JP2014132902A - 豆腐類用バッチ式凝固装置及び豆腐類用バッチ式凝固方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数の凝固容器2ごとに、豆乳供給手段5、凝固剤供給手段6、豆乳凝固物排出手段7、及び撹拌手段4を備え、各凝固容器2の下方から豆乳凝固物排出手段7を介して後工程の成型機へ排出する豆腐類用バッチ式凝固装置において、前記撹拌手段4の接液部である羽根4aを備え、前記撹拌手段4の制御がインバータ制御用モータやサーボ制御用モータの軸回転駆動制御のスクリュー撹拌式ないしは回転動作の櫂式である。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、特許文献3では、羽根式の撹拌装置がなく(凝固容器内で小抵抗位置と大抵抗位置との間を周方向で可変自在に動作する)、豆乳供給管による液流の勢いで凝固剤を分散撹拌するものであり、豆乳の液流だけで凝固撹拌を済ます場合、凝固容器で凝固状態を調整しにくく、品質安定性や再現性や精度も低くなりやすく、豆乳の濃度や粘度などによる変動があると、凝固状態が変化しやすい問題を有する。
また、豆腐類のうちでも油揚げの製造などでは、凝固した豆乳凝固物を壊して成型機に送る場合があるが、特許文献3ではその壊し手段もないので、熟成して凝固物とゆ(ホエー)が分離して、浮き呉ないしは沈み呉になっている状態のままに排出される(不均一な凝固物になる)という大きなデメリットを有する。従来の凝固容器周回式(バケット式ともいう)の凝固機では、撹拌機とは別の位置に壊し手段があって壊すのが一般的で、また周回する個々の凝固容器には蓋の取り付けが難しく、ほとんど大気開放状態で、長時間の生産中、各部の接液部に豆乳や豆乳凝固物の付着物が発生しやすく、そこに異物混入や微生物汚染の危害を受けやすかった。凝固容器を反転して豆乳凝固物を後工程に移す際に飛沫が周辺に飛散したり、上方に退避した豆乳供給ノズルや撹拌羽根や壊し羽根から落ちる滴が凝固容器の外に落下して洗浄する手間がかかり面倒であり、また床に落ちて異臭等の原因の一つにもなっていた。
また、特許文献3では、撹拌手段があると、撹拌手段に凝固物が付着・成長して、次第に均一な凝固ができなくなることが記載されている。この点、特許文献3では、蓋に関する説明がないことから、仮に蓋がない状態では、凝固物が急激に付着・成長することが考えられ、又、衛生面でも塵埃が入り込む可能性が高いという問題を有する。また豆乳凝固物の壊し手段に関しても記述がない。
さらに、特許文献3では、CIP(Cleaning in place:装置を分解することなく洗浄剤を流すことにより洗浄する方法)洗浄ができないことが説明されているが、逆に撹拌手段や制流手段によって効率のよい洗浄も可能と考えられる。
そこで、本発明の豆腐類用バッチ式凝固装置は、基台に固定して配列された1つ以上の上方が開口部とされた凝固容器ごとに、豆乳供給手段、凝固剤供給手段、豆乳凝固物排出手段、及び撹拌手段を備え、各凝固容器の下方から豆乳凝固物排出手段を介して後工程の成型機へ排出する豆腐類用バッチ式凝固装置において、前記撹拌手段の接液部である羽根を備え、前記撹拌手段の制御がインバータ制御用モータやサーボ制御用モータの軸回転駆動制御のスクリュー撹拌式ないしは回転動作の櫂式であることを特徴とする。また、基台に固定して配列された1つ以上の上方が開口部とされた凝固容器ごとに、豆乳供給手段、凝固剤供給手段、豆乳凝固物排出手段、及び撹拌手段を備え、各凝固容器の下方から豆乳凝固物排出手段を介して後工程の成型機へ排出する豆腐類用バッチ式凝固装置において、前記撹拌手段の接液部である羽根を備え、前記撹拌手段の制御がインバータ制御用モータやサーボ制御やエアシリンダや電動シリンダ等による直線駆動制御のワンツー撹拌式であることを特徴とする。
ここで、蓋をした凝固容器には内外に通じる通気手段を備えていることが好ましい。通気手段とは例えば蓋ないしは凝固容器上方側壁等の非接液部に配設した通気配管や通気孔、それらに適宜開閉する自動バルブが備わっていてもよく、また密閉しない簡易の蓋と凝固容器との間の通気可能な隙間部であってもよい。この豆乳凝固物の排出中や排出後において、蓋でほぼ閉塞した凝固容器内を蒸気供給手段によって積極的に吹き込まれた水蒸気によって水蒸気が籠もる状態(水蒸気の充満した状態)に維持しておくことが好ましい。そのように蓋をした凝固容器内を、空の状態でもほぼ水蒸気で満たした状態に維持することで、撹拌手段などの接液部に付着する豆乳や豆乳凝固物の付着物の成長を抑制するとともに、常に凝固容器内の接液部全てを高温状態に保持して芽胞菌等の発芽や増殖を抑制できて衛生上も好ましい。なお、凝固容器や蓋は2重構造や保温材等による保温構造であることは、籠った蒸気の凝縮を引き起こしにくく、余分な水蒸気を供給する必要がなく好ましい形態である。
本発明における凝固装置はバッチ式であって、単一製品の量産に向く連続式凝固装置に比べて、凝固条件の切り替えが容易で、多品種生産に向くメリットがある。本発明におけるバッチ式凝固装置の後工程の成型工程では、型箱毎に成型するバッチ式成型工程でもよいが、一般に成型工程ではあまり調整要素が少ないことや洗浄作業性が良いことから連続成型機の方が好ましい。たとえば連続成型機の豆乳凝固物受けタンクに貯蔵してから連続成型機に容積式定量ポンプで連続的に供給したり、又、直接に連続成型機上の豆乳凝固物とゆ(ホエー)を分離する水取機に同様に連続的に供給したり、全量盛り込み方式では下布上に豆乳凝固物を均等に分配する分配機のホッパーに同様に連続的に供給したり、直接に連続成型機の下布上へ同様に連続的に供給することで、中間のタンク類や配管等を減らせて、洗浄箇所や汚れる部分を減らして、衛生的で安価な連続凝固成型ラインシステムを構築することもできる。本発明では従来のように凝固容器を反転したり、周回移動することがないので、凝固装置周辺に豆乳や豆乳凝固物が飛散せず、衛生的な工場管理に貢献できる。
ここで、撹拌手段の制御は、基台に設けられた制御手段により制御する。その制御手段はブレーキ付モータなどの汎用モータでもよいが、インバータ制御用モータ、サーボ制御用モータ等の回転駆動制御や、エアシリンダや電動シリンダ等による直線駆動制御で、正確な位置決めや、正確な回転数や速度調整が可能なシステムが好ましい。多軸動作可能なロボット制御システムを用いてもよい。豆乳供給手段、凝固剤供給手段は、従来通り凝固容器上方から投入するように配設されてもよく、又は、凝固容器の側壁や下方側(底部)に直接配設されていてもよい。この場合の撹拌手段は、回転撹拌式やワンツー撹拌式でもよい。豆乳凝固物排出手段は、凝固容器底部に開口部を設けてバルブを配設する形態が普通であり、又は凝固容器内の底に豆乳凝固物排出配管を挿入して汲み上げる形態であってもよい。その方が凝固容器の底部には穴や窪みがなく洗浄しやすい構造になるが、後述のように挿入する豆乳凝固物排出配管の接液部は必要な時だけ下降し、それ以外は豆乳ないしは豆乳凝固物の液面より上方に退避しており、常に蓋をした凝固容器内にあることが、豆乳凝固物排出配管の接液部に付着する豆乳凝固物等を抑制できて好ましい。また豆乳凝固物排出配管を制流手段と兼用してもよく、制流板と一体に配設されて動作させるようにしてもよい。
本発明によれば、凝固容器に蓋が配されている形態であって通気手段を備えていることが好ましいので、ある程度の通気性と気密性が維持された凝固容器内において、豆乳凝固物を排出する際に吸い込む空気や内部空間を多湿に湿らせるように、蒸気供給手段によってほぼ飽和水蒸気を積極的に供給することで、付着した豆乳分や豆乳凝固物が乾くことがほとんど起こらなくなり、これにより各接液部への付着物の発生を抑制することができる。さらに凝固容器内に高温保持や蒸気殺菌にも活用できるため衛生的にも好ましい。このように蓋をした凝固容器内に撹拌手段の接液部が存在するように制御することにより、撹拌羽根等の接液部の形状が付着物により変化しにくいため、撹拌手段の正確な制御を長時間維持させることができ、安定したムラのない均一な凝固状態が長時間得られる。また、この撹拌手段の軸回転や上下往復動作の制御を基台に設けられた制御手段によりきめ細かく制御することにより、季節やロットや品種によって変化する大豆条件や豆乳条件に対応して、撹拌手段による撹拌状態を数値で設定でき、正確で再現よく、きめの細かい調整ができる。
本発明としては、前記撹拌手段が、前記凝固・熟成した豆乳凝固物を均一に粗く砕く壊し手段を兼ねることを特徴とする。一般に絹ごし豆腐やソフト豆腐以外の豆腐類の製造では、特に油揚げの製造では、凝固・熟成した豆乳凝固物を一旦粗く均等に壊して成型機に送る。本発明によれば、上記撹拌手段を活用して凝固・熟成した豆乳凝固物をムラなく均一に粗く壊し、豆乳凝固物を流動可能な状態として、豆乳凝固物排出手段から排出する形態が可能になる。その壊し条件は撹拌条件と同じでも、異なる回転数や速度であってもよい。またその際制流手段も併用してもよい。上記撹拌手段は豆腐類の製造上重要な壊し手段も兼用できるので、壊し手段を別途設けずに装置コストを抑えて、品質を安定させることができる。なおこの壊しは、崩し、砕きともいう。
本発明としては、前記撹拌手段の接液部は、豆乳ないしは豆乳凝固物の液面より上方に上昇可能で、前記蓋より上方に越えないように制限されていることを特徴とする。
本発明によれば、蓋をして、飽和水蒸気で充満させた凝固容器内に、各手段の接液部を留めておくように、豆乳ないしは豆乳凝固物から、例えば上昇機構により接液部を液面より上に上昇させたり、角度可変機構により接液部を液面より上に振り上げたりして、退避動作を行うことができる。これにより、豆乳や豆乳凝固物の付着物の成長が抑えられ、なおかつ、一層的確な凝固状態の調整ができ、いわゆる「寄せる」凝固を実施でき、製品品質をより高めることができる。なお、前述の通り、撹拌手段のほかに豆乳供給手段や豆乳凝固物排出手段についても、凝固容器内の底に配管を下降させて、液面より上に退避させる動作をさせる形態でも、各接液部が蓋より上方に越えないように制限されていることが好ましい。
ここで撹拌手段と同様に、前記撹拌手段が回転式の場合、制流手段の接液部も豆乳ないしは豆乳凝固物の液面より上方に上昇可能で、前記蓋より上方に越えないように制限されていることを特徴とする。
本発明によれば、例えば正確な撹拌終了後に、豆乳ないしは豆乳凝固物の流動を素早く静止させることにより、また、撹拌中にも制流手段を効かせることにより、撹拌手段による撹拌により生じる流れを正確に制流する、つまり「寄せる」ことによって豆乳のうま味や大豆タンパク質の保水性を最大限に生かすことができ、撹拌手段を補助して一層撹拌効果を上げることができる。ここで、豆乳等の付着する接液部を減らす目的で、かつ泡立ちや空気の混入を抑える目的で、前記凝固容器の上方側(蓋を含む)ないしは下方側ないしは側面側から、前記凝固容器の下方側、特に底部(最下部分)に豆乳供給手段を介して豆乳が供給されるとともに、凝固剤供給手段を介して凝固剤が供給され、これら凝固容器に供給された豆乳と凝固剤をそれらの何れかの供給タイミングに合わせて、前記撹拌手段又は前記制流手段で撹拌し、撹拌中又は撹拌終了後に制流手段によって、流れを静止する、流れに変化を与える、又は、乱流を起こす制流のうち少なくとも何れか1つの制流を行うようにすることが好ましい。
本発明によれば、制流手段は撹拌の補助手段であり、効かせるタイミングによって、予備撹拌、乱流、静止などの単一ないしは複合作用を呈する。撹拌手段と制流手段の両方を使って、両方の物理的な配置や、お互い効かせるタイミング(時間)の組み合わせを微妙にコントロールして、より短時間で均一で、タンパク質同士の結着を促して保水性の良い凝固粒子(凝固物)を形成させる。一般的に、撹拌手段と制流手段の片方だけでの凝固・寄せのコントロールは難しいが、これらを組み合わせて、職人の手作業に見られる「寄せ」の作業を機械で実現できる。
本発明によれば、撹拌手段がその回転を停止又は減速させたときに、制流手段としての役割を果たすことから、別に邪魔板とも呼ばれるような制流手段が不要である。ここで、制流手段の制流とは、静止させたり、流れの方向や強さ(速度や加速度)を変化させたり、制流させたりする意味のほか、乱流させる意味を含む。
撹拌手段が回転撹拌である場合であって、例えば上から見て円形の凝固容器の中心に回転軸がある場合には、回転流が中心になり、上下流が起こりにくく、均一な撹拌には時間を要する。本発明によれば、回転軸は円形の凝固容器の上から見て中心以外の偏心位置に回転軸が設けられるか、又は斜め方向に設けられて、回転流に加えて、上下流が起こりやすくなって、均一な撹拌を素早く行うことができる。また、上記偏心により、半球状底部を有する凝固容器に応じた撹拌や制流手段を兼用するときの制流作用が当該偏心位置で可能になる。
回転式の撹拌手段は凝固容器上方側以外に、凝固容器下部側に設けられて、凝固容器に対して斜め、又は、凝固容器の中心から偏心した位置にあってもよい。なお、本発明によれば、撹拌中ないしは撹拌停止後は特に制流手段が不要である場合もある。
本実施の形態は、図1に示すように、複数の上方が開口された凝固容器2に対して豆乳供給手段である豆乳供給管5、凝固剤供給手段である凝固剤供給管6、豆乳凝固物排出手段である豆乳凝固物排出管7が各々備えられている豆腐類用バッチ式凝固装置1Aである。凝固容器2は、その上方開口に蓋8が取り付けられ、ほぼ密閉式になる構造である。
基台3には、豆乳を貯蔵する豆乳タンクT1と、凝固剤を貯蔵する凝固剤タンクT2と、洗浄のときに使用しお湯(60〜100℃が好ましい。)を供給する温水器Tuを備えると共に、撹拌手段4の制御は、基台3に設けられた制御手段Tsにより制御する。蒸気を供給する蒸気供給手段T6も備えられている。蒸気供給手段T6は、豆乳供給手段がこれを兼用する場合があるが、別個に独立しても基台3に設けられている。蒸気供給手段T6を別個に独立として、配管によって通常のボイラーや飽和水蒸気発生装置(ボイラーからの水蒸気等でお湯を加熱して蒸散する水蒸気はほぼ相対湿度100%の飽和に近い水蒸気が得られる)から供給される水蒸気(好ましくは飽和水蒸気)を吹きこむと良い。
このような豆腐類用バッチ式凝固装置1Aは、基台3に垂直姿勢で固定され、各凝固容器2の下方から豆乳凝固物排出手段7を介して後工程の成型工程へ排出する。後工程の成型工程とは図示しないが、連続成型機の豆乳凝固物の受けタンクに供給したり、その受けタンクを介さずに豆乳凝固物とゆ(ホエー)を分離する水取機に直接供給したり、ないしは全量盛り込み方式では、豆乳凝固物の受けタンクや水取機を介さずに、下布上に豆乳凝固物を均等に分配する分配機のホッパーに直接供給したり、連続成型機の下布上へ直接供給する。本発明では、対象製品は特におぼろ状の凝固物ないしは軟らかいプリン状凝固物を壊して成型する製品であることが好ましく、例えば木綿豆腐や油揚げ生地、厚揚げ生地、生揚げ生地、凍り豆腐生地、がんもどき(飛龍頭)生地や、これらの冷凍製品等の二次加工食品のための豆腐生地類を豆腐類と称する。絹ごし豆腐やプリン状の凝固物を細かく砕いた豆腐生地類も含まれる。中でも寿司揚げ、薄揚げ、厚揚げ等の油揚げ生地の凝固成型工程が最も好ましい対象である。なお、本発明の凝固装置の前後工程は特に限定せず、例えば用いる豆乳は事前に脱気されたり、殺菌処理されたり、事前に各種添加剤(消泡剤や副資材、副原材料)を添加した豆乳であったり、豆腐類は後工程としてバッチ式成型機でもよいが、特に連続成型機や型枠によるバッチ連続成型機に供給され、その後切断機、ボイル殺菌装置、冷却装置、冷凍フリーザー、包装機等が備わる製造工程ラインで加工されてもよい。本発明に用いる凝固剤(塩化マグネシウムや硫酸カルシウム等)や副資材(トランスグルタミナーゼや澱粉等)は水等の食品用溶媒で溶かすか、分散するなどして、液状で添加できる物であれば、いずれの市販品でもよく、特に限定しない。
なお、通気管8aにバルブを設け、適宜開閉可能にする形態でもよい。前記蓋8をした凝固容器2が完全密閉可能でかつ通気手段が適宜開閉可能あってもよい。豆乳が豆乳供給手段6によって凝固容器2に所定量供給される工程において通気手段を介して大気開放または大気圧以下に減圧して凝固容器内部に籠っている水蒸気を排気するとともに豆乳を吸引して流入させてもよい。また豆乳凝固物が豆乳凝固物排出手段によって排出される工程において通気手段を介して大気開放にして凝固容器内部に流入した空気を前記蒸気供給手段によって水蒸気を十分に吹き込んで置換するか、通気手段を閉じて流入する空気を遮断し、空気に替わって蒸気供給手段T6によって水蒸気を供給して凝固容器内を水蒸気で置換するか、むしろ通気手段を開放にして、蒸気供給手段T6によって水蒸気を十分以上に供給して、凝固容器内を水蒸気で籠らせる状態に維持することも好ましい。ただし豆乳供給時、凝固容器内を大気圧以下する、たとえば強力に減圧吸引すると、豆乳ないしは豆乳凝固物からの水分蒸発が一層促進されて凝固物の付着を引き起こすので、必要最小限にとどめる。またこの際は凝固容器2を減圧に耐える設計にする。また豆乳凝固物排出時には、ポンプによる排水方法や落差による排水方法が好ましいが、完全密閉した凝固容器2内に蒸気供給手段T6ないしは圧縮エア供給手段によって加圧押し出しする排水方法であってもよい。ただし加圧押し出し方法では排出ポンプ等が省けるが、凝固容器2は圧力容器等の法的に定められた設計、製造、検査等が必要になる。
基台3に固定された制御手段Tsで撹拌手段4の軸4bを回転させることにより、豆乳を撹拌する。凝固容器2には、撹拌手段4しか配置されておらず、豆乳が下方側から供給されるので、従来の上方から供給する方式よりも泡の発生が抑制される。また、凝固容器2には、撹拌手段4の羽根4aのみしか配置されておらず、制流板(邪魔板)10が配されていないので、凝固容器内部はシンプルで洗浄性も良い。そして、撹拌終了後、撹拌手段4は、駆動手段4sにより上昇して退避状態に置かれるが、豆乳凝固物が製造され熟成すると、特に油揚などを製造する場合は、再び下降して、熟成された豆乳凝固物を均一に壊してから豆乳凝固物排出手段7により、後工程の成型機(図示せず)に送られる。後工程の成型機としては、特に後工程がベルト式の連続成型機の場合、交互に一定時間間隔でバッチ連続的に稼働させることが好ましい。後工程の成型工程では、受けタンクで受けてから成型機に投入されるが、受けタンクを省いて、直接成型機の水取装置や分配装置へ供給したり、直接布状に分配する形態も考えられる。すなわち、豆乳凝固物の全量盛り込みで、分配機(デストリビュータ)か、下布に直接注ぐ形態や、分配機手前の水取機に直接供給する形態で、それにはムラの少ない(よく壊して均一化した)豆乳凝固物の供給が不可欠である。この場合は、配管で布の上に供給するので、製品品質上も余計なエア噛みを起こさない利点のほか、凝固工程のインライン化を図り、工程途中のバランスタンク等(例えば豆乳凝固物用受けタンク)を減らして、装置コストを下げることの利点がある。
なお、撹拌手段15の接液部15aの板は傾いた姿勢でも良く、上下流の乱流を起こしやすい。図示はしないが、四角形の凝固容器では、また回転撹拌やワンツー撹拌でもよいが、平板を垂直か又は少し傾けながら、上から見て四角の軌道で動作をする櫂式撹拌でも良い。
次に、凝固容器2の洗浄については、温水器Tuと連結された豆乳供給管6からお湯を供給して、撹拌手段4,15で撹拌して行なわれ、豆乳凝固物排出管7から排出される。洗浄水は、お湯、清水、薄い次亜塩素酸や次亜塩素酸ソーダ揚の水溶液(食品添加物)、オゾン水等であってもよい。なお、図1に示すように、温水器Tuから凝固容器2に直接その上方側から散水して洗浄することも可能である。
複数の凝固容器2の撹拌制御や洗浄は、各々別々の制御が可能であり、また、同じ動作制御でもお互いに時間を適宜ずらしてバッチ連続運転ができるようになっている。例えば、凝固容器2を洗浄する場合には、そのうちの一台のみにお湯を供給する制御も行なわれるようにプログラムされている。生産中、凝固容器2をお湯で簡易洗浄するだけでも、豆乳などの接液部への付着や泡の発生が抑制されるので、特に順次、定期的に行なうようプログラムされた形態が好ましい。
本実施の形態は、図2や図6(b)に示すように、基台3に固定された撹拌手段14に所定の大きさの羽根14aが設けられている装置1B,1Gである。この撹拌手段14は、下方の基台3に斜めに取り付けられて、斜め上方に向けて配されているが、斜め上方から取り付けることもできる(図6(b)参照)。撹拌手段14の羽根14aは、楕円形状を呈して、凝固容器2の下部の半球状底部2bに位置して、凝固容器2内の豆乳を大きく撹拌する。この撹拌手段14は、この羽根14aの回転を停止させたときに、制流手段10としての役割を果たすものであり、下部の半球状底部2bの形状に合わせた形状の羽根14aが設けられている。すなわち、凝固容器2の下部の半球状底部2bにおいても対流を生じ易く、また、この羽根14aの回転を停止させたときには、対流を停止させやすい構成になっている。例えば撹拌モータはサーボモータ等で、位置決め可能な制御機構Tsが好ましいが、特に位置決め可能な制御機構であれば限定せず、多軸ロボットコントローラによる多関節型産業用ロボットも用いることができる。このような位置決めやタイミングの設定変更によって制流効果を調整することが可能になる。例えば撹拌終了時には豆乳の流れを弱く抑えたり、強力に抑えたりできるように撹拌羽根の静止姿勢や位置やタイミングや減速度や速度を正確に調節できる。このように、下部の半球状底部2bの形状に対応する撹拌手段14の羽根14aが配されているので、豆乳凝固物は下部の半球状底部2bでの均一な撹拌が得られ、ムラのない凝固が行なえる。また、蓋8には、内容物の出し入れに伴う空気出入り(呼吸)のため通気性を確保する管8aが取り付けられている。また、豆乳供給管5は、凝固剤供給管6とともに上部の円筒部2aの側壁に連結されていてもよい(図3)。なお、上記撹拌手段14としては、上方から斜めに凝固容器2に差し込まれるように配され、基台3に設けられている制御機構Tsにより制御されものでも良い(図2、図3、図6(a)(b))。
本実施の形態は、図3(a)(b)に示すように、制流手段である制流板10が凝固容器2に備えられ、撹拌手段4が斜めに配され、羽根4aが凝固容器2の下部の半球状底部2bに位置するように配された装置1Cである。すなわち、制流板10は、一枚の四角形状の板で構成されて、凝固容器2の側壁に沿って垂下して取り付けられ、その下端よりも低い位置の凝固容器2の下部の半球状底部2bに位置するように配されている。そして、制流板10は、ロータリーエンコーダや光電スイッチ等の位置センサやサーボモータ等の駆動モータMによる制御によって、たとえば凝固容器2の側壁と平行な姿勢(0度)から、側壁に対して垂直姿勢に90度回動するように、又は、側壁に対して0〜180度の範囲で回動や中間停止するよう位置決めないしは速度制御される構造である(図6(a)〜(c)も参照)。なお制流板10が停止する回動角度によって制流効果を任意に調整できる。上記制流板10は、複数枚を配することも可能であるが(制流効果上は、何枚もあっても良く、大きいものでも可能である。)、豆乳の付着箇所を少なくすることや、洗浄時の邪魔にならないようにするために、1枚のものを使用している。なお、制流手段の形状は豆乳の流れに変化を与え得る形や大きさであれば如何なる部材形態であってもよく、必ずしも本願で示す形状で無くてもよい。
本実施の形態の豆乳供給管5は、凝固剤供給管6とともに上部の円筒部2aの側壁に連結されている。また、豆乳凝固物排出管7は、凝固容器2の上方から差し入れられて、豆乳凝固物を吸引して汲み上げて、ポンプPを介して上方から排出される構造になっている。なお、豆乳凝固物排出管7は、凝固容器2の下部の半球状底部2bに連結されるものでも良い(図3(c))。
そして、撹拌手段4による撹拌とともに、前記制流板10により、流動する豆乳ないしは豆乳凝固物の流れを静止する、流れに変化を与える、又は、乱流を起こす制流を生じさせることができ、例えば、両方を駆動させても良いが、最初は撹拌手段4による撹拌を行ない、その撹拌の終了間際に制流板10を駆動させるような制御が可能である。
また、洗浄については、豆乳凝固物排出手段7を分岐するか又は別個に排水手段を設けて、撹拌手段4や制流手段10を製造途中でお湯洗浄することができ、複数の凝固容器2を順次1個ずつ洗浄する中間洗浄をプログラムすると効率的である。
本実施の形態は、図4(a)(b)に示すように、撹拌装置4と制流板12が上下動する構造の装置1Dになっている。これらの上下動は、基台3に取り付けられる駆動手段(エアシリンダ)4sにより行なわれる。
したがって、本実施の形態では、凝固容器2の豆乳の液面よりも上で、かつ蓋8を超えない空間(水蒸気が充満している)において、撹拌装置4と制流板10sの接液部4a,12aを移動させることにより、豆乳ないしは豆乳凝固物が付着・成長を抑制できるとともに、凝固容器2を洗浄する場合に、接液部4a,12aが邪魔になるような事態を防止できる。
ここで、上記制流板12としては、図5(a)(b)(c)に示す装置1Eのように、回転軸を介して上記制流板12の接液部を豆乳の液面よりも高く移動させる構造でも良い。これにより、豆乳凝固物が付着・成長を抑制できるとともに、凝固容器2を洗浄する場合に、上記制流手段12の接液部12aが邪魔になるような事態を防止できる。
そして、撹拌手段4による撹拌とともに、上記制流板12により、流動する豆乳ないしは豆乳凝固物の流れを静止する、流れに変化を与える、又は、乱流を起こす等の制流を生じさせることができる。例えば、最初は、制流板12は液面上に上げておき、撹拌手段4のみで撹拌を行ない、その撹拌の終了間際に制流板12を下げて上記制流を行なうことが可能である。
本実施の形態の基台3に複数の上記豆腐類用バッチ式凝固装置1A〜1Hが固定で配列されて、制御機構Tsにより、各々制御されるが、同期動作させても良く、順番に交互に時間をずらして行なっても良い。洗浄工程についても、1バッチ毎実施するか、数バッチ間隔で、交互に実施するか、などの設定が可能である。また、生産中であっても、撹拌手段や制流手段を活用しながら、効率よく、定期的に自動ないしは手動にてお湯の散水などによる簡易CIP洗浄ができるような使い方もプログラム次第であり、凝固物の成長を抑えることができる。
凝固容器2は、蓋8と成す内部空間を、撹拌手段4,14や制流手段10を活用し、更に強制的な散水機構(洗浄手段)を設けて効果的にCIP洗浄(定置洗浄)や蒸気供給手段(豆乳供給手段)を活用してSIP(定置殺菌)しても良い。
本実施の形態で好ましい製造する豆腐類の種類等としては、油揚が挙げられる。油揚は豆乳固形分濃度2〜7%wt程度で、おぼろ状凝固で、ゆ(ホエー)を分離して成型して生地を作るのが好ましく、他の豆腐類でも薄めの豆乳で凝固させて、おぼろ状(ゆと凝固物が分離する状態)になる凝固の状態が好ましく、凝固容器2から豆乳凝固物排出手段7により排出される。豆乳固形分濃度は、10〜20%wtと高濃度でも流動性のあるおぼろ状に凝固させることが可能であるが、できるだけ豆乳固形分濃度は15%wt以下の方がおぼろ状凝固物ないしは軟らかいプリン状や絹ごし豆腐状の凝固物を砕いた凝固物になりやすく好ましい。これらの凝固物から製造されるものであれば、油揚げに限らず、豆腐類の製造に適用可能である。
2 凝固容器、
3 基台、
4,14,15 撹拌手段(制流手段兼用、壊し手段兼用)、
4a,14a,15a 羽根(接液部)、
4b,15b 回転軸、4c,15 接液部、4s 撹拌手段用駆動手段(シリンダ)、
5 豆乳供給管(豆乳供給手段,蒸気供給手段)、
6 凝固剤供給管(凝固剤供給手段)、
7 豆乳凝固物排出管(豆乳凝固物排出手段)、8 蓋、
10 制流手段、10s 制流手段用駆動手段(シリンダ)、
12 制流板、12a 接液部、12b 軸、
T1 豆乳タンク、T2 凝固剤タンク、Ts 制御機構(制御部)、
Tu 温水器、
T6 蒸気供給手段
Claims (17)
- 基台に固定して配列された1つ以上の上方が開口部とされた凝固容器ごとに、豆乳供給手段、凝固剤供給手段、豆乳凝固物排出手段、及び撹拌手段を備え、各凝固容器の下方から豆乳凝固物排出手段を介して後工程の成型機へ排出する豆腐類用バッチ式凝固装置において、前記撹拌手段の接液部である羽根を備え、前記撹拌手段の制御がインバータ制御用モータやサーボ制御用モータの軸回転駆動制御のスクリュー撹拌式ないしは回転動作の櫂式であることを特徴とする豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 前記撹拌手段は、回転式であって、その回転軸が前記凝固容器に対して斜め、又は、その回転軸が前記凝固容器の中心から偏心した位置にあることを特徴とする請求項1記載の豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 前記撹拌手段は回転式であって、前記凝固容器に制流手段を備えるか、又は前記凝固容器ないしその底部が四角形ないしは角型であることを特徴とする請求項1又は2記載の豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 前記撹拌手段及び/又は前記制流手段の接液部は、前記凝固容器内の豆乳ないしは豆乳凝固物の液面より上方に上昇可能で前記蓋より上方に越えないように制限されており、前記撹拌手段及び/又は前記制流手段を用いて豆乳凝固物を製造した後、豆乳凝固物の液面より上方に上昇し、再度熟成した豆乳凝固物の液面以下に下降して、豆乳凝固物を均一に粗く砕くことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 基台に固定して配列された1つ以上の上方が開口部とされた凝固容器ごとに、豆乳供給手段、凝固剤供給手段、豆乳凝固物排出手段、及び撹拌手段を備え、各凝固容器の下方から豆乳凝固物排出手段を介して後工程の成型機へ排出する豆腐類用バッチ式凝固装置において、前記撹拌手段の接液部である羽根を備え、前記撹拌手段の制御がインバータ制御用モータやサーボ制御やエアシリンダや電動シリンダによる直線駆動制御のワンツー撹拌式であることを特徴とする豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 前記制流手段の接液部は、前記凝固容器内の豆乳ないしは豆乳凝固物の液面より上方に上昇可能で前記蓋より上方に越えないように制限されており、前記制流手段を用いて豆乳凝固物を製造した後、豆乳凝固物の液面より上方に上昇し、再度熟成した豆乳凝固物の液面以下に下降して、豆乳凝固物を均一に粗く砕くことを特徴とする請求項5記載の豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 前記凝固容器の下方側に、豆乳を供給する豆乳供給手段である豆乳配管を連結して備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 前記蓋及び/又は前記凝固容器が2重構造や保温材等による保温構造であるか、2重ジャケットで保温性を高めたり、温度調整できるようにした形態であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項記載の豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 前記蓋に覗き窓が付設されるか、又は、前記蓋が透明な樹脂製であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項記載の豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 前記撹拌手段や前記制流手段を順次洗浄する中間洗浄をプログラム制御し、前記凝固容器の下方側に、豆乳凝固物排出手段を分岐するか又は別個に排水手段を設けることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項記載の豆腐類用バッチ式凝固装置。
- 基台に固定して配列された1つ以上の上方が開口部とされた凝固容器ごとに、豆乳供給手段、凝固剤供給手段、豆乳凝固物排出手段、及び撹拌手段を備え、各凝固容器の下方から豆乳凝固物排出手段を介して後工程の成型機へ排出する豆腐類用バッチ式凝固装置において、前記撹拌手段は、前記撹拌手段を用いて豆乳凝固物を製造した後、豆乳凝固物の液面より上方に上昇し、再度熟成した豆乳凝固物の液面以下に下降して、豆乳凝固物を均一に粗く砕くことを特徴とする豆腐類用バッチ式凝固方法。
- 前記凝固容器の上方開口部を塞ぐ蓋を備えるとともに、前記撹拌手段の接液部である羽根を備え、前記撹拌手段の接液部である羽根は、前記凝固容器内の豆乳ないしは豆乳凝固物の液面より上方に上昇可能で前記蓋より上方に越えないように制限されており、前記撹拌手段を用いて豆乳凝固物を製造した後、豆乳凝固物の液面より上方に上昇し、再度熟成した豆乳凝固物の液面以下に下降して、豆乳凝固物を均一に粗く砕くことを特徴とする請求項11記載の豆腐類用バッチ式凝固方法。
- 前記撹拌手段は、流動する豆乳ないしは豆乳凝固物に対して制流する制流手段を兼用して、流れを静止する、流れに変化を与える、又は、乱流を起こす制流のうち少なくとも何れか1つの制流を行うように前記基台の制御部で制御することを特徴とする請求項11記載の豆腐類用バッチ式凝固方法。
- 前記後工程の成型機が連続成型機であって、排出した豆乳凝固物を前記連続成型機の下布上へ直接供給するか、又は前記連続成型機の水取機又は分配機のホッパーに供給することを特徴とする請求項11記載の豆腐類用バッチ式凝固方法。
- 前記豆腐類が油揚であり、前記豆乳の豆乳固形分濃度が15%wt以下で、更に好ましくは、2〜7%wtないし10〜20%wtであって、おぼろ状の凝固状態(ゆと凝固物が分離する状態)にすることを特徴とする請求項11記載の豆腐類用バッチ式凝固方法。
- 前記基台に固定して配列された1つ以上の凝固容器ごとに、制御機構により各々制御され、同期動作ないしは順番に交互に時間をずらして行なわれるか、又は、洗浄工程を1バッチ毎実施ないしは数バッチ間隔で交互に実施するか、又は、生産中であっても撹拌手段や制流手段を定期的に自動ないしは手動にてお湯の散水による簡易洗浄を行うようにプログラム制御することを特徴とする請求項11記載の豆腐類用バッチ式凝固方法。
- 前記凝固容器は、蓋とともに内部空間を形成し、撹拌手段や制流手段を活用して、強制的な散水機構(洗浄手段)を設けて効果的にCIP洗浄(定置洗浄)するか、又は、蒸気供給手段(豆乳供給手段)を活用するSIP(定置殺菌)することを特徴とする請求項11記載の豆腐類用バッチ式凝固方法。
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