の向上、味質改善のうちから選ばれる1つ以上であることを特徴とする前記(1)に記載の餡製品の品質改善方法。
(3)餡製品の原材料中の糖質100重量部のうち、5〜100重量部を少なくともD−プシコースを含む希少糖に置き換えることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の餡製品の品質改善方法。
(4)少なくともD−プシコースを含む希少糖が、D−プシコースを0.5〜17.0質量%含有する前記(1)から(3)のいずれかひとつに記載の餡製品の品質改善方法。
(5)少なくともD−プシコースを含む希少糖が、さらにD−アロースを0.2〜10.0質量%含有する前記(4)に記載の餡製品の品質改善方法。
(6)少なくともD−プシコースを含む希少糖が、D−フラクトース、異性化糖、砂糖、又はD=グルコースのうちから選ばれる一種以上を原料として製造されたものである、前記(4)又は(5)のいずれかひとつに記載の餡製品の品質改善方法。
(7)少なくともD−プシコースを含む希少糖が、D−グルコース、D−フラクトース、及び砂糖の合計が55〜99質量%になるまでアルカリ異性化して製造されたシロップである、前記(6)に記載の餡製品の製造方法。
(8)上記(1)〜(7)に記載のいずれかの方法により製造された餡製品。
(9)少なくともD−プシコースを含む希少糖を含有することを特徴とする餡製品の品質改善剤。
本発明によれば、特別な装置は必要とせず、非常に簡便に、餡製品の保存中に起こる砂糖の結晶化を防止することができ、外観上の艶の劣化や喫食時の食感の悪化を改善することができる。また、本発明によれば、砂糖の味質に比して遜色のない、好ましい味質を有する餡製品が得られる。
本発明における希少糖とは、糖の基本単位である単糖(炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。)のうち、自然界に大量に存在するD−グルコース(ブドウ糖)に代表される「天然型単糖」に対して、自然界に微量にしか存在しない単糖(アルドース、ケトース)およびその誘導体(糖アルコール)と定義付けられている。一般に自然界に多量に存在するアルドースとしてはD- グルコース、D- ガラクトース、D- マンノース、D- リボース、D- キシロース、L- アラビノースの6種類あり、それ以外のアルドースは希少糖と定義される。ケトースとしては、D- フラクトースが存在しており、他のケトースは希少糖といえる。他のケトースとして、D- プシコース、D- タガトース、D- ソルボース、L- フラクトース、L- プシコース、L- タガトース、L- ソルボースが挙げられる。また糖アルコールは単糖を還元してできるが、自然界にはD- ソルビトールが比較的多いがそれ以外のものは量的には少ないので、これらも希少糖といえる。希少糖の存在量は非常に少なく、例えばD−アロースは、D−グルコース(ブドウ糖)に比べて圧倒的に存在量が少ない。
そのなかでも、現在、大量生産が可能な希少糖は、D−プシコースとD−アロースである。D−プシコースは、ケトヘキソースに分類されるプシコースのD体であり、六炭糖である。また、D−アロースは、アルドースに分類されるアロースのD体であり、同じく六炭糖である。D−プシコースは、自然界から抽出されたもの、化学的又は生物学的な方法により合成されたもの等を含め、どのような手段により入手してもよい。D−アロースは、D−プシコースを含有する溶液にD−キシロースイソメラーゼを作用させて、D−プシコースからD−アロースを生成させる(特許文献6)などして入手できるが、この方法に限定せず、どのような手段により入手してもよい。
本発明における希少糖は、上述の希少糖(例えば、D−ソルボース、D−タガトース、L−ソルボース、D−プシコース、D−アロース、D−アルトロース)を適宜選択して用い、特に、希少糖を含有するシロップの形態で用いるのが好ましい。希少糖含有シロップは、上述の希少糖(例えば、D−ソルボース、D−タガトース、L−ソルボース、D−プシコース、D−アロース、D−アルトロース)を適宜選択し、一般的なシロップ(液糖)に適宜混合することでも得られるが、市販品「レアシュガースウィート」(発売元:(株)レアスウィート、販売者:松谷化学工業(株))として、容易に入手することができる。
「レアシュガースウィート」は、異性化糖を原料とし、特許文献7に開示される手法により得られる希少糖を含有するシロップであり、希少糖として主にD−プシコースおよびD−アロースが含まれるように製造されたものである。該手法により得られる希少糖含有シロップに含まれる希少糖は、全糖に対する割合でD−プシコース0.5〜17質量%、D−アロース0.2〜10質量%であるが、未同定の希少糖も含まれる。
希少糖含有シロップを得る方法は、上記手法に限られるものではなく、単糖(D−グルコースやD−フラクトース)にアルカリを作用させ、19世紀後半に発見された反応、ロブリー・ドブリュイン−ファン エッケンシュタイン転位反応やレトロアルドール反応とそれに続くアルドール反応を起こさせ(以上の反応をアルカリ異性化反応と呼ぶ)、生じた各種単糖(希少糖含む)を含むシロップを広く「希少糖含有シロップ」と呼ぶことができ、D−グルコースおよび/もしくはD−フラクトースを原料として、D−グルコースおよび/もしくはD−フラクトース含量が55〜99質量%になるまでアルカリ異性化したシロップが主に使用される。
希少糖の測定方法は種々存在するが、高速液体クロマトグラフィーにより分離測定する方法が一般的であり、測定条件の一例として、特許文献7に記載の測定条件が挙げられる(検出器;RI、カラム;三菱化成(株)MCI GEL CK 08EC、カラム温度;80℃、移動相;精製水、移動相流量;0.4mL/min、試料注入量;10μL)。
前記希少糖含有シロップの製造に使用される原料としては、でん粉、砂糖、異性化糖、フラクトース、グルコースなどが挙げられる。異性化糖とは、特定組成比のD−グルコースとD−フラクトースを主組成分とする混合糖として広く捉えられ、一般的には、でん粉をアミラーゼ等の酵素又は酸により加水分解して得られた、主にブドウ糖からなる糖液を、グルコースイソメラーゼまたはアルカリにより異性化したブドウ糖および果糖を主成分とする液状の糖のことを指す。JAS規格においては、果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が50%未満のものを「ブドウ糖果糖液糖」、50%以上90%未満のものを「果糖ブドウ糖液糖」、90%以上のものを「高果糖液糖」、およびブドウ糖果糖液糖にブドウ糖果糖液糖を超えない量の砂糖を加えたものを「砂糖混合果糖ブドウ糖液糖」とよぶが、本発明の希少糖含有シロップの原料としては、何れの異性化糖を用いても構わない。
例えば、D-フラクトースを原料とした希少糖含有シロップは、D-プシコース5.2%、D-アロース1.8%、グルコース15.0%、D-フラクトース69.3%を含んでいる。また、異性化糖を原料とした希少糖含有シロップは、D-プシコース3.7%、D-アロース1.5%、グルコース45.9%、D-フラクトース37.7%を含み、D-グルコースを原料とすると、D-プシコース5.7%、D-アロース2.7%、グルコース47.4%、D-フラクトース32.1%を含んでいるが、原料および処理方法の違いにより含有糖組成は変化する。
本発明は、餡製品の製造の際に、少なくともD−プシコースを含む希少糖を共存させることが必須である。以降、「少なくともD−プシコースを含む希少糖」を単に希少糖と表現することもある。
前述のとおり、本発明は、餡製品の製造の際に、少なくともD−プシコースを含む希少糖を共存させることが必須であるが、餡へ添加するタイミングは特に限定されるものではない。例えば、餡の原料素材である豆類や芋類などを漬けたり茹でたりする水に添加しておく手法でも良いし、茹でたり蒸したりする工程において添加する手法でも良く、また、餡を練り上げる工程で添加する手法であってもよく、製造工程のいずれかの段階で希少糖を共存させるような手法であれば構わない。
本発明の餡製品とは、餡を利用した製品を指し、例えば、羊羹、きんつば、ういろう、饅頭、最中、あんまん、どら焼き、今川焼き、たい焼き、あん巻き、月餅、ねりきり、ぜんざい、おはぎ、大福、あべかわ餅、金時氷など、和菓子類一般が挙げられるが、あんぱん、あんデニッシュ、あんドーナツ、あんクレープ、あずきアイスクリーム、あずきアイスキャンディーなど、餡を利用した菓子類であれば、特に限定されるものではない。
上記の餡に使用される原料素材は、特に限定されるものではないが、餡の主体となる原料素材として、例えば、豆類(小豆、白小豆、いんげん豆、白花豆、枝豆、緑豆、青エンドウ、黒豆など)、芋類(薩摩芋、琉球芋、鳴門金時、紫芋など)、かぼちゃ、栗、バナナ、ピーナッツ、クルミ、ゴマ、なつめ、澱粉などが挙げられ、卵黄、味噌、抹茶、柚子といった副原料を添加して製造することもできる。
餡の製造工程は、豆類を使用する場合、水に一定時間浸漬後、煮沸してから潰し(又は潰さず)、篩い分け(又は篩い分けず)、水さらしや脱水工程を経て生餡としたのちに、砂糖を加えて加熱等する方法が一般的であるが、この方法に特に限定されるものではない。本発明の必須要件である、少なくともD−プシコースを含む希少糖が最終的に餡中に含まれている状態にあるように製造されればよい。
本発明における原料糖質としては、主に砂糖が使用される。砂糖は、ショ糖又はスクロースとも呼ばれる二糖で、水分含量、粒度、精製度合の違いにより、上白糖、三温糖、グラニュー糖、白双糖、粉砂糖、顆粒状糖などがあるが何れの形態でも使用できる。また、砂糖以外にも澱粉を主原料に糖化して得られる水飴や、ブドウ糖、果糖などの単糖類、ショ糖、乳糖などの二糖類、ラフィノース、スタキオースなどの少糖類、トレハロースのようにブドウ糖が還元末端同士で結合した糖類、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、還元でん粉分解物、還元キシロオリ
ゴ糖、パラチニット、還元分岐オリゴ糖などの糖アルコール、水飴、でん粉分解物などの多糖類が使用できる。
以下、試験例および実施例により本発明を具体的に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
なお、実施例中で使用された希少糖含有異性化糖は、「レアシュガースウィート」(発売元:(株)レアスウィート、販売者:松谷化学工業(株))である。該製品は固形分が70%であり、その糖組成は、ブドウ糖44%、果糖30%、D−プシコースを含む全希少糖15%、その他単糖6%、オリゴ糖5%であり、「少なくともD−プシコースを含む希少糖」を固形分中に15%含有する製品である。
[練餡の官能評価]
まず、定法に従い、乾燥小豆を水に浸漬してあく抜き、本炊き、脱水等を経て、潰し粒生餡(以下、粒生餡とよぶ。)を作製した。
次に、下記表1の配合に従って練餡を作製した。粒生餡を入れた鍋をガス火にかけ、攪拌しながら軽く沸騰状態になるまで加熱したところへグラニュー糖を数回に分けて添加し、次いで水飴(実施例1の場合は、さらに希少糖含有異性化糖)の順に添加していき、仕上がり糖度が65になるまで加熱攪拌を続けた。これをバットに取り上げて冷却した。
Figure 2014138555
作製した上記各餡について官能評価を行ったところ、実施例1の餡は、比較例1に比べ、口当りはしっとりとし、小豆独特の雑味が少なく、小豆風味が際立ち、後味はスッキリとしてキレが良く、外観はつやのある色調であった。
[羊羹における再結晶化試験1]
下記表2の配合に従って羊羹を作製し、再結晶化試験を行った。
まず、水(使用する希少糖含有異性化糖の量に応じて70〜100gで調節)と粉末寒天を入れた鍋をガス火にかけ、攪拌しながら粉末寒天を加熱溶解した後、グラニュー糖を加えて溶解し、次いで小豆こし生餡(上記粒生餡をこしたもの)を投入して糖度が73前後になるまで攪拌加熱した。続いて、希少糖含有異性化糖を加えて糖度が約75になるまで攪拌しながら加熱し、容器数個ずつに注入してから上面をフィルムでシールした。これを流水及び冷蔵庫で冷やし固めたのち、常温における保存試験を行った。
Figure 2014138555
保存試験開始後2、6、12、16、35日目に容器フィルムをはがして羊羹の状態を目視で確認し、結晶化が著しく進んでいるものを10点〜結晶化がないものを0点として結晶化の状態を点数化した。点数化は5名で行い、その合計点を下記表3に示す。
Figure 2014138555
その結果、常温保存2日目以降、原料グラニュー糖の5〜50重量部を希少糖含有異性化糖に置換えた実施例2〜5において、結晶化が明らかに改善されていることがわかった。
[羊羹における再結晶化試験2]
上記表2に示す実施例2の配合のうち、希少糖含有異性化糖に替えて、異性化糖(日本食品化工(株)、固形分70)又は水飴(「ハイマルトースMC−55」日本食品化工(株)、固形分78)のいずれかを使用して上記手順に準じて羊羹を作製し、結晶化状態を点数化して比較評価した(表4)。
Figure 2014138555
その結果、常温保存2日目以降、グラニュー糖のみで作製した比較例2また
はグラニュー糖の一部を異性化糖もしくは水飴に置換えた比較例3もしくは4よりも、希少糖含有異性化糖に置換えた実施例2において、結晶化が明らかに改善されていることがわかった。
[丁稚羊羹]
丁稚羊羹を作製した。
まず、水(使用する液糖の固形分に応じて135〜150gで調節)と粉末寒天を鍋に入れて火にかけ、攪拌しながら粉末寒天を加熱溶解し、さらにグラニュー糖を投入して溶解させた。続いて、小豆こし生餡を70g水で溶いたもの、澱粉と食塩を30g水で溶いたもの、液糖(水飴または希少糖含有異性化糖)の順に添加していき、順次攪拌しながら仕上がり糖度47にまで加熱溶解した。これを型に流し入れ、冷蔵庫で冷やし固めて丁稚羊羹を得た。
Figure 2014138555
官能評価を行ったところ、グラニュー糖のみの比較例5に比べて、グラニュー糖の一部を希少糖含有異性化糖に置き換えた実施例6のほうが、小豆の風味がよりはっきりと感じられるうえに、甘味の後味のキレが良く、スッキリとした味わいであった。
[ロールパン用の搾り餡]
ロールパン用の搾り餡を作製した。
まず、小豆潰し粒生餡と水を入れた鍋を火にかけて沸騰させた後、配合量の1/3量のグラニュー糖と加工澱粉を入れて攪拌しながら加熱を続け、10分後に1/3量のグラニュー糖、さらに10分後に1/3量のグラニュー糖を順次加えて溶解させ、次いで10分後に水飴又は希少糖含有異性化糖を加えて、仕上がり糖度約59で加熱を終了した(食塩は、加熱終了直前に加えた)。これを放冷後、絞り用袋に入れて真空包装した。
Figure 2014138555
上記絞り餡の官能評価は、抹茶を添加して作製した抹茶ロールパンの中央部をカットし、そこへ上記手順で得られた絞り餡を絞ってサンドし、これを官能評価することにより行った。
その結果、比較例6の餡サンドよりも実施例7の餡サンドのほうが、甘味の後味のキレが良いというだけでなく、パンの抹茶風味が際立っていた。その要因としては、希少糖含有異性化糖を餡に添加することにより餡独特の雑味が軽減するため、抹茶風味を損なうことがないことが考えられた。
[最中]
グラニュー糖、加工澱粉及び水を鍋に入れ、ガス火で沸騰させてから、10分毎に小豆こし生餡を3回に分け入れ、最後に液糖(HL−PDX)と希少糖含有異性化糖を入れ、仕上がり糖度68になるまで炊きあげた(仕上げ直前に食塩を加えた)。こうして得られた餡を冷却後、袋充填して真空包装した。
Figure 2014138555
上記手順で得られた餡を最中の皮に挟み、最中の官能評価を行った。
その結果、希少糖含有異性化糖を添加した実施例8の餡を使用した最中は、最中の皮の風味が引き出されて香ばしく、良好な風味の最中であった。一方、比較例7の餡を使用した最中は、口中に餡の甘味が後を引き、皮の風味がほとんど打ち消されていた。
以上より、少なくともD−プシコースを含む希少糖を餡製品に利用することで、餡製品自体の風味や甘味が良好となるだけでなく、その餡製品をパンや最中の皮といった他の素材と合わせて製造して得られる食品の風味を損なわず、その食品が有する本来の好ましい風味を引き立たせることがわかった。
本発明によれば、餡製品に好ましい甘味質を与えるだけでなく、原材料の有する好ましい風味を引き立たせる効果が同時に得られるため、消費者の嗜好を満足させる美味しい餡製品及びそれを利用した食品を提供することができる。
また、餡製品の長期保存中に結晶化することがほとんどないので、外観に優れた口当たりが滑らかな餡製品が得られる。

Claims (9)

  1. 少なくともD−プシコースを含む希少糖を含ませることを特徴とする、餡製品の品質改善方法。
  2. 品質改善が、砂糖の結晶化防止、保湿性の向上、味質改善のうちから選ばれる1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の餡製品の品質改善方法。
  3. 餡製品の原材料中の糖質100重量部のうち5〜100重量部を少なくともD−プシコースを含む希少糖に置き換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の餡製品の品質改善方法。
  4. 少なくともD−プシコースを含む希少糖が、D−プシコースを0.5〜17.0質量%含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の餡製品の品質改善方法。
  5. 少なくともD−プシコースを含む希少糖が、さらにD−アロースを0.2〜10.0質量%含有する請求項4に記載の餡製品の品質改善方法。
  6. 少なくともD−プシコースを含む希少糖が、D−フラクトース、異性化糖、砂糖、又はD−グルコースのうちから選ばれる一種以上を原料として製造されたものである、請求項4又は5のいずれか一項に記載の餡製品の品質改善方法。
  7. 少なくともD−プシコースを含む希少糖が、D−グルコース、D−フラクトース、及び砂糖の合計が55〜99質量%になるまでアルカリ異性化して製造されたシロップである、請求項6に記載の餡製品の製造方法。
  8. 請求項1〜7に記載のいずれかの方法により製造された餡製品。
  9. 少なくともD−プシコースを含む希少糖を含有することを特徴とする餡製品の品質改善剤。
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