JP2014129495A - 使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法 - Google Patents

使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、使用済み切削油組成物とシリコンインゴットの切断により生じた切削粉末とを含む排油液から、高い分離効率で切削粉末を容易に分離でき、切削油組成物のリサイクル性の向上を可能とした使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法を提供する。
【解決手段】使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法であって、使用前の前記切削油組成物は、特定のポリエーテル化合物(成分A)25質量%以上75質量%以下と、特定の界面活性剤(成分B)1質量%以上9質量%以下と、水(成分C)とを含有し、排油液から少なくとも切削粉末を除去する粉末除去工程が、pHが6.0以上9.0以下の範囲内にある排油液中の切削粉末を排油液中の他の成分から分離する工程を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法に関する。
従来、砥粒を利用してワイヤソーでシリコンインゴット等を切断するときに用いる切削油組成物として、ポリエーテル化合物を油分として含有するものが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
近年、環境対応、経済性の向上の観点から、使用済み切削油組成物の廃棄処理について、容易化することが試みられている。また、環境性、生産性及び経済性の向上観点から、使用済み切削油組成物を再利用することが試みられている。例えば、下記特許文献3、特許文献4には、遠心分離により砥粒やインゴットの切削粉末などの分散物と切削油組成物とを分離し、切削油組成物を再利用することが開示されている。
一方、遊離砥粒ワイヤソーに代わり固定砥粒ワイヤソーを用いたシリコンインゴット等を切断する方法が知られている。この方法は、インゴットの切しろを少なくすることができるためインゴットを有効に使用することができるという利点を有する。また、切削油組成物中に砥粒が混入しないことから、この方法は、切削時の切削油組成物の粘度などの性状が変わりにくくウエハを安定して生産でき、かつウエハの洗浄も容易となるため、遊離砥粒ワイヤソーを用いた切断方法より有利である。
特開平11−286693号公報 特開平11−323376号公報 特開平01−316170号公報 特開2003−340719号公報
しかし、シリコンインゴットの切断に固定砥粒ワイヤソーを用いた場合でも、シリコンインゴットの切削粉末は切削油組成物中に混入するために、廃棄処理や再利用する場合には前記切削粉末を切削油組成物中から除去する作業が必要である。一般的な除去方法である遠心分離法では、シリコンの切削粉末を沈降させて分離し、切削油組成物をリサイクルしているが、小粒径の切削粉末は強力な遠心力をかけても沈降せず分離できないため、切削油組成物中に小粒径の切削粉末が蓄積し続け、リサイクル回数が増えてくると、シリコンインゴットの切削に悪影響を及ぼす。このため、リサイクル回数が限られることが課題であった。
本発明は、使用済み切削油組成物とシリコンインゴットの切断により生じた切削粉末とを含む排油液から、切削粉末を高い分離効率で容易に分離でき、切削油組成物のリサイクル性の向上を可能とした使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法を提供する。
本発明の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法は、
固定砥粒ワイヤソーによるシリコンインゴットの切断に使用された、使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法であって、
使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物は、
下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物、及び下記一般式(2)で表されるポリエーテル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエーテル化合物(成分A)を25質量%以上75質量%以下と、
炭素数が12以上22以下の炭化水素基を有するHLBが17.0以上20.0以下の非イオン性界面活性剤、及び下記一般式(3)で表されるカチオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(成分B)を1質量%以上9質量%以下と、
水(成分C)と、を含有し、
前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を用いた前記固定砥粒ワイヤソーによるシリコンインゴットの切断で生じた、使用済み前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物と前記シリコンインゴットの切削粉末とを含む排油液から、少なくとも前記切削粉末を除去する粉末除去工程を含み、
前記粉末除去工程が、
pHが6.0以上9.0以下の範囲内にある前記排油液中の切削粉末を、前記排油液中の他の成分から分離する工程を含む。
[化1]
1−O−(AO)n−R1` (1)
ただし、上記一般式(1)中、R1は炭素数が1以上8以下の水酸基を含んでもよい炭化水素基、R1`は水素原子又はメチル基、AOは炭素数が2以上4以下のオキシアルキレン基、nはAOの平均付加モル数であって2以上20以下を表す数である。
Figure 2014129495
ただし、上記一般式(2)中、AOは炭素数が2以上4以下のオキシアルキレン基、m1、m2及びm3は各々AOの平均付加モル数であり、m1とm2とm3の総和は1以上20以下を表す数である。
Figure 2014129495
ただし、上記一般式(3)中、R2は炭素数が12以上22以下の炭化水素基、R3は炭素数が1以上22以下の炭化水素基、X-は1価の陰イオンである。
本発明では、使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物とシリコンインゴットの切断により生じた切削粉末とを含む排油液から、切削粉末を高い分離効率で容易に分離でき、固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物のリサイクル性の向上を可能とした使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法を提供する。
本発明では、下記詳述する特定のポリエーテル化合物を含む固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物に、下記詳述する特定の界面活性剤が含まれており、且つ、排油液のpHが6以上9以下の範囲内の値であるので、使用済みの固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物と切削粉末とを含む排油液から切削粉末を、高い分離効率で容易に除去できる。
より詳細には、本発明の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物(以下、「固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物」を単に「切削油組成物」と称する場合もある。)の再生方法では、排油液のpHが6以上9以上の範囲内の値であることによって、シリコンインゴットの切断により生じた切削粉末の表面が水酸基を有し、さらに前記特定の界面活性剤の疎水部分が疎水性相互作用により切削粉末の疎水部分に吸着して切削粉末が界面活性剤の親水基によって親水化される。従って、排油液中の切削粉末は、高度に親水化された状態にある。そのため、油分であるポリエーテル化合物と水が存在する排油液中では、切削粉末は、エネルギー的に有利となるように凝集する。故に、本発明の使用済み切削油組成物の再生方法では、切削粉末の粒子径が小さくても、高遠心分離処理を用いることなく、例えば、切削油組成物の曇点を利用した分離方法や、静置等の方法によっても、高い分離効率で排油液中の他の成分から切削粉末を分離できる。また、遠心分離機を用いる場合は、従来よりも弱い遠心力で、排油液中の他の成分から切削粉末を分離できる。このように、本発明の使用済み切削油組成物の再生方法では、排油液からの切削粉末の分離効率が高く、故に、再生処理を経て繰り返し使用される切削油組成物中における小粒径の切削粉末の蓄積が抑制されるので、pHが6以上9以下の範囲外の排油液に対して再生処理を行う場合よりも切削油組成物のリサイクル性が向上している。但し、本発明はこれらの推定に限定されない。
本明細書において「リサイクル性」が向上するとは、使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物のリサイクル回数が増えることを意味し、「リサイクル回数」とは、排油液から切削粉末を除去等する再生方法を適用することにより使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物をシリコンインゴットの切削に悪影響を及ぼさない品質へ戻すことができる回数を意味する。
[固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物]
本発明に係る切削油組成物は、固定砥粒ワイヤソーによるシリコンインゴットの切断に使用される切削油組成物であり、下記の特定のポリエーテル化合物(成分A)と、特定の界面活性剤(成分B)と、水(成分C)とを含む。
(成分A:ポリエーテル化合物)
本発明に係る切削油組成物は、固定砥粒ワイヤソー(以下、単に「ワイヤソー」と称する場合もある。)によるシリコンインゴットの切断により得られる、切削油組成物が付着したシリコンインゴットのスライス品の洗浄の容易化、ワイヤソーの切断性能の向上、及び切削粉末の分離効率向上の観点から、下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物、及び下記一般式(2)で表されるポリエーテル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエーテル化合物(成分A)を含有する。
[化4]
1−O−(AO)n−R1` (1)
Figure 2014129495
ただし、上記一般式(1)中、R1は炭素数が1以上8以下の水酸基を含んでもよい炭化水素基、R1`は水素原子又はメチル基、AOは炭素数が2以上4以下のオキシアルキレン基、nはAOの平均付加モル数であって2以上20以下を表す数である。
成分Aに一般式(1)で表されるポリエーテル化合物が含まれる場合、一般式(1)で表されるポリエーテル化合物は、成分Aに1種のみ含まれていてもよいが、複数種含まれていてもよい。
前記一般式(1)中のR1(炭化水素基)の炭素数は、ワイヤソーの切断性能の向上の観点から、1以上であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、スライス品の洗浄の容易化の観点から、8以下であり、5以下が好ましい。また、前記一般式(1)中のR1(炭化水素基)の炭素数は、切削粉末の分離効率向上の観点から、1以上が好ましく、2以上が好ましく、切削油組成物の低発泡化の観点から、6以下が好ましく、4以下がより好ましい。
1(炭化水素基)は、脂肪族及び芳香族のいずれの基であってもよいが、成分Aの水への溶解性向上の観点から、脂肪族が好ましい。脂肪族においては、飽和及び不飽和のいずれの基であってもよく、直鎖及び分岐鎖のいずれの基であってもよい。R1としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられるが、なかでも、切削粉末の分離効率向上及び切削油組成物の低発泡化の観点から、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が好ましく、プロピル基、ブチル基及びイソブチル基がより好ましく、プロピル基及びブチル基が更に好ましい。R1`は水素原子又はメチル基であり、成分Aの水への分散性向上の観点から、水素原子が好ましい。
前記一般式(1)中のAOは、水との親和性及び切削粉末の分離効率向上の観点から、炭素数が2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基(EO))、炭素数が3のオキシアルキレン基(オキシプロピレン基(PO))、及び炭素数が4のオキシアルキレン基(オキシブチレン基(BO))からなる群から選ばれる少なくとも1種であるが、同様の観点から、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましく、オキシプロピレン基を有することがより好ましい。
前記一般式(1)中のnは、切削粉末の分離効率向上及びスライス品の洗浄の容易化の観点から、2以上であり、切削油組成物の流動性の向上及び切削油組成物の低発泡化の観点から、20以下であり、16以下が好ましく、10以下がより好ましい。
前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物が、炭素数の異なるオキシアルキレン基を2種以上含む場合、各種オキシアルキレン基の配列は、ブロックでもランダムでもよい。各種オキシアルキレン基の配列がブロックである場合、各種のオキシアルキレン基の平均付加モル数の総和が上記範囲内にある限り、各種オキシアルキレン基のブロック数はそれぞれ1個であってもよいが2個以上であってもよい。2種以上のオキシアルキレン基のうちのいずれか1種のオキシアルキレン基からなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるオキシアルキレン基の繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物は、切削粉末の分離効率向上の観点から、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基とオキシプロピレン基の両方を含み、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の配列がブロックであると好ましい。オキシエチレン基のブロックの数、オキシプロピレン基のブロックの数は、各平均付加モル数が上記範囲内にある限り、それぞれ1個又は2個以上であってもよいが1個が好ましい。
前記一般式(1)で表わされるポリエーテル化合物は、例えば、水酸化カリウム等のアルカリ等を触媒として用い、1価アルコールやフェノールにアルキレンオキサイド化合物を付加することによって得ることができる。
前記一般式(2)中、AOは炭素数が2以上4以下のオキシアルキレン基、m1、m2及びm3は各々AOの平均付加モル数であり、m1とm2とm3の総和(m1+m2+m3)は1以上20以下を表す数である。成分Aに一般式(2)で表されるポリエーテル化合物が含まれる場合、一般式(2)で表されるポリエーテル化合物は、成分Aに1種のみ含まれていてもよいが、複数種含まれていてもよい。
前記一般式(2)中のAOは、切削粉末の分離効率向上の観点から、炭素数が2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)、炭素数が3のオキシアルキレン基(オキシプロピレン基)、及び炭素数が4のオキシアルキレン基(オキシブチレン基)からなる群から選ばれる少なくとも1種であるが、切削粉末の分離効率向上の観点から、オキシプロピレン基が好ましい。
前記一般式(2)中のm1とm2とm3の総和は、切削粉末の分離効率向上の観点から、1以上であり、同様の観点から、20以下であり、18以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。前記一般式(2)で表されるポリエーテル化合物は、炭素数の異なるオキシアルキレン基を2種以上含んでいてもよい。
前記一般式(2)で表されるポリエーテル化合物に含まれる、平均付加モル数がm1のオキシアルキレン基、平均付加モル数がm2のオキシアルキレン基、平均付加モル数がm3のオキシアルキレン基は、同じであってもよいが、異なっていてもよい。前記一般式(2)で表されるポリエーテル化合物に含まれる、平均付加モル数がm1のオキシアルキレン基、平均付加モル数がm2のオキシアルキレン基、平均付加モル数がm3のオキシアルキレン基の少なくとも1つが、炭素数の異なるオキシアルキレン基を2種以上含む場合、各種オキシアルキレン基の配列は、ブロックでもランダムでもよく、2種以上のオキシアルキレン基のうちのいずれか1種のオキシアルキレン基からなるブロックの数が2個以上である場合、各ブロックにおけるオキシアルキレン基の繰り返し数は、相互に同じであってもよいが、異なっていてもよい。
前記一般式(2)で表わされるポリエーテル化合物は、例えば、水酸化カリウム等のアルカリ等を触媒として用い、グリセリン等の3価アルコールにアルキレンオキサイド化合物を付加することによって得ることができる。
切削油組成物におけるポリエーテル化合物(成分A)の含有量は、切削油組成物中、切削粉末の分離効率向上及びワイヤソーの切断性能の向上の観点から、25質量%以上であり、切削粉末の分離効率向上及びスライス品の洗浄の容易化の観点から、75質量%以下であり、70質量%以下が好ましく、60質量%以下が更に好ましく、56質量%以下がより更に好ましい。
切削油組成物におけるポリエーテル化合物(成分A)と水(成分C)の質量比(ポリエーテル化合物(成分A)/水(成分C))は、切削油組成物の潤滑性向上の観点から、0.3以上が好ましく、そして、切削油組成物の冷却効果によるワイヤソーの切断性能の向上の観点から、3.5以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい。
(成分B:界面活性剤)
本発明の切削油組成物は、ワイヤソーによるシリコンインゴットの切断後に得られる切削油組成物が付着したシリコンインゴットのスライス品の洗浄の容易化、ワイヤソーの切断性能の向上、及び切削粉末の分離効率向上の観点から、炭素数が12以上22以下の炭化水素基を有しHLBが17.0以上20.0以下の非イオン性界面活性剤、及び下記一般式(3)で表されるカチオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(成分B)を含有する。
Figure 2014129495
ただし、一般式(3)中、R2は炭素数が12以上22以下の炭化水素基、R3は炭素数が1以上22以下の炭化水素基、X-は1価の陰イオンである。
本明細書において、非イオン性界面活性剤のHLB値は、グリフィン法により、HLB値=20×(親水基の質量%)の式から算出したものをいう。HLBは、シリコンインゴットを切断することにより得られる切削油組成物が付着したシリコンインゴットのスライス品の洗浄の容易化及び切削粉末の分離効率向上の観点から、17.0以上であり、17.5以上がより好ましく、18.0以上が更に好ましく、ワイヤソーの切断性能の向上及び切削粉末の分離効率向上の観点から、20.0以下であり、19.5以下が好ましく、19.0以下がより好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、炭素数が12以上22以下のアルコールにアルキレンオキシドを付加した化合物、及びこれらの化合物のエステル、ポリアルキレングリコールの片末端に炭素数が12以上22以下の炭化水素基がエーテル結合した化合物、ポリアルキレングリコールの両末端に炭素数が12以上22以下の炭化水素基がエーテル結合した化合物、等が挙げられる。炭素数が12以上22以下の炭化水素基は、不飽和基を含んでも良い。
非イオン性界面活性剤の炭素数が12以上22以下の炭化水素基としては、切削粉末の分離効率向上の観点から、アルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられ、炭素数は、16以上22以下が好ましく、16以上20以下がより好ましい。炭化水素基としては、具体的には、ラウリル基(n−ドデシル基)、イソドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びジスチレン化フェニル基が挙げられ、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びジスチレン化フェニル基が好ましく、ステアリル基、オレイル基及びジスチレン化フェニル基がより好ましく、ステアリル基及びジスチレン化フェニル基が更に好ましい。非イオン性界面活性剤は、これらの基を2個以上有していてもよいが、切削粉末の分離効率向上の観点から、1個のみ有することが好ましい。
非イオン性界面活性剤の合成に使用されるアルキレングリコールとしては、炭素数が2のオキシアルキレン基(オキシエチレン基)、炭素数が3のオキシアルキレン基(オキシプロピレン基)、又は炭素数が4のオキシアルキレン基(オキシブチレン基)を有するものが好ましく、切削粉末の分離効率向上の観点から、オキシエチレン基が好ましい。
前記一般式(3)で表されるカチオン性界面活性剤は、4級塩型カチオン性界面活性剤であり、分子構造中に、好ましくは炭素数が12以上22以下の炭素水素基を、1又は2個有する化合物である。炭化水素基は飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖アルキル基であることが好ましい。R2は炭化水素基であり、切削粉末の分離効率向上の観点から、その炭素数は12以上22以下であり、14以上が好ましく、16以上がより好ましく、そして、20以下が好ましく、18以下がより好ましい。R3は、切削粉末の分離効率向上の観点から、その炭素数は1以上22以下であり、好ましくはメチル基又は炭素数が12以上22以下の炭化水素基であり、より好ましくはメチル基又は炭化水素が14以上、更に好ましくは16以上、そして、より好ましくは20以下、更に好ましくは18以下の炭化水素基であり、また、さらに好ましくはメチル基である。
前記一般式(3)で表されるカチオン性界面活性剤としては、アルキル(アルキル基の炭素数は12以上22以下)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(アルキル基の炭素数は12以上22以下)ジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、パルミチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、オレイルトリメチルアンモニウム塩、タロートリメチルアンモニウム塩、水素化タロートリメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩、ジミリスチルジメチルアンモニウム塩、ジパルミチルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、パルミチルステアリルジメチルアンモニウム塩等が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。これらのなかでも、切削粉末の分離効率向上の観点から、パルミチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩が好ましい。
-は、1価の陰イオンであり、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン等が挙げられる。これらの中でも、塩素イオン、臭素イオンが好ましい。
切削油組成物における界面活性剤(成分B)の含有量は、切削油組成物中、切削粉末の分離効率向上及びスライス品の洗浄の容易化の観点から、1質量%以上であり、ワイヤソーの切断性能の向上の観点から、9質量%以下であり、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
切削油組成物におけるポリエーテル化合物(成分A)と界面活性剤(成分B)の質量比(成分A/成分B)は、切削粉末の分離効率向上の観点から、6以上が好ましく、7以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、同様の観点から、60以下が好ましく、30以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。
(成分C:水)
前記切削油組成物は、水を含有する。前記切削油組成物が水を含むため切削油組成物が曇点を有する。また、ワイヤソーによる切断時に切削油組成物は冷却効果を発揮できる。
水(成分C)は、切削油組成物の、ポリエーテル化合物(成分A)と界面活性剤(成分C)と後述する任意成分とを除いた残部として含まれていればよいが、切削油組成物における水(成分C)の含有量は、切削油組成物の潤滑性向上の観点から、切削油組成物中、74質量%以下が好ましく、69質量%以下がより好ましく、58質量%以下が更に好ましく、56質量%以下がより更に好ましい。切削油組成物における水(成分C)の含有量は、切削油組成物の冷却効果によるワイヤソーの切断性能の向上の観点から、切削油組成物中、16質量%以上が好ましく、23質量%以上がより好ましく、33質量%以上が更に好ましく、40質量%以上がより更に好ましい。
前記切削油組成物に含まれる水には、例えば、超純水、純水、イオン交換水、又は蒸留水等を用いることができるが、超純水、純水、又はイオン交換水が好ましく、超純水がより好ましく使用される。なお、純水及び超純水は、例えば、水道水を活性炭に通し、イオン交換処理し、さらに蒸留したものを、必要に応じて所定の紫外線殺菌灯を照射、又はフィルターに通すことにより得ることができる。例えば、25℃での電気伝導率は、多くの場合、純水で1μS/cm以下であり、超純水で0.1μS/cm以下を示す。
前記切削油組成物の曇点は、分離操作の温度以下であれば良いが、ワイヤソーの切断性能の向上、及び切削油組成物の曇点を利用した分離処理を行う場合の切削粉末の分離効率向上の観点から、30℃以上が好ましく、32℃以上がより好ましく、35℃以上が更に好ましく、37℃以上がより更に好ましく、ワイヤソーの切断性能の向上、及び切削粉末の分離効率向上の観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、65℃以下が更に好ましく、55℃以下がより更に好ましく、50℃以下がより更に好ましい。また、前記切削油組成物の曇点は、保存安定性の観点から、40℃以上がより更に好ましく、50℃以下がより更に好ましい。切削油組成物の曇点は、ポリエール化合物と界面活性剤の各構造及び両者の含有比率により調整できる。
前記切削油組成物は、必要に応じて、炭化水素化合物、難水溶性のアルキルエステル類及び難水溶性のアルキルケトン類から選ばれた1種以上の化合物を任意成分として含有できる。これらの化合物を含有することにより、切削油組成物の潤滑性が向上する。
前記炭化水素化合物としては、例えば、ウエハを洗浄する際の温度において液状である炭素数が6以上30以下の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和結合を有するパラフィン類および/又はオレフィン類、或いはウエハを洗浄する際の温度において液状である芳香族および/又は脂肪族を含む炭化水素化合物が挙げられる。
前記アルキルエステル類としては、例えば、ウエハを洗浄する際の温度において液状である炭素数が6以上40以下の、モノエステル、ジエステル、トリエステル類が挙げられる。中でも炭素数が6以上18以下の高級脂肪酸と炭素数が2以上8以下のジオール又はトリオールとのエステル;炭素数が1以上18以下の高級アルコールと炭素数が2以上8以下のジカルボン酸又はトリカルボン酸とのエステルが好ましい。
前記アルキルケトン類としては、炭素数が6以上40以下のジアルキルケトンが好ましい。
前記炭化水素化合物、難水溶性のアルキルエステル類及び難水溶性のアルキルケトン類は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
前記切削油組成物には、さらに、任意成分として、増粘剤、分散剤、防錆剤、キレート剤等の添加剤が含まれていてもよい。
前記切削油組成物には、前記ポリエーテル化合物などの各種成分の媒体として、水溶性の有機化合物が含まれていてもよい。
(切削油組成物の調製方法)
前記切削油組成物の調製方法は、何ら制限されず、前記ポリエーテル化合物(成分A)、前記界面活性剤(成分B)及び水(成分C)、さらには任意成分を混合することによって調製できる。各成分の混合後にpH調整剤を用いて、所定のpHに調整することができる。界面活性剤(成分B)は予め水と混合して水溶液としておくことが、切削油組成物を調製する操作性の向上の観点から好ましい。
前記切削油組成物は、シリコンウエハ生産のためのシリコンインゴットを切断する際の切削油として用いることができる。
(使用済み切削油組成物の再生方法)
本発明の使用済み切削油組成物の再生方法は、シリコンウエハの製造の際の切削油組成物を用いて固定砥粒ワイヤソーにてシリコンインゴットを切断する切断工程の後に、使用済み切削油組成物と切削粉末とを含む排油液から切削粉末の除去を行う、シリコンインゴット切断方法に適用できる。シリコンインゴットの切断は、切削油組成物を、ワイヤソーと、シリコンインゴットの切断部位又はシリコンインゴット全体に供給しながら、且つ、ワイヤソーをシリコンインゴットに押し付けながら高速で移動走行させることによって行える。
シリコンインゴットの切断に用いられるワイヤソー装置について特に制限はなく、従来から公知の装置を用いて行える。ワイヤソーについても、特に制限はなく、例えば、鉄又は鉄合金を主成分とするピアノ線にダイヤモンドやSiCからなる砥粒をニッケルや銅・クロムによるメッキにて固着させるか、又は樹脂接着材によって固着させたもの等が挙げられる。
ワイヤソーは、例えば、ワイヤソー供給リールから供給され、メインローラー上に設けられた所定間隔の溝に巻きつけ配列される。ワイヤソーはメインローラーを所定の回転速度で回転させることによって走行移動でき、通常、400〜1000m/min程度となるように高速で走行移動する。尚、ワイヤソー装置は、一本のワイヤーによって切断加工を行うシングルタイプであってもよい。
シリコンインゴットの切断により生じた排油液は、使用済み切削油組成物と切削粉末とを含み、例えば、ワイヤソー装置が有するディップ槽内に一時貯留される。前記排油液は、pH調整剤を用いて、所定のpHに調整することができる。尚、排油液には、固定砥粒から外れた砥粒が含まれる場合があるが、原則、排油液は遊離砥粒を含まない。
本発明の使用済み切削油組成物の再生方法は、固定砥粒ワイヤソーによるシリコンインゴットの切断に使用された、使用済み切削油組成物の再生方法であって、本発明の切削油組成物を用いたワイヤソーによるシリコンインゴットの切断で生じた、使用済み切削油組成物とシリコンインゴットの切削粉末とを含む排油液から、少なくとも切削粉末を除去する粉末除去工程を含む。さらに、使用済み切削油組成物の再生方法には、排油液から切削粉末を除去した後の残液から切削油組成物を得る工程が含まれていてもよい。
(粉末除去工程)
粉末除去工程では、pHが6.0以上9.0以下の範囲内にある前記排油液中の切削粉末を、前記排油液中の他の成分から分離する。尚、前記排油液のpHが6.0以上9.0以下の範囲外である場合、本発明の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法は、粉末除去工程の前に行われ、排油液のpHを6.0以上9.0以下の範囲内に調整する、pH調整工程をさらに含む。
排油液のpHは、切削粉末の分離効率向上、及び装置の腐食抑制の観点から、6.0以上であり、7.0以上が好ましい。また、前記切削油組成物のpHは、切削粉末からの水素の発生を抑制する観点から、9.0以下であり、8.0以下が好ましい。
排油液のpHは、pH調整剤を用いて調整することができる。pH調整剤としては、pHを高くする場合は、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が用いられ、pHの安定性の観点から、水酸化ナトリウムが好ましい。pHを低くする場合は、例えば、酢酸、乳酸等が用いられ、pHの安定性の観点から、乳酸が好ましい。
分離方法としては、例えば、遠心分離機を用いる分離方法、静置による分離方法、切削油組成物の曇点を利用した分離方法等が挙げられるが、再生効率向上の観点から、遠心分離機を用いる分離方法が好ましい。いずれの分離方法を採用する場合であっても、pHが6以上9以下の範囲内の排油液において切削粉末は凝集及び沈降し易いので、高い分離効率で排油液から切削粉末を容易に分離できる。
<遠心分離機を用いる分離方法>
遠心力G(重力加速度)について得に制限はないが、切削粉末が比較的容易に沈殿するため高遠心力は必要ではなく、遠心分離の操作性の観点から、500G以上が好ましく、1000G以上がより好ましく、そして、5000G以下が好ましく、3000G以下がより好ましく、2000G以下が更に好ましい。
<静置による分離方法>
静置による分離方法を行う場合、静置時間について特に制限はないが、切削粉末の分離効率向上の観点から、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましく、3時間以上が更に好ましく、分離処理の長時間化を抑制する観点から、24時間以下が好ましく、16時間以下がより好ましく、15時間以下が更に好ましい。
<切削油組成物の曇点を利用した分離方法>
切削油組成物の曇点を利用した分離方法によって、排油液中の切削粉末を排油液中の他の成分から分離する場合、まず、排油液を、切削油組成物の曇点以上の温度(分離操作温度)に加熱する。その後、排油液を分離操作温度に保ったまま放置又は弱い撹拌をすると、排油液は、ポリエーテル化合物を主成分とする上層と、水と切削粉末とを主成分とする下層とに分離する。排油液を分離するには、例えば1時間分離操作温度に保てばよい。排油液の分離後は分離操作温度以下にしても分離の状態が維持される。
ここで、切削油組成物の曇点(℃)は、切削油組成物の温度を上げていったとき、切削油組成物が白濁し始める温度のことである。切削油組成物の温度が上昇して水分子の運動が活発になると、切削油組成物中のポリエーテル化合物(成分A)の親水基部分と水分子との水素結合が切れて、ポリエーテル化合物は水に対する溶解性を失う。故に、ポリエーテル化合物(成分A)を含む排油液を、切削油組成物の曇点以上の温度に加熱した後、放置すれば、水よりも比重が小さいポリエーテル化合物(成分A)は水よりも上側に移動し、水と比重が大きい切削粉末は下側に移動し、排油液は2層に分離する。
また、「ポリエーテル化合物を主成分とする」とは、上層におけるポリエーテル化合物の含有量が、上層に含まれ得る他のいずれの成分よりも多いことを意味し、「水と切削粉末とを主成分とする」とは、下層における水の含有量と切削粉末の含有量の和が、下層に含まれ得る他のいずれの成分のそれよりも多いことを意味する。上層には、ポリエーテル化合物(成分A)以外に、切削粉末の水層への移行に寄与しなかった界面活性剤(成分B)が含まれ、上述した本発明の切削油組成物に含まれる任意成分のうち水に溶けにくい成分がさらに含まれる場合があるが、水や切削粉末はほとんど含まれず、好ましくは少なくとも切削粉末は含まれない。一方、下層には、水(成分C)と切削粉末以外に、切削粉末とともに水層に移行した界面活性剤(成分B)が含まれ、本発明の切削油組成物に含まれる任意成分のうち水に溶けやすい成分がさらに含まれる場合があり、ポリエーテル化合物(成分A)が少量含まれる場合もある。
切削油組成物の曇点を利用した分離方法によって、排油液中の切削粉末を排油液中の他の成分から分離する場合、切削粉末の分離効率向上の観点から、排油液を、切削油組成物の曇点よりも10〜50℃高い温度(分離操作温度)に加熱することが好ましく、12〜50℃高い温度に加熱することがより好ましく、20〜50℃高い温度に加熱することが更に好ましく、30〜50℃高い温度に加熱することがより更に好ましく、40〜50℃高い温度に加熱することがより更に好ましい。加熱された排油液の具体的な温度(分離操作温度)は、切削粉末の分離効率向上の観点から、40〜90℃が好ましく、45〜85℃がより好ましく、50〜85℃が更に好ましく、55〜80℃がより更に好ましく、60〜80℃がより更に好ましく、70〜80℃がより更に好ましい。また、使用するエネルギー量を低減する観点から、排油液を、切削油組成物の曇点よりも、10〜40℃高い温度(分離操作温度)に加熱することが好ましく、10〜30℃高い温度に加熱することがより好ましく、12〜20℃高い温度に加熱することが更に好ましい。使用するエネルギー量を低減する観点から、加熱された排油液の具体的な温度(分離操作温度)は、40〜80℃が好ましく、45〜80℃がより好ましく、45〜65℃が更に好ましい。切削粉末の分離効率向上の観点から、排油液は、加熱前及び/又は加熱中に撹拌されると好ましい。
遠心分離機を用いる分離方法、又は静置による分離方法を採用する場合、切削粉末は、遠心分離処理又は静置の対象となった排油液を収容した容器の底部に沈殿しているので、当該容器内の排油液から液体成分を取り除くことにより、排油液から少なくとも前記切削粉末を除去できる。排油液から切削粉末を除去する方法として、例えば、デカンテーション及び濾過が挙げられる。前記切削粉末の除去に伴い、切削粉末以外に、水(成分C)の一部、切削粉末とともに沈降した界面活性剤(成分B)、本発明の切削油組成物に含まれる任意成分のうち水に溶けやすい成分がさらに含まれる場合があり、ポリエーテル化合物(成分A)が少量含まれる場合もある。
切削油組成物の曇点を利用した分離方法を採用した場合、排油液から、少なくとも、水と切削粉末を主成分とする下層を除去する。再生された切削油組成物の品質向上の観点から、下層のみならず、下層に隣接した上層の一部も排油液から除去してもよい。
本発明の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法は、粉末除去工程の後に行われる調整工程を更に含んでいてもよい。この調整工程では、粉末除去工程において排油液から少なくとも切削粉末を除去して得た残液に、残液から得られる排油液の一部又は全部にポリエーテル化合物(成分A)の濃度が25質量%以上75質量%以下、界面活性剤(成分B)の濃度が1質量%以上9質量%以下となるように必要に応じて、成分A、成分B、及び成分Cのうちの少なくとも1成分を添加し、さらに、必要に応じて前記任意成分を添加して、固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を得る。これをシリコンインゴットの切断に使用できる。
前記残液への、ポリエーテル化合物(成分A)、界面活性剤(成分B)、及び水(成分C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分の添加量は、残液中のポリエーテル化合物(成分A)、界面活性剤(成分B)及び水(成分C)の含有量等を測定し、当該測定結果に基づき決定することが好ましい。又は、切削油組成物を用いて固定砥粒ワイヤソーにてシリコンインゴットを切断する切断工程及び前記粉末除去工程に伴うポリエーテル化合物(成分A)の減少量、界面活性剤(成分B)の減少量、及び水(成分C)の減少量を各々予め見積っておき、当該減少量と同量のポリエーテル化合物(成分A)、界面活性剤(成分B)及び水(成分C)からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分が、1つのスライス品又は複数のスライス品の形成により得られる排油液又は残液に補給されるようにしてもよい。成分A、成分B及び成分Cの含有量の測定には、例えば、滴定、NMR測定、液体クロマトグラフィー等を用いることができる。
本発明は、更に以下<1>から<28>を開示する。
<1>
固定砥粒ワイヤソーによるシリコンインゴットの切断に使用された、使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法であって、
使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物は、
下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物、及び下記一般式(2)で表されるポリエーテル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエーテル化合物(成分A)を25質量%以上75質量%以下と、
炭素数が12以上22以下の炭化水素基を有するHLBが17.0以上20.0以下の非イオン性界面活性剤、及び下記一般式(3)で表されるカチオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(成分B)を1質量%以上9質量%以下と、
水(成分C)と、を含有し、
前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を用いた前記固定砥粒ワイヤソーによるシリコンインゴットの切断で生じた、使用済み前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物と前記シリコンインゴットの切削粉末とを含む排油液から、少なくとも前記切削粉末を除去する粉末除去工程を含み、
前記粉末除去工程が、
pHが6.0以上9.0以下の範囲内にある前記排油液中の切削粉末を、前記排油液中の他の成分から分離する工程を含む使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
[化7]
1−O−(AO)n−R1` (1)
ただし、上記一般式(1)中、R1は炭素数が1以上8以下の水酸基を含んでもよい炭化水素基、R1`は水素原子又はメチル基、AOは炭素数が2以上4以下のオキシアルキレン基、nはAOの平均付加モル数であって2以上20以下を表す数である。
Figure 2014129495
ただし、上記一般式(2)中、AOは炭素数が2以上4以下のオキシアルキレン基、m1、m2及びm3は各々AOの平均付加モル数であり、m1とm2とm3の総和は1以上20以下を表す数である。
Figure 2014129495
ただし、上記一般式(3)中、R2は炭素数が12以上22以下の炭化水素基、R3は炭素数が1以上22以下の炭化水素基、X-は1価の陰イオンである。
<2>
前記粉末除去工程において、
前記排油液を静置する、前記排油液に対して遠心分離処理を行う又は前記排油液を前記切削油組成物の曇点以上の温度に加熱することにより、前記排油液中の他の成分から前記切削粉末を分離する、前記<1>に記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<3>
前記一般式(1)中のR1の炭素数は、好ましくは2以上が、より好ましくは3以上、好ましくは5以下である、前記<1>又は<2>に記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<4>
前記一般式(1)中のR1の炭素数は、好ましくは2以上、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である、前記<1>又は<2>に記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<5>
前記一般式(1)中のR1は、好ましくはプロピル基、イソプロピル基、ブチル基、及びイソブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはプロピル基、ブチル基、及びイソブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはプロピル基又は及びブチル基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<6>
前記一般式(1)中のR1`は、好ましくは水素原子である、前記<1>から<5>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<7>
前記一般式(1)中のAOは、好ましくはオキシエチレン基及びオキシプロピレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、より好ましくはオキシプロピレン基を含む、前記<1>から<6>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<8>
前記一般式(2)中のAOは、好ましくはオキシプロピレン基である、前記<1>から<7>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<9>
前記一般式(2)中の、m1とm2とm3の総和は、好ましくは18以下、より好ましくは12以下が、更に好ましくは10以下である、前記<1>から<8>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<10>
使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物におけるポリエーテル化合物(成分A)の含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは56質量%以下である、前記<1>から<9>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<11>
使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物における、ポリエーテル化合物(成分A)と水(成分C)の質量比(ポリエーテル化合物(成分A)/水(成分C))は、好ましくは0.3以上であり、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは1.5以下である、前記<1>から<10>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<12>
前記非イオン性界面活性剤のHLBは、好ましくは17.5以上、より好ましくは18.0以上であり、好ましくは19.5以下、より好ましくは19.0以下である、前記<1>から<11>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<13>
前記成分Bが、ラウリル基(n−ドデシル基)、イソドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びスチレン化フェノール基からなる群より選ばれる1種以上の炭化水素基を有する非イオン性界面活性剤である、前記<1>から<12>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<14>
前記一般式(3)中のR2は、好ましくはアルキル基である、前記<1>から<13>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<15>
前記一般式(3)中のR2の炭素数は、好ましくは14以上、より好ましくは16以上、好ましくは20以下が好ましく、より好ましくは18以下である、前記<1>から<14>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<16>
前記一般式(3)中のR3は、好ましくはアルキル基である、前記<1>から<15>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<17>
前記一般式(3)中のR3は、好ましくはメチル基又は炭素数が12以上22以下の炭化水素基、より好ましくはメチル基又は炭化水素が14以上、より好ましくは16以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下の炭化水素基、更に好ましくはメチル基である、前記<1>から<16>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<18>
前記成分Bが、パルミチルトリメチルアンモニウム塩及びステアリルトリメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤である、前記<1>から<17>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<19>
前記一般式(3)中のX-は、好ましくは塩化物イオン、臭化物イオン、又はヨウ化物イオンであり、より好ましくは塩素イオン又は臭素イオンである、前記<1>から<18>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<20>
使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物における界面活性剤(成分B)の含有量が、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下である、前記<1>から<19>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<21>
使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物におけるポリエーテル化合物(成分A)と界面活性剤(成分B)の質量比(成分A/成分B)が、好ましくは6以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上であり、好ましくは60以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは25以下である、前記<1>から<20>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<22>
使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物における水(成分C)の含有量は、好ましくは74質量%以下、より好ましくは69質量%以下、更に好ましくは58質量%以下、より更に好ましくは56質量%以下であり、好ましくは16質量%以上、より好ましくは23質量%以上、更に好ましくは33質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上である、前記<1>から<21>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<23>
前記排油液のpHは、好ましくは7.0以上であり、好ましくは8.0以下である、前記<1>から<22>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<24>
前記切削油組成物の曇点は、30℃以上が好ましく、32℃以上がより好ましく、35℃以上が更に好ましく、37℃以上がより更に好ましく、40℃以上がより更に好ましく、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、65℃以下が更に好ましく、55℃以下がより更に好ましく、50℃以下がより更に好ましい、前記<1>から<23>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<25>
前記切削油組成物の曇点を利用した分離方法によって排油液中の切削粉末を排油液中の他の成分から分離する場合、前記粉末除去工程で、前記排油液を、切削油組成物の曇点よりも10〜50℃高い温度に加熱することが好ましく、12〜50℃高い温度に加熱することがより好ましく、20〜50℃高い温度に加熱することが更に好ましく、30〜50℃高い温度に加熱することがより更に好ましく、40〜50℃高い温度に加熱することがより更に好ましい、前記<1>から<24>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<26>
前記切削油組成物の曇点を利用した分離方法によって排油液中の切削粉末を排油液中の他の成分から分離する場合、前記粉末除去工程で、前記排油液を、切削油組成物の曇点よりも10〜40℃高い温度に加熱することが好ましく、10〜30℃高い温度に加熱することがより好ましく、12〜20℃高い温度に加熱することが更に好ましい、前記<1>から<24>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<27>
前記排油液に対して遠心分離処理を行うことにより前記排油液中の他の成分から前記切削粉末を分離する場合の遠心力G(重力加速度)は、1000G以上5000G以下である、前記<1>から<23>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
<28>
前記排油液のpHが6.0以上9.0以下の範囲外である場合、
前記使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法は、前記粉末除去工程の前に前記排油液のpHを6.0以上9.0以下の範囲内に調整する、pH調整工程をさらに含む、前記<1>〜<27>のいずれかに記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
(切削油組成物の調製)
表1〜6に記載の組成(質量%)となるように各成分を配合及び混合することにより、実施例1〜16及び比較例1〜9の切削油組成物を得た。具体的には、市販の界面活性剤又はその水溶液に水を加えて、界面活性剤と水の量を調整した後、それらとポリエーテル化合物とを混合して、切削油組成物を得た。
(1−1)遠心分離によるSi粉末除去率の測定
50mLのポリ容器に、切削油組成物を25g、及び粒径5μmφのSi粉末(高純度化学社製)を5g投入した後、さらにZrビーズ(粒径1mmφ、ニッカトー社製)50gを添加した。次いで、ポリ容器をペイントシェーカー(ASADA社製PC-1773)にセットして5時間振動させて、Si粉末を切削油組成物中で粉砕することにより、固定砥粒ワイヤソーを用いた実際の太陽電池用Siウエハ切削時に発生するSi切削粉末に近いSi粉末と切削油組成物とを含む評価用サンプル液を排油液として調製した。この際、粉砕されたSi粉末の粒径は約1〜1.5μmとなっていることを、粒径測定機(堀場社製、LA−920)で確認した。尚、pH調整剤として乳酸又は水酸化ナトリウムを用いて、評価用サンプル液(排油液)のpH(25℃)を表1〜4に記載した値に調整した。次に、評価用サンプル液を試験管に全量移し、遠心分離機(iuchi社製CN-1040)にセットし、4000rpmで15分間処理(1500G)した。
遠心分離処理した試験管中の液体成分をデカンテーションにより取り除いた。Si粉末除去率を測定するために、底に沈殿した固形物に15gのアセトンを添加した後、遠心分離機(iuchi社製CN-1040)にセットし、20,000rpmで20分間処理した後、再び液体部分をデカンテーションにより取り除いた。この操作を3回繰り返した後、乾燥させることにより水などの液体成分を完全に取り除いて、残った固形物の質量を測定することによって、Si粉末除去率を求め、その結果を表1〜4に示した。尚、表1は、界面活性剤の含有量とSi粉末除去率との関係を、表2は、界面活性剤の種類とSi粉末除去率との関係を、表3は、評価用サンプル液(排油液)のpHとSi粉末除去率との関係を、表4は、ポリエーテル化合物の種類とSi粉末除去率との関係を示している。評価用サンプル液(排油液)中のSi粉末の分離効率が高ければ、それに応じてSi粉末除去率も高くなる。
Figure 2014129495
表1に示されるように、界面活性剤(成分B)の含有量が、切削油組成物中、1質量%以上9質量%以下であると、Si粉末除去率が極めて高く、故に、Si粉末の分離効率も高い。
Figure 2014129495
表2に示されるように、界面活性剤(成分B)が、スチレン化フェノール基又はステアリル基を有していると、Si粉末除去率が極めて高く、故に、Si粉末の分離効率も高い。
Figure 2014129495
表3に示されるように、排油液のpHが6.0以上9.0以下であるとSi粉末除去率が極めて高く、故に、Si粉末の分離効率も高い。
Figure 2014129495
表4に示されるように、ポリエーテル化合物(成分A)の含有量が、切削油組成物中、25質量%以上75質量%以下であると、Si粉末除去率が極めて高く、故に、Si粉末の分離効率も高い。
(1−2)静置によるSi粉末除去率の測定
(1−1)と同様の操作を行い、遠心分離処理を行う代わりに、評価用サンプル液を全量移した試験管を、12時間室温にて放置した。尚、評価用サンプル液の調整の際に、pH調整剤として水酸化ナトリウムを用いて、評価用サンプル液のpH(25℃)を表5に記載した値に調整した。その後、試験管中の液体成分をデカンテーションにより取り除いた。(1−1)と同様に試験管中に沈殿した固形物の質量を測定することによって、Si粉末除去率を求め、その結果を表5に示した。
Figure 2014129495
表5に示されるように、分離方法が静置であっても、Si粉末除去率が極めて高く、故に、Si粉末の分離効率も高い。
(1−3)切削油組成物の曇点を利用した分離によるSi粉末除去率の測定
(1−1)と同様の操作を行い、遠心分離処理を行う代わりに、評価用サンプル液を全量移した試験管を、蓋をして温浴に入れ1時間放置した。評価用サンプル液の温度は、温浴の温度(60℃)と同一視できるので、温浴の温度を分離操作温度とした。尚、評価用サンプル液の調整の際に、pH調整剤として水酸化ナトリウムを用いて、評価用サンプル液のpH(25℃)を表6に記載した値に調整した。その後、試験管中の液体成分の内、ポリエーテル化合物が主成分である上層をデカンテーションにより取り除いた。さらに、水が主成分の下層中に沈殿した固形物の質量を(1−1)と同様の方法で試験管中に沈殿した固形物の質量を測定することによって、Si粉末除去率を求め、その結果を表6に示した。なお、実施例16の切削油組成物の曇点は、48℃である。
Figure 2014129495
表6に示されるように、切削油組成物の曇点を利用した分離であっても、Si粉末除去率が極めて高く、故に、Si粉末の分離効率も高い。
表1〜表6中の各成分の詳細は下記のとおりである。下記のNo.1〜4は、表1〜表6中のポリエーテル化合物の番号と対応し、下記(1)〜(7)は表1〜表6中の界面活性剤と対応している。
[ポリエーテル化合物]
No1.Gly(PO)10
(AO=PO、m1+m2+m3=10、下記製造例に従い製造)
No2.C4O(EO)5(PO)4H
(R1は炭素数4(ブチル基)、R1'は水素原子、AO=EOとPO(ブロック配列)、n=9、下記製造例に従い製造)
No3.HDG(ヘキシルジグリコール)/DEG(ジエチレングリコール)
(R1は炭素数6(ヘキシル基)、R1'は水素原子、AO=EO、n=2)/DEGは成分Aに属しない
No4.DEG(ヘキシルジグリコール)
[ポリエーテル化合物の製造例]
(a)Gly(PO)10の製造例
オートクレーブに、グリセリン92.1gとKOH2.8g(3質量%)を仕込み、110℃、1.3kPa(ゲージ圧)にて30分間脱水を行った。脱水後、オートクレーブ内の空気を窒素で置換し、オートクレーブ内の温度を130℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを580.1g仕込んだ。130℃にて付加反応・熟成を行った後、80℃まで冷却し、4.0kPa(ゲージ圧)で30分間オートクレーブ内の未反応プロピレンオキサイドを除去した。未反応のプロピレンオキサイドを除去した後、酢酸3.0gをオートクレーブ内に加え、80℃で30分間保持した後、抜き出しを行い、平均付加モル数が10モルのグリセリンのPO付加物を得た。
(b)C4O(EO)5(PO)4Hの製造例
本ポリエーテル化合物は、下記方法で調製した。オートクレーブにn−ブタノール74.1g(1モル)及びKOH(触媒)0.30g(0.4質量%)を仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素で置換した後、n−ブタノールを攪拌しながらオートクレーブ内の温度を130℃に昇温した。エチレンオキサイド220g(5モル)を3.5kPa(ゲージ圧)でオートクレーブ中に導入し、前記圧力が低下して一定になるまでn−ブタノールとエチレンオキサイドとを反応させた後、オートクレーブ内の温度を120℃まで下げた。次いで、プロピレンオキサイド232g(4モル)を3.5kPa(ゲージ圧)でオートクレーブ中に導入した。前記圧力が低下して一定になるまでn−ブタノールとプロピレンオキサイドとを反応させた後、オートクレーブ内の温度を室温まで低下させて、本ポリエーテル化合物を約520g得た。得られたポリエーテル化合物の重量平均分子量を下記方法で測定したところ、526であった。
ポリエーテル化合物の上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を下記の条件で適用して得たクロマトグラム中のピークに基づいて算出した値である。
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー製)
溶離液:(0.2Mリン酸バッファー)/(CH3CN)=9/1(容量比)
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI検出器
標準物質:ポリスチレン
表1〜表6に記載の界面活性剤の詳細は下記のとおりである。
(1)エマルゲンA−500(ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、花王製、炭化水素基の炭素数22(スチレン化フェノール基)、HLB=18.0)
(2)ブラウノンSR-750(ポリオキシエチレンステアリルエーテル、青木油脂製、炭化水素基の炭素数18(ステアリル基)、HLB=17.8)
(3)エマノーン3119V(ポリオキシエチレンステアリルエーテル、花王製、炭化水素基の炭素数18(ステアリル基)、HLB=19.4)
(4)エマルゲン130K(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王製、炭化水素基の炭素数12(n-ト゛テ゛シル基)、HLB=18.1)
(5)コータミン86W(花王製、R2は炭素数が16及び18の炭化水素基(ハ゜ルミチル基、ステアリル基)、R3はメチル基、X-は塩化物イオン、一般式(3)において、R2がステアリル基、R3がメチル基の界面活性剤と、R2がパルミチル基、R3がメチル基の界面活性剤との混合物)
(6)ブラウノンEH−30(ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、青木油脂製、炭化水素基の炭素数8(エチルヘキシル基)、HLB=18.2)
(7)ブラウノンEN−1520A(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、青木油脂製、炭化水素基の炭素数18(オレイル基)、HLB=15.4)
本発明によれば、使用済み切削油組成物とシリコンインゴットの切断により生じた切削粉末とを含む排油液から、高い分離効率で切削粉末を容易に分離でき、切削油組成物のリサイクル性の向上が可能である。よって、本発明は、ウエハの生産性の向上に寄与し得る。

Claims (6)

  1. 固定砥粒ワイヤソーによるシリコンインゴットの切断に使用された、使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法であって、
    使用前の前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物は、
    下記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物、及び下記一般式(2)で表されるポリエーテル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリエーテル化合物(成分A)を25質量%以上75質量%以下と、
    炭素数が12以上22以下の炭化水素基を有するHLBが17.0以上20.0以下の非イオン性界面活性剤、及び下記一般式(3)で表されるカチオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(成分B)を1質量%以上9質量%以下と、
    水(成分C)と、を含有し、
    前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物を用いた前記固定砥粒ワイヤソーによるシリコンインゴットの切断で生じた、使用済み前記固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物と前記シリコンインゴットの切削粉末とを含む排油液から、少なくとも前記切削粉末を除去する粉末除去工程を含み、
    前記粉末除去工程が、
    pHが6.0以上9.0以下の範囲内にある前記排油液中の切削粉末を、前記排油液中の他の成分から分離する工程を含む使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
    [化1]
    1−O−(AO)n−R1` (1)
    ただし、上記一般式(1)中、R1は炭素数が1以上8以下の水酸基を含んでもよい炭化水素基、R1`は水素原子又はメチル基、AOは炭素数が2以上4以下のオキシアルキレン基、nはAOの平均付加モル数であって2以上20以下を表す数である。
    Figure 2014129495
    ただし、上記一般式(2)中、AOは炭素数が2以上4以下のオキシアルキレン基、m1、m2及びm3は各々AOの平均付加モル数であり、m1とm2とm3の総和は1以上20以下を表す数である。
    Figure 2014129495
    ただし、上記一般式(3)中、R2は炭素数が12以上22以下の炭化水素基、R3は炭素数が1以上22以下の炭化水素基、X-は1価の陰イオンである。
  2. 前記粉末除去工程において、
    前記排油液を静置する、前記排油液に対して遠心分離処理を行う又は前記排油液を前記切削油組成物の曇点以上の温度に加熱することにより、前記排油液中の他の成分から前記切削粉末を分離する、請求項1に記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
  3. 前記排油液に対して遠心分離処理を行うことにより前記排油液中の他の成分から前記切削粉末を分離する場合の遠心力G(重力加速度)は、1000G以上5000G以下である請求項2に記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
  4. 前記成分Bが、ラウリル基(n−ドデシル基)、イソドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びスチレン化フェノール基からなる群より選ばれる1種以上の炭化水素基を有する非イオン性界面活性剤である、請求項1から3のいずれかの項に記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
  5. 前記成分Bが、パルミチルトリメチルアンモニウム塩及びステアリルトリメチルアンモニウム塩から選ばれる1種以上のカチオン界面活性剤である、請求項1から3のいずれかの項に記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
  6. 前記排油液のpHが6.0以上9.0以下の範囲外である場合、
    前記使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法は、前記粉末除去工程の前に前記排油液のpHを6.0以上9.0以下の範囲内に調整する、pH調整工程をさらに含む、請求項1から5のいずれかの項に記載の使用済み固定砥粒ワイヤソー用切削油組成物の再生方法。
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