JP2015074190A - セキュリティカード用転写原版の製造方法およびセキュリティカードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】視認性およびセキュリティ性の高いセキュリティカードを安価で簡単に製造可能なカード用原版の製造方法等の提供を主目的とする。【解決手段】金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するカード用原版の製造方法であって、上記金属基板の一方の表面上に、エッチングにより上記レンチキュラーレンズ形成部を形成するレンズ形成部形成工程と、上記金属基板の上記平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより、上記レリーフ形成部を形成するレリーフ形成部形成工程と、を有することを特徴とするカード用原版の製造方法。【選択図】図1
Description
本発明は、視認性およびセキュリティ性の高いセキュリティカードを安価で簡単に製造可能なセキュリティカード用転写原版の製造方法、およびセキュリティカードの製造方法に関する。
身分証明証や各種会員証、クレジットカード等のセキュリティカード(以下、カードと略する場合がある。)において、カードの所有者とカード使用者との同一性を確認する、いわゆる個人識別機能として、カード表面に所有者の個人情報や写真等の画像が表示されたものが一般的に用いられている。また、近年では、これらの画像が改ざんおよび偽造されることを防止するために、画像表面に偽造防止機能を付与したセキュリティカードが用いられている。
偽造防止機能を付与する方法としては、例えば、カードの表面にレンチキュラーレンズを設ける方法がある。レンチキュラーレンズとは、断面が凸レンズ状であり側面が略半円柱の直線形状のレンズ(以下、上記レンズを半円柱形レンズと称する。)の複数本が、平行で等間隔に配置された形状を有するものであり、凸レンズ状の断面を有する方向にのみにレンズの集光機能を有するものである。セキュリティカードにおいては、表示される個人情報等の画像上にレンチキュラーレンズを設けることにより、カードの観察者に対し観察角度に応じて表示される画像を選択してレンチキュラーレンズを介して目視させることができるため、視認性の高いカードとすることができる(特許文献1〜3参照)。
しかし、このようなセキュリティカードを多品種小ロットで製造する場合、例えばレンチキュラーレンズのみを金型ロールで別途形成した後にカード表面に貼り付ける方法等が用いられており、レンチキュラーレンズ付きのセキュリティカードを安価で簡単に精度よく製造できる転写原版については知られていなかった。
また、このようなセキュリティカードでは、外観上の特徴を持たせるためにレンチキュラーレンズの設けられていない領域(以下、シート平坦部と略する場合がある。)に、顔料インク、UVインク等を用いて文字、記号、図形等の模様が描画される。しかし、上記模様を描画する場合、多色のインクの使用や描画工程の回数を増やす必要があり、カードを安価に製造することが難しい。一方で、上記模様を精巧で複雑なものとすることができれば、外観上の特徴のみならず偽造防止効果を付与することができるため、上記模様によるカードのセキュリティ性の向上が期待されている。
また、このようなセキュリティカードでは、外観上の特徴を持たせるためにレンチキュラーレンズの設けられていない領域(以下、シート平坦部と略する場合がある。)に、顔料インク、UVインク等を用いて文字、記号、図形等の模様が描画される。しかし、上記模様を描画する場合、多色のインクの使用や描画工程の回数を増やす必要があり、カードを安価に製造することが難しい。一方で、上記模様を精巧で複雑なものとすることができれば、外観上の特徴のみならず偽造防止効果を付与することができるため、上記模様によるカードのセキュリティ性の向上が期待されている。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、視認性およびセキュリティ性の高いセキュリティカードを安価で簡単に製造可能なセキュリティカード用転写原版(以下、カード用原版と略する場合がある。)の製造方法、およびセキュリティカードの製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するカード用原版の製造方法であって、上記金属基板の一方の表面上に、エッチングにより上記レンチキュラーレンズ形成部を形成するレンズ形成部形成工程と、上記金属基板の上記平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより、上記レリーフ形成部を形成するレリーフ形成部形成工程と、を有することを特徴とするカード用原版の製造方法を提供する。
本発明によれば、レリーフ形成部形成工程として、金属基板の平面部において同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより、平面部上に精巧で複雑な形状を有するレリーフ形成部を形成することができる。これにより、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、カード表面にレリーフ形成部の転写形状であるレリーフ部を形成することができ、上記レリーフ部においては精巧で複雑な模様が表示されるため、高いセキュリティ性を有することができる。
また、レンズ形成部形成工程により、上記レリーフ形成部と同一面上の所望の位置にレンチキュラーレンズ形成部を形成することができる。これにより、カードを製造する際に、カード表面にレンチキュラーレンズ形成部の転写形状であるレンチキュラーレンズを形成することができ、上記レンチキュラーレンズにおいては観察角度に応じて画像を切り替えて表示することが可能となるため、高い視認性を有することができる。
すなわち、視認性およびセキュリティ性の高いカードを安価で簡単に一括製造可能なカード用原版を製造することができる。
また、レンズ形成部形成工程により、上記レリーフ形成部と同一面上の所望の位置にレンチキュラーレンズ形成部を形成することができる。これにより、カードを製造する際に、カード表面にレンチキュラーレンズ形成部の転写形状であるレンチキュラーレンズを形成することができ、上記レンチキュラーレンズにおいては観察角度に応じて画像を切り替えて表示することが可能となるため、高い視認性を有することができる。
すなわち、視認性およびセキュリティ性の高いカードを安価で簡単に一括製造可能なカード用原版を製造することができる。
上記発明においては、上記レリーフ形成部形成工程において、上記フォトリソグラフィ処理の実施順に従い、上記金属基板上にパターン形成されるレジスト層の開口部が小さくなることが好ましい。フォトリソグラフィ処理の実施順に従って形成される凹形状を段階的に小さくすることができるため、より精巧で複雑なレリーフ形成部を形成することができるからである。
上記発明においては、上記レンズ形成部形成工程が、上記レリーフ形成部形成工程におけるいずれか1回の上記フォトリソグラフィ処理と同時に行われることが好ましい。レリーフ形成部を形成するための開口部とレンチキュラーレンズ形成部を形成するための開口部とを同一のレジスト層に設け、フォトリソグラフィ処理を1回行うことにより、レリーフ形成部の一部とレンチキュラーレンズ形成部とを同時に形成することができ、製造工程の簡略化が図れるからである。
上記発明においては、少なくとも上記レリーフ形成部形成工程の後に研磨工程を有することが好ましい。カード用原版の表面を光沢面とすることができ、また、レリーフ部の最端の角および隔壁部の頂部が研磨されることにより曲率を有する形状となるからである。
また、本発明は、カード基材の一方の表面にシート基材を積層し、上記シート基材の表面にカード用原版の転写面を転写して、一部にレリーフ部を有するシート平坦部と、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する上記半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有するレンチキュラーレンズと、を有するレンチキュラーレンズシートを形成する転写工程と、上記半円柱形レンズを介して、上記カード基材に異なる2方向からレーザー光を照射して、上記半円柱形レンズと平面視上に重なるように上記カード基材に画像部を形成する印字工程と、を有するセキュリティカードの製造方法であって、上記カード用原版が、金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するものであって、上記レンチキュラーレンズ形成部が、上記金属基板の一方の表面をエッチングすることにより形成されたものであり、上記レリーフ形成部が、上記金属基板の上記平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより形成されたものであることを特徴とするセキュリティカードの製造方法を提供する。
本発明によれば、使用するカード用原版は、平面部に2回以上のフォトリソグラフィ処理により形成されたレリーフ形成部を有することから、転写工程においてシート平坦部上に上記レリーフ形成部の反転形状であるレリーフ部を形成することができる。これによりインク等を用いて模様を描画するよりも、精巧で複雑な模様をカード表面に付することができ、カードのセキュリティ性を高めることができる。また、上記カード用原版は、エッチングにより形成されたレンチキュラーレンズ形成部を備えることから、転写工程において形状の寸法精度および配置精度の高いレンチキュラーレンズが形成されるため、印字工程においてカード基材に画像部を形成する際に、所望の位置に正確に印字が可能となる。これにより、レンチキュラーレンズを介して上記画像部を観察する際に、観察角度に応じて異なる画像情報を明瞭に表示することができ、視認性の高いものとすることができる。
すなわち、レンチキュラーレンズおよびレリーフ部を一括形成することができ、視認性およびセキュリティ性に優れたセキュリティカードを安価で簡単に製造することができる。
すなわち、レンチキュラーレンズおよびレリーフ部を一括形成することができ、視認性およびセキュリティ性に優れたセキュリティカードを安価で簡単に製造することができる。
本発明においては、カード表面にレンチキュラーレンズおよびレリーフ部が転写形成されることにより、視認性およびセキュリティ性の高いセキュリティカードを安価で簡単に製造することが可能なカード用原版が得られるといった効果を奏する。
以下、本発明のカード用原版の製造方法、およびセキュリティカードの製造方法について詳細に説明する。
A.セキュリティカード用転写原版(カード用原版)の製造方法
まず、本発明のカード用原版の製造方法について説明する。本発明のカード用原版の製造方法は、金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するカード用原版の製造方法であって、上記金属基板の一方の表面上に、エッチングにより上記レンチキュラーレンズ形成部を形成するレンズ形成部形成工程と、上記金属基板の上記平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより、上記レリーフ形成部を形成するレリーフ形成部形成工程と、を有することを特徴とする。
まず、本発明のカード用原版の製造方法について説明する。本発明のカード用原版の製造方法は、金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するカード用原版の製造方法であって、上記金属基板の一方の表面上に、エッチングにより上記レンチキュラーレンズ形成部を形成するレンズ形成部形成工程と、上記金属基板の上記平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより、上記レリーフ形成部を形成するレリーフ形成部形成工程と、を有することを特徴とする。
本発明のカード用原版の製造方法について、図を例示して説明する。図1は本発明のカード用原版の製造方法の一例を示す工程図である。また、図2は本発明により得られるカード用原版の一例を示す概略平面図である。
図1に示すように、レリーフ形成部形成工程として、金属基板1の一方の表面上にレジスト膜11aを設け(図1(a))、マスク31を介して露光L1後(図1(b))、現像することにより複数個の第1開口部61がパターニングされた第1レジスト層11を成膜する(図1(c))。次に、第1レジスト層11をマスクとして金属基板1をエッチングし、第1レジスト層11を剥離することにより複数個の第1凹部6aを形成する(図1(d))。
続いて、金属基板1の第1凹部6aを有する面上に第2レジスト膜12aを設け(図1(e))、マスク32を介して露光L2後(図1(f))、現像することにより第1凹部6a上に第2開口部62がパターンニングされた第2レジスト層12を成膜する(図1(g))。このとき第2レジスト層12に第2開口部62の他に、ストライプ状に配置された複数のレンズ形成部用開口部63を設けることで、第2レジスト層12はレンズ形成部用レジスト層としての機能も有することとなる。
次に、第2レジスト層12をマスクとして金属基板1をエッチングし、第2レジスト層12を剥離することにより、第1凹部6a上に第2凹部6bが形成されたレリーフ形成部6、およびレンチキュラーレンズ形成部3を形成する(図1(h))。レンチキュラーレンズ形成部3は、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部4と隔壁部5とを有する。また、レンチキュラーレンズ形成部3が形成された金属基板1の表面のうち、レンチキュラーレンズ形成部3以外の領域が平面部2となる。すなわち、レリーフ形成部6は平面部2の一部に形成されることとなる。これにより目的のカード用原版10を製造することができる。
なお、図1(a)〜(d)を第1フォトリソグラフィ処理、図1(e)〜(h)を第2フォトリソグラフィ処理とする。また、図1(h)は図2のX−X線断面図に相当する。
図1に示すように、レリーフ形成部形成工程として、金属基板1の一方の表面上にレジスト膜11aを設け(図1(a))、マスク31を介して露光L1後(図1(b))、現像することにより複数個の第1開口部61がパターニングされた第1レジスト層11を成膜する(図1(c))。次に、第1レジスト層11をマスクとして金属基板1をエッチングし、第1レジスト層11を剥離することにより複数個の第1凹部6aを形成する(図1(d))。
続いて、金属基板1の第1凹部6aを有する面上に第2レジスト膜12aを設け(図1(e))、マスク32を介して露光L2後(図1(f))、現像することにより第1凹部6a上に第2開口部62がパターンニングされた第2レジスト層12を成膜する(図1(g))。このとき第2レジスト層12に第2開口部62の他に、ストライプ状に配置された複数のレンズ形成部用開口部63を設けることで、第2レジスト層12はレンズ形成部用レジスト層としての機能も有することとなる。
次に、第2レジスト層12をマスクとして金属基板1をエッチングし、第2レジスト層12を剥離することにより、第1凹部6a上に第2凹部6bが形成されたレリーフ形成部6、およびレンチキュラーレンズ形成部3を形成する(図1(h))。レンチキュラーレンズ形成部3は、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部4と隔壁部5とを有する。また、レンチキュラーレンズ形成部3が形成された金属基板1の表面のうち、レンチキュラーレンズ形成部3以外の領域が平面部2となる。すなわち、レリーフ形成部6は平面部2の一部に形成されることとなる。これにより目的のカード用原版10を製造することができる。
なお、図1(a)〜(d)を第1フォトリソグラフィ処理、図1(e)〜(h)を第2フォトリソグラフィ処理とする。また、図1(h)は図2のX−X線断面図に相当する。
図1では、フォトリソグラフィ処理を2回行った場合を示したが、3回目以降のフォトリソグラフィ処理についても同様の方法により行うことができる。
また、図1ではレリーフ形成部形成工程における第2フォトリソグラフィ処理とレンズ形成部形成工程とを同時に実施したが、本発明は本実施態様に限定されるものではない。例えば、レンズ形成部形成工程をレリーフ形成部形成工程における第1フォトリソグラフィ処理と同時、もしくは第3フォトリソグラフィ処理以降のいずれかの処理と同時に実施してもよい。
また、先にレンズ形成部形成工程を行い金属基板上にレンチキュラーレンズ形成部を形成し、続いてレリーフ形成部形成工程を実施してもよい。さらに、レリーフ形成部形成工程後に別途レンズ形成部形成工程を実施してもよい。加えて、図1における第1フォトリソグラフィ処理を第2フォトリソグラフィ処理として実施し、第2フォトリソグラフィ処理を第1フォトリソグラフィ処理として実施してもよい。
また、図1ではレリーフ形成部形成工程における第2フォトリソグラフィ処理とレンズ形成部形成工程とを同時に実施したが、本発明は本実施態様に限定されるものではない。例えば、レンズ形成部形成工程をレリーフ形成部形成工程における第1フォトリソグラフィ処理と同時、もしくは第3フォトリソグラフィ処理以降のいずれかの処理と同時に実施してもよい。
また、先にレンズ形成部形成工程を行い金属基板上にレンチキュラーレンズ形成部を形成し、続いてレリーフ形成部形成工程を実施してもよい。さらに、レリーフ形成部形成工程後に別途レンズ形成部形成工程を実施してもよい。加えて、図1における第1フォトリソグラフィ処理を第2フォトリソグラフィ処理として実施し、第2フォトリソグラフィ処理を第1フォトリソグラフィ処理として実施してもよい。
本発明によれば、レリーフ形成部形成工程として、金属基板の平面部の同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより、平面部に精巧で複雑な形状を有するレリーフ形成部を形成することができる。また、レンズ形成部形成工程として、金属基板の表面をエッチングすることにより、半円柱形レンズ転写部および隔壁部を有するレンチキュラーレンズ形成部を所望の位置に形成することができる。
これにより、金属基板の同一平面上に、レンチキュラーレンズ形成部と、一部にレリーフ形成部が形成された平面部とを有するカード用原版を、簡単且つ安価で製造することができる。
これにより、金属基板の同一平面上に、レンチキュラーレンズ形成部と、一部にレリーフ形成部が形成された平面部とを有するカード用原版を、簡単且つ安価で製造することができる。
また、本発明により得られるカード用原版を用いることで、カード表面に上記レリーフ形成部の転写形状であるレリーフ部と、上記レンチキュラーレンズ形成部の転写形状であるレンチキュラーレンズとを一括形成することができる。これにより、上記レリーフ部においては、精巧で複雑な模様が表示されるため高いセキュリティ性を有することができ、上記レンチキュラーレンズにおいては、観察角度に応じてカード基材の有する画像を切り替えて表示が可能となるため、高い視認性を有することができる。
このように、本発明により視認性およびセキュリティ性の高いカードを安価で簡単に一括製造するためのカード用原版を製造することができる。
このように、本発明により視認性およびセキュリティ性の高いカードを安価で簡単に一括製造するためのカード用原版を製造することができる。
なお、本発明において、「平面部の一部にレリーフ形成部が形成される」とは、平面部の面積100%に対してレリーフ形成部の面積が0.1%〜30%の範囲内、好ましくは1%〜10%の範囲内を占めることをいう。平面部の面積とは、金属基板の一方の表面の面積からレンチキュラーレンズ形成部の面積を除いたものである。
また、本発明において「同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行う」とは、金属基板上の所望の位置に1回目のフォトリソグラフィ処理を行い形成された第1凹部に対して、2回目以降のフォトリソグラフィ処理を行うことをいう。
本発明のカード用原版の製造方法は、少なくともレンズ形成部形成工程およびレリーフ形成部形成工程を有するものである。
以下、本発明カード用原版の製造方法について説明する。
以下、本発明カード用原版の製造方法について説明する。
1.レリーフ形成部形成工程
本発明におけるレリーフ形成部形成工程は、金属基板の平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより、レリーフ形成部を形成する工程である。
本発明におけるレリーフ形成部形成工程は、金属基板の平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより、レリーフ形成部を形成する工程である。
(1)金属基板
本工程で用いられる金属基板は、単一の金属から形成される単層構造であることが好ましい。金属基板の表面上にめっき等が施された多層構造である場合、カードを転写形成する際にレリーフ形成部およびレンチキュラーレンズ形成部に応力が集中して掛かりやすくなり、表面のめっき等が剥離する場合があるからである。
金属基板の金属としては、特に限定されるものではないが、例えばステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウム、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、コバルト合金、クロム合金、モリブデン合金、タングステン合金等の金属が好ましい。中でも耐久性に優れており、エッチング等の加工がしやすく安価である点からステンレス鋼が好ましい。
本工程で用いられる金属基板は、単一の金属から形成される単層構造であることが好ましい。金属基板の表面上にめっき等が施された多層構造である場合、カードを転写形成する際にレリーフ形成部およびレンチキュラーレンズ形成部に応力が集中して掛かりやすくなり、表面のめっき等が剥離する場合があるからである。
金属基板の金属としては、特に限定されるものではないが、例えばステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウム、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、コバルト合金、クロム合金、モリブデン合金、タングステン合金等の金属が好ましい。中でも耐久性に優れており、エッチング等の加工がしやすく安価である点からステンレス鋼が好ましい。
金属基板の厚さとしては、所望の形状のレンチキュラーレンズ形成部およびレリーフ形成部を形成することができ、本工程を複数回行っても貫通等を生じない厚さであることが好ましい。また、金属基板にマスクを介して紫外線等の露光を行いパターニングする際に、金属基板とマスクとの真空密着により安定したパターニングを行う必要であることから、金属基板は真空密着を安定的に行うことが可能な厚さであることが好ましい。具体的には、目的とするカード用原版の厚さをその範囲に含む0.05mm〜10mmの範囲内の大きさであることが好ましい。
金属基板の厚さが上記の範囲より薄いと、金属基板に対してマスクを真空密着できない場合や、所望の深さのレンチキュラーレンズ形成部およびレリーフ形成部を得ることができない場合がある。また、カード製造時にカード用原版が変形しやすく、耐久性が不足する場合がある。
金属基板の大きさ(面積)としては、所望のセキュリティカードの大きさ等に応じて適宜設定することができる。
金属基板の厚さが上記の範囲より薄いと、金属基板に対してマスクを真空密着できない場合や、所望の深さのレンチキュラーレンズ形成部およびレリーフ形成部を得ることができない場合がある。また、カード製造時にカード用原版が変形しやすく、耐久性が不足する場合がある。
金属基板の大きさ(面積)としては、所望のセキュリティカードの大きさ等に応じて適宜設定することができる。
(2)レリーフ形成部形成工程
本工程は、少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行う工程である。
以下、1回目のフォトリソグラフィ処理を「第1フォトリソグラフィ処理」、2回目のフォトリソグラフィ処理を「第2フォトリソグラフィ処理」として説明する。
本工程は、少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行う工程である。
以下、1回目のフォトリソグラフィ処理を「第1フォトリソグラフィ処理」、2回目のフォトリソグラフィ処理を「第2フォトリソグラフィ処理」として説明する。
(a)第1フォトリソグラフィ処理
本工程における第1フォトリソグラフィ処理の方法としては、例えば、少なくとも平面部の所望の位置に第1開口部が配置されるように第1レジスト層をパターニングし、上記第1レジスト層を介して金属基板のエッチングを行う方法が用いられる。上記方法により、第1開口部から露出した金属基板がエッチングされて、第1凹部を形成することができる。
本工程における第1フォトリソグラフィ処理の方法としては、例えば、少なくとも平面部の所望の位置に第1開口部が配置されるように第1レジスト層をパターニングし、上記第1レジスト層を介して金属基板のエッチングを行う方法が用いられる。上記方法により、第1開口部から露出した金属基板がエッチングされて、第1凹部を形成することができる。
(i)第1レジスト層
本処理で用いられる第1レジスト層の材料としては、感光性を有するものであればよく、ポジ型でもネガ型でもよい。中でも液体レジストおよびドライフィルムレジストを用いることが好ましく、特に液体レジストを用いることが好ましい。本発明により得られるカード用原版を用いて転写形成されるレリーフ部の解像度が安定して得られるからである。また、第1レジスト層のパターニングが未処理の金属基板に対して行われる場合、液体レジストを用いることで解像度の高いパターニングをすることが可能であるからである。
液体レジストおよびドライフィルムレジストの種類としては、一般的にフォトリソグラフィで用いられるものが挙げられる。
また、第1レジスト層の材料が液体である場合、金属基板上に第1レジスト層の材料の材料を塗布してレジスト膜を成膜する方法として、スピンコート法、ブレードコート法、ディッピング法等の一般的な方法を用いることができる。
本処理で用いられる第1レジスト層の材料としては、感光性を有するものであればよく、ポジ型でもネガ型でもよい。中でも液体レジストおよびドライフィルムレジストを用いることが好ましく、特に液体レジストを用いることが好ましい。本発明により得られるカード用原版を用いて転写形成されるレリーフ部の解像度が安定して得られるからである。また、第1レジスト層のパターニングが未処理の金属基板に対して行われる場合、液体レジストを用いることで解像度の高いパターニングをすることが可能であるからである。
液体レジストおよびドライフィルムレジストの種類としては、一般的にフォトリソグラフィで用いられるものが挙げられる。
また、第1レジスト層の材料が液体である場合、金属基板上に第1レジスト層の材料の材料を塗布してレジスト膜を成膜する方法として、スピンコート法、ブレードコート法、ディッピング法等の一般的な方法を用いることができる。
本処理におけるパターン形成方法としては、所望の位置に第1開口部を形成可能な方法であればよく、例えばフォトリソグラフィ法、印刷法等を用いることができる。中でも、高精度でパターンを形成することができることからフォトリソグラフィ法を用いることが好ましい。
本処理における露光条件および現像条件については、一般的なフォトリソグラフィにおける条件を用いることができる。
本処理における露光条件および現像条件については、一般的なフォトリソグラフィにおける条件を用いることができる。
本処理において形成される第1レジスト層の厚さは、エッチングにより所望の形状の第1凹部を形成できる厚さであればよく、例えば3μm〜25μm程度であることが好ましい。第1レジスト層の厚さが上記範囲よりも大きいと、エッチングの際にレジスト層のパターン間にエッチング液が十分に回り込まず、第1凹部が所望の深さとならない場合があるからである。
上記第1レジスト層に設けられる第1開口部の大きさとしては、目的とするレリーフ形成部の形状に応じて適宜設定することができ、例えば50μm×50μm〜5000μm×5000μm程度であることが好ましい。また、第1開口部の数は、少なくとも1つ以上形成されていることが好ましく、その数は適宜設定することができる。
(ii)第1フォトリソグラフィ処理
本処理で用いられるエッチング方法としては、ウェットエッチングであることが好ましい。ドライエッチングと比較して加工効率が高く、様々なデザインに対し柔軟に形成することができるからである。中でも、等方性のウェットエッチングであることが好ましい。エッチング箇所の底部が曲面を有する形状となるからである。
ウェットエッチングの方法としては、第1レジスト層を有する金属基板上にエッチング液を塗布する方法(シャワーエッチング)でもよく、エッチング液に第1レジスト層を有する金属基板を浸漬させる方法(ディッピングエッチング)でもよい。
本処理で用いられるエッチング方法としては、ウェットエッチングであることが好ましい。ドライエッチングと比較して加工効率が高く、様々なデザインに対し柔軟に形成することができるからである。中でも、等方性のウェットエッチングであることが好ましい。エッチング箇所の底部が曲面を有する形状となるからである。
ウェットエッチングの方法としては、第1レジスト層を有する金属基板上にエッチング液を塗布する方法(シャワーエッチング)でもよく、エッチング液に第1レジスト層を有する金属基板を浸漬させる方法(ディッピングエッチング)でもよい。
本処理で用いられるエッチング液としては、特に限定されず、金属基板の材料に応じて適宜設定することができる。例えば金属基板にステンレス鋼を用いる場合は、塩化第二銅液、塩化第二鉄液、塩酸−硝酸−リン酸混合液等を用いることが好ましい。
エッチングの時間としては、金属基板の材料、エッチング方法、エッチング液、第1凹部の大きさ等に応じて適宜設定することができる。
エッチングの時間としては、金属基板の材料、エッチング方法、エッチング液、第1凹部の大きさ等に応じて適宜設定することができる。
本処理により形成される第1凹部は、底部が曲面となることが好ましい。また、第1凹部の大きさとしては、フォトリソグラフィ処理の回数や目的とするレリーフ形成部の形状に応じて適宜設定されるものであるが、通常、第1開口部と同様の大きさとなる。
第1凹部の大きさの測定方法としては、光干渉式表面形状測定装置(例えば、菱化システム社製 VertScan2.0、Veeco社製 Wyko NT9000シリーズ等)を用いて、非接触法により測定することができる。具体的には、光干渉式表面形状測定装置の測定ステージ上に第1凹部を測定ヘッドに向けて載置し、上記第1凹部の表面形状データを3次元座標データの集合の形式で非接触に取得し、上記表面形状データを元に算出することができる。
なお、以降の説明において特段の記載が無い限り、各部位の測定方法については、該部位を測定ヘッドに向けて載置し、上述の方法と同様にして測定されたものとする。
第1凹部の大きさの測定方法としては、光干渉式表面形状測定装置(例えば、菱化システム社製 VertScan2.0、Veeco社製 Wyko NT9000シリーズ等)を用いて、非接触法により測定することができる。具体的には、光干渉式表面形状測定装置の測定ステージ上に第1凹部を測定ヘッドに向けて載置し、上記第1凹部の表面形状データを3次元座標データの集合の形式で非接触に取得し、上記表面形状データを元に算出することができる。
なお、以降の説明において特段の記載が無い限り、各部位の測定方法については、該部位を測定ヘッドに向けて載置し、上述の方法と同様にして測定されたものとする。
第1凹部の深さとしては、フォトリソグラフィ処理の回数や目的とするレリーフ形成部の形状に応じて適宜設定されるものであるが、例えば20μm〜500μmの範囲内であることが好ましく、中でも50μm〜250μmの範囲内であることが好ましい。第1凹部の深さを上記範囲よりも大きいものとすると、2回目以降のフォトリソグラフィ処理においてエッチング可能な深さの制御が難しくなる可能性がある。なお、第1凹部の深さとは金属基板表面から第1凹部の最下点までの距離をいい、図1(d)においてT1で示される部分である。
(b)第2フォトリソグラフィ処理
本工程における第2フォトリソグラフィ処理の方法としては、例えば、上述の第1フォトリソグラフィ処理により形成された第1凹部上に、第2開口部が配置されるように第2レジスト層をパターニングし、上記第2レジスト層を介して金属基板のエッチングを行う方法が用いられる。本処理により、第2開口部から露出した金属基板がエッチングされて、第2凹部を形成することができる。
本工程における第2フォトリソグラフィ処理の方法としては、例えば、上述の第1フォトリソグラフィ処理により形成された第1凹部上に、第2開口部が配置されるように第2レジスト層をパターニングし、上記第2レジスト層を介して金属基板のエッチングを行う方法が用いられる。本処理により、第2開口部から露出した金属基板がエッチングされて、第2凹部を形成することができる。
(i)第2レジスト層
本処理で用いられる第2レジスト層の材料としては、「(a)第1フォトリソグラフィ処理」の項で説明した材料と同様とすることができ、第2レジスト層と上記第1レジスト層とが同一の材料であってもよく、異なる材料であってもよい。中でも第2レジスト層はドライフィルムレジストを用いることが好ましい。第1凹部の形状に対してレジスト層を十分に密着させることができ、解像度の高いパターニングをすることが可能だからである。
また、第2レジスト層の材料が液体である場合、成膜方法については、第1レジスト層の成膜方法と同様の方法を用いることができる。
本処理で用いられる第2レジスト層の材料としては、「(a)第1フォトリソグラフィ処理」の項で説明した材料と同様とすることができ、第2レジスト層と上記第1レジスト層とが同一の材料であってもよく、異なる材料であってもよい。中でも第2レジスト層はドライフィルムレジストを用いることが好ましい。第1凹部の形状に対してレジスト層を十分に密着させることができ、解像度の高いパターニングをすることが可能だからである。
また、第2レジスト層の材料が液体である場合、成膜方法については、第1レジスト層の成膜方法と同様の方法を用いることができる。
本処理におけるパターン形成方法としては、上述した第1凹部の所望の位置に第2開口部を形成することが可能な方法であればよく、「(a)第1フォトリソグラフィ処理」の項で説明した方法を用いることができる。また、本工程における露光条件および現像条件については、一般的なフォトリソグラフィにおける条件を用いることができる。
本工程において形成される第2レジスト層の厚さとしては、第2凹部が所望の形状となるまでエッチングできる厚さであれば特に限定されるものではなく、例えば「(a)第1フォトリソグラフィ処理」の項で説明した第1レジスト層の厚さと同様とすることができる。
第2レジスト層に設けられる第2開口部の大きさとしては、「(a)第1フォトリソグラフィ処理」における第1開口部よりも大きくてもよく小さくてもよいが、第1凹部の曲面上に第2凹部を形成することが可能であるという点から小さいことが好ましい。第2開口部が第1開口部よりも大きいと、第1凹部の形状が本処理により同時にエッチングされるため、明瞭な凹凸形状として残りにくい場合がある。
第2開口部の大きさとしては、特に限定されないが、第1開口部の大きさとの関係(面積比)において、第1開口部の大きさが第2開口部の大きさ(100%)に対して100%〜2500%程度となる関係を有することが可能な大きさであることが好ましい。
第2開口部の大きさとしては、特に限定されないが、第1開口部の大きさとの関係(面積比)において、第1開口部の大きさが第2開口部の大きさ(100%)に対して100%〜2500%程度となる関係を有することが可能な大きさであることが好ましい。
第2開口部は、「(a)第1フォトリソグラフィ処理」により形成された第1凹部の1つ当たりに対して少なくとも1つ配置されるものであり、配置態様は特に限定されない。例えば第1凹部の1つ当たりに対して第2開口部が1個配置される場合、上記第2開口部の配置態様としては、第1凹部の中心と第2開口部の中心とが一致するように配置されていても良く、双方の中心が重ならない位置に配置されていてもよい。第2開口部の中心を第1凹部の中心と一致するようにして配置される場合、例えば図3(a)で示すような第2凹部6bを形成することができ、一方、第2開口部の中心が第1凹部の中心と重ならない位置に配置される場合は、例えば図3(b)で示すような第2凹部6bを形成することができる。
また、第2開口部は、第1凹部の1つ当たりに対して複数個が配置されていてもよい。第2凹部を複雑な凹凸形状とすることができるからである。1つの第1凹部に対して2つの第2開口部を有する場合、例えば図3(c)で示すように一部が凸形状となった第2凹部6bを形成することができる。
なお、図3は本処理において形成される第2凹部の形状の一例を示す概略断面図であり、図3において第1凹部の符号は省略するものとする。
また、第2開口部は、第1凹部の1つ当たりに対して複数個が配置されていてもよい。第2凹部を複雑な凹凸形状とすることができるからである。1つの第1凹部に対して2つの第2開口部を有する場合、例えば図3(c)で示すように一部が凸形状となった第2凹部6bを形成することができる。
なお、図3は本処理において形成される第2凹部の形状の一例を示す概略断面図であり、図3において第1凹部の符号は省略するものとする。
(ii)第2フォトリソグラフィ処理
本処理で用いられるエッチング方法およびエッチング液については、「(a)第1フォトリソグラフィ処理」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本処理におけるエッチング時間については、第2凹部を所望の形状とすることができる時間であればよく、適宜設定することができる。
本処理で用いられるエッチング方法およびエッチング液については、「(a)第1フォトリソグラフィ処理」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本処理におけるエッチング時間については、第2凹部を所望の形状とすることができる時間であればよく、適宜設定することができる。
本処理により形成される第2凹部は、その底部の少なくとも一部が曲面を有することが好ましい。
第2凹部の大きさとしては、第2開口部の大きさに従うものであり、第1凹部の大きさよりも大きくてもよく小さくてもよいが、中でも小さいことが好ましい。第1凹部の大きさに対する第2凹部の大きさの割合は、「(i)第2レジスト層」の項で説明した第1開口部の大きさに対する第2開口部の大きさの割合(第1開口部の大きさと第2開口部の大きさとの関係)と同様となる。
第2凹部の大きさとしては、第2開口部の大きさに従うものであり、第1凹部の大きさよりも大きくてもよく小さくてもよいが、中でも小さいことが好ましい。第1凹部の大きさに対する第2凹部の大きさの割合は、「(i)第2レジスト層」の項で説明した第1開口部の大きさに対する第2開口部の大きさの割合(第1開口部の大きさと第2開口部の大きさとの関係)と同様となる。
また、第2凹部の深さとしては、フォトリソグラフィ処理の回数や目的とするレリーフ形成部の形状に応じて適宜設定されるものであるが、例えば20μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。第2凹部の深さを上記範囲内とすることにより、3回目以降のフォトリソグラフィ処理を行うための金属基板の厚さを残すことができ、フォトリソグラフィ処理の回数を増やしてレリーフ形成部の設計の自由度を上げることができる。中でも第2凹部の深さが45μm以上であることが好ましい。第2凹部の深さを上記範囲内とすることにより、第2凹部と第1凹部との段差が明瞭となることから、本発明におけるカード用原版により凹凸が明瞭な視認性の高いレリーフ部を転写形成することが可能となるからである。
なお、第2凹部の深さとは、第1凹部の最下点から第2凹部の最下点までの距離をいう。すなわち、金属基板の表面から第2凹部の最下点までの距離(図3中のT2)から、第1凹部(図1(d)中のT1)の深さを引いた値である。
なお、第2凹部の深さとは、第1凹部の最下点から第2凹部の最下点までの距離をいう。すなわち、金属基板の表面から第2凹部の最下点までの距離(図3中のT2)から、第1凹部(図1(d)中のT1)の深さを引いた値である。
第2凹部の平面視上の形状については、第1凹部と同様であってもよく、異なる形状であってもよく、目的とするレリーフ形成部の形状に応じて適宜設計することができる。
(c)レリーフ形成部形成工程
本工程は、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うものであるが、その回数の上限は特に限定されるものではなく、金属基板を貫通せず、得られるカード用原版の強度が損なわれない程度に、所望のレリーフ形成部の形状に応じて適宜設定することができる。
3回目以降のフォトリソグラフィ処理において用いられるレジスト層、およびエッチング液等については、「(a)第1フォトリソグラフィ処理」の項で説明したものと同様とすることができる。
本工程は、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うものであるが、その回数の上限は特に限定されるものではなく、金属基板を貫通せず、得られるカード用原版の強度が損なわれない程度に、所望のレリーフ形成部の形状に応じて適宜設定することができる。
3回目以降のフォトリソグラフィ処理において用いられるレジスト層、およびエッチング液等については、「(a)第1フォトリソグラフィ処理」の項で説明したものと同様とすることができる。
本工程において複数回のフォトリソグラフィ処理が実施される場合、フォトリソグラフィ処理の実施順に従い、金属基板上にパターン形成されるレジスト層の開口部が小さくなることが好ましい。フォトリソグラフィ処理の実施順に従って形成される凹形状を小さいものとすることができ、より精巧で複雑なレリーフ形成部を得ることができるからである。
本工程においては、レリーフ形成部を形成すると共に、平面部に文字、記号、図柄等を有する部位(以下、文字図柄転写部と称する場合がある。)が形成されることが好ましい。
従来、文字図柄転写部を転写原版上に形成する場合、レーザー法により基板へ直接形成する方法が用いられるが、この方法では、レーザー光が照射された箇所の照射跡の残存や溶融物の飛散が生じることや、レーザー光の照射により未照射領域も加熱されることで、文字図柄転写部の形状が変形するといった問題がある。
そこで、本工程において文字図柄転写部もエッチングにより同時に形成することにより、上記の問題を生じることなく、より精細な形状とすることが可能となる。また、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、エッチングにより形成された文字図柄転写部はその形状を損なうことなく転写することができ、転写された文字等の品質が良好となる。
従来、文字図柄転写部を転写原版上に形成する場合、レーザー法により基板へ直接形成する方法が用いられるが、この方法では、レーザー光が照射された箇所の照射跡の残存や溶融物の飛散が生じることや、レーザー光の照射により未照射領域も加熱されることで、文字図柄転写部の形状が変形するといった問題がある。
そこで、本工程において文字図柄転写部もエッチングにより同時に形成することにより、上記の問題を生じることなく、より精細な形状とすることが可能となる。また、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、エッチングにより形成された文字図柄転写部はその形状を損なうことなく転写することができ、転写された文字等の品質が良好となる。
文字図柄転写部における文字、記号等の線幅は、80μm〜500μm程度の大きさであることが好ましい。また、文字図柄転写部の形成位置およびその大きさは、平面部内であれば特に限定されない。形成される文字図柄転写部は一つであってもよく、複数であってもよい。
文字図柄転写部の形成は、第1フォトリソグラフィ処理において同時に行ってもよく、第2フォトリソグラフィ処理以降のいずれかと同時に行ってもよい。また、本工程におけるいずれか1回のフォトリソグラフィ処理と後述するレンズ形成部形成工程とが同時に行われる場合は、文字図柄転写部の形成も同時に行ってもよい。カード用原版の製造工程の簡略化が図れるからである。
(3)レリーフ形成部
本工程において形成されるレリーフ形成部は、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、カード表面上に特徴的な絵柄から成るレリーフ部を転写形成するものである。レリーフ形成部の形状は、上記レリーフ部のデザイン等に応じて適宜設定することができる。なお、上記カード用原版上のレリーフ形成部の数は限定されない。
図4はレリーフ形成部の形状の一例を示す概略平面図である。図4で示すように、レリーフ形成部の形状としては、例えば、第1凹部6aの中に包含されるようにして第2凹部6bが形成された形状(図4(a))、第1凹部6aの一部と第2凹部6bの一部とが重なって形成された形状(図4(b))等が挙げられる。
また、第2凹部が第1凹部に包含される形状の場合、第2凹部の配置位置は、上述した図4(a)で示すように第2凹部6bが第1凹部6aの中央に位置した形状の他に、図4(c)で示すように第2凹部6bが第1凹部6aの側面に近接した形状であってもよい。
また、複数回のフォトリソグラフィ処理によりレリーフ形成部を特徴的なデザインとすることも可能であり、例えば、転写により富士山、菊花紋章、人物や動物、幾何学模様の組み合わせ形状等の模様となる形状とすることができる。レリーフ形成部を複数有する場合、個々のレリーフ形成部が上記模様を成すものであってもよく、複数のレリーフ形成部の集合により上記模様を成すものであってもよい。
本工程において形成されるレリーフ形成部は、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、カード表面上に特徴的な絵柄から成るレリーフ部を転写形成するものである。レリーフ形成部の形状は、上記レリーフ部のデザイン等に応じて適宜設定することができる。なお、上記カード用原版上のレリーフ形成部の数は限定されない。
図4はレリーフ形成部の形状の一例を示す概略平面図である。図4で示すように、レリーフ形成部の形状としては、例えば、第1凹部6aの中に包含されるようにして第2凹部6bが形成された形状(図4(a))、第1凹部6aの一部と第2凹部6bの一部とが重なって形成された形状(図4(b))等が挙げられる。
また、第2凹部が第1凹部に包含される形状の場合、第2凹部の配置位置は、上述した図4(a)で示すように第2凹部6bが第1凹部6aの中央に位置した形状の他に、図4(c)で示すように第2凹部6bが第1凹部6aの側面に近接した形状であってもよい。
また、複数回のフォトリソグラフィ処理によりレリーフ形成部を特徴的なデザインとすることも可能であり、例えば、転写により富士山、菊花紋章、人物や動物、幾何学模様の組み合わせ形状等の模様となる形状とすることができる。レリーフ形成部を複数有する場合、個々のレリーフ形成部が上記模様を成すものであってもよく、複数のレリーフ形成部の集合により上記模様を成すものであってもよい。
1つの、または複数のレリーフ形成部の集合から成るレリーフ形成部の平面視上の大きさ(面積)としては、1000μm×1000μm〜10000μm×10000μmの範囲内であることが好ましく、中でも3000μm×3000μm〜7500μm×7500μmの範囲内であることが好ましい。
また、レリーフ形成部の深さとしては、金属基板の表面から最後のフォトリソグラフィ処理において形成された凹部の最下点までの距離をいい、例えば40μm〜800μmの範囲内であることが好ましく、中でも75μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。レリーフ形成部の深さが上記範囲よりも大きいと、レリーフ形成部を有する平面部において、転写の際に変形等を生じる場合があるからである。一方、上記範囲よりも小さいと、転写形成されるレリーフ部が精巧かつ複雑な形状とならない場合があるからである。
また、レリーフ形成部の深さとしては、金属基板の表面から最後のフォトリソグラフィ処理において形成された凹部の最下点までの距離をいい、例えば40μm〜800μmの範囲内であることが好ましく、中でも75μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。レリーフ形成部の深さが上記範囲よりも大きいと、レリーフ形成部を有する平面部において、転写の際に変形等を生じる場合があるからである。一方、上記範囲よりも小さいと、転写形成されるレリーフ部が精巧かつ複雑な形状とならない場合があるからである。
2.レンズ形成部形成工程
本発明におけるレンズ形成部形成工程は、金属基板の一方の表面上に、エッチングによりレンチキュラーレンズ形成部を形成する工程である。
本発明におけるレンズ形成部形成工程は、金属基板の一方の表面上に、エッチングによりレンチキュラーレンズ形成部を形成する工程である。
本工程におけるレンチキュラーレンズ形成部の形成方法としては、金属基板の一方の表面上にレンチキュラーレンズ形成部を直接形成することができる方法であれば特に限定されないが、中でも、金属基板上にフォトリソグラフィを用いてレンズ形成部用開口部がパターニングされたレンズ形成部用レジスト層を成膜し、上記レンズ形成部用レジスト層を介してエッチングする方法が好ましい。所望の位置に半円柱形レンズ転写部および隔壁部を高精度で形成することができるからである。
(1)金属基板
本工程で用いられる金属基板は、上述した「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程で用いられる金属基板は、上述した「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)レンズ形成部用レジスト層
本工程で用いられるレンズ形成部用レジスト層の材料としては、「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。なお、上記レンズ形成部用レジスト層の材料は、上記第1レジスト層または第2レジスト層で使用した材料と同一であってもよく、異なる材料であってもよい。
また、レンズ形成部用レジスト層の材料が液体である場合の成膜方法についても、「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明したものと同様とすることができる。
本工程で用いられるレンズ形成部用レジスト層の材料としては、「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。なお、上記レンズ形成部用レジスト層の材料は、上記第1レジスト層または第2レジスト層で使用した材料と同一であってもよく、異なる材料であってもよい。
また、レンズ形成部用レジスト層の材料が液体である場合の成膜方法についても、「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明したものと同様とすることができる。
本工程におけるパターン形成方法としては、目的とする半円柱形レンズ転写部の本数および配列に応じて、ストライプ状に複数のレンズ形成部用開口部を形成可能な方法であればよく、例えばフォトリソグラフィ法、印刷法等を用いることができる。中でも高精度でパターンを形成することができることから、フォトリソグラフィ法を用いることが好ましい。
また、本処理における露光条件および現像条件については、一般的なフォトリソグラフィにおける条件を用いることができる。
また、本処理における露光条件および現像条件については、一般的なフォトリソグラフィにおける条件を用いることができる。
本処理におけるレンズ形成部用レジスト層の厚さは、エッチングにより所望の幅および深さを有する半円柱形レンズ転写部を形成可能な厚さであればよく、上述した「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明したレジスト層の厚さと同様とすることができる。
上記レンズ形成部用レジスト層に設けられるレンズ形成部用開口部の幅としては、目的とする半円柱形レンズ転写部の幅に応じて適宜設定することができる。また、上記レンズ形成部用開口部の並列間隔、本数等については、レンチキュラーレンズ形成部における半円柱形レンズ転写部のピッチ幅、本数等に応じて適宜選択することができる。なお、レンズ形成部用開口部の幅とは、短手方向の長さをいう。
また、レンズ形成部用開口部のピッチ幅は小さいことが好ましいが、所望の半円柱形レンズ転写部の幅より大きいことが好ましい。具体的には、上記ピッチ幅が30μm〜200μm以下の範囲内であることが好ましく、中でも50μm〜130μmの範囲内であることが好ましく、特に60μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
レンズ形成部用開口部のピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、形成される半円柱形レンズ転写部の配置間隔が大きくなるため、本発明により得られるカード用原版を用いて転写形成されるレンチキュラーレンズにおいて、個々の半円柱形レンズが視覚的に目立つようになり外観上好ましくない場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、半円柱形レンズ転写部の幅も小さくなり、転写形成されるレンチキュラーレンズのレンズ形状が欠損してしまう場合がある。
レンズ形成部用開口部のピッチ幅とは、隣り合うレンズ形成部用開口部の中心を結んだ距離をいう。
レンズ形成部用開口部のピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、形成される半円柱形レンズ転写部の配置間隔が大きくなるため、本発明により得られるカード用原版を用いて転写形成されるレンチキュラーレンズにおいて、個々の半円柱形レンズが視覚的に目立つようになり外観上好ましくない場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、半円柱形レンズ転写部の幅も小さくなり、転写形成されるレンチキュラーレンズのレンズ形状が欠損してしまう場合がある。
レンズ形成部用開口部のピッチ幅とは、隣り合うレンズ形成部用開口部の中心を結んだ距離をいう。
また、レンズ形成部用開口部は、その長手方向が転写形成されるカードの読み取り方向と同一方向となるように形成されることが好ましい。レンズ形成部用開口部において形成される半円柱形レンズ転写部は、カード製造時に半円柱形レンズを転写形成する部位である。このため、レンズ形成部用開口部の長手方向とカードの読み取り方向とが異なる場合、半円柱形レンズの長手方向もカードの読み取り方向と異なり、カードをカードリーダーに通す際に、半円柱形レンズが障害となる場合があるからである。
レンズ形成部用開口部の長手方向の長さとしては、半円柱形レンズ転写部の長手方向の長さと同様であり、適宜設定することができる。なお、長手方向の長さとは図2においてY方向の長さをいう。
レンズ形成部用開口部の長手方向の長さとしては、半円柱形レンズ転写部の長手方向の長さと同様であり、適宜設定することができる。なお、長手方向の長さとは図2においてY方向の長さをいう。
(3)レンズ形成部形成工程
本工程で用いられるエッチング方法およびエッチング液については、「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程におけるエッチング時間については、レンチキュラーレンズ形成部を所望の形状とすることが可能な時間であればよく、金属基板の材料、エッチング方法、エッチング液、半円柱形レンズ転写部の幅等に応じて適宜設定することができる。
本工程で用いられるエッチング方法およびエッチング液については、「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程におけるエッチング時間については、レンチキュラーレンズ形成部を所望の形状とすることが可能な時間であればよく、金属基板の材料、エッチング方法、エッチング液、半円柱形レンズ転写部の幅等に応じて適宜設定することができる。
本工程は単独で行ってもよいが、中でも、上述したレリーフ形成部形成工程におけるいずれか1回のフォトリソグラフィ処理と同時に行われることが好ましい。金属基板上に、レリーフ形成部を形成するための開口部とレンズ形成部用開口部とを有する1枚のレジスト層を成膜し、フォトリソグラフィ処理を1回行うことにより、レリーフ形成部の一部とレンチキュラーレンズ形成部とを同時に形成することができる。これにより、製造工程の簡略化が図れるからである。
なお、本工程を行うタイミングとしては、レリーフ形成部形成工程の第1フォトリソグラフィ処理と同時であってもよく、第2フォトリソグラフィ処理以降のいずれかの処理と同時であってもよい。
なお、本工程を行うタイミングとしては、レリーフ形成部形成工程の第1フォトリソグラフィ処理と同時であってもよく、第2フォトリソグラフィ処理以降のいずれかの処理と同時であってもよい。
本工程においては、レンチキュラーレンズ形成部を形成すると共に、平面部に文字図柄転写部を形成してもよい。その理由および文字図柄転写部の形状等については、上述した「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(4)レンチキュラーレンズ形成部
本工程により形成されるレンチキュラーレンズ形成部は、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するものである。なお、図5は、レンチキュラーレンズ形成部の形状の一例を示す概略断面図である。
以下、各部位について説明する。
本工程により形成されるレンチキュラーレンズ形成部は、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するものである。なお、図5は、レンチキュラーレンズ形成部の形状の一例を示す概略断面図である。
以下、各部位について説明する。
(a)半円柱形レンズ転写部
本工程において形成される半円柱形レンズ転写部の幅は、20μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも40μm〜120μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜70μmの範囲内であることが好ましい。半円柱形レンズ転写部の幅が上記範囲よりも大きいと、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの高さが高くなり、規格等で決められたカード厚さを超えてしまう場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、パターニングに際して解像度の安定性が確保できず、半円柱形レンズ転写部の形状のばらつきが大きくなる可能性がある。このため、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの形状もばらつくことにより、視認画像の均一性が確保できない場合がある。なお、半円柱形レンズ転写部の幅とは、半円柱形レンズ転写部の側壁に挟まれた短手方向の長さを指し、図5においてX1で示される部分をいう。また、半円柱形レンズ転写部と隔壁部とが連続した曲面形状で、半円柱形レンズ転写部の曲面を区分する位置が明確でない場合は、後述する「(b)隔壁部」の項で説明する方法で特定される変曲点間の長さを半円柱形レンズ転写部の幅とすることができる。
本工程において形成される半円柱形レンズ転写部の幅は、20μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも40μm〜120μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜70μmの範囲内であることが好ましい。半円柱形レンズ転写部の幅が上記範囲よりも大きいと、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの高さが高くなり、規格等で決められたカード厚さを超えてしまう場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、パターニングに際して解像度の安定性が確保できず、半円柱形レンズ転写部の形状のばらつきが大きくなる可能性がある。このため、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの形状もばらつくことにより、視認画像の均一性が確保できない場合がある。なお、半円柱形レンズ転写部の幅とは、半円柱形レンズ転写部の側壁に挟まれた短手方向の長さを指し、図5においてX1で示される部分をいう。また、半円柱形レンズ転写部と隔壁部とが連続した曲面形状で、半円柱形レンズ転写部の曲面を区分する位置が明確でない場合は、後述する「(b)隔壁部」の項で説明する方法で特定される変曲点間の長さを半円柱形レンズ転写部の幅とすることができる。
半円柱形レンズ転写部は底部に所望の曲率を有することが好ましい。半円柱形レンズ転写部の底部の曲率半径(以下、半円柱形レンズ転写部の曲率半径と略する場合がある。)としては、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも30μm〜90μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。
半円柱形レンズ転写部の曲率半径が上記範囲よりも小さいと、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの曲率半径も小さいものとなる。このため、カードを製造する際に半円柱形レンズを介してレーザー光の照射によりカード基材へ印字する場合に、レーザー光の焦点がカード基材に到達せず印字が行えない場合がある。一方、半円柱形レンズ転写部の曲率半径が上記範囲よりも大きいと、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの曲率半径も大きいものとなる。このため、上述の方法でカード基材へ印字を行う場合に、レーザー光がカード基材を超えた位置に焦点を結ぶこととなりカード基材に印字が行えない場合がある。
なお、半円柱形レンズ転写部の曲率半径とは、図5においてR1で示される部分をいう。
半円柱形レンズ転写部の曲率半径が上記範囲よりも小さいと、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの曲率半径も小さいものとなる。このため、カードを製造する際に半円柱形レンズを介してレーザー光の照射によりカード基材へ印字する場合に、レーザー光の焦点がカード基材に到達せず印字が行えない場合がある。一方、半円柱形レンズ転写部の曲率半径が上記範囲よりも大きいと、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの曲率半径も大きいものとなる。このため、上述の方法でカード基材へ印字を行う場合に、レーザー光がカード基材を超えた位置に焦点を結ぶこととなりカード基材に印字が行えない場合がある。
なお、半円柱形レンズ転写部の曲率半径とは、図5においてR1で示される部分をいう。
半円柱形レンズ転写部の深さとしては、5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも7μm〜60μmの範囲内であることが好ましく、特に10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
半円柱形レンズ転写部の深さが上記範囲よりも大きいと、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの高さが高くなり、規格で決められたカード厚さを超えてしまう場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズが所望のレンズ厚さとならず、画像情報の表示を切り替えるレンズとしての機能を十分発揮できない場合がある。また、カード製造時にレンチキュラーレンズを介してレーザー照射等によりカード基材に印字を行う際に、半円柱形レンズを透過したレーザー光がカード基材において焦点を結べず、所望の位置に印字が行えない可能性がある。
半円柱形レンズ転写部の深さとは、半円柱形レンズ転写部の最下点から隔壁部の最頂点までの長さをいい、図5においてT3で示される部分をいう。
半円柱形レンズ転写部の深さが上記範囲よりも大きいと、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの高さが高くなり、規格で決められたカード厚さを超えてしまう場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズが所望のレンズ厚さとならず、画像情報の表示を切り替えるレンズとしての機能を十分発揮できない場合がある。また、カード製造時にレンチキュラーレンズを介してレーザー照射等によりカード基材に印字を行う際に、半円柱形レンズを透過したレーザー光がカード基材において焦点を結べず、所望の位置に印字が行えない可能性がある。
半円柱形レンズ転写部の深さとは、半円柱形レンズ転写部の最下点から隔壁部の最頂点までの長さをいい、図5においてT3で示される部分をいう。
半円柱形レンズ転写部は、図2で示すように金属基板の表面上にストライプ状に複数配置されるものであり、その本数は適宜選択することができる。
半円柱形レンズ転写部の長手方向の長さとしては、金属基板の寸法を越えない範囲であれば特に限定されるものではなく、目的とするレンチキュラーレンズの大きさに応じて適宜選択される。
半円柱形レンズ転写部の長手方向の長さとしては、金属基板の寸法を越えない範囲であれば特に限定されるものではなく、目的とするレンチキュラーレンズの大きさに応じて適宜選択される。
(b)隔壁部
本工程により形成される隔壁部の形状は、所望の幅や高さ等を有するものであれば特に限定されるものではない。図6は本発明における隔壁部の断面形状を説明する説明図である。隔壁部の断面形状としては、通常、図6(a)で示すように金属基板の底面に対して隔壁部の側面が直角を成す形状であるが、図6(b)および(c)で示すように、テーパー形状であってもよい。テーパー形状の隔壁部の両側面がなす角度(図6(b)および(c)中のθ)としては、5°〜120°の範囲内が好ましく、中でも10°〜90°の範囲内が好ましく、特に15°〜45°の範囲内が好ましい。隔壁部の両側面が上記範囲内の角度を成すことにより、カード製造時にカード用原版からのカードの剥離性を良好なものとすることができる。
本工程により形成される隔壁部の形状は、所望の幅や高さ等を有するものであれば特に限定されるものではない。図6は本発明における隔壁部の断面形状を説明する説明図である。隔壁部の断面形状としては、通常、図6(a)で示すように金属基板の底面に対して隔壁部の側面が直角を成す形状であるが、図6(b)および(c)で示すように、テーパー形状であってもよい。テーパー形状の隔壁部の両側面がなす角度(図6(b)および(c)中のθ)としては、5°〜120°の範囲内が好ましく、中でも10°〜90°の範囲内が好ましく、特に15°〜45°の範囲内が好ましい。隔壁部の両側面が上記範囲内の角度を成すことにより、カード製造時にカード用原版からのカードの剥離性を良好なものとすることができる。
また、隔壁部の頂部の幅は小さいことが好ましい。隔壁部は、セキュリティカードを製造する際に、隣り合う半円柱形レンズ間の溝部(以下、レンズ間溝部と称する場合がある。)を転写形成する部位である。そのため、レンズ間溝部の大きさによっては、所望の角度から観察した際にレンチキュラーレンズを介して表示される画像上に、表示すべき画像情報以外の画像が線状に出現する(以下、線状に出現する画像を「線状ノイズ」と称する場合がある。)といった現象が生じる。この様な現象により表示すべき画像が不鮮明な像として観察されるため、カードの視認性の低下を招く場合がある。なお、上述の現象および発生要因については、後述する「B.セキュリティカードの製造方法」の項で詳細に説明するため、ここでの説明は省略する。
隔壁部の頂部の幅としては、5μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、中でも5μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
隔壁部の頂部の幅が上記範囲よりも小さいと、隔壁部が決壊して半円柱形レンズ転写部の深さにばらつきが生じるため、カード製造時に転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズがレンズとしての機能を有さない場合がある。一方、上記範囲よりも大きいと、カード製造時に転写形成されるレンズ間溝部の底部の幅が大きくなるため、得られるカードを観察する際に、レンチキュラーレンズを介して表示される画像上に線状ノイズ等が出現し、視認性が損なわれる場合がある。
隔壁部の頂部の幅とは、図5および図6においてX3で示される部分をいい、以下の方法により測定される。
隔壁部の頂部の幅としては、5μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、中でも5μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
隔壁部の頂部の幅が上記範囲よりも小さいと、隔壁部が決壊して半円柱形レンズ転写部の深さにばらつきが生じるため、カード製造時に転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズがレンズとしての機能を有さない場合がある。一方、上記範囲よりも大きいと、カード製造時に転写形成されるレンズ間溝部の底部の幅が大きくなるため、得られるカードを観察する際に、レンチキュラーレンズを介して表示される画像上に線状ノイズ等が出現し、視認性が損なわれる場合がある。
隔壁部の頂部の幅とは、図5および図6においてX3で示される部分をいい、以下の方法により測定される。
隔壁部の頂部の幅の測定箇所については、図6(a)で示すように金属基板の表面に対して隔壁部の側面が直角を成す形状である場合は、上記側面間の距離を隔壁部の幅とする。また、図6(b)で示すように金属基板の表面に対して隔壁部の側面が鈍角を成す場合は、上記隔壁部の頂部に有する平面における短手方向の長さを隔壁部の幅とする。
さらに、図6(c)で示すように隔壁部の頂部が曲率を有するものであり、半円柱形レンズ転写部と隔壁部の頂部の曲面とが連続した形状で、隔壁部の頂部の曲面の区分される位置が明確でない場合は、非接触法の測定により作成されたグラフにおいて半円柱形レンズ転写部の曲面と隔壁部の頂部の曲面との変曲点を特定する。すなわち、対象曲面において半円柱形レンズ転写部および隔壁部の短手方向の断面が形成する曲線の曲率の符号が変化する点の位置を、半円柱形レンズ転写部と隔壁部の頂部とが区分される位置とし、上記変曲点における短手方向の長さを隔壁部の幅とする。ここで、短手方向の断面が形成する曲線から曲率を算出する一つの方法としては、上記曲線を微小区間に分け、曲率を算出する微小区間における上記曲線を構成する測定データに対し最小二乗法を用いて円弧を当てはめ、得られた円弧の半径から曲率を得る方法を用いることができる。
なお、上記変曲点に直線部が接している場合は直線部も半円柱形レンズ転写部の一部とする。
さらに、図6(c)で示すように隔壁部の頂部が曲率を有するものであり、半円柱形レンズ転写部と隔壁部の頂部の曲面とが連続した形状で、隔壁部の頂部の曲面の区分される位置が明確でない場合は、非接触法の測定により作成されたグラフにおいて半円柱形レンズ転写部の曲面と隔壁部の頂部の曲面との変曲点を特定する。すなわち、対象曲面において半円柱形レンズ転写部および隔壁部の短手方向の断面が形成する曲線の曲率の符号が変化する点の位置を、半円柱形レンズ転写部と隔壁部の頂部とが区分される位置とし、上記変曲点における短手方向の長さを隔壁部の幅とする。ここで、短手方向の断面が形成する曲線から曲率を算出する一つの方法としては、上記曲線を微小区間に分け、曲率を算出する微小区間における上記曲線を構成する測定データに対し最小二乗法を用いて円弧を当てはめ、得られた円弧の半径から曲率を得る方法を用いることができる。
なお、上記変曲点に直線部が接している場合は直線部も半円柱形レンズ転写部の一部とする。
隔壁部の高さとしては、半円柱形レンズ転写部の深さと同様であるためここでの説明は省略する。また、隔壁部の頂部に有する平面または最頂点は、平面部と同じ高さに位置することが好ましい。
3.その他の工程
本発明は、上述したレンズ形成部形成工程およびレリーフ形成部形成工程の他に任意の工程を有していてもよい。任意の工程としては、例えば金属基板の表面を整面するための酸系水溶液あるいはアルカリ系水溶液による整面処理工程、レンズ形成部形成工程およびレリーフ形成部形成工程の際にレジスト層を剥離するレジスト層剥離工程、少なくともレリーフ形成部形成工程の後に金属基板の表面を研磨する研磨工程、平面部に別途、文字図柄転写部を形成する文字図柄転写部形成工程等を挙げることができる。
以下、本発明における研磨工程について説明する。
本発明は、上述したレンズ形成部形成工程およびレリーフ形成部形成工程の他に任意の工程を有していてもよい。任意の工程としては、例えば金属基板の表面を整面するための酸系水溶液あるいはアルカリ系水溶液による整面処理工程、レンズ形成部形成工程およびレリーフ形成部形成工程の際にレジスト層を剥離するレジスト層剥離工程、少なくともレリーフ形成部形成工程の後に金属基板の表面を研磨する研磨工程、平面部に別途、文字図柄転写部を形成する文字図柄転写部形成工程等を挙げることができる。
以下、本発明における研磨工程について説明する。
本発明においては、少なくともレリーフ形成部形成工程の後に研磨工程を有することが好ましい。本工程を行うことにより、得られるカード用原版の表面を光沢面とすることができ、上記カード用原版により製造されるカード表面に光沢を付与することができる。また、レリーフ形成部の最外角に高い曲率を持たせることができる。なお、本工程は金属基板の表面全体に対して行うことが好ましい。
本工程は少なくともレリーフ形成部形成工程の後に行うものであるが、好ましくは、レリーフ形成部形成工程の後で、且つレンズ形成部形成工程の後に行うことが好ましい。レリーフ形成部の最外角および隔壁部の頂部の両方に高い曲率を持たせることができるからである。
本工程で用いられる研磨方法としては、例えば、電解研磨法、化学研磨法、電解研磨と化学研磨とを同時に行う複合研磨法、バフ研磨法等を挙げることができるが、中でも電解研磨法を用いることが好ましい。金属基板において研磨を行いたい部分を選択的に研磨することができ、表面の平滑化および光沢化が図れるからである。
本工程に用いられる研磨液としては、酸系研磨液が好ましく、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの水溶液、硫酸と過酸化水素を含む水溶液、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を含む水溶液等が挙げられる。
本工程に用いられる研磨液としては、酸系研磨液が好ましく、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの水溶液、硫酸と過酸化水素を含む水溶液、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩を含む水溶液等が挙げられる。
本工程においてレリーフ形成部の最外角が研磨される割合については、後述する隔壁部が研磨される割合と同様であることが好ましい。本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、カード用原版からカードが剥離しやすくなるからである。なお、レリーフ形成部の最外角とは最外壁の角部をいい、図1(h)においてCで示される部分をいう。また、このときのレリーフ形成部の最外角の曲率半径についても、後述する隔壁部の頂部の曲率半径の大きさと同様であることが好ましい。
本工程において隔壁部が研磨される割合としては、隔壁部の頂部の幅の大きさに対して5%〜50%の範囲内であることが好ましく、中でも5%〜25%の範囲内であることが好ましく、特に5%〜10%の範囲内であることが好ましい。隔壁部が研磨される割合を上記範囲内とすることにより、隔壁部の一部が変形や決壊等を生じることなく、頂部を曲面とすることができるからである。
また、本工程により隔壁部の頂部を所望の曲率を有するものとすることができる。隔壁部の頂部の曲率半径としては、2.5μm〜10.0μmの範囲内であることが好ましく、中でも2.5μm〜7.5μmの範囲内であることが好ましく、特に2.5μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。隔壁部の頂点の曲率半径を上記範囲内とすることにより、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、カード用原版からカードが剥離しやすくなるからである。また、得られるカードにおいて、レンチキュラーレンズを介して視認される画像上に出現する線状ノイズ等をより目立たなくすることができるからである。なお、頂部の曲率半径とは、図6(c)においてR2で示される部分をいう。
本工程において、金属基板の表面を研磨することにより、表面の平滑性を高めることが好ましく、中でも平滑且つ光沢面とすることが好ましい。金属基板の表面を光沢面とすることにより、本発明により得られるカード用原版を用いてカードを製造する際に、カード表面を光沢面とすることができるからである。
研磨後のカード用原版の十点平均表面粗度(Rz)としては、Rz=0.05μm〜1.5μmの範囲内であることが好ましく、中でもRz=0.1μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。上記十点平均表面粗度は、光干渉式の非接触表面粗さ計(菱化システム(株)製のバートスキャンR1300H Lite)を使い、プロファイル範囲を+/−5ミクロンとして測定された値である。
また、光沢面の程度としては、#400以上の砥粒で研磨した時の光沢性を有することが好ましい。
研磨後のカード用原版の十点平均表面粗度(Rz)としては、Rz=0.05μm〜1.5μmの範囲内であることが好ましく、中でもRz=0.1μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。上記十点平均表面粗度は、光干渉式の非接触表面粗さ計(菱化システム(株)製のバートスキャンR1300H Lite)を使い、プロファイル範囲を+/−5ミクロンとして測定された値である。
また、光沢面の程度としては、#400以上の砥粒で研磨した時の光沢性を有することが好ましい。
4.セキュリティカード用転写原版(カード用原版)
本発明により得られるカード用原版は、金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するものである。
本発明により得られるカード用原版は、金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するものである。
上記カード用原版において、レリーフ形成部の数は少なくとも1つ以上有するものである。複数のレリーフ形成部を有する場合、隣接するレリーフ形成部が干渉しない程度の配置間隔とすることが好ましく、例えば50μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、中でも200μm〜750μmの範囲内であることが好ましい。隣接するレリーフ形成部の配置間隔とは、一方のレリーフ形成部の最外壁と他方のレリーフ形成部の最外壁との間隔をいうものである。
また、上記カード用原版において、レンチキュラーレンズ形成部は少なくとも1つ以上有するものであるが、複数有していてもよい。レンチキュラーレンズ形成部を複数有する場合は、上記カード用原版を多面付け原版として使用することができる。
レンチキュラーレンズ形成部の占める面積の割合としては、上記カード用原版の一方の表面の面積を100%としたときに1%〜30%程度の割合を占めることが好ましい。
レンチキュラーレンズ形成部の占める面積の割合としては、上記カード用原版の一方の表面の面積を100%としたときに1%〜30%程度の割合を占めることが好ましい。
上記カード用原版は、さらに平面部上に文字図柄転写部を有していても良い。なお、文字図柄転写部については、「1.レリーフ形成部形成工程」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明により得られるカード用原版の用途としては、高い視認性および偽造防止性が求められるセキュリティカードの製造に用いることができ、中でも、クレジットカード等の個人情報管理カード、ICカード、各種証明カード、政府文書等の機密性を要するセキュリティカードの製造に用いられることが好ましい。
B.セキュリティカードの製造方法
次に、本発明のセキュリティカードの製造方法について説明する。本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法は、カード基材の一方の表面にシート基材を積層し、上記シート基材の表面にカード用原版の転写面を転写して、一部にレリーフ部を有するシート平坦部と、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する上記半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有するレンチキュラーレンズと、を有するレンチキュラーレンズシートを形成する転写工程と、上記半円柱形レンズを介して、上記カード基材に異なる2方向からレーザー光を照射して、上記半円柱形レンズと平面視上に重なるように上記カード基材に画像部を形成する印字工程と、を有するセキュリティカードの製造方法であって、上記カード用原版が、金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するものであって、上記レンチキュラーレンズ形成部が、上記金属基板の一方の表面をエッチングすることにより形成されたものであり、上記レリーフ形成部が、上記金属基板の上記平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより形成されたものであることを特徴とする。
次に、本発明のセキュリティカードの製造方法について説明する。本発明のレンチキュラーレンズシートの製造方法は、カード基材の一方の表面にシート基材を積層し、上記シート基材の表面にカード用原版の転写面を転写して、一部にレリーフ部を有するシート平坦部と、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する上記半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有するレンチキュラーレンズと、を有するレンチキュラーレンズシートを形成する転写工程と、上記半円柱形レンズを介して、上記カード基材に異なる2方向からレーザー光を照射して、上記半円柱形レンズと平面視上に重なるように上記カード基材に画像部を形成する印字工程と、を有するセキュリティカードの製造方法であって、上記カード用原版が、金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するものであって、上記レンチキュラーレンズ形成部が、上記金属基板の一方の表面をエッチングすることにより形成されたものであり、上記レリーフ形成部が、上記金属基板の上記平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより形成されたものであることを特徴とする。
本発明のセキュリティカードの製造方法について、図を例示して説明する。図7は本発明のセキュリティカードの製造方法の一例を示す概略断面図である。
まず、上述した「A.カード用原版の製造方法」により得られたカード用原版10を準備する(図7(a))。なお、図7(a)に示すカード用原版10の各符号は図1(h)で説明したものと同様である。また、後述する図7(c)においては、カード用原版10の各部位の符号の表記は省略する。
次に、転写工程として、カード基材21とシート基材22aとを積層し(図7(b))、加熱をしながらシート基材22aにカード用原版10の転写面を押し当てて転写する(図7(c))。これにより、レンチキュラーレンズ23と、一部にレリーフ部25を有するシート平坦部24とを有するレンチキュラーレンズシート22が形成される(図7(d))。レンチキュラーレンズ23は、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ26と、隣り合う半円柱形レンズ26の間に形成されるレンズ間溝部27から構成されるものである。
次に印字工程として、カード基材21に対して半円柱形レンズ26を介してレーザー光Z1およびZ2を照射し、カード基材21に含有される発色材料を炭化させ、文字や数字等の異なる画像部28(画像部28aおよび28bを構成要素として含む。)を形成する(図7(e))。画像部28aおよび28bと半円柱形レンズ26とは、平面視上重なる位置関係を有する。
これにより、所望のセキュリティカード20を製造することができる(図7(f))。
まず、上述した「A.カード用原版の製造方法」により得られたカード用原版10を準備する(図7(a))。なお、図7(a)に示すカード用原版10の各符号は図1(h)で説明したものと同様である。また、後述する図7(c)においては、カード用原版10の各部位の符号の表記は省略する。
次に、転写工程として、カード基材21とシート基材22aとを積層し(図7(b))、加熱をしながらシート基材22aにカード用原版10の転写面を押し当てて転写する(図7(c))。これにより、レンチキュラーレンズ23と、一部にレリーフ部25を有するシート平坦部24とを有するレンチキュラーレンズシート22が形成される(図7(d))。レンチキュラーレンズ23は、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ26と、隣り合う半円柱形レンズ26の間に形成されるレンズ間溝部27から構成されるものである。
次に印字工程として、カード基材21に対して半円柱形レンズ26を介してレーザー光Z1およびZ2を照射し、カード基材21に含有される発色材料を炭化させ、文字や数字等の異なる画像部28(画像部28aおよび28bを構成要素として含む。)を形成する(図7(e))。画像部28aおよび28bと半円柱形レンズ26とは、平面視上重なる位置関係を有する。
これにより、所望のセキュリティカード20を製造することができる(図7(f))。
図8は本発明により得られるセキュリティカードの一例を示す概略平面図であり、図9は図8のX−X線断面図である。なお、図8および図9中の符号については、図7と同一の部材を示すため、ここでの説明は省略する。また、図8のY方向は、カードの読み取り方向を示す。
本発明により得られるセキュリティカード20では、画像部28aおよび画像部28bには異なる情報が印字されており、観察角度に応じてレンチキュラーレンズ23を介して別々の像を出現させることができる。
本発明により得られるセキュリティカード20では、画像部28aおよび画像部28bには異なる情報が印字されており、観察角度に応じてレンチキュラーレンズ23を介して別々の像を出現させることができる。
本発明によれば、使用するカード用原版は、平面部に2回以上のフォトリソグラフィ処理を行い形成されたレリーフ形成部を有しており、その形状は精巧で複雑なものである。このため、転写工程においてレリーフ形成部が転写されることにより、カード表面にレリーフ部を形成することができ、上記レリーフ部はインク等を用いて文字、記号、図型等の模様を描画するよりも精巧で複雑な模様として表示されるため、得られるセキュリティカードのセキュリティ性を高めることができる。
また、上記カード用原版は、金属基板をエッチングすることにより高い寸法精度および配置精度で形成されたレンチキュラーレンズ形成部を有するものである。転写工程においてこのレンチキュラーレンズ形成部が転写されることにより、画像部の印字に適し、上記画像部を明瞭に表示が可能な形状を有するレンチキュラーレンズをカード表面に形成することができる。
このため、印字工程において、カード基材上の半円柱形レンズと平面視上に重なる位置に正確に画像部を形成することができる。また、得られるカードは、レンチキュラーレンズを介して上記画像部を観察する際に、観察角度に応じて異なる画像部の情報を明瞭に表示することができるため、視認性の高いものとすることができる。
このため、印字工程において、カード基材上の半円柱形レンズと平面視上に重なる位置に正確に画像部を形成することができる。また、得られるカードは、レンチキュラーレンズを介して上記画像部を観察する際に、観察角度に応じて異なる画像部の情報を明瞭に表示することができるため、視認性の高いものとすることができる。
さらに、本発明によれば、上述のカード用原版を用いることにより、レンチキュラーレンズと、一部にレリーフ部が形成されたシート平坦部とを有するセキュリティカードを、均一なカード厚さで一括製造することができる。このとき、カード用原版において、レリーフ形成部を除く平面部は高い平滑性を有するものであるため、レリーフ部を除くシート平坦部についても表面を平坦性の高いものとすることができる。
通常、ICカードや各種証明カード等のセキュリティカードにおいては、その形状、大きさ等がISO7816等の規格で規定され、高い精度が求められることから、本発明により、規格等に対応可能な高い寸法精度を有し、視認性およびセキュリティ性の高いセキュリティカードを簡単に製造することができる。
通常、ICカードや各種証明カード等のセキュリティカードにおいては、その形状、大きさ等がISO7816等の規格で規定され、高い精度が求められることから、本発明により、規格等に対応可能な高い寸法精度を有し、視認性およびセキュリティ性の高いセキュリティカードを簡単に製造することができる。
本発明のセキュリティカードの製造方法は、転写工程および印字工程を少なくとも有するものである。
以下、本発明のセキュリティカードの製造方法について説明する。
以下、本発明のセキュリティカードの製造方法について説明する。
1.転写工程
本発明における転写工程は、カード基材の一方の表面にシート基材を積層し、上記シート基材の表面にカード用原版の転写面を転写して、一部にレリーフ部を有するシート平坦部と、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する上記半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有するレンチキュラーレンズと、を有するレンチキュラーレンズシートを形成する工程である。
本発明における転写工程は、カード基材の一方の表面にシート基材を積層し、上記シート基材の表面にカード用原版の転写面を転写して、一部にレリーフ部を有するシート平坦部と、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する上記半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有するレンチキュラーレンズと、を有するレンチキュラーレンズシートを形成する工程である。
ここで、「カード用原版の転写面」とは、カード用原版の表面のうち、一部にレリーフ形成部が形成された平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有する面をいう。
本工程により、シート基材の表面には、カード用原版の半円柱形レンズ転写部および隔壁部が転写されて、半円柱形レンズおよびレンズ間溝部が形成される。また、上記カード用原版のレリーフ形成部を含む平面部が転写されて、一部にレリーフ部を有するシート平坦部が形成される。
本工程により、シート基材の表面には、カード用原版の半円柱形レンズ転写部および隔壁部が転写されて、半円柱形レンズおよびレンズ間溝部が形成される。また、上記カード用原版のレリーフ形成部を含む平面部が転写されて、一部にレリーフ部を有するシート平坦部が形成される。
本発明において、「一部にレリーフ部を有するシート平坦部」とは、シート平坦部の一部にレリーフ部が形成されるものであり、シート平坦部の面積100%に対してレリーフ部の面積が、「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した平面部の面積に対するレリーフ形成部の面積比率を占めることをいう。
(1)カード用転写原版
本工程において用いられるカード用原版については、上述した「A.カード用原版の製造方法」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程において用いられるカード用原版については、上述した「A.カード用原版の製造方法」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)シート基材
本工程において用いられるシート基材の材料としては、カード用原版の転写面に追従可能な柔軟性を有するものが好ましく、加熱により軟化する材料、すなわち熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、透明性を有することが好ましい。
このような材料としては、例えばポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースエステル、フッ化ポリマー、ポリアセタール、ポリオレフィン、アラミド、フッ素樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PLA(ポリ乳酸)等を用いることができ、中でもポリカーボネートを用いることが好ましい。
本工程において用いられるシート基材の材料としては、カード用原版の転写面に追従可能な柔軟性を有するものが好ましく、加熱により軟化する材料、すなわち熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、透明性を有することが好ましい。
このような材料としては、例えばポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースエステル、フッ化ポリマー、ポリアセタール、ポリオレフィン、アラミド、フッ素樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PLA(ポリ乳酸)等を用いることができ、中でもポリカーボネートを用いることが好ましい。
シート基材の厚さとしては、目的とするレンチキュラーレンズシートの厚さをその範囲に含む50μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも30μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
シート基材の厚さが上記範囲よりも大きいと、印字工程においてレーザー光がカード基材の所望の位置に届かず、画像部が形成されない場合がある。また、得られるカードが規格等により規定されるカード厚さを超える場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、シート基材上にカード用原版の転写面が精度よく転写されない場合や、カードの強度が得られない場合がある。
シート基材の大きさについては、目的とするセキュリティカードの大きさにより適宜設定することができる。
シート基材の厚さが上記範囲よりも大きいと、印字工程においてレーザー光がカード基材の所望の位置に届かず、画像部が形成されない場合がある。また、得られるカードが規格等により規定されるカード厚さを超える場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、シート基材上にカード用原版の転写面が精度よく転写されない場合や、カードの強度が得られない場合がある。
シート基材の大きさについては、目的とするセキュリティカードの大きさにより適宜設定することができる。
(3)カード基材
本工程において用いられるカード基材の材料としては、一般的なセキュリティカード用のカード基材に用いられる樹脂材料を挙げることができる。上記樹脂材料は透明性を有するものであってもよく、有しないものであってもよい。
樹脂材料としては、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、アラミド、ポリイミド、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PLA(ポリ乳酸)等を用いることができる。中でも、ポリカーボネートが好ましい。
本工程において用いられるカード基材の材料としては、一般的なセキュリティカード用のカード基材に用いられる樹脂材料を挙げることができる。上記樹脂材料は透明性を有するものであってもよく、有しないものであってもよい。
樹脂材料としては、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、アラミド、ポリイミド、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PLA(ポリ乳酸)等を用いることができる。中でも、ポリカーボネートが好ましい。
また、カード基材は画像部を形成するための発色材料を含むものである。発色材料としては、レーザー光を吸収する材料であればよく、例えばカーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、雲母等を用いることができ、中でもカーボンブラックが好ましい。
カード基材の厚さは、50μm〜800μmの範囲内であることが好ましく、中でも300μm〜700μmの範囲内であることが好ましい。カード基材の厚さが上記範囲よりも大きいと、規格等により規定されるカード厚さを超えてしまう場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、カードの強度が得られない場合がある。
カード基材の大きさとしては、所望のセキュリティカードの大きさに応じて適宜設定することができ、少なくともシート基材と同等またはそれ以上の大きさであることが好ましい。
(4)転写工程
本工程における転写方法としては、シート基材にカード用原版の転写面を転写できる方法であればよく、例えば熱転写法を用いて、加熱したシート基材の一方の表面に上述したカード用原版の転写面を押し当てることにより、シート基材が軟化して上記転写面に追従させることができる。
加圧条件としては、カード用原版表面のパターンを十分に転写可能な圧力であれば特に限定されるものではなく、シート基材の厚さ等に応じて適宜設定することができる。
加熱条件としては、カード用原版表面のパターンを転写可能な程度にシート基材を十分に軟化させることができる温度であれば特に限定されるものではなく、カード基材の材料により適宜設定されるものであるが、例えば200℃程度が好ましい。
加熱時間としては、加圧条件および加熱条件によって適宜設定されるものであり、例えば20分程度であることが好ましい。
本工程における転写方法としては、シート基材にカード用原版の転写面を転写できる方法であればよく、例えば熱転写法を用いて、加熱したシート基材の一方の表面に上述したカード用原版の転写面を押し当てることにより、シート基材が軟化して上記転写面に追従させることができる。
加圧条件としては、カード用原版表面のパターンを十分に転写可能な圧力であれば特に限定されるものではなく、シート基材の厚さ等に応じて適宜設定することができる。
加熱条件としては、カード用原版表面のパターンを転写可能な程度にシート基材を十分に軟化させることができる温度であれば特に限定されるものではなく、カード基材の材料により適宜設定されるものであるが、例えば200℃程度が好ましい。
加熱時間としては、加圧条件および加熱条件によって適宜設定されるものであり、例えば20分程度であることが好ましい。
また、本工程では、転写後にシート基材を硬化させるための冷却処理を行うものである。冷却方法としては、カード用原版を押し当てた状態で全体を冷却する方法が好ましく、例えば、熱転写を行った環境下で放冷する方法、冷風を当て冷却する方法等がある。
冷却時間としては特に限定されるものではないが、短時間で急冷するとシート基材とカード用原版との熱収縮率の差から、得られるレンチキュラーレンズシートが所望の形状とならない場合や、表面の平滑性が損なわれる場合がある。
冷却時間としては特に限定されるものではないが、短時間で急冷するとシート基材とカード用原版との熱収縮率の差から、得られるレンチキュラーレンズシートが所望の形状とならない場合や、表面の平滑性が損なわれる場合がある。
カード用原版が平面部に文字図柄転写部を有する場合、本工程において、シート平坦部上に文字図柄転写部が転写されて、文字図柄部が形成されることが好ましい。
文字図柄部については、後述するためここでの説明は省略する。
文字図柄部については、後述するためここでの説明は省略する。
(5)レンチキュラーレンズシート
本工程により、一部にレリーフ部を有するシート平坦部およびレンチキュラーレンズを有するレンチキュラーレンズシートが形成される。レンチキュラーレンズシートの厚さは、上述したシート基材の厚さと同様である。
本工程により、一部にレリーフ部を有するシート平坦部およびレンチキュラーレンズを有するレンチキュラーレンズシートが形成される。レンチキュラーレンズシートの厚さは、上述したシート基材の厚さと同様である。
(a)レンチキュラーレンズ
本工程において形成されるレンチキュラーレンズは、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する上記半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有する。
本工程において形成されるレンチキュラーレンズは、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する上記半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有する。
(i)半円柱形レンズ
上記半円柱形レンズは、カード用原版の半円柱形レンズ転写部の反転形状と同等の形状を有する。すなわち、半円柱形レンズの幅、レンズ厚、曲率半径、およびピッチ幅は、半円柱形レンズ転写部の幅、深さ、曲率半径、およびピッチ幅に相当する。各寸法についての詳細は、「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの記載は省略する。
なお、半円柱形レンズのレンズ幅とは、半円柱形レンズの短手方向における側面間の長さ(図9中のX4)をいう。
レンズ厚とは、半円柱形レンズの最頂点からレンズ間溝部の最下点までの長さをいい、図9においてT4で示される部分をいう。
半円柱形レンズの曲率半径とは、図9においてR3で示される部分をいう。
ピッチ幅とは、隣接する半円柱形レンズの中心間距離(図9中のX5)をいう。
上記半円柱形レンズは、カード用原版の半円柱形レンズ転写部の反転形状と同等の形状を有する。すなわち、半円柱形レンズの幅、レンズ厚、曲率半径、およびピッチ幅は、半円柱形レンズ転写部の幅、深さ、曲率半径、およびピッチ幅に相当する。各寸法についての詳細は、「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの記載は省略する。
なお、半円柱形レンズのレンズ幅とは、半円柱形レンズの短手方向における側面間の長さ(図9中のX4)をいう。
レンズ厚とは、半円柱形レンズの最頂点からレンズ間溝部の最下点までの長さをいい、図9においてT4で示される部分をいう。
半円柱形レンズの曲率半径とは、図9においてR3で示される部分をいう。
ピッチ幅とは、隣接する半円柱形レンズの中心間距離(図9中のX5)をいう。
(ii)レンズ間溝部
上記レンズ間溝部は、カード用原版の隔壁部の反転形状と同等の形状を有する。
上記レンズ間溝部は、カード用原版の隔壁部の反転形状と同等の形状を有する。
レンズ間溝部は底幅が所望の範囲内となるように形成されることが好ましい。レンチキュラーレンズを介して画像部を視認する際に、表示画像上に線状ノイズ等が出現することを抑制し、画像表示が阻害されるのを防ぐことができるからである。
ここで、「画像部上に線状ノイズ等が出現」するとは、図10(a)で示すように、レンチキュラーレンズ23を介して画像部28を観察する際に、図10(d)に示すように、レンチキュラーレンズの長手方向に従って線状に画像の薄い部分や、所望の角度において表示すべき画像の他に上記画像の情報以外の画像が、複数本の線状ノイズLとして同時に表示されることをいう。
上述のような現象が起こる要因としては、レンズ間溝部の底幅の大きさによるものと考えられる。所望の角度からセキュリティカードを視認する際、カード基材の有する画像部はレンチキュラーレンズを介して視認される。しかし、レンズ間溝部の底幅が大きい場合、レンズ間溝部の表面の屈折率と上記レンズ間溝部の底幅との関係から、レンズ間溝部を介して上記画像部が形成されていない領域や、レンチキュラーレンズを介して視認させようとしている画像部以外の画像部領域(これらを非画像部領域とする場合がある。)も視認することとなり、観察者は、レンチキュラーレンズを介して目視される画像部の像と、レンズ間溝部を介して目視される非画像部領域とを同時に視認することになる。
このとき、上記非画像部領域は上述のように表示される画像部上に線状ノイズ等として出現するため、視認される画像の形状等が損なわれ、画像全体として不鮮明なものとして認識されると推量される。
そこで、レンズ間溝部の底部の幅を小さいものとすることにより、レンズ間溝部の底部の幅に起因して、視認画像上に線状ノイズ等が出現することを抑制することができる。
このとき、上記非画像部領域は上述のように表示される画像部上に線状ノイズ等として出現するため、視認される画像の形状等が損なわれ、画像全体として不鮮明なものとして認識されると推量される。
そこで、レンズ間溝部の底部の幅を小さいものとすることにより、レンズ間溝部の底部の幅に起因して、視認画像上に線状ノイズ等が出現することを抑制することができる。
レンズ間溝部の底幅としては、上述した「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した隔壁部の頂部の幅と同様であるため、ここでの説明は省略する
なお、レンズ間溝部の底幅とは、図9においてX6で示される部分である。
なお、レンズ間溝部の底幅とは、図9においてX6で示される部分である。
また、レンズ間溝部は、その底部が曲率を有することが好ましい。レンチキュラーレンズを介して画像部を視認する際に、視認画像上に出現する線状ノイズ等をより目立たなくすることができ、視認性の阻害を抑制できるからである。
レンズ間溝部の底部の曲率半径としては、上述した「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した隔壁部の頂部の曲率半径と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、レンズ間溝部の底部の曲率半径とは、図9においてR4で示される部分である。
レンズ間溝部の底部の曲率半径としては、上述した「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した隔壁部の頂部の曲率半径と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、レンズ間溝部の底部の曲率半径とは、図9においてR4で示される部分である。
レンズ間溝部の深さとしては、上述した半円柱レンズのレンズ厚と同じである。また、レンズ間溝部のその他の特徴については、「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した隔壁部の特徴と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(iii)レンチキュラーレンズ
レンチキュラーレンズの高さおよび曲率半径は、上述した半円柱形レンズのレンズ厚および曲率半径に相当するため、ここでの説明は省略する。
また、レンチキュラーレンズの単位あたりの半円柱形レンズの本数は、上述のカード用原版における直線状凹曲面部の本数により決まる。
レンチキュラーレンズの大きさは、上述のカード用原版のレンチキュラーレンズ形成部と同様の大きさとなる。
レンチキュラーレンズの高さおよび曲率半径は、上述した半円柱形レンズのレンズ厚および曲率半径に相当するため、ここでの説明は省略する。
また、レンチキュラーレンズの単位あたりの半円柱形レンズの本数は、上述のカード用原版における直線状凹曲面部の本数により決まる。
レンチキュラーレンズの大きさは、上述のカード用原版のレンチキュラーレンズ形成部と同様の大きさとなる。
(b)シート平坦部
上記シート平坦部は、表面の一部に少なくともレリーフ部を有する。
上記シート平坦部は、表面の一部に少なくともレリーフ部を有する。
(i)レリーフ部
レリーフ部は、上述した「A.カード用原版の製造方法」の項で説明したレリーフ形成部の反転形状と同等の形状を有するため、ここでの説明は省略する。なお、レリーフ部の幅とは、上記レリーフ部の最も外側に位置する側面間の距離をいい、図9においてX7で示す部分である。また、レリーフ部の高さとは、上記レリーフ部の最頂点からシート平坦部までの長さをいい、図9においてT5で示す部分である。
レリーフ部は、上述した「A.カード用原版の製造方法」の項で説明したレリーフ形成部の反転形状と同等の形状を有するため、ここでの説明は省略する。なお、レリーフ部の幅とは、上記レリーフ部の最も外側に位置する側面間の距離をいい、図9においてX7で示す部分である。また、レリーフ部の高さとは、上記レリーフ部の最頂点からシート平坦部までの長さをいい、図9においてT5で示す部分である。
レリーフ部はカード表面において特徴的な絵柄として機能する。具体的な絵柄の形状については、「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、個々のレリーフ部がそれぞれ上記絵柄を成してもよく、複数のレリーフ部の集合により上記絵柄を成すものであってもよい。
1つの、または複数のレリーフ部の集合から成るレリーフ部の平面視上の大きさ(面積)としては、1000μm×1000μm〜10000μm×10000μmの範囲内であることが好ましく、中でも3000μm×3000μm〜7500μm×7500μmの範囲内であることが好ましい。なお、シート平坦部上のレリーフ部の個数については1つ以上あればよく、適宜設定することができる。
1つの、または複数のレリーフ部の集合から成るレリーフ部の平面視上の大きさ(面積)としては、1000μm×1000μm〜10000μm×10000μmの範囲内であることが好ましく、中でも3000μm×3000μm〜7500μm×7500μmの範囲内であることが好ましい。なお、シート平坦部上のレリーフ部の個数については1つ以上あればよく、適宜設定することができる。
(ii)シート平坦部
シート平坦部は、図8および図9で示すように、文字図柄部29を有していてもよい。印字工程において形成される画像部の情報とは異なる情報を表示することができ、カードのセキュリティ性、意匠性を向上させることが可能となるからである。
文字図柄部の詳細については、上述した「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した文字図柄転写部と同様であるため、ここでの説明は省略する。
シート平坦部は、図8および図9で示すように、文字図柄部29を有していてもよい。印字工程において形成される画像部の情報とは異なる情報を表示することができ、カードのセキュリティ性、意匠性を向上させることが可能となるからである。
文字図柄部の詳細については、上述した「A.カード用原版の製造方法」の項で説明した文字図柄転写部と同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.印字工程
本発明における印字工程は、半円柱形レンズを介して、カード基材に異なる2方向からレーザー光を照射して、半円柱形レンズと平面視上に重なるようにカード基材に画像部を形成する工程である。
本発明における印字工程は、半円柱形レンズを介して、カード基材に異なる2方向からレーザー光を照射して、半円柱形レンズと平面視上に重なるようにカード基材に画像部を形成する工程である。
本工程において使用されるレーザー光としては、上述したカード基材に含まれる発色材料により吸収されるものであればよく、例えばガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等の波長700nm〜1300nmの赤外線を発する光源を挙げることができる。
なお、レーザー光の照射角度、照射時間等の条件については、所望の画像部を形成可能な条件であれば特に限定されるものではない。
なお、レーザー光の照射角度、照射時間等の条件については、所望の画像部を形成可能な条件であれば特に限定されるものではない。
本工程において画像部が形成される位置としては、半円柱形レンズと平面視上に重なる場所であれば特に限定されるものではなく、カード基材表面のシート基材と接する面上であってもよく、上記面の対向面上であってもよく、カード基材の内部であってもよい。
1つの半円柱形レンズの下に位置する画像部は、通常2種類の異なる画像情報で構成されるが、2種類以上有していてもよい。また、画像部の大きさとしては、画像部の構成要素が半円柱形レンズの覆われた領域を超えない大きさであり、且つ画像部全体がレンチキュラーレンズに覆われた領域を超えない大きさであることが好ましい。
1つの半円柱形レンズの下に位置する画像部は、通常2種類の異なる画像情報で構成されるが、2種類以上有していてもよい。また、画像部の大きさとしては、画像部の構成要素が半円柱形レンズの覆われた領域を超えない大きさであり、且つ画像部全体がレンチキュラーレンズに覆われた領域を超えない大きさであることが好ましい。
3.その他の工程
本発明は、転写工程および印字工程の他に、必要に応じて任意の工程を有しても良い。
本発明は、転写工程および印字工程の他に、必要に応じて任意の工程を有しても良い。
4.セキュリティカード
本発明により得られるセキュリティカードは、画像部を有するカード基材と、上記カード基材の一方の表面に配置されるレンチキュラーレンズシートとを有するものであり、上記レンチキュラーレンズシートは、一部にレリーフ部を有するシート平坦部と、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有するレンチキュラーレンズと、を有するものである。
また、半円柱形レンズと画像部とが平面視上に重なるように配置されており、レンチキュラーレンズを介して画像部を観察する際に、観察角度によって視認される画像が異なるものである。
本発明により得られるセキュリティカードは、画像部を有するカード基材と、上記カード基材の一方の表面に配置されるレンチキュラーレンズシートとを有するものであり、上記レンチキュラーレンズシートは、一部にレリーフ部を有するシート平坦部と、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有するレンチキュラーレンズと、を有するものである。
また、半円柱形レンズと画像部とが平面視上に重なるように配置されており、レンチキュラーレンズを介して画像部を観察する際に、観察角度によって視認される画像が異なるものである。
ここで、「観察角度によって視認される画像が異なる」とは、図10(a)に示すように、一方の観察角度E1においてはレンチキュラーレンズ23を介して画像部28aの情報(図10(b))のみを視認することができ、別の観察角度E2においてはレンチキュラーレンズ23を介して画像部28bの情報(図10(c))のみを視認することができることをいう。なお、図10で示す符号については、図9と同様のものとする。
上記セキュリティカードにおいて、半円柱形レンズの長手方向はセキュリティカードの長手方向、すなわちカードリーダーの読み取り方向と同じであることが好ましい。カードをカードリーダーに通す際に、レンチキュラーレンズが障害となって通すことができず、磁気情報が読み取れない場合があるからである。
上記セキュリティカードにおいて、レンチキュラーレンズの占める割合としては、セキュリティカードの大きさ、画像部の大きさ等によって適宜設定されるものであるが、セキュリティカードの全体面積を100%としたときに1%〜30%程度の割合であることが好ましい。
また、上記セキュリティカードは、カード基材およびレンチキュラーレンズシートの他に、必要に応じて磁気シート、染料インク印刷層、顔料インク印刷層、ICチップ、透明カバー層等を有していてもよい。
本発明により得られるセキュリティカードの用途としては、視認性および偽造防止性が求められる分野に用いることが可能であり、例えば、クレジットカード等の個人情報管理カード、ICカード、各種証明カード、政府文書等の機密性を要する情報媒体に用いることが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1〜10]
(第1フォトリソグラフィ処理およびレンズ形成部形成工程)
金属基板として、所望の厚さを有し、300mm角サイズの圧延材料であるSUS304材を準備した。上記金属基板の一方の表面を、アルカリ脱脂(NaOH水溶液5%、60℃)、硫酸電解(硫酸水溶液5%、常温、電流密度dk=3)、塩酸ディップ(塩酸水溶液10%、常温)により整面処理を行った。
次に、整面処理を行った金属基板の表面に、ドライフィルムレジストを使用してラミネーターにてラミネートを行い、15μm〜25μm程度の厚さを有するフォトレジスト層(第1レジスト層兼レンズ形成部用レジスト層)を形成した。
次に、平行光露光機を使い、マスクを介して紫外線照射によるパターン露光を行った後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液で現像を行い、フォトレジスト層をパターン形成した。
フォトレジスト層のパターンについては、上述した金属基板のサイズ内でレンチキュラーレンズを形成するために、カード1枚当たりに、85mm×50mm程度の外形を有するデザインを具備し、且つ、そのカード内に縦および横のサイズが各々20mm程度となる矩形のレンチキュラーレンズ形成部を、得られるセキュリティカードにおいてレンチキュラーレンズを左下部に配置できるように、上記フォトレジスト層の当該位置にレンズ形成部用開口部を具備した。また、同心円形状のレリーフ形成部を形成するために、レンチキュラーレンズ形成部の形成位置と異なる領域に第1開口部を縦横に複数配置して約10mm×10mmのサイズとした。各実施例における金属基板の厚さ、ならびに第1開口部の直径およびピッチについては、以下の表1に示すものとした。
(第1フォトリソグラフィ処理およびレンズ形成部形成工程)
金属基板として、所望の厚さを有し、300mm角サイズの圧延材料であるSUS304材を準備した。上記金属基板の一方の表面を、アルカリ脱脂(NaOH水溶液5%、60℃)、硫酸電解(硫酸水溶液5%、常温、電流密度dk=3)、塩酸ディップ(塩酸水溶液10%、常温)により整面処理を行った。
次に、整面処理を行った金属基板の表面に、ドライフィルムレジストを使用してラミネーターにてラミネートを行い、15μm〜25μm程度の厚さを有するフォトレジスト層(第1レジスト層兼レンズ形成部用レジスト層)を形成した。
次に、平行光露光機を使い、マスクを介して紫外線照射によるパターン露光を行った後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液で現像を行い、フォトレジスト層をパターン形成した。
フォトレジスト層のパターンについては、上述した金属基板のサイズ内でレンチキュラーレンズを形成するために、カード1枚当たりに、85mm×50mm程度の外形を有するデザインを具備し、且つ、そのカード内に縦および横のサイズが各々20mm程度となる矩形のレンチキュラーレンズ形成部を、得られるセキュリティカードにおいてレンチキュラーレンズを左下部に配置できるように、上記フォトレジスト層の当該位置にレンズ形成部用開口部を具備した。また、同心円形状のレリーフ形成部を形成するために、レンチキュラーレンズ形成部の形成位置と異なる領域に第1開口部を縦横に複数配置して約10mm×10mmのサイズとした。各実施例における金属基板の厚さ、ならびに第1開口部の直径およびピッチについては、以下の表1に示すものとした。
当該パターン形成されたフォトレジスト層を介して、塩化第二鉄液による金属基板の表面のエッチングを行い、半円柱形レンズ転写部および隔壁部を有するレンチキュラーレンズ形成部、ならびに複数の第1凹部を一部に有する平面部の形状を、各金属基板の一方の表面上に得た。
(第2フォトリソグラフィ処理)
上述の金属基板の凹凸形状面に対して、アルカリ脱脂(NaOH水溶液5%、60℃)、硫酸電解(硫酸水溶液5%、常温、電流密度dk=3)、塩酸ディップ(塩酸水溶液10%、常温)により整面処理を行った。
次に、整面処理を行った表面にドライフィルムレジストを使用し、金属基板表面の凹凸形状に密着させるために真空ラミネーターにてラミネートを行い、15μm〜25μm程度の厚さを有するフォトレジスト層(第2レジスト層)を形成した。
次に、平行光露光機を使い、マスクを介して紫外線照射による露光を行った後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液で現像を行い、図1(g)に示すように、第1フォトリソグラフィ処理によって形成された各第1凹部内に、第2開口部が同心円形状のパターンとなるように第2レジスト層をパターン形成した。なお、各実施例における第2開口部の直径については、以下の表1に示すものとした。また、第2開口部のピッチは第1開口部のピッチと同様であった。
当該パターン形成された第2レジスト層を介して、塩化第二鉄液による金属基板の表面のエッチングを行い、第1凹部内に第2凹部を有する複数個のレリーフ形成部の集合(大きさ10mm×10mm)を備えたカード用原版を得た。
上述の金属基板の凹凸形状面に対して、アルカリ脱脂(NaOH水溶液5%、60℃)、硫酸電解(硫酸水溶液5%、常温、電流密度dk=3)、塩酸ディップ(塩酸水溶液10%、常温)により整面処理を行った。
次に、整面処理を行った表面にドライフィルムレジストを使用し、金属基板表面の凹凸形状に密着させるために真空ラミネーターにてラミネートを行い、15μm〜25μm程度の厚さを有するフォトレジスト層(第2レジスト層)を形成した。
次に、平行光露光機を使い、マスクを介して紫外線照射による露光を行った後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液で現像を行い、図1(g)に示すように、第1フォトリソグラフィ処理によって形成された各第1凹部内に、第2開口部が同心円形状のパターンとなるように第2レジスト層をパターン形成した。なお、各実施例における第2開口部の直径については、以下の表1に示すものとした。また、第2開口部のピッチは第1開口部のピッチと同様であった。
当該パターン形成された第2レジスト層を介して、塩化第二鉄液による金属基板の表面のエッチングを行い、第1凹部内に第2凹部を有する複数個のレリーフ形成部の集合(大きさ10mm×10mm)を備えたカード用原版を得た。
(検証)
各フォトリソグラフィ処理におけるマスクによる設計については、レジスト層の解像度およびエッチング条件等に依存するため、マスクのパターンのみでエッチング後の形状は決まらない。このため、各フォトリソグラフィ処理後の最終的に得られた形状で、マスクのパターン形状およびエッチング条件の検証を行った。
各実施例における第1凹部の直径、第2凹部の直径および深さについて、以下の表1に示す。
各フォトリソグラフィ処理におけるマスクによる設計については、レジスト層の解像度およびエッチング条件等に依存するため、マスクのパターンのみでエッチング後の形状は決まらない。このため、各フォトリソグラフィ処理後の最終的に得られた形状で、マスクのパターン形状およびエッチング条件の検証を行った。
各実施例における第1凹部の直径、第2凹部の直径および深さについて、以下の表1に示す。
いずれの実施例においても、第1フォトリソグラフィ処理により得られた第1凹部の形状と、第2フォトリソグラフィ処理により得られた第2凹部の形状とから、凹凸形状を有するレリーフ形成部が得られた。実施例において同心円形状の関係にある第1凹部の周縁と第2凹部の周縁とは、その間隔を十分に有するものであったが、中でも第2凹部の深さを45μm以上とした実施例3〜実施例10については、第1凹部と第2凹部との段差がより明瞭となることで、視認性の高いレリーフ形成部が形成された。
1 … 金属基板
2 … 平面部
3 … レンチキュラーレンズ形成部
4 … 半円柱形レンズ転写部
5 … 隔壁部
6 … レリーフ形成部
10 … セキュリティカード用転写原版(カード用原版)
20 … セキュリティカード
21 … カード基材
22 … レンチキュラーレンズシート
23 … レンチキュラーレンズ
24 … シート平坦部
25 … レリーフ部
26 … 半円柱形レンズ
27 … レンズ間溝部
28、28a、28b … 画像部
2 … 平面部
3 … レンチキュラーレンズ形成部
4 … 半円柱形レンズ転写部
5 … 隔壁部
6 … レリーフ形成部
10 … セキュリティカード用転写原版(カード用原版)
20 … セキュリティカード
21 … カード基材
22 … レンチキュラーレンズシート
23 … レンチキュラーレンズ
24 … シート平坦部
25 … レリーフ部
26 … 半円柱形レンズ
27 … レンズ間溝部
28、28a、28b … 画像部
Claims (5)
- 金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、
前記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、
前記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う前記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するセキュリティカード用転写原版の製造方法であって、
前記金属基板の一方の表面上に、エッチングにより前記レンチキュラーレンズ形成部を形成するレンズ形成部形成工程と、
前記金属基板の前記平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより、前記レリーフ形成部を形成するレリーフ形成部形成工程と、
を有することを特徴とするセキュリティカード用転写原版の製造方法。 - 前記レリーフ形成部形成工程において、前記フォトリソグラフィ処理の実施順に従い、前記金属基板上にパターン形成されるレジスト層の開口部が小さくなることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティカード用転写原版の製造方法。
- 前記レンズ形成部形成工程が、前記レリーフ形成部形成工程におけるいずれか1回の前記フォトリソグラフィ処理と同時に行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセキュリティカード用転写原版の製造方法。
- 少なくとも前記レリーフ形成部形成工程の後に研磨工程を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のセキュリティカード用転写原版の製造方法。
- カード基材の一方の表面にシート基材を積層し、前記シート基材の表面にセキュリティカード用転写原版の転写面を転写して、
一部にレリーフ部を有するシート平坦部と、
ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する前記半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有するレンチキュラーレンズと、
を有するレンチキュラーレンズシートを形成する転写工程と、
前記半円柱形レンズを介して、前記カード基材に異なる2方向からレーザー光を照射して、前記半円柱形レンズと平面視上に重なるように前記カード基材に画像部を形成する印字工程と、を有するセキュリティカードの製造方法であって、
前記セキュリティカード用転写原版が、金属基板の一方の表面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、
前記平面部の一部にレリーフ形成部が形成されており、
前記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う前記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するものであって、
前記レンチキュラーレンズ形成部が、前記金属基板の一方の表面をエッチングすることにより形成されたものであり、
前記レリーフ形成部が、前記金属基板の前記平面部において、同一箇所に少なくとも2回以上のフォトリソグラフィ処理を行うことにより形成されたものであることを特徴とするセキュリティカードの製造方法。
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JP2013212895A JP2015074190A (ja) | 2013-10-10 | 2013-10-10 | セキュリティカード用転写原版の製造方法およびセキュリティカードの製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104875523A (zh) * | 2015-05-22 | 2015-09-02 | 中钞特种防伪科技有限公司 | 光学防伪元件和产品及制备光学防伪元件的方法和设备 |
CN107771129A (zh) * | 2015-06-15 | 2018-03-06 | 蒂萨斯克里博斯有限责任公司 | 具有倾斜效果的安全标签 |
JP2019510250A (ja) * | 2015-12-18 | 2019-04-11 | ビジュアル フィジクス エルエルシー | 単層画像投影システム |
-
2013
- 2013-10-10 JP JP2013212895A patent/JP2015074190A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104875523A (zh) * | 2015-05-22 | 2015-09-02 | 中钞特种防伪科技有限公司 | 光学防伪元件和产品及制备光学防伪元件的方法和设备 |
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