JP2014069516A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基材とポリプロピレン樹脂層(シーラント層)とが優れた接着力で積層されかつ安全性も十分確保された、特に食品向け包装材料として好適な積層体と、その積層体を簡便かつ低コストで製造する方法とを提供すること。
【解決手段】基材、プライマー層、接着層、ポリプロピレン樹脂層がこの順に積層されてなる積層体であって、プライマー層が酸変性ポリオレフィンを含有し、接着層が酸変性されていないオレフィンエラストマーを含有する積層体。本発明では、上記オレフィンエラストマーとして、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー、プロピレン・α−オレフィン共重合体エラストマーが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】基材、プライマー層、接着層、ポリプロピレン樹脂層がこの順に積層されてなる積層体であって、プライマー層が酸変性ポリオレフィンを含有し、接着層が酸変性されていないオレフィンエラストマーを含有する積層体。本発明では、上記オレフィンエラストマーとして、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー、プロピレン・α−オレフィン共重合体エラストマーが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、食品包装に好適な積層体及びその製法に関するものである。
包装材料の構造は、一般に複数の層を積層した積層体構造をなすものが多い。そして、積層体構造としては、アルミニウム箔、ポリエステル樹脂フィルム、ナイロン樹脂フィルムなどの基材の上に、接着層(プライマー層、アンカーコート層ともいう)を介してシーラント層を積層した構造が代表例としてあげられる。シーラント層には、一般にポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが適用されている。中でも特にポリプロピレン樹脂は、耐熱性、耐油性などに優れている。このため、ボイル・レトルト食品など過熱殺菌処理を伴う食品、もしくはスナック菓子など食用油を使用した食品などに適用される包装材料には、シーラント樹脂としてポリプロピレン樹脂が好ましく用いられている。
このような積層体を製造するには、例えば、各種基材の上にコーティング、乾燥により接着層を設けた後、予めフィルム化したシーラント樹脂フィルムを加熱ロールで加圧しながら接着層上に貼りあわせるドライラミネート法(ドライラミネーションともいう)、各種基材の上にコーティング、乾燥により接着層を設けた後、接着層上へ押出機から溶融したシーラント樹脂を押出し、シーラント層を形成する押出ラミネート法(押出ラミネーションともいう)などが採用されている。押出ラミネート法は、接着層が設けられた基材上にシーラント樹脂を直接的に溶融押出しすることでシーラント層を形成できるため、予めシーラント樹脂をフィルムに成形する必要がないという利点がある。このため、簡便であり、積層体を低コストで大量生産することが可能となり、当業者の間で好ましく採用されている。ただし、ポリプロピレン樹脂は接着性に難点があるため、これを用いて押出ラミネート法により積層体を得るには、製造条件についてさらなる検討が必要な状況にある。
上記のような積層体を包装材料に適用した例として、特許文献1に、ポリオレフィン樹脂とポリウレタン樹脂とからなる接着層を備えた積層体が記載されている。この積層体は、様々な内容物に対し優れた耐性を発揮することから、包装材料として好適に使用できるものである。
また、特許文献2には、基材の上に直接的にシーラント層を設けた積層体が記載されている。
引用文献3には、酸変性ポリオレフィンエラストマーからなる接着層を備えた積層体が記載されている。この積層体では、接着性に難点があるとされるポリプロピレン樹脂がシーラント樹脂に用いられているが、シーラント層と基材との接着性は非常に優れている。このため、同積層体は、包装材料をはじめ様々な用途に使用することができる。
特許文献1では、包装材料について、例えば、医薬品、入浴剤、芳香剤といった薬効成分、芳香成分などを含有する内容物に対し優れた耐性を発揮することが実証されているが、内容物が食品である場合にも同様の耐性を示すかどうかについては、特に記載がない。同様に、特許文献3においても、積層体が食品向け包装材料として使用できるかについては、特に記載がない。
さらに、特許文献2記載の積層体は、その製造過程で、シーラント層を特定条件下でオゾン処理すると共に特定時間エージング処理しなければならないものである。このため、工程が複雑となりコスト的に不利となる問題がある。さらに、同積層体は、接着層を有しておらず、基材とシーラント層との界面において十分な耐熱性、耐油性が得られない。加えて、ポリプロピレン樹脂をシーラント樹脂に使用した場合、十分な接着性も得られない。したがって、同積層体には、特にボイル・レトルト食品やスナック菓子などを内容物とする包装材料に適用し難いという問題がある。
接着性に難点のあるポリプロピレン樹脂をシーラント樹脂として用いる場合、通常、接着層の接着力を高める観点から、特許文献3に記載があるように、接着層を構成する樹脂(接着樹脂)を別途酸変性したうえで用いることが多い。しかし、接着樹脂の酸変性には多くの場合、ラジカル開始剤が用いられ、ラジカル開始剤や未反応の酸変性成分が樹脂中に残留する場合がある。すると、積層体を包装材料として使用した場合、ラジカル開始剤や未反応の酸変性成分がブリードアウト(溶出)することがあり、結果として、これらが内容物に付着することがある。このとき、内容物が食品であると、食品を通じてラジカル開始剤が人体に取り込まれ易くなる。特にラジカル開始剤として有機過酸化物を使用したときに、誤ってこれを摂取しまうことは、健康上好ましいとはいえない。
このような点に鑑みれば、接着樹脂を酸変性しないで用いればよいと考えられるが、酸変性を省略すると基材との接着性が十分でなく、結果、十分な接着力を有した積層体を得ることができない。以上から、基材を備えた積層体にかかる分野において、ポリプロピレン樹脂に対する接着性と高い安全性とを両立し得る技術は、未だ見出されていないのが実情である。
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するものであり、基材とポリプロピレン樹脂層(シーラント層)とが優れた接着力で積層されかつ安全性も十分確保された、特に食品向け包装材料として好適な積層体と、その積層体を簡便かつ低コストで製造する方法とを提供することを、技術的課題とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するため、接着性に難点のあるポリプロピレン樹脂に対し酸変性しなくても優れた接着性を示しかつ安全性の高い接着樹脂について、種々検討したところ、オレフィンエラストマーが有効であることを見出した。しかしながら、酸変性されていないオレフィンエラストマーを用いた場合、基材との接着性が不十分であり、包装材料として満足する積層体を得ることはできない。そこで、鋭意検討した結果、基材とオレフィンエラストマーを含む接着層との間に酸変性ポリオレフィンを使用したプライマー層を設けることにより、基材と接着層とを接着性よく貼り合わせることができ、積層体全体として接着性に優れるものが得られることを見出した。さらに、そのような積層体は、押出ラミネート法に準じた方法により効率的に製造できることも併せて見出した。これにより本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
(1)基材、プライマー層、接着層、ポリプロピレン樹脂層がこの順に積層されてなる積層体であって、プライマー層が酸変性ポリオレフィンを含有し、接着層が酸変性されていないオレフィンエラストマーを含有することを特徴とする積層体。
(2)酸変性されていないオレフィンエラストマーが、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー及びプロピレン・α−オレフィン共重合体エラストマーの少なくとも一方を含有することを特徴とする(1)記載の積層体。
(3)基材がアルミニウムを含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の積層体。
(4)基材が熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする(1)又は(2)記載の積層体。
(5)熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂フィルム及びポリアミド樹脂フィルムのいずれかであることを特徴とする(4)記載の積層体。
(6)食品包装用途に使用されることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の積層体。
(7)基材、プライマー層、接着層がこの順に積層された積層体の前記接着層の上に、溶融したポリプロピレン樹脂を押出しラミネーションによって積層することを特徴とする(1)記載の積層体の製造方法。
(1)基材、プライマー層、接着層、ポリプロピレン樹脂層がこの順に積層されてなる積層体であって、プライマー層が酸変性ポリオレフィンを含有し、接着層が酸変性されていないオレフィンエラストマーを含有することを特徴とする積層体。
(2)酸変性されていないオレフィンエラストマーが、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー及びプロピレン・α−オレフィン共重合体エラストマーの少なくとも一方を含有することを特徴とする(1)記載の積層体。
(3)基材がアルミニウムを含有することを特徴とする(1)又は(2)記載の積層体。
(4)基材が熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする(1)又は(2)記載の積層体。
(5)熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂フィルム及びポリアミド樹脂フィルムのいずれかであることを特徴とする(4)記載の積層体。
(6)食品包装用途に使用されることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の積層体。
(7)基材、プライマー層、接着層がこの順に積層された積層体の前記接着層の上に、溶融したポリプロピレン樹脂を押出しラミネーションによって積層することを特徴とする(1)記載の積層体の製造方法。
本発明の積層体は、酸変性されていないオレフィンエラストマーを含有する接着層を備えるものであり、安全性が十分に確保されている。さらに、本発明では、接着層の基材に対する接着力を補強するべく、特定組成のプライマー層が設けられている。このため、基材・接着層間が優れた接着力で積層され、ひいては積層体全体として接着性が十分に確保されている。
したがって、本発明の積層体は、内容物を問わず広く包装材料として使用することができ、中でも食品向け包装材料として好適に使用できる。
そして、本発明の積層体は、押出ラミネート法に準じた方法により効率的に製造できるため、製造コストの点でも有利である。
本発明の積層体は、基材、プライマー層、接着層、ポリプロピレン樹脂層がこの順に積層されてなる積層体である。プライマー層、接着層の順序を逆にすると、積層体において所望の接着性が得られない。
積層体を構成する基材は、特に限定されるものではないが、包装材料として、一般的に使用されるバリア性を有した基材や、熱可塑性樹脂フィルムなどが使用できる。
バリア性を有した基材(バリア性基材)としては、アルミニウム箔などの軟質金属箔や、アルミ蒸着、シリカ蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ二元蒸着などの蒸着層があげられる。特に、アルミニウムを含有するものが好ましい。本発明では、アルミニウム箔などのような基材を後述する熱可塑性樹脂フィルムの上に積層し、これをバリア性基材として用いることもできる。アルミニウム箔を積層するには、水酸基やカルボキシル基を有する主剤とイソシアネート化合物とを混合した二液混合型接着剤のような、公知の接着剤を使用すればよい。
また、塩化ビニリデン系樹脂、変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロンなどからなる有機バリア層も使用できる。これらの基材は、後述する熱可塑性樹脂フィルムなどの基材を伴って使用されることが多い。
蒸着層を有する基材としては、市販の蒸着フィルムを使用することが簡便である。そのような蒸着層を有するフィルムとしては、大日本印刷社製の「IBシリーズ」、凸版印刷社製の「GL、GXシリーズ」、東レフィルム加工社製の「バリアロックス」、VM−PET、YM−CPP、VM−OPP、三菱樹脂製の「テックバリア」、東セロ社製の「メタライン」、尾池工業社製の「MOS」、「テトライト」、「ビーブライト」、中井工業社製の「メタライト」、「ケミライト」などがあげられる。なお、蒸着層の上に保護コート層が積層されていてもよい。
有機バリア層を形成するには、バリア性を有する樹脂を含む塗剤を基材フィルムにコーティングする方法、前記樹脂を共押し出し法により積層する方法などがある。ただ、これも市販の有機バリア層を有するフィルムを使用する方法が簡便である。そのような有機バリア層を有するフィルムとしては、クラレ社製の「クラリスタ」、「エバール」、呉羽化学工業社製の「ベセーラ」、三菱樹脂社製の「スーパーニール」、興人社製の「コーバリア」、ユニチカ社製の「セービックス(登録商標)」、「エンブロンM」、「エンブロンE」、「エンブレムDC」、「エンブレットDC」、「NV」、東セロ社製の「K−OP」、「A−OP」、ダイセル社製の「セネシ」などが例示できる。
本発明では、基材として熱可塑性樹脂フィルムも好ましく使用できる。この場合、種々の熱可塑性樹脂を原料として製造されたものを用いることができる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、及びこれらの混合物などのポリエステル樹脂;ポリカプロンアミド(ナイロン6、以下Ny6と略す)、ポリへキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)、及びこれらの混合物などのポリアミド樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらの混和物などのポリオレフィン樹脂などがあげられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましく、包装材料としたときの力学特性に優れるPET、Ny6が特に好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムは、通常公知の方法で製造されたものを用いることができ、無延伸フィルム又は延伸フィルムのどちらであっても構わないが、透明性や光沢性付与の点から一軸又は二軸延伸フィルムが好ましく、二軸延伸フィルムがより好ましい。フィルムの厚みは特に限定されず通常5〜500μmのものが用いられる。
また、熱可塑性樹脂フィルムは、接着性の向上のために、接着層に接する面が表面活性化処理されていることが好ましい。表面活性化処理としては、例えば、コロナ放電処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理、オゾン処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、薬品処理、溶剤処理などがあげられ、簡便さと接着効果のバランスからコロナ放電処理が好ましい。
本発明におけるプライマー層には、酸変性ポリオレフィン樹脂が含有されている。酸変性ポリオレフィン樹脂を用いることにより、基材と接着層との接着性を高めることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂の主成分たるオレフィン成分としては、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブチレン、2−ブテン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどの炭素数2〜6のアルケンが好ましく、これらの混合物を用いてもよい。
中でも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンなどの炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましい。
中でも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテンなどの炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、エチレン、プロピレンがさらに好ましい。
本発明における酸変性ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸成分により酸変性されている。不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などの他、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドなども使用できる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などがあげられる。中でも、ポリオレフィン樹脂の重合時に同時に酸変性成分を重合させた、ランダム共重合、ブロック共重合であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸成分の含有量としては、基材と接着層との接着性の関係から、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜8質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましく、2〜4質量%であることが最も好ましい。不飽和カルボン酸成分の含有量が0.1質量%未満の場合は、基材との接着性が低下する傾向があり、10質量%を超える場合は、接着層との接着性が低下する傾向がある。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂は、基材と接着層との間で十分な接着性を得るために、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物があげられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどがあげられる。これらの混合物を用いてもよい。中でも、入手の容易さと接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルが好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
酸変性ポリオレフィン樹脂における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量としては、基材との接着性の観点から、0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、2〜18質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが特に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が0.1質量%未満の場合は、基材との接着性が低下する傾向にあり、25質量%を超える場合は、接着層との接着性が悪化する場合がある。また、(メタ)アクリル酸エステル成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、共重合の状態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合(グラフト変性)などがあげられる。中でも、ポリオレフィン樹脂の重合時に同時に(メタ)アクリル酸エステル成分を重合させた、ランダム共重合、ブロック共重合であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸、ブテン−無水マレイン酸などがあげられ、中でもエチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体が最も好ましい。共重合体の形態はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれでもよいが、入手が容易という点で、ランダム共重合体、グラフト共重合体が好ましく、ランダム共重合体が特に好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、分子量が高くなるほど、得られる包装材料の耐内容物性が向上する傾向にある。したがって、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートとしては、300g/10分以下が好ましく、100g/10分以下がより好ましく、0.001〜50g/10分がさらに好ましく、0.01〜10g/10分が特に好ましく、0.1〜5g/10分が最も好ましい。メルトフローレートが300g/分を超える場合は、耐内容物性が低下する傾向にあり、0.001g/分未満の場合は、樹脂を高分子量化する際の製造面に制約を受けることがある。
本発明において、酸変性ポリオレフィン樹脂は、プライマー層を積層し易くするために、溶液又は分散体に加工したうえで用いることが好ましく、特に水性媒体中に分散された水性分散体に加工して用いることが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散体とした場合、水性分散体には界面活性剤や乳化剤などの不揮発性水性化助剤を実質的に含有していないことが、接着性、耐内容物性、耐ボイル性、衛生面の点で好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂を、不揮発性水性化助剤を含有せずに水性分散化に加工する方法としては、特に限定されないが、特開2003−119328号公報、国際公報02/055598号公報などに記載された方法を採用するとよい。
ここで水性媒体とは、水又は水と後述する親水性の有機溶媒との混合液のことを意味し、不揮発性水性化助剤とは、樹脂の分散や安定化に寄与する不揮発性の化合物のことを意味する。
不揮発性水性化助剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤、水溶性高分子などがあげられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、乳化剤類も含まれる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネートなどがあげられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などや、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体などがあげられる。そして、両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイドなどがあげられる。また、反応性界面活性剤としては、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩などの反応性二重結合を有する化合物があげられる。さらに、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸及びその塩などがあげられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂を水性分散体として利用する場合は、性能面や塗布する際の厚みを均一にしやすいなどの理由から、水性分散体の数平均粒子径が1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。
本発明におけるプライマー層には、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の樹脂を、基材との接着性を向上することを目的として、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。その他の樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などがあげられる。中でも、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、変性ナイロン樹脂が基材とのが接着性がより向上するという点で好ましい。
さらにプライマー層には、その他の架橋剤や添加剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。具体的には、イソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、アジリジン化合物、ジルコニウム塩化合物などの架橋剤、シランカップリング剤、レベリング剤、ヌレ剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料、染料、分散剤などの添加剤があげられる。
基材として熱可塑性樹脂フィルムを使用し、これに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む水性分散体などの液状物を塗布する場合、二軸延伸されたフィルムに塗布後、乾燥、熱処理してもよく、また、製造工程中の熱可塑性樹脂フィルム、すなわち配向が完了する以前の未延伸フィルム、あるいは一軸延伸の終了したフィルムに水性分散体などの液状物を塗布し、乾燥後あるいは乾燥と同時に延伸し配向を完了させる方法、すなわちインラインコート法を用いてもよい。上述の未延伸フィルム、あるいは一軸延伸終了後のフィルムに水性分散体などの液状物を塗布、乾燥後、延伸し配向する方法が、熱可塑性樹脂フィルムの製膜と同時にプライマー層が積層することができるため、コストの点から好ましい。
プライマー層の量は、接着面の面積に対して、0.001〜5g/m2の範囲とすることが好ましく、0.01〜3g/m2であることがより好ましく、0.05〜1g/m2であることが特に好ましく、0.05〜0.5g/m2であることが最も好ましい。接着層の量が0.001g/m2未満では十分な接着性が得られず、5g/m2を超える場合は経済的に不利となる。
次に、本発明における接着層には、オレフィンエラストマーが含有されている。接着層にオレフィンエラストマーを用いることにより、押出ラミネート法によりポリプロピレンを積層した場合でも、接着性に優れた積層体とすることが可能である。
オレフィンエラストマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン−1、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、エチル−1−ペンテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、ジメチル−1−ペキセン、トリメチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、メチルエチル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、プロピル−1−ペンテン、1−デセン、メチル−1−ノネン、ジメチル−1−オクテン、トリメチル−1−ヘプテン、エチル−1−オクテン、メチルエチル−1−ヘプテン、ジエチル−1−ヘキセン、1−ドデセン、ヘキサドデセン及びスチレンなどのα−オレフィンの単独又は2種類以上の共重合体たるオレフィンエラストマーがあげられる。また、ノルボルネン系共重合体、単環の環状ポリオレフィン系重合体、環状共役ジエン系共重合体、ビニル易環式炭化水素重合体及びこれらの水素添加物などの脂環式構造含有重合体も用いることができる。
上記の中でも、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーやプロピレン・α−オレフィン共重合体エラストマーが好ましい。つまり、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー及びプロピレン・α−オレフィン共重合体エラストマーの少なくとも一方を使用することが好ましい。さらにこの中でも、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体であることが特に好ましい。
本発明におけるオレフィンエラストマーは、酸変性されていないものである。これは、酸変性されたオレフィンエラストマーを用いると、酸変性の際に添加する極性モノマーや過酸化物などのラジカル開始剤が層中に残留する場合があるからである。ゆえに、酸変性されていないオレフィンエラストマーを用いることにより、所望の安全性が得られ、積層体を食品包装用の包装材料として好適に使用できるようになる。
本発明に用いることができる市販のオレフィンエラストマーとしては、三井化学社製のオレフィンエラストマーであるタフマーシリーズ、ノティオシリーズ、旭化成ケミカルズ社製のタフテックシリーズ、住友化学社製のタフセレンシリーズ、エスプレンシリーズ、JSR社製のEPシリーズなどがあげられる。具体的な商品名としては、タフマーシリーズの「A−0250S」、「A−0550S」、「A−4050S」、「A−1070S」、「A−4070S」、「P−0275」、「P−0375」、「P−0180」、「P−0680」、「XM−7070」、「XM−7080」、ノティオシリーズの「PN−2070」、「PN−3560」、「PN−2060」、タフテックシリーズの「H1221」、「H1052」、「H1062」、「H1041」、「H1043」、「H1272」、タフセレンシリーズの「タフセレンH3522A」、エスプレンシリーズの「V0141」、「V0132」、「V0131」、「V0111」、EPシリーズの「EP21」、「EP22」、「EP24」、「EP25」、「EP33」、「EP47」「EP57」などがあげられる。
本発明における接着層の量は、接着面の面積に対して、0.001〜5g/m2の範囲とすることが好ましく、0.01〜3g/m2であることがより好ましく、0.02〜2g/m2であることがさらに好ましく、0.03〜1g/m2であることが特に好ましく、0.05〜1g/m2であることが最も好ましい。0.001g/m2未満では十分な接着性が得られない可能性があり、5g/m2を超える場合は経済的に不利となる。
接着層は、プライマー層との接着性を向上させることなどを目的として、オレフィンエラストマー以外の成分を少量含有していてもよい。例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、ポリ(メタ)アクリロニトリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂成分があげられる。
これらのオレフィンエラストマー以外の成分は、接着層の効果、特にポリプロピレン樹脂層(シーラント層)との接着性を損ねない範囲であることが好ましく、その量は、接着層全体の20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
これらのオレフィンエラストマー以外の成分は、接着層の効果、特にポリプロピレン樹脂層(シーラント層)との接着性を損ねない範囲であることが好ましく、その量は、接着層全体の20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本発明において、接着層を設ける方法は特に限定されないが、例えばオレフィンエラストマーを有機溶媒に溶解又は水性媒体に分散させた液状物を調製し、これをプライマー層上に塗布して媒体を乾燥させる方法、剥離紙上にオレフィンエラストマーを含有する液状物を塗布し乾燥することで形成した接着層を、プライマー層上へ転写する方法、Tダイによりオレフィンエラストマーをプライマー層上に溶融押出しする方法があげられる。
中でも、接着層の厚みを薄く均一に制御しやすい点から、オレフィンエラストマーを含有する液状物をプライマー層に塗布して媒体を乾燥させる方法が好ましい。この場合、簡便であるという点から、オレフィンエラストマーを有機溶媒に溶解させた液状物を使用することがより好ましい。この方法を採用する場合には、プライマー層に液状物を塗布、乾燥して接着層を形成し、次いでインラインでポリプロピレン樹脂(シーラント樹脂)を溶融押出することにより、ポリプロピレン樹脂層(シーラント層)を積層する方法(押出ラミネート法)が簡便であり、特に好ましい方法である。
上記した酸変性ポリオレフィン樹脂及びオレフィンエラストマーを溶解又は水性媒体に分散させた液状物とするために使用される媒体は、有機溶媒であってもよいし、水又は水と親水性の有機溶媒との混合液であってもよい。
有機溶媒としては、ジエチルケトン(3−ペンタノン)、メチルプロピルケトン(2−ペンタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−へプタノン、3−へプタノン、4−へプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、トルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベッソ100、ソルベッソ150などの芳香族炭化水素類、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどの含ハロゲン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、γ―ブチロラクトン、イソホロンなどのエステル類、加えて後述の親水性の有機溶剤などがあげられる。
親水性の有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−tert−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジメチルなどのエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセトニトリル、その他、アンモニアを含む、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−ジエタノールアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミンなどの有機アミン化合物などをあげることができる。
オレフィンエラストマーを、有機溶媒に溶かした液状物とする方法としては、特に限定されないが、例えば、密閉可能な容器にオレフィンエラストマー、有機溶剤などの原料を投入し、槽内の温度を40〜150℃程度の温度に保ちつつ攪拌を行うことにより、溶解させる方法などがあげられる。
上記プライマー層を形成するための液状物及び上記接着層を形成するための液状物を、それぞれ基材及びプライマー層上に塗布する方法としては、基本的に同じ方法が採用できる。例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法などがあげられる、このような方法により各液状物を基材表面又はプライマー層表面に均一に塗布し、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理又は乾燥のための加熱処理に供することにより、均一なプライマー層を基材上に、又は均一な接着層をプライマー層上にそれぞれ密着させて形成することができる。
さらに、本発明の積層体のシーラント層に相当する部分には、ポリプロピレン樹脂を適用する。つまり、シーラント樹脂としてポリプロピレン樹脂を用いる。ポリプロピレン樹脂は、安価で耐熱性、耐油性に優れている。このため、ポリプロピレン樹脂を用いることで、ボイル・レトルト食品やスナック菓子などを包む包装材料に本発明の積層体を好ましく適用できるようになる。なお、ポリプロピレン樹脂は、共重合ポリプロピレン樹脂であってもよい。また、ポリプロピレン樹脂層には、低温でのシール性を向上させるために、ポリエチレン系樹脂やオレフィンエラストマーなどが、本発明の効果を低減させない範囲で添加されていてもよい。この他にも、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、発泡剤などが配合されていてもよい。
ポリプロピレン樹脂は、既述のようにシーラント樹脂として優れた特性を持つ一方、接着性に難点があるとされている。したがって、従来技術においては、これを使用して押出ラミネート法により積層体を得るには、さらなる製造条件の検討が必要とされてきた。例えば、従来の接着層では十分な接着強度を得るために、押出ラミネート時の樹脂の溶融押出温度を非常に高く設定する必要があり、その際、ポリプロピレンが熱分解して、熱分解物がシーラント層に残留することがあった。これに対し、本発明では、押出ラミネート時に樹脂の溶融温度を低くしても、接着性よくシーラント層を形成でき、結果としてポリプロピレンの熱分解を顕著に抑えることができる。
具体的には、シーラント層形成にあたりTダイからシーラント樹脂を溶融押出する際、Tダイから押出された樹脂温度を、好ましくは230〜300℃となるように設定する。特にポリプロピレンの熱分解を抑える観点から、樹脂温度は低温であることが望ましく、230〜270℃であることが好ましい。さらに、接着性が良好で熱分解を抑えるという観点からは、240〜260℃であることがより好ましい。
本発明では、このように接着層を介してポリプロピレン樹脂層(シーラント層)を積層する際、押出ラミネート法が好ましく採用されるが、押出ラミネート法以外の方法でも接着性よくポリプロピレン樹脂層を積層できるのであれば、別の方法を採用してもよい。押出ラミネート法以外の方法としては、例えば、接着層とポリプロピレン樹脂フィルムとを熱によってラミネートする方法(ドライラミネート法)などが採用できる。
本発明の積層体は、包装材料として用いられる場合は、通常、基材を外側、ポリプロピレン樹脂層を内側(内容物側)として使用される。また、本発明の積層体は、包装材料の用途もしくは包装材料として要求される他の性能などを考慮して、必要に応じて他の層を積層することもできる。具体的には、基材の外側又は内側にバリア層、合成紙、紙、その他の熱可塑性樹脂フィルムなどを、公知のポリウレタン系接着剤を使用して適宜積層すればよい。無論、他の層は印刷などの処理がされたものでもよい。
積層体のラミネート強度としては、引張り試験機でT型剥離試験を行った際に、例えば20℃、65%RHの雰囲気中、引張り強度200mm/分で行うことで評価することができる。ラミネート強度が1.5N/15mm以上であれば、包装材料としての使用に問題ないレベルであり好ましく、より好ましくは2.0N/15mm以上である。なお、ラミネート強度が高い場合には、測定時にシーラントフィルムに伸びや切れが発生して剥離が不可能となる場合がある。このような現象は非常に接着していることを示しており、ラミネート状態として最も好ましい状態といえる。
本発明の積層体を包装材料として製袋するときの形態としては、縦製袋充填シール袋、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、合掌袋、ピロー包装袋、ラミネートチューブ容器、輸液バッグ、カップ状容器や容器用蓋材、ゲーブルトップ型容器、ブリック型容器、スパウト付パウチ、スタンドアップパウチ、コンポジット缶など種々あり、最内層のポリプロピレン樹脂層にポリプロピレン樹脂製チャックを設けて、チャック付き包装袋としたり、内容物が見えるように窓付きとすることもできる。また、必要に応じて、上記袋に対しノッチ加工、コーナーカット、ミシン目、折り目などを付してもよい。
本発明の積層体は、様々な内容物に対して良好な耐性を有していることから、様々な内容物を包む包装材料として好適に使用することができる。具体的には、液体、粘調体、粉体、固形物、またはこれらを組み合わせなど、内容物の形状を特に限定せずに使用することが可能である。本発明の積層体は、特に食品向け包装材料として好適であり、例えばポテトチップス、クッキー、ビスケット、チョコスナック、せんべい、あられ、ポップコーンのようなスナック菓子類、お茶、かつお節、昆布粉末スープなどの乾燥物、ケチャップ、香辛料、ソース、醤油、酢、味噌、スープなどの調味料、冷凍食品やレトルト食品のような食品類、サラダ油、食用油、ごま油、オリーブオイル、マーガリン、バターなどの油脂類を内容物とする包装材料に好適である。この他、本発明の積層体は、農薬、防虫剤、殺虫剤、湿布材、歯磨き剤、錠剤のような医薬(部外)品、芳香剤、香料、入浴剤、化粧品、トイレタリー製品、界面活性剤、シャンプー、リンス、消臭剤、洗剤のようなアメニティー用品類、雑貨品、二次電池、電解液、電子部品、IC、機械部品のような産業部材などを内容物とする包装材料にも無論好適である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説刑するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の組成
1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。オルトジクロロベンゼン(d4)を溶媒とし、120℃で測定した。
1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。オルトジクロロベンゼン(d4)を溶媒とし、120℃で測定した。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)
JIS 6730記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
JIS 6730記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
(3)プライマー層、接着層の量(塗布量)
あらかじめ面積と質量を計測した基材に酸変性オレフィン樹脂を含む液状物を塗布し、100℃で30秒間乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗布前の基材の質量を差し引くことで塗布量を求めた。その後、プライマー層の上に、オレフィンエラストマーを含む液状物を塗布し、100℃で30秒間、乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗布前における基材・プライマー層を合算した質量を差し引くことで塗布量を求めた。そして、プライマー層及び接着層の塗布量と塗布面積から単位面積当たりの層量(g/m2)をそれぞれ計算した。
あらかじめ面積と質量を計測した基材に酸変性オレフィン樹脂を含む液状物を塗布し、100℃で30秒間乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗布前の基材の質量を差し引くことで塗布量を求めた。その後、プライマー層の上に、オレフィンエラストマーを含む液状物を塗布し、100℃で30秒間、乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗布前における基材・プライマー層を合算した質量を差し引くことで塗布量を求めた。そして、プライマー層及び接着層の塗布量と塗布面積から単位面積当たりの層量(g/m2)をそれぞれ計算した。
(4)ラミネート強度
得られた積層体から幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機(インテスコ社製 精密万能試験機2020型)を用い、T型剥離により試験片の端部から基材とポリプロピレン樹脂層との界面を剥離して強度を測定した。測定は20℃、65%RHの雰囲気中、剥離速度200mm/分で行った。
得られた積層体から幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機(インテスコ社製 精密万能試験機2020型)を用い、T型剥離により試験片の端部から基材とポリプロピレン樹脂層との界面を剥離して強度を測定した。測定は20℃、65%RHの雰囲気中、剥離速度200mm/分で行った。
(5)溶出(ブリードアウト)試験
得られた積層体をアセトンに一晩浸漬した後、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い、積層体に未反応の有機過酸化物や未反応の無水マレイン酸が溶出しているかどうか確認した。
得られた積層体をアセトンに一晩浸漬した後、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い、積層体に未反応の有機過酸化物や未反応の無水マレイン酸が溶出しているかどうか確認した。
(参考例1)
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂(アルケマ社製、ボンダインTX−8030)、90.0gのイソプロパノール、3.0gのトリエチルアミン及び147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈降は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1(固形分濃度20質量%)を得た。
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂(アルケマ社製、ボンダインTX−8030)、90.0gのイソプロパノール、3.0gのトリエチルアミン及び147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈降は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1(固形分濃度20質量%)を得た。
(参考例2)
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2の製造)
酸変性ポリオレフィン樹脂として、アルケマ社製・ボンダインHX−8290を用い、上記E−1の製造と同様の操作を行って酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2(固形分濃度20質量%)を得た。
(酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2の製造)
酸変性ポリオレフィン樹脂として、アルケマ社製・ボンダインHX−8290を用い、上記E−1の製造と同様の操作を行って酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2(固形分濃度20質量%)を得た。
ここで、参考例1、2で使用した酸変性ポリオレフィンの組成とメルトフローレート(MFR)とを表1に示す。
(参考例3)
(オレフィンエラストマー溶液S−1の製造)
エチレン−ブテン共重合体のオレフィンエラストマー(三井化学社製、タフマーA−0250S)30g、トルエン(ナカライテスク社製)270gを、ヒーター付の密閉可能なガラス容器内に仕込み、攪拌翼の回転速度を500rpmとして攪拌しながら、加熱した。系内の温度を80℃になるまで昇温した状態で、オレフィンエラストマーがすべて溶解するまで攪拌を行い、冷却後、オレフィンエラストマー溶液(S−1)を得た。溶液中に含まれる固形分の割合は、10質量%であった。
(オレフィンエラストマー溶液S−1の製造)
エチレン−ブテン共重合体のオレフィンエラストマー(三井化学社製、タフマーA−0250S)30g、トルエン(ナカライテスク社製)270gを、ヒーター付の密閉可能なガラス容器内に仕込み、攪拌翼の回転速度を500rpmとして攪拌しながら、加熱した。系内の温度を80℃になるまで昇温した状態で、オレフィンエラストマーがすべて溶解するまで攪拌を行い、冷却後、オレフィンエラストマー溶液(S−1)を得た。溶液中に含まれる固形分の割合は、10質量%であった。
(参考例4)
(オレフィンエラストマー溶液S−2の製造)
参考例3において、オレフィンエラストマーとして、エチレン−プロピレン共重合体のオレフィンエラストマー(三井化学社製、タフマーP−0275)に変更した以外は、同様の操作を行ってオレフィンエラストマー溶液S−2(固形分濃度10質量%)を得た。
(オレフィンエラストマー溶液S−2の製造)
参考例3において、オレフィンエラストマーとして、エチレン−プロピレン共重合体のオレフィンエラストマー(三井化学社製、タフマーP−0275)に変更した以外は、同様の操作を行ってオレフィンエラストマー溶液S−2(固形分濃度10質量%)を得た。
(参考例5)
(オレフィンエラストマー溶液S−3の製造)
参考例3において、オレフィンエラストマーとして、プロピレン−ブテン共重合体のオレフィンエラストマー(三井化学社製、タフマーXM−5070)に変更した以外は、同様の操作を行ってオレフィンエラストマー溶液S−3(固形分濃度10質量%)を得た。
(オレフィンエラストマー溶液S−3の製造)
参考例3において、オレフィンエラストマーとして、プロピレン−ブテン共重合体のオレフィンエラストマー(三井化学社製、タフマーXM−5070)に変更した以外は、同様の操作を行ってオレフィンエラストマー溶液S−3(固形分濃度10質量%)を得た。
(参考例6)
(酸変性オレフィンエラストマー溶液S−4の製造)
プロピレン−ブテン共重合体のオレフィンエラストマー(三井化学社製、タフマーXM−5070)200gを4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を150℃に保って撹拌した状態で、無水マレイン酸1.0gと、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gとをそれぞれ10分かけて加え、その後10分間反応させた。反応終了後、得られた樹脂をトルエンに溶解させて、酸変性オレフィンエラストマー溶液(S−4)を得た。
(酸変性オレフィンエラストマー溶液S−4の製造)
プロピレン−ブテン共重合体のオレフィンエラストマー(三井化学社製、タフマーXM−5070)200gを4つ口フラスコ中において、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を150℃に保って撹拌した状態で、無水マレイン酸1.0gと、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド1.0gとをそれぞれ10分かけて加え、その後10分間反応させた。反応終了後、得られた樹脂をトルエンに溶解させて、酸変性オレフィンエラストマー溶液(S−4)を得た。
ここで、参考例1〜6で製造した水性分散体や溶液における固形分濃度と液状媒体の組成を表2に示す。
(実施例1)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製、エンブレットS−12)を使用し、グラビアコート機を用いてポリエステル樹脂フィルムのコロナ面に二液硬化型のポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製)を乾燥後の塗布量が5g/m2になるように塗布、乾燥し、バリア層として厚み7μmのアルミニウム箔を貼り合せたバリア性基材を得た。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製、エンブレットS−12)を使用し、グラビアコート機を用いてポリエステル樹脂フィルムのコロナ面に二液硬化型のポリウレタン系接着剤(東洋モートン社製)を乾燥後の塗布量が5g/m2になるように塗布、乾燥し、バリア層として厚み7μmのアルミニウム箔を貼り合せたバリア性基材を得た。
次いで、バリア性基材のアルミニウム箔面に、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を乾燥後の塗布量が0.5g/m2になるように塗布し、100℃で30秒間乾燥させて、プライマー層を形成した。その後、プライマー層上に、オレフィンエラストマー溶液S−1を乾燥後の塗布量が0.5g/m2となるように塗布し、100℃で30秒間乾燥させて接着層を形成した。
さらに、押出ラミネート装置を用いて、接着層表面にシーラント樹脂としてポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ社製、ノバテックPP FL02A)を溶融押出して、35μmのポリプロピレン樹脂層が形成された積層体を得た。このとき、Tダイから押出されたポリプロピレン樹脂の温度は240℃であった。
(実施例2)
実施例1において、オレフィンエラストマー溶液S−1に代えて、オレフィンエラストマー溶液S−2を用いた以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、オレフィンエラストマー溶液S−1に代えて、オレフィンエラストマー溶液S−2を用いた以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(実施例3)
実施例1において、オレフィンエラストマー溶液S−1に代えて、オレフィンエラストマー溶液S−3を用いた以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、オレフィンエラストマー溶液S−1に代えて、オレフィンエラストマー溶液S−3を用いた以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(実施例4)
実施例1において、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に代えて、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を用いた以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に代えて、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を用いた以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(実施例5)
実施例2において、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に代えて、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を用いた以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例2において、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に代えて、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を用いた以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(実施例6)
実施例1において、プライマー層の乾燥後の塗布量を0.1g/m2に、接着層の乾燥後の塗布量を0.1g/m2にそれぞれ変更した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、プライマー層の乾燥後の塗布量を0.1g/m2に、接着層の乾燥後の塗布量を0.1g/m2にそれぞれ変更した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(実施例7)
実施例6において、接着層の乾燥後の塗布量を0.05g/m2に変更した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例6において、接着層の乾燥後の塗布量を0.05g/m2に変更した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(実施例8)
実施例1において、バリア性基材に代えて、アルミニウム蒸着フィルム(東セロ社製、メタラインML−PET)を用いて、アルミ蒸着面にプライマー層を積層した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、バリア性基材に代えて、アルミニウム蒸着フィルム(東セロ社製、メタラインML−PET)を用いて、アルミ蒸着面にプライマー層を積層した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(実施例9)
実施例1において、バリア性基材に代えて、アルミナ蒸着フィルム(凸版印刷社製、GL−AE)を用いて、アルミナ蒸着面にプライマー層を積層した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、バリア性基材に代えて、アルミナ蒸着フィルム(凸版印刷社製、GL−AE)を用いて、アルミナ蒸着面にプライマー層を積層した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(実施例10)
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製 エンブレットS−12)を使用し、グラビアコート機を用いてポリエステル樹脂フィルムのコロナ処理面に、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を乾燥後の塗布量が1.0g/m2になるように塗布し、100℃で30秒間乾燥させて、プライマー層を形成した。そして、それ以降は実施例1と同様に行い、積層体を得た。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製 エンブレットS−12)を使用し、グラビアコート機を用いてポリエステル樹脂フィルムのコロナ処理面に、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を乾燥後の塗布量が1.0g/m2になるように塗布し、100℃で30秒間乾燥させて、プライマー層を形成した。そして、それ以降は実施例1と同様に行い、積層体を得た。
(実施例11)
実施例10において、プライマー層を形成する際に、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1と、予め用意したポリウレタン樹脂水性分散体(アデカ社製、アデカボンタイターHUX−380、固形分濃度37質量%)とを、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して、ポリウレタン樹脂固形分が20質量部になるように混合し、プライマー層の乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように当該混合液を塗布した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例10において、プライマー層を形成する際に、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1と、予め用意したポリウレタン樹脂水性分散体(アデカ社製、アデカボンタイターHUX−380、固形分濃度37質量%)とを、酸変性ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して、ポリウレタン樹脂固形分が20質量部になるように混合し、プライマー層の乾燥後の塗布量が1.0g/m2となるように当該混合液を塗布した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(実施例12)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(日本エステル社製、固有粘度0.6)を、Tダイを備えた押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を用いて、シンリンダー温度260℃、Tダイ温度280℃でシート状に押出し、表面温度25℃に調節された冷却ロール上に密着させて急冷し、厚み120μmの未延伸フィルムを得た。
ポリエチレンテレフタレート樹脂(日本エステル社製、固有粘度0.6)を、Tダイを備えた押出機(75mm径、L/Dが45の緩圧縮タイプ単軸スクリュー)を用いて、シンリンダー温度260℃、Tダイ温度280℃でシート状に押出し、表面温度25℃に調節された冷却ロール上に密着させて急冷し、厚み120μmの未延伸フィルムを得た。
続いて、未延伸フィルムを90℃で縦方向に3.4倍延伸させた後、グラビアコート機を用いて、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を、乾燥、延伸後の塗布量が0.2g/m2になるように塗布し、次に温度90℃で2秒間予熱した後、横方向に3.5倍の倍率で延伸した。得られたポリエステルフィルムとプライマー層を合わせた厚みは、12μmであった。以降は実施例1と同様に行い、積層体を得た。
(実施例13)
実施例10において、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製、エンブレットS−12)に代えて、二軸延伸ナイロン6フィルム(ユニチカ社製、エンブレムON−15)を用いた以外は、同様の操作を行って積層体を得た。
実施例10において、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製、エンブレットS−12)に代えて、二軸延伸ナイロン6フィルム(ユニチカ社製、エンブレムON−15)を用いた以外は、同様の操作を行って積層体を得た。
(実施例14)
実施例11において、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製、エンブレットS−12)に代えて、二軸延伸ナイロン6フィルム(ユニチカ社製、エンブレムON−15)を用いた以外は、同様の操作を行って積層体を得た。
実施例11において、二軸延伸ポリエステル樹脂フィルム(ユニチカ社製、エンブレットS−12)に代えて、二軸延伸ナイロン6フィルム(ユニチカ社製、エンブレムON−15)を用いた以外は、同様の操作を行って積層体を得た。
(比較例1)
実施例1において、接着層を形成せずに積層体を得た以外は同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、接着層を形成せずに積層体を得た以外は同様の操作を行って、積層体を得た。
(比較例2)
実施例1において、プライマー層を形成せずに積層体を得た以外は同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、プライマー層を形成せずに積層体を得た以外は同様の操作を行って、積層体を得た。
(比較例3)
実施例1において、プライマー層を形成する際に、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に代えて、ポリウレタン樹脂水性分散体(アデカ社製、アデカボンタイターHUX−380、固形分濃度37質量%)を用いた以外は同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、プライマー層を形成する際に、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に代えて、ポリウレタン樹脂水性分散体(アデカ社製、アデカボンタイターHUX−380、固形分濃度37質量%)を用いた以外は同様の操作を行って、積層体を得た。
(比較例4)
実施例1において、プライマー層の形成にあたりオレフィンエラストマー溶液S−1を、接着層の形成にあたり酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1をそれぞれ適用した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1において、プライマー層の形成にあたりオレフィンエラストマー溶液S−1を、接着層の形成にあたり酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1をそれぞれ適用した以外は、同様の操作を行って、積層体を得た。
(比較例5)
比較例1において、プライマー層を形成する際に、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に代えて、酸変性オレフィンエラストマー溶液S−4を用いた以外は同様の操作を行って、積層体を得た。
比較例1において、プライマー層を形成する際に、酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に代えて、酸変性オレフィンエラストマー溶液S−4を用いた以外は同様の操作を行って、積層体を得た。
実施例1〜14、比較例1〜5で得られた積層体の構成、物性を下記表3に示す。
実施例1〜14にかかる積層体は、良好なラミネート強度を示し、包装材料として使用する上で十分なラミネート強度を有していた。また、ラジカル開始剤や未反応の酸変性成分のブリードアウトも認められず、安全性が確保されていることが確認できた。特に、プライマー層にポリウレタン樹脂を添加した場合、ラミネート強度が向上する傾向が見られた(実施例10、11)。
そして、製法については、押出ラミネート法を採用することで、工程上大きな支障もなく、効率的に積層体を作製することができた。
これに対し、接着層を設けなかった場合(比較例1)、プライマー層を設けなかった場合(比較例2)、本発明で規定する以外の樹脂を用いてプライマー層を形成した場合(比較例3)、プライマー層と接着層との積層順序を入れ替えた場合(比較例4)には、得られた積層体はいずれもラミネート強度が小さく、包装材料として使用できるものではなかった。
また、酸変性されたオレフィンエラストマーを用いて作製された比較例5にかかる積層体は、接着性は良好である一方、溶出試験により未反応の過酸化物や無水マレイン酸が検出され、食品向け包装材料として用いるには、好ましくないものであった。
Claims (7)
- 基材、プライマー層、接着層、ポリプロピレン樹脂層がこの順に積層されてなる積層体であって、プライマー層が酸変性ポリオレフィンを含有し、接着層が酸変性されていないオレフィンエラストマーを含有することを特徴とする積層体。
- 酸変性されていないオレフィンエラストマーが、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー及びプロピレン・α−オレフィン共重合体エラストマーの少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1記載の積層体。
- 基材がアルミニウムを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の積層体。
- 基材が熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1又は2記載の積層体。
- 熱可塑性樹脂フィルムが、ポリエステル樹脂フィルム及びポリアミド樹脂フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項4記載の積層体。
- 食品包装用途に使用されることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の積層体。
- 基材、プライマー層、接着層がこの順に積層された積層体の前記接着層の上に、溶融したポリプロピレン樹脂を押出しラミネーションによって積層することを特徴とする請求項1記載の積層体の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2012218833A JP2014069516A (ja) | 2012-09-28 | 2012-09-28 | 積層体及びその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017159707A1 (ja) | 2016-03-16 | 2017-09-21 | 株式会社アイセロ | 熱可塑型接着フィルム |
KR20180125499A (ko) * | 2016-03-18 | 2018-11-23 | 린텍 가부시키가이샤 | 프라이머층 형성용 경화성 조성물, 가스 배리어성 적층 필름 및 가스 배리어성 적층체 |
-
2012
- 2012-09-28 JP JP2012218833A patent/JP2014069516A/ja active Pending
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