以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるフーリエ変換型分光計の構成を示すブロック図である。図2は、フーリエ変換型分光計における主に干渉計の構成を示す図である。
第1実施形態にかかるフーリエ変換型分光計Daは、測定対象の被測定光のスペクトルを測定する装置であって、前記被測定光を干渉計で測定し、この測定した被測定光の干渉光の波形(インターフェログラム)をフーリエ変換することによって被測定光のスペクトルを求める装置である。そして、本実施形態のフーリエ変換型分光計Daでは、SN比を改善し、良好な精度の結果を得るために、前記被測定光のスペクトルを求めるためにフーリエ変換される変換対象には、前記干渉計で生成された前記被測定光のインターフェログラムを複数積算することによって得られた積算インターフェログラムが用いられる。このようなフーリエ変換型分光計Daは、例えば、図1および図2に示すように、測定対象物体SMから放射された光(被測定光)が入射され、前記被測定光の干渉光を射出する干渉計11と、干渉計11で得られた被測定光の干渉光を受光して光電変換によって被測定光の干渉光の波形の電気信号(被測定光の干渉光における光強度変化を表す電気信号)を出力する受光処理部20と、干渉計11の移動鏡115の位置を検出する位置検出処理部30aと、制御演算部41aと、入力部42と、出力部43とを備えている。測定対象物体SMは、自発光する光源であってよく、また、他の光源から放射された光が照射され、前記光を反射、透過または再放射(例えば蛍光発光等)することによって光を放射するものであってもよい。
干渉計11は、測定対象の被測定光が入射され、この入射された被測定光を2個の第1および第2被測定光に分岐し、これら分岐した第1および第2被測定光のそれぞれを、互いに異なる2個の経路である第1および第2光路のそれぞれに進行(伝播)させ、再び合流させるものであり、この分岐点(分岐位置)から合流点(合流位置、干渉位置)までの間に第1および第2光路間に光路差があると、前記合流の際に位相差が生じているため、前記合流によって干渉縞を生じるものである。干渉計11は、例えばマッハツェンダー干渉計等の種々のタイプの第1および第2光路を備える干渉計を利用することができるが、本実施形態では、図2に示すように、マイケルソン干渉計によって構成されている。
より具体的には、図2に示すように、干渉計11は、複数の光学素子として半透鏡112、固定鏡114、および、光反射面が光軸方向に移動する移動鏡115を備え、固定鏡114と移動鏡115とは、各鏡面の各法線が互いに直交するようにそれぞれ配置され、半透鏡112は、その法線が前記固定鏡114および移動鏡115における各法線の直交点を通り、これら各法線に対し45度の角度で交差するように配置される。この干渉計11において、干渉計11に入射された被測定光は、半透鏡112で2個の第1および第2被測定光に分岐する。この分岐した一方の第1被測定光は、半透鏡112で反射されて固定鏡114に入射する。この第1被測定光は、固定鏡114で反射し、来た光路を逆に辿って再び半透鏡112に戻る。一方、この分岐した他方の第2被測定光は、半透鏡112を通過して移動鏡115に入射する。この第2被測定光は、移動鏡115で反射し、来た光路を逆に辿って再び半透鏡112に戻る。これら固定鏡114で反射された第1被測定光および移動鏡115で反射された第2被測定光は、半透鏡112で互いに合流して干渉する。このような構成のマイケルソン干渉計11では、被測定光は、移動鏡115の鏡面における法線方向に沿って干渉計11へ入射され、被測定光の干渉光は、固定鏡114の鏡面における法線方向に沿って干渉計11から射出される。
そして、本実施形態では、干渉計11は、被測定光を半透鏡112で2個の第1および第2被測定光に分岐する場合において、半透鏡112で反射した半透鏡112の反射側に配置される位相補償板CPをさらに備えている。すなわち、本実施形態では、半透鏡112で反射した第1被測定光は、位相補償板CPを介して固定鏡114へ入射され、固定鏡114で反射された第1被測定光は、位相補償板CPを介して再び半透鏡112へ入射される。位相補償板CPは、第1被測定光の半透鏡112の透過回数と第2被測定光の半透鏡112の透過回数の相違から生じる第1被測定光と第2被測定光との位相差を無くして前記位相差を補償するものである。
第1被測定光は、このような被測定光の入射位置から、半透鏡112、位相補償板CP、固定鏡114および位相補償板CPをこの順に介して半透鏡112に再び至る第1光路を辿る。第2被測定光は、このような被測定光の入射位置から、半透鏡112および移動鏡115をこの順に介して半透鏡112に再び至る第2光路を辿る。
また、本実施形態では、移動鏡115には、光路差形成光学素子の一例であり、共振振動を用いることによって2個の第1および第2光路間に光路差を生じさせる光学素子である。移動鏡115は、被測定光のインターフェログラムを複数生成するために、光軸方向に2回以上往復する。このような移動鏡115として、例えば、国際公開WO2010/122879号パンフレットに開示の光反射機構が挙げられる。この光反射機構は、反射面を表面に有する第1移動部と、前記第1移動部を支持する支持部と、前記第1移動部と前記支持部とを前記支持部の上下で片持梁形式で連結する第1の梁および平行移動梁と、前記第1移動部を移動させるための駆動部とを備え、前記第1移動部を前記反射面に垂直な方向に共振振動させるものであり、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって製造される。
さらに、本実施形態では、測定対象物体SMから放射された被測定光を平行光で半透鏡112へ入射させるために、測定対象物体SMと半透鏡112との間の適宜な位置に、入射光学系として例えば両凸のコリメータレンズ111が配置され、半透鏡112で第1および第2被測定光を合流して干渉させることによって生じた被測定光の干渉光を集光して第1受光部21へ入射させるために、半透鏡112と第1受光部21との間の適宜な位置に、射出光学系として例えば両凸の集光レンズ116が配置されている。
図1に戻って、受光処理部20は、例えば、第1受光部21と、増幅部22と、アナログ−ディジタル変換部(以下、「AD変換部」と呼称する。)23とを備えている。第1受光部21は、干渉計11で得られた被測定光の干渉光を受光して光電変換することによって、被測定光の干渉光の光強度に応じた電気信号を出力する回路である。第1受光部21は、例えばInGaAsフォトダイオードおよびその周辺回路を備えて構成される赤外線センサ等である。増幅部22は、第1受光部21の出力を予め設定された所定の増幅率で増幅する増幅器である。AD変換部23は、増幅部22の出力をアナログ信号からディジタル信号へ変換(AD変換)する回路である。このAD変換のタイミング(サンプリングタイミング)は、後述のゼロクロス検出部37から入力されたゼロクロスタイミングで実行される。
また、位置検出処理部30aは、例えば、位置測定用光源31aと、第2受光部36と、ゼロクロス検出部37とを備えている。そして、位置検出処理部30aは、この位置測定用光源31aから放射されたレーザ光の干渉光を干渉計11で得るために、図2に示すように、コリメータレンズ32と、ビームスプリッター33と、ビームスプリッター34と、集光レンズ35とをさらに備えている。
位置測定用光源31aは、単色レーザ光を放射する光源装置である。図2において、コリメータレンズ32およびビームスプリッター33は、位置測定用光源31aから放射されたレーザ光を平行光で干渉計11へ入射させるための入射光学系である。ビームスプリッター33は、その法線が移動鏡115の法線(光軸)に対し45度で交差するように、コリメータレンズ111と半透鏡112との間に配置される。コリメータレンズ32は、例えば両凸のレンズであり、このように配置されたビームスプリッター33に対し45度の入射角で位置測定用光源31aから放射されたレーザ光が入射されるように、適宜な位置に配置される。そして、ビームスプリッター34および集光レンズ35は、干渉計11で生じた前記レーザ光の干渉光を干渉計11から取り出すための射出光学系である。ビームスプリッター34は、その法線が固定鏡114の法線(光軸)に対し45度で交差するように、半透鏡112と集光レンズ116との間に配置される。集光レンズ35は、例えば両凸のレンズであり、このように配置されたビームスプリッター34において45度の射出角で射出されるレーザ光の干渉光を集光して第2受光部36へ入射させる。なお、ビームスプリッター33は、レーザ光を反射するとともに被測定光を透過するダイクロイックミラーである。ビームスプリッター34は、レーザ光の干渉光を反射するとともに被測定光の干渉光を透過するダイクロイックミラーである。
このようにコリメータレンズ32、ビームスプリッター33、34および集光レンズ35の各光学素子が配置されると、位置測定用光源31aから放射された単色のレーザ光は、コリメータレンズ32で平行光とされ、その光路がビームスプリッター33で約90度曲げられて、干渉計11の光軸(移動鏡115の鏡面における法線方向)に沿って進行するようになる。したがって、このレーザ光は、被測定光と同様に、干渉計11内を進行し、干渉計11でその干渉光を生じさせる。このレーザ光の干渉光は、ビームスプリッター34で約90度曲げられて、干渉計11から外部に取り出され、集光レンズ35で集光されて第2受光部36で受光される。
図1に戻って、第2受光部36は、干渉計11で得られたレーザ光の干渉光を受光して光電変換することによって、レーザ光の干渉光の光強度に応じた電気信号を出力する回路である。第2受光部36は、例えばシリコンフォトダイオード(SPD)およびその周辺回路を備えて構成される受光センサ等である。第2受光部36は、レーザ光の干渉光の光強度に応じた電気信号をゼロクロス検出部37へ出力する。
ゼロクロス検出部37は、第2受光部36から入力された、レーザ光の干渉光の光強度に応じた電気信号がゼロとなるタイミングを検出する回路である。干渉計11の移動鏡115が光軸方向に移動している場合に、半透鏡112から固定鏡114を介して再び半透鏡に戻ったレーザ光の位相に対し、半透鏡112から移動鏡115を介して再び半透鏡に戻ったレーザ光の位相がずれるので、レーザ光の干渉光は、その移動量に応じて正弦波状に強弱する。そして、干渉計11の移動鏡115がレーザ光の波長の1/2の長さだけ移動すると、半透鏡112から移動鏡115を介して再び半透鏡に戻ったレーザ光の位相は、この移動の前後において、2πずれる。このため、レーザ光の干渉光は、移動鏡115の移動に従って正弦波状に強弱を繰り返すことになる。ゼロクロス検出部37は、この正弦波状に強弱を繰り返す前記電気信号のゼロクロスを検出している。ゼロクロス検出部37は、この検出したゼロクロスのタイミングをAD変換部23へ出力し、AD変換部23は、このゼロクロスのタイミングで、第1受光部21から入力された、被測定光の干渉光の光強度に応じた電気信号をサンプリングしてAD変換する。
制御演算部41aは、被測定光のスペクトルを求めるべく、フーリエ変換型分光計Daの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するものである。制御演算部41aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、このCPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically
Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶素子、このCPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶素子およびその周辺回路等を備えたマイクロコンピュータによって構成される。そして、制御演算部41aには、プログラムを実行することによって、機能的に、スペクトル演算部411aが構成される。
スペクトル演算部411aは、干渉計11で生成された前記被測定光のインターフェログラムを複数積算することによって得られた積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって前記被測定光のスペクトルを求めるものである。本実施形態では、例えば、このスペクトル演算部411aには、プログラムを実行することによって、機能的に、取出部4111aと、検索部4112と、積算部4113と、計算部4114とが構成される。
取出部4111aは、干渉計11の出力から所定範囲の出力を取り出す場合に、移動鏡115における前記往復の際の振幅情報に応じて前記取り出す所定範囲を設定し、干渉計11の出力からこの設定した前記所定範囲の出力を取り出すものである。
取出部4111aで取り出された所定範囲の出力は、該所定範囲における各サンプリング点での各測定データであり、測定データの集合となる。取出部4111aで取り出された所定範囲の出力は、1個のデータであるサンプリング点(AD変換点、測定点)での測定データと区別するために、以下「測定データ集合」と適宜に呼称される。
前記振幅情報は、光路差形成光学素子、本実施形態では移動鏡115の光軸方向に沿った往復移動において、移動開始位置から、移動方向を180度変える折り返し位置までの長さあるいは例えばその中央位置等の該長さに関係するデータ、または、前記折り返し位置から、移動方向を再び180度変える次の移動開始位置までの長さあるいは例えばその中央位置等の該長さに関係するデータ、または、移動開始位置から折り返し位置を介して次の移動開始位置までの長さの半分の長さあるいは例えばその中央位置等の該長さに関係するデータ、または、これらデータのいずれかにおいて、各測定間での差異を表すデータである。光路差形成光学素子、本実施形態では移動鏡115は、光軸方向に沿った、2回以上の往復移動である。この振幅情報として、例えば、1回目の測定における前記往復の中心位置と今回の測定における前記往復の中心位置とのズレ量が挙げられる。
本実施形態では、取出部4111aは、より具体的には、例えば、干渉計11の出力から所定範囲の出力を取り出す場合に、1回目の測定で取り出した所定範囲に対して測定回数に応じて今回(今般、n回目で)取り出す所定範囲を広げつつ、1回目の測定における前記往復の中心位置と今回の測定における前記往復の中心位置とのズレ量に応じて前記今回取り出す所定範囲の中央位置をシフトすることによって、この今回取り出す所定範囲を設定し、干渉計11の出力からこの設定した前記所定範囲の出力を取り出すものである。
検索部4112は、積算部4113で被測定光のインターフェログラムを複数積算するために取出部4111aで取り出された各所定範囲の各出力において、同じ光路差の測定データを見つけ出すものである。
積算部4113は、被測定光のインターフェログラムを複数積算するために取出部4111aで取り出された各所定範囲の各出力(各測定データ集合)において、検索部4112で見つけ出された同じ光路差の測定データ同士を足し合わせることによって積算インターフェログラムを生成するものである。
計算部4114は、積算部4113で生成された積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって前記被測定光のスペクトルを求めるものである。
入力部42は、例えば、測定開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えば測定対象の光源SMにおける識別子の入力やフーリエ変換の際に用いられる窓関数の選択入力等のスペクトルを測定する上で必要な各種データをフーリエ変換型分光計Daに入力する機器であり、例えば、キーボードやマウス等である。出力部43は、入力部42から入力されたコマンドやデータ、および、フーリエ変換型分光計Daによって予測された被測定光のスペクトルを出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCD、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
次に、本実施形態の動作について説明する。図3は、フーリエ変換型分光計において、一例として、実測した被測定光の干渉光の波形(インターフェログラム)を示す図である。図3(A)は、全体を示し、図3(B)は、ゼロレベル付近を示し、そして、図3(C)は、センターバースト付近を示す。図4は、フーリエ変換型分光計において、一例として、実測した位置測定用光源のレーザ光の干渉波形を示す図である。図4(A)は、全体を示し、図4(B)は、端部付近を示し、そして、図4(C)は、極大値付近を示す。図5は、第1実施形態における取出部で取り出す所定範囲を説明するための図である。図5(A)および(B)のそれぞれは、1回目およびn回目(nは2以上の整数)の各測定における各測定結果(AD変換部23の出力)を模式的に示し、図5(C)は、1回目の測定における振幅中心位置とn回目の測定における振幅中心位置とのズレ量を示す。図6は、インターフェログラムと窓関数との関係を示す図である。図6の横軸は、光路差を示し、その縦軸は、振幅を示す。
測定が開始されると、フーリエ変換型分光計Daは、測定対象物体SMから放射される被測定光を取り込む。被測定光は、干渉計11に入射され、被測定光の干渉光となって第1受光部21で受光される。より具体的には、被測定光は、コリメータレンズ111で平行光とされ、ビームスプリッター33を介して半透鏡112で反射および透過することで第1および第2被測定光に分岐される。半透鏡112で反射することによって分岐した第1被測定光は、位相補償板CPを介して固定鏡114へ入射し、固定鏡114で反射し、来た光路を逆に辿って再び半透鏡112に戻る。一方、半透鏡112を通過することによって分岐した第2被測定光は、移動鏡115へ入射し、移動鏡115で反射し、来た光路を逆に辿って再び半透鏡112に戻る。これら固定鏡114で反射された第1被測定光および移動鏡115で反射された第2被測定光は、半透鏡112で互いに合流して干渉する。この被測定光の干渉光は、干渉計11から第1受光部21へ射出される。第1受光部21は、この入射された被測定光の干渉光を光電変換し、前記被測定光の干渉光における光強度に応じた電気信号を増幅部22へ出力する。増幅部22は、所定の増幅率で前記被測定光の干渉光に応じた前記電気信号を増幅し、AD変換部23へ出力する。
一方、フーリエ変換型分光計Daは、位置測定用光源31aから放射された単色のレーザ光も取り込む。このレーザ光は、ビームスプリッター33を介して干渉計11に入射され、上述と同様に干渉計11で干渉し、レーザ光の干渉光となってビームスプリッター34を介して第2受光部36で受光される。第2受光部36は、この入射されたレーザ光の干渉光を光電変換し、前記レーザ光の干渉光における光強度に応じた電気信号をゼロクロス検出部37へ出力する。ゼロクロス検出部37は、前記レーザ光の干渉光に応じた前記電気信号がゼロとなるタイミングをゼロクロスタイミングとして検出し、このゼロクロスタイミングをサンプリングタイミング(AD変換タイミング)としてAD変換部23へ出力する。
このような被測定光およびレーザ光がそれぞれ干渉計11に取り込まれている間に、干渉計11の移動鏡115は、制御演算部41の制御に従って光軸方向に沿って移動される。
AD変換部23は、増幅部22から出力された、前記被測定光の干渉光における光強度に応じた電気信号を、ゼロクロス検出部37から入力されたゼロクロスタイミングでサンプリングしてアナログ信号からディジタル信号へAD変換し、このAD変換したディジタル信号の前記電気信号を制御演算部41のスペクトル演算部411へ出力する。一例を挙げると図4に示すように、単色レーザ光の干渉光における光強度は、移動鏡115の移動に応じて正弦波状に強弱を繰り返すので、フーリエ変換型分光計Daは、このゼロクロスタイミングを検出することでAD変換のサンプリングタイミングを得ている。
このように動作することによって、インターフェログラムがAD変換部23から制御演算部41のスペクトル演算部411に入力される。
インターフェログラムを含むディジタル信号が受光処理部20のAD変換部23から制御演算部41aのスペクトル演算部411aへ出力される。そして、スペクトル演算部411aは、SN比を改善し、良好な精度の結果を得るために、干渉計11で生成された、このような被測定光のインターフェログラムを複数積算することによって積算インターフェログラムを生成する。
ここで、この積算インターフェログラムを求める際に、複数の測定のそれぞれにおいて、測定開始時にサンプリングカウント数が0にリセットされるものとする。移動鏡115が常に同じように移動していれば、ほぼ同じ位置(サンプリングカウント数の同じ数値(同じ測定点番号))にセンターバーストが現れる。
そこで、1回目の測定で求めたインターフェとグラムにおける最大振幅位置I0に対して、次式1−1で表される範囲(領域)iが切り出される(取り出される)。なお、nhは、この場合における複数の測定データの中から取り出す測定点数である。また、n回目のインターフェログラムから次式1−2で表される範囲(領域)iが切り出される(取り出される)。なお、(nh+nr)は、この場合における複数の測定データの中から取り出す測定点数である。
これら各範囲iのデータを用いて位置合わせを行い、同じ位置の各測定データ同士を足し合わせることによって、積算インターフェログラムが生成できる。
一方、外部の振動等のノイズの影響を受けると、本実施形態では移動鏡115が共振振動を用いることによって第1および第2光路間に光路差を生じさせる光路差形成光学素子であることから、反射面の振幅が変動してしまう。例えば、共振周波数に近い周波数の外部振動が外乱として加わると、移動鏡115の振幅は、本来の共振周波数と外部振動の周波数との差に応じたうねりが生じてしまう。このため、図5(A)および(B)に示すように、横軸をサンプリングカウント数、縦軸を出力とした場合に、サンプリングカウント数の常に同じ数値でセンターバーストが現れるとは限らない。このため、各測定において、干渉計11の出力から、上記式1-2で表される範囲iで、各サンプリング点での測定データが取り出されると、これら取り出された範囲iの各測定データ集合には、1回目の測定データより取り出される上記式1で表される範囲iの一部しか含まないものや、上記式1で表される範囲iを全く含まない場合がある。
このため、本実施形態の取出部4111aは、干渉計11の出力から所定範囲iの測定データを取り出す場合に、移動鏡115の振動における振幅情報に応じて、この取り出す所定の範囲iを設定し、干渉計11の出力からこの設定した所定範囲iの測定データを取り出している。より具体的には、本実施形態の取出部4111aは、干渉計11の出力から所定範囲iの測定データを取り出す場合に、1回目の測定における移動鏡115の振動の振幅中心位置と今回の測定における移動鏡115の振動の振幅中心位置とのズレ量に応じて、この今回取り出す所定範囲iを設定し、干渉計11の出力からこの設定した所定範囲iの測定データを取り出している。すなわち、1回目の測定における測定点数(複数の測定データの点数)、振幅最大位置および取り出すデータ点数(前記複数の測定データの中から取り出すデータの点数)をそれぞれNum(1)、I0およびnhとし、n回目の測定における測定点数および位置合わせのために取り出すデータ点数をそれぞれNum(n)および(nh+nr)とする場合には、測定点数の半分が振幅中心位置と見なせるから前記ズレ量が((Num(n)−Num(1))/2)と表されるので(図5(C)参照)、1回目の測定では、前記所定範囲iは、上記式1で表され(図5(A)参照)、そして、n回目の測定では、前記所定範囲iは、次式の式2で表される(図5(B)参照)。
このように取出部4111aで各測定データ集合が取り出されると、検索部4112は、これら取出部4111aで取り出された各測定データ集合において、同じ光路差の測定データを見つけ出す。
本実施形態では、例えば、検索部4112は、1回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合とn回目(nは2以上の整数)の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合とにおいて、相互相関の最大値を求めることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出している。より具体的には、検索部4112は、まず、サンプリングカウント数(測定点番号)をiとし、1回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合をInterferogram1(i)とし、n回目(nは2以上の整数)の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogramn(i)とする場合に、kの値を0≦k≦(nr−1)の範囲で順次にずらしながら、次式3によってnh点の相互相関関数φ(k)を求める。次に、検索部4112は、相互相関関数φ(k)の最大値max(φ(kmax))を見つける。そして、検索部4112は、この相互相関関数φ(k)の最大値max(φ(kmax))を与える値kmax(シフト量)だけ、n回目(nは2以上の整数)の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogramn(i)の測定点番号をシフトすることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出す。すなわち、1回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogram1(i)における測定点番号j(j∈i)の測定データと、n回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogramn(i)における測定点番号j+kmaxの測定データとが、同じ光路差の測定データである。
また例えば、検索部4112は、1回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogram1(i)とn回目(nは2以上の整数)の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogramn(i)とにおいて、測定点についての差の2乗の和における最小値を求めることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出してもよい。より具体的には、検索部4112は、まず、kの値を0≦k≦(nr−1)の範囲で順次にずらしながら、次式4によってnh点の差の2乗和△2(k)を求め、この差の2乗和△2(k)の最小値min(△2(kmin))を見つける。そして、検索部4112は、この差の2乗和△2(k)の最小値min(△2(kmin))を与える値kmin(シフト量)だけ、n回目(nは2以上の整数)の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogramn(i)の測定点番号をシフトすることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出す。すなわち、1回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogram1(i)における測定点番号j(j∈i)の測定データと、n回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogramn(i)における測定点番号j+kminの測定データとが、同じ光路差の測定データである。
また例えば、検索部4112は、1回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogram1(i)とn回目(nは2以上の整数)の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogramn(i)とにおいて、測定点についての差の絶対値の和における最小値を求めることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出してもよい。より具体的には、検索部4112は、まず、kの値を0≦k≦(nr−1)の範囲で順次にずらしながら、次式5によってnh点の差の絶対値の和△A(k)を求め、この差の絶対値の和△A(k)の最小値min(△A(kmin))を見つける。そして、検索部4112は、この差の絶対値の和△A(k)の最小値min(△A(kmin))を与える値kmin(シフト量)だけ、n回目(nは2以上の整数)の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogramn(i)の測定点番号をシフトすることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出す。すなわち、1回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogram1(i)における測定点番号j(j∈i)の測定データと、n回目の測定で取出部4111aで取り出された測定データ集合Interferogramn(i)における測定点番号j+kminの測定データとが、同じ光路差の測定データである。
なお、測定点数Num(k)に応じてデータを取り出す範囲の幅(取り出す範囲の開始位置から終了位置までの幅)が、広げられたり狭められたりすることによって、変更されてもよい。例えば、Num(n)≧Num(1)の場合にはn回目の測定データ集合Interferogramn(i)において、次式6−1で表される範囲の次式6−2で表される点数のデータが取り出され、Num(n)<Num(1)の場合にはn回目の測定データ集合Interferogramn(i)において、次式6−3で表される範囲の次式6−4で表される点数のデータが取り出される。
このように検索部4112で各測定データ集合における同じ光路差のデータが見つけ出されると、積算部4113は、取出部4111aで取り出された各測定データ集合において、検索部4112で見つけ出された同じ光路差の測定データ同士を足し合わせることによって積算インターフェログラムを生成する。
より具体的には、まず、m回目の測定でのインターフェログラムFm(xi)は、光路差をxiとし、波数をνjとし、波数νjのスペクトル振幅をB(νj)とし、光路差0の位置をX0とし、波数νjの光路差0の位置における位相をφ(νj)とする場合に、式7で表される。なお、mは、m番目の測定による測定結果であることを表す。
したがって、積算インターフェログラムF(xi)は、式8で表される。
このように積算インターフェログラムが積算部4113で求められると、計算部4114は、積算部4113で生成された積算インターフェログラムを例えば高速フーリエ変換(FFT)することによって被測定光のスペクトルを求める。
より具体的には、高速フーリエ変換する場合には、サイドローブの発生を低減するために、図6に示すように、光路差0の位置(センターバーストの位置)を中心に左右対称な窓関数Awindow(xi)が掛け合わされてから(式9)、高速フーリエ変換が行われ、被測定光のスペクトルの振幅|Bwindow(νj)|が求められる(式10)。
上記窓関数Awindow(xi)は、適宜な種々の関数を挙げることができるが、例えば、式11−1ないし式11−3で表される関数である。式11−1は、Hanning Window(ハニング窓)関数と呼ばれ、式11−2は、Hamming Window(ハミング窓)関数と呼ばれ、式11−3は、Blackman Window(ブラックマン窓)関数と呼ばれる。
このような取り出し範囲の適正化によってスペクトル演算部411は、干渉計11によって得られた被測定光のインターフェログラムを複数積算することによって積算インターフェログラムを生成し、この生成した積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって被測定光のスペクトルを求めている。そして、この求めた被測定光のスペクトルは、出力部43に出力される。
以上、説明したように、本実施形態のフーリエ変換型分光計Daおよびこれに実装されたフーリエ変換型分光方法では、インターフェログラムの位置合わせを行うために干渉計11の出力から所定範囲iの出力を取り出す場合に、この取り出す所定範囲iは、光路差形成光学素子における往復の際の振幅情報、本実施形態では移動鏡115における振動の振幅情報に応じて設定される。このため、本実施形態のフーリエ変換型分光計およびフーリエ変換型分光方法は、振幅変動によってセンターバーストの位置が変動するが、振幅情報が参酌されるので、センターバーストを含む範囲をより適切に取り出すことができ、したがって、好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、本実施形態のフーリエ変換型分光計Daおよびこれに実装されたフーリエ変換型分光方法では、前記振幅情報として、1回目の測定における振幅中心位置と今回の測定における振幅中心位置とのズレ量が用いられる。このため、このような構成のフーリエ変換型分光計Daは、光路差形成光学素子、本実施形態では移動鏡115が光軸方向に沿って左右対称にずれる場合に好適に対応することができ、インターフェログラムを含む範囲、より好ましくはインターフェログラム全体を完全に含む範囲の測定データをより適切に取り出すことができ、したがって、好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、本実施形態のフーリエ変換型分光計Daおよびこれに実装されたフーリエ変換型分光方法において、相互相関によって同じ光路差の測定データを見つけ出す場合には、より正確に同じ光路差の測定データを見つけ出すことができる。このため、本実施形態のフーリエ変換型分光計Daおよびこれに実装されたフーリエ変換型分光方法は、好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、本実施形態のフーリエ変換型分光計Daおよびこれに実装されたフーリエ変換型分光方法において、差の2乗の和によって同じ光路差の測定データを見つけ出す場合には、より正確に同じ光路差の測定データを見つけ出すことができる。このため、本実施形態のフーリエ変換型分光計Daおよびこれに実装されたフーリエ変換型分光方法は、好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、本実施形態のフーリエ変換型分光計Daおよびこれに実装されたフーリエ変換型分光方法において、差の絶対値の和によって同じ光路差の測定データを見つけ出す場合には、より簡易な情報処理で同じ光路差の測定データを見つけ出すことができる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態におけるフーリエ変換型分光計の構成を示すブロック図である。図8は、第2実施形態のフーリエ変換型分光計における位置測定用光源から放射されるレーザ光のスペクトルを示す図である。図8の横軸は、波数(1/波長)であり、その縦軸は、振幅の大きさである。図9は、フーリエ変換型分光計において、一例として、実測した所定の線幅を持つレーザ光の干渉波形を示す図である。図9(A)は、全体を示し、図9(B)は、端部付近を示し、そして、図9(C)は、極大値付近を示す。図10は、第2実施形態のフーリエ変換型分光計における包絡線検波部の構成を示す回路図である。
第2実施形態にかかるフーリエ変換型分光計Dbは、第1実施形態かかるフーリエ変換型分光計Daと同様に、測定対象の被測定光を干渉計で測定し、この測定した被測定光の積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって被測定光のスペクトルを求める装置である。ここで、第1実施形態におけるフーリエ変換型分光計Daでは、取出部4111aは、干渉計11の出力から所定範囲iの出力を取り出す場合に、移動鏡115における振動の振幅情報に応じてこの取り出す所定範囲iを設定したが、第2実施形態におけるフーリエ変換型分光計Dbでは、インターフェログラムにおけるセンターバーストの位置を検出するセンターバースト位置検出部がさらに備えられ、取出部4111bは、干渉計11の出力から所定範囲iの出力を取り出す場合に、移動鏡115における振動の振幅情報として前記センターバースト位置検出部によって検出したセンターバーストの位置を用いてこの取り出す所定範囲iを設定し、干渉計11の出力からこの設定した所定範囲iの出力を取り出すものである。
このような第2実施形態におけるフーリエ変換型分光計Dbは、例えば、図7に示すように、干渉計11と、受光処理部20と、位置検出処理部30bと、制御演算部41bと、入力部42と、出力部43とを備えている。第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbにおけるこれら干渉計11、受光処理部20、入力部42および出力部43は、それぞれ、第1実施形態のフーリエ変換型分光計Daにおけるこれら干渉計11、受光処理部20、入力部42および出力部43と同様であるので、その説明を省略する。
位置検出処理部30bは、例えば、位置測定用光源31bと、第2受光部36と、ゼロクロス検出部37と、包絡線検波部38とを備えている。そして、位置検出処理部30bは、この位置測定用光源31bから放射されたレーザ光の干渉光を干渉計11で得るために、第1実施形態で図2を用いて説明したように、コリメータレンズ32と、ビームスプリッター33と、ビームスプリッター34と、集光レンズ35とをさらに備えている。すなわち、第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbは、第1実施形態のフーリエ変換型分光計Daに対し、位置測定用光源31aに代え位置測定用光源31bを備え、さらに、包絡線検波部38を備えている。このため、第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbにおける第2受光部36、ゼロクロス検出部37、コリメータレンズ32、ビームスプリッター33、ビームスプリッター34および集光レンズ35は、それぞれ、第1実施形態のフーリエ変換型分光計Daにおける第2受光部36、ゼロクロス検出部37、コリメータレンズ32、ビームスプリッター33、ビームスプリッター34および集光レンズ35と同様であるので、その説明を省略する。
この位置測定用光源31bは、予め設定された所定の線幅を持つレーザ光を放射する光源装置である。位置測定用光源31bは、例えば、所定の線幅を持つレーザ光を放射する半導体レーザを備えて構成される。また例えば、位置測定用光源31bは、単色レーザ光を放射するレーザ装置と、前記レーザ装置から放射された単色レーザ光を高周波重畳する高周波重畳装置とを備え、単色レーザ光を高周波重畳ことによって前記所定の線幅を持つレーザ光を放射するものである。前記所定の線幅は、図9に示すように干渉計11によって得られたレーザ光の干渉光における振幅の大きさが干渉計11の移動鏡115の移動に従って変化する程度の波長幅(周波数幅)である。なお、レーザ光が輝線である場合には、第1実施形態の説明で用いた図4に示すように、このレーザ光の干渉光における振幅の大きさが干渉計11の移動鏡115の移動によって変化しない。このような所定の線幅を持つレーザ光は、一例を挙げると、図8に示すように、中心波数15151.52cm−1に対し半値幅(FWHM)2.3cm−1であるガウス型のプロファイルを持つ。
この位置測定用光源31bから射出されたレーザ光は、干渉計11へ入射され、このレーザ光の干渉光は、第2受光部36で受光される。第2受光部36は、レーザ光の干渉光の光強度に応じた電気信号をゼロクロス検出部37および包絡線検波部38のそれぞれへ出力する。
包絡線検波部38は、第2受光部36から入力された、レーザ光の干渉光の光強度に応じた電気信号の包絡線を検出する回路である。包絡線検波部38は、種々の回路構成を採用することができるが、一例を挙げると、図10に示すように、ダイオードDと、ダイオードDのカソード端子と接続されることでダイオードDに直列に接続される抵抗素子Rと、抵抗素子Rに並列に接続されるコンデンサCとを備えて構成され、直列接続のダイオードDおよび抵抗素子Rの両端が入力端とされ、抵抗素子Rの両端が出力端とされる。包絡線検波部38は、このような簡易な回路構成で包絡線を検波することができる。包絡線検波部38は、この検出したレーザ光の干渉光の光強度に応じた電気信号の包絡線を制御演算部41bへ出力する。
制御演算部41bは、被測定光のスペクトルを求めるべく、フーリエ変換型分光計Dbの各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するものである。そして、制御演算部41bには、プログラムを実行することによって、機能的に、スペクトル演算部411bと、センターバースト位置演算部412とが構成される。
センターバースト位置演算部412は、インターフェログラムにおけるセンターバーストの位置を検出するものである。より具体的には、センターバースト位置演算部412は、本実施形態では、包絡線検波部38で検波された包絡線の極大値を与える位置をセンターバーストの位置として検出するものである。このように本実施形態では、センターバーストの位置は、所定の線幅を持つレーザ光を干渉計11に入射させることによって得られた前記レーザ光の干渉光における光強度の包絡線を検波し、この検波された包絡線の極大値を与える位置を検出することによって求められる。
スペクトル演算部411bは、干渉計11で生成された前記被測定光のインターフェログラムを複数積算することによって得られた積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって前記被測定光のスペクトルを求めるものである。本実施形態では、例えば、このスペクトル演算部411bには、プログラムを実行することによって、機能的に、取出部4111bと、検索部4112と、積算部4113と、計算部4114が構成される。すなわち、第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbにおけるスペクトル演算部411bは、第1実施形態のフーリエ変換型分光計Daにおけるスペクトル演算部411aに対し、取出部4111aに代え、取出部4111bが機能的に構成される。したがって、第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbにおけるスペクトル演算部411bの検索部4112、積算部4113および計算部4114は、それぞれ、第1実施形態のフーリエ変換型分光計Daにおけるスペクトル演算部411bの検索部4112、積算部4113および計算部4114と同様であるので、その説明を省略する。
取出部4111bは、干渉計11の出力から所定範囲iの出力を取り出す場合に、光路差形成光学素子における前記往復の際の振幅情報、本実施形態では移動鏡115における振動の振幅情報としてセンターバースト位置演算部412によって検出したセンターバーストの位置を用いてこの取り出す所定範囲iを設定し、干渉計11の出力からこの設定した前記所定範囲iの出力を取り出すものである。
本実施形態では、取出部4111bは、より具体的には、例えば、干渉計11の出力から所定範囲iの出力を取り出す場合に、1回目の測定で取り出した所定範囲に対して今回取り出す所定範囲を広げつつ、この所定範囲iの中央位置をセンターバースト位置演算部412で求められたセンターバーストの位置に一致させることによって、この今回取り出す所定範囲iを設定し、干渉計11の出力からこの設定した所定範囲iの出力を取り出すものである。
次に、本実施形態の動作について説明する。図11は、第2実施形態における取出部で取り出す所定範囲を説明するための図(その1)である。図12は、第2実施形態における取出部で取り出す所定範囲を説明するための図(その2)である。図11(A)および図12(A)は、それぞれ、1回目およびn回目(nは2以上の整数)の各測定における各測定結果(AD変換部23の出力)を示し、そして、図11(B)および図12(B)は、それぞれ、1回目およびn回目(nは2以上の整数)の各測定における各包絡線(包絡線検波部38の出力)を示す。
測定が開始されると、フーリエ変換型分光計Dbは、測定対象物体SMから放射される被測定光を取り込む。被測定光は、干渉計11bに入射され、第1実施形態のフーリエ変換型分光計Daの干渉計11の場合と同様に、被測定光の干渉光となって第1受光部21で受光され、電気信号となって増幅部22で増幅され、AD変換部23へ出力される。一方、フーリエ変換型分光計Dbは、位置測定用光源31bから放射された所定の半値幅を持つレーザ光も取り込む。このレーザ光は、ビームスプリッター33を介して干渉計11bに入射され、上述と同様に干渉計11bで干渉し、レーザ光の干渉光となってビームスプリッター34を介して第2受光部36で受光される。第2受光部36は、この入射されたレーザ光の干渉光を光電変換してその出力の電気信号をゼロクロス検出部37および包絡線検波部38のそれぞれへ出力する。ゼロクロス検出部37は、前記電気信号のゼロクロスタイミングを検出してAD変換部23へ出力する。このような被測定光およびレーザ光がそれぞれ干渉計11bに取り込まれている間に、干渉計11bの移動鏡115は、制御演算部41bの制御に従って光軸方向に沿って移動される。AD変換部23は、増幅部22からの前記電気信号を、ゼロクロス検出部37からのゼロクロスタイミングでサンプリングしてアナログ信号からディジタル信号へAD変換し、このAD変換したディジタル信号の前記電気信号を制御演算部41bのスペクトル演算部411bへ出力する。このように動作することによって、図11(A)および図12(A)に示すようなインターフェログラムがAD変換部23から制御演算部41bのスペクトル演算部411bに入力される。一方、包絡線検波部38では、前記所定の線幅を持つレーザ光の干渉光に基づく電気信号(第2受光部36の出力)が包絡線検波され、図11(B)および図12(B)に示すような包絡線が包絡線検波部38から制御演算部41bのセンターバースト位置演算部412に入力される。
前記所定の線幅を持つレーザ光の干渉光における光強度の包絡線は、ゼロクロスタイミングは、単色レーザ光の場合と同様であるが、光路差0の位置でその振幅が最も大きく、サイドバンドの位置へ近づくに従ってその振幅が徐々に小さくなるプロファイルを持つ。そして、これら図11(A)と図11(B)との対比および図12(A)と図12(B)との対比から分かるように、前記所定の線幅を持つレーザ光の干渉光における光強度の包絡線は、センターバーストの位置で極大値となる。したがって、所定の線幅を持つレーザ光の干渉光における光強度の包絡線を検波することによってセンターバーストの位置が検出可能である。より具体的には、センターバースト位置演算部412は、包絡線検波部38から入力された包絡線の極大値を検出し、この極大値を与える位置をセンターバーストの位置として求める。そして、センターバースト位置演算部412は、この求めたセンターバーストの位置を取出部4111bへ出力する。
以上の動作によって、取出部4111bには、被測定光のインターフェログラムがAD変換部23から入力され、センターバーストの位置がセンターバースト位置演算部412から入力される。
そして、取出部4111bは、干渉計11の出力から所定範囲iの出力を取り出す場合に、光路差形成光学素子における往復の際の振幅情報、本実施形態では移動鏡115における振動の振幅情報としてセンターバースト位置演算部412によって検出したセンターバーストの位置を用いてこの取り出す所定範囲iを設定し、干渉計11の出力からこの設定した所定範囲iの出力を取り出す。より具体的には、例えば、取出部4111bは、干渉計11の出力から所定範囲iの出力を取り出す場合に、1回目の測定で取り出した所定範囲に対して今回取り出す所定範囲iを広げつつ、センターバーストの位置を中心に所定範囲iを設定し、干渉計11の出力からこの設定した所定範囲iの出力を取り出している。すなわち、1回目の測定における、包絡線の極大値を与える位置および取り出すデータ点数をそれぞれI(1)およびnhとし、n回目の測定における、包絡線の極大値を与える位置および取り出すデータ点数をそれぞれI(n)および(nh+nr)とする場合には、1回目の測定では、前記所定範囲iは、式12で表され(図11(A)および図11(B)参照)、そして、n回目の測定では、前記所定範囲iは、次式の式13で表される(図12(A)および図12(B)参照)。
このように取出部4111bで各測定データ集合が取り出されると、検索部4112は、これら取出部4111bで取り出された各測定データ集合において、同じ光路差の測定データを見つけ出す。例えば、検索部4112は、第1実施形態と同様に、相互相関の最大値を求めることによって、または、測定点についての差の2乗の和における最小値を求めることによって、または、測定点についての差の絶対値の和における最小値を求めることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出している。
ここで、第2実施形態では、前記相互相関の最大値を求める場合では、次式14が用いられ、前記測定点についての差の2乗の和における最小値を求める場合では、次式15が用いられ、そして、前記測定点についての差の絶対値の和における最小値を求める場合には、次式16が用いられる。
なお、本実施形態においても、包絡線の極大値を与える位置I(n)に応じてデータを取り出す範囲の幅(取り出す範囲の開始位置から終了位置までの幅)が、広げられたり狭められたりすることによって、変更されてもよい。例えば、I(n)≧I(1)の場合にはn回目の測定データ集合Interferogramn(i)において、次式17−1で表される範囲の次式17−2で表される点数のデータが取り出され、I(n)<I(1)の場合にはn回目の測定データ集合Interferogramn(i)において、次式17−3で表される範囲の次式17−4で表される点数のデータが取り出される。
このように検索部4112で各測定データ集合における同じ光路差のデータが見つけ出されると、積算部4113は、取出部4111bで取り出された各測定データ集合において、検索部4112で見つけ出された同じ光路差の測定データ同士を足し合わせることによって積算インターフェログラムを生成する。次に、計算部4114は、上記式9および式10によって、この生成した積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって被測定光のスペクトルを求める。そして、この求めた被測定光のスペクトルは、出力部43に出力される。
以上、説明したように、本実施形態のフーリエ変換型分光計Dbおよびこれに実装されたフーリエ変換型分光方法では、包絡線検波部38およびセンターバースト位置演算部412によってセンターバーストの位置が検出され、干渉計11の出力から所定範囲iの出力を取り出す場合に、光路差形成光学素子における前記往復の際の振幅情報、本実施形態では移動鏡115における振動の振幅情報として、この検出したセンターバーストの位置が用いられ、この取り出す所定範囲iは、この検出したセンターバーストの位置に応じて設定される。このため、本実施形態のフーリエ変換型分光計Dbおよびフーリエ変換型分光方法は、振幅変動によってセンターバーストの位置が変動するが、センターバーストの位置が実際に検出されて前記所定範囲iが設定されるので、センターバーストを含む範囲の測定データを確実に取り出すことができ、したがって、より好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbは、所定の線幅を持つレーザ光の干渉光における光強度の包絡線を検波することによってセンターバーストの位置を検出するので、例えば、図10に示すような、より簡易な回路構成で検波回路を構成することができる。
また、第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbは、レーザ光が所定の線幅を持つレーザ光とされ、センターバーストの位置を検出するための構成として、移動鏡115の位置を検出するための一部の構成が流用されている。より具体的には、位置測定用光源31bから第2受光部36までの構成が共用され、第2受光部36の出力がゼロクロス検出部37および包絡線検波部38のそれぞれに出力される。このため、第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbは、より少ない回路構成でセンターバーストの位置を検出することができる。
また、第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbでは、位置測定用光源31bとして、単色レーザ光を高周波重畳することによって所定の線幅を持つレーザ光を放射するレーザ装置、あるいは、所定の線幅を持つレーザ光を放射する半導体レーザが用いられる。このため、第2実施形態では、より簡易に前記所定の線幅を持つレーザ光を放射する位置測定用光源31bが構成され得る。
図13は、レーザ光の干渉光における包絡線に基づいてセンターバーストの位置を求める第2態様の方法を説明するための図である。図13(A)は、前記包絡線を示し、図13(B)は、前記包絡線の差分波形を示す。図14は、レーザ光の干渉光における包絡線に基づいてセンターバーストの位置を求める第3態様の方法を説明するための図である。図13および図14の横軸は、光路差(移動鏡115の位置)を示し、これらの縦軸は、レベルを示す。
また、上述の第2実施形態において、センターバースト位置演算部412は、包絡線検波部38から入力された包絡線の極大値を、移動鏡115の移動(光路差の変化)に従って前記包絡線の振幅値(レベル)が増加から減少に転じた点で検出してもよいが、一例として、図13(A)に示すように前記包絡線が前記極大値付近では移動鏡115の移動(光路差の変化)に従って比較的緩やかに変化する場合には、前記点を精度よく検出することは容易ではない。このため、センターバースト位置演算部412は、包絡線検波部38で検波された包絡線の差分情報に基づいて包絡線検波部38で検波された包絡線の極大値を与える位置をセンターバーストの位置として検出してもよい。
より具体的には、センターバースト位置演算部412は、適宜な間隔で、包絡線上の2点間の差分を求める。例えば、図13(A)に示す包絡線に対し、この包絡線上の2点間の差分を求めて行くと、前記差分情報として、図13(B)に示す差分のグラフが得られる。この差分のグラフにおいて、差分値が正値から負値へ転じるゼロクロス点が前記極大値を与える位置に対応するので、センターバースト位置演算部412は、この差分のグラフにおいて、差分値が正値から負値へ転じるゼロクロス点を求め、ゼロクロス点をセンターバーストの位置とすればよい。
ここで、差分を求める前記間隔が大きいほど、差分値が大きくなり、より精度よくゼロクロス点が検出可能となり、この結果、より精度よくセンターバーストの位置が検出可能となる。
また、このような差分を求める場合において、包絡線の測定結果を格納する記憶素子の記憶容量が制約されて前記間隔があまり大きく取れない場合や、AD変換部23のビット数Zが少なくて分解能があまり大きくない場合では、前記差分は、ゼロクロス点付近では図14に示すように、階段状になってしまう場合がある。このような場合では、ゼロクロス点付近の差分のグラフを最小2乗法によって直線近似し、この近似直線のゼロクロス点を求めることによって、センターバーストの位置が求められてもよい。
このような包絡線の差分情報を用いることによって、第2実施形態のフーリエ変換型分光計Dbにおけるセンターバースト位置演算部412は、前記包絡線の極大値を与える位置をより精度よく検出することができ、仮に前記包絡線の変化が緩やかであるために前記包絡線の極大値が見分け難い場合であっても、前記包絡線の極大値を与える位置を検出することができる。
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
一態様にかかるフーリエ変換型分光計は、測定対象の被測定光が入射され、前記被測定光の入射位置から干渉位置までの間に2個の光路を形成する複数の光学素子を備え、前記複数の光学素子には、光軸方向に移動することによって前記2個の光路間に光路差を生じさせる光路差形成光学素子が含まれる干渉計と、前記干渉計で生成された前記被測定光のインターフェログラムを複数積算することによって得られた積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって前記被測定光のスペクトルを求めるスペクトル演算部とを備え、前記光路差形成光学素子は、前記被測定光のインターフェログラムを複数生成するために、光軸方向に2回以上往復し、前記スペクトル演算部は、前記干渉計の出力から所定範囲の出力を取り出す場合に、前記光路差形成光学素子における前記往復の際の振幅情報に応じて前記取り出す所定範囲を設定し、前記干渉計の出力からこの設定した前記所定範囲の出力を取り出す取出部と、前記被測定光のインターフェログラムを複数積算するために、前記取出部で取り出された各所定範囲の各出力において、同じ光路差の測定データを見つけ出す検索部と、前記被測定光のインターフェログラムを複数積算するために、前記取出部で取り出された各所定範囲の各出力において、前記検索部で見つけ出された同じ光路差の測定データ同士を足し合わせることによって前記積算インターフェログラムを生成する積算部と、前記積算部で生成された前記積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって前記被測定光のスペクトルを求める計算部とを備える。
そして、他の一態様にかかるフーリエ変換型分光方法は、測定対象の被測定光が入射され、前記被測定光の入射位置から干渉位置までの間に2個の光路を形成する複数の光学素子を備え、前記複数の光学素子には、光軸方向に移動することによって前記2個の光路間に光路差を生じさせる光路差形成光学素子が含まれる干渉計と、前記干渉計で生成された前記被測定光のインターフェログラムを複数積算することによって得られた積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって前記被測定光のスペクトルを求めるスペクトル演算部とを備え、前記光路差形成光学素子が、前記被測定光のインターフェログラムを複数生成するために、光軸方向に2回以上往復するフーリエ変換型分光計に用いられるフーリエ変換型分光方法において、前記被測定光のスペクトルを求める際に、前記干渉計の出力から所定範囲の出力を取り出す場合に、前記光路差形成光学素子における前記往復の際の振幅情報に応じて前記取り出す所定範囲を設定し、前記干渉計の出力からこの設定した前記所定範囲の出力を取り出す取出工程と、前記被測定光のインターフェログラムを複数積算するために、前記取出工程で取り出された各所定範囲の各出力において、同じ光路差の測定データを見つけ出す検索工程と、前記被測定光のインターフェログラムを複数積算するために、前記取出工程で取り出された各所定範囲の各出力において、前記検索工程で見つけ出された同じ光路差の測定データ同士を足し合わせることによって前記積算インターフェログラムを生成する積算工程と、前記積算工程で生成された前記積算インターフェログラムをフーリエ変換することによって前記被測定光のスペクトルを求める計算工程とを備える。
このような構成のフーリエ変換型分光計およびフーリエ変換型分光方法では、前記干渉計の出力から所定範囲の出力を取り出す場合に、この取り出す所定範囲は、光路差形成光学素子における往復の際の振幅情報に応じて設定される。このため、このような構成のフーリエ変換型分光計およびフーリエ変換型分光方法は、光路差形成光学素子における往復の際の振幅情報が参酌されるから、インターフェログラムを含む範囲の測定データをより適切に取り出すことができ、したがって、好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、他の一態様では、上述のフーリエ変換型分光計において、前記取出部で用いられる前記振幅情報は、1回目の測定における前記往復の中心位置と今回の測定における前記往復の中心位置とのズレ量である。
このような構成のフーリエ変換型分光計では、前記振幅情報として、1回目の測定における前記往復の中心位置と今回の測定における前記往復の中心位置とのズレ量が用いられる。このため、このような構成のフーリエ変換型分光計は、光路差形成光学素子が左右対称にずれる場合に好適に対応することができ、インターフェログラムを含む範囲の測定データをより適切に取り出すことができ、したがって、好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、他の一態様では、上述のフーリエ変換型分光計において、インターフェログラムにおけるセンターバーストの位置を検出するセンターバースト位置検出部をさらに備え、前記取出部は、前記干渉計の出力から所定範囲の出力を取り出す場合に、前記光路差形成光学素子における前記往復の際の振幅情報として前記センターバースト位置検出部によって検出したセンターバーストの位置を用いて前記取り出す所定範囲を設定し、前記干渉計の出力からこの設定した前記所定範囲の出力を取り出す。
このような構成のフーリエ変換型分光計では、センターバースト位置検出部によってセンターバーストの位置が検出される。このため、このような構成のフーリエ変換型分光計は、センターバーストを含む範囲の測定データを確実に取り出すことができ、したがって、より好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、他の一態様では、上述のフーリエ変換型分光計において、前記センターバースト位置検出部は、所定の線幅を持つレーザ光を前記干渉計に入射させることによって得られた前記レーザ光の干渉光における光強度の包絡線を検波し、前記検波された包絡線の極大値を与える位置を前記センターバーストの位置として検出する。
このような構成のフーリエ変換型分光計は、所定の線幅を持つレーザ光の干渉光における光強度の包絡線を検波することによって前記センターバーストの位置を検出するので、より簡易な回路構成で検波回路を構成することができる。
また、マイケルソン干渉計では移動鏡の位置を検出するために、例えば、レーザ光の干渉光が利用され、前記レーザ光の干渉光におけるゼロクロスタイミングがサンプリングタイミングとされる。上記構成のフーリエ変換型分光計は、このレーザ光を前記位置測定用光源の前記所定の線幅を持つレーザ光とすることで、移動鏡の位置を検出するための一部の構成を、前記センターバーストの位置を検出するための構成の一部と兼用することができる。このため、上記構成のフーリエ変換型分光計は、より少ない回路構成で前記センターバーストの位置を検出することができる。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、前記位置測定用光源は、単色レーザ光を高周波重畳することによって前記所定の線幅を持つレーザ光を放射するレーザ装置である。
上記構成によれば、より簡易に前記所定の線幅を持つレーザ光を放射する位置測定用光源が構成される。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、前記位置測定用光源は、前記所定の線幅を持つレーザ光を放射する半導体レーザである。
上記構成によれば、より簡易に前記所定の線幅を持つレーザ光を放射する位置測定用光源が構成される。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、前記センターバースト位置検出部は、前記包絡線検波部で検波された包絡線の差分情報に基づいて前記包絡線検波部で検波された包絡線の極大値を与える位置を前記センターバーストの位置として検出する。
このような構成のフーリエ変換型分光計は、前記包絡線の極大値を与える位置をより精度よく検出することができ、仮に前記包絡線の変化が緩やかであるために前記包絡線の極大値が見分け難い場合であっても、前記包絡線の極大値を与える位置を検出することができる。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、前記検索部は、1回目の測定で前記取出部で取り出された所定範囲の出力とn回目(nは2以上の整数)の測定で前記取出部で取り出された所定範囲の出力とにおいて、相互相関の最大値を求めることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出す。
このような構成のフーリエ変換型分光計では、相互相関によって同じ光路差の測定データが見つけ出されるので、より正確に同じ光路差の測定データを見つけ出すことができる。このため、このような構成のフーリエ変換型分光計は、好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、前記検索部は、1回目の測定で前記取出部で取り出された所定範囲の出力とn回目(nは2以上の整数)の測定で前記取出部で取り出された所定範囲の出力とにおいて、測定点についての差の2乗の和における最小値を求めることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出す。
このような構成のフーリエ変換型分光計では、差の2乗の和によって同じ光路差の測定データが見つけ出されるので、より正確に同じ光路差の測定データを見つけ出すことができる。このため、このような構成のフーリエ変換型分光計は、好適に複数のインターフェログラムを積算することができる。
また、他の一態様では、これら上述のフーリエ変換型分光計において、前記検索部は、1回目の測定で前記取出部で取り出された所定範囲の出力とn回目(nは2以上の整数)の測定で前記取出部で取り出された所定範囲の出力とにおいて、測定点についての差の絶対値の和における最小値を求めることによって、同じ光路差の測定データを見つけ出す。
このような構成のフーリエ変換型分光計では、差の絶対値の和によって同じ光路差の測定データが見つけ出されるので、より簡易な情報処理で同じ光路差の測定データを見つけ出すことができる。
この出願は、2011年5月31日に出願された日本国特許出願特願2011−122352を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。