JP2014129113A - 衛生薄葉紙包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】衛生薄葉紙の積層体4をフィルム包装袋3に収容してなり、衛生薄葉紙の取出口を形成するための直線状の破断線5がフィルム包装袋の天面に設けられた衛生薄葉紙包装体1において、フィルム包装袋のうち破断線と交差する辺3bに沿って互いに離間しつつ配置された複数のシール要素10aを有するシール部10が形成され、破断線又はその延長線5Lがシール要素のいずれかと交わる。
【選択図】図4
Description
包装袋の軟質フィルムとしては、一般に15〜80μm程度の各種ポリエチレンやポリプロピレンが使用されている。ポリプロピレンフィルムは、コシがあり、光沢感のある包装体が得られることから広く用いられている。さらに近年では、取出し時や携帯時にカサカサと音のしないように、フィルムの物性や素材に工夫を凝らしたものも開発されている。
さらに、包装袋に収容される衛生薄葉紙として、風合いのよいローションティシューや、水に流せるトイレットペーパーも用いられている。ところで、ローションティシューやトイレットペーパーは比較的紙力が低いため、包装袋のミシン目が切れにくいと、開封時に包装袋内部のこれら紙にも大きな力が加わって紙が破れることがあるが、紙力を高くすると紙の柔軟性が損なわれるため好ましくない。そこで、包装袋の強度を下げてミシン目を切れ易くすることが行われている。
一方、包装袋のヒートシールとして、包装袋端部の辺に沿ってドット状のブロックパターンで断続的にシールする方法が用いられている。これは、包装袋の端部に連続シールを行うと端部(シール部)が硬くなり、携帯時に使用者に接触して痛くなってしまう場合があったり、操業面ではヒートシールにムラができて、個包装をきれいにカットできない場合があるからである。
図7は、従来の衛生薄葉紙包装体において、開封のためにミシン目(破断線)5を裂いたときの状態を示す。包装袋となる軟質フィルムが縦方向(ミシン目の延びる方向)に裂けやすいため、包装袋の天面3aに設けられた破断線5を裂くと、破断線5に沿って裂け目5aが広がることがある(図7(a))。そして、裂け目5aがシール部10に達した場合、上述のようにシール部100が複数のブロック状のシール要素100aによって断続的にシールされていると、隣接するシール要素100aの間の強度が低い未シール部分を裂け目5aが通って包装体端部まで達し、フィルム包装袋が破れることがある(図7(b))。
又、ミシン目の裂けを防止するため、ミシン目の両端に引裂き防止用の円形その他の逃げ部を設けたり、ミシン目の位置、長さや間隔を調整したものもあるが、製造コストの増加に繋がるという問題がある。
従って本発明は、破断線の開封時に裂け目が、シール部まで達してもシール部を通過して端部に達しないようにし、包装袋の破れを防止した衛生薄葉紙包装体の提供を目的とする。
この衛生薄葉紙包装体によれば、破断線の開封時に裂け目が、シール部まで達してもシール要素のいずれかと交わるので、強度の高いシール要素で裂け目が止まる。このため、裂け目がシール部を抜けて端部へ達し、フィルム包装袋が破れることを防止できる。
前記フィルム包装袋がポリプロピレンを含むとよい。
前記フィルム包装袋が2種類以上のポリプロピレン層を積層してなるとよい。
図1は、本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙包装体1の外観を示す斜視図である。衛生薄葉紙包装体1は、衛生薄葉紙の積層体4と、積層体4を収容するフィルム包装袋3と、フィルム包装袋3の天面3aに設けられた直線状の破断線(ミシン目)5と、フィルム包装袋3端部の側辺3bに沿って形成されたシール部10とを有している。フィルム包装袋3は、図1の左右方向を長辺とし、側辺3bを短辺とする略直方体状をなし、図3に示すように、フィルム包装袋3の天面3aの側辺3b方向中央にて、長辺に沿って一本の破断線5が延びている。又、本実施形態では、フィルム包装袋3は、2種類のポリプロピレンフィルムを積層してなる。
又、本実施形態では、各シール要素10aが側辺3bと交差する方向(つまり、長辺方向)に2つの列L1、L2配置され、そのうち列L1が外側に位置している。さらに、各列L1、L2において各シール要素10aが側辺3bに沿って互いに離間しつつ配置されている。
そして、破断線5の延長線5Lが、列L2の1つのシール要素10a3と交わっている(図4)。なお、本実施形態においては、長辺方向に見て、破断線5の先端はシール要素10a3より内側に位置しているが、破断線5の先端が直接シール要素10a3と交わっていてもよい。
さらに、フィルム包装袋3が2種類以上のポリプロピレン層を積層してなることが好ましい。具体的な積層構造としては、(1)OPP/CPPの貼り合せ2層構造(ドライラミ)、(2)OPP/PE/CPPの3層構造が挙げられる。ここで、OPPは二軸延伸ポリプロピレン、CPPは無延伸ポリプロピレン、PEはポリエチレンを示す。
又、CPPは、融点の異なる2種以上のポリプロピレンを共押出により形成されていることが好ましい。PEとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどを用いることができる。
フィルム包装袋3の厚みは、30〜65μmが好ましく、30〜60μmがより好ましい。フィルム包装袋3の厚みが上記範囲未満であると、強度が低下して破れやすく、上記範囲を超えると破断線で開封し難くなったり、操業面ではヒートシール処理をきれいに施せない場合がある。
フィルム包装袋3の密度は、0.80〜1.05g/cm3が好ましく、0.85〜1.05g/cm3がより好ましい。フィルム包装袋3の密度が上記範囲未満であると、強度が低下して破れやすく、上記範囲を超えると破断線で開封し難くなる傾向がある。
フィルム包装袋3のCD方向の引張強度は、0.10〜0.40kN/mが好ましく、0.15〜0.40kN/mがより好ましい。フィルム包装袋3のCD方向の引張強度が上記範囲未満であると、強度が低下して破れやすく、上記範囲を超えると破断線で開封し難くなる傾向がある。
フィルム包装袋3のCD方向の伸びは、0.8〜5.0%が好ましく、また、0.9〜5.0%がより好ましく、さらには、1.0〜5.0%がより好ましい。フィルム包装袋3のCD方向の伸びが上記範囲未満であると、開封時に破断線がシール部を通過して端部に達し、包装体が破れやすくなる場合があり、上記範囲を超えると破断線で開封し難くなる傾向がある。
フィルム包装袋3のMD方向の引裂強度は、150〜4000mNが好ましく、200〜4000mNがより好ましい。フィルム包装袋3のMD方向の引裂強度が上記範囲未満であると、開封時に破断線がシール部を通過して端部に達し、包装体が破れやすくなる場合があり、上記範囲を超えると破断線で開封し難くなる傾向がある。
フィルム包装袋3のCD方向の引張強度と伸びは、JIS P 8113(2006)に準拠して、測定する。なお、引張強度と伸びの測定は、例えば、旧Lorentzen & Wettre社製の引張強度測定器(SE-062)を用いることができる。具体的な測定は、MD方向の幅が50mmでCD方向に長い短冊状の試料を用意し、試料の長手方向中央に、MD方向に沿って長さ40mmのスリットを入れ、CD方向に引っ張って測定する。試験片の伸張速度(つかみ具の移動速度)は20mm/min、つかみ具のスパンは100mmとする。
フィルム包装袋3のMD方向の引裂強度の測定は、JIS P 8116(2000)に準拠して測定する。なお、引裂強度は、例えば、旧Lorentzen & Wettre社製 エルメンドルフ形引裂強度試験器(SE-009)を用いることができる。具体的な測定は、MD方向の幅が63mmでCD方向に長い短冊状の試料を1枚セットし、引裂強度試験器に備え付けられているナイフで試料の長手方向中央にMD方向に沿って切れ目(破断線5に相当)を入れて、MD方向に引裂いて測定する。切れ目の長さを20mm切り込む。
なお、フィルム包装袋3のMD方向は、衛生薄葉紙包装体1の長手方向(破断線5の延びる方向)である。また、上記の各種測定では、サンプルの破断線5が入らない箇所を選び、測定する。
図5は、図3のシール部10の部分拡大図である。各列L1、L2のシール要素は同一形状であり、かつ各列L1、L2内の隣り合うシール要素同士の間隙Gも同一寸法である。図5において、側辺3bに沿うシール要素の長さD1は0.3〜10mmが好ましく、0.3〜3.0mmとすることがより好ましい。側辺3bに沿う間隙Gの長さG1は0.2〜2.5mmとすることが好ましい。又、D1>G1とすると、側辺3bと直交する方向(図5の左右方向)に、各列L1、L2のいずれかのシール要素が存在し、破断線5の延長線5Lが、いずれかの列のシール要素に確実に交わるので好ましい。シール要素の側辺3bと直交する方向の幅は特に制限しないが、大きすぎるとシール部が大きくなるため5mm未満とすることが好ましい。また、D1及びG1が上記範囲未満であると、シール要素及びその間隔が細かくなるため、ヒートシール等によってシール部を作成するのが難しくなる。また、ヒートシールブロックの作製が困難になる等の問題が生じる。
図6(a)は、各シール要素を三角形とし、図5と同様に各シール要素を2列に配列したシール部を示す。この例では、延長線5Lの方向に見て、隣接する列のシール要素の端部が重なるように配置されている。従って、延長線5Lが衛生薄葉紙包装体1の内側のシール要素間の隙間Gを抜けても、外側のシール要素と交わるようになっている。
図6(b)は、各シール要素を3枚羽根車形とし、図5と同様に各シール要素を2列に配列したシール部を示す。この例では、延長線5Lの方向に見て、隣接する列のシール要素の端部が重なるように配置されている。従って、延長線5Lが衛生薄葉紙包装体1の内側のシール要素間の隙間Gを抜けても、外側のシール要素と交わるようになっている。なお、「シール要素の端部」は、シール要素のうち側辺3b方向に最も張出した部分をいう。
図6(c)は、各シール要素をS字形とし、S字同士が上下に離間配置されるようにし、図5と同様に各シール要素を2列に配列したシール部を示す。この例では、延長線5Lの方向に見て、隣接する列のシール要素(S字)の端部が重なるように配置されている。従って、延長線5Lが衛生薄葉紙包装体1の内側のシール要素間の隙間Gを抜けても、外側のシール要素と交わるようになっている。
図6(e)は、各シール要素を円形とし、各シール要素を3列に配列したシール部を示す。この例では、この例では、延長線5Lの方向に見て、内側の列のシール要素間の隙間Gに2列目及び/又は3列目のシール要素が配置され、これら2列目及び/又は3列目のシール要素により、延長線5Lの方向に見て隙間Gと完全に重なるようになっている。従って、延長線5Lが衛生薄葉紙包装体1の内側のシール要素間の隙間Gを抜けても、2列目及び/又は3列目のシール要素と交わるようになっている。
又、側辺3b方向のシール要素の間隔はそれぞれ均等でなくともよく、破断線5Lと交差する位置の近傍でシール要素の間隔を小さくしても良い。また、破断線5Lから離れた位置では間隔を広くし、加工、運搬及び携帯中の圧縮による包装体の破裂防止のためのエア抜き部としても良い。また、図6(f)に示すように、破断線5Lと交差する部分のシール要素の大きさや数(分布密度)を他の部分のシール要素より大きくしても良い。
比較例として、図7に示す従来の衛生薄葉紙包装体を製造した。各実施例の衛生薄葉紙包装体は、破断線の延長線がシール要素の間を通るようになっている。
得られた衛生薄葉紙包装体につき、モニター30名によりミシン目(破断線)の破れ易さ(開封し易さ)を評価した。評価基準は以下の通りとして各自の評価点を平均した。
◎:8〜10点:開封が非常に良好である。
○:6〜7点:開封が良好である。
△:4〜5点:普通(過剰な力は必要とせず通常の力で開封できる。
×:1〜3点:悪い(開封に過剰な力を要するか、又は力を加えなくても不用意に開封されてしまう。
評点が◎〜△であれば実用上問題がない。評点が×であるとミシン目の強度が強すぎて、開封時にフィルムが伸びてしまうほどの力を要するか、又は意図せずに開封してしまう。後者の場合、ミシン目の強度が弱くなり、カバンにいれて運ぶ際、開封されてしまうことがあるため好ましくない。
又、得られた衛生薄葉紙包装体につき、モニター30名によりそれぞれ5個を開封してもらい、フィルム包装袋の破れにくさ(開封時に破断線の裂け目がシール部を通過して端部に達する度合い)を評価した。評価基準は以下の通りとした。
◎:8〜10点:30名のモニター中で、裂け目がシール部を通過して端部に達した件数が0〜1件である。
○:6〜7点:30名のモニター中で、裂け目がシール部を通過して端部に達した件数が2〜3件である。
△:4〜5点:30名のモニター中で、裂け目がシール部を通過して端部に達した件数が4〜5件である。
×:1〜3点:30名のモニター中で、裂け目がシール部を通過して端部に達した件数が6件以上である。
評点が◎〜△であれば実用上問題がない。評点が×であると、開封時にフィルム包装袋の破れることが多くなる。
又、衛生薄葉紙包装体の製造時のシール部の操業性(加工性)は、製造中の状態を目視して評価した。評価基準は以下の通りとした。
◎:8〜10点:非常に良好である。
○:6〜7点:良好である。
△:4〜5点:カット不良、又はヒートシールムラが生じることがある。
×:1〜3点:カット不良、又はヒートシールムラが生じやすい。
なお、D1が10mmを超え、G1が2.5mmを超えた実施例5の場合、操業性が劣ったが、破断線の開封及び包装袋の破れ抑制の点では良好であった。
一方、破断線の延長線5Lがシール要素と交わらない比較例1の場合、破断線の裂け目がシール部を通過して端部に達し、包装袋の破れが顕著であった。
なお、フィルム包装袋のCD方向の引張強度が0.15kN/m未満である実施例8の場合、他の実施例より破断線の開封が若干し難いが、実用上問題はない。
一方、破断線の延長線5Lがシール要素と交わらない比較例2〜4の場合、破断線の裂け目がシール部を通過して端部に達し、フィルム包装袋の破れが顕著であった。
なお、フィルム包装袋のCD方向の引張強度が0.15kN/m未満である実施例9の場合、他の実施例より破断線の開封が若干し難く、フィルム包装袋の破れが若干多かったが、実用上問題はない。
又、フィルム包装袋の厚みが65μmを超えた実施例11の場合、他の実施例より破断線の開封が若干し難く、ヒートシール処理をきれいに施せない傾向があり操業性が劣ったが、実用上問題はない。
3 フィルム包装袋
3a フィルム包装袋の天面
3b フィルム包装袋のうち破断線と交差する辺
4 衛生薄葉紙の積層体
5 破断線
5L 破断線の延長線
10 シール部
10a、10a1〜10a3 シール要素
L1、L2 シール要素の列
G シール要素同士の間隙
Claims (4)
- 衛生薄葉紙の積層体をフィルム包装袋に収容してなり、前記衛生薄葉紙の取出口を形成するための直線状の破断線が前記フィルム包装袋の天面に設けられた衛生薄葉紙包装体において、
前記フィルム包装袋のうち前記破断線と交差する辺に沿って互いに離間しつつ配置された複数のシール要素を有するシール部が形成され、
前記破断線又はその延長線が前記シール要素のいずれかと交わる衛生薄葉紙包装体。 - 前記シール要素が前記辺と交差する方向に複数列配置され、一の列の隣り合う前記シール要素同士の間隙に、隣接する他の列の前記シール要素が配置されている請求項1に記載の衛生薄葉紙包装体。
- 前記フィルム包装袋がポリプロピレンを含む請求項1又は2記載の衛生薄葉紙包装体。
- 前記フィルム包装袋が2種類以上のポリプロピレン層を積層してなる請求項3記載の衛生薄葉紙包装体。
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