JP2014132191A - リニアガイド装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サイドシールは、1つ又は複数のシール31,32を有し、シール31,32は、リップ部34と、リップ部34を保持してスライダに装着される硬質樹脂製の保持板35とを有する。保持板35は、板厚を維持する厚み維持部3aと、厚み維持部3aより薄く剛性が低い薄肉部3dと、を有する。厚み維持部3aは、保持板35の外側の縁のうち少なくともリップ部34のない部分に沿って形成されている。薄肉部3dは、厚み維持部3aにより外部から閉塞されている。
【選択図】図4
Description
従来のリニアガイド装置では、スライダの運動方向両端に、案内レールに摺接するゴム製のリップ部を有するサイドシールが配置されている。これにより、スライダの運動方向両端から内側に異物が侵入することを防止している。
特許文献1には、金属板にゴム製のシール部材が固定されたサイドシールを、複数枚独立に、ねじ部材によりスライダに取り付けることが記載されている。
カバーと保持板は同じものが複数個用意されている。シール部材は複数種(リップ部の傾き、材質、厚さ、および先端形状の少なくともいずれかが異なるもの)が用意されている。これらのシール部材から適切なものを複数個選択し、同数のカバーと保持板を組み合わせてサイドシールを組み立てる。これにより、サイドシールのシール機能を用途に応じて変化させることで、サイドシールによるシール性能を向上することができる。
(1) 案内レールとスライダと複数個の転動体を備える。前記案内レールおよびスライダは、互いに対向配置されて転動体の転動通路を形成する転動面を有する。前記転動通路を転動する前記転動体を介して、前記スライダが前記案内レールに対して直線運動する。前記スライダの運動方向両端に、前記案内レールに摺接するリップ部を有するサイドシールが配置されている。
(3) 前記シールは、前記リップ部と、このリップ部を保持して前記スライダに装着される硬質樹脂製の保持板(保持部)と、を有する。
(4) 前記保持板は、板厚を維持する厚み維持部と、この厚み維持部より薄く剛性が低い薄肉部と、を有する。
(6) 前記薄肉部は、前記厚み維持部により外部から閉塞されている。
前記構成(1) 〜(3) を有するリニアガイド装置は、スライダに装着される前にサイドシールの保持板が製造誤差に起因した反りを有すると、保持板とスライダとの間や保持板同士の間に隙間が生じて、シール機能が低下し易い。この態様のリニアガイド装置は、前記構成(4) を有することで、スライダに装着された後にその反りが矯正される。また、前記構成(5) および(6) を有することで、保持板とスライダとの間や保持板同士の間に隙間が生じにくい。
また、前記穴の周囲の厚み維持部が、前記外側の縁の厚み維持部と同一の厚みを有し、且つ前記穴の周囲を部分的に取り囲む形状に形成されていると、固定ねじを強く締めつけた場合でも、前記穴の周囲に大きな変形が生じないため、固定ねじの締め付けトルクの管理が簡単になる利点がある。
(7) 前記保持板と前記リップ部は別々に形成されている。前記リップ部は、前記保持板の前記案内レールに近い縁に形成されたリップ取付部に保持されている。前記保持板の前記リップ取付部のある縁では、前記リップ取付部より内側に前記リップ取付部に沿って、前記厚み維持部が形成されている。
この態様のリニアガイド装置は、下記の構成(8) を有することができる。
これにより、シールに反りがあっても、固定ねじの締め付け力によってシールの反りが矯正されて、シール間やシールと他の部材との間が密接になる。
この態様のリニアガイド装置は、下記の構成(9) を有することが好ましい。
これにより、保持板の一方の面のみが凹凸面となるため、両面が凹凸面となっている保持板を有するサイドシールと比較して、保持板と隣接する他の部材との間に隙間が形成されにくくなることで、サイドシールのシール性が向上する。
この態様のリニアガイド装置は、前記構成(9) および下記の構成(10)を有することが好ましい。
これにより、保持板と他の隣接部材との間が前記縁に沿う突起により閉塞されるため、前記構成(9) を有し前記構成(10)を有さないサイドシールと比較して、サイドシールのシール性が向上する。
図1に示すように、第1実施形態のリニアガイド装置は、案内レール10とスライダ20とサイドシール30とを備えている。スライダ20は、内側に図示しない多数の転動体を保持しているスライダ本体21と、転動体の方向転換路を有するエンドキャップ22とからなる。エンドキャップ22は、スライダ本体21の軸方向(案内レールの長手方向、スライダ運動方向)両端に配置されている。サイドシール30は、エンドキャップ22の軸端部に配置されている。
そのため、この実施形態においても、長手方向(軸方向)と上下方向と左右方向をこの例に沿って説明する。したがって、リニアガイド装置の設置方法がこの例とは異なり、案内レール10の長手方向や上下方向や左右方向に傾斜などの変更が加えられた場合には、その姿勢に倣って各部の方向や傾きを解釈する。
サイドシール30は、図2および図3に示すように、軸方向に重なる複数(この実施形態では2つの)のシール31,32、すなわち、スライダ20側の内側シール31とスライダ20から遠い側の外側シール32を有している。さらに、サイドシール30は、外側シール32のさらに軸方向外側に配置されたカバー33を有する。カバー33は、金属板などの硬質の板からなる。
リップ部34は、図4に示すように、案内レールの上側に配置される上側リップ部34aと、案内レールの左右各側に配置される側方リップ部34bとに分けられる。図6(a)は、図4では見えない面から見たリップ部34の正面図である。図6(b)は図6(a)のA−A断面図である。
保持板35の一面(スライダ20から遠い面)の案内レール10に近い縁に、リップ取付部35aが凹凸状に形成されている。リップ取付部35aに、リップ部34の凹凸状の基部342が嵌まることで、リップ部34が保持板35に保持されている。
また、厚み維持部3bは、後述の固定ねじ4を挿通する穴36やグリースを供給するために開設された穴37の全周を取り囲む環状に形成されている。
一方、サイドシール30の両シール31,32において、厚み維持部3aと薄肉部3dを有する保持板35の面を正面とした場合、その反対の背面は、図5に示すように、後述の突起3eを除いて平面になっている。
また、サイドシール30の両シール31,32の薄肉部3dには、突起3cが形成されている。これに対して、外側シール32の厚み維持部3a,3bが形成された面とは反対側の面(内側シール31側の面)には、内側シール31の突起3cが係合する凹部3fが形成されている。また、カバー33には、外側シール32の突起3cが係合する穴33aが開口している。
このとき、内側シール31は、平面からなる背面がスライダ20の端面に面接触し、内側シール31の凹凸のある正面に外側シール32が接している。この状態で、外側シール32の背面は、内側シール31の厚み維持部3aの先端面に当たっていて、両シール31,32は密着されている。また、外側シール32の背面の縁にある突起3eが、内側シール31の厚み維持部3aに接触し、両シール31,32の外周部で両シール31,32の接触面と外部との間を閉塞している。
このように、両シール31,32の薄肉部3dにより形成された凹状の空間部は、厚み維持部3aとこれに当たっている外側シール32又はカバー33によって閉塞されているから、ここに異物が侵入することはない。
さらに、薄肉部3dで形成された空間部に仮に異物が入り込むことがあっても、その空間部とリップ部34との間にも厚み維持部3aがあって、その内外間を遮断しているから、前記空間部の異物がリップ部34に至ってリップ部34を損傷させることを防止できる。
特に、この実施形態においては、両シール31,32で、リップ取り付け部35aの内側にも厚み維持部3aを設けている。この厚み維持部3aはリップ部34よりも硬質の樹脂により形成されているため、固定ねじ4の締め付け力が過大になったとしても、厚み維持部3aが抵抗になってリップ部34が損傷したり潰れるのを防止することができる。よって、保持板35の反り矯正を目的として、固定ねじ4による充分に強い締め付け力を付与することが可能となる。
これにより、外側シール32の厚み維持部3b付近が固定ねじ4の締め付けで内側シール31側に反るのを防止することができる。この実施形態では、外側シール32が反りやすく、内側シール31は厚み維持部3bがない分だけ剛性が低くなっているから、いずれのシール31,32においても反りの矯正が容易になっている。
この実施形態の保持板35によれば、分断された厚み維持部3a,3bであっても、固定ねじ4による締め付けに充分に耐えることができるとともに、分断により増加した薄肉部3dの分だけシール31,32の剛性が低下するから、シール31,32の保持板35の反りの矯正が容易になる。
図14および図15に示す第2の比較例のサイドシールでは、両シール31,32の保持板35が薄肉部を有さず、保持板35の全体が厚み維持部になっている。このため、硬質の合成樹脂からなる保持板35の剛性はそのまま維持されるから、保持板35に反りが発生すると、固定ねじ4による締め付けでは容易に反りを矯正することができない。
また、シールを構成するリップ部は、図16に示すリップ部34Aのように、リップ343と基部344が別々の材料で形成されていてもよい。例えば、リップ部34Aのリップ343をゴムまたは軟質樹脂製とし、基部344を硬質樹脂または金属製とすることができる。
3d 薄肉部
3e 突起
10 案内レール
20 スライダ
21 スライダ本体
22 エンドキャップ
30 サイドシール
31 内側シール
32 外側シール
33 カバー
34 リップ部
35 保持板
35a リップ取付け部
Claims (9)
- 案内レールとスライダと複数個の転動体を備え、
前記案内レールおよびスライダは、互いに対向配置されて転動体の転動通路を形成する転動面を有し、
前記転動通路を転動する前記転動体を介して、前記スライダが前記案内レールに対して直線運動し、
前記スライダの運動方向両端に、前記案内レールに摺接するリップ部を有するサイドシールが配置されたリニアガイド装置において、
前記サイドシールは、1つ又は複数のシールを有し、
前記シールは、前記リップ部と、このリップ部を保持して前記スライダに装着される硬質樹脂製の保持板とを有し、
前記保持板は、板厚を維持する厚み維持部と、この厚み維持部より薄く剛性が低い薄肉部と、を有し、
前記厚み維持部は、前記保持板の外側の縁のうち少なくとも前記リップ部のない部分に沿って形成され、
前記薄肉部は、前記厚み維持部により外部から閉塞されていることを特徴とするリニアガイド装置。 - 前記保持板は、前記シールを前記スライダに固定するための固定ねじを挿通する穴を有し、この穴の周囲にも、保持板の厚みを維持する厚み維持部が形成されている請求項1に記載のリニアガイド装置。
- 前記穴の周囲の厚み維持部は、前記外側の縁の厚み維持部と同一の厚みを有し、且つ前記穴の全周を取り囲む環状に形成されている請求項2に記載のリニアガイド装置。
- 前記穴の周囲の厚み維持部は、前記外側の縁の厚み維持部と同一の厚みを有し、且つ前記穴の周囲を部分的に取り囲む形状に形成されている請求項2に記載のリニアガイド装置。
- 前記保持板と前記リップ部は別々に形成され、
前記リップ部は、前記保持板の前記案内レールに近い縁に形成されたリップ取付部に保持され、
前記保持板の前記リップ取付部のある縁では、前記リップ取付部より内側に前記リップ取付部に沿って、前記厚み維持部が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のリニアガイド装置。 - 前記サイドシールは、1つ又は複数のシールとカバーとを有し、
前記カバーは硬質材の板からなり、前記シールよりも前記スライダから遠い位置に配置され、
前記サイドシールは、前記カバーと前記シールを貫通して前記スライダに螺合される固定ねじにより、前記スライダに固定されている請求項1記載のリニアガイド装置。 - 前記サイドシールは、前記シールを複数有し、これらのシールが前記スライダの運動方向に沿って互いに接触するように配置されている請求項1記載のリニアガイド装置。
- 前記保持板が有する前記スライダの運動方向に直交する二面のうちの一方の面に凹部を形成することで、前記厚み維持部と前記薄肉部が形成され、他方の面は平面である請求項1または2記載のリニアガイド装置。
- 前記保持板の前記平面の外側の縁に沿って、前記平面から離れる方向に突出する突起を有する請求項8に記載のリニアガイド装置。
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