JP2014137328A - フーリエ変換型分光計およびフーリエ変換型分光計の波長校正方法 - Google Patents

フーリエ変換型分光計およびフーリエ変換型分光計の波長校正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、交流点灯する輝線光光源を用いて波長校正を行い得るフーリエ変換型分光計およびその波長校正方法を提供する。
【解決手段】本発明のフーリエ変換型分光計Dおよびその波長校正方法では、所定光のインターフェログラムのフーリエ変換結果と実際の波長値とを対応付ける波長校正は、前記所定光として予め既知な波長の輝線光を含む校正用光が干渉計に入射された場合に、1回の測定を行うことによって得られた1個のインターフェログラムに基づくフーリエ変換結果から得られた前記輝線光の波長に相当するピーク位置に基づいて、実行される。
【選択図】図2

Description

本発明は、フーリエ変換型分光計およびフーリエ変換型分光計の波長校正方法に関し、特に、交流点灯する輝線光光源を用いて波長校正を行うことができるフーリエ変換型分光計およびフーリエ変換型分光計の波長校正方法に関する。
分光計は、測定対象の所定光(被測定光)における各波長(各波数)の成分(光強度)を表すスペクトルを測定する装置であり、例えば、分散型分光計やフーリエ変換型分光計等がある。分散型分光計は、大略、スリットを介して入射された所定光を反射型回折格子で回折しつつ反射(反射しつつ回折)し、この回折反射した回折光をリニアアレイフォトセンサで受光することによって前記所定光のスペクトルを求める測定器である。フーリエ変換型分光計は、大略、干渉計で所定光の干渉光を測定し、この測定結果をフーリエ変換することによって前記所定のスペクトルを求める測定器である。このフーリエ変換型分光計では、干渉計の出力は、所定光に含まれる複数の波長の光が前記干渉計によって一括で干渉された合成波形であり、インターフェログラムと呼ばれ、このインターフェログラムをフーリエ変換することによって、前記所定光のスペクトルが求められる。このインターフェログラムは、所定の範囲で1または複数の急峻なピークを持つと共に残余の範囲では略ゼロレベルとなるプロファイルとなり、この1または複数の急峻なピークのうちの中央のピークは、センターバーストと呼ばれる。このようなフーリエ変換型分光計の干渉計は、所定光が入射され前記所定光の入射位置から干渉位置までの間に2個の光路を形成する複数の光学素子を備えて構成され、前記複数の光学素子には、光軸方向に移動することによって前記2個の光路間に光路差を生じさせる光路差形成光学素子が含まれている。このような光路差形成光学素子として、走査範囲を光軸方向に沿って走査する移動鏡が挙げられる。そして、フーリエ変換型分光計では、スペクトルの測定精度の向上を図るために、通常、前記移動鏡を複数回走査することによって所定光のインターフェログラムが複数回測定され、これら複数のインターフェログラムがセンターバーストで位置合わせを行いつつ合成され、この合成されたインターフェログラム(合成インターフェログラム)がフーリエ変換され、前記所定光のスペクトルが求められている。
このような分光計では、回折光の測定結果や干渉光の測定結果と実際の波長とを対応付ける波長校正が必要である。例えば、分散型分光計では、複数のフォトセンサを直線上に配列したリニアアレイフォトセンサにおける各フォトセンサの各配置位置(リニアアレイフォトセンサの各受光位置)と各波長とを対応付けることによって波長校正が行われる。この波長校正によってフォトセンサの配置位置LPaが波長λaと値付けされると、この配置位置Paのフォトセンサの出力が測定対象の所定光における波長λaの成分となる。また例えばフーリエ変換型分光計では、フーリエ変換で得られるスペクトルの番号と波数とを対応付けることによって波長校正が行われる。また、波長校正した後に例えば経年変化等によって測定結果と対応付けた波長との間にズレが生じるため、このような波長校正を必要に応じて適宜な時期に行う必要もある。
従来、この波長校正は、例えば、分散型分光計では、図17に示すように既知な波長の輝線光を含む光を放射する輝線光光源を用い、前記輝線光光源をサンプル(測定対象)として測定することによって行われる。また例えば、フーリエ変換型分光計では、波長校正は、既知な波長で所定のピーク、例えば吸収ピークを持つフィルタを用い、前記フィルタをサンプルとして測定することによって行われる。例えば、特許文献1では、所定のフリースペクトラムレンジ(FSR)内において既知な波長で透過ピークを持つファブリペローエタロン(Fabry−Perot etalon)フィルタを用いてこれを測定することによってVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)における初期波数からのシフト量が求められ、VCSELが初期波数のレーザ光を発光するようにVCSELの駆動電流や温度を制御することによって補正されている。
米国特許第6654125号明細書
ところで、フーリエ変換型分光計のうち、赤外領域を測定する赤外領域用のフーリエ変換型分光計では、赤外領域に、半値全幅の狭い比較的急峻な吸収ピークを既知な波長で持つフィルタが存在するので、比較的高精度に波長校正を実施することができる。しかしながら、フーリエ変換型分光計のうち、近赤外領域を測定する近赤外領域用のフーリエ変換型分光計では、フィルタが半値全幅の広い比較的緩やかな吸収ピークを持ち、しかもそのフィルタ特性が温度依存性を有しているので、ピーク位置の特定が難しく、高精度に波長校正を実施することが難しい。このようにフーリエ変換型分光計では、フィルタを用いることによって高精度に波長校正を常に実施することができるとは限らない。
また、フィルタを用いる場合、フィルタの個体バラツキによりフィルタの吸収ピークの波長を値付けする必要があり、前記値付けされた波長の精度は、その値付けの際に用いられる分光計の波長精度に依存することになる。このため、フィルタを用いるこの場合、前記分光計の波長精度を保障しなければならないという問題も生じる。
一方、分散型分光計の波長校正に利用される輝線光は、物理的にピーク位置の波長が決まるピークであって半値全幅の狭い急峻な前記ピークから成るスペクトルを持つので、高精度に波長校正を実施することができる。そのため、分散型分光計の波長校正に利用される輝線光を、フーリエ変換型分光計の波長校正に適用することが考えられる。しかしながら、輝線光光源は、光強度が時間的に周期的に強弱を繰り返す交流状態で輝線光を含む光を点灯(交流点灯)するので、そのまま、フーリエ変換型分光計の波長校正に適用すると、インターフェログラムの形状が測定(走査)ごとに変化してしまう。この結果、複数のインターフェログラムの位置を互いに合わせて積算することが難しい。また、フーリエ変換分光計では、原理的に、光源が安定している必要があり、光源が変調する場合に、従来の儘ではスペクトルを正確に求めることができない。そのため、交流点灯する輝線光源のスペクトルを正確に求めることができず、輝線光源では、精度よく波長校正を実施することが難しい。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、交流点灯する輝線光光源を用いて波長校正を行うことができるフーリエ変換型分光計およびフーリエ変換型分光計の波長校正方法を提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるフーリエ変換型分光計は、所定光が入射され、前記所定光の入射位置から干渉位置までの間に2個の光路を形成する複数の光学素子を備え、前記複数の光学素子には、前記2個の光路間に光路差を生じさせる移動鏡が含まれる干渉計と、前記干渉計で生成された前記所定光のインターフェログラムを測定するインターフェログラム測定部と、前記インターフェログラム測定部によって測定されたインターフェログラムに基づいて前記所定光のスペクトルとしてフーリエ変換結果を求めるフーリエ変換部と、前記フーリエ変換部によって求められたフーリエ変換結果と実際の波長値とを対応付ける波長校正を行う波長校正部とを備え、前記波長校正部は、前記所定光として予め既知な波長の輝線光を含む校正用光が前記干渉計に入射された場合に、前記インターフェログラム測定部で前記移動鏡の1回の走査による測定を行うことによって得られた1個のインターフェログラムに基づいて前記フーリエ変換部で求められたフーリエ変換結果から得られた前記輝線光の波長に相当するピーク位置に基づいて前記波長校正を行うことを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、波長校正を行うためのフーリエ変換結果が1回の移動鏡走査による測定で得られた1個のインターフェログラムをフーリエ変換した結果であるので、輝線光を含む校正用光が交流点灯したとしても、交流点灯の影響を受けずに輝線光の波長に相当するピーク位置を検出することができるから、波長校正を行うことができる。
また、他の一態様では、上述のフーリエ変換型分光計において、前記波長校正部は、前記ピーク位置を複数回求め、前記ピーク位置に基づいて前記波長校正を行うことを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、前記ピーク位置を複数回求め、これら複数のピーク位置に基づくピーク位置を用いるので、そのSN比を向上することができるから、より精度よく波長校正を行うことができる。
また、他の一態様では、上述のフーリエ変換型分光計において、前記波長校正部は、前記フーリエ変換部で前記フーリエ変換結果として求められた前記輝線光のスペクトルを複数回求めてこれらを積算した積算スペクトルに基づいて前記ピーク位置を求め、この求めた前記ピーク位置に基づいて前記波長校正を行うことを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、前記輝線光のスペクトルの積算スペクトルに基づくピーク位置を用いるので、そのSN比を向上することができるから、より精度よく波長校正を行うことができる。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、前記波長校正部は、前記フーリエ変換結果から、重心演算法または補間演算法を用いることによって、前記輝線光の波長に相当するピーク位置を求めることを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、重心演算法または補間演算法を用いることによって、前記ピーク位置をより正確に求めることができるので、より精度よく波長校正を行うことができる。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、前記波長校正部は、前記フーリエ変換結果の範囲のうち、前記輝線光の波長に相当するピーク位置を含むと想定され予め設定された探索範囲内で前記輝線光の波長に相当するピーク位置を求めることを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、フーリエ変換結果の範囲を全て探索することなく、予め設定された探索範囲内で前記ピーク位置を探索するので、探索時間を短縮することができ、また、誤ったピーク位置を探索することを低減することができる。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、前記校正用光は、キセノン光源、クリプトン光源、ネオン光源、アルゴン光源および水銀光源のうちのいずれかから放射された光であることを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、校正用光を放射する輝線光光源として一般的な光源を利用するので、校正用光を放射する輝線光光源を簡単に実現することができる。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、当該フーリエ変換型分光計の外部に、前記校正用光を放射する外部輝線光光源をさらに備えることを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、校正用光を放射する外部輝線光光源を外部に備えるので、フーリエ変換型分光計の小型化を図ることができる。
また、他の一態様では、上述のフーリエ変換型分光計において、前記校正用光を透過可能な透過領域を持ち、前記外部輝線光光源を配置するためのユニット本体と、前記外部輝線光光源から放射された前記校正用光を前記透過領域に入射させるために、前記外部輝線光光源の配置位置を規定する外部輝線光光源用の位置合わせ構造体とを備える波長校正用ユニットをさらに備えることを特徴とする。
輝線光光源は、線状の輝線光を放射するため、輝線光光源から放射される幅の狭い線状の輝線光をフーリエ変換型分光計の干渉計に入射させることは、手間を要してしまう。このようなフーリエ変換型分光計は、波長校正用ユニットを備えるので、波長校正用ユニットの透過領域をフーリエ変換型分光計における所定光の入射領域に合わせて、ユニット本体をフーリエ変換分光計に配置すれば、外部輝線光光源を位置合わせ構造体にセットするだけで、波長校正用ユニットを介して外部輝線光光源をフーリエ変換型分光計に容易に配置することができ、確実に線状の輝線光を干渉計に入射させることができる。
また、他の一態様では、上述のフーリエ変換型分光計において、前記波長校正用ユニットは、前記外部輝線光光源から放射された前記校正用光を拡散した後に前記干渉計に入射させるための拡散部材をさらに備えることを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、拡散部材を備えるので、前記外部輝線光光源から放射された前記校正用光を前記干渉計に入射させるための位置合わせをより容易に行うことができる。
また、他の一態様では、上述のフーリエ変換型分光計において、前記外部輝線光光源から放射された前記校正用光を前記干渉計に入射させるために、前記外部輝線光光源の配置位置を規定する外部輝線光光源用の位置合わせ構造体を持つ筐体をさらに備えることを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、外部輝線光光源用の位置合わせ構造体を持つので、外部輝線光光源をこの位置合わせ構造体にセットするだけで、外部輝線光光源をフーリエ変換型分光計に容易に配置することができ、確実に線状の輝線光を干渉計に入射させることができる。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、当該フーリエ変換型分光計の内部に、前記校正用光を放射する内部輝線光光源をさらに備えることを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、校正用光を放射する内部輝線光光源を内部に備えるので、波長校正を行うためにフーリエ変換型分光計とは別途に輝線光光源を用意する必要がない。
また、他の一態様では、上述のフーリエ変換型分光計において、測定対象の光および前記内部輝線光光源から放射される前記校正用光のうちのいずれか一方を前記干渉計に入射させる入射光切換部をさらに備えることを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計は、入射光切換部を備えるので、測定の際には測定対象の光を干渉計に入射させることで測定を適切に実行することができ、校正の際には校正用光を干渉計に入射させることで校正を適切に実行することができる。
そして、本発明の他の一態様にかかるフーリエ変換型分光計の波長校正方法は、所定光が入射され、前記所定光の入射位置から干渉位置までの間に2個の光路を形成する複数の光学素子を備え、前記複数の光学素子には、前記2個の光路間に光路差を生じさせる移動鏡が含まれる干渉計で生成された前記所定光のインターフェログラムを測定するインターフェログラム測定工程と、前記インターフェログラム測定工程によって測定されたインターフェログラムに基づいて前記所定光のスペクトルとしてフーリエ変換結果を求めるフーリエ変換工程と、前記フーリエ変換工程によって求められたフーリエ変換結果と実際の波長値とを対応付ける波長校正を行う波長校正工程とを備え、前記波長校正工程は、前記所定光として予め既知な波長の輝線光を含む校正用光が前記干渉計に入射された場合に、前記インターフェログラム測定工程で前記移動鏡の1回の走査による測定を行うことによって得られた1個のインターフェログラムに基づいて前記フーリエ変換工程で求められたフーリエ変換結果から得られる前記輝線光の波長に相当するピーク位置に基づいて前記波長校正を行うことを特徴とする。
このようなフーリエ変換型分光計の波長校正方法は、波長校正を行うためのフーリエ変換結果が1回の移動鏡走査による測定で得られた1個のインターフェログラムをフーリエ変換した結果であるので、輝線光を含む校正用光が交流点灯したとしても、交流点灯の影響を受けずに輝線光の波長に相当するピーク位置を検出することができるから、波長校正を行うことができる。
本発明にかかるフーリエ変換型分光計およびフーリエ変換型分光計の波長校正方法は、交流点灯する輝線光光源を用いて波長校正を行うことができる。
実施形態におけるフーリエ変換型分光計の外観を示す斜視図である。 実施形態におけるフーリエ変換型分光計の構成を示すブロック図である。 実施形態のフーリエ変換型分光計における主に干渉計の構成を示す図である。 実施形態のフーリエ変換型分光計における波長校正用ユニットの構成を示す図である。 実施形態のフーリエ変換型分光計における波長校正用ユニットの構成を示す分解斜視図である。 一例として、実施形態のフーリエ変換型分光計における輝線光の輝線光スペクトルを示す図である。 一例として、実施形態のフーリエ変換型分光計における位置測定用レーザ光の干渉波形を示す図である。 実施形態のフーリエ変換型分光計において、一例として、実測した被測定光の干渉光の波形(インターフェログラム)を示す図である。 インターフェログラムと窓関数との関係を示す図である。 実施形態のフーリエ変換型分光計において、一例として、実測したスペクトル強度を示す図である。 実施形態のフーリエ変換型分光計において、一例として、移動鏡を1回だけ走査することによって得られるインターフェログラムから求めた輝線光のスペクトルを示す図である。 一例として、キセノン光源から放射される光の時間的な光量変動の様子を示すための図である。 一例として、1回の移動鏡の走査によって得られるキセノン光源のインターフェログラムを3回測定した結果、および、これら3回の測定結果を積算した合成インターフェログラムから求めたキセノン光源のスペクトルを示す図である。 フーリエ変換結果から輝線光の波長に相当するピーク位置を求める演算法を説明するための図である。 一例として、1回の移動鏡の走査によって得られるキセノン光源のインターフェログラムに基づくフーリエ変換結果から得られた輝線光のピーク位置のバラツキを示す図である。 実施形態のフーリエ変換型分光計における主に干渉計の他の構成を示す図である。 従来の回折格子を備えた分散型分光計における輝線光源を用いた波長校正を説明するための図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
(実施形態の構成)
図1は、実施形態におけるフーリエ変換型分光計の外観を示す斜視図である。図2は、実施形態におけるフーリエ変換型分光計の構成を示すブロック図である。図3は、実施形態のフーリエ変換型分光計における主に干渉計の構成を示す図である。図4は、実施形態のフーリエ変換型分光計における波長校正用ユニットの構成を示す図である。図4(A)は、正面図であり、図4(B)は、図4(A)に示すAA’線での断面図である。図5は、実施形態のフーリエ変換型分光計における波長校正用ユニットの構成を示す分解斜視図である。図6は、一例として、実施形態のフーリエ変換型分光計における輝線光の輝線光スペクトルを示す図である。図6(A)は、水銀光源の輝線スペクトルを示し、図6(B)は、キセノン光源の輝線スペクトルを示す。図6(A)および(B)の各横軸は、nm単位で表す波長であり、その各縦軸は、%で表す相対出力強度(相対光強度)である。
実施形態におけるフーリエ変換型分光計(以下、適宜「FT型分光計」と略記する。)Dは、所定光のスペクトルを測定する装置であって、前記所定光を干渉計で測定し、この測定した所定光の干渉光の波形(インターフェログラム)をフーリエ変換することによって所定光のスペクトルを求める装置である。そして、本実施形態のFT型分光計Dでは、試料SMのスペクトルの測定において、SN比を改善し、良好な精度の結果を得るために、前記試料SMのスペクトルを求めるためにフーリエ変換される変換対象には、前記干渉計で生成された前記所定光のインターフェログラムを複数積算することによって得られた積算インターフェログラム(合成インターフェログラムの一例)が用いられる。そして、本実施形態におけるFT型分光計Dは、波長校正のための測定で求められたフーリエ変換結果と実際の波長値とを対応付ける波長校正を行う波長校正機能を有している。
このようなFT型分光計Dは、例えば、図1ないし図3に示すように、測定対象の物体である試料SMに測定光を照射するための測定光光源51と、所定光が入射され、前記所定光の干渉光を射出する干渉計11aと、干渉計11aで得られた前記所定光の干渉光を受光して光電変換することによって前記所定光の干渉光の波形(インターフェログラム)の電気信号(所定光の干渉光における光強度変化を表す電気信号)を出力する受光処理部20と、干渉計11aにおける移動鏡115の位置を検出する位置検出処理部30と、制御演算部41と、入力部42と、出力部43と、筐体1とを備えている。前記所定光は、試料SMのスペクトルを測定する場合では、試料SMで反射した測定光の反射光等であり、一方、波長校正を行う場合には、輝線光光源から放射された、予め既知な波長の輝線光を含む校正用光である。
筐体1は、これら測定光光源51、干渉計11a、受光処理部20、位置検出処理部30、制御演算部41、入力部42および出力部43を収容する箱体であり、その一面には、試料SMや後述の波長校正用ユニットCUを載置するための試料台1bが形成されている。より具体的には、筐体1の上面は、図1に示すように、水平な水平面と、斜めに傾斜した傾斜面とを備えており、筐体1は、大略外形五角柱形状の箱体である。前記水平面には、試料台1bが形成され、前記傾斜面の一方側には、入力部42を構成する、例えばテンキー等の複数の入力スイッチが配設され、前記傾斜面の他方側には、表示面が外部に臨むように出力部43が配設されている。試料台1bには、前記所定光を入射させるための入射開口1aが貫通開口するように形成されている。そして、本実施形態におけるFT型分光計Dは、その波長校正を行うために用いられる波長校正用ユニットCUをさらに備えている。この波長校正用ユニットCUは、波長校正を行う場合、試料台1bに配置されて用いられる。
測定光光源51は、測定光を放射してこの測定光を所定のジオメトリ(例えば45:0度のジオメトリ)で試料SMへ照射する光源装置である。測定光は、予め設定された所定の波長帯で連続スペクトルを持つ光である。測定光は、試料SMを測定するために用いられる。このような測定光光源51には、本実施形態では、例えばハロゲンを用いたハロゲン光源(Halogen Lamp)等が用いられる。なお、後述の波長校正を行うために輝線光を測定する場合には、測定光光源51は、消灯される。
試料SMを測定する場合には、入射開口1aを覆うように試料台1bに試料SMが配置され、入射開口1aに臨む試料SMの表面が測定面SFとなる。なお、試料SMは、試料用シャーレSSに収容され、この試料用シャーレSSが入射開口1aを覆うように試料台1bに配置されてもよい。そして、測定光光源51から照射された測定光は、45:0度のジオメトリの場合には、45度の入射角で試料SMに入射し、試料SMで反射され、この反射された測定光の反射光は、0度の方向から測定される。すなわち、入射開口1aの開口面における法線方向(0度)に反射した反射光の成分が所定光として干渉計11aに入射される。このように本実施形態のFT型分光計Dは、試料SMで反射した測定光の反射光を測定する反射型である。
なお、この例では、干渉計11aに入射される所定光は、試料SMで反射した測定光の反射光であるが、測定光を照射することによって試料SMから再放射(例えば蛍光発光等)される光であってもよく、また、測定光が照射されることなく、試料SMで自発光した光であってもよく、また、他の光源から放射された光が照射され、前記光を反射、透過または再放射(例えば蛍光発光等)することによって光を放射するものであってもよい。反射型のFT型分光計Dは、反射光だけでなく、このような再放射の光や、自発光の光も測定可能である。
一方、波長校正を行う場合には、外部輝線光光源が輝線光を入射開口1aに入射させるように試料台1bに配置されてもよいが、本実施形態では、より簡単であってより確実に輝線光を入射開口1aに入射させるように外部輝線光光源を試料台1bに配置するために、FT型分光計Dは、さらに、波長校正用ユニットCUを備え、入射開口1aを覆うように試料台1bに波長校正用ユニットCUが配置される。この波長校正用ユニットCUは、例えば、図4および図5に示すように、ユニット本体61と、調整部材62と、光源ホルダ部63とを備える。
ユニット本体61は、校正用光を透過可能な透過領域617を持ち、外部輝線光光源LSを配置するための部材である。より具体的には、ユニット本体61は、図4および図5に示す例では、略中央に略円形の透過領域617を形成した板状部材611を備える。透過領域617は、この例では、貫通開口部である。なお、透過領域617の貫通開口部には、校正用光を透過する材料が埋設されていてもよい。板状部材611の主面上における透過領域617の一方端側には、一対のガイドレール612、613と、一対のガイドピン614、615と、偏芯ピン616とが設けられている。一対のガイドレール612、613は、調整部材62を挟み込むことができる間隔を空けて、互いに平行に並設された長尺な角柱状部材である。一対のガイドピン614、615は、一対のガイドレール612、613の内側に(一対のガイドレール612、613に挟まれて)互いに所定の間隔を空けて突設された短高の円柱状部材である。一対のガイドピン614、615を結ぶ線分は、一対のガイドレール612、613の延長方向(長尺方向)と直交している。偏芯ピン616は、一対のガイドレール612、613の内側であって一対のガイドピン614、615と透過領域617との間に突設された短高の円柱状部材である。これら一対のガイドピン614、615および偏芯ピン616は、三角形の各頂点位置に配置されている。
調整部材62は、ユニット本体61上における光源ホルダ部63の位置を、光源ホルダ部63によって後述のように保持された外部の輝線光光源LSから放射される線状の輝線光と直交する方向に沿って調整するための部材である。より具体的には、調整部材62は、図4および図5に示す例では、一対のネジ614、615が嵌め込まれる一対のネジ用開口部622、623と、偏芯ピン616が嵌め込まれる偏芯ピン用開口部624とを形成した板状部材621である。一対のネジ用開口部622、623は、それぞれ、平面視にて、一対のネジ614、615を結ぶ線分と直交する方向(すなわち、一対のガイドレール612、613の延長方向(長尺方向))に長い長円形状となっている。また、偏芯ピン用開口部624は、平面視にて、一対のネジ614、615を結ぶ線分に沿った方向に長い長円形状となっている。板状部材621上には、偏芯ピン用開口部624の外側に、すなわち、偏芯ピン用開口部624に対し、一対のネジ用開口部622、623が形成された側の反対側に、互いに所定の間隔を空けて突設された短高の円柱状部材である係合突起片625、626が設けられている。一対の係合突起片625、626を結ぶ線分は、一対のネジ614、615を結ぶ線分と平行、すなわち、一対のガイドレール612、613の延長方向(長尺方向)と直交している。
光源ホルダ部63は、輝線光光源LSを保持するための部材であって、調整部材62でその配置位置を調整されつつユニット本体61上に配設される部材である。より具体的には、光源ホルダ部63は、図4および図5に示す例では、一方向に長尺な外部の輝線光光源LSを保持するために、一方向に長尺な直方体形状の箱体である。光源ホルダ部63である箱体における短尺な一側面には、外部の輝線光光源LSが差し込まれて外部の輝線光光源LSを長尺方向に沿って保持する輝線光光源保持部634が形成されている。図4(A)には、一例として、一方向に長尺なキセノンチューブ(Xeチューブ)を持つキセノン光源(Xe Lamp)LSが輝線光光源保持部634に差し込まれて光源ホルダ部63の箱体内に輝線光光源保持部634によって保持されている様子が示されている。また、光源ホルダ部63である箱体における長尺な一側面には、前記一対の係合突起片625、626が嵌り込んで係合する一対の係合開口部6321、6322を形成した板状のフランジ部632が水平方向(表裏面に平行な方向)に突設されている。そして、光源ホルダ部63である箱体の裏面には、外部輝線光光源LSから放射された校正用光を箱体の外部に射出することができるように、図略の開口部が形成されている。
ここで、ユニット本体における一対のガイドレール612、613、一対の固定用のネジ614、615および偏芯ピン616ならびに調整部材62は、外部輝線光光源用の位置合わせ構造体の一例に相当する。
このような構造の波長校正用ユニットCUでは、外部の輝線光光源LSが光源ホルダ部63にセットされ、光源ホルダ部63における一対の係合開口部6321、6322に、調整部材62における一対の係合突起片625、626を嵌め込んで係合させることによって、光源ホルダ部63が調整部材62にセットされ、調整部材62における一対のネジ用開口部622、623および偏芯ピン用開口部624に、ユニット本体61にねじ留めされる一対のネジ614、615、および、偏芯ピン616を移動可能に嵌め込んで係合させることによって、調整部材62がユニット本体61にセットされる。そして、光源ホルダ部63における、校正用光が射出される前記図略の開口部がユニット本体61の透過領域617に重なるように、調整部材62を一対のガイドピン614、615および偏芯ピン616によってガイド(案内)しつつ、調整部材62を一対のガイドレール612、613に沿って摺動することによって、前記図略の開口部と前記透過領域617との位置合わせが行われる。本実施形態における波長校正用ユニットCUは、調整部材62を備えるので、前記図略の開口部と前記透過領域617との相互位置関係を微調整することができ、前記図略の開口部と前記透過領域617との位置合わせを適切に行うことができる。
ここで、波長校正用ユニットCUは、上述のような構造であって上述のように位置合わせが行われる一方、外部輝線光光源LSから放射される輝線光は、一方向に長尺な線状の光であるため、長尺な線状の光に直交する方向(輝線光の幅方向)に位置合わせを行う必要がある。このため、前記一対のガイドレール612、613は、その延長方向を、長尺な線状の輝線光に直交する方向に一致させてユニット本体61の板状部材611に配設される。したがって、調整部材62は、言い換えれば、ユニット本体61上における光源ホルダ部63の位置を、一対のガイドレール612、613の延長方向に沿って調整するための部材である。
輝線光光源LSは、波長の既知な輝線光を少なくとも1つ含む光を校正用光として放射する光源装置である。輝線光光源LSは、例えば、キセノン(Xe)を用いたキセノン光源(Xe Lamp)、クリプトン(Kr)を用いたクリプトン光源(Kr Lamp)、ネオン(Ne)を用いたネオン光源(Ne Lamp)、アルゴン(Ar)を用いたアルゴン光源(Ar Lamp)および水銀(Hg)を用いた水銀光源(Hg Lamp)等である。例えば、図6には、一例として、水銀光源の輝線スペクトル(図6(A))と、キセノン光源の輝線スペクトル(図6(B))とが示めされている。このように校正用光を放射する輝線光光源LSとして一般的な光源を利用することによって、校正用光を放射する輝線光光源LSを簡単に実現することができる。輝線光光源LSは、本実施形態では、キセノン光源であり、好ましくは、少なくとも1つの輝線を含む輝線スペクトルを持つ光を、比較的、安定的に再現性良く放射することができることから、封入されているガス圧が比較的低い低圧キセノンランプである。
なお、透過領域617には、輝線光光源LSから放射された校正用光を拡散した後に干渉計11に入射させるための拡散部材618が嵌め込まれて備えられてもよい。あるいは、輝線光光源LSから放射された校正用光を拡散した後に干渉計11に入射させるための拡散部材が、ユニット本体61の板状部材611に重ねられて備えられてもよい。このように構成することによって、前記拡散部材によって輝線光光源LSから放射された校正用光が拡散されるので、輝線光光源LSから放射された校正用光を干渉計11に入射させるための位置合わせをより容易に行うことができる。
図1ないし図3に戻って、干渉計11aは、所定光が入射され、この入射された所定光を2個の第1および第2所定光に分岐し、これら分岐した第1および第2所定光のそれぞれを、互いに異なる2個の経路である第1および第2光路のそれぞれに進行(伝播)させ、再び合流させるものであり、この分岐点(分岐位置)から合流点(合流位置、干渉位置)までの間に第1および第2光路間に光路差があると、前記合流の際に位相差が生じているため、前記合流によって干渉縞を生じるものである。干渉計11aは、例えばマッハツェンダー干渉計等の種々のタイプの第1および第2光路を備える干渉計を利用することができるが、本実施形態では、図3に示すように、マイケルソン干渉計によって構成されている。
より具体的には、図3に示すように、干渉計11aは、複数の光学素子として半透鏡(ハーフミラー)112、固定鏡114、および、光反射面が光軸方向に移動する移動鏡115を備え、固定鏡114と移動鏡115とは、各鏡面の各法線が互いに直交するようにそれぞれ配置され、半透鏡112は、半透鏡面の法線が前記固定鏡114および移動鏡115における各法線の直交点を通り、これら各法線に対し45度の角度で交差するように配置される。この干渉計11aにおいて、干渉計11aに入射された所定光は、半透鏡112で2個の第1および第2所定光に分岐する。この分岐した一方の第1所定光は、半透鏡112で反射されて固定鏡114に入射する。この第1所定光は、固定鏡114で反射し、来た光路を逆に辿って再び半透鏡112に戻る。一方、この分岐した他方の第2所定光は、半透鏡112を通過して移動鏡115に入射する。この第2所定光は、移動鏡115で反射し、来た光路を逆に辿って再び半透鏡112に戻る。これら固定鏡114で反射された第1所定光および移動鏡115で反射された第2所定光は、半透鏡112で互いに合流して干渉する。このような構成のマイケルソン干渉計11aでは、所定光は、移動鏡115の鏡面における法線方向に沿って干渉計11aへ入射され、所定光の干渉光は、固定鏡114の鏡面における法線方向に沿って干渉計11aから射出される。
そして、本実施形態では、干渉計11aは、所定光を半透鏡112で2個の第1および第2所定光に分岐する場合において、半透鏡112で反射した半透鏡112の反射側に配置される位相補償板113をさらに備えている。すなわち、本実施形態では、半透鏡112で反射した第1所定光は、位相補償板113を介して固定鏡114へ入射され、固定鏡114で反射された第1所定光は、位相補償板113を介して再び半透鏡112へ入射される。位相補償板113は、第1所定光の半透鏡112の透過回数と第2所定光の半透鏡112の透過回数の相違から生じる第1所定光と第2所定光との位相差を無くして前記位相差を補償するものである。
したがって、本実施形態では、第1所定光は、このような所定光の入射位置から、半透鏡112、位相補償板113、固定鏡114および位相補償板113をこの順に介して半透鏡112に再び至る第1光路を辿る。第2所定光は、このような所定光の入射位置から、半透鏡112および移動鏡115をこの順に介して半透鏡112に再び至る第2光路を辿る。
FT型分光計Dの干渉計11aは、移動鏡115によって生じる光路差に起因する干渉縞を生じる。
また、本実施形態では、移動鏡115には、光路差形成光学素子の一例であり、共振振動を用いることによって2個の第1および第2光路間に光路差を生じさせる光学素子である。このような移動鏡115として、例えば、特開2011−80854号公報や特開2012−42257号公報に開示の光反射機構が挙げられる。この光反射機構は、互いに対向して配置される第1および第2の板ばね部と、前記第1および第2の板ばね部の間で互いに離間して配置され、それぞれが前記第1および第2の板ばね部と連結される第1および第2の支持体と、前記第1および第2の板ばね部の前記対向方向に、前記第1の支持体に対して前記第2の支持体を平行移動させる駆動部とを備えている。そして、この光反射機構では、前記第2の支持体の前記移動方向において、前記第1および第2の支持体の厚さは、前記第1および第2の板ばね部よりも厚く、前記第2の支持体における前記移動方向に垂直な一端面に、反射膜が形成されており、前記第2の支持体は、前記反射膜が露出するように前記第1および第2の板ばね部と連結されている。このような光反射機構は、共振振動によって前記反射膜を往復移動させるものであり、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術によって製造される。
さらに、本実施形態では、所定光を平行光で半透鏡112へ入射させるために、試料面SFと半透鏡112との間の適宜な位置に、入射光学系として例えばコリメータレンズ111が配置され、半透鏡112で第1および第2被測定光を合流して干渉させることによって生じた被測定光の干渉光を集光して第1受光部21へ入射させるために、半透鏡112と第1受光部21との間の適宜な位置に、射出光学系として例えば集光レンズ116がさらに配置されている。
図2に戻って、受光処理部20は、例えば、第1受光部21と、増幅部22と、アナログ−ディジタル変換部(以下、「AD変換部」と呼称する。)23とを備えている。第1受光部21は、干渉計11aで得られた所定光の干渉光を受光して光電変換することによって、所定光の干渉光における光強度に応じた電気信号を出力する回路である。本実施形態のFT型分光計Dは、例えば、波長800nm以上の近赤外域の光、より具体的には、波長1200nm以上から2500nm以下までの近赤外域の光を測定対象とする仕様であるために、第1受光部21は、例えばInGaAsフォトダイオードおよびその周辺回路を備えて構成される赤外線センサ等である。増幅部22は、第1受光部21の出力を予め設定された所定の増幅率で増幅する増幅器である。AD変換部23は、増幅部22の出力をアナログ信号からディジタル信号へ変換(AD変換)する回路である。このAD変換のタイミング(サンプリングタイミング)は、後述のゼロクロス検出部37から入力されたゼロクロスタイミングで実行される。
また、位置検出処理部30は、例えば、移動鏡位置測定用光源31と、第2受光部36と、ゼロクロス検出部37とを備えている。そして、位置検出処理部30は、この移動鏡位置測定用光源31から放射されたレーザ光の干渉光を干渉計11aで得るために、図3に示すように、コリメータレンズ32と、光合波器33と、光分波器34と、集光レンズ35とをさらに備えている。
移動鏡位置測定用光源31は、単色レーザ光を放射する光源装置である。図3において、コリメータレンズ32および光合波器33は、移動鏡位置測定用光源31から放射されたレーザ光を平行光で干渉計11aへ入射させるための入射光学系である。光合波器33は、例えばレーザ光を反射するとともに所定光を透過するダイクロイックミラー等であり、その法線が移動鏡115の法線(光軸)に対し45度で交差するように、コリメータレンズ111と半透鏡112との間に配置される。コリメータレンズ32は、例えば両凸のレンズであり、このように配置された光合波器33に対し45度の入射角で移動鏡位置測定用光源31から放射されたレーザ光が入射されるように、適宜な位置に配置される。そして、光分波器34および集光レンズ35は、干渉計11aで生じた前記レーザ光の干渉光を干渉計11aから取り出すための射出光学系である。光分波器34は、例えばレーザ光の干渉光を反射するとともに所定光の干渉光を透過するダイクロイックミラー等であり、その法線が固定鏡114の法線(光軸)に対し45度で交差するように、半透鏡112と集光レンズ116との間に配置される。集光レンズ35は、例えば両凸のレンズであり、このように配置された光分波器34において45度の射出角で射出されるレーザ光の干渉光を集光して第2受光部36へ入射させる。
このようにコリメータレンズ32、光合波器33、光分波器34および集光レンズ35の各光学素子が配置されると、移動鏡位置測定用光源31から放射された単色のレーザ光は、コリメータレンズ32で平行光とされ、その光路が光合波器33のダイクロイックミラー33で約90度曲げられて、干渉計11aの光軸(移動鏡115の鏡面における法線方向)に沿って進行するようになる。したがって、このレーザ光は、所定光と同様に、干渉計11a内を進行し、干渉計11aでその干渉光を生じさせる。そして、このレーザ光の干渉光は、光分波器34のダイクロイックミラー34で約90度曲げられて、干渉計11aから外部に取り出され、集光レンズ35で集光されて第2受光部36で受光される。
図2に戻って、第2受光部36は、干渉計11aで得られたレーザ光の干渉光を受光して光電変換することによって、レーザ光の干渉光の光強度に応じた電気信号を出力する回路である。第2受光部36は、例えばシリコンフォトダイオード(SPD)およびその周辺回路を備えて構成される受光センサ等である。第2受光部36は、レーザ光の干渉光の光強度に応じた電気信号をゼロクロス検出部37へ出力する。
ゼロクロス検出部37は、第2受光部36から入力された、レーザ光の干渉光の光強度に応じた電気信号がゼロとなるタイミング(ゼロクロスタイミング)を検出する回路である。ゼロクロスタイミングは、前記電気信号がゼロとなる時間軸上の位置である。干渉計11aの移動鏡115が光軸方向に移動している場合に、半透鏡112から固定鏡114を介して再び半透鏡112に戻ったレーザ光の位相に対し、半透鏡112から移動鏡115を介して再び半透鏡112に戻ったレーザ光の位相がずれるので、レーザ光の干渉光は、その移動量に応じて正弦波状に強弱する。そして、干渉計11aの移動鏡115がレーザ光の波長の1/2の長さだけ移動すると、半透鏡112から移動鏡115を介して再び半透鏡112に戻ったレーザ光の位相は、この移動の前後において、2πずれる。このため、レーザ光の干渉光は、移動鏡115の移動に従って正弦波状に強弱を繰り返すことになる。ゼロクロス検出部37は、この正弦波状に強弱を繰り返す前記電気信号のゼロクロスを検出している。ゼロクロス検出部37は、この検出したゼロクロスのタイミングをAD変換部23へ出力し、AD変換部23は、このゼロクロスのタイミングで、第1受光部21から入力された、所定光の干渉光の光強度に応じた電気信号をサンプリングしてAD変換する。
制御演算部41は、所定光のスペクトルを求めるべく、FT型分光計Dの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、そして、所定光のスペクトルを求め、さらに、波長校正を行うものである。制御演算部41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、このCPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶素子、このCPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶素子およびその周辺回路等を備えたマイクロコンピュータによって構成される。なお、制御演算部41は、AD変換部23から出力されるデータ等を記憶するために、例えばハードディスク等の比較的大容量の記憶装置をさらに備えてもよい。そして、制御演算部41には、プログラムを実行することによって、機能的に、制御部411、サンプリングデータ記憶部412、センターバースト位置算出部413、インターフェログラム抽出部414、フーリエ変換部415、波長校正部416および校正データ記憶部417が構成される。
制御部411は、所定光のスペクトルを求めるためや波長校正を行うために、FT型分光計Dの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するものである。
サンプリングデータ記憶部412は、AD変換部23から出力された、所定光の干渉光に関する測定データを記憶するものである。この測定データは、上述したように、所定光の干渉光における光強度に応じた電気信号を、ゼロクロス検出部37で検出したゼロクロスのタイミングで、AD変換部23によってサンプリングすることによって得られる。より具体的には、波長校正では、サンプリングデータ記憶部412は、AD変換部23から出力された、校正用光に対する干渉光に関する測定データを記憶し、試料SMの測定では、サンプリングデータ記憶部412は、AD変換部23から出力された、試料SMにおける光に対する干渉光に関する測定データを記憶する。校正用光は、上述したように、予め波長の既知な輝線光を含む光であり、また、試料SMにおける光は、上述したように、測定光の反射光、再放射光および自発光光である。
センターバースト位置算出部413は、サンプリングデータ記憶部412に記憶された測定データから、公知の常套手法によってセンターバーストの位置を求めるものである。センターバースト位置算出部413は、この求めたセンターバーストの位置をインターフェログラム抽出部414へ通知する。
インターフェログラム抽出部414は、サンプリングデータ記憶部412に記憶されている測定データから、干渉計11aで生成された所定光のインターフェログラムを取り出すものである。より具体的には、インターフェログラム抽出部414は、波長校正では、サンプリングデータ記憶部412に記憶されている測定データから、移動鏡115の1回の走査による測定を行うことによって得られた校正用光の干渉光におけるインターフェログラムをフーリエ変換部415へ通知する。そして、インターフェログラム抽出部414は、試料SMの測定では、サンプリングデータ記憶部412に記憶されている測定データから、試料SMにおける光を複数回測定することによって得られた複数のインターフェログラムを、位置合わせを行いつつ、積算することによって積算インターフェログラムを求め、この求めた積算インターフェログラムをフーリエ変換部415へ通知する。
フーリエ変換部415は、インターフェログラム抽出部414から通知されたインターフェログラムまたは積算インターフェログラムをフーリエ変換するものである。より具体的には、波長校正では、フーリエ変換部415は、波長校正のための測定でインターフェログラム抽出部414によって求められた波長校正用のインターフェログラム(1回の移動鏡走査による測定を行うことによって得られた1個のインターフェログラム)をフーリエ変換し、このフーリエ変換結果を波長校正部416へ通知する。そして、試料SMの測定では、フーリエ変換部415は、波長校正部416によって求められ校正データ記憶部417に記憶されている波長校正データに基づいて、試料SMの測定でインターフェログラム抽出部414によって求められた試料SMの積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって試料SMにおける光のスペクトルを求め、この求めたスペクトルを出力部43へ出力する。
波長校正部416は、波長校正のための測定でインターフェログラム抽出部414によって求められた波長校正用のインターフェログラム(1回の移動鏡走査による測定を行うことによって得られた1個のインターフェログラム)をフーリエ変換することによって求められたフーリエ変換結果から得られた校正用光の輝線光の波長に相当するピーク位置に基づいて波長校正を行うものである。より具体的には、波長校正部416は、前記フーリエ変換結果から得られた校正用光の輝線光の波長に相当するピーク位置に、実際の波長値すなわち前記輝線光の波長を対応付けることによって波長校正を行う。
校正データ記憶部417は、波長校正部416で求められた波長校正結果のデータ(校正データ)を記憶するものである。校正データは、前記輝線光の波長に対応付けた、前記フーリエ変換結果から得られた校正用光の輝線光の波長に相当するピーク位置より求まる移動鏡位置測定用光源31の実効波数である。波長校正部417は、前記求めた波長校正結果のデータを記憶部417に記憶させる。
入力部42は、例えば、波長校正を指示するコマンドや試料SMの測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えば測定対象の試料SMにおける識別子の入力やフーリエ変換の際に用いられる窓関数の選択入力等のスペクトルを測定する上で必要な各種データをフーリエ変換型分光計Dに入力する機器であり、例えば、キーボードやマウス等である。出力部43は、入力部42から入力されたコマンドやデータ、および、FT型分光計Dによって測定された所定光のスペクトルを出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCD、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
なお、このような本実施形態のFT型分光計Dにおいて、受光処理部20、サンプリングデータ記憶部412およびインターフェログラム抽出部414は、インターフェログラム測定部の一例に相当する。
次に、本実施形態の動作について説明する。まず、通常の試料SMの測定を行う場合の動作について説明し、次に、波長校正を行う場合の動作について説明する。
図7は、一例として、実施形態のフーリエ変換型分光計における位置測定用レーザ光の干渉波形を示す図である。図7の横軸は、第1光路と第2光路との間の光路差xであり、その縦軸は、干渉波の振幅である。図8は、実施形態のフーリエ変換型分光計において、一例として、実測した被測定光の干渉光の波形(インターフェログラム)を示す図である。図8の横軸は、第1光路と第2光路との間の光路差xであり、その縦軸は、インターフェログラムの振幅Fm(x)である。図9は、インターフェログラムと窓関数との関係を示す図である。図9の横軸は、第1光路と第2光路との間の光路差xであり、その縦軸は、振幅である。実線は、インターフェログラムであり、破線は、窓関数である。図10は、実施形態のフーリエ変換型分光計において、一例として、実測したスペクトル強度を示す図である。図10の横軸は、波長λjであり、その縦軸は、スペクトル振幅|Bwindow(λj)|である。
上記構成のFT型分光計Dでは、測定対象の試料SMの測定を行う場合、まず、試料SMがFT型分光計Dにセットされ、測定が開始される。測定が開始されると、測定光光源51は、測定光を放射し、試料SMへ例えば45度の入射角で測定光を照射する。そして、試料SMで反射した測定光の反射光が所定光として0度方向から測定され、干渉計11aに入射される。
この干渉計11aに入射された所定光は、干渉計11aで所定光の干渉光となって受光処理部20の第1受光部21で受光される。より具体的には、所定光は、コリメータレンズ111で平行光とされ、光合波器33を介して半透鏡112で反射および透過することで第1および第2所定光に分岐される。半透鏡112で反射することによって分岐した第1所定光は、位相補償板113を介して固定鏡114へ入射し、固定鏡114で反射し、来た光路を逆に辿って再び半透鏡112に戻る。一方、半透鏡112を通過することによって分岐した第2所定光は、移動鏡115へ入射し、移動鏡115で反射し、来た光路を逆に辿って再び半透鏡112に戻る。これら固定鏡114で反射された第1所定光および移動鏡115で反射された第2所定光は、半透鏡112で互いに合流して干渉する。この所定光の干渉光は、干渉計11aから第1受光部21へ射出される。第1受光部21は、この入射された所定光の干渉光を光電変換し、前記所定光の干渉光における光強度に応じた電気信号を増幅部22へ出力する。増幅部22は、所定の増幅率で前記所定光の干渉光に応じた前記電気信号を増幅し、AD変換部23へ出力する。
一方、FT型分光計Dは、移動鏡位置測定用光源31から放射された単色のレーザ光も取り込む。このレーザ光は、光合波器33を介して干渉計11aに入射され、上述と同様に干渉計11aで干渉し、レーザ光の干渉光となって光分波器34を介して第2受光部36で受光される。第2受光部36は、この入射されたレーザ光の干渉光を光電変換し、前記レーザ光の干渉光における光強度に応じた電気信号をゼロクロス検出部37へ出力する。このように測定されるレーザ光の干渉光の一例が図7に示されている。ゼロクロス検出部37は、前記レーザ光の干渉光に応じた前記電気信号がゼロとなるタイミングをゼロクロスタイミングとして検出し、このゼロクロスタイミングをサンプリングタイミング(AD変換タイミング)としてAD変換部23へ出力する。図7に示す例では、ゼロクロスタイミングは、正弦波状に周期的に変化するレーザ光の干渉光における全振幅の中央を通過するタイミングである。
このような所定光およびレーザ光がそれぞれ干渉計11aに取り込まれている間に、干渉計11aの移動鏡115は、共振振動によって制御演算部41の制御部411の制御に従って光軸方向に沿って移動されている。
AD変換部23は、増幅部22から出力された、前記所定光の干渉光における光強度に応じた電気信号を、ゼロクロス検出部37から入力されたゼロクロスタイミングでサンプリングしてアナログ信号からディジタル信号へAD変換し、このAD変換したディジタル信号の前記電気信号を制御演算部41へ出力する。
このように動作することによって、所定光のインターフェログラムにおける測定データがAD変換部23から制御演算部41へ出力され、この測定データがサンプリングデータ記憶部412に記憶される。このように測定される所定光のインターフェログラムの一例が図8に示されている。そして、SN比を改善し、良好な精度の結果を得るために、このような所定光のインターフェログラムが移動鏡115の往復に合わせて連続的に複数回、同様に、測定され、これら各インターフェログラムの各測定データがサンプリングデータ記憶部412に記憶される。移動鏡115が1往復すると、往路および復路のそれぞれで1個ずつのインターフェログラムの測定データが得られる。つまり、1個のインターフェログラムは、一方端の最大振幅位置から振動中心(光路差0)を経て他方端の最大振幅位置までのデータである。
次に、インターフェログラム抽出部414は、複数回測定することによって得られた、所定光の複数のインターフェログラムを位置合わせを行いつつ、積算することによって、所定光に対する積算インターフェログラムを求める。
次に、センターバースト位置算出部413は、所定光の積算インターフェログラムにおけるセンターバーストの位置を求める。
次に、フーリエ変換部415は、インターフェログラム抽出部414によって求められた積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって、所定光のフーリエ変換結果、すなわち、所定光のスペクトルを求める。
このスペクトルの算出について、より具体的に説明すると、まず、m回目の測定でのインターフェログラムF(x)は、光路差をxとし、波数をνとし、波数νのスペクトル振幅をB(ν)とし、光路差0の位置をXとし、波数νの光路差0の位置における位相をφ(ν)とする場合に、式1で表される。なお、mは、m番目の測定による測定結果であることを表す。このスペクトルの算出の説明では、ハロゲンランプは、直流点灯のため、スペクトル振幅B(νj)|は、時間的に一定で安定している。
Figure 2014137328
したがって、積算インターフェログラムF(x)は、式2で表される。
Figure 2014137328
このように積算インターフェログラムがインターフェログラム抽出部414で求められると、フーリエ変換部415は、積算インターフェログラムを例えば高速フーリエ変換(FFT)することによって所定光のスペクトルを求める。
より具体的には、高速フーリエ変換する場合には、サイドローブの発生を低減するために、図9に示すように、光路差0(センターバーストの位置)を中心に左右対称な窓関数Awindow(x)が掛け合わされてから(式3)、高速フーリエ変換が行われ、所定光のスペクトルの振幅|Bwindow(ν)|が求められる(式4)(図10参照)。
Figure 2014137328
Figure 2014137328
上記窓関数Awindow(x)は、適宜な種々の関数を挙げることができるが、例えば、式5−1ないし式5−3で表される関数である。式5−1は、Hanning Window(ハニング窓)関数と呼ばれ、式5−2は、Hamming Window(ハミング窓)関数と呼ばれ、式5−3は、Blackman Window(ブラックマン窓)関数と呼ばれる。
Figure 2014137328
上述のように、スペクトルが求められると、制御演算部41は、この求めたスペクトルを出力部43へ出力する。
なお、このように求められるスペクトルにおいて、インターフェログラムは、上述したように、ゼロクロス検出部37で検出されたゼロクロスタイミングでAD変換されているので、レーザ光の実効波長をλとし、レーザ光の実効波数をν(=1/λ)とし、フーリエ変換で用いるデータの総数をFFTNumとする場合に、フーリエ変換で得られるスペクトルの波数間隔△νFFTは、次式6で表され、フーリエ変換で得られる波数νFFT(j)は、次式7で表される(j=0、1、2、・・・、(FFTNum−1)/2)。すなわち、フーリエ変換で得られる波数νFFT(j)は、フーリエ変換で得られるスペクトルの波数間隔△νFFTに、jを、乗じることによって求められる。
Figure 2014137328
Figure 2014137328
本実施形態におけるFT型分光計Dは、このように動作することによって、所定光のスペクトルを測定することができる。
次に、波長校正について説明する。波長校正は、FT型分光計Dの製造段階や出荷前にメーカによって行われ、さらに、FT型分光計Dの使用中において、必要に応じて適宜な時期に(適宜なタイミングで)ユーザやメーカによって行われる。また、予め設定された期間ごとに、FD型分光計Dが自動的に波長校正を行うように、FD型分光計Dが構成されてもよい。特に、移動鏡位置測定用光源31が半導体レーザを備えて構成される場合、半導体レーザの発光波長は、個体によってバラツキつくので(製品バラツキが存在するので)、ユーザやメーカによる波長校正は、重要である。なお、レーザ光の波数をνLaserと、コリメータレンズより入射孔を望む立体角をΩとした場合、レーザ光の実効波数νは、一般に、ν=νLaser(1−Ω/(4π))で表される。すなわち、光学系の位置調整誤差によっても実効波数が変わる。
この波長校正を行う場合には、まず、透過領域617の位置が入射開口1aの位置に合うよう(一致するよう)に、FD型分光計Dの試料台1b上に波長校正用ユニットCUが配置される。
輝線光光源LSは、線状の輝線光を放射するため、輝線光光源LSから放射される輝線光をFT型分光計Dの干渉計11aに入射させることは、手間を要してしまう。しかしながら、本実施形態におけるFT型分光計Dは、波長校正用ユニットCUを備えるので、輝線光の幅よりも大きな透過領域617をFT型分光計Dの入射開口1aに合わせて、波長校正用ユニットCUのユニット本体61をFD型分光計Dの試料台1bに配置すれば、輝線光光源LSを波長校正用ユニットCUの光源ホルダ部63にセットするだけで、波長校正用ユニットCUを介して輝線光光源LSをFT型分光計Dに容易に配置することができ、確実に線状の輝線光(校正用光)を干渉計11aに入射させることができる。
このように波長校正用ユニットCUがFT型分光計Dの試料台1bにセットされ、例えばメーカのオペレータやユーザ等によって入力部42を介して、波長校正の開始コマンドを受け付けると、FT型分光計Dは、波長校正を開始する。
この波長校正において、波長校正用ユニットCUの輝線光光源LSから放射された校正用光は、透過領域617を介して入射開口1aに入射され、干渉計11aに入射される。この干渉計11aに入射された校正用光は、上述した試料SMの測定の場合と同様に干渉計11a内を進行し、干渉計11aで校正用光の干渉光となって受光処理部20で受光される。受光処理部20では、校正用光の干渉光における光強度に応じた電気信号を、ゼロクロス検出部37で検出したゼロクロスタイミングでサンプリングしてアナログ信号からディジタル信号へAD変換し、このAD変換したディジタル信号の前記電気信号を制御演算部41へ出力する。この校正用光のインターフェログラムの測定において、制御部411は、移動鏡115の走査範囲を1回だけ測定する。すなわち、AD変換部23でのサンプリングは、移動鏡115の1回の走査範囲で行われる。このように動作することによって、1回の測定(1回の移動鏡115の走査)を行うことによって得られた校正用光のインターフェログラムにおける測定データがAD変換部23から制御演算部41へ出力され、この測定データがサンプリングデータ記憶部412に記憶される。そして、インターフェログラム抽出部414は、サンプリングデータ記憶部412に記憶されている測定データから、この1回の移動鏡走査による測定を行うことによって得られた校正用光の干渉光におけるインターフェログラムを取り出し、この取り出した1個のインターフェログラムをフーリエ変換部415へ通知する。
次に、フーリエ変換部415は、インターフェログラム抽出部414から通知された1個のインターフェログラムをフーリエ変換し、このフーリエ変換結果を波長校正部416へ通知する。
次に、波長校正部416は、フーリエ変換部415から通知されたフーリエ変換結果から、波長校正の値付けとして予め設定された輝線光の波長に相当するピーク位置を探索し、この探索したピーク位置に基づいて波長校正を行い、この波長校正データを校正データ記憶部417に記憶させる。
図14は、フーリエ変換結果から輝線光の波長に相当するピーク位置を求める演算法を説明するための図である。図14の横軸は、波数であり、その縦軸は、スペクトルの強度である。
ここで、この波長校正を、試料SMの測定と同様に、輝線光源で得られるインターフェログラムを積算した積算インターフェログラムを用いてスペクトルを求めると、正しいスペクトルを求めることができない理由についてに説明する。
一般に、輝線光光源LSは、光強度が時間的に周期的に強弱を繰り返す交流状態で輝線光を含む光(校正用光)を点灯している。図12には、一例として、輝線光光源LSがキセノン光源(キセノンランプ)である場合について、交流点灯の様子が示されている。図12に示す例では、キセノン光源の点灯周波数(キセノン光源に給電されている電力の周波数)である約40kHzで、キセノン光源から放射された光の光量は、変動(変調)している。
このため、校正用光のインターフェログラムは、移動鏡115の移動による変調と輝線光光源LSの光量変動による変調とを合わせたものとなっており、しかも、移動鏡115の各走査ごとに、各走査(測定)を開始する各走査開始時点における、輝線光光源LSから放射される校正用光の各初期位相は、異なる。この結果、校正用光の各インターフェログラムは、各走査ごとに異なり、異なった形状(プロファイル)となる。このような各走査によって得られた複数のインターフェログラムから求められる積算インターフェログラムは、移動鏡115の移動による変調と輝線光光源LSの光量変動による変調とを分離することができず、各インターフェログラムの正確な位置合わせが困難となって、不正確となってしまう。このため、このような不正確な積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって得られるフーリエ変換結果は、校正用光の正確なスペクトルとならない。この一例が図13に示されている。図13(A)には、移動鏡115の1回の走査によって得られるキセノン光源のインターフェログラムを3回測定した各結果(3個の結果)が示されており、これら各結果は、異なっており、一致していない。このため、これらを積算した積算インターフェログラムのフーリエ変換結果は、図13(B)のようになり、キセノン光源のスペクトルと異なったものとなっている。このため、図13(B)に示すスペクトルを用いた波長校正は、不可能である。
そこで、本実施形態では、輝線光光源LSを用いた波長校正では、積算インターフェログラムを求めることなく、上述したように、1回の移動鏡走査による測定を行うことによって得られた校正用光の干渉光におけるインターフェログラムがフーリエ変換され、校正用光のスペクトル(偽スペクトルを含む)が求められている。
以下、このような波長校正における数式を用いた解析について説明する。輝線光光源LSが周波数fxeで交流点灯すると、輝線光光源LSの光量は、L×(1+a×cos(2π×fxe×t+φ)で変動する。なお、Lは、光量の振幅であり、aは、直流成分に対する交流成分の振幅比であり、tは、時間であり、φは、初期位相(t=0での位相)である。
図12は、一例として、キセノン光源から放射される光の時間的な光量変動の様子を示すための図である。図11の横軸は、測定点数で表した経過時間であり、その縦軸は、光量である。説明の簡単化のために、移動鏡115が一定速度Vmirrorで移動しているとすると、校正用光の干渉光におけるインターフェログラムIxe(t)は、変動している輝線光光源LSの光量が干渉計11aによって干渉作用を受けるものとなるから、次式8によって表される。
Figure 2014137328
ここで、νxe(i)は、輝線光光源LSのi番目の輝線の波数であり(i=1〜M、M;輝線の総数)、I(νxe(i))は、波数がνxe(i)の輝線の振幅であり、Xは、干渉計における光路差が0である位置である。
この式8を展開すると、式8は、次式9−1となり、式9−1の各項は、式9−2、式9−3および式9−4である。
Figure 2014137328
この式9−1で表されるインターフェログラムIxe(t)が等距離間隔でサンプリングされ、所定の窓関数でフーリエ変換されると、各項から次のスペクトルが得られる。すなわち、式9−1の第1項である式9−2をフーリエ変換すると、波数νxe(i)でピークを持つ輝線光iのスペクトル(真のスペクトル)が得られる。式9−1の第2項である式9−3をフーリエ変換すると、波数νxe(i)の前後の波数でピークを持つ偽のスペクトルが得られる。式7−1の第3項である式9−4をフーリエ変換すると、輝線光光源LSの点灯周波数fxeに対応する波数でピークを持つ偽のスペクトルが得られる。
したがって、1回の測定(走査)を行うことによって得られた校正用光の干渉光におけるインターフェログラムをフーリエ変換することによって、波数νxe(i)でピークを持つ輝線光iの真のスペクトルと、輝線光源の交流点灯に起因する偽のスペクトルとが得られることになる。
図11は、実施形態のフーリエ変換型分光計において、一例として、移動鏡を1回だけ走査することによって得られるインターフェログラムから求めた輝線光のスペクトルを示す図である。図11(A)は、全体を示す全体図である。図11(B)は、図11(A)に示すスペクトルのうち、波長校正に用いられる予め波長の既知な輝線光を含む所定範囲のスペクトルを拡大した一部拡大図である。図11(C)は、図11(B)に示すスペクトルのうち、波長校正に用いられる予め波長の既知な輝線光のみの範囲のスペクトルを拡大した一部拡大図である。図11の各図の横軸は、フーリエ変換(高速フーリエ変換)で求まるスペクトルの番号jであり、その各縦軸は、強度である。前記スペクトルの番号jは、波数に応じた値であり、後述するように、波数に換算することができる。なお、波長は、波数の逆数である(波長=1/波数)。
図11から、輝線の真のスペクトルと偽のスペクトルとが分離しているため、真のスペクトルの部分を取り出すことによって、輝線を用いた波長校正が可能であることが理解される。
このため、本実施形態のFT型分光計Dは、1回の測定(走査)を行うことによって得られた校正用光の干渉光におけるインターフェログラムをフーリエ変換することによって得られたフーリエ変換結果から、この真のスペクトルを探索し、この探索した真のスペクトルにおけるピーク位置を、波数νxe(i)で値付けすることによって、輝線光を含む校正用光が交流点灯したとしても、交流点灯の影響を受けずに、波長校正を行うことができる。
輝線光光源LSがキセノン光源であって、波長校正の値付けとして予め設定された輝線光の波長が992.319nmである場合を一例として挙げると、まず、キセノン光源から放射される光(校正用光)を1回走査(測定)することによって得られた校正用光の干渉光におけるインターフェログラムのフーリエ変換結果(スペクトル)は、例えば、図11(A)に示すプロファイルとなる。この図11(A)において、図11(A)の破線の矩形RTaで囲まれたスペクトルが、式9−1の第1項である式9−2で示される波数1/992.319nm(=波長992.319nm)でピークを持つ輝線光の真のスペクトルであり、図11(A)の破線の矩形RTbで囲まれたスペクトルが、式9−1の第2項である式9−3で示される波数1/992.319nm(=波長992.319nmの前後の波数でピークを持つ偽のスペクトルであり、そして、図11(A)の破線の矩形RTaで囲まれたスペクトルが、式9−1の第3項である式9−4で示される輝線光光源LSの点灯周波数fxeに対応する波数でピークを持つ偽のスペクトルである。なお、図11(A)の破線の矩形RTaで囲まれたスペクトルには、波長992.319nmの輝線光に隣接する波長979.970nmの輝線光のスペクトルも含まれている。また、図11(B)には、図11(A)の破線の矩形RTaおよび破線の矩形RTbの部分におけるスペクトルが拡大されて示されており、さらに、図11(C)に、波数1/992.319nm(=波長992.319nm)でピークを持つ輝線光の真のスペクトルの部分が拡大されて示されている。
このように、1回の移動鏡走査による測定を行うことによって得られた校正用光の干渉光におけるインターフェログラムをフーリエ変換することによって、例えば図11に示す校正用光のスペクトルが得られ、波長校正部416は、この校正用光のスペクトルから、波長校正の値付けとして予め設定された輝線光の真のスペクトルを探索し、この探索した真のスペクトルのピーク位置に、波数校正の値付けとして予め設定された輝線光の波数、上述の例では、波数1/992.319nmを値付ける(割り付ける)ことによって、波長校正を行い、このピーク位置(ゼロクロスの順番(回数)で表したピーク位置、光路差xで表したピーク位置)と波数1/992.319nmとの対応付けを波数校正データとして校正データ記憶部417に記憶させる。この波数校正データは、波数の逆数が波長であるから、実質的に波長校正データと同義であると言える。
この波長校正部416によって実行される真のスペクトルの探索は、例えば、次のように実行される。
例えば、波長校正の値付けとして予め設定された輝線光の波長を含む所定の波長領域のみを透過するフィルタを介して、輝線光光源LSから干渉計11aに校正用光を入射させ、波長校正部416は、波数(波長)領域全体に亘って、波長校正の値付けとして予め設定された輝線光のピークを探索してもよい。
また例えば、波長校正の値付けとして予め設定された輝線光のピーク位置は、ずれているとしても、通常大きくずれることはないので、本実施形態では、波長校正部416は、波長校正の値付けとして予め設定された輝線光の波長に相当するピーク位置を含むと想定される、予め設定された範囲(探索範囲)内で、ピークを探索し、前記輝線光の波長に相当するピーク位置を求める。例えば、図11に示す例では、波数1/992.319nm(=波長992.319nm)のピークのピーク位置は、jが5670〜5730の範囲内に存在すると想定されるので、この範囲が探索範囲に設定される。波長校正部416は、jが5670〜5730の範囲内で、ピークを探索し、前記輝線光の波長に相当するピーク位置を求める。また、この探索範囲の幅は、予め求められた輝線光光源LSのレーザ光の波長変動幅やこの波長変動幅の数倍等の、前記レーザ光の波長変動幅に基づいて設定されてよい。前記レーザ光の波長変動幅は、その駆動電流や温度に依存し、予め推定可能である。このようなFT型分光計Dは、フーリエ変換結果の範囲を全て探索することなく、予め設定された所定の探索範囲内で前記ピークを探索し、前記ピーク位置を求めるので、探索時間を短縮することができ、また、誤ったピーク位置を探索することを低減することができる。
また、このように探索されたピークにおいて、ピークの真の最大値でサンプリングされAD変換されている場合もあるが、ピークの真の最大値でサンプリングされAD変換されていない場合もある。このため、本実施形態では、波長校正部416は、前記探索されたピークのフーリエ変換結果から、重心演算法または補間演算法を用いることによって、前記ピークのピーク位置を求めている。
重心演算法では、真のピーク位置Jxeは、次式10によって求められる。
Figure 2014137328
また、補間演算法では、図14に示すように、スペクトルの振幅(強度)|B(i)|が波数ν(i)のn次多項式で表され、このn次多項式に、上記探索することによって求められたピークを含む前後数点のデータ(図14に示す例では4個のデータ)を用いることによってn次多項式の各次数の係数が決定され、この決定されたn次多項式の最大値を与える波数ν(i)が真のピーク位置JXeとして求められる。
このピーク位置Jxeと輝線光の波数νxeとは、次式11の関係にあり、フーリエ変換によって得られる波数間隔△νFFTは、式6によって求められる。したがって、移動鏡位置測定用光源31の実効波数νは、次式12によって求められる。
Figure 2014137328
Figure 2014137328
なお、上述では、n次多項式を用いた補間によってピーク位置が求められたが、他の関数、例えばガウス関数等を用いた補間によってピーク位置が求められてもよい。
このように重心演算法または補間演算法を用いることによって、FT型分光計Dは、前記ピーク位置をより正確に求めることができるので、より精度よく波長校正を行うことができる。
このように本実施形態におけるFT型分光計Dは、波長校正を行うためのフーリエ変換結果が1回の測定で得られた1個のインターフェログラムをフーリエ変換した結果であるので、輝線光を含む校正用光が交流点灯したとしても、交流点灯の影響を受けずに輝線光の波長に相当するピーク位置を検出することができるから、波長校正を行うことができる。また、物理的に波長が決まる輝線光を用いるので、本実施形態におけるFT型分光計Dは、より正確に波長校正を行うことができる。
また、本実施形態におけるFT型分光計Dは、校正用光を放射する波長校正用ユニットCUを外部に備えるので、FT型分光計Dの小型化を図ることができる。
なお、上述の実施形態では、FT型分光計Dとは別体の波長校正用ユニットCUに外部輝線光光源用の位置合わせ構造体を備えたが、外部輝線光光源用の位置合わせ構造体を筐体に備えるように、FT型分光計Dは、構成されてもよい。このようなFT型分光計Dは、外部輝線光光源用の位置合わせ構造体を持つので、外部輝線光光源をこの位置合わせ構造体にセットするだけで、外部輝線光光源をFT型分光計Dに容易に配置することができ、確実に線状の輝線光を干渉計11aに入射させることができる。
また、上述の実施形態におけるFT型分光計Dにおいて、FT型分光計Dの筐体1における試料台1bと波長校正用ユニットCUのユニット本体61との間に、拡散板が介在してもよい。波長校正用ユニットCUの輝線光光源LSから放射された輝線光は、透過領域617を介して前記拡散板に入射され、前記拡散板で拡散されて、入射開口1aに入射される。このため、このように拡散板を用いることによって、FT型分光計Dと波長校正用ユニットCUとの位置合わせに多少のずれがあっても、より確実に、輝線光を波長校正用ユニットCUからFT型分光計Dの干渉計11aへ入射させることができる。なお、拡散板による干渉計11aに入射される輝線光の光量低下は、受光処理部20における増幅部22の増幅率を上げることによって対処することが可能である。
また、上述の実施形態におけるFT型分光計Dにおいて、波長校正部416が、前記ピーク位置を複数回求め、これら求めた複数のピーク位置に基づいて波長校正を行うように、FT型分光計Dは、構成されてもよい。
図15は、一例として、1回の移動鏡の走査によって得られるキセノン光源のインターフェログラムに基づくフーリエ変換結果から得られた輝線光のピーク位置のバラツキを示す図である。図15の横軸は、測定回数であり、その縦軸は、ピーク位置である。1回の移動鏡115の走査によって得られるキセノン光源のインターフェログラムに基づくフーリエ変換結果から得られた輝線光のピーク位置は、図15に示すように、必ずしも一定値ではなく、所定の範囲内でばらついている。このため、このようにFT型分光計Dを構成することによって、求められたピーク位置のSN比を向上することができるから、より精度よく波長校正を行うことができる。特に、輝線光源からの校正用光が弱い(暗い)場合でも、波長校正を行うことが可能となる。
これら複数のピーク位置から、波長校正の値付けに用いるピーク位置は、例えば単純平均で求められ、例えば、重心演算法を用いる場合には、測定回数をNとし、n回目の測定における重心位置をJxe(n)とすると、重心位置のN回の平均値(上付きバーのJxe)は、次式13によって求められ、この場合の実効波数νは、次式14によって求められる。
Figure 2014137328
Figure 2014137328
また、上述の実施形態におけるFT型分光計Dにおいて、前記波長校正部416が、フーリエ変換部415でフーリエ変換結果として求められた輝線光のスペクトルを複数回求めてこれらを積算した積算スペクトルに基づいてピーク位置を求め、この求めたピーク位置に基づいて波長校正を行うように、FT型分光計Dは、構成されてもよい。このように構成することによって、前記輝線光のスペクトルの積算スペクトルに基づくピーク位置を用いるので、そのSN比を向上することができるから、より精度よく波長校正を行うことができる。
また、上述の実施形態では、波長校正は、FT型分光計Dとは別体の波長校正用ユニットCUを用いることによって実行されたが、筐体1の内部に、校正用光を放射する内部輝線光光源をさらに備えるように、FT型分光計Dは、構成されてもよい。このようなFT型分光計Dは、波長校正を行うためにFT型分光計Dとは別途に輝線光光源を用意する必要がない。また、このような場合において、測定対象の光および内部輝線光光源から放射される校正用光のうちのいずれか一方を干渉計11bに入射させる入射光切換部をさらに備えるように、FT型分光計Dは、構成されてもよい。このようなFT型分光計Dは、入射光切換部を備えるので、試料SMの測定の際には、測定対象の光のみが干渉計11bに入射されるから、校正用光の影響を受けずに、試料SMを適切に測定することができ、一方、校正の際には、校正用光のみが干渉計11bに入射されるから、測定対象の光の影響を受けずに、校正を適切に実行することができる。
このようなFT型分光計Dは、上述の図3に示す干渉計11aに代え、例えば、図16に示す干渉計11bを備えている。なお、FT型分光計Dにおける他の構成は、上述と同様であるので、その説明を省略する。
図16は、実施形態のフーリエ変換型分光計における主に干渉計の他の構成を示す図である。この干渉計11bは、上述の干渉計11aと同様に、コリメータレンズ111、半透鏡(ハーフミラー)112、位相補償板113、固定鏡114、移動鏡115および集光レンズ116を備え、干渉計11bは、さらに、内部輝線光光源71、反射鏡72および図略の移動機構を備えている。これら干渉計11bにおけるコリメータレンズ111、半透鏡112、位相補償板113、固定鏡114、移動鏡115および集光レンズ116は、それぞれ、干渉計11aにおけるコリメータレンズ111、半透鏡112、位相補償板113、固定鏡114、移動鏡115および集光レンズ116と同様であるので、その記載を省略する。
内部輝線光光源71は、波長の既知な輝線光を少なくとも1つ含む光を校正用光として放射する光源装置であり、波長校正用ユニットCUの輝線光光源LSと同様である。前記図略の移動機構は、波長校正を行う場合の校正位置、および、干渉計11bにおける所定光の光路から外れた退避位置のいずれかの位置に、反射鏡72を選択的に配置する装置である。前記移動機構は、例えば、反射鏡72を保持する保持枠と、保持枠を移動させる例えばモータ等の動力装置と、制御演算部41の制御部411の制御に従って前記動力装置を駆動する駆動部とを備える。前記校正位置は、反射鏡72の法線が移動鏡115の法線(光軸)に対し45度で交差するように、入射開口1aと半透鏡112との間の適宜な位置である。内部輝線光光源71は、このように校正位置に反射鏡72が配置された場合に、反射鏡72に対し45度の入射角で内部輝線光光源71から放射された校正用光が入射されるように、適宜な位置に配置される。
制御部411は、波長校正を行う場合には、反射鏡72が校正位置に配置されるように、前記移動機構を制御する。これによって、内部輝線光光源71から放射された校正用光は、その光路が半透鏡72で約90度曲げられて、干渉計11bの光軸(移動鏡115の鏡面における法線方向)に沿って進行するようになる。したがって、この校正用光は、所定光と同様に、干渉計11b内を進行し、干渉計11bでその干渉光を生じさせる。干渉計11bで得られた校正用光の干渉光は、受光処理部20で受光され、上述のように処理される。また、制御部411は、測定を行う場合には、反射鏡72が退避位置に配置されるように、前記移動機構を制御する。これによって、測定対象の光は、上述のように、干渉計11bに入射され、干渉計11b内を進行し、干渉計11bでその干渉光を生じさせる。干渉計11bで得られた測定対象の光の干渉光は、受光処理部20で受光され、上述のように処理される。
なお、上述では、反射鏡72は、前記移動機構によって校正位置に挿脱自在に構成されたが、反射鏡72および前記移動機構に代え、校正位置に配置された半透鏡が用いられてもよい。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
D フーリエ変換型分光計
CU 波長校正用ユニット
11a、11b 干渉計
20 受光処理部
30 位置検出処理部
41 制御演算部
61 ユニット本体
62 調整部材
63 光源ホルダ部
71 内部輝線光光源
411 制御部
412 サンプリングデータ記憶部
414 インターフェログラム抽出部
415 フーリエ変換部
416 波長校正部
417 校正データ記憶部

Claims (13)

  1. 所定光が入射され、前記所定光の入射位置から干渉位置までの間に2個の光路を形成する複数の光学素子を備え、前記複数の光学素子には、前記2個の光路間に光路差を生じさせる移動鏡が含まれる干渉計と、
    前記干渉計で生成された前記所定光のインターフェログラムを測定するインターフェログラム測定部と、
    前記インターフェログラム測定部によって測定されたインターフェログラムに基づいて前記所定光のスペクトルとしてフーリエ変換結果を求めるフーリエ変換部と、
    前記フーリエ変換部によって求められたフーリエ変換結果と実際の波長値とを対応付ける波長校正を行う波長校正部とを備え、
    前記波長校正部は、前記所定光として予め既知な波長の輝線光を含む校正用光が前記干渉計に入射された場合に、前記インターフェログラム測定部で前記移動鏡の1回の走査による測定を行うことによって得られた1個のインターフェログラムに基づいて前記フーリエ変換部で求められたフーリエ変換結果から得られた前記輝線光の波長に相当するピーク位置に基づいて前記波長校正を行うこと
    を特徴とするフーリエ変換型分光計。
  2. 前記波長校正部は、前記ピーク位置を複数回求め、前記ピーク位置に基づいて前記波長校正を行うこと
    を特徴とする請求項1に記載のフーリエ変換型分光計。
  3. 前記波長校正部は、前記フーリエ変換部で前記フーリエ変換結果として求められた前記輝線光のスペクトルを複数回求めてこれらを積算した積算スペクトルに基づいて前記ピーク位置を求め、この求めた前記ピーク位置に基づいて前記波長校正を行うこと
    を特徴とする請求項1に記載のフーリエ変換型分光計。
  4. 前記波長校正部は、前記フーリエ変換結果から、重心演算法または補間演算法を用いることによって、前記輝線光の波長に相当するピーク位置を求めること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のフーリエ変換型分光計。
  5. 前記波長校正部は、前記フーリエ変換結果の範囲のうち、前記輝線光の波長に相当するピーク位置を含むと想定され予め設定された探索範囲内で前記輝線光の波長に相当するピーク位置を求めること
    を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフーリエ変換型分光計。
  6. 前記校正用光は、キセノン光源、クリプトン光源、ネオン光源、アルゴン光源および水銀光源のうちのいずれかから放射された光であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のフーリエ変換型分光計。
  7. 当該フーリエ変換型分光計の外部に、前記校正用光を放射する外部輝線光光源をさらに備えること
    を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のフーリエ変換型分光計。
  8. 前記校正用光を透過可能な透過領域を持ち、前記外部輝線光光源を配置するためのユニット本体と、前記外部輝線光光源から放射された前記校正用光を前記透過領域に入射させるために、前記外部輝線光光源の配置位置を規定する外部輝線光光源用の位置合わせ構造体とを備える波長校正用ユニットをさらに備えること
    を特徴とする請求項7に記載のフーリエ変換型分光計。
  9. 前記波長校正用ユニットは、前記外部輝線光光源から放射された前記校正用光を拡散した後に前記干渉計に入射させるための拡散部材をさらに備えること
    を特徴とする請求項8に記載のフーリエ変換型分光計。
  10. 前記外部輝線光光源から放射された前記校正用光を前記干渉計に入射させるために、前記外部輝線光光源の配置位置を規定する外部輝線光光源用の位置合わせ構造体を持つ筐体をさらに備えること
    を特徴とする請求項7に記載のフーリエ変換型分光計。
  11. 当該フーリエ変換型分光計の内部に、前記校正用光を放射する内部輝線光光源をさらに備えること
    を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のフーリエ変換型分光計。
  12. 測定対象の光および前記内部輝線光光源から放射される前記校正用光のうちのいずれか一方を前記干渉計に入射させる入射光切換部をさらに備えること
    を特徴とする請求項11に記載のフーリエ変換型分光計。
  13. 所定光が入射され、前記所定光の入射位置から干渉位置までの間に2個の光路を形成する複数の光学素子を備え、前記複数の光学素子には、前記2個の光路間に光路差を生じさせる移動鏡が含まれる干渉計で生成された前記所定光のインターフェログラムを測定するインターフェログラム測定工程と、
    前記インターフェログラム測定工程によって測定されたインターフェログラムに基づいて前記所定光のスペクトルとしてフーリエ変換結果を求めるフーリエ変換工程と、
    前記フーリエ変換工程によって求められたフーリエ変換結果と実際の波長値とを対応付ける波長校正を行う波長校正工程とを備え、
    前記波長校正工程は、前記所定光として予め既知な波長の輝線光を含む校正用光が前記干渉計に入射された場合に、前記インターフェログラム測定工程で前記移動鏡の1回の走査による測定を行うことによって得られた1個のインターフェログラムに基づいて前記フーリエ変換工程で求められたフーリエ変換結果から得られる前記輝線光の波長に相当するピーク位置に基づいて前記波長校正を行うこと
    を特徴とするフーリエ変換型分光計の波長校正方法。
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