JP3470931B2 - ニガリ豆腐の製造方法 - Google Patents
ニガリ豆腐の製造方法Info
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Description
方法に関する。詳しくは、所定の性状を有する豆乳にニ
ガリを主体とした凝固剤を添加混合するとき、回転撹拌
することによって保水性を有する高品質の豆腐を、熟練
者以外の者でも容易に製造することが可能なニガリ豆腐
の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】豆腐は、豆乳にニガリ等の凝固剤を添加
して豆乳を凝固させて製造するが、豆腐の製造方法とし
ては、「腰掛け法」や「2度寄せ法」と称されている製
造方法が知られている。 腰掛け法は、木綿豆腐の製造
に使用されるもので、先ず大豆から生搾り法により抽出
してオカラを何度も洗い込んで得たタンパク質濃度の低
い豆乳に、薄い水ニガリを数回に分けて少量づつ添加し
ながら豆乳を手作業で緩やかに攪拌する。これにより、
容器内のタンパク質が細かい綿状や雪状に凝固して、容
器の底に柔らかなブロック状の凝固が徐々に発生する。 【0003】この場合、タンパク質の凝固状態は目視で
確認される。次に、ブロック状に凝固したタンパク質
を、木綿布を敷いた水切り穴付きの型箱に移し変えて、
凝固したタンパク質の表面に重りを乗せて凝固したタン
パク質を加圧成形する。これにより、箱型の水切り穴か
ら水分が除去されて木綿豆腐が製造される。 また、2度寄せ法は絹ごし豆腐の製造に使用されるもの
で、先ず容器内の豆乳に所定量の凝固剤をまとめて同時
に添加すると共に豆乳を攪拌して容器内のタンパク質を
柔らかい状態に凝固する。次に、柔らかに凝固したタン
パク質を容器から、絹ごし型箱に一気に流し込んで凝固
したタンパク質を豆乳中に均一に分散(2度目の撹拌)
させる。この状態でタンパク質をさらに凝固させて絹ご
し豆腐が製造される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、腰掛け
法で製造された木綿豆腐は、タンパク質の濃度が3%以
下と低いので、凝固したタンパク質組織の密度が低くな
り、凝固物中に保水できる水分量が少なくなる、即ち保
水力が小さくなるという問題がある。従って、凝固した
タンパク質を重りで加圧成形する際に、多量の水分が排
出されて成型後の豆腐の肌が悪くなるという問題があ
る。 【0005】また、多量の水分と共に、凝固していない
水溶性の大豆うま味成分が抜け出して豆腐の味が低下す
るために、加圧成形等における製造最終段階にあっては
非常に高い熟練度を必要とするという問題がある。尚、
この大豆うま味成分は、製造された豆腐を水晒し状態に
した場合にも、豆腐から水中に徐々に溶出する。また、
大豆の品質や浸漬・煮沸等の製造条件の微妙な変動によ
り製品品質が不安定になりやすいため、経験や勘など製
造者の熟練に依存するところが大きかった。 【0006】一方、2度寄せ法の場合、容器内にタンパ
クのソフトなブロックが凝固されかけたときに、絹ごし
型箱に一気に流し込こんで2度目の撹拌を行うが、この
ときタンパクのソフトなブロックを破壊しないようにす
るために、的確な凝固操作の調整が必要になる。 そして、凝固操作の調整が的確に行われない場合には、
例えばタンパクのソフトなブロックが破壊され、この状
態で熟成硬化しても破壊された粒子はそのままなので、
離水が多くて脆くなり、さらに極端にざらついた食感に
なり、絹ごし豆腐の味が低下するという問題がある。こ
のように、2度寄せ法においても、その攪拌タイミング
などの操作が難しく、熟練度を要するものであった。 【0007】一方、例えば特開平7−16070号公報
においては、凝固剤の最適凝固温度範囲に豆乳の温度管
理をして、そして出来上がった豆腐が綺麗な豆腐製造装
置が開示されている。 上記公報に開示された装置は、容器内の豆乳を加熱する
加熱ヒータを制御して、豆乳を目的温度に設定する温度
制御器と、豆乳と凝固剤を撹拌する撹拌翼を豆乳液面か
ら上昇可能に構成したものである。 【0008】このような装置によれば、人手が省略でき
て、又ある程度の品質の豆腐を安定的に供給できるよう
に見えるが、特に、豆腐の綺麗さや味の点においては依
然として課題が残されていた。すなわち、豆乳の撹拌の
仕方や撹拌翼の移動の仕方が従来の作業者の熟練度に比
べると、その動きは極めて雑であるため、例えば豆乳の
凝固程度に合わせた動きができず、このために凝固途中
の豆乳を壊したりするために、豆腐の肌が荒れたり、弾
力が低下したり保水性低下したりして食感が悪くなる問
題が発生してしまう。 【0009】そこで、本発明の目的は上記従来技術が有
する問題を解消するもので、保水性を良くすることによ
り大豆うま味の抜けを防止し、弾力があり、豆腐の肌を
きれいにしてざらついた食感をなくすことができ、かつ
熟練度を必要とせずニガリ豆腐を容易に製造することが
可能なニガリ豆腐の製造を提供するものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、温
度60〜65℃、固形分10〜13%wtの熱くて濃い
豆乳10〜30Lを角型平箱(縦横比は1:1〜1:
3、一辺の長さは200〜500mm、深さは70〜2
00mm)に入れて、羽根角度30〜90度のしゃもじ
型スクリュー式攪拌羽根をサーボモーターにより60回
転/分で回転攪拌しながら、塩化マグネシウム(39.
5%)含有のニガリを主体とする凝固剤を添加し、その
後約6秒間で回転速度を0回転/分まで減速し、次いで
攪拌羽根を豆乳中から退避させ、この後60℃に保温し
ながら熟成させることを特徴とするうまみ成分の保持さ
れた高品質ニガリ豆腐の製造方法によって達成するとが
できる。 【0011】このように、本発明のニガリ豆腐の製造方
法においては、温度60〜65℃、固形分10〜13%
wtの熱くて濃い豆乳を用いるとともに、上記の如く豆
乳撹拌時に撹拌の仕方を適宜コントロールする、所謂豆
乳の性状と撹拌の仕方を関連づけてサーボモーターによ
り自動撹拌するようにしたので、凝固したタンパク質組
織が緻密になり保水性を良くすることができ、うま味成
分の保持力のある品質の極めて高いものを生産性よく提
供できる。 【0012】また、豆乳にニガリを主体とした凝固剤を
添加混合する際に、豆乳の性状に対応した回転撹拌手段
によって豆乳の性状に合わせて所定の速度で回転撹拌し
ながら凝固を促進するので、熟練を要することなく品質
の高い豆腐を容易に製造することができる。 【0013】また、退避時において羽根の厚み程度の切
り込み線だけの極めて少ないダメージとなることから、
豆乳あるいはある程度凝固が始まった豆乳(豆腐になる
直前の中間物)が不必要に破砕されるのを防止すること
ができ、高い弾力性を維持し且つ豆腐の肌をきれいにし
てざらついた食感を与えないように維持できる。 また、撹拌羽根を豆乳内に進入させるとき、豆乳の表面
に浮いている泡を豆乳内にかき込まないように適宜回転
させながら移動させることができるので、例えば空気、
ゴミ、空気中の浮遊微生物等の不要な成分を豆腐内に取
り込むことが回避でき、豆腐の品質向上を図ることがで
きる。 【0014】又、本発明によれば、撹拌羽根を上昇させ
るときに、該羽根の回転速度を豆乳の粘性変化に合わせ
て逓減するように制御しつつ上昇させることにより、豆
腐の損傷をより少なく抑えることが可能となる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるニガリ豆腐
の製造方法及び装置の実施例について、図面を参照して
詳細に説明する。 図1は、本発明に使用するニガリ豆腐の製造装置1の構
成を示す。本発明においては、塩化マグネシウム(3
9.5%)含有のニガリを用いる。塩化マグネシウムを
少しでも含む凝固剤を使用した豆腐(生地)を、ニガリ
豆腐という。製品としては、絹ごし豆腐、ソフト木綿豆
腐、普通木綿豆腐、ガンモ生地、油揚(厚揚、薄揚)生
地など広範囲にわたる。本発明はこれらのうち、特に、
ニガリの絹ごし豆腐、ソフト木綿豆腐など保水性が高
く、水に晒してもうまみの抜けない高品質な製品に適し
ている。 【0016】さて、ニガリ豆腐の製造装置1は、ベース
11上に型箱12が移動自在に載置されている。型箱1
2内には豆乳13が入れられ、その中にニガリを主体と
した凝固剤28を投入して回転撹拌手段であるスクリュ
ー14で回転撹拌される。スクリュー14には回転軸1
6が設けられ、この回転軸16がカップリング17でサ
ーボモータ18に連結されている。 【0017】一方、型箱12の両側には所定長さの支柱
19、20が立設されている。一方の支柱19の上端に
はガイドロッド21が取付けられ、ガイドロッド21に
スライド部22が移動自在に嵌め込まれている。また、
もう一方の支柱20の上端にはラック23が取付けら
れ、このラック23にはギヤ駆動部24が取付けられて
いる。ギヤ駆動部24にはラック23と歯合するギヤ
(図示せず)が内蔵され、このギヤがモータ25で回転
駆動される。したがって、モータ25を制御することに
よって、ギヤ駆動部24をラック23に沿って上下移動
させることができる。 【0018】ガイドロッド21に嵌め込まれているスラ
イド部22と、ラック23に取付けられているギヤ駆動
部24との間には、横板26が架け渡して固定され、横
板26上に上述のサーボモータ18が固定されている。
したがって、モータ25を制御することによって、サー
ボモータ18及びこれに連結されているスクリュー14
を回転最中であっても昇降させることができる。すなわ
ち、ガイドロッド21、スライド部22、ラック23、
ギヤ駆動部24、モータ25及び横板26によって、ス
クリュー14の退避手段が構成されている。ベース11
上には、サーボモータ18及びモータ25を制御するた
めの制御部27が配置されている。 【0019】ここで、高品質なニガリ豆腐を製造するた
めに必要な各部の仕様について検討する。型箱12は、
豆乳13を凝固させるためのもので、その大きさ及び形
状が豆乳の凝固に大きく影響する。形状は、断面が正方
形又は縦と横の比が1:3程度の長方形などの角型が良
い。これは、断面が丸型であると豆乳13を撹拌するた
め回転させたときに、豆乳13の流れが邪魔されること
なく単に回転するだけで上下流が発生せず、撹拌を十分
に行なうことができないからである。これに対して断面
が角型であれば、豆乳13を回転させたときに角部に衝
突して上下流が発生し、撹拌が十分に行なわれる。 【0020】型箱12の大きさは、特に制限はないが、
品質を保持するためには断面の縦横が約1m程度が限度
である。型箱12が大き過ぎると、全体の凝固を完成さ
せるには時間が長くなり過ぎ、破壊される部分が多くな
りニガリ豆腐の製品品質上、問題がある。また、実際の
作業では人が型箱12を持ち運ぶこともあるので、重量
は10〜20kg程度が限度である。したがって、ニガ
リ豆腐の厚さを30mmとした場合、断面は1m四方が
限度となる。 【0021】また、豆乳13を撹拌するためには断面が
広くて浅い型箱12は不適当であり、ある程度の深さが
必要になる。型箱12の深さは、断面の寸法と相関関係
がある。広くて浅い、又は狭くて深い型箱12は、品質
が低下するおそれがある。豆乳13の回転撹拌時に上下
流を十分に発生させるためには、スクリュー14の羽根
15や撹拌領域に対してある程度の深さが必要となる。
そして、スクリュー14の羽根15の進入深さ(型箱の
底面からの深さ)は、豆乳の粘性等の性状によって異な
るものの、これまでのテスト結果からすれば、例えば型
箱12の底から数mm〜数十mm程度が良い。したがっ
て、この深さを調節可能とすることは、高品質の豆腐を
製造する工程において極めて有効な手段である。しか
し、上述のようにニガリ豆腐の製品品質上、深すぎる型
箱12を使用した場合には全体を凝固させる時間がかか
りすぎて、破壊される部分が多くなる。また、作業性、
生産効率性、製造上の慣習などから豆乳13の量が10
〜30リットルとするのが好ましく、このことから豆乳
の深さは100〜200mm程度となる。 【0022】最近は、自動切断包装機(オートパック)
によるニガリ豆腐の衛生的な製造が行なわれており、こ
の場合には平箱での凝固が必要条件となる。ニガリソフ
ト木綿豆腐では、殆ど離水しないので、最終豆腐重量の
5〜10%増しの豆乳量で良く、型箱12の深さにも制
限がないので、最適な深さと断面寸法を採用することが
できる。例えば豆乳13が20リットルの場合、型箱1
2の寸法は、断面が縦横300mm、深さが220mm
が良い。上述のように型箱12は、作業性などを考慮す
ると、型箱12の容量は10〜30リットルである。 【0023】豆乳13の温度は60〜65℃である。ま
た、豆乳固形分は10〜13%wtで、タンバク質濃度
は4%以上で12.5〜13%brixが適している。
温度が50℃未満の場合は、豆乳っぽく、粉っぽく、渋
く、豆腐らしい味がしない豆腐となり、品質が低下す
る。また、固形分が10%wt未満の場合は、離水し易
く、味も抜けて、軟らかい豆腐となり、蛋白質濃度が4
%未満の場合は離水し易く、味も抜けて、軟らかい豆腐
となって、これまた品質が低下する。 【0024】凝固剤28は、ニガリ(塩化マグネシウム
又は塩化マグネシウム含有物)を主体としたもので、ニ
ガリの他に硫酸カルシウムやグルコノデルタラクトン
(GDL)を若干配合しても良い。凝固剤28を投入す
る際には、豆乳13をスクリュー14で回転撹拌してお
くことにより、凝固剤28の分散を補助することができ
るが、豆乳13を静止状態としても良い。 【0025】凝固剤28の投入の仕方は、一度に投入し
たり多段階的に徐々に投入したりすることができる。ま
た、型箱12やスクリュー14の形状、大きさなどに対
応して、型箱12内にできるだけ早く行き渡るようにす
ることが必要である。回転撹拌手段としては、スクリュ
ー14以外にもタービン型羽根などを使用することもで
きる。そして、目的とするニガリ豆腐の製品皮質と、回
転撹拌手段の形状や大きさによって適切な回転数が存在
する。また、凝固撹拌中では、その時点で最適な回転数
が存在し、一定の回転数でも良いがより高品質の製品を
造るには、多段階又は連続的に回転数を変えていくのが
好ましい。安定した生産には再現性が良くて正確な回転
が必須であり、従来のインバータ制御のモータよりサー
ボモータで制御するのが良い。 【0026】凝固剤28の投入直後から数秒間は凝固剤
28を分散させると同時に、豆乳タンパク質の凝集粒子
の大きさを決定する重要なプロセスである。この時に高
速回転で撹拌すると、凝固剤28が細かく分散し白い固
めの豆腐になるが、離水し易くうまみが抜けやすい。低
速回転で撹拌すると、少し柔らかいがソフトで弾力性の
ある、黄色い豆腐になる。このような豆腐は保水性があ
り、うまみが抜けにくくて高品質な製品になる。 【0027】この後、撹拌を終了するまでの間は豆乳タ
ンパク質の凝集粒子を型箱12の隅々まで行き渡らせる
プロセスである。ここでスクリュー14の回転を高速に
すると、凝固剤28をいち早く分散することができる
が、ソフトな凝集粒子を壊してしまい、プロックへの成
長を妨げてしまう。このようにして造られた製品は、粉
っぽい食感がし、うまみが抜けやすくて渋い製品にな
る。 【0028】逆に低速回転にすると、凝固ブロックを壊
さないようにできるが、同時に増加傾向にある豆乳13
の粘り(粘性)に見合った回転数にしないと、十分な分
散が得られず凝固ムラを起こしてしまう。また、このプ
ロセスの撹拌時間が長いと、ブロックの成長を妨げるの
で、うまみの抜けやすい脆い製品になる。短時間で撹拌
を停止すると、豆乳13(凝固物全体)の粘度が上がら
ず、凝集粒子の沈降を招き、上層部の未凝集につなが
る。 【0029】このように、このプロセスは凝集粒子の分
散という以外に、凝固粒子の壊し、凝固ブロックの成
長、凝固ブロックや粒子の沈降、凝固物(豆乳)の粘り
など多くの要素が関係している。一方、高品質のニガリ
豆腐を製造するためには、一定回転数では凝固剤28が
添加された豆乳13の粘りの増加にしたがって、撹拌の
後半には寄ってきた(ソフトに固まりかかっている)部
分を壊してしまう。その結果、離水しやすくうまみの抜
けやすい、肌の悪い製品になってしまう。これを防ぐた
めには、豆乳13の粘りの増加(凝集の進行)にしたが
って、スクリュー14の回転数を減らしていくのが効果
的である。 【0030】しかし、豆乳13の粘りの増加は大豆やそ
の炊き方など様々な原因によって微妙に変化するので、
きめ細かく、正確に制御することが必要になる。また、
後述のように最適な時点で凝固を停止し、スクリュー1
4を上昇させるとき、羽根15の角度と上昇速度に応じ
て、寄ったものを壊さないように回転数を連続的に変化
させることも効果的である。 【0031】ここで、このニガリ豆腐の製造措置1を使
用して実際にニガリ豆腐を製造した試験例について説明
する。型箱12は、断面が縦寸法350mm、横寸法3
50mmの正方形で、深さが180mmのものを使用し
た。スクリュー14は、3枚の羽根15を有するもの
で、羽根15一枚の寸法が、長さ150mm、幅20m
m、角度が60度のものを使用した(なお、羽根は羽根
基部から先端側に向かって捻じり構造を有しているのが
理想的であり、傾斜角度は羽根全体が同じ傾斜していな
いが、本発明においては羽根の有効部分の平均傾斜角度
を云う。又、羽根を複数枚使用した構造や複数段使用し
た構造の場合においても、その全体の平均傾斜角度を云
う。)。また、豆乳13は、温度62℃、固形分13%
のものを20リットル入れた。 【0032】そして、凝固剤28を投入する前の8秒間
は、スクリュー14の回転数を60回転/秒として豆乳
13を撹拌した。また、凝固剤28は、塩化マグネシウ
ム(39.5%)含有物のニガリを200g投入した。
豆乳13の回転撹拌時間は約6秒間であり、60回転/
分から0回転/分まで滑らかに減速した。豆乳13を回
転撹拌して凝固を促進した後、スクリュー14を直ちに
停止し、豆乳13が完全に凝固する前にスクリュー14
を回転させながら上昇させて、豆乳13の回転撹拌領域
から退避させた。このとき、スクリュー14の羽根15
の角度及び形状に応じた上昇速度と回転速度を選定する
ことにより、豆乳13がスクリュー14で破砕されてし
まうのを防止する。すなわち、スクリュー14を上昇さ
せるときに、その羽根15が豆乳13内の連続した螺旋
状の通路を通るようにすることで、半凝固状態の豆乳1
3が細かく破砕されるのを防止できる。このように、ス
クリュー14を回転させながら上昇させたとき、半凝固
状態の豆乳13が破砕されるのを阻止するためには、豆
乳13の性状と回転撹拌手段であるスクリュー14の羽
根15の傾斜角度と、羽根15の撹拌領域への出し入れ
の移動速度とを勘案して、羽根15の回転速度ならびに
豆乳13の液表面からの深さを調節する必要がある。 【0033】実施例1においては、豆乳13の粘性がB
型粘度計を用いて、BLアダプタを使用し、回転数3r
pm,40℃の条件下において45cPで、羽根15の
有効長さが120mm、傾斜角度が45°で、羽根15
の撹拌領域への出し入れ速度が50mm/secのとき
に、羽根15の回転数を4rpmとし、豆乳13の液表
面からの深さを130mmとすることにより、羽根15
を退避させたときに豆乳13が細かく破砕されるのを阻
止することができた。 【0034】また、実施例2においては、豆乳13の粘
性がB型粘度計を用いて、BLアダプタを使用し、回転
数3rpm,40℃の条件下において20cPで、羽根
15の有効長さが250mm、傾斜角度が30°で、羽
根15の撹拌領域への出し入れ速度が300mm/se
cのときには、羽根15の回転速度を20rpmとし、
豆乳13の液表面からの深さを200mmとすることに
より、豆乳13が細かく破砕されるのを阻止することが
できた。 【0035】なお、羽根15の有効長さは、一般に羽根
の回転中心から幾何学的重心(厚さが一様の場合)まで
の長さになり、実際には羽根の形状によって、その値が
変化する。さらに、羽根の角度については、厳密にいう
と、回転軸側は軸線に沿って平行に近く、羽根先端側は
軸線に対して直交する方向に近くなるように捻じれてい
ることが、豆乳に泡をかき込んだりまた半凝固物を壊さ
ないように出来て理想的である。しかし、このような捻
じれ構造は羽根の製造コストを極端に高くすることか
ら、本発明においては、羽根15の形状は平板型で且つ
しゃもじ型(図の羽根15の基部をもっと絞り込んだ所
謂しゃもじ形状をした構造)で、撹拌を起こす有効部分
がある程度局在化している形状で十分効果を得ることが
できる。 【0036】そして、羽根において撹拌に最も有効な部
分の中心点Pで、上記のような回転数を設定することが
できる。また、羽根15の全体的な形状においても、角
のある構造よりも適宜丸みのある形状の方が、柔らかな
半凝固物を傷つけることがない。また本発明において
は、羽根15の上昇時における回転速度の制御を行うと
有効である。これは、例えば羽根15が垂直であって
も、上昇時には回転させる必要があることから判るよう
に、その理由は、凝固剤を投入したのちは、半凝固状態
の豆乳を回転撹拌中及び撹拌後に上昇するのであるか
ら、該豆乳に撹拌による慣性流れが生じているので、こ
の回転流れの速度変化に対応した回転と共に上昇させる
必要があるからである。 【0037】特に、図2に示すように、時間の経過とと
もに粘度が増大することからして、半凝固物の粘りの出
方(凝固の進み方)に応じて、上昇時の回転数をこの減
速程度に合わせて減速する必要がある。なお、図2に示
したグラフは、豆乳固形分10%wt、40℃での粘度
測定結果を示すものである。実際の豆腐製造において
は、60℃程度の温度であり、この60℃程度の温度で
の反応速度は極めて早いために上記の測定可能な条件下
においてサンプルを示したものであり、実際には、40
℃の時の数百倍の速さで粘度増加が進行しているものと
推定される。したがって、60℃以上のときには数秒以
内の時間で図2に示すような粘度変化が発生しているこ
とになる。 【0038】このようなことからすると、羽根15を上
昇させるときに、羽根15の回転速度を豆乳の粘性変化
に合わせて逓減するように制御しつつ上昇させること
は、豆腐の損傷をより少なく抑えることができる。さら
にまた、本発明においては、従来の加熱ヒータのごとく
積極的な加熱機能は必要なく、熟成中の豆乳の温度低下
を阻止して60℃程度に保つ保温機能のある保温手段が
あればよい。 【0039】以上の説明では、撹拌手段を豆乳内から引
き上げるときの工程を主に説明したが、本発明において
は、撹拌羽根を豆乳内に進入させるときにも、豆乳の表
面に浮いている泡を豆乳内にかき込まないように適宜回
転させながら移動させることができる。このように羽根
の傾斜角度に対応させて、その羽根の軌跡が略羽根の厚
み程度に設定されて豆乳内に進入させることにより、泡
および泡に含有されている各種の不要物質が豆乳内に取
り込まれるのを極力回避できるので、豆腐の品質向上に
極めて有効である。 【0040】本試験では、このような条件でニガリ豆腐
を製造した結果、保水性がよくうまみ成分が十分に保持
され、しかも肌がきれいなニガリ豆腐を製造することが
できた。このように、本発明のニガリ豆腐の製造措置1
では、熟練を要することなく高品質なニガリ豆腐を容易
に製造することができる。 【0041】 【発明の効果】以上述べたように、本発明によるニガリ
豆腐の製造方法によれば、温度60〜65℃、固形分1
0〜13%wtの熱くて濃い豆乳を用いるとともに、上
記の如く豆乳撹拌時に撹拌の仕方を適宜コントロールす
る、所謂豆乳の性状と撹拌の仕方を関連ずけて自動撹拌
するようにしたので、凝固したタンパク質組織が緻密に
なり保水性を良くすることができ、うま味成分の保持力
のある品質の極めて高いものを生産性よく提供できる。 【0042】また、豆乳にニガリを主体とした凝固剤を
添加混合する際に、豆乳の性状に対応した回転撹拌手段
によって豆乳の性状に合わせて所定の速度で回転撹拌し
ながら凝固を促進できるので、熟練を要することなく品
質の高い豆腐を容易に製造することができる。 さらに、撹拌羽根を豆乳内に進入させるとき、豆乳の表
面に浮いている泡を豆乳内にかき込まないようにかつ羽
根の進入による渦が発生して泡を発生させないように適
宜回転させながら移動させることができるので、豆乳表
面に浮いている不要な成分を豆腐内に取り込むことが回
避でき、豆腐の品質向上を図ることができる。
図である。 【図2】本発明の実施例における豆乳の時間経過に伴っ
た粘性変化を説明するためのグラフである。 【符号の説明】 1 ニガリ豆乳の製造装置 12 型箱 13 豆乳 14 スクリュー 15 羽根 18 サーボモータ
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 温度60〜65℃、固形分10〜13%
wtの熱くて濃い豆乳10〜30Lを角型平箱(縦横比
は1:1〜1:3、一辺の長さは200〜500mm、
深さは70〜200mm)に入れて、羽根角度30〜9
0度のしゃもじ型スクリュー式攪拌羽根をサーボモータ
ーにより60回転/分で回転攪拌しながら、塩化マグネ
シウム(39.5%)含有のニガリを主体とする凝固剤
を添加し、その後約6秒間で回転速度を0回転/分まで
滑らかに減速し、次いで攪拌羽根を豆乳中から退避さ
せ、この後60℃に保温しながら熟成させることを特徴
とするうまみ成分の保持された高品質ニガリ豆腐の製造
方法。
Priority Applications (1)
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渡辺篤二他,「大豆食品」,株式会社光琳書院,1971年 3月 5日,第120頁 |
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