JP2014126984A - セキュリティカード用転写原版、セキュリティカード用転写原版の製造方法、セキュリティカードおよびセキュリティカードの製造方法。 - Google Patents

セキュリティカード用転写原版、セキュリティカード用転写原版の製造方法、セキュリティカードおよびセキュリティカードの製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、視認性の高いセキュリティカードを安価で簡単に作製することができるセキュリティカード用転写原版の提供を主目的とする。
【解決手段】本発明は、金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有する平板状のセキュリティカード用転写原版であって、上記レンチキュラーレンズ形成部が、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部と、隣り合う上記直線状凹曲面部の間に形成される隔壁部とを有することを特徴とするセキュリティカード用転写原版を提供することにより上記目的を達成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、視認性の高いセキュリティカードを安価で容易に作製することができるセキュリティカード用転写原版に関する。
従来より身分証明証や各種会員証、クレジットカード等のセキュリティカード(以下、「セキュリティカード」を「カード」と略する場合がある。)において、カードの所有者とカード使用者との同一性を確認する、いわゆる個人識別機能として、カード表面に所有者の個人情報や写真等の画像が表示されたものが一般的に用いられている。また、近年では、これらの画像が改ざんおよび偽造されることを防止するために、画像表面に偽造防止機能を付与したセキュリティカードが用いられている。
偽造防止機能を付与する方法としては、例えば、セキュリティカードのカード基材上にレンチキュラーレンズを設ける方法がある。レンチキュラーレンズとは、断面が凸レンズ状であり側面が略半円柱の直線形状のレンズ(以下、上記レンズを「半円柱形レンズ」と称する。)の複数本が、平行で等間隔に配置された形状を有するものであり、凸レンズ状の断面を有する方向にのみにレンズの集光機能を有するものである。セキュリティカードにおいては、表示される個人情報等の画像上にレンチキュラーレンズを設けることにより、特定の観察角度からレンチキュラーレンズを介してセキュリティカードを観察する際に、カード基材が有する画像部から観察角度に応じて表示される画像を選択して目視させることができるため、視認性の高いセキュリティカードとすることができる(特許文献1〜3)。
特開平9−311204号公報 特開2000−298319号公報 特開2008−77711号公報
上述のようなセキュリティカードを多品種かつ小ロットで作製する場合においては、例えば、レンチキュラーレンズのみを金型ロールで別途形成した後に貼り付けることにより、カード表面上にレンチキュラーレンズを設ける等の方法が用いられている。しかし、安価で容易に精度良くレンチキュラーレンズ付きのセキュリティカードを作製することができる転写原版については知られていなかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、視認性の高いセキュリティカードを安価で容易に作製することができるセキュリティカード用転写原版を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有する平板状のセキュリティカード用転写原版であって、上記レンチキュラーレンズ形成部が、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部と、隣り合う上記直線状凹曲面部の間に形成される隔壁部とを有することを特徴とするセキュリティカード用転写原版を提供する。
本発明によれば、金属基板の一方の表面上に平面部とレンチキュラーレンズ形成部とが直接形成されており、安価で精度の高いセキュリティカード用転写原版とすることができる。
また、本発明のセキュリティカード用転写原版を用いることにより、セキュリティカードを一括形成することができる。このとき、カード表面の所望の位置にレンチキュラーレンズを精度よく形成することができるだけでなく、上記平面部の転写面を平坦化することができ、さらに、カード全体としての厚さの均一化を図ることができるため、寸法精度の高いセキュリティカードを作製することができる。
さらにまた、上記レンチキュラーレンズを構成する半円柱形レンズを介してカード基材に文字、記号、図柄等の情報を印字することができる。上記半円柱形レンズは所望の位置に精度良く形成されていることから、カード基材における正確な位置に印字することが可能となる。このため、観察角度に応じて、上記レンチキュラーレンズを介して異なる画像を明瞭に出現させることができ、視認性の高いセキュリティカードを作製することが可能となる。
上記発明においては、上記平面部に文字図柄転写部が形成されていることが好ましい。文字図柄転写部は凹凸で表現された文字、記号、図柄等の画像情報を有するものである。そのため、本発明のセキュリティカード用転写原版を用いることにより、セキュリティカードの表面にレンチキュラーレンズを形成するのと同時に、上記文字図柄転写部の画像情報を転写することができるからである。
上記発明においては、上記隔壁部の頂部の幅が5μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。上記隔壁部は、セキュリティカードを作製する際に、隣り合う半円柱形レンズ間の溝部(以下、「レンズ間溝部」と称する場合がある。)を転写形成する部分であることから、上記レンズ間溝部の幅の大きさを小さいものとすることができる。これにより、レンチキュラーレンズを介して視認される画像上に、上記レンズ間溝部に起因して、表示すべき画像以外の不要な画像が線状に出現する等の視認性の低下を抑制することができるからである。また、上記隔壁部の頂部の幅を上記範囲内とすることで、繰り返しの使用による隔壁部の変形や欠損等が生じることを防ぐことができるからである。
なお、本発明において、視認画像上に線状に出現する不要な画像のことを、「線状ノイズ」と称する場合がある。
上記発明においては、上記隔壁部の頂部が曲率を有することが好ましい。本発明のセキュリティカード用転写原版により作製されるセキュリティカードにおいて、視認される画像上に出現する上述の線状ノイズ等をより目立たなくすることができ、視認性に優れたセキュリティカードとなるからである。
また、本発明は、金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有し、上記レンチキュラーレンズ形成部が、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部と、隣り合う上記直線状凹曲面部の間に形成される隔壁部とを有する平板状のセキュリティカード用転写原版の製造方法であって、上記金属基板上に直線状の開口部を有するレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、上記レジスト層を介して上記金属基板をエッチングし、上記金属基板上に上記直線状凹曲面部および上記隔壁部を形成するエッチング工程と、を有することを特徴とするセキュリティカード用転写原版の製造方法を提供する。
本発明によれば、金属基板を直接エッチングすることで、隔壁部の頂部の幅を所望の大きさに調整し、直線状凹曲面部の形状の整ったレンチキュラーレンズ形成部を所望の位置に形成することができる。このため、容易で安価にセキュリティカード用転写原版を製造することができる。
また、従来からレンチキュラーレンズの転写原版の製造方法として、MEMSやエレクトロフォーミング、金属切削、レーザー照射による方法等が一般的に用いられているが、これらの方法と比較して、製造が容易且つ安価であるだけでなく、レーザー光の照射跡の残存や溶融物の飛散により表面の平滑性が損なわれたり、隔壁部の変形等が生じる等の不具合の発生が少ない。このため、精度の高いセキュリティカード用転写原版を製造することができる。
上記発明においては、上記エッチング工程の後に、上記レジスト層を除去した上記金属基板に対し、酸系処理液を用いて研磨を行う研磨工程を有することが好ましい。研磨工程を有することにより、隔壁部の頂部の曲率を調整することができ、また、セキュリティカード用転写原版の表面を光沢面とすることができるからである。
また、本発明は、表面に画像部を有するカード基材と、上記カード基材の上記画像部が形成された側の表面に配置されるレンチキュラーレンズシートとを有し、上記レンチキュラーレンズシート上には、シート平坦部およびレンチキュラーレンズが形成され、上記レンチキュラーレンズが、複数本が並列に配置された半円柱形レンズと、隣り合う上記半円柱形レンズの間に形成されたレンズ間溝部とを有するセキュリティカードであって、上記レンズ間溝部の底幅が5μm〜20μmの範囲内であり、上記レンチキュラーレンズと上記画像部とが平面視上に重なるように配置されており、観察角度によって上記レンチキュラーレンズを介して視認される上記画像部が異なることを特徴とするセキュリティカードを提供する。
本発明によれば、カード基材の表面にシート平坦部およびレンチキュラーレンズが形成されたレンチキュラーレンズシートを有することにより、上記レンチキュラーレンズを介して画像部を視認する際に、観察角度によって出現する画像を異なるものとすることができる。
また、本発明によれば、上記レンズ間溝部の幅を所定の範囲内となるように調整することにより、上記レンチキュラーレンズを介して画像部を視認する際に、視認される画像上に線状ノイズ等が出現することを抑制し、視認性に優れたセキュリティカードとすることができる。
上記発明においては、上記レンズ間溝部の底部が曲率を有することが好ましい。レンチキュラーレンズを介して画像部を視認する際に、視認される画像上に出現する線状ノイズ等をより目立たなくすることができ、視認性に優れたセキュリティカードとなるからである。
また、本発明は、画像部を有するカード基材と、上記カード基材の上記画像部が形成された側の表面に配置されるレンチキュラーレンズシートとを有し、上記レンチキュラーレンズシートが、シート平坦部およびレンチキュラーレンズを有し、上記レンチキュラーレンズが、複数本が並列に配置された半円柱形レンズを少なくとも有するものであり、上記レンチキュラーレンズと上記画像部とが平面視上に重なって配置されるセキュリティカードの製造方法であって、金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを少なくとも有し、上記レンチキュラーレンズ形成部が、少なくとも複数本の直線状凹曲面部が並列に配置されたものである平板状のセキュリティカード用転写原版を準備する準備工程と、シート基材の表面に上記セキュリティカード用転写原版を転写して、上記シート平坦部および上記レンチキュラーレンズを有する上記レンチキュラーレンズシートを一括形成する転写工程と、を有することを特徴とするセキュリティカードの製造方法を提供する。
本発明によれば、準備工程において準備したセキュリティカード用転写原版を用いることにより、転写工程において、シート基材の所望の位置にレンチキュラーレンズを精度よく形成すると同時に、高い平滑性を有するシート平坦部を形成することができる。これにより所望の凹凸形状を有するレンチキュラーレンズシートを一括形成することが可能となる。
また、一括形成によりレンチキュラーレンズシートの厚さを精度の高いものとすることができるため、カード全体の厚さの均一化を図ることができる。これにより、寸法精度の高いセキュリティカードを生産性良く作製することができる。
さらに、転写工程において、寸法精度および配置精度が高いレンチキュラーレンズが形成されるため、レンチキュラーレンズを介して画像部を観察する際に、観察角度に応じて画像部の異なる情報を明瞭に表示することができる。
この様に、寸法精度が高く、視認性に優れたセキュリティカードを容易かつ安価に作製することが可能となる。
上記発明においては、上記転写工程の後、上記レンチキュラーレンズと平面視上に重なるように、上記カード基材に上記画像部を形成する印字工程を有することが好ましい。上述した転写工程において寸法精度および配置精度が高いレンチキュラーレンズが形成されるため、レンチキュラーレンズと平面視上に重なる位置に正確に画像部を印字することができるからである。
上記発明においては、上記準備工程により準備される上記セキュリティカード用転写原版が、上記平面部に文字図柄転写部を有するものであることが好ましい。転写工程において、上記文字図柄転写部の情報もカード表面に転写することができ、カード基材に形成される画像部の情報とは異なる情報をカードに付すことができるからである。
本発明によれば、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有する金属基板を用いることにより、安価で精度の高いセキュリティカード用転写原版とすることができ、高精度の転写形状およびカード厚さを有するセキュリティカードを安価で容易に作製することができる。
また、セキュリティカード用転写原版の製造方法としてエッチング法を用いることにより、レーザー照射等を用いる従来の転写原版の製造方法よりも、容易で安価且つ精度良くセキュリティカード用転写原版を作製することができる。
さらに、本発明のセキュリティカードは、レンチキュラーレンズを介して出現する画像部を視認する際に、観察角度によって出現する画像を異なるものとすることができ、視認画像上に線状ノイズ等が出現して画像形状が損われることを防止できるため、視認性に優れたセキュリティカードとすることができる。
本発明のセキュリティカード用転写原版の一例を示す概略断面図である。 本発明のセキュリティカード用転写原版の一例を示す概略斜視図である。 本発明のセキュリティカード用転写原版の他の例を示す概略断面図である。 隔壁部の縦断面形状の例を説明するための説明図である。 本発明のセキュリティカード用転写原版の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のセキュリティカードの一例を示す概略平面図である。 図6のX−X断面図である。 半円柱形レンズを介したレーザー光照射による印字についての説明図である。 本発明のセキュリティカードにおける、観察角度と視認される画像部との関係を表わす説明図である。 本発明のセキュリティカードの製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明のセキュリティカード用転写原版、セキュリティカード用転写原版の製造方法、セキュリティカード、およびセキュリティカードの製造方法について、順に説明する。
なお、以下の説明において、本発明のセキュリティカード用転写原版のことを、単に「カード用原版」と略する場合がある。
A.セキュリティカード用転写原版
まず、本発明のセキュリティカード用転写原版について説明する。本発明のセキュリティカード用転写原版は、金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有する平板状のセキュリティカード用転写原版であって、上記レンチキュラーレンズ形成部が、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部と、隣り合う上記直線状凹曲面部の間に形成される隔壁部とを有することを特徴とするものである。
本発明のカード用原版について、図を例示して説明する。図1および図2は本発明のカード用原版の一例を示す概略断面図および概略斜視図であり、図3は本発明のカード用原版の他の例を示す概略断面図である。なお、図1は、図2のX方向に沿ってZ方向に切断した際の断面(以下、「縦断面」と称する場合がある。)図である。また、図2におけるX方向を短尺方向、Y方向を長尺方向とする。
図1から図3に例示されるように、本発明のセキュリティカード用転写原版10は、平板状の金属基板1の一方の表面上に、平面部2とレンチキュラーレンズ形成部3とを有するものである。また、上記レンチキュラーレンズ形成部3は、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部4と、隣り合う直線状凹曲面部4の間に形成される隔壁部5とを有するものである。
本発明における直線状凹曲面部について、「複数本が並列に配置され」るとは、複数本の直線状凹曲面部が、平行で等間隔に配置されることをいう。
本発明では、金属基板の表面上に直接、平面部と直線状凹曲面部および隔壁部を有するレンチキュラーレンズ形成部とが形成されており、安価で精度の高いカード用原版とすることができる。
また、本発明のカード用原版を用いることにより、所望の位置に形成されたレンチキュラーレンズおよび平坦な領域(以下、「シート平坦部」と称する場合がある。)を有するセキュリティカードを作製することができる。
通常、ICカードや各種証明カード等のセキュリティカードにおいては、その大きさが国際規格(例えばISO7816)等で規定されており、カードの大きさ、形状、厚さ等について高い精度が求められている。
本発明のカード用原版において、上記レンチキュラーレンズ形成部は、その形状が高精度なものであることから、転写により得られるレンチキュラーレンズについても精度の高いものとすることができる。また、上記平面部についても表面平滑性の高いものであるため、得られるシート平坦部を平坦性の高いものとすることができる。
さらに、本発明のカード用原版を押し当てた状態でカード全体が加熱加圧されることにより、上記カード用原版表面の凹凸形状が転写されて、カード表面に上述したレンチキュラーレンズ等の凹凸形状を一括形成することができる。このため、得られるカードはその全体の厚さを均一なものとすることができる。
この様に、本発明のカード用原版により、セキュリティカードを安価で容易に作製できるだけでなく、得られるカードを寸法精度の高いものとすることができる。
さらにまた、上記レンチキュラーレンズを構成する半円柱形レンズを介してカード基材に文字、記号、図柄等の情報を印字する場合において、上記レンチキュラーレンズが所望の位置に精度良く形成されていることから、正確な位置に印字することができる。このため、観察角度に応じて上記レンチキュラーレンズを介して異なる画像を明瞭に出現させることができ、視認性の高いセキュリティカードを作製することが可能となる。
本発明は、金属基板の一方の表面に形成された平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を少なくとも有するものである。
以下、本発明のカード用原版について、各部位ごとに説明する
1.金属基板
本発明における金属基板は、一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有するものである。
上記金属基板は、単一の金属から形成される単層構造であることが好ましい。金属基板の表面上にめっき等が施された多層構造である場合、転写する際に上記直線状凹曲面部に応力が集中してかかりやすく、レンチキュラーレンズ形成部のめっき等が金属基板から剥離する場合があるからである。
上記金属基板に用いられる金属の種類としては、特に限定されるものではないが、ステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウム、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、コバルト合金、クロム合金、モリブデン合金、タングステン合金等の金属が好ましく、中でもステンレス鋼が好ましい。金属の中でも耐久性に優れており、エッチング等の加工がしやすく、安価だからである。
上記金属基板の厚さとしては、後述するカード用原版の厚さをその範囲に含む、0.05mm〜10mmの範囲内の大きさであることが好ましい。
金属基板の厚さを上記範囲内とすることが好ましい理由については、以下の通りである。
本発明のカード用原版の製造方法として、例えば、当該金属基板にフォトリソグラフィによるパターニングを行い、その後エッチングを行う方法を用いる場合、その過程において金属基板にマスクを介して紫外線等の露光を行うことによりパターンが複製される。このとき、金属基板とマスクとを真空密着させることによって、安定したパターンを得ることが必要である。そこで、金属基板の厚さを上記範囲内とすることにより、上記真空密着を安定的に行うことが可能となる。
一方、金属基板の厚さが上記範囲より薄いと、カードの作製の際に本発明のカード用原版が変形しやすく、耐久性が不足する場合がある。
なお、金属基板の大きさ(面積)としては、所望のセキュリティカードの大きさに応じて適宜設定することができる。
(1)レンチキュラーレンズ形成部
本発明におけるレンチキュラーレンズ形成部とは、金属基板の一方の表面上に形成されるものであり、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部と、隣り合う上記直線状凹曲面部の間に形成される隔壁部とを有するものである。
なお、上記レンチキュラーレンズ形成部は、上述した金属基板の表面が直接、直線状凹曲面部および隔壁部の形状に成形されてなるものである。
(a)直線状凹曲面部
本発明における直線状凹曲面部は、セキュリティカードを作製する際に転写されて半円柱形レンズを形成する部分である。また、複数本の半円柱形レンズが並列に配置されることにより、1つのレンチキュラーレンズが形成される。
上記直線状凹曲面部の幅は、20μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも40μm〜120μmの範囲内であることが好ましく、特に、50μm〜70μmの範囲内であることが好ましい。
直線状凹曲面部の幅が上記範囲よりも大きいと、フォトリソグラフィによりカード用原版を製造する場合に直線状凹曲面部の高さも相対的に大きくなる。そのため、転写により形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの高さも大きくなり、規格等で決められたカードの厚さを超えてしまう場合がある。
一方、上記範囲よりも小さいと、フォトリソグラフィによりカード用原版を製造する場合に、パターニングに際して解像度の安定性が確保できず、直線状凹曲面部の形状のばらつきが大きくなる可能性がある。そのため、転写により形成される半円柱形レンズの形状にもばらつきが生じ、レンチキュラーレンズを介して画像部を視認する際に、画像の均一性が確保できない場合がある。
なお、直線状凹曲面部の幅とは、直線状凹曲面部の短尺方向の側面間の長さを指し、図3においてaで示される部分をいう。
上記直線状凹曲面部の幅は、光干渉式表面形状測定装置(例えば、菱化システム社製 VertScan2.0、Veeco社製 Wyko NT9000シリーズ等)を用いて、非接触法により測定することができる。具体的には、光干渉式表面形状測定装置の測定ステージ上に上記直線状凹曲面部を測定ヘッドに向けて載置し、上記直線状凹曲面部の表面形状データを3次元座標データの集合の形式で非接触に取得し、上記表面形状データを元に算出することができる。
なお、以降の説明において、特段の記載が無い限り、本発明のカード用原版の各構成部位における測定方法は、各構成部位を測定ヘッドに向けて載置し、上記測定方法と同様の方法を用いて測定されたものとする。
上記直線状凹曲面部のピッチ幅は小さいことが好ましいが、上述した直線状凹曲面部の幅より大きいことが好ましい。上記ピッチ幅の大きさとしては、30μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも50μm〜130μmの範囲内であることが好ましく、特に60μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
直線状凹曲面部のピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、隣り合う直線状凹曲面部の配置間隔が大きくなり、セキュリティカード上に形成される半円柱形レンズの配置間隔も大きくなる。そのため、個々の半円柱形レンズが視覚的に目立つようになり、カードの外観上好ましくない場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、上記直線状凹曲面部の幅も小さくなってしまい、転写により半円柱形レンズを形成する際にレンズ形状が欠損してしまう場合がある。
なお、直線状凹曲面部のピッチ幅とは、隣り合う直線状凹曲面部の中心間の距離をいい、図3においてbで示される部分をいう。
上記直線状凹曲面部は、その底部に曲率を有するものであるが、上記直線状凹曲面部の底部の曲率(以下、単に「直線状凹曲面部の曲率」と略する場合がある。)の大きさによっては、規格等で定められる寸法形状を有するセキュリティカードを製造できない場合や、カードの視認性が低下する場合等がある。そのため、上記直線状凹曲面部は所望の曲率を有する必要がある。
以下、その理由について図を例示して説明する。
図8は、セキュリティカードを作製する際の、半円柱形レンズを介したレーザー光照射による印字方法に関する説明図である。図8に例示されるように、セキュリティカードへの印字方法として、半円柱形レンズ13を介してカード基材12に含有される発色材料にレーザー光(Z1およびZ2)等の照射を行う。これにより、照射部分が発色し、画像部を形成することができる。
上述したように、直線状凹曲面部は転写されて半円柱形レンズを形成する部位である。すなわち、上記直線状凹曲面部の曲率により、半円柱形レンズの頂部の曲率も定まるものである。
ここで、例えば、上記直線状凹曲面部の曲率が大きいと、形成される半円柱形レンズの曲率も大きいものとなる。すなわち、上記半円柱形レンズは曲率半径が小さい形状となる。
この場合、図8(a)で例示されるように、半円柱形レンズ13を透過したレーザー光Z1およびZ2はレンチキュラーレンズシート11内に焦点Fを有してしまい、カード基材12まで到達することができず、カード基材12において印字が行えない可能性がある。
このとき、レーザー光の焦点をカード基材に有するためには、レンチキュラーレンズシートの厚さを薄くする必要があり、当該シートの強度が低下する可能性がある。
一方、例えば、上記直線状凹曲面部の曲率が小さいと、形成される半円柱形レンズの曲率も小さいものとなる。すなわち、上記半円柱形レンズは曲率半径の大きい形状となる。
この場合、図8(b)で例示されるように、半円柱形レンズ13を透過したレーザー光Z1およびZ2は、カード基材12を越えた位置に焦点Fを有するため、上記カード基材12において印字が行えない可能性がある。
このとき、カード基材に焦点が位置するようにレンチキュラーレンズシートの厚さを大きくする方法も考えられる。しかし、実際にレーザー光の届く範囲は決まっていることから、上記焦点Fまで十分にレーザー光が届かず、また、焦点Fにおけるレーザー光の強度が低下すると推量される。そのため、カード基材に明瞭に印字することが困難となる場合がある。
また、レンチキュラーレンズシートの厚さを大きくすると、セキュリティカード全体の厚さも大きくなるため、国際規格等で規定される寸法形状のカードを作製することができない場合がある。
上述の理由から、カード基材の所定の箇所に明瞭な画像部を有し、視認性の高いセキュリティカードとするためには、半円柱形レンズの曲率が所望の範囲内となるように、カード用原版の直線状凹曲面部の曲率を規定する必要がある。
上記直線状凹曲面部の曲率半径としては、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも30μm〜90μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。
なお、直線状凹曲面部の曲率半径とは、図3においてcで示される部分をいう。
上記直線状凹曲面部の深さとしては、5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも7μm〜60μmの範囲内であることが好ましく、特に、10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
直線状凹曲面部の深さが上記範囲よりも大きいと、転写により形成される半円柱形レンズのレンズ厚が大きくなる。すなわち、レンチキュラーレンズのレンズ厚も大きくなるため、国際規格等で決められたカード全体の厚みを超えてしまう可能性がある。一方、上記範囲よりも小さいと、転写により形成される半円柱形レンズが所望のレンズ厚とならず、画像情報の表示を切り替えるレンズとしての機能を十分発揮できない場合がある。
また、直線状凹曲面部の深さが上記範囲外となると、セキュリティカードの作製において、レーザー光の照射によりカード基材へ画像の印字を行う場合、半円柱形レンズを透過したレーザー光がカード基材において焦点を結べず、所望の位置に印字が行えない可能性がある。
なお、直線状凹曲面部の深さとは、直線状凹曲面部の最下点から後述する隔壁部の頂部(最頂点)までの長さをいい、図3においてdで示される部分をいう。
上記直線状凹曲面部は、図2で例示されるように金属基板の表面上に複数本が並列に形成されるものであり、上記直線状凹曲面部の本数としては適宜選択することができる。
また、直線状凹曲面部の長尺方向の長さとしては特に限定されるものではなく、金属基板の大きさおよび所望のレンチキュラーレンズの大きさに応じて適宜選択されるものである。
(b)隔壁部
本発明における隔壁部とは、隣り合う上記直線状凹曲面部の間に形成されるものである。なお、上記隔壁部も上記金属基板の表面上に直線状に形成されるものであり、その数は直線状凹曲面部の数に応じて決まるものである。
本発明における隔壁部の形状は、所望の幅や高さ等を有するものであれば特に限定されるものではない。図4は、隔壁部の縦断面形状の例を説明するための説明図である。
上記隔壁部の断面形状としては、図4(a)で例示されるように通常、金属基板の底面に対して上記隔壁部の側面が直角を成す形状であるが、図4(b)および(c)で例示されるように、鈍角を成す形状(テーパー形状)であってもよい。上記隔壁部の両側面がなす角度(図4(b)および(c)中のθ)の大きさとしては、5°〜120°の範囲内が好ましく、中でも10°〜90°の範囲内が好ましく、特に15°〜45°の範囲内が好ましい。
上記隔壁部の両側面が上記範囲内の角度を成すことにより、転写の際にカード用原版からカードが離型しやすくなるからである。
また、上記隔壁部の頂部の幅は小さいことが好ましい。上記隔壁部は、転写によりレンズ間溝部を形成する部位であるが、上記レンズ間溝部が大きい場合、レンチキュラーレンズを介して所定の角度から画像部を観察した際に、表示される画像上に線状ノイズ等が出現する現象が生じる。このため、表示すべき画像が不鮮明な像として観察され、セキュリティカードの視認性の低下を招くこととなるからである。
なお、「レンチキュラーレンズを介して表示される画像上に線状ノイズ等が出現」する現象および当該現象が生じる要因については、後述する「C.セキュリティカード」の項で詳細に説明するため、ここでの説明は省略する。
上述の現象の発生を防止するためには、レンズ間溝部の底幅を小さくする必要があり、そのためには、隔壁部の頂部の幅を小さくすることが好ましい。
上記隔壁部の頂部の幅としては、5μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、中でも5μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
隔壁部の頂部の幅が上記範囲よりも小さいと、上記隔壁部が決壊して上述した直線状凹曲面部の深さにばらつきが生じるため、転写により形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズがレンズとしての機能を有さない場合がある。一方、上記範囲よりも大きいと、上記レンズ間溝部の底幅も大きくなるため、レンチキュラーレンズを介して画像部を観察する際に、表示画像上に線状ノイズ等が出現し、視認性が損なわれる場合がある。
なお、隔壁部の頂部の幅とは、隔壁部の頂部に有する平面のうち短尺方向の長さをいい、図3および図4においてeで示される部分をいう。
上記隔壁部の頂部の幅の測定箇所については、図4(a)で例示されるように、金属基板の表面に対して隔壁部の側面が直角を成す形状である場合は、上記側面間の距離を隔壁部の幅とする。
また、図4(b)で例示されるように、金属基板の表面に対して隔壁部の側面が鈍角を成す場合は、上記隔壁部の頂部に有する平面における短尺方向の長さを隔壁部の幅とする。
さらに、図4(c)で例示されるように、隔壁部の頂部が曲率を有するものであり、直線状凹曲面部と隔壁部の頂部の曲面とが連続した形状で、隔壁部の頂部の曲面の区分される位置が明確でない場合は、非接触法の測定により作成されたグラフにおいて直線状凹曲面部と隔壁部の頂部の曲面とが形成する曲面の変曲点を特定する。すなわち、対象曲面において直線状凹曲面部および隔壁部の短尺方向の断面が形成する曲線の曲率の符号が変化する点の位置を、直線状凹曲面部と隔壁部の頂部とが区分される位置とし、上記変曲点における短尺方向の長さを隔壁部の幅とする。ここで、短尺方向の断面が形成する曲線から曲率を算出する一つの方法としては、上記曲線を微小区間に分け、曲率を算出する微小区間における上記曲線を構成する測定データに対し最小二乗法を用いて円弧を当てはめ、得られた円弧の半径から曲率を得る方法が例示できる。
なお、上記変曲点に直線部が接している場合は直線部も直線状凹曲面部の一部とする。
上記隔壁部の頂部は曲率を有することが好ましい。隔壁部の頂部が曲率を有することにより、転写の際にカード用原版からカードが離型しやすくなるからである。また、上記カードにおいて、レンチキュラーレンズを介して視認される画像上に出現する線状ノイズ等を、より目立たなくすることができるからである。
上記隔壁部の頂部の曲率半径としては、2.5μm〜10.0μmの範囲内であることが好ましく、中でも2.5μm〜7.5μmの範囲内であることが好ましい。特に2.5μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。
なお、隔壁部の頂部の曲率半径とは、図3においてRで示される部分をいう。
上記隔壁部の高さとは、上述した直線状凹曲面部の深さと同様である。また、上記隔壁部の頂部の平面または最頂点は、後述する平面部と同じ高さにあることが好ましい。すなわち、本発明のカード用原版の底面から上記隔壁部の最頂部までの高さが、カード用原版の厚さと同じであることが好ましい。
なお、上記最頂点とは、隔壁部の頂部が曲率を有する場合に、湾曲面のうち最も高い位置をいう。
(2)平面部
本発明における平面部とは、金属基板の一方の表面上に有するものである。また、上記平面部は上述したレンチキュラーレンズ形成部を有さない領域をいい、上述した金属基板の表面が直接、平面部の形状に形成されてなるものである。
上記平面部は、図2に例示されるように文字図柄転写部6が形成されていることが好ましい。上記文字図柄転写部は凹凸で表現された文字、記号、図柄等の画像情報を有するものである。そのため、本発明のカード用原版を用いてセキュリティカードを作製する際に、カード表面にレンチキュラーレンズを形成するのと同時に、上記文字図柄転写部の画像情報を転写することができるからである。
上記文字図柄転写部における文字や図柄等の線幅は、80μm〜500μm程度の大きさであることが好ましい。また、上記文字図柄転写部の大きさとしては、特に限定されるものではなく、目的とするセキュリティカードの大きさ等に応じて適宜設定することができる。なお、平面部上の文字図柄転写部の個数は、1つであっても良く、複数あっても良い。
2.セキュリティカード用転写原版(カード用原版)
本発明のカード用原版は平板状であり、その厚さは上述した金属基板の厚さに応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.05mm〜10mmの範囲内が好ましく、中でも0.2mm〜5mmの範囲内が好ましい。
本発明のカード用原版の厚さを上記範囲内とすることが好ましい理由については、上述した「1.金属基板」の項で説明した理由と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、上記カード用原版の厚さとは、カード用原版の底面から上述した平面部までの高さを言う。
また、本発明のカード用原版において、レンチキュラーレンズ形成部の占める面積の割合は、上記カード用原版の一方の表面の面積を100%とした時に、1%〜30%程度の割合を占めることが好ましい。
また、本発明のカード用原版は、その表面が平滑性を有するものであることが好ましく、中でも光沢面であることが好ましい。上記カード用原版の表面が転写されて、セキュリティカードの表面を光沢面とすることができるからである。
上記カード用原版の十点平均表面粗度(Rz)については、Rz=0.05μm〜1.5μmの範囲内であることが好ましく、中でもRz=0.1μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。
上記十点平均表面粗度は、光干渉式の非接触表面粗さ計を用いて測定した値である。具体的には、菱化システム(株)製のバートスキャンR3300H Liteを使い、プロファイル範囲を+/−5ミクロンとして測定することにより得られる。
本発明のカード用原版において、レンチキュラーレンズ形成部は金属基板の表面上の一部に形成されるものであり、その数は1つでも良く、複数あっても良い。金属基板上のレンチキュラーレンズ形成部の数が1つの場合は、1面付け態様のカード用原版とすることができる。すなわち、1回の製造の際に上記態様のカード用原版1枚に付き、1枚のセキュリティカードを作製することができる。
また、金属基板上のレンチキュラーレンズ形成部の数が複数の場合、多面付け態様のカード原版とすることができる。すなわち、1回の製造の際に上記態様のカード用原版1枚に付き、複数枚のセキュリティカードを作製することができる。
また、上記レンチキュラーレンズ形成部を複数有する場合、一方のレンチキュラーレンズ形成部における直線状凹曲面部の長尺方向と、他方のレンチキュラーレンズ形成部における直線状凹曲面部の長尺方向とが同じ方向であっても良く、異なる方向であっても良いが、同じ方向であることが好ましい。
さらに、上記直線状凹曲面部の長尺方向は、目的とするセキュリティカードの長尺方向、すなわち、上記カードをカードリーダーに通して磁気情報を読み取る方向と同じ方向であることが好ましい。上記カードをカードリーダーに通す際に、上記レンチキュラーレンズが障害となる場合があるからである。
3.製造方法
本発明のカード用原版の製造方法としては、金属基板の一方の表面上に平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを直接形成することができる方法であれば特に限定されないが、中でも、後述する「B.セキュリティカード用転写原版の製造方法」の項で説明する方法を用いることが好ましい。
B.セキュリティカード用転写原版の製造方法
次に、本発明のセキュリティカード用転写原版の製造方法について説明する。本発明のセキュリティカード用転写原版の製造方法は、金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有し、上記レンチキュラーレンズ形成部が、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部と、隣り合う上記直線状凹曲面部の間に形成される隔壁部とを有する平板状のセキュリティカード用転写原版の製造方法であって、上記金属基板上に直線状の開口部を有するレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、上記レジスト層を介して上記金属基板をエッチングし、上記金属基板上に上記直線状凹曲面部および上記隔壁部を形成するエッチング工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明のカード用原版の製造方法について、図を例示して説明する。図5は本発明のカード用原版の製造方法の一例を示す工程図である。
図5に例示されるように、まず、平板状の金属基板1aを準備する(図5(a))。次に、レジスト層形成工程として、金属基板1aの一方の表面上にレジスト膜7aを成膜し(図5(b))、マスク8を介してレジスト膜7aを露光および現像することにより(図5(c))、パターン状のレジスト層7を形成する(図5(d))。上記レジスト層7において、複数本の開口部8が直線状凹曲面部の配列に相当するパターンで並列に形成されている。
次に、エッチング工程として、レジスト層7をマスクとして、金属基板1aに対してエッチング液を用いてエッチングを行い、直線状凹曲面部4および隔壁部(図示せず)が形成され(図5(e))、続いてレジスト層7を剥離することにより、金属基板1の表面上に直線状凹曲面部4および隔壁部5を有するレンチキュラーレンズ形成部3が形成された平板状のセキュリティカード用転写原版10が得られる(図5(f))。なお、金属基板1上の、レンチキュラーレンズ形成部3が形成されていない領域が、平面部2となる。
従来、レンチキュラーレンズの転写原版の作製方法としては、MEMSやエレクトロフォーミング(EF)、金属切削等が用いられている。これらの方法は、高精度なレンチキュラーレンズの大判転写原版を作製することができるが、製造が容易かつ安価ではなく、セキュリティカードのような多品種小ロット用の転写原版の作製方法には適していない。
また、別の方法としてレーザー光により直接描画する方法(以下、「レーザー法」と称する場合がある。)が用いられる。レーザー法を用いて転写原版を作製する場合、上述の方法よりも多品種小ロット用の転写原版の作製には適しているが、レーザー光の照射部分において照射跡の残存や溶融された基板材料等の飛散が発生し、転写原版の表面の平滑性が損なわれる場合がある。また、レーザーの照射熱により転写原版の全域が加熱されるため、隔壁部の欠損や変形等が生じる場合がある。
そのため、このような転写原版により作製されるセキュリティカードは、レンチキュラーレンズの表面に凹凸形状やレンズ厚の異なる部分が生じ、レンチキュラーレンズを介してカード上の画像を視認すると、形状が損なわれた不鮮明な画像が形成され、視認性が低下する場合がある。
一方、本発明では、金属基板を直接エッチングすることで直線状凹曲面部および隔壁部を形成するため、従来の方法よりも容易かつ安価に転写原版を製造することができる。また、レーザー法等とは異なり、レーザー光の照射跡の残存や溶融物の飛散等により表面の平滑性が損なわれることがなく、隔壁部の変形等も生じないため、容易で安価に、且つ精度良くカード用原版を製造することができる。
本発明のカード用原版の製造方法は、レジスト層形成工程およびエッチング工程を少なくとも有するものである。
以下、本発明のカード用原版の製造方法について、各工程を順に説明する
1.レジスト層形成工程
本発明におけるレジスト層形成工程について説明する。本発明におけるレジスト層形成工程とは、上記金属基板上に直線状の開口部を有するレジスト層を形成する工程である。
具体的には、金属基板上にレジスト材料を塗布してレジスト膜を成膜し、所望の位置に直線状の開口部を有するようにレジストパターンの形成を行い、レジスト層を形成する工程である。
本工程で用いられる金属基板については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版」の項で説明したものと同様であるため、ここでの記載は省略する。
本工程で用いられるレジストの材料としては、感光性を有するものであれば良く、ポジ型でもネガ型でもよい。中でも、液状レジストやドライフィルムレジストを用いることが好ましく、特に、ドライフィルムレジストを用いることが好ましい。これは、膜厚が一定に保たれたフィルム状のレジストであり、解像度が安定することが期待でき、直線状凹曲面部を安定した形状で形成することができるからである。
液状レジストおよびドライフィルムレジストの材料としては、一般的にフォトリソグラフィで用いられるものが挙げられる。なお、レジスト材料が液状である場合、金属基板上にレジスト材料を塗布しレジスト膜を成膜する方法として、スピンコート法、ブレードコート法、デイッピング法等の一般的な方法を用いることができる。
本工程において形成されるレジスト層の厚さとしては、3μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。レジスト層の厚さが上記範囲よりも大きいと、後述するエッチング工程において、レジスト層のパターン間にエッチング液が十分に回り込まず、所望の深さの直線状凹曲面部を形成することができない場合がある。
なお、レジストパターンを形成する前のレジスト膜の厚さについても、上記レジスト層の厚さと同様である。
上記レジスト層は、後述するエッチング工程において直線状凹曲面部を形成するための開口部を有するように、パターン形成されるものである。
上記開口部の幅については、直線状凹曲面部の形状に応じて適宜設定することができる。また、上記開口部の並列間隔、本数等については、後述するエッチング工程において形成される直線状凹曲面部のピッチ幅、本数等に応じて適宜選択することができる。
本工程におけるパターン形成方法としては、所望のパターンが形成できる方法であれば特に限定はなく、例えば、フォトリソグラフィ法や印刷法等を用いることができる。中でも、フォトリソグラフィ法を用いることが好ましい。高精度でパターンを形成することができるからである。
なお、本工程における露光条件および現像条件については、一般的なフォトリソグラフィにおける条件を用いることができる。
2.エッチング工程
本発明におけるエッチング工程とは、上記レジスト層を介して上記金属基板をエッチングし、上記金属基板上に上記直線状凹曲面部および上記隔壁部を形成する工程である。
本工程では、レジスト層の開口部から露出する金属基板の表面が、エッチング液によりエッチングされることにより、直線状凹曲面部および隔壁部が形成されるものである
本工程に用いられるエッチング方法としては、特に限定されるものではないが、中でもウェットエッチングであることが好ましい。ドライエッチングと比較して加工効率が高く、直線状凹曲面部および隔壁部の様々なデザインに対し柔軟に形成することができるからである。
上記ウェットエッチングの方法としては、レジスト層を有する金属基板上にエッチング液を塗布する方法でも良く、エッチング液にレジスト層を有する金属基板を浸漬させる方法でも良い。
本工程において用いられるエッチング液としては、金属基板をエッチングできるものであれば良く、用いられる金属材料に応じて、適宜選択することが好ましい。例えば、金属基板にステンレス鋼を用いる場合は、塩化第二銅液、塩化第二鉄液、塩酸−硝酸−リン酸混合液等を用いることが好ましい。なお、エッチング時間は、所望の直線状凹曲面部の形状に応じて適宜調整することができる。
本工程により形成される直線状凹曲面部については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (a)直線状凹曲面部」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの記載は省略する。
本工程により形成される隔壁部については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (b)隔壁部」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの記載は省略する。
なお、通常、本工程において形成される隔壁部の頂部は曲率を有さず、平面を有するものである。
また、本工程においては、レンチキュラーレンズ形成部が形成されると共に、平面部に文字図柄転写部が形成されることが好ましい。
従来、上記文字図柄転写部を転写原版上に形成する場合、レーザー法が用いられている。しかし、上記方法の場合、レーザー光が照射された箇所の照射跡の残存や溶融物の飛散が生じることや、レーザー光の照射により未照射領域も加熱されることで、文字図柄転写部の形状が変形して鮮明に表示されないといった問題がある。
本発明では文字図柄転写部もエッチングにより形成することにより、上述の問題を生じることなく、より精細なものとすることが可能となる。また、セキュリティカードを作製する際に上記文字図柄転写部の形状を損なうことなく転写することができ、転写された文字等の品質が良好となる。
なお、本工程において形成される上記文字図柄転写部については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (2)平面部」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.その他の工程
本発明は少なくとも、レジスト層形成工程とエッチング工程とを有するものであるが、その他の工程を有していても良い。その他の工程としては、例えば、金属基板の表面を整面するための酸系水溶液あるいはアルカリ系水溶液による処理工程、エッチング工程後にレジスト層を除去するレジスト層除去工程や、エッチング工程後にカード用原版の表面を研磨する研磨工程等を挙げることができる。
以下、上述した工程のうち、研磨工程について説明する。
本発明における研磨工程とは、上述したエッチング工程の後に、上記レジスト層を除去した上記金属基板に対し酸系処理液を用いて研磨を行う工程である。本工程により、上述のエッチング工程により形成された隔壁部の頂部に高い曲率を持たせることができる。
また、本工程により、カード用原版の表面を光沢面とすることができ、転写により作製されるセキュリティカードの表面に光沢性を付与することができる。
なお、本工程は、隔壁部の頂部の表面のみに対して行っても良く、レンチキュラーレンズ形成部および平面部を有する金属基板表面の全面に対して行っても良い。
本工程で用いられる研磨方法としては、例えば、電解研磨法、化学研磨法、電解と化学研磨を同時に行う複合研磨法、バフ研磨等を用いることができ、中でも電解研磨法を用いることが好ましい。カード用原版において対象の突起部分を選択的に研磨することができ、表面の平滑化および光沢化を図ることができるからである。
上記研磨方法において用いられる研磨液としては、酸系研磨液が好ましく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの水溶液、硫酸と過酸化水素を含む水溶液、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を含む水溶液等が挙げられる。
本工程において隔壁部が研磨される割合としては、上記隔壁部の頂部の幅の大きさに対して5%〜50%の範囲内であることが好ましく、中でも5%〜25%の範囲内であることが好ましく、特に5%〜10%の範囲内であることが好ましい。
隔壁部が研磨される割合を上記範囲とすることにより、カード用原版の表面を光沢面とすることができ、また、隔壁部の頂部を曲面とすることができるからである。
本工程において、隔壁部を研磨することにより上記隔壁部の頂部は所望の曲率を有することが好ましい。その理由および隔壁部の頂部の曲率半径については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (b)隔壁部」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程において、金属基板の表面を研磨することにより、表面の平滑性を高めることが好ましく、中でも平滑且つ光沢面とすることが好ましい。金属基板の表面を光沢面とすることにより、本発明により得られるカード用原版を用いて転写する際に、セキュリティカードの表面に光沢性を付与することができるからである。
本工程後の上記カード用原版の十点平均表面粗度(Rz)については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版」の項で説明した内容と同様である。さらに、光沢面の程度としては、#400以上の砥粒で研磨した時の光沢を有することが好ましい。
C.セキュリティカード
次に、本発明のセキュリティカードについて説明する。本発明のセキュリティカードは、表面に画像部を有するカード基材と、上記カード基材の上記画像部が形成された側の表面に配置されるレンチキュラーレンズシートとを有し、上記レンチキュラーレンズシート上には、シート平坦部およびレンチキュラーレンズが形成され、上記レンチキュラーレンズが、複数本が並列に配置された半円柱形レンズと、隣り合う上記半円柱形レンズの間に形成されたレンズ間溝部とを有するセキュリティカードであって、上記レンズ間溝部の底幅が5μm〜20μmの範囲内であり、上記レンチキュラーレンズと上記画像部とが平面視上に重なるように配置されており、観察角度によって上記レンチキュラーレンズを介して視認される上記画像部が異なることを特徴とするものである。
本発明のセキュリティカードについて、図を例示しながら説明する。図6は、本発明のセキュリティカードの一例を示す概略平面図であり、図7は図6のX−X断面図である。
なお、本発明のセキュリティカードにおいて、図6のX方向を短尺方向、図6のY方向を長尺方向およびカードの読み取り方向とする。
図6および図7で例示されるように、本発明のセキュリティカード20は、カード基材12と、カード基材12上に形成されるレンチキュラーレンズシート11とを有するものである。カード基材12は画像部18(画像部18aおよび画像部18bを構成要素として含む。)を有しており、レンチキュラーレンズシート11は、シート平坦部15とレンチキュラーレンズ16とを有している。
レンチキュラーレンズ16は、複数本が並列に配置された半円柱形レンズ13と、隣接する半円柱形レンズ13の間に形成されるレンズ間溝部14とを有するものである。また、上記レンチキュラーレンズシート11は、カード基材12の画像部18が形成された側の表面に配置されているものであり、上記画像部18は、半円柱形レンズ13の下側に位置し、レンチキュラーレンズ16と平面視上に重なるように配置されているものである。
なお、図6においては、画像部18の表示を省略している。
本発明のセキュリティカードは、表面にレンチキュラーレンズおよびシート平坦部が形成されたレンチキュラーレンズシートを有しており、上記レンチキュラーレンズは、複数本が並列に配置された半円柱形レンズと、隣り合う上記半円柱形レンズの間に形成されたレンズ間溝部とを有するものである。そのため、レンチキュラーレンズを介してカード基材の画像部を観察する際に、観察角度によって出現する画像を異なるものとすることができる。
また、上記レンズ間溝部の底幅は所定の範囲内の大きさとなるように調整されており、レンチキュラーレンズを介して表示される画像上に線状ノイズ等が出現することを抑制し、画像の表示が阻害されるのを防ぐことができる。このように、視認性に優れたセキュリティカードとすることができる。
ここで、「観察角度によって上記レンチキュラーレンズを介して視認される上記画像部が異なる」とは、図9(a)に例示するように、一方の観察角度E1においてはレンチキュラーレンズ16を介して画像部18a(図9(b))のみを画像として視認することができ、別の観察角度E2においては画像部18b(図9(c))のみを画像として視認することができることをいう。
また、「レンチキュラーレンズを介して表示される画像上に線状ノイズ等が出現」するとは、観察角度E1においてレンチキュラーレンズ16を介して画像部18を視認する際に、図9(d)で例示されるように、画像部18aの画像上に半円柱形レンズ13の長尺方向に従って線状に画像の薄い部分が生じる現象や、所定の角度において表示すべき画像の他に、上記表示すべき画像以外の画像が複数本の線状ノイズLとして同時に表示される現象等をいう。
視認される画像上に線状ノイズ等が出現する要因としては、レンズ間溝部の底幅の大きさによるものと考えられる。
所定の角度からセキュリティカードを視認する際、カード基材における画像部はレンチキュラーレンズを介して視認される。しかし、レンズ間溝部の底幅が大きい場合、レンズ間溝部の表面の屈折率と上記レンズ間溝部の底幅との関係から、レンズ間溝部を介して上記画像部が形成されていない領域や、レンチキュラーレンズを介して視認させようとしている画像部以外の領域(これらを非画像部領域とする場合がある。)も視認することとなる。このため、観察者は、レンチキュラーレンズを介して視認されるべき画像部の像と、レンズ間溝部を介して視認される非画像部領域とを同時に視認することになる。
このとき、上記非画像部領域は、上述のように視認される画像上に線状ノイズ等として出現するため、視認される画像が損なわれ、画像全体として不鮮明なものとして認識される。
そこで、本発明においては、上記レンズ間溝部の底幅の大きさを所定の範囲内となるように調整することにより、上記現象の発生を防止するものである。
本発明のセキュリティカードは、カード基材およびレンチキュラーレンズシートを有するものである。
以下、本発明のセキュリティカードについて、構成ごとに説明する。
1.レンチキュラーレンズシート
本発明におけるレンチキュラーレンズシートとは、上記カード基材の上記画像部が形成された側の表面に配置されるものである。
また、上記レンチキュラーレンズシート上には、シート平坦部およびレンチキュラーレンズが形成され、上記レンチキュラーレンズが、複数本が並列に配置された半円柱形レンズと、隣り合う上記半円柱形レンズの間に形成されたレンズ間溝部とを有するものである。
さらに、上記レンズ間溝部の底幅が所定の範囲内であるものである。
(1)レンチキュラーレンズ
本発明におけるレンチキュラーレンズは、複数本が並列に配置された半円柱形レンズと、隣り合う上記半円柱形レンズの間に形成されたレンズ間溝部とを有するものである。また、上記レンズ間溝部の底幅が所定の範囲内であるものである。
(a)半円柱形レンズ
上記レンチキュラーレンズにおける半円柱形レンズの幅としては、通常、使用するカード用原版における直線状凹曲面部の幅と同様の大きさを有するものであり、20μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも40μm〜120μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜70μmの範囲内であることが好ましい。
半円柱形レンズの幅を上記範囲内とする理由については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (a)直線状凹曲面部」の項で説明した内容と同様である。
なお、半円柱形レンズの幅とは、半円柱形レンズの短尺方向の長さをいい、図7においてfで示される部分をいう。
上記半円柱形レンズの幅は、非接触法により測定することができる。具体的な測定方法については、「A.セキュリティカード用転写原版」の項で説明した内容と同様である。
なお、以降の説明において、特段の記載が無い限り、本発明のセキュリティカードの各構成部位の測定方法についても、同様の方法を用いて測定されたものとする。
上記半円柱形レンズの幅の測定箇所としては、例えば、シート平坦部の表面に対して半円柱形レンズの側面が直角を成す形状である場合は、上記短尺方向における側面間の距離を半円柱形レンズの幅とするものである。また、シート平坦部の表面に対して半円柱形レンズの側面が鈍角を成す形状である場合は、上記シート平坦部の表面に沿って半円柱形レンズを切断した時の、切断面の短尺方向における両端の距離を半円柱形レンズの幅とするものである。
また、上記半円柱形レンズは、その頂部に曲率を有するものであるが、その大きさによっては、上記半円柱形レンズを介してカード基材に印字ができない場合や、セキュリティカードの視認性が低下する場合等があるため、上記不具合を生じない範囲内で規定する必要がある。上記不具合が生じる理由については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (a)直線状凹曲面部」の項で説明した内容と同様である。
上記半円柱形レンズの曲率半径としては、通常、使用するカード用原版における直線状凹曲面部の曲率半径と同様の大きさを有するものであり、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも30μm〜90μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。
なお、半円柱形レンズの曲率半径とは、図7においてgで示される部分をいう。
また、レンチキュラーレンズのレンズ厚としては、通常、使用するカード用原版における直線状凹曲面部の深さと同様の大きさを有するものであり、5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも7μm〜60μmの範囲内であることが好ましく、特に10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
半円柱形レンズのレンズ厚を上記範囲内とすることが好ましい理由については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (a)直線状凹曲面部」の項で説明した内容と同様である。
なお、レンチキュラーレンズのレンズ厚とは、レンチキュラーレンズの最頂点からレンズ間溝部の最下点までの長さをいい、図7においてhで示される部分をいう。
(b)レンズ間溝部
本発明におけるレンズ間溝部は、底幅が所定の範囲内であることを特徴とするものである。
レンズ間溝部の底幅としては、通常、使用するカード用原版における隔壁部の頂部の幅と同様の大きさを有するものであり、5μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、中でも5μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
レンズ間溝部の底幅を上記範囲内とすることが好ましい理由については、上述した、「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (b)隔壁部」の項で説明した理由の他に、レンズ間溝部の底幅が小さいことでレンズ間溝部の形状が不安定となり、透過する画像にばらつきが生じる等の理由がある。
なお、レンズ間溝部の底幅とは、図7においてiで示される部分をいう。
上記レンズ間溝部の底幅の測定箇所については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (b)隔壁部」の項で説明した隔壁部の頂部の幅の測定箇所と同様とすることができる。なお、上述の隔壁部の頂部の幅の測定箇所に関する説明中の、「隔壁部(の頂部)」は「レンズ間溝部(の底部)」、「直線状凹曲面部」は「半円柱形レンズ」、「金属基板の表面」は「シート平坦部の表面」に置き換えるものとする。
上記レンズ間溝部の底部は曲率を有していることが好ましい。その理由については上述した、「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (b)隔壁部」の項で説明した理由と同様である。
レンズ間溝部の底部の曲率半径としては、通常、使用するカード用原版における隔壁部の頂部の幅と同様の大きさを有するものであり、2.5μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも2.5μm〜7.5μmの範囲内であることが好ましく、特に2.5μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
上記レンズ間溝部の深さについては、上述したレンチキュラーレンズのレンズ厚と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(c)レンチキュラーレンズ
上記レンチキュラーレンズにおいて配置される半円柱形レンズのピッチ幅としては、通常、使用するカード用原版における直線状凹曲面部のピッチ幅と同様の大きさを有するものであり、例えば、30μm〜200μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも50μm〜130μmの範囲内であることが好ましく、特に60μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
半円柱形レンズのピッチ幅を上記範囲内とすることが好ましい理由については、上述した、「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属基板 (1)レンチキュラーレンズ形成部 (a)直線状凹曲面部」の項で説明した理由と同様である。
なお、上記半円柱形レンズのピッチ幅とは、隣接する半円柱形レンズの中心間の長さをいい、図7においてjで示される部分である。
上記レンチキュラーレンズの高さおよび曲率半径は、上述した半円柱形レンズのレンズ厚および曲率半径に相当するため、ここでの説明は省略する。
上記レンチキュラーレンズ1つあたりの半円柱形レンズの本数は、使用するカード用原版における直線状凹曲面部の本数により決まるものである。
また、上記レンチキュラーレンズの大きさとしては、半円柱形レンズの大きさおよび本数等に応じて適宜設定されるものであり、使用するカード用原版のレンチキュラーレンズ形成部と同様の大きさとなるものである。
(2)シート平坦部
本発明におけるシート平坦部上とは、レンズキュラーレンズシート上の、レンチキュラーレンズが形成されていない領域である。
上記シート平坦部上には、図6に例示されるように、使用するカード用原版上の文字図柄転写部が転写された文字図柄部17を有していることが好ましい。上記文字図柄部を有することにより、画像部の情報とは異なる情報をカードに付与することができ、セキュリティ性や意匠性を向上させることが可能となるからである。
なお、上記文字図柄部については、上述した「A.セキュリティカード用転写原版 1.金属原版 (2)平面部」の項で説明した文字図柄転写部と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(3)レンチキュラーレンズシート
本発明におけるレンチキュラーレンズシートの材料としては、カード用原版を用いて転写する際に上記カード用原版表面の凹凸形状に追従できる柔軟性を有するものが好ましく、加熱により軟化する材料、すなわち熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、透明性を有することが好ましい。
このような材料としては、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースエステル、フッ化ポリマー、ポリアセタール、ポリオレフィン、アラミド、フッ素樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PLA(ポリ乳酸)等を用いることができ、中でもポリカーボネートを用いることが好ましい。
上記レンチキュラーレンズシートの厚さとしては、目的とするセキュリティカードに課される規格に応じて適宜設定することができ、例えば30μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、中でも50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
レンチキュラーレンズシートの厚さが上記範囲よりも大きいと、国際規格等により規定されるカードの厚さを超えてしまう場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、カードの強度が得られない場合がある。
なお、レンチキュラーレンズシートの厚さとは、後述するカード基材と接する面から、レンチキュラーレンズの最頂部までの長さをいう。
上記レンチキュラーレンズシートが有するレンチキュラーレンズの個数としては、1つであってもよく、複数有していてもよい。
2.カード基材
本発明におけるカード基材は、表面に画像部を有するものである。
(1)画像部
本発明における画像部は、文字や記号、絵柄等の情報を有するものである。また、上記画像部は上述したレンチキュラーレンズと平面視上に重なるように配置されるものである。そのため、上記画像部の大きさとしては、レンチキュラーレンズに覆われた領域を超えない大きさであることが好ましい。また、レンチキュラーレンズの下側に位置する画像部は、通常2種類の異なる画像部分で構成されるが、2種類以上の画像部分を有していても良い。
上記画像部の形成方法としては、カード基材の所定の位置に形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、後述するカード基材の材料に含有される発色材料に、レンチキュラーレンズを構成する半円柱形レンズを介してレーザー光を照射することにより、上記半円柱形レンズの下に印字形成することができる。
上記レーザー光の種類としては、後述する発色材料により吸収されるものであればよく、例えばガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等の波長700nm〜1300nmの赤外線を発する光源を挙げることができる。
なお、レーザー光の照射角度や照射時間等の条件については、所望の画像部が印字できるものであれば特に限定されるものではない。
(2)カード基材
本発明におけるカード基材に用いられる材料としては、一般的なセキュリティカードの基材として用いられる樹脂材料を挙げることができる。なお、上記カード基材に用いられる材料は透明性を有するものであっても良く、有しないものであっても良い。
このような材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、アラミド、ポリイミド、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PLA(ポリ乳酸)等を用いることができる。中でも、ポリカーボネートが好ましい。
また、本発明におけるカード基材は、上記材料の他に発色材料を含むものである。発色材料を含むことにより、カード基材の表面に上述した画像部を形成することができるからである。
上記画像部の形成方法としてレーザー光を用いる場合、上記発色材料としては、レーザー光を吸収する材料であれば良く、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、雲母等を用いることができ、中でもカーボンブラックが好ましい。
本発明におけるカード基材の厚さは、50μm〜800μmの範囲内であることが好ましく、中でも300μm〜700μmの範囲内であることが好ましい。
カード基材の厚さが上記範囲よりも大きいと、国際規格等により規定されるセキュリティカードの厚さを超えてしまう場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、セキュリティカードの強度が得られない場合がある。
3.セキュリティカード
本発明のセキュリティカードにおいて、レンチキュラーレンズが占める面積の割合としては、セキュリティカードの大きさや、カード基材上の画像部の大きさ等によって適宜選択されるものであるが、例えば、セキュリティカードの全体面積を100%とした時に1%〜30%程度の割合を占めることが好ましい。
本発明のセキュリティカードにおいて、レンチキュラーレンズにおける半円柱形レンズの長尺方向は、セキュリティカードの長尺方向、すなわち、上記セキュリティカードをカードリーダーに通して磁気情報を読み取る方向と同じ方向であることが好ましい。上記カードをカードリーダーに通す際に、上記レンチキュラーレンズの部分が障害となりカードリーダーに通すことができず、磁気情報が読み取れない場合があるからである。
本発明のセキュリティカードは、上述したカード基材およびレンチキュラーレンズシートを少なくとも有するものであるが、必要に応じてその他の部材を有していても良い。その他の部材としては、例えば、磁気シート、染料インク印刷層、顔料インク印刷層、ICチップ、透明カバー層等を有していても良い。
本発明のセキュリティカードの大きさおよび厚さについては、用途に応じて適宜設定することができるが、セキュリティカードのサイズは国際規格(例えばISO7816)等により規定されているため、上記国際規格で定められる寸法の範囲内とする必要がある。
4.用途
本発明のセキュリティカードの用途としては、視認性および偽造防止性が求められる分野に用いることが可能であり、例えば、クレジットカード等の個人情報管理カード、ICカード、各種証明カード、政府文書等の機密性を要する情報媒体に用いることが可能である。
5.セキュリティカードの製造方法
本発明のセキュリティカードの製造方法としては、上述した形態を有することができる方法であれば特に限定されないが、中でも、上述した「A.セキュリティカード用転写原版」の項で説明したカード用原版を用いて製造することが好ましい。
なお、本発明のセキュリティカードの製造方法については、「D.セキュリティカードの製造方法」の項で説明するため、ここでの説明は省略する。
D.セキュリティカードの製造方法
次に、本発明のセキュリティカードの製造方法について説明する。本発明のセキュリティカードの製造方法は、画像部を有するカード基材と、上記カード基材の上記画像部が形成された側の表面に配置されるレンチキュラーレンズシートとを有し、上記レンチキュラーレンズシートが、シート平坦部およびレンチキュラーレンズを有し、上記レンチキュラーレンズが、複数本が並列に配置された半円柱形レンズを少なくとも有するものであり、上記レンチキュラーレンズと上記画像部とが平面視上に重なって配置されるセキュリティカードの製造方法であって、金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを少なくとも有し、上記レンチキュラーレンズ形成部が、少なくとも複数本の直線状凹曲面部が並列に配置されたものである平板状のセキュリティカード用転写原版を準備する準備工程と、シート基材の表面に上記セキュリティカード用転写原版を転写して、上記シート平坦部および上記レンチキュラーレンズを有する上記レンチキュラーレンズシートを一括形成する転写工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明のセキュリティカードの製造方法について、図を例示して説明する。図10は、本発明のセキュリティカードの製造方法の一例を示す工程図である。
まず、準備工程として、平面部2およびレンチキュラーレンズ形成部3を有するセキュリティカード用転写原版10を準備する(図10(a))。上記レンチキュラーレンズ形成部3は、少なくとも複数本が並列に配置された直線状凹曲面部4を有するものである。なお、図10におけるセキュリティカード用転写原版10では、レンチキュラーレンズ形成部3は直線状凹曲面部4の他に、頂部に曲率を有する隔壁部5を含むものとする。
次に、転写工程として、カード基材12とシート基材11aとをこの順で積層し、セキュリティカード用転写原版10を上記シート基材11aに押し当てて加熱加圧し、セキュリティカード用転写原版10のレンチキュラーレンズ形成部3および平面部2を上記シート基材11a上に転写する(図10(b))。これにより、レンチキュラーレンズ16およびシート平坦部15を有するレンチキュラーレンズシート11が形成される(図10(c))。
なお、上記レンチキュラーレンズ16は複数本が並列に配置された半円柱形レンズ13を少なくとも有するものである。また、本工程において上記隔壁部5の反転形状であるレンズ間溝部14も形成されるものとする。
上記カード基材12に対して上記半円柱形レンズ13を介してレーザー光Z1およびZ2を照射すると、上記カード基材12に含有される発色材料が炭化され(図10(d))、カード基材12に文字や記号、絵柄等の情報が印字された画像部18(画像部18aおよび画像部18bを構成要素として含む。)が形成される(図10(e))。
これにより、目的とするセキュリティカード20を製造することができる。
本発明によれば、準備工程において準備したカード用原版を用いることにより、転写工程において、カード表面の所望の位置にレンチキュラーレンズを精度よく形成すると同時に、高い平滑性を有するシート平坦部を形成することができる。これにより所望の凹凸形状を有するレンチキュラーレンズシートを一括形成することが可能となる。また、一括形成されたレンチキュラーレンズシートの厚さは、その精度を高いものとすることができるため、カード全体の厚さの均一化を図ることができる。これにより、寸法精度の高いセキュリティカードを生産性良く作製することができる。
また、転写工程において、寸法精度および配置精度が高いレンチキュラーレンズが形成されるため、レンチキュラーレンズを介してカード基材上の画像部を観察する際に、観察角度に応じて画像部の異なる情報を明瞭に表示することができる。
この様に、寸法精度が高く、視認性に優れたセキュリティカードを容易かつ安価に作製することが可能となる。
本発明は、準備工程および転写工程を少なくとも有するものである。以下、各工程について説明する。
1.準備工程
本発明における準備工程とは、金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを少なくとも有し、上記レンチキュラーレンズ形成部が、少なくとも複数本の直線状凹曲面部が並列に配置されたものである平板状のセキュリティカード用転写原版を準備するものである。
本工程において準備されるカード用原版としては、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有し、上記レンチキュラーレンズ形成部が、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部を少なくとも有するものであれば、特に限定されるものではない。中でも、上記平面部および上記レンチキュラーレンズ形成部における直線状凹曲面部が、「A.セキュリティカード用転写原版」の項で説明したものと同様の形状等を有するものであることが好ましい。
本工程において準備されるカード用原版は、上記レンチキュラーレンズ形成部が少なくとも複数本の直線状凹曲面部を有するものであるが、隣り合う上記直線状凹曲面部の間に隔壁部を有するものであってもよく、有さなくてもよい。本工程において準備されるカード用原版が隔壁部を有する場合、上記隔壁部は「A.セキュリティカード用転写原版」の項で説明したものと同様の形状等を有するものであることが好ましい。
また、上記カード用原版の平面部は、文字図柄転写部を有することが好ましい。後述する転写工程において、文字図柄転写部の情報も同時にカード表面に転写することができ、カード基材に形成される画像部の情報とは異なる情報をカードに付すことができるからである。上記文字図柄転写部については、「A.セキュリティカード用転写原版」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程において準備されるカード用原版の製造方法としては、上記態様を有するカード用原版を製造できる方法であればよく、中でもエッチングを用いることが好ましく、特に「B.セキュリティカード用転写原版の製造方法」の項で説明した方法を用いることが好ましい。
2.転写工程
本発明における転写工程は、シート基材の表面に上記セキュリティカード用転写原版を転写して、上記シート平坦部および上記レンチキュラーレンズを有する上記レンチキュラーレンズシートを一括形成するものである。
本工程におけるシート基材とは、レンチキュラーレンズシートにおいて凹凸形状が形成される前の平坦で透明な樹脂層のことをいう。すなわち、シート基材にカード用原版表面の凹凸形状が転写形成されたものが、レンチキュラーレンズシートとなる。
上記シート基材の材料および厚さ等については、「C.セキュリティカード 1.レンチキュラーレンズシート(3)レンチキュラーレンズシート」の項で説明したレンチキュラーレンズシートの材料および厚さ等と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程においては、シート基材を単体で使用してもよく、上記シート基材の一方の表面にカード基材を積層させた積層体として使用してもよい。なお、上記積層体は、予め接着させて積層させたものであってもよく、未接着で積層させたものであってもよい。
シート基材単体を使用する場合、レンチキュラーレンズシートを単体として得ることができ、後工程で所望のカード基材上に貼り合せることができる。一方、シート基材およびカード基材の積層体を使用する場合、レンチキュラーレンズシートおよびカード基材が一体となったものとして得ることができる。
なお、上記カード基材については、「C.セキュリティカード」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、上記カード基材は、予め画像部を有するものであってもよく、後述する印字工程において画像部が形成されるものであってもよい。
本工程における転写方法としては、シート基材に上述したカード用原版を転写できる方法であれば良く、中でも熱転写が好ましく、特に加熱加圧による転写が好ましい。加熱によりシート基材が軟化し、加圧により上記カード用原版表面の凹凸形状に追従させることができるため、レンチキュラーレンズシートを精度良く作製することができるからである。また、シート基材およびカード基材を未接着で積層させた場合、加熱および加圧により接着させることができるからである。
加熱加圧による転写方法としては、一般的な方法を用いることができ、特に限定されるものではなく。例えば、熱プレス機等を用いて行うことができる。
熱プレス機を用いる方法としては、まず、熱プレス機の上盤にカード用原版を設置し、熱プレス機の下盤にシート基材を設置する。次に加熱および加圧しながら上記カード用原版をシート基材に押し当て、所望の時間保持した後に、上記熱プレス機の上盤を解放する。シート基材上に上記カード用原版が押し当てられた状態で冷却し、その後上記カード用原版を離型することにより、シート基材上に上記カード用原版表面の凹凸形状を転写し、レンチキュラーレンズシートとすることができる。
本工程における加圧条件としては、カード用原版表面の凹凸形状を十分に転写できる圧力であれば特に限定されるものではなく、シート基材の厚さ等に応じて適宜設定することができる。
また、本工程における加熱条件としては、カード用原版表面の凹凸形状を転写できる程度にシート基材の材料を十分に軟化させることができる温度であれば特に限定されるものではない。加熱温度としては、例えば200℃程度が好ましい。
さらに、加熱時間としては、加圧条件および加熱条件によって適宜設定されるものであり、例えば20分程度であることが好ましい。
また、本工程では、カード用原版表面の凹凸形状が転写されたシート基材を硬化させるために、加熱加圧による転写後に冷却処理を行うものである。冷却方法としては、カード用原版を押し当てた状態で全体を冷却する方法が好ましく、例えば、加熱加圧を行った環境下で放冷する方法や、冷風を当て冷却する方法等を用いることができる。
本工程における冷却時間としては、特に限定されるものではない。なお、短時間で急冷すると、シート基材とカード用原版との熱収縮率が異なるため、得られるレンチキュラーレンズシートが所望の形状とならない場合や、表面の平滑性が損なわれる場合がある。
本工程により形成されるレンチキュラーレンズシートについては、上述した「C.セキュリティカード」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。中でも、本発明において使用されるカード用原版が「A.セキュリティカード用転写原版」の項で説明したものである場合は、上述した「C.セキュリティカード」の項で説明したものと同一のものとすることができる。また、使用するカード用原版の平面部に文字図柄転写部を有する場合は、本工程において上記文字図柄転写部も同時に転写されるため、上記レンチキュラーレンズシートは文字図柄部を有するものとなる。
3.その他の工程
本発明のセキュリティカードの製造方法は、上述した準備工程および転写工程を少なくとも有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
以下、本発明におけるその他の工程について説明する。
(1)印字工程
本発明は、上記転写工程の後、上記レンチキュラーレンズと平面視上に重なるように、上記カード基材に上記画像部を形成する印字工程を有することが好ましい。なお、当該印字工程とは、図10において(d)および(e)で例示されるものである。
本発明では、上述した転写工程において寸法精度および配置精度が高いレンチキュラーレンズが形成されるため、本工程においてレンチキュラーレンズと平面視上に重なる位置に正確に印字することができる。
本工程における画像部の形成方法としては、特に限定されるものではないが、中でも、上記カード基材と上記レンチキュラーレンズシートを積層し、当該レンチキュラーレンズを構成する半円柱形レンズを介して、上記カード基材に異なる2方向からレーザー光を照射することにより上記画像部を印字する方法が好ましい。
上記レーザー光の種類としては、上述した「C.セキュリティカード 2.カード基材」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、レーザー光の照射条件等については、所望の画像部が描画できる条件であれば特に限定されない。
本工程において、上記画像部が形成される位置としては、レンチキュラーレンズと平面視上に重なる場所であれば特に限定されるものではない。通常、カード基材において、シート基材と接する側の表面上であるが、上記シート基材と接する面と対向する側の表面上であっても良く、上記カード基材の内部に形成されても良い。また、上記画像部の大きさとしては、レンチキュラーレンズに覆われた領域を超えない大きさであることが好ましい。さらに、当該レンチキュラーレンズの下側に位置する画像部は、通常2種類の異なる画像情報で構成されるが、2種類以上有していても良い。
なお、本工程において形成される上記画像部については、上述した「C.セキュリティカード」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)その他の工程
本発明におけるその他の工程としては、上述の印字工程の他に、転写工程において得られるレンチキュラーレンズシートとカード基材とを貼り合せる積層工程等が挙げられる。
4.セキュリティカード
本発明により得られるセキュリティカードは、画像部を有するカード基材と、上記カード基材の上記画像部が形成された側の表面に配置されるレンチキュラーレンズシートとを有し、上記レンチキュラーレンズシートが、シート平坦部およびレンチキュラーレンズを有し、上記レンチキュラーレンズが、複数本が並列に配置された半円柱形レンズを少なくとも有するものである。中でも、上記レンチキュラーレンズが、半円柱形レンズの他にレンズ間溝部を有するもの、すなわち、上述した「C.セキュリティカード」の項で説明したセキュリティカードと同様であることが好ましい。
また、本発明により得られるセキュリティカードは、シート平坦部に文字図柄部を有するものであってもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(セキュリティカード用転写原版の作製)
<レジスト層形成工程>
カード用原版に使用する金属基板として、板厚0.5mm、300mm角サイズの圧延材料であるSUS304材を準備した。上記金属基板の一方の表面を、アルカリ脱脂(NaOH水溶液5%、60℃)、硫酸電解(硫酸水溶液5%、常温、電流密度dk=3)、塩酸ディップ(塩酸水溶液10%、常温)により整面処理を行った。
次に、整面処理を行った金属基板の表面に、カゼイン含有ネガレジストを使用し、スピンコーターにてコーティングを行い、10μm〜15μm程度の厚さを有するフォトレジスト層を形成した。
次に、平行光露光機を使い、マスクを介して紫外線照射によるパターン露光を行った後、40℃の温水で現像を行いフォトレジスト層をパターン形成した。
上記マスクについては、上述した金属基板のサイズ内でレンチキュラーレンズを形成するために、カード1枚当たりに、85mm×50mm程度の外形を有するデザインを具備し、且つ、そのカード内に縦および横のサイズが各々20mm程度となる矩形のレンチキュラーレンズ形成部を、得られるセキュリティカードにおいてレンチキュラーレンズを左下部に配置できるように具備した。なお、レンチキュラーレンズ形成部以外の領域は平面部とした。
<エッチング工程>
当該パターニング面に対して、フォトレジスト層をパターン形成した後、エッチングを行うことにより、直線状凹曲面部および隔壁部を有するレンチキュラーレンズ形成部および平面部の形状を得た。
<検証>
上記マスクによるレンチキュラーレンズ形成部の設計については、上述のようにコーティングされたレジスト層の解像度およびエッチング条件等に依存するため、マスクのパターンのみではレンズ形状は決まらない。このため、最終的に得られたエッチング後の形状で、マスクのパターン形状およびエッチング条件の検証を行った。
エッチング後の形状としては、隔壁部の頂部の幅、直線状凹曲面部の幅、深さ、ピッチ幅および底部の曲率半径の大きさが、加工形状として主に制御できるものと想定して加工した。
検証の結果、上記隔壁部の頂部の幅5μm〜20μmの範囲に対して、5μmごとに段階的に変えた形状が得られた。
また、その他の直線状凹部曲面部の形状については、浸漬時間やスプレー噴射圧力などのエッチング条件によって、10μmごとに段階的に変えた形状が得られた。
<研磨工程>
上述の工程を経た複数枚の金属基板について、隔壁部の頂部に曲率を形成するため当該金属基板を処理時間等の条件を変えて硝酸5%水溶液に浸漬して酸洗した後、バフ研磨の#400で光沢面に処理した。これにより、隔壁部の頂部の曲率2.5μm〜10μmに対して、1μm〜2μmごとに段階的に変えることができた。
上述の一連の工程を経て、複数枚の本発明のカード用原版を得た。
[実施例2]
(セキュリティカードの作製)
<転写工程>
カーボンブラックを含有したカード基材(厚さ50μm〜100μm)と、レンチキュラーレンズシートとしてポリカーボネートを主成分としたシート基材(厚さ50μm〜100μm)との積層体を予め準備した。
実施例1により得られたカード用原版を平面プレス機に装着し、当該積層体に対して200℃で20分、1kg/cmでプレスを行った後、30分程度冷却を行い、シート基材が硬化する温度まで低下させた。
冷却後、平面プレス機を開放し、上記シート基材からカード用原版を離脱させた。この実施により、上述のシート基材上に上記カード用原版表面の凹凸形状が転写され、シート平坦部およびレンチキュラーレンズを有し、上記レンチキュラーレンズが、複数本が並列に配置された半円柱形レンズおよびレンズ間溝部とを有するレンチキュラーレンズシートを形成することができた。
<印字工程>
続いて、レンチキュラーレンズシート上において、レンチキュラーレンズを構成する半円柱形レンズに対してYAGレーザー照射を行い、画像部の印字を行った。この実施により、カード基材上に画像部を形成することができ、観察角度に応じて上記画像部の視認画像が異なる目的のセキュリティカードを作製することができた。
1 … 金属基板
2 … 平面部
3 … レンチキュラーレンズ形成部
4 … 直線状凹曲面部
5 … 隔壁部
6 … 文字図柄転写部
10 … セキュリティカード用転写原版(カード用原版)
11 … レンチキュラーレンズシート
11a … シート基材
12 … カード基材
13 … 半円柱形レンズ
14 … レンズ間溝部
15 … シート平坦部
16 … レンチキュラーレンズ
17 … 文字図柄部
18、18a、18b … 画像部
20 … セキュリティカード

Claims (11)

  1. 金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有する平板状のセキュリティカード用転写原版であって、
    前記レンチキュラーレンズ形成部が、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部と、隣り合う前記直線状凹曲面部の間に形成される隔壁部とを有することを特徴とするセキュリティカード用転写原版。
  2. 前記平面部に文字図柄転写部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティカード用転写原版。
  3. 前記隔壁部の頂部の幅が5μm〜20μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセキュリティカード用転写原版
  4. 前記隔壁部の頂部が曲率を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のセキュリティカード用転写原版。
  5. 金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを有し、前記レンチキュラーレンズ形成部が、複数本が並列に配置された直線状凹曲面部と、隣り合う前記直線状凹曲面部の間に形成される隔壁部とを有する平板状のセキュリティカード用転写原版の製造方法であって、
    前記金属基板上に直線状の開口部を有するレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、
    前記レジスト層を介して前記金属基板をエッチングし、前記金属基板上に前記直線状凹曲面部および前記隔壁部を形成するエッチング工程と、を有することを特徴とするセキュリティカード用転写原版の製造方法。
  6. 前記エッチング工程の後に、前記レジスト層を除去した前記金属基板に対し、酸系処理液を用いて研磨を行う研磨工程を有することを特徴とする請求項5に記載のセキュリティカード用転写原版の製造方法。
  7. 表面に画像部を有するカード基材と、前記カード基材の前記画像部が形成された側の表面に配置されるレンチキュラーレンズシートとを有し、
    前記レンチキュラーレンズシート上には、シート平坦部およびレンチキュラーレンズが形成され、
    前記レンチキュラーレンズが、複数本が並列に配置された半円柱形レンズと、隣り合う前記半円柱形レンズの間に形成されたレンズ間溝部とを有するセキュリティカードであって、
    前記レンズ間溝部の底幅が5μm〜20μmの範囲内であり、
    前記レンチキュラーレンズと前記画像部とが平面視上に重なるように配置されており、観察角度によって前記レンチキュラーレンズを介して視認される前記画像部が異なることを特徴とするセキュリティカード。
  8. 前記レンズ間溝部の底部が曲率を有することを特徴とする請求項7に記載のセキュリティカード。
  9. 画像部を有するカード基材と、前記カード基材の前記画像部が形成された側の表面に配置されるレンチキュラーレンズシートとを有し、
    前記レンチキュラーレンズシートが、シート平坦部およびレンチキュラーレンズを有し、
    前記レンチキュラーレンズが、複数本が並列に配置された半円柱形レンズを少なくとも有するものであり、
    前記レンチキュラーレンズと前記画像部とが平面視上に重なって配置されるセキュリティカードの製造方法であって、
    金属基板の一方の表面上に、平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを少なくとも有し、前記レンチキュラーレンズ形成部が、少なくとも複数本の直線状凹曲面部が並列に配置されたものである平板状のセキュリティカード用転写原版を準備する準備工程と、
    シート基材の表面に前記セキュリティカード用転写原版を転写して、前記シート平坦部および前記レンチキュラーレンズを有する前記レンチキュラーレンズシートを一括形成する転写工程と、を有することを特徴とするセキュリティカードの製造方法。
  10. 前記転写工程の後、前記レンチキュラーレンズと平面視上に重なるように、前記カード基材に前記画像部を形成する印字工程を有するものであることを特徴とする請求項9に記載のセキュリティカードの製造方法。
  11. 前記準備工程により準備される前記セキュリティカード用転写原版が、前記平面部に文字図柄転写部を有するものであることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のセキュリティカードの製造方法。
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