JP2014129738A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃料噴射制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】噴射量指令値に相当する量の燃料を直噴インジェクタだけでは噴射しきれずにポート噴射インジェクタからも燃料の噴射を行う際、直噴インジェクタの温度上昇が生じることを抑制できるようにする。
【解決手段】直噴インジェクタ7のみで噴射量指令値に相当する量の燃料を噴射している状況のもと、直噴噴射量(噴射量指令値)が直噴インジェクタ7から噴射可能な最大値よりも大きい値になると、次のように噴射量指令値に相当する量の燃料噴射を実現するための噴射処理が実行される。すなわち、直噴噴射量を上記最大値に調整しつつ、ポート噴射量をポート噴射インジェクタ6から噴射可能な最小値と同じかもしくは同最小値よりも大きい値に調整する。そして、上記噴射処理でポート噴射量を上記最小値に調整している期間中には、直噴噴射量を上記最大値に維持して直噴インジェクタ7からの燃料噴射を実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射インジェクタと筒内に燃料を噴射する直噴インジェクタとを備える内燃機関では、噴射量指令値に相当する量の燃料噴射が直噴インジェクタとポート噴射インジェクタとの少なくとも一方によって行われる。また、特許文献1には、噴射量指令値に相当する量の燃料の噴射を直噴インジェクタとポート噴射インジェクタとで分担して行うことが記載されている。詳しくは、直噴インジェクタに供給される燃料の圧力(燃圧)に基づき、その燃圧が低いほど上記噴射量指令値に相当する燃料の噴射におけるポート噴射インジェクタの分担分が多くされる。
ところで、噴射量指令値に相当する量の燃料噴射が直噴インジェクタのみを用いて行われている状況のもと、その直噴インジェクタからの噴射される燃料の量である直噴噴射量(上記噴射量指令値分の燃料量に相当)が、同直噴インジェクタから噴射可能な最大値よりも多くなることがある。このように直噴噴射量が上記最大値を越えて大きい値になる場合、直噴インジェクタだけでは噴射量指令値に相当する量の燃料を噴射しきれないため、その燃料の噴射を直噴インジェクタとポート噴射インジェクタとで分担して行うことが考えられる。
特開2001−336439公報
上述したように、噴射量指令値に相当する量の燃料の噴射を直噴インジェクタとポート噴射インジェクタとで分担して行う場合、ポート噴射インジェクタから噴射される燃料の量であるポート噴射量については、同ポート噴射インジェクタから噴射可能な最小値もしくは同最小値以上とする必要がある。
ただし、直噴噴射量が上記最大値を越えて大きい値になることに起因して、噴射量指令値に相当する量の燃料の噴射を直噴インジェクタとポート噴射インジェクタとで分担して行う際、直噴噴射量の上記最大値に対する増大幅がポート噴射量の上記最小値未満である可能性もある。この場合、ポート噴射量が上記最小値に調整される一方、直噴噴射量が噴射量指令値から上記最小値を減算した値、すなわち上記最大値未満の値に調整されるようになる。
このように直噴噴射量が上記最大値未満の値に調整されると、直噴インジェクタを通過して筒内に噴射される燃料の流量が低下するため、その燃料の通過による直噴インジェクタの冷却効率が低下して同直噴インジェクタの温度上昇が生じる。そして、こうした直噴インジェクタの温度上昇が同直噴インジェクタの強度上の不利に繋がる。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、噴射量指令値に相当する量の燃料を直噴インジェクタだけでは噴射しきれずにポート噴射インジェクタからも燃料の噴射を行う際、直噴インジェクタの温度上昇が生じることを抑制できる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する内燃機関の燃料噴射制御装置は、直噴噴射量が直噴インジェクタから噴射可能な最大値よりも多いとき、その直噴噴射量を上記最大値に調整しつつ、ポート噴射量をポート噴射インジェクタから噴射可能な最小値と同じかもしくは同最小値よりも大きい値に調整することにより、噴射量指令値に相当する量の燃料噴射を実現するための噴射処理を実行する制御部を備える。この制御部は、上記噴射処理でポート噴射量を上記最小値に調整している期間中には、直噴噴射量を上記最大値に維持して直噴インジェクタからの燃料噴射を実行する。この場合、直噴噴射量とポート噴射量との合計値が噴射量指令値よりも小さくなることはないため、それら直噴噴射量とポート噴射量とで噴射量指令値に相当する燃料量を満たすことができる。言い換えれば、噴射量指令値に相当する量の燃料を直噴インジェクタだけでは噴射しきれないとき、その分の燃料がポート噴射インジェクタから噴射される。更に、このときには直噴噴射量が上記最大値に調整されるため、同直噴噴射量が上記最大値未満になることに伴って直噴インジェクタを通過する燃料の流量が低下することを抑制でき、その燃料の流量低下による直噴インジェクタの冷却効率低下に相当する同直噴インジェクタの温度上昇が生じることを抑制できる。
上記制御部は、噴射処理において、直噴噴射量が上記最大値よりも多いときには、直噴インジェクタの温度が判定値以下であることを条件に、直噴噴射量を上記最大値未満の値に減量補正するものであることが好ましい。ここで、直噴噴射量が上記最大値よりも多いとき、その直噴噴射量を上記最大値に調整したとすると、噴射量指令値に相当する量だけ燃料噴射を行うためにポート噴射量を上記最小値未満にしなければならなくなる可能性がある。この場合、ポート噴射量を上記最小値に調整せざるを得ないため、ポート噴射量と直噴噴射量との合計値が噴射量指令値に相当する燃料量に対し多くなり、その分だけ内燃機関の燃費が悪化するおそれがある。しかし、このときには直噴インジェクタの温度が判定値以下という低い値であることを条件に直噴噴射量が上記最大値未満の値に減量補正されるため、それによって直噴噴射量とポート噴射量との合計値が噴射量指令値に相当する燃料量に対し多くなることは抑制され、その燃料の過多に伴う内燃機関の燃費悪化を抑制することができる。なお、直噴噴射量が上記減量補正を通じて上記最大値未満になり、直噴インジェクタを通過する燃料の流量が低下するとしても、このときには直噴インジェクタの温度が上記判定値以下という低い値であるため、上記燃料の流量低下によって直噴インジェクタが過度に高温になることはない。
上記制御部は、噴射処理において、直噴噴射量が上記最大値よりも多いときには、直噴インジェクタの先端部の温度が判定値以下であることを条件に、直噴噴射量を上記最大値未満の値に減量補正するものであることが好ましい。ここで、直噴インジェクタの先端部は液状の燃料が付着しやすい噴孔が存在する部分であり、その部分が高温になることによって噴孔周りに付着した液状の燃料が固化してデポジットとなるおそれがある。この点、上記制御部を通じて直噴噴射量の減量補正が行われるとしても、それに伴って直噴インジェクタの先端部が過度に高温になることはないため、直噴インジェクタの先端部が過度に高温になることに伴って、その先端部にデポジットが付着することを抑制できる。
上記制御部は、直噴噴射量の減量補正後、その直噴噴射量の減量補正量を「0」になるまで徐々に小さくしてゆくものであることが好ましい。この場合、直噴噴射量の減量補正量が急激に「0」とされることに伴って、内燃機関の出力トルクに変動が生じることを抑制できる。
なお、上記噴射量指令値としては、機関運転状態に基づき求められる基本燃料噴射量に対し増量補正を行うことによって得られるものとすることが考えられる。そして、上記噴射量指令値が内燃機関の全負荷状態での燃料噴射量以下である状況のもとでは、同噴射量指令値に相当する量の燃料を、機関運転状態に応じて求められる噴き分け率をもって、ポート噴射インジェクタからの噴射と直噴インジェクタからの噴射とに分けて噴射する噴き分け噴射を行うことが考えられる。また、上記噴射量指令値が内燃機関の全負荷状態での燃料噴射量よりも大きい値である状況のもとでは、噴射量指令値が直噴噴射量の上記最大値以下であれば同直噴噴射量を上記最大値に調整し、噴射量指令値が直噴噴射量の上記最大値よりも大きい値であれば上記制御部による噴射処理を実施することが考えられる。
内燃機関及びその燃料噴射制御装置を示す略図。 (a)〜(c)は、直噴インジェクタのみで噴射量指令値に相当する量の燃料を噴射している状態から直噴噴射量(噴射量指令値 )が最大値を越えて増大したときの直噴噴射量とポート噴射量の合計値の変化、直噴噴射量の変化、及びポート噴射量の変化を示すグラフ。 ポート噴射インジェクタ及び直噴インジェクタを駆動制御する手順を示すフローチャート。 機関回転速度の変化に対する全負荷噴射量、及び直噴インジェクタから噴射可能な燃料量の最大値の推移を示すグラフ。 直噴インジェクタのみで噴射量指令値に相当する量の燃料を噴射している状況のもとでの直噴噴射量の減量補正の実行態様、及び、その減量補正の終了態様を示すタイムチャート。 ポート噴射インジェクタ及び直噴インジェクタを駆動制御する手順を示すフローチャート。 ポート噴射インジェクタ及び直噴インジェクタを駆動制御する手順を示すフローチャート。
[第1実施形態]
以下、自動車に搭載される内燃機関に適用される燃料噴射制御装置の第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1に示される内燃機関1の吸気通路2には、燃焼室3に吸入される空気の量(吸入空気量)を調整すべく開閉動作するスロットルバルブ4が設けられている。このスロットルバルブ4の開度(スロットル開度)は、自動車の運転者によって踏み込み操作されるアクセルペダル5の操作量(アクセル操作量)に応じて調節される。また、内燃機関1は、吸気通路2から燃焼室3の吸気ポート2aに向けて燃料を噴射するポート噴射インジェクタ6と、燃焼室3内(筒内)に燃料を噴射する直噴インジェクタ7とを備えている。
内燃機関1においては、ポート噴射インジェクタ6及び直噴インジェクタ7のうち少なくとも一方から噴射される燃料と吸気通路2を流れる空気とからなる混合気が燃焼室3に充填され、この混合気に対し点火プラグ12による点火が行われる。そして、点火後の混合気が燃焼すると、そのときの燃焼エネルギによりピストン13が往復移動し、それに伴いクランクシャフト14が回転する。一方、燃焼後の混合気は排気として排気通路15に送り出される。
内燃機関1の燃料噴射制御装置は、内燃機関1の各種運転制御を行う電子制御装置16を備えている。この電子制御装置16には、上記各種運転制御に係る各種演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果等が一時記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等が設けられている。
電子制御装置16の入力ポートには、以下に示す各種のセンサ等が接続されている。
・アクセル操作量を検出するアクセルポジションセンサ17。
・スロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ18。
・吸気通路2を通過する空気の量(内燃機関1の吸入空気量)を検出するエアフローメータ19。
・クランクシャフト14の回転に対応した信号を出力するクランクポジションセンサ20。
・内燃機関1の冷却水の温度を検出する水温センサ21。
また、電子制御装置16の出力ポートには、スロットルバルブ4、ポート噴射インジェクタ6、直噴インジェクタ7、及び点火プラグ12といった各種機器の駆動回路等が接続されている。
そして、電子制御装置16は、上記各種センサ等から入力した信号に基づき機関回転速度や機関負荷といった機関運転状態を把握し、その把握した機関運転状態に基づいてスロットルバルブ4、ポート噴射インジェクタ6、直噴インジェクタ7、及び点火プラグ12といった各種機器の駆動回路に対し指令信号を出力する。こうして内燃機関1のスロットル開度制御、燃料噴射制御、及び点火時期制御など、内燃機関1の各種運転制御が電子制御装置16を通じて実施される。ちなみに、上記機関回転速度は、クランクポジションセンサ20からの検出信号に基づき求められる。また、機関負荷は、内燃機関1の吸入空気量に対応するパラメータと上記機関回転速度とから算出される。なお、吸入空気量に対応するパラメータとしては、エアフローメータ19からの検出信号に基づき求められる内燃機関1の吸入空気量の実測値、スロットルポジションセンサ18からの検出信号に基づき求められるスロットル開度、及びアクセルポジションセンサ17からの検出信号に基づき求められるアクセル操作量等があげられる。
次に、内燃機関1におけるポート噴射インジェクタ6や直噴インジェクタ7を用いた燃料噴射制御について説明する。
この燃料噴射制御は、機関回転速度及び機関負荷といった機関運転状態に基づき噴射量指令値Qall を求め、その噴射量指令値Qall に相当する量の燃料をポート噴射インジェクタ6と直噴インジェクタ7との少なくとも一方から噴射させることで実現される。なお、上記噴射量指令値Qall は、機関回転速度及び機関負荷に基づき求められる基本燃料噴射量Qに対し、増量補正値KF分の増量補正を加えることによって求められる。この増量補正値KF分の増量補正は、例えば、内燃機関1における低吸気温時における燃料噴射量の増量や、ノッキング抑制のための点火時期遅角に伴う燃料噴射量の増量のために行われる。
ちなみに、この内燃機関1においては、機関回転速度及び機関負荷に応じて区画された機関運転領域毎に、燃料噴射のために使用されるインジェクタ6,7が選択される。詳しくは、内燃機関1の低回転低負荷運転時には、ポート噴射インジェクタ6から噴射される燃料の量の指令値であるポート噴射量Qiを上記噴射量指令値Qall に設定する。そして、ポート噴射量Qiに相当する量の燃料がポート噴射インジェクタ6から噴射されるよう同インジェクタ6を駆動することにより、ポート噴射インジェクタ6のみから噴射量指令値Qall 分の燃料の噴射を行う。これは、低回転低負荷領域では、ピストン13の移動速度が遅くなる関係から燃焼室3内でのピストン13の移動による空気と燃料との混合が行われにくく、ポート噴射インジェクタ6のみから燃料を噴射して同燃料を吸気ポート2a内で予め空気と混合した後に燃焼室3に吸入することが好ましいためである。
また、内燃機関1の高回転高負荷運転時には、直噴インジェクタ7から噴射される燃料の量の指令値である直噴噴射量Qdを上記噴射量指令値Qall に設定する。そして、直噴噴射量Qdに相当する量の燃料が直噴インジェクタ7から噴射されるよう同インジェクタ7を駆動することにより、直噴インジェクタ7のみから噴射量指令値Qall 分の燃料の噴射を行う。これは、高回転高負荷領域では、直噴インジェクタ7から噴射された燃料の気化潜熱によりピストン13を冷却することが、内燃機関1の吸気充填効率を高めて同内燃機関1の出力を向上するうえで好ましいためである。なお、高回転高負荷領域と低回転低負荷領域との間の領域は、それら二つの領域における両方の特性を有していることから、そうした特性に対応すべくポート噴射インジェクタ6と直噴インジェクタ7との両方からの燃料噴射を行う。
ここで、ポート噴射インジェクタ6と直噴インジェクタ7との両方からの燃料噴射(噴き分け噴射)について詳しく述べる。この噴き分け噴射を行う際には、機関回転速度や機関負荷といった機関運転状態に基づいて求められる噴き分け率Kをもって、噴射量指令値Qall がポート噴射量Qiと直噴噴射量Qdとに分けられる。このように分けられたポート噴射量Qiと直噴噴射量Qdとの合計値は、上記噴射量指令値Qall と等しい値になる。なお、上記噴き分け率Kは、「0%〜100%」という範囲で変化する。この噴き分け率Kが「0%」に近くなるほど、直噴噴射量Qdが大きくなるとともにポート噴射量Qiが小さくなる。一方、上記噴き分け率Kが「100%」に近くなるほど、直噴噴射量Qdが小さくなるとともにポート噴射量Qiが大きくなる。上述したようにポート噴射量Qi及び直噴噴射量Qdが定められると、ポート噴射インジェクタ6からポート噴射量Qiに対応した量の燃料噴射が行われるよう同インジェクタ6が駆動される一方、直噴インジェクタ7から直噴噴射量Qdに対応した量の燃料噴射が行われるよう同インジェクタ7が駆動される。
ところで、内燃機関1の高回転高負荷運転時、噴射量指令値Qall に相当する量の燃料噴射が直噴インジェクタ7のみを用いて行われている状況のもと、その直噴インジェクタ7からの噴射される燃料の量である直噴噴射量Qd(噴射量指令値Qall )が、同直噴インジェクタ7から噴射可能な最大値Qdmaxよりも多くなることがある。例えば、高回転高負荷運転時には噴射量指令値Qall を求めるための基本燃料噴射量Qが多くなり、そうした状況のもとで増量補正値KF分の増量補正が多く行われると、直噴噴射量Qd(噴射量指令値Qall )が多くなる。一方、上記最大値Qdmaxは、機関回転速度の上昇によって直噴インジェクタ7からの燃料噴射が可能な時間、例えば内燃機関1のピストンが吸気上死点から吸気下死点まで移動する際の時間が短くなることから、機関回転速度の上昇に伴って徐々に小さい値になってゆく。以上のことから、内燃機関1の高回転高負荷運転時には、上記直噴噴射量Qd(噴射量指令値Qall )が上記最大値Qdmaxよりも多くなることがある。
このように直噴噴射量Qdが上記最大値Qdmaxを越えて大きい値になる場合、直噴インジェクタ7だけでは噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を噴射しきれないため、その燃料の噴射を直噴インジェクタ7とポート噴射インジェクタ6とで分担して行うことが考えられる。この場合、ポート噴射インジェクタ6から噴射される燃料の量であるポート噴射量Qiについては、同ポート噴射インジェクタ6から噴射可能な最小値Qimin以上、すなわち同最小値Qiminと同じか、同最小値Qiminよりも大きい値とする必要がある。なお、上記最小値Qiminは、ポート噴射インジェクタ6から正確な量の燃料を安定して噴射することが可能な最小の燃料量であり、機関回転速度の上昇に伴って徐々に大きい値になる可変値である。従って、ポート噴射量Qiを上記最小値Qimin以上に調整することにより、ポート噴射インジェクタ6から噴射される燃料の量を正確且つ安定してポート噴射量Qiに調整することができる。
ただし、直噴噴射量Qdが上記最大値Qdmaxを越えて大きい値になることに起因して、噴射量指令値Qall に相当する量の燃料の噴射を直噴インジェクタ7とポート噴射インジェクタ6とで分担して行う際、直噴噴射量Qdの上記最大値Qdmaxに対する増大幅がポート噴射量Qiの上記最小値Qimin未満である可能性もある。この場合、ポート噴射量Qiと直噴噴射量Qdとの合計値を噴射量指令値Qall に合わせようとすると、ポート噴射量Qiが上記最小値Qiminに調整される一方、直噴噴射量Qdが噴射量指令値Qall から上記最小値Qiminを減算した値、すなわち上記最大値Qdmax未満の値に調整されるようになる。このように直噴噴射量Qdが上記最大値Qdmax未満の値に調整されると、直噴インジェクタ7を通過して筒内(燃焼室3内)に噴射される燃料の流量が低下するため、その燃料の通過による直噴インジェクタ7の冷却効率が低下して同直噴インジェクタ7の温度上昇が生じる。そして、こうした直噴インジェクタ7の温度上昇が同直噴インジェクタ7の強度上の不利に繋がる。
こうした直噴インジェクタ7の温度上昇を抑制するため、本実施形態の燃料噴射制御装置では、直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxよりも多いとき、直噴噴射量Qdを最大値Qdmaxに調整しつつ、ポート噴射量Qiを最小値Qiminと同じか同最小値Qiminよりも大きい値に調整する。このときの電子制御装置16は、上述した状況下で噴射量指令値Qall に相当する量の燃料噴射を実現するための噴射処理を実行する制御部として機能する。更に、電子制御装置16を通じて行われる上記噴射処理でポート噴射量Qiに調整している期間中には、直噴噴射量Qdを最大値Qdmaxに維持した状態で直噴インジェクタ7からの燃料噴射を実行する。
次に、本実施形態における燃料噴射制御装置の動作について説明する。
図2(a)〜(c)は、直噴インジェクタ7のみで噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を噴射している状態から直噴噴射量Qd(噴射量指令値Qall )が最大値Qdmaxを越えて増大したときの直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiとの合計値の変化、直噴噴射量Qdの変化、及びポート噴射量Qiの変化をそれぞれ示している。
直噴インジェクタ7のみで噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を噴射している状況のもと、例えば機関負荷が所定値KLa以上になって噴射量指令値Qall が最大値Qdmaxよりも大きい値になると、直噴噴射量Qdだけでは噴射量指令値Qall に相当する燃料量を満たすことができなくなる。このため、噴射量指令値Qall が最大値Qdmaxを越えて多くなると、ポート噴射インジェクタ6からの燃料噴射が開始される。
ここで、機関負荷が所定値KLaから所定値KLbまでの範囲内の値であるときには、直噴噴射量Qdを最大値Qdmaxに調整したとすると、ポート噴射量Qiで噴射量指令値Qall に相当する燃料量を満たすために必要な燃料量は、図2(c)の二点鎖線で示すように最小値Qimin未満になる。しかし、ポート噴射量Qiが最小値Qimin未満になると、ポート噴射インジェクタ6から噴射される燃料の量を正確且つ安定した値に調整することができないため、このときにはポート噴射量Qiが最小値Qiminに調整される。このため、機関負荷が所定値KLaから所定値KLbまでの範囲内の値であるときには、ポート噴射量Qiが図2(c)に実線で示すように必要量(二点鎖線)に対し所定値Aだけ多くなる。その結果、機関負荷が所定値KLaから所定値KLbまでの範囲内の値であるときには、直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiとの合計値も、図2(a)に二点鎖線で示す噴射量指令値Qall に対し所定値Aだけ大きい値になる。
上述したように機関負荷が所定値KLaから所定値KLbまでの範囲内の値であるとき、直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiとの合計値を噴射量指令値Qall に合わせ込むため、仮に直噴噴射量Qdを図2(b)の二点鎖線で示すように最大値Qdmaxから所定値Aだけ減量補正したとすると、上述した問題が生じることは避けられない。すなわち、直噴インジェクタ7内を流れる燃料の流量低下に伴い、同燃料による直噴インジェクタ7の冷却効率が低下して同直噴インジェクタ7の温度が上昇し、その温度の上昇が直噴インジェクタ7の強度上の不利に繋がるという問題が生じる。しかし、機関負荷が所定値KLaから所定値KLbまでの範囲内の値であるとき、言い換えればポート噴射量Qiが最小値Qiminに調整されている期間中には、図2(b)に実線で示すように直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxに維持されるため、上述した直噴インジェクタ7の温度上昇を抑制することができる。
なお、機関負荷が所定値KLaから所定値KLbまでの範囲内の値になるときであって、ポート噴射量Qiが最小値Qiminに調整されている期間中に、直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxに維持すると、直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiの合計値が図2(a)に示すように噴射量指令値Qall (二点鎖線)よりも大きい値にはなる。しかし、直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiとの合計値が噴射量指令値Qall よりも小さくなることはないため、それら直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiとで噴射量指令値Qall に相当する燃料量を満たすことができる。言い換えれば、噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を直噴インジェクタ7だけでは噴射しきれないとき、その分の燃料がポート噴射インジェクタ6から噴射される。
図3は、ポート噴射インジェクタ6及び直噴インジェクタ7を駆動制御するための燃料噴射ルーチンを示すフローチャートである。この燃料噴射ルーチンは、電子制御装置16を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。
電子制御装置16は、ステップ101(S101)の処理として、機関回転速度及び機関負荷といった機関運転状態に基づき基本燃料噴射量Qを算出する。その後、電子制御装置16は、S102の処理として、内燃機関1における低吸気温時における燃料噴射量の増量や、ノッキング抑制のための点火時期遅角に伴う燃料噴射量の増量のための増量補正値KFを大気温や点火時期の遅角量に基づいて算出する。更に、電子制御装置16は、S103の処理として、基本燃料噴射量Qに対し増量補正値KF分の増量補正を加えることにより噴射量指令値Qall を算出する。
燃料噴射ルーチンにおけるS104の処理は、直噴インジェクタ7のみからの燃料噴射が実施され、且つ、直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxを超えて大きくなる可能性のある機関運転状態であるか否かを判断するためのものである。電子制御装置16は、このS104の処理として、噴射量指令値Qall が内燃機関1の全負荷状態での総燃料噴射量である全負荷噴射量Qwot よりも大きいか否かを判断する。なお、ここで用いられる全負荷噴射量Qwotは、機関回転速度に基づき求められるものであり、その機関回転速度の変化に対し例えば図4に実線L1で示すように変化する。そして、S104で否定判定であれば、直噴インジェクタ7のみからの燃料噴射が実施され、且つ、直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxを超えて大きくなる可能性のある機関運転状態ではない旨判断され、S105に進む。電子制御装置16は、S105の処理として、通常どおりの噴き分け噴射を実行する。一方、S104で肯定判定であれば、直噴インジェクタ7のみからの燃料噴射が実施され、且つ、直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxを超えて大きくなる可能性のある機関運転状態である旨判断され、S106に進む。
電子制御装置16は、S106の処理として、噴射量指令値Qall が最大値Qdmaxよりも大きい値であるか、言い換えれば噴射量指令値Qall に相当する燃料を直噴インジェクタ7のみから噴射したときに直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxよりも多くなるか否かを判断する。なお、ここで用いられる最大値Qdmaxは、機関回転速度に基づき求められるものであり、その機関回転速度の変化に対し例えば図4に実線L2で示すように変化する。上記S106で否定判定であれば、S107に進んで直噴噴射量Qdを噴射量指令値Qall に調整する。電子制御装置16は、続くS111の処理で同直噴噴射量Qd(噴射量指令値Qall )に相当する量の燃料を直噴インジェクタ7から噴射させ、その後に燃料噴射ルーチンを一旦終了する。
一方、S106で肯定判定であれば、S108に進んで直噴噴射量Qdを最大値Qdmaxに調整し、更にポート噴射量Qiを噴射量指令値Qall から直噴噴射量Qd(最大値Qdmax)を減算した値(「Qall −Qdmax」)に調整する。その後、電子制御装置16は、S109の処理として、ポート噴射量Qi(「Qall −Qdmax」)が最小値Qimin以上であるか否かを判断する。このS109で肯定判定であれば、電子制御装置16は、S111の処理で上記直噴噴射量Qd(最大値Qdmax)に相当する量の燃料を直噴インジェクタ7から噴射させるとともに、上記ポート噴射量Qi(「Qall −Qdmax」)に相当する量の燃料をポート噴射インジェクタ6から噴射させ、その後に燃料噴射ルーチンを一旦終了する。一方、S109の処理で否定判定であれば、電子制御装置16は、S110でポート噴射量Qiを最小値Qiminに調整する。電子制御装置16は、S111の処理で上記直噴噴射量Qd(最大値Qdmax)に相当する量の燃料を直噴インジェクタ7から噴射させるとともに、上記ポート噴射量Qi(最小値Qimin)に相当する量の燃料をポート噴射インジェクタ6から噴射させ、その後に燃料噴射ルーチンを一旦終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)直噴インジェクタ7のみで噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を噴射している状況のもと、直噴噴射量Qd(噴射量指令値Qall )が最大値Qdmaxよりも大きい値になると、次のように噴射量指令値Qall に相当する量の燃料噴射を実現するための噴射処理が実行される。すなわち、直噴噴射量Qdを最大値Qdmaxに調整しつつ、ポート噴射量Qiを最小値Qiminと同じかもしくは同最小値Qiminよりも大きい値に調整することにより、直噴インジェクタ7から直噴噴射量Qd(最大値Qdmax)分の燃料が噴射されるとともに、ポート噴射インジェクタ6からポート噴射量Qi(最小値Qimin以上)分の燃料が噴射される。そして、上記噴射処理でポート噴射量Qiを最小値Qiminに調整している期間中には、直噴噴射量Qdを最大値Qdmaxに維持して直噴インジェクタ7からの燃料噴射を実行する。この場合、直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiとの合計値が噴射量指令値Qall よりも小さくなることはないため、それら直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiとで噴射量指令値Qall に相当する燃料量を満たすことができる。言い換えれば、噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を直噴インジェクタ7だけでは噴射しきれないとき、その分の燃料がポート噴射インジェクタ6から噴射される。更に、このときには直噴噴射量Qdが上記最大値Qdmax に調整されるため、同直噴噴射量Qdが上記最大値Qdmax未満になることに伴って直噴インジェクタ7を通過する燃料の流量が低下することを抑制でき、その燃料の流量低下による直噴インジェクタ7の冷却効率低下に相当する同直噴インジェクタ7の温度上昇が生じることを抑制できる。従って、こうした直噴インジェクタ7の温度上昇が同直噴インジェクタ7の強度上の不利に繋がることを抑制できる。
[第2実施形態]
次に、内燃機関の燃料噴射制御装置の第2実施形態について、図5〜図7を参照して説明する。
この実施形態では、直噴インジェクタ7のみで噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を噴射している状況のもと、直噴噴射量Qd(噴射量指令値Qall )が最大値Qdmaxよりも大きい値になると、次のように噴射量指令値Qall に相当する量の燃料噴射を実現するための噴射処理が実行される。すなわち、直噴インジェクタ7の温度(例えば先端部の温度)が判定値以下であることを条件に、直噴噴射量Qdが最大値Qdmax未満の値に減量補正されるよう、同直噴噴射量Qdに対し減量補正量QK分の減量補正が施される。更に、減量補正後の直噴噴射量Qdで直噴インジェクタ7からの燃料噴射を行っても、噴射量指令値Qall に相当する燃料量に満たない分については、ポート噴射インジェクタ6からの燃料噴射で補われる。なお、このときのポート噴射量Qiは、少なくとも最小値Qiminとされる。
ここで、上述したように直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxよりも多くなったとき、仮に直噴噴射量Qdを最大値Qdmaxに調整したとすると、噴射量指令値Qall に相当する量だけ燃料噴射を行うためにポート噴射量Qiを最小値Qimin未満にしなければならなくなる可能性がある。この場合、ポート噴射量Qiを上記最小値Qiminに調整せざるを得ないため、ポート噴射量Qiと直噴噴射量Qdとの合計値が噴射量指令値Qall に相当する燃料量に対し過多となり、その分だけ内燃機関1の燃費が悪化するおそれがある。
こうしたことに対処するため、上述したように上述したように直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxよりも多くなったときには、減量補正量QKによって直噴噴射量Qdが上記最大値Qdmax未満の値に減量補正される。これにより、ポート噴射量Qiが最小値Qiminに調整されたときの直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiとの合計値が、噴射量指令値Qall に相当する燃料量に対し過多となることは抑制され、上記燃料量の過多に伴う内燃機関1の燃費悪化が抑制される。なお、直噴噴射量Qdが減量補正量QKによる上記減量補正を通じて上記最大値Qdmax未満になり、直噴インジェクタ7を通過する燃料の流量が低下するとしても、このときには直噴インジェクタ7の先端部の温度が上記判定値以下という低い値であるため、上記燃料の流量低下によって直噴インジェクタ7が過度に高温になることはない。
また、上記直噴噴射量Qdの減量補正後、噴射量指令値Qall が最大値Qdmax以下になると、直噴噴射量Qdにおける減量補正量QKが「0」になるまで徐々に小さくされる。このように減量補正量QKが「0」になるまで徐々に小さくされる過程では、その減量補正量QKによる減量補正後の直噴噴射量Qdが噴射量指令値Qall よりも小さい値になる。この場合、減量補正後の直噴噴射量Qdで直噴インジェクタ7からの燃料噴射を行っても噴射量指令値Qall に相当する燃料量に満たない分については、ポート噴射インジェクタ6からの燃料噴射で補われる。なお、このときのポート噴射量Qiについても、上記と同様少なくとも最小値Qiminとされる。
図5は、直噴インジェクタ7のみで噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を噴射している状況のもとでの上述した直噴噴射量Qdの減量補正量QK分の減量補正の実行態様、及び、その減量補正の終了態様の一例を示したタイムチャートである。
直噴インジェクタ7のみで噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を噴射している状況では、直噴噴射量Qdと噴射量指令値Qall とが等しくなる。この直噴噴射量Qd(噴射量指令値Qall )が増加して最大値Qdmaxを越えて多くなると(タイミングT1)、直噴インジェクタ7の先端部の温度が判定値未満という低い値であることを条件に、直噴噴射量Qdが減量補正量QK分だけ減量補正される。そして、この減量補正後に噴射量指令値Qall が最大値Qdmax以下になったとすると、減量補正量QKが「0」になるまで徐々に小さくされる。その結果、減量補正量QKによる減量補正後の直噴噴射量Qdが、図中に実線で示すように最大値Qdmax に向けて徐々に多くなってゆき、タイミングT2にて最大値Qdmaxに到達する。
図6及び図7は、本実施形態の燃料噴射ルーチンを示すフローチャートである。この燃料噴射ルーチンも、電子制御装置16を通じて、例えば所定時間毎の時間割り込みにて周期的に実行される。この燃料噴射ルーチンにおいては、第1実施形態の燃料噴射ルーチン(図4)おけるS101〜S106、S108〜S110、S107、S111に相当する処理(S201〜S206、S208〜S210、S218、S219)が実行されるとともに、同燃料噴射ルーチンに対しS207及びS211〜217の処理が追加されている。
図6に示す燃料噴射ルーチンでは、基本燃料噴射量Qの算出(S201)、増量補正値KFの算出(S202)、及び噴射量指令値Qall の算出(S203)が順に行われる。そして、噴射量指令値Qall が全負荷噴射量Qwot 以下であれば(S204:NO)、通常どおりの噴き分け噴射が実行される(S205)。一方、噴射量指令値Qall が全負荷噴射量Qwot よりも多ければ(S204:YES)、噴射量指令値Qall が最大値Qdmaxよりも大きい値であるか否かが判断される(S206)。ここで肯定判定であればS207に進む。
電子制御装置16は、S207の処理として、直噴インジェクタ7の先端部の温度が判定値以下であるか否かを判断する。直噴インジェクタ7の先端部の温度については、水温センサ21によって検出される内燃機関1の冷却水の温度、及び、機関回転速度や機関負荷といった機関運転状態に基づいて推定することが可能である。また、上記判定値としては、直噴インジェクタ7の先端部の温度が同先端部周りでのデポジットの付着や直噴インジェクタ7の強度上の不利に繋がるほど高い値でないことを的確に判断可能な値に設定されている。
S207で否定判定がなされると、すなわち直噴インジェクタ7の先端部の温度が判定値よりも高い旨判断されると、電子制御装置16は、S208の処理として、直噴噴射量Qdを最大値Qdmaxに調整し、更にポート噴射量Qiを噴射量指令値Qall から直噴噴射量Qd(最大値Qdmax)を減算した値(「Qall −Qdmax」)に調整する。その後、電子制御装置16は、S209の処理として、ポート噴射量Qi(「Qall −Qdmax」)が最小値Qimin以上であるか否かを判断する。このS209で肯定判定であれば、電子制御装置16は、S219の処理で上記直噴噴射量Qd(最大値Qdmax)に相当する量の燃料を直噴インジェクタ7から噴射させるとともに、上記ポート噴射量Qi(「Qall −Qdmax」)に相当する量の燃料をポート噴射インジェクタ6から噴射させ、その後に燃料噴射ルーチンを一旦終了する。
一方、S207で肯定判定がなされると、すなわち直噴インジェクタ7の先端部の温度が判定値以下という低い値である旨判断されると、S211の処理に進む。このS211の処理は、直噴噴射量Qdを最大値Qdmax未満の値に減量補正するとともに、その減量補正後の直噴噴射量Qdに基づきポート噴射量Qiを算出するためのものである。電子制御装置16は、S211の処理として、噴射量指令値Qall から削減量dQdを減算した値に直噴噴射量Qdを調整する。なお、上記削減量dQdは、噴射量指令値Qall 、最大値Qdmax、及び上記減量補正量QKに基づき、次の式「dQd=Qall −Qdmax+QK」を用いて算出される。ここで用いられる減量補正量QKは、直噴インジェクタ7の先端部の温度と上記判定値との乖離に基づき、その乖離が大きいほど大きい値となるよう可変設定される。これは、直噴インジェクタ7の先端部の温度が上記判定値に対して低いほど、直噴噴射量Qdを大幅に減量しても直噴インジェクタ7にデポジットの付着や強度上の不利といった問題が生じにくいためである。更に、電子制御装置16は、ポート噴射量Qiを噴射量指令値Qall から直噴噴射量Qd(「Qall−dQd」)を減算した値に調整する。その後、電子制御装置16は、上述したS209、S210、S219の処理を実行し、燃料噴射ルーチンを一旦終了する。
上記S206で否定判定がなされると、すなわち噴射量指令値Qall が最大値Qdmax以下である旨判断されると、上記減量補正量QKを「0」になるまで徐々に小さくするための減少処理が実行される。詳しくは、電子制御装置16は、図7のS212の処理として、上記減少処理が実行されているか否かを判断するためのフラグFが「0(未実行)」であるか否かの判断を行う。上記減量補正量QKによる直噴噴射量Qdの減量補正が行われた後に初めてS212に進んだとき、もしくは上記減量補正量QKによる直噴噴射量Qdの減量補正が行われていないときにS212に進んだときには、フラグFが「0」であることからS213に進む。電子制御装置16は、S213の処理として、前回算出された噴射量指令値Qall が最大値Qdmax以下であったか否かを判断する。ここで否定判定であれば、上記減量補正量QKによる直噴噴射量Qdの減量補正が行われていないときにS212に進んだと判断できることから、S218に進んで直噴噴射量Qdを噴射量指令値Qall に調整する。その後、図6のS219に進む。
一方、図7のS213で前回算出された噴射量指令値Qall が最大値Qdmaxよりも大きい値である旨判断されると、上記減量補正量QKによる直噴噴射量Qdの減量補正が行われているときにS212に進んだ可能性があると判断できるため、S214に進んでフラグFを「1(実行)」に設定し、その後にS215以降の処理を実行する。なお、フラグFが「1」に設定されると、次回のS212の処理では否定判定がなされることから、S213、S214をスキップして直接S215に進むようになる。このS215以降の処理は、減量補正量QKを「0」に向けて徐々に小さくしてゆくためのものである。詳しくは、電子制御装置16は、S215の処理として減量補正量QKを徐々に「0」に向けて小さくしてゆき、S216の処理として減量補正量QKが「0」であるか否かを判断する。そして、減量補正量QKが「0」まで小さくなると、電子制御装置16は、S217の処理としてフラグFを「0」にリセットする。その後、図6のS211に進む。
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(2)直噴インジェクタ7のみで噴射量指令値Qall に相当する量の燃料を噴射している状況のもと、直噴噴射量Qdが最大値Qdmaxよりも多くなって同直噴噴射量Qdを最大値Qdmaxに調整したとすると、噴射量指令値Qall に相当する量だけ燃料噴射を行うためにポート噴射量Qiを最小値Qimin未満にしなければならなくなる可能性がある。この場合、ポート噴射量Qiを上記最小値Qiminに調整せざるを得ないため、ポート噴射量Qiと直噴噴射量Qdとの合計値が噴射量指令値Qall に相当する燃料量に対し過多となり、その分だけ内燃機関1の燃費が悪化するおそれがある。しかし、このときには直噴インジェクタ7の先端部の温度が判定値以下という低い値であることを条件に、直噴噴射量Qdが上記最大値Qdmax未満の値に減量補正される。これにより、直噴噴射量Qdとポート噴射量Qiとの合計値が噴射量指令値Qall に相当する燃料量に対し過多となることは抑制され、その過多に伴う内燃機関1の燃費悪化を抑制することができる。なお、直噴噴射量Qdが上記減量補正を通じて上記最大値Qdmax未満になり、直噴インジェクタ7を通過する燃料の流量が低下するとしても、このときには直噴インジェクタ7の先端部の温度が上記判定値以下という低い値であるため、上記燃料の流量低下によって直噴インジェクタ7が過度に高温になることはない。
(3)直噴インジェクタ7の先端部は液状の燃料が付着しやすい噴孔が存在する部分であり、その部分が高温になることによって噴孔周りに付着した液状の燃料が固化してデポジットとなるおそれがある。この点、上記直噴噴射量Qdの減量補正量QK分の減量補正が行われるとしても、それに伴って直噴インジェクタ7の先端部が過度に高温になることはない。このため、直噴インジェクタ7の先端部が過度に高温になることに伴って、その先端部にデポジットが付着することを抑制できる。
(4)直噴噴射量Qdの上記減量補正量QK分の減量補正が行われた後、その減量補正量QKは「0」になるまで徐々に小さくされるため、直噴噴射量Qdの減量補正量が急激に「0」とされることに伴って内燃機関1の出力トルクに変動が生じることを抑制できる。
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・第2実施形態において、必ずしも減量補正量QKを「0」になるまで徐々に小さくする必要はなく、減量補正量QKを「0」まで急速に小さくすることも可能である。
・第2実施形態において、直噴インジェクタ7の温度として同インジェクタ7の先端部の温度を例示したが、その先端部以外の温度を採用してもよい。
・第2実施形態において、直噴インジェクタ7の温度については、必ずしも内燃機関1の冷却水の温度及び機関運転状態に基づく推定値である必要はなく、センサ等により測定される実測値であってもよい。
1…内燃機関、2…吸気通路、2a…吸気ポート、3…燃焼室、4…スロットルバルブ、5…アクセルペダル、6…ポート噴射インジェクタ、7…直噴インジェクタ、12…点火プラグ、13…ピストン、14…クランクシャフト、15…排気通路、16…電子制御装置、17…アクセルポジションセンサ、18…スロットルポジションセンサ、19…エアフローメータ、20…クランクポジションセンサ、21…水温センサ。

Claims (5)

  1. 吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射インジェクタと筒内に燃料を噴射する直噴インジェクタとを備える内燃機関に適用され、それら直噴インジェクタとポート噴射インジェクタとの少なくとも一方により噴射量指令値に相当する量の燃料噴射を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記直噴インジェクタから噴射される燃料の量である直噴噴射量が同直噴インジェクタから噴射可能な最大値よりも多いとき、前記直噴噴射量を前記最大値に調整しつつ、前記ポート噴射インジェクタから噴射される燃料の量であるポート噴射量を同ポート噴射インジェクタから噴射可能な最小値と同じか同最小値よりも大きい値に調整することにより、前記噴射量指令値に相当する量の燃料噴射を実現するための噴射処理を実行する制御部を備え、
    前記制御部は、前記噴射処理で前記ポート噴射量を前記最小値に調整している期間中には、前記直噴噴射量を前記最大値に維持して前記直噴インジェクタからの燃料噴射を実行する
    ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記制御部は、前記直噴噴射量が前記最大値よりも多いとき、前記直噴インジェクタの温度が判定値以下であることを条件に、前記直噴噴射量を前記最大値未満の値に減量補正する
    請求項1記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記制御部は、前記直噴噴射量が前記最大値よりも多いとき、前記直噴インジェクタの先端部の温度が判定値以下であることを条件に、前記直噴噴射量を前記最大値未満の値に減量補正する
    請求項2記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 前記制御部は、前記直噴噴射量の減量補正後、その直噴噴射量の減量補正量を「0」になるまで徐々に小さくしてゆく
    請求項2又は3記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記噴射量指令値は、機関運転状態に基づき求められる基本燃料噴射量に対し増量補正を行うことによって得られるものであり、
    前記噴射量指令値が内燃機関の全負荷状態での燃料噴射量以下である状況のもとでは、同噴射量指令値に相当する量の燃料を、機関運転状態に応じて求められる噴き分け率をもって、前記ポート噴射インジェクタからの噴射と前記直噴インジェクタからの噴射とに分けて噴射する噴き分け噴射を行い、
    前記噴射量指令値が内燃機関の全負荷状態での燃料噴射量よりも大きい値である状況のもとでは、前記噴射量指令値が前記直噴噴射量の最大値以下であれば同直噴噴射量を前記最大値に調整し、前記噴射量指令値が前記直噴噴射量の最大値よりも大きい値であれば前記制御部による噴射処理を実施する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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