JP2014129324A - 肝機能改善剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マルチトールを有効成分として含有する肝機能改善剤を提供する。
【選択図】なし
Description
(1)試験動物
8週齢の雄のC57BL/6マウス(日本クレア株式会社製)を無作為に各群4匹に分けて使用した。
通常飼料として、固形飼料MF(脂質成分5.3%、オリエンタル酵母工業株式会社製)を使用した。高脂肪飼料として、固形飼料High Fat Diet 32(脂質成分32.0%、日本クレア株式会社製)を使用した。
被験物質としてショ糖(和光純薬工業株式会社製)およびマルチトール(上野製薬株式会社製、粉末マルチトールウエノ60M(マルチトール純度90%))をそれぞれ蒸留水に溶解させて得られた、2.5重量%濃度のショ糖水溶液ならびに2.25重量%濃度および4.5重量%濃度のマルチトール水溶液を試料水とした。陰性試料は蒸留水とした。試料水の投与方法は自由飲水とし、飲水量を記録した。試料水の濃度および飲水量から算出した1日あたりのショ糖の投与量は体重1kgあたり3gであり、同様に算出した1日あたりのマルチトールの投与量は、2.25%マルチトール水溶液を投与したマウスでは体重1kgあたり2.7g、4.5%マルチトール水溶液を投与したマウスでは体重1kgあたり4.5gであった。
各群のマウスに、表1に示す飼料および試料水(被験物質水溶液または蒸留水)を与え、8週間飼育した。8週間の試験飼育の後、ペントバルビタールを0.5mg/体重10g腹腔内投与し、深麻酔下にて尾静脈より採血を行った。
マウスから採血した血清について、トランスアミナーゼC−IIテストワコーキット(和光純薬工業株式会社製)を用いて、肝機能の指標である血中AST値および血中ALT値を測定した。
また、プレシジョンエクシード β−ケトン測定用電極(アボットジャパン株式会社製)を用いて、肝臓における脂肪燃焼の指標である血中ケトン体値を測定した。
血中AST値、血中ALT値および血中ケトン体値について、t検定法により有意差検定を行い、評価した。
血液検査の結果、血中AST値については、群4(高脂肪飼料+2.25%マルチトール水溶液)においては群3(高脂肪飼料+2.5%ショ糖水溶液)よりも低減される傾向が見られ、群5(高脂肪飼料+4.5%マルチトール水溶液)においては正常コントロールである群1(通常飼料+蒸留水)と同等のレベルにまで血中AST値が低減した。さらに、血中ALT値についても血中AST値と同様に低減傾向を示しており、特に群5においては群3に対して有意に血中ALT値を低減させる効果が認められた。一方、血中ケトン体値については、群3に対して群4および群5において増加しており、特に群4においては群3に対して有意な改善効果が認められた。血中AST値および血中ALT値の評価結果を表2に示し、血中ケトン体値の評価結果を表3に示す。
(1)試験動物、(2)飼料および(3)試料の調製については試験例1と同様にして、以下の試験を行った。
各群のマウスに、表1に示す飼料および試料水(被験物質水溶液または蒸留水)を与え、8週間飼育した。8週間の試験飼育の後、ペントバルビタールを100mg/体重kg腹腔内投与し、安楽死させ、臓器を摘出した。
マウスから摘出した肝臓組織について、ヘマトキシリン・エオシン(HE)染色し、顕微鏡による標本観察を行った。また、顕微鏡観察結果を下記方法により解析し、有意差をt検定法により評価した。
HSオールインワン蛍光顕微鏡BZ−9000(株式会社キーエンス)を使用し、400倍の視野で、血管など結果に影響するような場所が含まれない部位を無作為に1匹あたり4箇所撮影した。これを1群4匹について行い、合計16枚/1群の顕微鏡画像を得た。まず、肝細胞の細胞質や核など染色した部分を画像解析により選択した。次に色反転により脂肪空胞部分を選択し、そのピクセル数を脂肪空胞面積とした。解析には、蛍光顕微鏡BZ−9000に付属のソフトウェアであるダイナミックセルカウントを用いた。
顕微鏡観察において、肝細胞に蓄積した脂肪はHE染色で染まらず、白色の脂肪空胞として認められる。脂肪肝のコントロールである群2(高脂肪飼料+蒸留水)においては多数の脂肪空胞が認められたのに対し、群4(高脂肪飼料+2.25%マルチトール水溶液)および群5(高脂肪飼料+4.5%マルチトール水溶液)においては、脂肪空胞はほとんど観察されなかった。さらに、群4および群5においては、脂肪空胞面積が群2と比較して有意に小さかった。一方、群3(高脂肪飼料+2.5%ショ糖水溶液)においては、脂肪空胞数の減少は限定的であり、脂肪空胞面積を群2と比較して有意に減少させる効果は認められなかった。顕微鏡観察の結果を図1〜5に示し、脂肪空胞面積の評価結果を表4に示す。
(1)飼料の調製
通常飼料として、固形飼料CE−2(脂質4.6重量%、日本クレア株式会社製)を使用した。ショ糖含有高脂肪飼料として、固形飼料High Fat Diet 32(脂質32.0重量%、ショ糖6.75重量%、日本クレア株式会社製)を使用した。マルチトール含有高脂肪飼料として、固形飼料High Fat Diet 32のショ糖成分(6.75重量%)の全量を粉末マルチトール(粉末マルチトールウエノ60M(マルチトール純度90%)、上野製薬株式会社製)に置き換えた特別飼料(脂質32.0重量%、マルチトール6.08重量%、日本クレア株式会社製)を使用した。
Elix−UV純水製造装置で調製した純水に次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス−S、株式会社オーヤラックス製)を終濃度0.00009%となるように添加して純水とした。マルチトール水溶液は、粉末マルチトール(粉末マルチトールウエノ60M(マルチトール純度90%)、上野製薬株式会社製)を1.8%(重量/容量)となるよう純水に溶解させて調製した。該マルチトール水溶液におけるマルチトール純度は1.62%となる。
SPFマウス(C57BL/6J、日本クレア株式会社製)の雌21匹を妊娠14日で購入し、馴化飼育を行った。全動物を自然分娩させ、出生した雄をモデル作製に使用した。なお、離乳は生後4週齢とした。
NASHマウスの作製:
2日齢時の雄にストレプトゾトシン(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を生理食塩液(株式会社大塚製薬工場製)にて10mg/mL濃度とし、20μL/頭(200μg/頭)で背部皮下に1回投与した。その後は離乳まで母動物に哺育させた。生後28±2日齢時に離乳した。
出生児の調整:
ストレプトゾトシンの投与後に、同腹を考慮せずに1腹当たりの哺育児数が均等となるように振り分けた。ストレプトゾトシンの投与を実施しない雄個体については出生後1週間以内に、同腹を考慮せずに1腹当たりの哺育児数が均等となるように振り分けた。
飼育条件(4週齢まで):
動物入荷日から離乳までは、母児ともに通常飼料を自由に摂取させた。生後4週齢時に離乳した。
飼育条件(4週齢から5週齢前日まで):
離乳以降は、ストレプトゾトシンを投与していない動物(通常マウス(群S1および群1))については通常飼料を、ストレプトゾトシンを投与した動物(NASHマウス(群S2、群2、群3および群4))についてはショ糖含有高脂肪飼料を自由に摂取させた。
飼育条件(5週齢から8週齢まで):
通常マウス(群1)については、通常飼料を自由に摂取させた。NASHマウスについては、ショ糖群(群2)においてショ糖含有高脂肪飼料を、マルチトール低用量群(群3)およびマルチトール高用量群(群4)においてマルチトール含有高脂肪飼料を自由に摂取させた。
飲水は、5〜8週齢のマルチトール高用量群(群4)においてのみマルチトール水溶液を、該5〜8週齢の群4以外においては純水を自由に摂取させた。群構成を表5に示す。
全ての計画剖検動物について、採材した肝臓組織を生理食塩水にて洗浄後、重量を電子天秤(AUW22D型、株式会社島津製作所製)にて測定した。
5週齢または8週齢の計画剖検動物について、肝臓外側左葉を中性ホルマリン液(和光純薬工業株式会社製)に浸漬し、24時間室温にて固定後、スクロース置換を実施し、O.C.T.コンパウンド(サクラファインテックジャパン株式会社製)を満たした凍結切片用トレー(クリオディッシュ、株式会社硝英製作所製)に包埋後、速やかに液体窒素で凍結し、オイルレッド染色用に−80℃にて保存した。
8週齢の計画剖検動物について、肝臓外側左葉をブアン固定液(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)に浸漬し、24時間室温にて固定後、シリウスレッド染色用にパラフィン包埋を行った。
8週齢の計画剖検動物について、肝臓外側左葉をO.C.T.コンパウンドを満たしたクリオディッシュに包埋後、速やかに液体窒素で凍結し、F4/80免疫染色用に−80℃にて保存した。
オイルレッド染色による脂肪蓄積面積%の算出結果を表6に示す。NASHマウス(群S2)では、通常マウス(群S1)と比較して、脂肪蓄積面積%の有意な増加が認められたことから、脂肪肝を発症していることが確認された。
オイルレッド染色(脂肪蓄積面積%の算出)の結果を表7に示す。ショ糖群においては、5週齢(群S2)と比較して8週齢(群2)では有意な差は認められず、脂肪肝改善効果は認められなかった。マルチトール低用量群においては、5週齢(群S2)と比較して8週齢(群3)で有意に低い値を示し、脂肪肝改善効果が認められた。マルチトール高用量群においては、5週齢(群S2)と比較して8週齢(群4)で有意に低い値を示し、脂肪肝改善効果が認められた。
シリウスレッド染色(線維化面積%の算出)の結果を表8に示す。正常群(群1)と比較して、ショ糖群(群2)で有意に高い値を示した。ショ糖群(群2)と比較して、マルチトール低用量群(群3)および高用量群(群4)は有意な差は認められなかったが、低値となる傾向を示した。以上の結果より、マルチトール低用量群(群3)および高用量群(群4)に肝組織の線維化抑制効果が示唆された。
F4/80免疫染色(炎症面積%の算出)の結果を表9に示す。正常群(群1)と比較して、ショ糖群(群2)で有意に高い値を示した。ショ糖群(群2)と比較して、マルチトール高用量群(群4)は有意な差は認められなかったが、低値となる傾向を示した。ショ糖群(群2)と比較して、マルチトール低用量群(群3)では有意な差は認められなかった。以上の結果より、マルチトール高用量群(群4)に肝組織の抗炎症効果が示唆された。
表11に示す原材料を混合した後、連続式打錠機(Piccola B−10/RIVA社製)を用い、杵金型(φ8mm、R12mm)、1錠あたりの重量150〜200mg、回転盤の回転数12rpm、打錠圧4kNの打錠条件で直接打錠し、錠剤を製造した。該錠剤は、本発明の肝機能改善剤または肝機能障害予防/治療用医薬組成物の一形態である。
Claims (12)
- マルチトールを有効成分として含有する、肝機能改善剤。
- マルチトールを有効成分として含有し、血中AST値及びALT値の改善作用を特徴とする、肝機能改善剤。
- マルチトールを有効成分として含有する、肝機能障害の予防および/または治療のための医薬組成物。
- アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝、アルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、肝硬変および肝がんからなる群より選択される肝疾患の予防および/または治療のための、請求項3に記載の医薬組成物。
- 脂肪含有量が10重量%以上である食事の食前、食中、食後および食間のいずれかに投与されるものである、請求項3または4に記載の医薬組成物。
- 錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、経口液剤、シロップ剤、経口ゼリー剤、口腔用錠剤、口腔用スプレー剤、口腔用半固形剤および含嗽剤からなる群より選ばれる剤形のものである、請求項3〜5いずれかに記載の医薬組成物。
- インスリン抵抗性改善薬、抗酸化剤、脂質異常症治療薬、肝庇護薬およびアンジオテンシンII1型受容体拮抗薬からなる群より選ばれる1種以上の薬剤をさらに含む、請求項3〜6いずれかに記載の医薬組成物。
- 動物肝臓、サメの肝油、豚肝臓の酵素分解ペプチド、ポリコサノール、葛花、L−オルニチン、ノブドウ、レスベラトロール、クルミ、クルミポリフェノール、α−リポ酸、アーティチョーク、アスタキサンチン、アスパラギン酸、アラニン、イエロードック、ウコン、牡蠣、ガジュツ、ガラナ、甘草、キョウオウ、クロレラ、グリチルリチン、高麗人参、コーヒー、ゴマリグナン、S-アデノシルメチオニン、シジミ、システイン、シリマリン、スピルリナ、チャンカピエドラ、田七人参、フェヌグリーク、セサミン、タウリン、ダンデライオン、フコイダン、マリアアザミ、ラクトフェリン、ラフィノース、霊芝、レシチンおよびローヤルゼリーからなる群より選ばれる1種以上の天然物または天然由来物質をさらに含む、請求項3〜7いずれかに記載の医薬組成物。
- 非ヒト動物における肝機能障害の予防および/または治療のための、マルチトールを有効成分として含有する非ヒト動物用医薬組成物。
- 請求項1または2に記載の肝機能改善剤または請求項9に記載の医薬組成物を非ヒト動物に投与することを含む、非ヒト動物における肝機能障害を予防および/または治療する方法。
- 請求項1または2に記載の肝機能改善剤を飲食品に配合または添加することを特徴とする、機能性飲食品の製造方法。
- サプリメントの製造のための、請求項1または2に記載の肝機能改善剤の使用。
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