JP2014133411A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

積層体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014133411A
JP2014133411A JP2013255005A JP2013255005A JP2014133411A JP 2014133411 A JP2014133411 A JP 2014133411A JP 2013255005 A JP2013255005 A JP 2013255005A JP 2013255005 A JP2013255005 A JP 2013255005A JP 2014133411 A JP2014133411 A JP 2014133411A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
polyolefin resin
adhesive layer
component
laminate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013255005A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6356960B2 (ja
Inventor
Nobuyasu Okumura
暢康 奥村
Haruki Ofuji
晴樹 大藤
Takemasa Yoshino
剛正 吉野
Yoshito Shiba
賢人 志波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=51412072&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP2014133411(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2013255005A priority Critical patent/JP6356960B2/ja
Publication of JP2014133411A publication Critical patent/JP2014133411A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6356960B2 publication Critical patent/JP6356960B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】ポリプロピレンをシーラント樹脂として用いた場合でも、これを押出しラミネート法で積層してシーラント層を形成しても、シーラント層とバリア層が十分な接着力を有し、かつ耐内容物性にも優れる積層体と、その積層体を低コストで安定的に製造する方法とを提供すること。
【解決手段】アルミニウムを含有する基材、接着層、ポリプロピレンを含有するシーラント層がこの順に積層されてなる積層体であって、接着層が、オレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有し、重量平均分子量が15000〜120000であるポリオレフィン樹脂を含有する積層体と、その好ましい製法。
【選択図】なし

Description

本発明は、スナック菓子、冷凍食品、医薬品等における包装材料に好適な積層体に関するもので、詳しくは、ポリプロピレンから構成されるシーラント層を備えた包装材料とその好ましい製造方法とに関するものである。
包装材料の構造は、一般に複数の層を積層した積層体構造をなすものが多い。そして、積層体構造としては、アルミニウム箔等のバリア層の上に、接着層(プライマー層、アンカーコート層ともいう)を介して、オレフィン樹脂などからなるシーラント層を積層した構造が代表例としてあげられる。シーラント層には、一般にポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが適用されている。中でも特にポリプロピレン樹脂は、耐熱性、耐油性などに優れている。このため、ボイル・レトルト食品など加熱殺菌処理を伴う食品やスナック菓子など食用油を使用した商品などに適用される包装材料には、シーラント樹脂としてポリプロピレン樹脂が好ましく用いられている。
このような積層体を製造するには、例えば、基材の上に、塗工、乾燥により接着層を設けた後、予めフィルム化したシーラント樹脂フィルムを加熱ロールで加圧しながら接着層上に貼りあわせるドライラミネート法(ドライラミネーションともいう)、基材の上に、塗工、乾燥により接着層を設けた後、接着層上へ押出機から溶融したシーラント樹脂を押出し、シーラント層を形成する押出ラミネート法(押出ラミネーションともいう)などが採用されている。押出ラミネート法は、接着層が設けられた基材上にシーラント樹脂を直接的に溶融押出しすることでシーラント層を形成できるため、予めシーラント樹脂をフィルムに成形する必要がないという利点がある。このため、簡便であり、積層体を低コストで大量生産することが可能となり、当業者の間で好ましく採用されている。ただし、ポリプロピレン樹脂は接着性に難点があるため、これを用いて押出ラミネート法により積層体を得るには、製造条件についてさらなる検討が必要な状況にある。
さらに、積層体を包装材料として使用する場合、包装材料の中に、食品等の様々な内容物が充填されて使用される。その際に、内容物中に含まれる油や、薬効成分等の揮発性物質が、基材とシーラント層の間の接着層を膨潤化させたり、溶解させたりするため、バリア層とシーラント層の間の接着強度が経時的に低下したり、剥がれてしまう(デラミ)問題があった。
すなわち、ポリプロピレンからなるシーラント層を有する積層体で、安価に製造でき、かつ優れた耐内容物性を併せ持つ積層体が求められていた。
そこで、このような課題を解決するために、特許文献1において、2液のウレタン系接着剤を使用して接着性と耐内容物性とを付与する手段が提案されている。
他にも特許文献2にあるように、その製造過程でシーラント層をオゾン処理及びエージング処理する方法が提案されている。
特許文献3には、酸変性ポリオレフィンエラストマーからなる接着層を備えた積層体が記載されている。この積層体では、接着性に難点があるとされるポリプロピレン樹脂がシーラント樹脂に用いられており、優れた接着性を有する積層体が得られている。
特開平11−254595号公報 特許第2905328号公報 特開2012−71491号公報
しかしながら、特許文献1においては、シーラント樹脂がポリプロピレンの場合、接着性が不十分となり、接着性が不十分であることに伴い、十分な耐内容物性も得られていない。特許文献2の方法では、特殊な装置を使用し、工程が複雑になるためコスト的に不利となる問題が合った。さらに、接着性、耐内容物性ともに十分とはいえなかった。特許文献3においては耐内容物性については特に記載がなく、包装材料としての評価がなされていない。
本発明は、上記の従来技術の欠点を解消するものであり、特定組成の接着層を用いることにより、ポリプロピレンをシーラント樹脂として用いた場合でも、これを押出ラミネート法で積層してシーラント層を形成しても、シーラント層とバリア層が十分な接着力を有し、かつ耐内容物性にも優れる積層体と、その積層体を低コストで安定的に製造する方法とを提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、接着層に特定組成のオレフィン樹脂を適用することにより上記課題が解決できることを見出すとともに、さらに、接着層として用いる樹脂中に含まれる残存モノマー量が特定の範囲以下の場合、特に優れた耐内容物性を有することを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)アルミニウムを含有する基材、接着層、ポリプロピレンを含有するシーラント層がこの順に積層されてなる積層体であって、接着層が、オレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有し、重量平均分子量が15000〜120000であるポリオレフィン樹脂を含有することを特徴とする積層体。
(2)接着層に含まれるポリオレフィン樹脂において、不飽和カルボン酸モノマーの残存量が10000ppm以下であることを特徴とする(1)記載の積層体。
(3)プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)がブテン成分であることを特徴とする(1)または(2)記載の積層体。
(4)接着層の量が、0.001〜5g/m2の範囲にあることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載の積層体を用いた包装材料。
(6)溶融したシーラント樹脂を押出ラミネーションにより積層することを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の積層体の製造方法。
(7)押出ラミネーションに先立ち、アルミニウムを含有する基材の上に、オレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有し、重量平均分子量が15000〜120000であるポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を塗布、乾燥することにより接着層を形成することを特徴とする(6)記載の積層体の製造方法。
(8)水性分散体中のポリオレフィン樹脂において、不飽和カルボン酸モノマーの残存量が10000ppm以下であることを特徴とする(6)または(7)記載の積層体の製造方法。
(9)水性分散体中におけるポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径が、0.15μm以下であることを特徴とする(6)〜(8)いずれかに記載の積層体の製造方法。
本発明によれば、ポリプロピレンをシーラント樹脂として用いた場合でも、これを押出しラミネート法で積層してシーラント層を形成しても、シーラント層とバリア層が十分な接着力を有し、かつ耐内容物性にも優れる積層体が提供できる。このため、本発明の積層体は、包装材料に好適である。
さらに、本発明の製造方法によれば、このような積層体を低コストで安定的に製造することができる。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、アルミニウムを含有する基材、接着層、ポリプロピレンを含有するシーラント層がこの順に積層されてなる積層体である。
アルミニウムを含有する基材としては、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ二元蒸着などがあげられる。一般的に、アルミニウムを含有する基材は、包装材料にバリア性を付与することを目的として用いられる。通常、これらの層は、包装材料として要求される剛性や耐久性などを考慮して、必要に応じて、熱可塑性樹脂フィルム、合成紙、紙などの基材を伴って使用される。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、及びこれらの混合物などのポリエステル樹脂;ポリカプロンアミド(ナイロン6、以下Ny6と略す)、ポリへキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)、及びこれらの混合物などのポリアミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの混和物などのポリオレフィン樹脂などがあげられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましく、包装材料としたときの力学特性に優れるPET、Ny6が特に好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムは、通常公知の方法で製造されたものを用いることができ、無延伸フィルム又は延伸フィルムのどちらであっても構わないが、透明性や光沢性付与の点から一軸又は二軸延伸フィルムが好ましく、二軸延伸フィルムがより好ましい。フィルムの厚みは特に限定されず通常5〜500μmのものが用いられる。
また、熱可塑性樹脂フィルムは、接着性の向上のために、接着層に接する面が表面活性化処理されていることが好ましい。表面活性化処理としては、例えば、コロナ放電処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理、オゾン処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、薬品処理、溶剤処理などがあげられ、簡便さと接着効果のバランスからコロナ放電処理が好ましい。
一般的に、アルミニウムを含有する基材は、包装材料にバリア性を付与するために設けられる。中でも、安価である点からアルミニウム箔がより好ましい。アルミニウム箔の厚みは特に限定されないが、経済的な面から3〜50μmの範囲が好ましい。
本発明では、接着層が特定のポリオレフィン樹脂から構成されている。具体的には、オレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有し、重量平均分子量が15000〜120000であるポリオレフィン樹脂を使用する。本発明では、後述する水性分散体中における樹脂の分散粒子径を小さくする観点、及び塗膜とシーラント層との接着性を向上させる観点から、プロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)との質量比(A/B)は、60/40〜95/5の範囲にある必要があり、60/40〜80/20の範囲にあることが好ましい。プロピレン成分の割合が60質量%未満になると、シーラント層との接着性が低下し、95質量%を超えると、後述する水性分散体の分散粒子径が大きくなり、樹脂の水性分散化が困難となる。
プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)としては、エチレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ノルボルネン類等のアルケン類やブタジエンやイソプレン等のジエン類があげられる。中でも、樹脂の製造のし易さ、水性化のし易さ、各種材料に対する接着性、特にポリプロピレン製基材に対する接着性、ブロッキング性等の点から、ブテン成分(1−ブテン、イソブテンなど)が好適である。
上記のポリオレフィン樹脂において、各成分の共重合形態は限定されず、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等があげられるが、重合のし易さの点から、ランダム共重合されていることが好ましい。また、必要に応じて複数種のポリオレフィン樹脂を混合使用してもよい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂には、必要に応じて上記以外の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類並びにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二酸化硫黄、などがあげられ、これらの混合物を用いてもよい。
他の成分の含有量(質量比)としては、一般にポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下が好ましい。
本発明では、ポリオレフィン樹脂として市販のものを用いてもよい。一例として、三井化学社製のタフマーシリーズ、REXtac社製のAPAOシリーズ(非晶性ポリアルファオレフィン)、グライアント社製のリコセンPPシリーズ、エボニック・デグサ社製のベストプラストなどがあげられる。なお、市販のもので酸変性されていないポリオレフィン樹脂を用いる際には、別途公知の方法で不飽和カルボン酸単位を導入すればよい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂は、分散性の観点から、ポリオレフィン樹脂に含まれるオレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し、不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有している必要がある。好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部であり、さらに好ましくは1〜7質量部であり、最も好ましくは1.5〜5質量部である。不飽和カルボン酸単位が0.1質量%未満の場合は、ポリオレフィン樹脂を水性化することが困難となり、一方、15質量%を超える場合は、樹脂の水性化は容易になるが、シーラント層との接着性が低下し、ひいては耐内容物性も低下する。
不飽和カルボン酸単位としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、アコニット酸、無水アコニット酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、メサコン酸、アリルコハク酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等のように、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基を有する化合物も用いることができる。中でも未変性ポリオレフィン樹脂への導入のし易さの点から、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、無水マレイン酸がより好ましい。この点、本発明では、上述のようにプロピレン以外のオレフィン成分(B)としてブテン成分が好適であることから、ポリオレフィン樹脂として、ポリプロピレン/ブテン/無水マレイン酸三元共重合体が好ましく使用されるということになる。
不飽和カルボン酸単位は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されるものではない。例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等があげられる。なお、ポリオレフィン樹脂に導入された酸無水物単位は、乾燥状態では酸無水物構造を取りやすく、後述する塩基性化合物を含有する水性媒体中ではその一部又は全部が開環し、カルボン酸又はその塩となる傾向がある。
不飽和カルボン酸単位を未変性ポリオレフィン樹脂へ導入する方法は特に限定されないが、例えば、ラジカル発生剤存在下、未変性ポリオレフィン樹脂と不飽和カルボン酸とを未変性ポリオレフィン樹脂の融点以上に加熱溶融して反応させる方法や、未変性ポリオレフィン樹脂を有機溶剤に溶解させた後、ラジカル発生剤の存在下で加熱、攪拌して反応させる方法等により未変性ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸単位をグラフト共重合する方法があげられる。操作が簡便である点から前者の方法が好ましい。グラフト共重合に使用するラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジラウリルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、エチルエチルケトンパーオキシド、ジ−tert−ブチルジパーフタレート等の有機過酸化物類やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾニトリル類があげられる。これらは反応温度によって適宜、選択して使用すればよい。
本発明におけるポリオレフィン樹脂の重量平均分子量としては、15000〜120000であることが必要であり、20000〜100000であることがより好ましく、30000〜80000であることがさらに好ましい。重量平均分子量が15000未満になると、基材との接着性が低下し、所望の耐内容物性が得られない。一方、重量平均分子量が120000を超えると、後述する樹脂の水性化が困難となる。なお、樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてポリスチレン樹脂を標準として求めることができる。
本発明で使用するポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸モノマーの残存量が10000ppm以下であることが好ましい。1000ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下が更に好ましい。ポリオレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸モノマー残存量が多い場合、包装材料として長期間使用した時、耐内容物性に劣る。一方、ポリオレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸モノマー残存量が少ない場合、接着性や耐内容物性が良好となる傾向にある。
樹脂中の不飽和カルボン酸モノマーを除去する方法は特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン樹脂から減圧留去する方法、ポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解させて再沈殿により分離する方法、粉末やペレット状にした樹脂を水や有機溶媒中で洗浄する方法、ソックスレー抽出法などがあげられる。中でも、不飽和カルボン酸モノマーの除去効率の観点からポリオレフィン樹脂を溶媒に溶解させて再沈殿により分離する方法が好ましく、再沈殿により粉末状にした後、樹脂を水や有機溶媒中で洗浄することが好ましい。
本発明において、上記ポリオレフィン樹脂は、接着性や耐内容物性を良好にし、さらにシーラント層を積層しやすくするために、溶液又は分散体等の液状物として利用し、この液状物を基材上に塗布、乾燥して接着層を形成することが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂は、水性媒体中に分散された水性分散体として利用することがより好ましい。無論、本発明では、液状物に加工しないで、ホットメルトなどの手段により樹脂から直接的に接着層を形成してもよいが、液状物として使用することで、接着層の量の調整が容易となり、特に接着層の厚みを薄く制御することが可能となる。また、液状物の中でも水性分散体を使用することは、環境面や性能面からも好ましい。
ここで、水性分散体について説明する。
本発明における水性分散体では、上記のポリオレフィン樹脂が水性媒体中に分散もしくは溶解されている。ここで、水性媒体とは、水を主成分とする液体であり、後述する有機溶剤や塩基性化合物を含有していてもよい。
本発明において、水性分散体中に分散しているポリオレフィン樹脂粒子の粒子径は、重量平均粒子径が0.15μm以下であることが好ましい。さらに、低温造膜性の観点から重量平均粒子径は0.12μm以下が好ましく、0.10μm以下がより好ましく、0.001〜0.10μmがさらに好ましい。重量平均粒子径が0.15μmを超えると低温造膜性が悪化したり、緻密な塗膜が得られにくいことから、結果として積層体の接着性が不十分になる場合がある。
また、本発明では、ポリオレフィン樹脂の粒子径分布にかかる分散度が2.6以下であることが好ましい。特に塗膜の平滑性の観点から、分散度は2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましい。分散度が2.6を超えると、塗膜の平滑性、密着性が低下する傾向にある。なお、分散度とは、分散度=重量平均粒子径(mw)/数平均粒子径(mn)なる式に基づき算出されるものである。
水性分散体における樹脂含有率としては、製膜条件や塗膜の厚さ、性能等に応じて適宜選択でき、特に限定されるものでないが、水性分散体の粘性を適度に保ち、かつ良好な塗膜形成能を発現させる点で、1〜60質量%が好ましく、3〜55質量%がより好ましく、5〜50質量%がさらに好ましく、10〜45質量%が特に好ましい。
また、本発明における水性分散体は、不揮発性の水性化助剤を実質的に含有しないことが好ましい。本発明は、不揮発性水性化助剤の使用を排除するものではないが、水性化助剤を用いずとも、ポリオレフィン樹脂を重量平均粒子径0.15μm以下の範囲で水性媒体中に安定的に分散することができる。このため、かかる水性分散体を使用して低温乾燥により塗膜としても、耐水性や基材との接着性に優れるものが得られ、これらの性能は長期的にもほとんど変化しない。
ここで、「水性化助剤」とは、水性分散体の製造において、水性化促進や水性分散体の安定化の目的で添加される薬剤や化合物のことであり、「不揮発性」とは、常圧での沸点を有さないか、もしくは常圧で高沸点(例えば300℃以上)であることを指す。
「不揮発性水性化助剤を実質的に含有しない」とは、こうした助剤を製造時(樹脂の水性化時)に用いず、得られる分散体が結果的にこの助剤を含有しないことを意味する。したがって、こうした水性化助剤は、含有量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリオレフィン樹脂成分に対して0.5質量%未満程度含まれていても差し支えない。
本発明でいう不揮発性水性化助剤としては、例えば、後述する乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子などがあげられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤があげられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等があげられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等があげられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等があげられる。
保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類及びその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマー及びその塩、ポリイタコン酸及びその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物等があげられる。
他方、塩基性化合物としては、アンモニア、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、イソプロピルアミン、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、エチルアミン、ジエチルアミン、イソブチルアミン、ジプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、2−メトキシエチルアミン、3−メトキシプロピルアミン、2,2−ジメトキシエチルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピロール、ピリジン等をあげることができる。塩基性化合物の配合量は、ポリオレフィン樹脂中のカルボキシル基に対して0.5〜10倍当量であることが好ましく、0.8〜5倍当量がより好ましく、0.9〜3.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、10倍当量を超えると塗膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散体の安定性が低下する場合がある。
本発明においては、ポリオレフィン樹脂の水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、水性化の際に有機溶剤を配合することが好ましい。有機溶剤の含有量としては、水性媒体全体に対し50質量%以下が好ましく、1〜45質量%であることがより好ましく、2〜40質量%がさらに好ましく、3〜35質量%が特に好ましい。有機溶剤の含有量が50質量%を超える場合には、使用する有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。
有機溶剤としては、分散安定性良好な水性分散体を得るという点から、20℃の水に対する溶解性が10g/L以上のものが好ましく、20g/L以上がより好ましく、50g/L以上のものがさらに好ましい。
有機溶剤としては、製膜の過程で効率よく塗膜から除去させる観点から、沸点が150℃以下のものが好ましい。沸点が150℃を超える有機溶剤は、塗膜から乾燥により飛散させることが困難となる傾向にあり、特に塗膜の接着性や耐内容物性等が悪化する場合がある。好ましい有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル、1,2−ジメチルグリセリン、1,3−ジメチルグリセリン、トリメチルグリセリン等があげられる。本発明では、これらの有機溶剤を複数混合して使用してもよい。
上記の有機溶剤の中でも、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが樹脂の水性化促進により効果的であり、好ましい。
さらに、上記水性分散体の製造方法について、具体的に説明する。
本発明における水性分散体を得るための方法は特に限定されないが、既述の各成分、すなわち、ポリオレフィン樹脂、水性媒体、必要に応じて有機溶剤、塩基性化合物等を、密閉可能な容器中で加熱、攪拌する方法が採用でき、この方法が最も好ましい。
容器としては、固/液撹拌装置や乳化機として広く当業者に知られている装置を使用することができ、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用することが好ましい。撹拌の方法、撹拌の回転速度は特に限定されないが、樹脂が水性媒体中で浮遊状態となる程度の低速の撹拌でよい。したがって、高速撹拌(例えば1000rpm以上)は必須ではなく、簡便な装置でも水性分散体の製造が可能である。
例えば、上記の装置にポリオレフィン樹脂、水性媒体等の原料を投入し、好ましくは40℃以下の温度で攪拌混合しておく。次いで、槽内の温度を80〜240℃、好ましくは100〜220℃、さらに好ましくは110〜200℃、特に好ましくは100〜190℃の温度に保ちつつ、好ましくは粗大粒子が無くなるまで(例えば、5〜300分間)攪拌を続ける。その後、さらに系内に塩基性化合物、有機溶剤及び水から選ばれる少なくとも1種を加え、密閉容器中で再度80〜240℃の温度下で加熱、攪拌する。こうすることで、ポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径を0.15μm以下の範囲にすることができる。
このように2段階の工程によって樹脂を水性化することは、粒子径分布にかかる分散度を好ましい範囲に調整するうえでも好ましい。
なお、追加配合する塩基性化合物、有機溶剤又は水の割合は、所望する固形分濃度、粒子径、分散度等に応じて適宜決めればよい。塩基性化合物、有機溶剤又は水を追加配合する方法は特に限定されないが、ギヤポンプを用いて加圧下で配合する方法や、一旦系内温度を下げた後、開封して配合する方法などがある。追配合する塩基性化合物、有機溶剤又は水の総量は、配合した後の固形分濃度が1〜50質量%となるよう調整することが好ましく、2〜45質量%となる量がより好ましく、3〜40質量%となる量が特に好ましい。
上記工程において、槽内の温度が80℃未満になると、ポリオレフィン樹脂の水性化が進行し難くなる。一方、槽内の温度が240℃を超えると、ポリオレフィン樹脂の分子量が低下する恐れがある。
水性分散体の製造時に上記の有機溶剤を用いた場合には、樹脂の水性化の後に、その一部を、一般に「ストリッピング」と呼ばれる脱溶剤処理によって系外へ留去させ、有機溶剤の含有量を低減させてもよい。ストリッピングにより、水性分散体中の有機溶剤含有量は、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすれば、環境上好ましい。ストリッピングの工程では、水性化に使用した有機溶剤を実質的に全て留去することもできるが、装置の減圧度を高めたり、操業時間を長くしたりする必要があるため、こうした生産性を考慮した場合、有機溶剤含有量の下限は0.01質量%程度が好ましい。しかし、0.01質量%未満であっても、特に性能面での影響はなく、使用には何ら問題はない。
ストリッピングの方法としては、常圧又は減圧下で水性分散体を攪拌しながら加熱し、有機溶剤を留去する方法をあげることができる。また、水性媒体が留去されることにより、固形分濃度が高くなるため、例えば、粘度が上昇し作業性が悪くなるような場合には、予め水性分散体に水を添加しておいてもよい。
このようにして得られた水性分散体の固形分濃度の調整方法としては、例えば、所望の固形分濃度となるように水性媒体を留去したり、水により希釈したりする方法があげられる。
上記の製造方法を採用することで、ポリオレフィン樹脂が水性媒体中に効率よく分散又は溶解され、均一な液状に調製することが可能となる。ここで、均一な液状であるとは、外観上、水性分散体中に沈殿、相分離あるいは皮張りといった、固形分濃度が局部的に他の部分と相違する部分が見いだされない状態にあることをいう。
本発明における接着層の量は、接着面の面積に対して、0.001〜5g/m2の範囲とすることが好ましく、0.01〜3g/m2であることがより好ましく、0.02〜2g/m2であることがさらに好ましく、0.03〜1g/m2であることが特に好ましく、0.05〜1g/m2であることが最も好ましい。0.001g/m2未満では十分な接着性が得られない可能性があり、5g/m2を超える場合は経済的に不利となる。
本発明における接着層には、基材との接着性を向上させることなどを目的に、ポリオレフィン樹脂以外の他の重合体が少量含有されていてもよい。
他の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂成分があげられる。
これらの他の重合体は、接着層の効果、特にポリプロピレン樹脂層(シーラント層)との接着性を損ねない範囲で使用されることが好ましく、量としては、具体的に接着層全体の20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
なお、本発明における水性分散体には、さらに必要に応じて、粘着付与剤、無機粒子、架橋剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、増粘剤、耐候剤、難燃剤等の各種添加剤を配合することも可能である。
基材上に接着層を形成するための塗工方法としては、従来公知の方法が採用できる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などがあげられる、このような方法により、基材表面又は必要に応じて基材表面に設けられた下塗り層表面に水性分散体を均一に塗布することができる。そして、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供することにより、均一な接着層を基材上に形成することができる。
このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被塗布物である基材の特性や水性分散体中に任意に配合しうる前述の各種有機溶剤や添加剤の添加具合により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮し、加熱温度としては、30〜250℃が好ましく、60〜180℃がより好ましく、80〜150℃が特に好ましい。一方、加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、5秒〜10分が特に好ましい。
他方、本発明におけるシーラント層には、ポリプロピレンを含有するものが適用される。つまり、シーラント樹脂としてポリプロピレン樹脂を用いる。ポリプロピレン樹脂は、安価で耐熱性、耐油性に優れている。このため、ポリプロピレン樹脂を用いることで、ボイル・レトルト食品やスナック菓子などを包む包装材料に本発明の積層体を好ましく適用できるようになる。なお、ポリプロピレン樹脂は、共重合ポリプロピレン樹脂であってもよい。
シーラント層には、低温でのシール性を向上させるために、ポリエチレン系樹脂やオレフィンエラストマーなどが、本発明の効果を低減させない範囲で添加されていてもよい。この他にも、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、発泡剤などを任意で配合してもよい。
従来、ポリプロピレン樹脂は、既述のようにシーラント樹脂として優れた特性を持つ一方、これを使用して押出ラミネート法により、接着性、耐内容物性に優れた積層体を得ることは困難であった。しかし、本発明では、押出ラミネート法を用いた場合でも、接着性、耐内容物性に優れた積層体を得ることができる。
具体的には、シーラント層形成にあたりTダイからシーラント樹脂を溶融押出する際、Tダイから押出された樹脂温度を、好ましくは230〜300℃となるように設定する。特にポリプロピレンの熱分解を抑える観点から、樹脂温度は低温であることが望ましく、230〜270℃であることが好ましい。さらに、接着性が良好で熱分解を抑えるという観点からは、240〜260℃であることがより好ましい。
本発明では、このように接着層を介してポリプロピレン樹脂層(シーラント層)を積層する際、押出ラミネート法が好ましく採用されるが、押出ラミネート法以外の方法でも接着性よくポリプロピレン樹脂層を積層できるのであれば、別の方法を採用してもよい。押出ラミネート法以外の方法としては、例えば、接着層とポリプロピレン樹脂フィルムとを熱によってラミネートする方法(ドライラミネート法)などが採用できる。
本発明の積層体は、包装材料として用いられる場合は、通常、基材を外側、ポリプロピレン樹脂層を内側(内容物側)として使用される。また、本発明の積層体は、包装材料の用途もしくは包装材料として要求される他の性能などを考慮して、必要に応じて他の層を積層することもできる。具体的には、基材の外側又は内側にバリア層、合成紙、紙、その他の熱可塑性樹脂フィルムなどを、公知のポリウレタン系接着剤を使用して適宜積層すればよい。無論、他の層は印刷などの処理がされたものでもよい。
積層体のラミネート強度としては、引張り試験機でT型剥離試験を行った際に、例えば20℃、65%RHの雰囲気中、引張り強度200mm/分で行うことで評価することができる。ラミネート強度が1.5N/15mm以上であれば、包装材料としての使用に問題ないレベルであり好ましく、より好ましくは2.0N/15mm以上である。なお、ラミネート強度が高い場合には、測定時にシーラントフィルムに伸びや切れが発生して剥離が不可能で正確なラミネート強度を測定することができない場合がある。このような現象は非常に接着していることを示しており、ラミネート状態として最も好ましい状態といえる。
本発明の積層体を包装材料として製袋するときの形態としては、縦製袋充填シール袋、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、合掌袋、ピロー包装袋、ラミネートチューブ容器、輸液バッグ、カップ状容器や容器用蓋材、ゲーブルトップ型容器、ブリック型容器、スパウト付パウチ、スタンドアップパウチ、コンポジット缶など種々あり、最内層のポリプロピレン樹脂層にポリプロピレン樹脂製チャックを設けて、チャック付き包装袋としたり、内容物が見えるように窓付きとすることもできる。また、必要に応じて、上記袋に対しノッチ加工、コーナーカット、ミシン目、折り目などを付してもよい。
本発明の積層体は、様々な内容物に対して良好な耐性を有していることから、様々な内容物を包む包装材料として好適に使用することができる。具体的には、液体、粘調体、粉体、固形物、またはこれらを組み合わせなど、内容物の形状を特に限定せずに使用することが可能である。本発明の積層体は、特に食品向け包装材料として好適であり、例えばポテトチップス、クッキー、ビスケット、チョコスナック、せんべい、あられ、ポップコーンのようなスナック菓子類、お茶、かつお節、昆布粉末スープなどの乾燥物、ケチャップ、香辛料、ソース、醤油、酢、味噌、スープなどの調味料、冷凍食品やレトルト食品のような食品類、サラダ油、食用油、ごま油、オリーブオイル、マーガリン、バターなどの油脂類を内容物とする包装材料に好適である。この他、本発明の積層体は、農薬、防虫剤、殺虫剤、湿布材、歯磨き剤、錠剤のような医薬(部外)品、芳香剤、香料、入浴剤、化粧品、トイレタリー製品、界面活性剤、シャンプー、リンス、消臭剤、洗剤のようなアメニティー用品類、雑貨品、二次電池、電解液、電子部品、IC、機械部品のような産業部材などを内容物とする包装材料にも無論好適である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、各種の特性は以下の方法により測定又は評価した。
1.ポリオレフィン樹脂
(1)不飽和カルボン酸単位の含有量
赤外吸収スペクトル分析(Perkin Elmer System−2000 フーリエ変換赤外分光光度計、分解能4cm-1)により求めた。
(2)不飽和カルボン酸単位以外の樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法に基づき測定した。
(3)樹脂の重量平均分子量
重量平均分子量は、GPC装置(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1ml/min、40℃の条件で測定した。約10mgの樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作製した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合はオルトジクロロベンゼンで溶解した。
(4)未反応無水マレイン酸残存量
ポリオレフィン樹脂ペレット約0.05gを精秤し、20mlのメタノールを抽出溶媒とし、連続転倒混和により室温で21時間抽出を行った。この抽出液をディスクフィルター(孔径0.45μm)で濾過した濾液について、高速液体クロマトグラフィー(Hewlett Packard社製 HP1100、カラムはWaters社製 Puresil 5μ C18 120Å φ4.6mm×250mm(40℃))にて定量した。
未反応無水マレイン酸残存量が1000ppm未満の場合、ポリオレフィン樹脂ペレット量を0.5gに変更して同様に定量した。
検量線は、濃度既知の未反応無水マレイン酸標準サンプルを用いて作成した。
2.水性分散体
(1)ポリオレフィン樹脂粒子の数平均粒子径及び重量平均粒子径
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用いて、数平均粒子径(mn)及び重量平均粒子径(mw)を測定した。なお、樹脂の屈折率は1.5とした。
3.塗膜
(1)接着層の量(塗布量)
あらかじめ面積と質量を計測した基材にポリオレフィン樹脂を含む水性分散体を塗布し、100℃で1分間、乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗布前の基材の質量を差し引くことにより塗布量を求めた。塗布量と塗布面積とから単位面積当りの層量(g/m2)を算出した。
4.積層体
(1)ラミネート強度
ラミネートフィルム(積層体)から幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、T型剥離により試験片の端部からバリア層とシーラント層との界面を剥離して強度を測定した。測定は20℃、65%RHの雰囲気中、引張速度200mm/分で行った。ラミネート強度が1.5N/15mm以上の範囲にあると、包装材料としての使用に問題のないレベルであり、好ましい。なお、ラミネート強度が高い場合には、測定時にシーラントフィルムに伸び、切れなどが発生して剥離が不可能となることがあるが、このような現象はラミネート状態として最も好ましい状態であるといえる。
(2)耐内容物性
10cm角の積層体を2枚用い、積層体のシーラント層を内側として、内容物として下記に示すものを5g充填し、シール幅1cmで積層体の四方をヒートシールして包装材を作製した。これを40℃で保存した。1ヶ月および2ヶ月経過後、密封した包装材を開封し、前記(1)と同様にして、包装材の積層体から試験片を採取して、ラミネート強度を測定した。
試験に用いた内容物を以下に示す。
サラダ油(日清オイリオ社製「日清サラダ油(商品名)」)
ラー油(エスビー食品社製「ラー油(唐辛子入り)(商品名)」
エタノール(和光純薬工業社製)
タバスコ(登録商標)
(製造例1:ポリオレフィン樹脂P−1の製造)
プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/ブテン=80/20)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸25.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させることにより、ポリオレフィン樹脂P−1を得た。得られた樹脂の特性を表1に示す。
(ポリオレフィン樹脂P−2、P−6、P−7の製造)
プロピレン/ブテンの質量比をプロピレン/ブテン=65/35(P−2)、97/3(P−6)、50/50(P−7)にそれぞれ変更した以外は、製造例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂P−2、P−6及びP−7を得た。
(ポリオレフィン樹脂P−3の製造)
プロピレン−ブテン共重合体に代えて、プロピレン−エチレン共重合体(質量比:プロピレン/エチレン=92/8)を用いた以外は、製造例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂P−3を得た。
(ポリオレフィン樹脂P−4の製造)
無水マレイン酸の添加量を25.0gに代えて15.0gとすること、並びにジクミルパーオキサイドの添加量を6.0gに代えて4.0gとすること以外は、製造例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂P−4を得た。
(ポリオレフィン樹脂P−5の製造)
無水マレイン酸の添加量を25.0gに代えて30.0gとすること、並びにジクミルパーオキサイドの添加量を6.0gに代えて2.0gとすること以外は、製造例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂P−5を得た。
(ポリオレフィン樹脂P−8の製造)
無水マレイン酸の添加量を25.0gに代えて3.0gとすること、並びにジクミルパーオキサイドの添加量を6.0gに代えて2.0gとすること以外は、製造例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂P−8を得た。
(ポリオレフィン樹脂P−9の製造)
ジクミルパーオキサイドの添加量を6.0gに代えて15.0gとすること以外は、製造例1と同様の方法でポリオレフィン樹脂P−9を得た。
(製造例2:ポリオレフィン樹脂P―10の製造)
プロピレン―ブテン共重合体(質量比:プロピレン/ブテン=80/20)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って撹拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド56.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂を更に撹拌したアセトン中で1回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥してポリオレフィン樹脂P−10を得た。
(ポリオレフィン樹脂P−11の製造)
製造例2において、プロピレン―ブテン共重合体(質量比:プロピレン/ブテン=65/35)を用いた以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P-11を得た。
(ポリオレフィン樹脂P−12の製造)
製造例2においてアセトンでの洗浄工程を3回行った以外は、同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P-12を得た。
(ポリオレフィン樹脂P−13の製造)
製造例2において、洗浄工程において、トリエチルアミン:アセトン=1:4(質量比)の混合溶液を用いた以外は同様の操作を行って、ポリオレフィン樹脂P−13を得た。
以上で得られたポリオレフィン樹脂P−2〜P−13の特性を表1に示す。
(調製例1)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのポリオレフィン樹脂(P−1)、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル(和光純薬社製)、8.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン及び137.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて内温が80℃になるまで冷却し、開封して、45.0gのテトラヒドロフラン(和光純薬社製)、5.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン及び30.0gの蒸留水を添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の水性分散体E−1を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。水性分散体の特性を表2に示す。
(調製例2〜13)
ポリオレフィン樹脂としてP−2〜P−13を用いた以外は、調製例1と同様の方法で水性分散体E−2〜E−13を得た。なお、P−8を用いた調製例8(E−8)では、安定した分散体を得ることができなかった。
以上で得られた水性分散体E−2〜E〜13の特性を表2に示す。
(実施例1)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製、エンブレットS−12)を使用し、グラビアコート機を用いてポリエステル樹脂フィルムのコロナ面に二液硬化型のポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製)を乾燥後の塗布量が5g/m2になるように塗布、乾燥し、バリア層として厚み7μmのアルミニウム箔を貼り合わせた基材を得た。
次いで、基材のアルミニウム箔面に上記樹脂水性分散体E−1を乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させて接着層を形成させた。
次いで、押出機を備えたラミネート装置を用いて、接着層表面にシーラント樹脂としてポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ノバテックPP「FL02A」)を溶融押出して、35μmのポリプロピレン層からなるシーラント層が形成された積層体を得た。このとき、Tダイから押出されたシーラント樹脂の温度は240℃であった。得られた積層体の特性を表3に示す。
(実施例2〜5、比較例1〜3)
水性分散体E−1に代えて、水性分散体E−2(実施例2)、水性分散体E−3(実施例3)、水性分散体E−4(実施例4)、水性分散体E−5(実施例5)、水性分散体E−6(比較例1)、水性分散体E−7(比較例2)、水性分散体E−9(比較例3)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
(実施例6、7)
接着層の乾燥後の塗布量が0.1g/m2(実施例6)、1.0g/m2(実施例7)になるようにE−1をそれぞれ塗布した以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
(実施例8)
アルミニウム箔を貼り合わせた基材に代えてアルミニウム蒸着フィルム(三井化学東セロ社製、メタライン「ML−PET」)を用い、アルミニウム蒸着面に接着層を形成させた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
(実施例9)
アルミニウム箔を貼り合わせた基材に代えてアルミナ蒸着フィルム(凸版印刷社製、GL−AE)を用い、アルミナ蒸着面に接着層を形成させた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
(実施例10〜13)
水性分散体E−1に代えて、水性分散体E−10(実施例10)、水性分散体E−11(実施例11)、水性分散体E−12(実施例12)、水性分散体E−13(実施例13)をそれぞれ用いた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
(実施例14)
接着層の乾燥後の塗布量が0.1g/m2(実施例14)になるようにE−13をそれぞれ塗布した以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
(実施例15、16)
水性分散体E−1に代えて、水性分散体E−10(実施例15)、水性分散体E−13(実施例16)をそれぞれ用い、アルミニウム箔を貼り合わせた基材に代えてアルミニウム蒸着フィルム(三井化学東セロ社製、メタライン「ML−PET」)を用い、アルミニウム蒸着面に接着層を形成させた以外は、実施例1と同様の方法で積層体を得た。
以上、実施例2〜16及び比較例1〜3にかかる積層体の特性を表3に示す。
実施例1〜9で得られた積層体は、接着層が特定組成のポリオレフィン樹脂から構成されているため、優れたラミネート強度及び優れた耐内容物性を有するものであった。また、重量平均分子量が大きくなるにつれ、耐内容物性にかかる試験前後を比較してラミネート強度が低下し難い傾向にあった。さらに、実施例10〜16で得られた、接着層に未反応の無水マレイン酸の残存量が少ないポリオレフィン樹脂を用いた積層体は、耐内容物性にかかる試験前後を比較してラミネート強度がさらに低下し難い傾向を示し、より耐内容物性に優れたものであった。
一方、接着層に本発明で規定する以外の樹脂を用いた場合、つまり、プロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)との質量比(A/B)が所定範囲を満足しないポリオレフィン樹脂を用いた場合(比較例1、比較例2)、十分なラミネート強度を持つ積層体を得ることができなかった。また、重量平均分子量が15000未満のポリオレフィン樹脂を用いた場合(比較例3)、初期のラミネート強度が良好な積層体は得られるものの、耐内容物性に劣り、包装材料用の積層体としては好ましいものではなかった。





Claims (9)

  1. アルミニウムを含有する基材、接着層、ポリプロピレンを含有するシーラント層がこの順に積層されてなる積層体であって、接着層が、オレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有し、重量平均分子量が15000〜120000であるポリオレフィン樹脂を含有することを特徴とする積層体。
  2. 接着層に含まれるポリオレフィン樹脂において、不飽和カルボン酸モノマーの残存量が10000ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. プロピレン成分以外のオレフィン成分(B)がブテン成分であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層体。
  4. 接着層の量が、0.001〜5g/m2の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の積層体。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の積層体を用いた包装材料。
  6. アルミニウムを含有する基材上に設けた接着層の上に、溶融したシーラント樹脂を押出ラミネーションにより積層することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の積層体の製造方法。
  7. 押出ラミネーションに先立ち、アルミニウムを含有する基材の上に、オレフィン成分としてプロピレン成分(A)とプロピレン成分以外のオレフィン成分(B)とを質量比(A/B)60/40〜95/5の範囲で含有すると共に、オレフィン成分の総量100質量部(A+B)に対し不飽和カルボン酸単位を0.1〜15質量部含有し、重量平均分子量が15000〜120000であるポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体を塗布、乾燥することにより接着層を形成することを特徴とする請求項6記載の積層体の製造方法。
  8. 水性分散体中のポリオレフィン樹脂において、不飽和カルボン酸モノマーの残存量が10000ppm以下であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の積層体の製造方法。
  9. 水性分散体中におけるポリオレフィン樹脂の重量平均粒子径が、0.15μm以下であることを特徴とする請求項6〜8いずれかに記載の積層体の製造方法。
JP2013255005A 2012-12-11 2013-12-10 積層体及びその製造方法 Active JP6356960B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013255005A JP6356960B2 (ja) 2012-12-11 2013-12-10 積層体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012270426 2012-12-11
JP2012270426 2012-12-11
JP2013255005A JP6356960B2 (ja) 2012-12-11 2013-12-10 積層体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014133411A true JP2014133411A (ja) 2014-07-24
JP6356960B2 JP6356960B2 (ja) 2018-07-11

Family

ID=51412072

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013255005A Active JP6356960B2 (ja) 2012-12-11 2013-12-10 積層体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6356960B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015083721A1 (ja) * 2013-12-04 2015-06-11 ユニチカ株式会社 ポリオレフィン樹脂水性分散体
JP2015163688A (ja) * 2014-01-31 2015-09-10 ユニチカ株式会社 ポリプロピレン樹脂押出しラミネート用アンカーコート剤、包装材料およびその製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001229886A (ja) * 2000-02-16 2001-08-24 Dainippon Printing Co Ltd ポリマー電池用包装材料およびその製造方法
WO2004104090A1 (ja) * 2003-05-22 2004-12-02 Unitika Ltd. ポリオレフィン樹脂水性分散体、その製造方法およびこれを用いた水性塗料
JP2006007563A (ja) * 2004-06-25 2006-01-12 Toppan Printing Co Ltd 積層体および包装材料
JP2011256339A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Sanyo Chem Ind Ltd 金属ラミネート用接着剤
JP2012071491A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Unitika Ltd 積層体およびその製造方法
JP2012087285A (ja) * 2010-09-21 2012-05-10 Unitika Ltd 脱酸素塗剤、脱酸素剤含有塗膜及び積層体

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001229886A (ja) * 2000-02-16 2001-08-24 Dainippon Printing Co Ltd ポリマー電池用包装材料およびその製造方法
WO2004104090A1 (ja) * 2003-05-22 2004-12-02 Unitika Ltd. ポリオレフィン樹脂水性分散体、その製造方法およびこれを用いた水性塗料
JP2006007563A (ja) * 2004-06-25 2006-01-12 Toppan Printing Co Ltd 積層体および包装材料
JP2011256339A (ja) * 2010-06-11 2011-12-22 Sanyo Chem Ind Ltd 金属ラミネート用接着剤
JP2012087285A (ja) * 2010-09-21 2012-05-10 Unitika Ltd 脱酸素塗剤、脱酸素剤含有塗膜及び積層体
JP2012071491A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Unitika Ltd 積層体およびその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015083721A1 (ja) * 2013-12-04 2015-06-11 ユニチカ株式会社 ポリオレフィン樹脂水性分散体
US10072143B2 (en) 2013-12-04 2018-09-11 Unitika Ltd. Aqueous polyolefin resin dispersion
JP2019070144A (ja) * 2013-12-04 2019-05-09 ユニチカ株式会社 接着剤
JP2015163688A (ja) * 2014-01-31 2015-09-10 ユニチカ株式会社 ポリプロピレン樹脂押出しラミネート用アンカーコート剤、包装材料およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6356960B2 (ja) 2018-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6868309B2 (ja) 積層体及びその製造方法
JP6628718B2 (ja) 水性分散体および積層体
AU2005207968B2 (en) Compositions of ethylene/vinyl acetate copolymers for heat-sealable easy opening packaging
JP5068700B2 (ja) 包装材料
JP5371082B2 (ja) 包装材料
JP7037805B2 (ja) コート液、積層体および包装材料
JP6131570B2 (ja) ガスバリア用コーティング液、その製造方法、ガスバリア性積層体の製造方法、包装材料の製造方法および加熱殺菌用包装材料の製造方法
JP6869540B2 (ja) 包装材料用接着剤、包装材料及び包装材料の製造方法
JP6838440B2 (ja) 多層延伸フィルム用プロピレン系樹脂組成物
JP2015163688A (ja) ポリプロピレン樹脂押出しラミネート用アンカーコート剤、包装材料およびその製造方法
JP2016028133A (ja) ポリオレフィン樹脂水性分散体、および包装材料
JP2008214414A (ja) 変性ポリオレフィン分散樹脂組成物およびそれを含有するプライマー
JP6356960B2 (ja) 積層体及びその製造方法
JP2005125693A (ja) ガスバリア性積層フィルム
TW200424062A (en) Gas barrier laminated film and a process for producing same
JP3985566B2 (ja) 押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物、及びそれを用いた積層体、並びに積層体の製造方法
JP2016047647A (ja) 積層フィルム
JP2020100772A (ja) 水系コート剤、塗膜、および積層体
JP2014069516A (ja) 積層体及びその製造方法
JP7297736B2 (ja) 変性ポリオレフィン樹脂及びその用途
JP4009773B2 (ja) 押出ラミネート用エチレン系樹脂組成物、及びそれを用いた積層体、並びに積層体の製造方法
JP4270791B2 (ja) 合成紙用水性接着剤及び積層体
JP2012201043A (ja) 積層体およびその製造方法
JP3760860B2 (ja) 共重合体およびその用途
JP2004299173A (ja) ガスバリア性積層フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170926

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20171121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180529

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180615

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6356960

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R157 Certificate of patent or utility model (correction)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R157