JP2015099318A - セキュリティカード用転写原版およびセキュリティカード - Google Patents

セキュリティカード用転写原版およびセキュリティカード Download PDF

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【課題】本発明は、視認性およびデザイン性の高いセキュリティカードを安価で簡単に精度良く製造可能な、セキュリティカード用転写原版、およびセキュリティカードの提供を主目的とする。【解決手段】金属基板の一方の面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数本の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有し、上記平面部の少なくとも一部に複数個のドット形成部が集合して成る絵柄形成部を有することを特徴とするセキュリティカード用転写原版を提供することにより、上記目的を達成する。【選択図】図1

Description

本発明は、視認性およびデザイン性の高いセキュリティカードを安価で簡単に精度良く製造することが可能な、セキュリティカード用転写原版、およびセキュリティカードに関する。
身分証明証や各種会員証、クレジットカード等のセキュリティカード(以下、カードと略する場合がある。)において、カードの所有者とカード使用者との同一性を確認する、いわゆる個人識別機能として、カード表面に所有者の個人情報や写真等の画像が表示されたものが一般的に用いられている。また、近年では、これらの画像が改ざんおよび偽造されることを防止するために、画像表面に偽造防止機能を付与したセキュリティカードが用いられている。
偽造防止機能を付与する方法としては、例えばカードの表面にレンチキュラーレンズを設ける方法がある。レンチキュラーレンズとは、断面が凸レンズ状であり側面が略半円柱の直線形状のレンズ(以下、上記レンズを半円柱形レンズと称する。)の複数本が、平行で等間隔に配置された形状を有するものであり、凸レンズ状の断面を有する方向にのみにレンズの集光機能を有するものである。セキュリティカードにおいては、表示される個人情報等の画像上にレンチキュラーレンズを設けることにより、カードの観察者に対し観察角度に応じて表示される画像を選択してレンチキュラーレンズを介して目視させることができるため、視認性の高いカードとすることができる(特許文献1〜3参照)。
特開平9−311204号公報 特開2000−298319号公報 特開2008−77711号公報
しかし、このようなセキュリティカードを多品種小ロットで製造する場合、例えばレンチキュラーレンズのみを金型ロールで別途形成した後にカード表面に貼合する方法等が用いられており、レンチキュラーレンズ付きのセキュリティカードを安価で簡単に精度よく製造できる転写原版については知られていなかった。
また、このようなセキュリティカードでは、外観上の特徴を持たせるためにレンチキュラーレンズの設けられていない領域(以下、シート平坦部と称する場合がある。)に、顔料インク、UVインク等を用いて文字、記号、図形等の模様が描画される。しかし、上記模様を描画する場合、多色のインクの使用や描画工程の回数を増やす必要があり、デザイン性の高いカードを安価に製造することが難しかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、視認性およびデザイン性の高いセキュリティカードを安価で簡単に精度良く製造可能なセキュリティカード用転写原版(以下、カード用原版と略する場合がある。)、およびセキュリティカードの提供を主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、金属基板の一方の面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数本の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有し、上記平面部の少なくとも一部に複数個のドット形成部が集合して成る絵柄形成部を有することを特徴とするカード用原版を提供する。
本発明によれば、平面部の少なくとも一部に複数個のドット形成部が集合して成る絵柄形成部を有するため、上記絵柄形成部がカード表面上に転写されることで、上記ドット形成部の反転形状から成り、全体が絵柄として表示される絵柄部を形成することができる。また、上記絵柄形成部と同一面上にレンチキュラーレンズ形成部を有しており、カード製造時に所望の位置にレンチキュラーレンズを精度よく形成することができる。これにより、上記レンチキュラーレンズを介してカードの正確な位置に画像を印字することができ、観察角度に応じて異なる画像を明瞭に出現させることができる。さらに、本発明のカード原版は、レンチキュラーレンズの凹凸形状の寸法精度、シート平坦部の平滑性、およびカード厚さの均一性等が高いセキュリティカードを一括形成することができる。
すなわち、本発明のカード用原版により、視認性およびデザイン性の高いセキュリティカードを、安価で簡単に精度良く製造することが可能となる。
上記発明においては、上記ドット形成部は、上記金属基板の上記一方の面から凹んだ凹形状であることが好ましい。本発明のカード用原版をエッチングにより形成する場合に、少ないエッチング量でドット形成部を形成でき、また、過剰なエッチングにより平面部の平滑性が損なわれることを防止できるからである。
上記発明においては、上記ドット形成部の外形幅が、30μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。本発明のカード用原版を用いてセキュリティカードを製造する際に、転写形成される絵柄部を全体像として明瞭かつ認識されやすいものとすることができるからである。
上記発明においては、一の上記ドット形成部の上記外形幅が、他の上記ドット形成部の上記外形幅と異なることが好ましい。また、上記発明においては、隣接する2つの上記ドット形成部間のピッチ幅が、互いに隣接する他の2つの上記ドット形成部間のピッチ幅と異なることが好ましい。本発明のカード用原版を用いてセキュリティカードを製造する際に、ドット形成部の外形幅、ピッチ幅の違いを利用して、グラデーションを呈する絵柄部を転写形成することができるからである。
また、本発明は、画像部を有するカード基材、および上記カード基材の一方の表面上に配置されるレンチキュラーレンズシートを有し、上記レンチキュラーレンズシートが、複数個のドット部が集合して成る絵柄部を少なくとも一部に含むシート平坦部と、レンチキュラーレンズとを有し、上記レンチキュラーレンズが、ストライプ状に配置された複数本の半円柱形レンズと、隣り合う上記半円柱形レンズの間に形成されたレンズ間溝部とを有し、上記半円柱形レンズと上記画像部とが平面視上に重なるように配置され、観察角度によって上記レンチキュラーレンズを介して視認される上記画像部が異なることを特徴とするセキュリティカードを提供する。
本発明によれば、上記絵柄部は複数個のドット部が集合して成るものであり、上記ドット部の集合パターンにより生じる色調の違い等を利用して、集合パターン全体を絵柄として表示することができる。このためインク等を用いた絵柄の描画のように、多色のインクの使用や複数回におよぶ描画工程の実施等を必要とせず、デザイン性に優れた絵柄をカード表面に有することが可能となる。また、上記レンチキュラーレンズを介して視認される画像部は、観察角度によって出現する画像情報を切り替えて表示させることができ、高い視認性を有することが可能である。すなわち、本発明のセキュリティカードは、視認性およびデザイン性の高いものとすることができる。
上記発明においては、上記ドット部は、上記シート平坦部の表面から突出した凸形状であることが好ましい。シート平坦部の平滑性が高く、且つ、絵柄部が認識されやすいカードとなるからである。
上記発明においては、上記ドット部の外形幅が、30μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。絵柄部を全体像として明瞭かつ認識されやすいものとすることができるからである。
上記発明においては、一の上記ドット部の外形幅が、他の上記ドット部の外形幅と異なることが好ましい。また、上記発明においては、隣接する2つの上記ドット部間のピッチ幅が、互いに隣接する他の2つの上記ドット部間のピッチ幅と異なることが好ましい。ドット部の外形幅、ピッチ幅の違いにより、絵柄部の表示がグラデーションを呈するものとなるからである。
上記発明においては、上記レンチキュラーレンズシートが配置される上記カード基材の表面の少なくとも一部に印刷層が形成されており、上記絵柄部と上記印刷層とが平面視上に重なるように配置されることが好ましい。絵柄部が印刷層と重なるように配置されることにより、上記印刷層の色を呈した上記絵柄部の表示や、上記絵柄部と上記印刷層とを組み合わせた複雑且つデザイン性の高い絵柄の表示が可能となるからである。
本発明によれば、視認性およびデザイン性の高いセキュリティカードを安価で簡単に精度良く製造可能なカード用原版、および当該セキュリティカードを提供することができるという効果を奏する。
本発明のセキュリティカード用転写原版の一例を示す概略平面図である。 本発明のセキュリティカード用転写原版の一例を示す概略断面図である。 レンチキュラーレンズ形成部の断面形状の一例を説明するための説明図である。 隔壁部の断面形状を説明するための説明図である。 本発明のセキュリティカード用転写原版の面付け態様の一例を示す概略平面図である。 本発明のセキュリティカードの一例を示す概略平面図である。 図6のX−X線断面図である。 本発明のセキュリティカードにおける絵柄部の表示態様の一例を説明するための説明図である。 本発明のセキュリティカードの他の例を示す概略平面図である。 本発明のセキュリティカードにおける、観察角度と視認される画像部との関係を表わす説明図である。 本発明のセキュリティカードについての製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明のカード用原版およびセキュリティカードについて、順に説明する。
A.セキュリティカード用転写原版(カード用原版)
本発明のカード用原版は、金属基板の一方の面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、上記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数本の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有し、上記平面部の少なくとも一部に複数個のドット形成部が集合して成る絵柄形成部を有することを特徴とするものである。
本発明のカード用原版の一実施形態について、図を参照して説明する。図1および図2は本発明のカード用原版の一つの実施形態を示す概略平面図および断面図である。図1のX−X線方向およびY方向が、カード用原版の短手方向および長手方向である。また、カード用原版の断面とは、短手方向(図1のX−X線方向)に切断したときの断面をいう。以下の説明においても同様とする。
図1〜2に示すように、本実施形態のカード用原版10は、金属基板1の一方の面上に平面部2とレンチキュラーレンズ形成部3とを有するものであり、平面部2の少なくとも一部に、複数個のドット形成部7が集合して成る絵柄形成部6を有する。また、レンチキュラーレンズ形成部3は、ストライプ状に配置された複数本の半円柱形レンズ転写部4と、隣り合う半円柱形レンズ転写部4の間に形成される隔壁部5とを有するものである。
本発明において、絵柄形成部が「複数個のドット形成部が集合してなる」とは、絵柄形成部によりカード表面に転写形成される絵柄部が所望の絵柄となるように、複数の同一または異なる大きさ、形状のドット形成部を、同一または異なるピッチ幅で配置し、粗密を有する所望の集合パターンを構成することをいう。
なお、ドット形成部の外形幅、ピッチ幅、個数および集合パターンについては、後で詳細に説明する。
本発明によれば、平面部の少なくとも一部に複数個のドット形成部が集合して成る絵柄形成部を有するため、上記絵柄形成部がカード表面上に転写されることで、上記ドット形成部の反転形状であるドット部が集合して成る絵柄部をカード表面に形成することができる。
上記絵柄部では、上記ドット部の集合パターンにより生じる色調の違い等を利用して、集合パターン全体を絵柄として表示することができるため、インク等を用いた絵柄の描画のように、多色のインクの使用や複数回におよぶ描画工程の実施等を必要とせずに、カードのデザイン性を向上させることができる。
また、本発明のカード用原版は、上記絵柄形成部と同一面上にレンチキュラーレンズ形成部を有しており、カード製造時に所望の位置にレンチキュラーレンズを精度よく形成することができる。これにより、レンチキュラーレンズを介してカードの正確な位置に、文字、記号、図柄等の画像を印字することが可能となり、観察角度に応じて異なる画像情報を明瞭に出現させることができる。
すなわち、本発明のカード用原版により、視認性およびデザイン性の高いセキュリティカードを簡単且つ安価で製造することが可能となる。
さらに、本発明によれば、金属基板の同一面上にレンチキュラーレンズ形成部と、絵柄形成部を一部に有する平面部とが直接形成されていることから、所望の位置にレンチキュラーレンズと絵柄部を一部に含むシート平坦部とを有するセキュリティカードを一括製造することができる。
通常、ICカードや各種証明カード等のセキュリティカードについては、その形状がISO7816等の規格で規定されており、カードの寸法形状等に高い精度が求められる。本発明によれば、レンチキュラーレンズ形成部および絵柄形成部は寸法精度および配置精度の高いものであるため、カード表面に転写形成されるこれらの反転形状についても、高精度なものとすることができる。
また、上記平面部の絵柄形成部を除く領域においては、高い平滑性を有するものであるため、転写形成されるシート平坦部についても、絵柄部を除く領域の表面の平滑性を高いものとすることができる。
さらに、本発明のカード用原版を用いてカードを製造する際に、上記カード用原版を押し当てた状態でカード全体が加熱および加圧されるため、上述したレンチキュラーレンズ等の凹凸形状が一括形成され、得られるカード全体の厚さを均一なものとすることができる。
上述のように、本発明のカード用原版により、視認性およびデザイン性の高いセキュリティカードを安価で簡単に製造できるだけでなく、得られるカードの寸法精度を高いものとすることができる。
以下、本実施形態のカード用原版について、各部位ごとに説明する。
1.金属基板
本実施形態における金属基板は、一方の面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有するものであり、上記平面部の少なくとも一部に複数個のドット形成部が集合して成る絵柄形成部を有するものである。
金属基板は、単一の金属から形成される単層構造であることが好ましい。金属基板の表面にめっき等が施された多層構造である場合、転写の際に半円柱形レンズ転写部およびドット形成部に応力が集中してかかりやすいことから、めっきが金属基板から剥離する場合があるからである。
金属基板の金属としては、特に限定されるものではないが、例えばステンレス鋼、鉄、銅、アルミニウム、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、コバルト合金、クロム合金、モリブデン合金、タングステン合金等の金属が好ましい。中でも耐久性に優れており、エッチング等の加工がしやすく安価である点からステンレス鋼が好ましい。
金属基板の厚さとしては、カード用原版の厚さをその範囲内に含む0.05mm〜10mの範囲内の大きさであることが好ましい。
金属基板の厚さを上記範囲内とすることが好ましい理由については、以下の通りである。
本実施形態のカード原版の製造方法として、例えば、金属基板にフォトリソグラフィによるパターニングを行い、その後エッチングを行う方法を用いる場合、その過程において金属基板にマスクを介して紫外線等の露光を行うことによりパターンが複製される。このとき、金属基板とマスクとを真空密着させて安定したパターンを得ることが必要である。そこで金属基板の厚さを上記範囲内とすることにより、真空密着を安定的に行うことが可能となる。一方、金属基板の厚さが上記範囲より薄いと、カード製造時にカード用原版が変形しやすく、耐久性が不足する場合がある。
なお、金属基板の大きさ(面積)としては、所望のセキュリティカードの大きさに応じて適宜設定することができる。
2.平面部
本実施形態における平面部は、複数個のドット形成部が集合して成る絵柄形成部を少なくとも一部に有するものである。
なお、上記平面部は、金属基板の一方の面においてレンチキュラーレンズ形成部を有さない領域であり、金属基板の上記一方の面が直接、上記平面部の形状に形成されてなるものである。
(1)絵柄形成部
絵柄形成部は、複数個のドット形成部が集合して成るものである。
上記絵柄形成部および上記ドット形成部は、本実施形態のカード用原版を用いてカードを製造する際に、絵柄部およびドット部を形成する部位である。
(a)ドット形成部
ドット形成部は、絵柄形成部を含む平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有する金属基板の一方の面から凹んだ凹形状であってもよく、上記一方の面から突出した凸形状であってもよいが、中でも凹形状であることが好ましい。本実施形態のカード用原版をエッチングにより形成する場合に、少ないエッチング量でドット形成部を形成でき、また、過剰なエッチングにより平面部の平滑性が損なわれることを防止できるからである。一方、ドット形成部が凸形状である場合、ドット形成部の周辺をエッチングしなければならず、平面部の絵柄形成部が形成されない領域において所望の平滑性が得られにくくなる。
なお、図1、図2におけるドット形成部は、上述した凹形状である。
ドット形成部の平面視上の形状(平面形状)としては、特に限定されず、例えば円形、長円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、その他の多角形、その他種々の形状が挙げられるが、中でも円形が好ましい。
なお、ドット形成部の平面形状とは、カード用原版を俯瞰したときのドット形成部の外形をいう。つまり、図1、2においては、ドット形成部の平面形状(図1の一点鎖線内に示す形状)は、円形である。
ドット形成部の外形幅としては、転写形成する絵柄部を全体像として明瞭かつ認識されやすいものとすることができる大きさであれば良く、目的とする絵柄部の階調等に応じて適宜設定することができる。具体的な上記外形幅としては、30μm〜1000μmの範囲内、中でも50μm〜500μmの範囲内、特に70μm〜250μmの範囲内であることが好ましい。ドット形成部の外形幅が上記範囲よりも大きいと、絵柄形成部によりカード表面上に転写形成された絵柄部が、ドット部の集合パターンから成る絵柄として視認されず、個々のドット部として視認される場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、カード表面上に転写形成された絵柄部が画像として認識されない場合がある。
また、ドット形成部の外形幅が100μm以上である場合には、絵柄形成部によりカード表面上に転写形成された絵柄部において粒状感が認識されやすく、他方、100μm未満である場合には、粒状感が認識されにくい。この差異を利用して後述するグラデーション表示をすることも可能であるため、一のドット形成部の外形幅が100μm以上であり、他のドット形成部の外形幅が100μm未満であることが好ましい。
なお、ドット形成部の外形幅とは、ドット形成部の平面形状において最も離れた2点間の直線長をいい、図2においてW1で示す部分である。
ドット形成部の外形幅は、光干渉式表面形状測定装置(例えば菱化システム社製 VertScan2.0、Veeco社製 Wyko NT9000シリーズ等)を用いて非接触法により測定された値である。詳しくは、上記測定装置の測定ステージ上に本実施形態のカード用原版の上記絵柄形成部を測定ヘッドに向けて載置し、上記絵柄形成部の表面形状データを3次元座標データの集合の形式で非接触に取得し、上記表面形状データを元に算出した値である。
なお、以降の説明において特段の記載が無い限り、各部位の寸法等の測定法は、測定対象部位を測定ヘッドに向けて載置し、上述の手順と同様にして測定されたものとする。
ドット形成部の平面形状の面積としては、目的とするセキュリティカードに付する絵柄部の階調等に応じて適宜設定することができ、例えば50μm〜1000000μmの範囲内、中でも、700μm〜50000μmの範囲内であることが好ましい。ドット形成部の平面形状の面積が上記範囲よりも大きいと、絵柄形成部によりカード表面上に転写形成された絵柄部が、ドット部の集合パターンから成る絵柄として視認されず、個々のドット部として視認される場合がある。
ドット形成部の深さ(高さ)については、ドット形成部の外形幅および絵柄形成部における集合の程度等に依存するため、特に限定されるものではない。ドット形成部が凹形状である場合、その深さとしては後述する半円柱形レンズ転写部の深さよりも小さいことが好ましく、例えば5μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、ドット形成部が凸形状である場合についても、その高さは上記範囲内とすることが好ましい。
ドット形成部の深さ(高さ)を上記範囲内とすることにより、本実施形態のカード用原版を用いてカードを製造する際に、転写形成されたドット部の形状を損なわずに上記カード用原版からカードを容易に剥離することができるからである。
(b)絵柄形成部
絵柄形成部は、複数個のドット形成部が集合して成るものであるが、単一の平面形状を有するドット形成部の集合によるものであってもよく、複数種類の異なる平面形状を有するドット形成部の集合によるものであってもよい。
絵柄形成部におけるドット形成部の集合パターンとしては、所望の絵柄部に応じて適宜設計することができる。
例えば、同一の平面形状およびその面積、ならびに外形幅を有するドット形成部を、連続的または段階的にピッチ幅を変えながら配置させる集合パターン、一定のピッチ幅で特定の方向に向かって、平面形状およびその面積、ならびに外形幅の異なるドット形成部を連続的または段階的に配置させる集合パターン等が挙げられる。また、平面形状およびその面積、ならびに外形幅の大きいドット形成部と、平面形状およびその面積、ならびに外形幅の小さいドット形成部とを、ピッチ幅を一定としてまたは変えながら、ランダムに配置させる集合パターンであってもよい。
さらに、複数個のドット形成部が格子状に配置されていても良く、千鳥状に配列されていても良い。千鳥状に配列されるとは、隣接する2つのドット形成部から、互いに隣接する他のドット形成部までを結んだ線が、60度の角度で交差するように配列することをいう。
上記絵柄形成部においては、一のドット形成部の外形幅が、他のドット形成部の外形幅と異なることが好ましい。外形幅の大きいドット形成部は、カード表面に粒状感を有するドット部を転写形成することができ、一方、外形幅の小さいドット形成部は、カード表面に粒状感が得られにくいドット部を転写形成することができる。このため、外形幅の異なるドット形成部が混在する絵柄形成部とすることで、粒状感の違いを利用したグラデーションを呈する絵柄部を転写形成することができる。
絵柄形成部におけるドット形成部のピッチ幅としては、集合パターンに応じて所望の範囲内で適宜設定することが好ましく、例えば50μm〜1000μmの範囲内、中でも90μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
ドット形成部のピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、絵柄形成部によりカード表面上に転写形成された絵柄部が、ドット部の集合パターンから成る絵柄として視認されず、個々のドット部として視認される場合がある。ドット形成部のピッチ幅とは、隣接する2つのドット形成部の各中心点を結んだ長さをいう。
また、上記絵柄形成部においては、隣接する2つのドット形成部間のピッチ幅が、互いに隣接する他の2つのドット形成部間のピッチ幅と異なることが好ましい。その理由について、ピッチ幅の大小および視認性の関係と併せて以下に説明する。
カード用原版において、ドット形成部の表面(図2中のBで示す部分をいう。)と、互いに隣接するドット形成部間に有する表面(図2中のDで示す部分をいう。以下、当該表面を未処理領域と称する場合がある。)とは、その表面粗さ(Ra)が異なる。詳しくは、ドット形成部の表面は粗く光沢を有さないが、未処理領域は表面が平滑であり且つ光沢を有する。
このため、絵柄形成部において、ドット形成部のピッチ幅が小さい、すなわちドット形成部が密に集合する部分は、未処理領域が小さくなることから光沢がなく白濁して認識される。このとき、絵柄形成部によりカード表面上に転写形成される絵柄部は、表面が粗いドット部の密集により全体が不透明なものとなる。ドット形成部の大きさが同一であればピッチ幅が小さいほど透明性が低くなり、中でもドット形成部の外形幅をピッチ幅で割った値が0.5以上1未満である場合には、未処理領域に対してドット形成部の占める領域が大きくなるため、カード表面上に転写形成される絵柄部が顕著に不透明となる。
一方、ドット形成部のピッチ幅が大きい、すなわちドット形成部が疎に集合する部分は、未処理領域が大きくなることから光沢を有するものとして認識される。このとき、上記絵柄形成部によりカード表面上に転写形成される絵柄部は透明性を有するものとなる。ドット形成部の大きさが同一であればピッチ幅が大きいほど透明性が高くなり、ドット形成部の外形幅をピッチ幅で割った値が0.03以上0.5未満、中でも0.3以上0.5未満である場合には、カード表面上に転写形成される絵柄部が透明性に優れたものとなる。
このように、絵柄形成部におけるドット形成部のピッチ幅の大小により、得られるカード上の絵柄部の視認性に違いが生じることとなる。上記特徴から、絵柄形成部においては、隣接する2つのドット形成部間のピッチ幅が、互いに隣接する他の2つのドット形成部間のピッチ幅と異なるものとすることにより、上述の違いを利用して、グラデーションを呈する絵柄部を転写形成することが可能となる。
ドット形成部が、図2と異なり金属基板の一方の面から突出した凸形状である場合には、ドット形成部が密に集合する部分と疎に集合する部分とで、カード表面上に転写形成される絵柄部の特徴(透明性)は上述の説明を反転したものとなる。しかしながら、ドット形成部が凹形状である場合と同様に、ドット形成部のピッチ幅の大小による視認性の違いを利用して、グラデーションを呈する絵柄部を転写形成することができる。
絵柄形成部において、1インチ当たりのドット形成部の個数としては、ドット形成部の外形幅、ピッチ幅、集合の程度等に応じて変化するものであり、例えば、ドット形成部が密に集合する領域における1インチ当たりのドット形成部の個数としては、100個/インチ〜500個/インチの範囲内、中でも200個/インチ〜400個/インチの範囲内であることが好ましい。1インチ当たりのドット形成部の個数を上記範囲内とすることにより、絵柄形成部によりカード表面上に転写形成された絵柄部が、高解像度を有することができ、観察者が上記絵柄部をドット部の集合パターンから成る絵柄として明瞭かつ認識することができるからである。
絵柄形成部は、金属基板の一方の面上に有する平面部内に少なくとも1つ以上形成されていることが好ましい。また、絵柄形成部の1つあたりの大きさとしては、本実施形態のカード用原版により得られるセキュリティカードにおいて、観察者が絵柄部を認識できる程度の大きさであれば特に限定されるものではないが、5mm×5mm〜20mm×20mm程度の大きさであることが好ましい。
(2)平面部
平面部は、上述した絵柄形成部の他に文字図柄転写部を有していてもよい。文字図柄転写部とは、直線、曲線の集合により表現された文字、記号、図柄等の画像情報を有するものであり、複数のドット形成部の集合により成る絵柄形成部とは区別されるものである。
文字図柄転写部を有することにより、本実施形態のカード用原版により得られるセキュリティカードの表面上に、レンチキュラーレンズを介して表示される画像や絵柄部で表示される絵柄とは異なる意匠等の情報を文字図柄部として形成することができるからである。
文字図柄転写部における文字や図柄等の線幅は、80μm〜500μm程度であることが好ましく、その大きさとしては特に限定されるものではなく、目的とするカードの大きさ等に応じて適宜設定することができる。なお、平面部上の文字図柄転写部の個数は、1つであってもよく複数あってもよい。
3.レンチキュラーレンズ形成部
本実施形態におけるレンチキュラーレンズ形成部は、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う上記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有するものである。
上記レンチキュラーレンズ形成部は、金属基板の一方の面が半円柱形レンズ転写部および隔壁部の形状に成形されてなるものである。
以下、各部位について説明する。
(1)半円柱形レンズ転写部
半円柱形レンズ転写部は、本実施形態のカード用原版を用いてカードを製造する際に、半円柱形レンズを転写形成する部分である。
半円柱形レンズ転写部の幅は、20μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、中でも40μm〜120μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜70μmの範囲内であることが好ましい。
半円柱形レンズ転写部の幅が上記範囲よりも大きいと、上記カード用原版により転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの高さが高くなり、規格で決められたカード厚さを超える場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、本実施形態のカード用原版をフォトリソグラフィ等により製造する際に、パターニングに際して解像度の安定性が確保できず、半円柱形レンズ転写部の形状のばらつきが大きくなる可能性がある。このため、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの形状もばらつきが生じて、視認画像の均一性が確保できない場合がある。
半円柱形レンズ転写部の幅とは、半円柱形レンズ転写部の側壁に挟まれた短手方向の長さを指し、図3においてX1で示される部分をいう。なお、図3はレンチキュラーレンズ形成部の断面形状の一例を説明するための説明図である。
また、半円柱形レンズ転写部と隔壁部とが連続した曲面形状で、半円柱形レンズ転写部の曲面を区分する位置が明確でない場合は、「(2)隔壁部」の項で説明する方法で特定される変曲点間の長さを半円柱形レンズ転写部の幅とすることができる。
半円柱形レンズ転写部のピッチ幅は小さいことが好ましいが、半円柱形レンズ転写部の幅より大きいことが好ましく、例えば30μm〜200μmの範囲内、中でも50μm〜130μmの範囲内、特に60μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。半円柱形レンズ転写部のピッチ幅が上記範囲よりも大きいと、半円柱形レンズ転写部の配置間隔が大きくなるため、カード表面に転写形成される半円柱形レンズの配置間隔も大きくなる。このため、カード上のレンチキュラーレンズにおいて個々の半円柱形レンズが視覚的に目立つようになり、外観上好ましくない場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、半円柱形レンズ転写部の幅も小さくなってしまい、半円柱形レンズを転写形成する際にレンズ形状が欠損してしまう場合がある。
半円柱形レンズ転写部のピッチ幅とは、隣り合う半円柱形レンズ転写部の中心間距離をいい、図3においてX2で示される部分をいう。
半円柱形レンズ転写部は、その底部に曲率を有するものであるが、上記半円柱形レンズ転写部の底部の曲率の大きさによっては、規格で定められる寸法形状を有するセキュリティカードを製造できない場合や、得られるセキュリティカードの視認性等が低下する場合がある。そのため、上記半円柱形レンズ転写部の底部は所望の曲率を有する必要がある。
半円柱形レンズ転写部の底部の曲率半径(以下、半円柱形レンズ転写部の曲率半径と称する場合がある。)としては、10μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも30μm〜90μmの範囲内であることが好ましく、特に50μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。
半円柱形レンズ転写部の曲率半径が上記範囲よりも小さいと、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの曲率半径も小さいものとなる。このため、カードの製造において、半円柱形レンズを介してレーザー光の照射によりカードへ印字する場合に、レーザー光の焦点が所望の位置に到達できず印字が行えない場合がある。一方、半円柱形レンズ転写部の曲率半径が上記範囲よりも大きいと、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの曲率半径も大きいものとなる。このため、上述の方法で印字を行う場合に、レーザー光がカードの所望の位置を超えて焦点を結ぶこととなり、印字が行えない場合がある。
なお、半円柱形レンズ転写部の底部の曲率半径とは、図3においてR1で示される部分をいう。
半円柱形レンズ転写部の深さとしては、5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、中でも7μm〜60μmの範囲内であることが好ましく、特に10μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。
半円柱形レンズ転写部の深さが上記範囲よりも大きいと、カード製造時に転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズの高さが高くなり、規格で決められたカード厚さを超えてしまう場合がある。一方、上記範囲よりも小さいと、転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズが所望のレンズ厚さとならず、画像情報の表示を切り替えるレンズとしての機能を十分発揮できない場合がある。また、カード製造時にレンチキュラーレンズを介してレーザー照射等により印字を行う場合に、半円柱形レンズを透過したレーザー光がカードの所望の位置で焦点を結べず、印字が行えない可能性がある。
なお、半円柱形レンズ転写部の深さとは、半円柱形レンズ転写部の最下点から隔壁部の頂部(最頂点)までの長さをいい、図3においてT1で示される部分をいう。
半円柱形レンズ転写部は、図1で示すように、金属基板の一方の面上において複数本がストライプ状に配置されるものであり、その本数は適宜選択することができる。
半円柱形レンズ転写部の長手方向の長さとしては、金属基板の寸法を越えない範囲であれば特に限定されるものではなく、目的とするレンチキュラーレンズの大きさに応じて適宜選択される。
(2)隔壁部
隔壁部とは、隣り合う半円柱形レンズ転写部の間に形成されるものであり、その数は上記半円柱形レンズ転写部の数に応じて決まるものである。
本実施形態における隔壁部の形状は、所望の幅や高さ等を有するものであれば特に限定されるものではない。図4は隔壁部の断面形状を説明する説明図である。隔壁部の断面形状としては、通常、図4(a)で示すように金属基板の底面に対して隔壁部の側面が直角を成す形状であるが、図4(b)、(c)で示すように、テーパー形状であってもよい。テーパー形状の隔壁部の両側面がなす角度(図4(b)、(c)中のθ)としては、5°〜120°の範囲内が好ましく、中でも10°〜90°の範囲内が好ましく、特に15°〜45°の範囲内が好ましい。隔壁部の両側面が上記範囲内の角度を成すことにより、カード製造時にカード用原版からのカードの剥離性を良好なものとすることができる。
また、上記隔壁部の頂部の幅は小さいことが好ましい。その理由については、以下の通りである。
隔壁部は、セキュリティカードを製造する際に、隣り合う半円柱形レンズ間の溝部(以下、レンズ間溝部と称する場合がある。)を転写形成する部位である。そのため、レンズ間溝部の大きさによっては、カードを所望の角度から観察した際に、図10(d)で例示されるように、レンチキュラーレンズを介して視認される画像上に、表示すべき画像以外の不要な画像が線状に出現し、本来表示すべき画像が不鮮明な像となって視認される場合がある。このような現象の発生を防止するため、隔壁部の頂部の幅は小さく、所望の大きさとすることが好ましい。
なお、本実施形態においては、線状に出現する画像を「線状ノイズ」と称する場合がある。また、上述の現象および発生要因については、後述する「B.セキュリティカード」の項で詳細に説明するため、ここでの説明は省略する。
隔壁部の頂部の幅としては、5μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、中でも5μm〜15μmの範囲内であることが好ましく、特に5μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
隔壁部の頂部の幅が上記範囲よりも小さいと、隔壁部が決壊して半円柱形レンズ転写部の深さにばらつきが生じるため、カード製造時に転写形成される半円柱形レンズおよびレンチキュラーレンズがレンズとしての機能を有さない場合がある。一方、上記範囲よりも大きいと、カード製造時に転写形成されるレンズ間溝部の底部の幅が大きくなるため、得られるカードを観察する際に、レンチキュラーレンズを介して表示される画像上に線状ノイズ等が出現し、視認性が損なわれる場合がある。
なお、隔壁部の頂部の幅とは、図3および図4においてX3で示される部分をいい、以下の方法により測定される。
隔壁部の頂部の幅の測定箇所については、図4(a)、(b)で示すように隔壁部の頂部に平面を有する場合は、上記平面における短手方向の長さを隔壁部の幅とする。また、図4(c)で示すように隔壁部の頂部が曲率を有するものであり、半円柱形レンズ転写部と隔壁部の頂部の曲面とが連続した形状で、隔壁部の頂部の曲面の区分される位置が明確でない場合は、非接触法の測定により作成されたグラフにおいて半円柱形レンズ転写部の曲面と隔壁部の頂部の曲面との変曲点を特定する。すなわち、対象曲面において半円柱形レンズ転写部および隔壁部の短手方向の断面が形成する曲線の曲率の符号が変化する点の位置を、半円柱形レンズ転写部と隔壁部の頂部とが区分される位置とし、上記変曲点における短手方向の長さを隔壁部の幅とする。ここで、短手方向の断面が形成する曲線から曲率を算出する一つの方法としては、上記曲線を微小区間に分け、曲率を算出する微小区間における上記曲線を構成する測定データに対し最小二乗法を用いて円弧を当てはめ、得られた円弧の半径から曲率を得る方法を用いることができる。
隔壁部の頂部は曲率を有することが好ましい。隔壁部の頂部が曲率を有することにより、本実施形態のカード用原版を用いてカードを製造する際に、上記カード用原版からカードが剥離しやすくなるからである。また、得られるカードにおいて、レンチキュラーレンズを介して視認される画像上に出現する線状ノイズ等をより目立たなくすることができるからである。このような隔壁部の頂部の曲率半径としては、2.5μm〜10.0μmの範囲内、中でも2.5μm〜7.5μmの範囲内、特に2.5μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。
なお、隔壁部の頂部の曲率半径とは、図4(c)においてR2で示される部分をいう。
隔壁部の高さとしては、半円柱形レンズ転写部の深さと同様であるためここでの説明は省略する。また、隔壁部の最頂点は、平面部と同じ高さに位置することが好ましい。すなわち、本実施形態のカード用原版の底面から上記隔壁部の最頂点までの高さが、上記カード用原版の厚さと同じであることが好ましい。
(3)レンチキュラーレンズ形成部
カード用原版においてレンチキュラーレンズ形成部の占める面積の割合は、上記カード用原版の一方の面の面積(100%)に対し1%〜30%程度の割合を占めることが好ましい。なお、後述するようにカード用原版が多面付け態様である場合、レンチキュラーレンズ形成部の占める面積の割合とは、一枚のセキュリティカードの表面(以下、カード有効領域と称する場合がある。)を転写形成する部分の面積に対する割合をいう。
レンチキュラーレンズ形成部における半円柱形レンズ転写部は、本実施形態のカード用原版により得られるカード表面上の半円柱形レンズの長手方向が、カードの読み取り方向と同じ方向となるように配置されることが好ましい。カードをカードリーダーに通す際に、レンチキュラーレンズが障害となる恐れを低減できるからである。
また、上記カード用原版においてレンチキュラーレンズ形成部を複数有する場合、一方のレンチキュラーレンズ形成部における半円柱形レンズ転写部の長手方向と、他方のレンチキュラーレンズ形成部における半円柱形レンズ転写部の長手方向とが同じ方向であっても良く異なる方向であっても良く、カード用原版の面付け態様に応じて適宜選択することができる。
4.セキュリティカード用転写原版(カード用原版)
本実施形態のカード用原版の厚さは、金属基板の厚さに応じて適宜設定されるものであり、0.05mm〜5mmの範囲内が好ましく、中でも0.2mm〜1mmの範囲内が好ましい。カード用原版の厚さを上記範囲内とする理由については、「1.金属基板」の項で説明した理由と同様である。なお、カード用原版の厚さとは、カード用原版のレンチキュラーレンズ形成部等を有する一方の面上において最も突出した部分から、上記一方の面との対向面までの長さをいう。
本実施形態のカード用原版は、その表面が平滑性を有することが好ましく、中でも光沢面であることが好ましい。表面を光沢面とすることにより、本実施形態のカード用原版を用いて製造されるセキュリティカードの表面を光沢面とすることができるからである。
上記カード用原版の十点平均表面粗度(Rz)としては、Rz=0.05μm〜1.5μmの範囲内、中でもRz=0.1μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。上記十点平均表面粗度は、光干渉式非接触表面粗さ計(菱化システム(株)製 バートスキャンR1300H Lite)を使い、プロファイル範囲を±5ミクロンとして測定された値である。また、光沢面の程度としては、#400以上の砥粒で研磨したときの光沢性を有することが好ましい。
本実施形態のカード用原版において、レンチキュラーレンズ形成部、および絵柄形成部は金属基板の一方の面上の一部に形成されるものであり、その数は1つでも良く、複数あっても良い。
図5は、本実施形態のカード用原版の面付け態様の一例を示す概略平面図である。なお、図5の符号については、図1および図2と同一の部材を示すものとし、半円柱形レンズ転写部および隔壁部については符号を省略する。
本実施形態のカード用原版は、図5(a)、(b)で示すように1面付け態様とすることができる。すなわち1回のカード製造時に、カード用原版1枚につき1枚のカードを製造できる。このとき、図5(b)で示すように複数のレンチキュラーレンズ形成部3、3’を有する場合、レンチキュラーレンズを複数備えた1枚のカードを製造できる。
また、本実施形態のカード用原版は、図5(c)で示すように多面付け態様とすることもできる。すなわち1回の製造時に上記態様のカード用原版1枚につき、複数枚のカードを一括製造できる。なお、図5(c)において一点鎖線Aで囲まれる領域が、カード有効領域を転写形成する部分となる。
5.製造方法
本実施形態のカード用原版の製造方法としては、少なくとも一部に絵柄形成部を有する平面部とレンチキュラーレンズ形成部とを、金属基板の同一面上に直接形成することができる方法であれば特に限定されないが、中でもエッチング法を用いることが好ましい。金属基板を直接エッチングすることで、レンチキュラーレンズ形成部および絵柄形成部等を同時に形成することができ、容易で安価に且つ精度良くカード用原版を形成することができるからである。また、レーザー法等ではレーザー照射跡の残存や溶融物の飛散等により表面の平滑性が損なわれやすいが、エッチング法では上記不具合が生じにくいため、レンチキュラーレンズ形成部等の寸法精度および配置精度を高いものとすることが可能である。
エッチング法によるカード用原版の製造方法の例としては、平板の金属基板の一方の面上に、所望の位置に半円柱形レンズ転写部を形成するための開口部と、ドット形成部を形成するための開口部とがパターニングされたレジスト層を成膜し、ウェットエッチング等によりエッチングする方法が挙げられる。
B.セキュリティカード
次に、本発明のセキュリティカードについて説明する。本発明のセキュリティカードは、画像部を有するカード基材、および上記カード基材の一方の表面上に配置されるレンチキュラーレンズシートを有し、上記レンチキュラーレンズシートが、複数個のドット部が集合して成る絵柄部を少なくとも一部に含むシート平坦部と、レンチキュラーレンズとを有し、上記レンチキュラーレンズが、ストライプ状に配置された複数本の半円柱形レンズと、隣り合う上記半円柱形レンズの間に形成されたレンズ間溝部とを有し、上記半円柱形レンズと上記画像部とが平面視上に重なるように配置され、観察角度によって上記レンチキュラーレンズを介して視認される上記画像部が異なることを特徴とするものである。
本発明のセキュリティカードの一実施形態について、図を参照して説明する。図6は本発明のセキュリティカードの一つの実施態様を示す概略平面図であり、図7は図6におけるX−X線断面に相当する断面図である。なお、図6中のY方向をカードの読み取り方向とする。
図6〜7で示すように、本発明のセキュリティカード20は、画像部19(画像部19aおよび19bを構成要素として含む。)を有するカード基材12と、上記カード基材12の一方の表面上に配置されたレンチキュラーレンズシート11とを有するものである。
レンチキュラーレンズシート11は、複数個のドット部17が集合して成る絵柄部18を一部に含むシート平坦部13と、レンチキュラーレンズ14とを有するものである。レンチキュラーレンズ14は、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ15と、隣り合う半円柱形レンズ15の間に形成されたレンズ間溝部16とを有するものである。図6〜7において、ドット部17は凸形状を成す。
また、カード基材12の画像部19は、半円柱形レンズ15と平面視上に重なるように配置されているため、観察角度によってレンチキュラーレンズ14を介して異なる画像情報が表示される。
本発明によれば、複数個のドット部が集合して成る絵柄部は、上記ドット部の集合パターンにより生じる色調の違い等を利用して集合パターン全体を絵柄として表示することができる。このためインク等を用いた絵柄の描画のように多色のインクの使用や複数回におよぶ描画工程の実施等を必要とせず、デザイン性に優れた絵柄の表示が可能となる。
また、カード表面に有するレンチキュラーレンズにより、上記レンチキュラーレンズを介して画像部を視認する際に、観察角度によって出現する画像部を切り替えて、異なる画像情報が表示されるため、高い視認性が発揮される。
このように、上記絵柄部とレンチキュラーレンズを備えたセキュリティカードは、高い視認性およびデザイン性を有するものとなる。
ここで、「観察角度によってレンチキュラーレンズを介して視認される画像部が異なる」とは、図10に示すように、一方の観察角度E1においてはレンチキュラーレンズ14を介してカード基材12の画像部19aの情報(図10(b))のみが視認され、別の観察角度E2においては画像部19bの情報(図10(c))のみが視認されることをいう。
以下、本実施形態のセキュリティカードについて、詳細に説明する。
1.レンチキュラーレンズシート
本実施形態におけるレンチキュラーレンズシートは、画像部を有するカード基材の一方の表面上に配置されるものであり、複数個のドット部が集合して成る絵柄部を少なくとも一部に含むシート平坦部と、レンチキュラーレンズとを有するものである。
(1)シート平坦部
シート平坦部は、複数個のドット部が集合して成る絵柄部を少なくとも一部に含むものである。なお、上記シート平坦部とは、レンズキュラーレンズシート上のレンチキュラーレンズが形成されていない領域をいう。
(a)絵柄部
絵柄部は、複数個のドット部が集合してなるものであり、ドット部の集合パターンにより絵柄が表示される。絵柄が表示される理由については、以下に説明する。
例えば、エッチングにより凹形状のドット形成部が形成されたカード用原版の場合、ドット形成部の表面は隣り合うドット形成部間の表面よりも粗い。このため、当該カード用原版を用いてセキュリティカードを作成した場合には、ドット部の表面は隣り合うドット部間の表面よりも粗くなる。
絵柄部においては、表面が平坦であるほど透明であると視認され、表面が粗いほど不透明であると視認されるため、大きいピッチ幅でドット部が疎に集合した部分では、透明領域として視認され、一方、小さいピッチ幅でドット部が密に集合した部分では、不透明領域として視認される。
また、外形幅が大きいドット部は、粒状感が視認されやすく、外形幅が小さいドット部は、粒状感が視認されにくい。
つまり、上記絵柄部においては、上記透明領域および不透明領域で生じる色調の違い、ならびに絵柄部を構成するドット部の外形幅の大小による粒状感を利用することにより、ドット部の集合パターン全体を絵柄として表示することができるからである。
なお、エッチングにより凸形状のドット形成部が形成されたカード用原版を用いた場合は、隣り合うドット形成部間の表面のほうがドット形成部の表面よりも粗くなるため、形成される絵柄部において、透明領域と不透明領域とは互いに反転して視認される。
(i)ドット部
ドット部の形状等については、上述した「A.カード用原版 (1)絵柄形成部」の項で説明したドット形成部の反転形状等と同様であるためここでの説明は省略する。
中でも上記ドット部は、上記シート平坦部の表面から突出した凸形状であることが好ましい。シート平坦部の平滑性が高く、且つ、絵柄部が認識されやすいカードとなるからである。
また、上記ドット部の外形幅が30μm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、中でも50μm〜500μmの範囲内、特に70μm〜250μmの範囲内であることが好ましい。ドット部の集合から成る絵柄部が、全体像として明瞭かつ認識されやすいものとなるからである。このとき、上記外形幅が大きいほどドット部の粒状感が視認されやすくなる。具体的には、外形幅が100μm未満の場合にドット部の粒状感が視認されにくくなり、一方、100μm以上の場合にドット部の粒状感が視認されやすくなる。
なお、ドット部の外形幅とは、ドット部の平面形状の外周において最も離れた2点間の直線長をいい、図7においてW2で示す部分である。
(ii)絵柄部
ドット部のピッチ幅については、上述した「1.カード用原版」の項で説明したドット形成部のピッチ幅と同様である。また、ドット部の外形幅をピッチ幅で割った値が0.5以上1未満である場合、絵柄部は顕著に不透明なものとなり、他方、ドット部の外形幅をピッチ幅で割った値が0.03以上0.5未満、中でも0.3以上0.5未満である場合、絵柄部は高い透明性を有するものとなる。
上記絵柄部においては、一のドット部の外形幅が、他のドット部の外形幅と異なることが好ましい。また、上記絵柄部において、隣接する2つのドット部間のピッチ幅が、互いに隣接する他の2つのドット部間のピッチ幅と異なることが好ましい。絵柄部を構成するドット部の外形幅およびピッチ幅を調整することで、ドット部の外形幅、ピッチ幅の違いにより、絵柄部がグラデーションを呈するものとなるからである。
絵柄部におけるドット部の配置等については、上述した「1.カード用原版」の項で説明した絵柄形成部におけるドット形成部の配置等と同様であるため、ここでの説明は省略する。
絵柄部は、2階調で表示されるものであってもよく、複数の階調で表示されるものであってもよく、グラデーションとして表示されるものであってもよい。上記絵柄部の表示態様は、ドット部の大きさ、ピッチ幅等の集合パターンに応じて適宜決まるものである。
図8は、本実施形態のセキュリティカードにおける絵柄部の表示態様の一例を説明するための説明図である。なお、図8中の符号は、図6および図7と同一の部材を示すものである。
図8(a)で示すように、ピッチ幅の調整による透明領域および不透明領域の色調の違い、ドット部の大小等により、集合パターン全体を特徴的な絵柄として表示することができる。
また、例えば図8(b)で示すように、ドット部の集合パターンがカードの読み取り方向Yに沿って疎から密へ連続的に変化する場合は、色調も同様に変化するため、上記絵柄部の全体を線状グラデーションとして表示することができる。
さらに、図8(c)で示すように、ドット部の集合パターンが絵柄部の中心から円周にかけて密から疎へ連続的に変化する場合も同様に色調が変化するため、上記絵柄部の全体を円状グラデーションとして表示することもできる。
なお、上記絵柄部の表示態様は、図8に例示されるものに限定されない。
また、絵柄部は高い解像度を有することが好ましい。観察者が絵柄部を目視する際にドット部の集合パターンの全体を明瞭な絵柄として認識することができるからである。1インチ当たりのドット部の個数については、上述した「A.カード用原版」の項で説明した絵柄形成部における1インチ当たりのドット形成部の個数と同様であるため、ここでの説明は省略する。
絵柄部の大きさとしては、使用するカード原版の絵柄形成部の大きさと同様である。また、上記絵柄部はシート平坦部上に少なくとも1つ形成されるものであり、複数形成されていてもよい。
シート平坦部において上記絵柄部の占める面積の割合としては、上記シート平坦部の面積(100%)に対して1%〜99%の範囲内、中でも2%〜50%の範囲内であることが好ましい。
(b)シート平坦部
シート平坦部は、少なくとも一部に上述した絵柄部を含むものであるが、その他に、カード用原版上の文字図柄転写部により転写形成された文字図柄部を有していても良い。所望の観察角度においてレンチキュラーレンズを介して視認される画像部の情報、および絵柄部により表示される情報とは異なる情報をカードに付与することができ、セキュリティ性や意匠性を向上させることが可能となるからである。
(2)レンチキュラーレンズ
本実施形態におけるレンチキュラーレンズは、ストライプ状に配置された複数の半円柱形レンズ、および隣接する上記半円柱形レンズの間に位置するレンズ間溝部を有する。
(a)半円柱形レンズ
半円柱形レンズは、カード用原版の半円柱形レンズ転写部の反転形状と同等の形状を有する。すなわち、半円柱形レンズの幅、レンズ厚、曲率半径、およびピッチ幅は、半円柱形レンズ転写部の幅、深さ、曲率半径、およびピッチ幅に相当する。各寸法についての詳細は、「A.カード用原版」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの記載は省略する。
なお、半円柱形レンズのレンズ幅とは、半円柱形レンズの短手方向における側面間の長さ(図7中のX4)をいう。
レンズ厚とは、半円柱形レンズの最頂点からレンズ間溝部の最下点までの長さをいい、図7においてT2で示される部分をいう。
半円柱形レンズの曲率半径とは、図7においてR3で示される部分をいう。
半円柱形レンズのピッチ幅とは、隣接する半円柱形レンズの中心間の長さをいい、図7においてX6で示される部分をいう。
(b)レンズ間溝部
レンズ間溝部は、カード用原版の隔壁部の反転形状と同等の形状を有する。中でも、レンズ間溝部はその底部が曲率を有することが好ましく、また、その底幅が所望の範囲内となるように形成されることが好ましい。レンチキュラーレンズを介して画像部を視認する際に、表示画像上に線状ノイズ等が出現することを抑制し、画像表示が阻害されるのを防ぐことができるからである。
上記現象が生じる要因としては、レンズ間溝部の底幅の大きさによるものと考えられる。
所定の角度からセキュリティカードを視認する際、カード基材上の画像部はレンチキュラーレンズを介して視認される。しかし、レンズ間溝部の底幅が大きい場合、レンズ間溝部の表面の屈折率と上記レンズ間溝部の底幅との関係から、レンズ間溝部を介して上記画像部が形成されていない領域や、レンチキュラーレンズを介して視認させようとしている画像部以外の画像部領域(これらを非画像部領域とする場合がある。)も視認することとなり、観察者は、レンチキュラーレンズを介して視認される画像部の像と、レンズ間溝部を介して視認される非画像部領域とを同時に視認することになる。上記非画像部領域は上述のように視認される画像部上に線状ノイズ等として出現するため、視認される画像が損なわれ、画像全体として不鮮明なものとして認識されるからである。
レンズ間溝部の幅、底部の曲率半径、および深さについては、上述した「A.カード用原版」の項で説明した隔壁部の頂部の幅、曲率半径、および高さと同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、レンズ間溝部の幅、底部の曲率半径とは、図7においてX5、R4で示される部分をいう。また、レンズ間溝部の深さは、上述した半円柱形レンズのレンズ厚と同様である。
(c)レンチキュラーレンズ
レンチキュラーレンズの高さおよび曲率半径は、上述した半円柱形レンズのレンズ厚および曲率半径に相当するため、ここでの説明は省略する。
また、レンチキュラーレンズの単位あたりの半円柱形レンズの本数は、上述のカード用原版における半円柱形レンズの本数により決まる。
レンチキュラーレンズにおいて、半円柱形レンズの長手方向はセキュリティカードの長手方向、すなわちカードリーダーの読み取り方向と同じであることが好ましい。カードをカードリーダーに通す際にレンチキュラーレンズの部分が障害となり、磁気情報の読み取りが阻害される恐れを低減できるからである。
レンチキュラーレンズの大きさは、上述のカード用原版のレンチキュラーレンズ形成部と同様の大きさとなる。また、セキュリティカードにおいてレンチキュラーレンズが占める面積の割合としては、カードの大きさや、カード基材上の画像部の大きさ等によって適宜選択されるものであるが、例えばカード表面のうちレンチキュラーレンズを有する面の面積(100%)に対して1〜30%程度の割合を占めることが好ましい。
なお、セキュリティカード1枚あたりのレンチキュラーレンズの数は、少なくとも1つ以上有していればよく、特に限定されるものではない。
(3)レンチキュラーレンズシート
レンチキュラーレンズシートの材料としては、使用するカード用原版の凹凸形状に追従できる柔軟性を有するものが好ましく、加熱により軟化する材料、すなわち熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、上記材料は透明性を有することが好ましい。
このような材料としては、例えばポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースエステル、フッ化ポリマー、ポリアセタール、ポリオレフィン、アラミド、フッ素樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PLA(ポリ乳酸)等が挙げられ、中でもポリカーボネートが好ましい。
レンチキュラーレンズシートの厚さとしては、目的とするセキュリティカードに応じて適宜設定することができ、例えば30μm〜150μmの範囲内、中でも50μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。レンチキュラーレンズシートの厚さが上記範囲よりも大きいと、規格により規定されるカード厚さを超えてしまう場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、カードの強度が得られない場合がある。
なお、レンチキュラーレンズシートの厚さとは、カード基材と接する面からレンチキュラーレンズの頂部までの長さをいう。
2.カード基材
本実施形態におけるカード基材は、画像部を有するものである。
(1)画像部
画像部の配置位置は、半円柱形レンズと平面視上に重なる位置であれば特に限定されるものではなく、カード基材のシート基材と接する表面上であってもよく、上記表面の対向面上であってもよく、カード基材の内部であってもよい。
1つの半円柱形レンズの下に位置する画像部は、通常、2種類の異なる画像情報で構成されるが、2種類以上有していてもよい。また、画像部の大きさとしては、画像部の構成要素が半円柱形レンズに覆われた領域を超えない大きさであり、且つ画像部全体がレンチキュラーレンズに覆われた領域を超えない大きさであることが好ましい。
画像部の形成方法としては、カード基材の所望の位置に形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばカード基材の材料に含有される発色材料に、半円柱形レンズを介してレーザー光を照射して形成することができる。
上記レーザー光の種類としては、後述する発色材料により吸収されるものであればよく、例えばガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等の波長700nm〜1300nmの赤外線を発する光源を挙げることができる。
なお、レーザー光の照射角度や照射時間等の条件については、所望の画像部が描画できるものであれば特に限定されるものではない。
(2)カード基材
カード基材の材料としては、一般的なカード用基材として用いられる樹脂材料を挙げることができる。なお、上記材料は透明性を有するものであっても良く、有しなくてもよい。
このような材料としては、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、アラミド、ポリイミド、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PLA(ポリ乳酸)等が挙げられ、中でもポリカーボネートが好ましい。
また、カード基材は発色材料を含むものである。発色材料を含むことにより、カード基材に画像部を形成することができるからである。上記発色材料としては、レーザー光を用いて画像部を形成する際にレーザー光を吸収する材料であれば良く、例えばカーボンブラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、雲母等が挙げられ、中でもカーボンブラックが好ましい。
カード基材の厚さは、例えば50μm〜800μmの範囲内、中でも300μm〜700μmの範囲内であることが好ましい。カード基材の厚さが上記範囲よりも大きいと、規格等により規定されるカード厚さを超えてしまう場合があり、一方、上記範囲よりも小さいと、カードの強度が得られない場合がある。
3.その他の部材
本実施形態のセキュリティカードは、上述したカード基材およびレンチキュラーレンズシートを少なくとも有するものであるが、必要に応じてその他の部材を有していても良い。
以下、本実施形態における任意の部材について説明する。
(1)印刷層
本実施形態のセキュリティカードは、レンチキュラーレンズシートが配置されるカード基材の表面の少なくとも一部に印刷層が形成され、絵柄部と上記印刷層とが平面視上に重なるように配置されることが好ましい。
絵柄部と印刷層とを重ねて配置することにより、例えば図9に示すように、絵柄部18の絵柄と印刷層21のパターン等とが組み合わさった複雑且つデザイン性の高い絵柄を表示することができる。また、印刷層の色を下地色として、色を呈した絵柄部を表示することができる。
印刷層の材料としては、一般的な印刷方法に使用される感光性樹脂等と同様とすることができ、例えばポリカーボネート等が挙げられる。また、上記印刷層の形成方法としては、一般的な形成方法と同様とすることができる。
印刷層は、単一色でベタ塗りされたものであってもよく、2色以上の色でベタ塗りされたものであってもよい。印刷層の色により、レンチキュラーレンズシート上の絵柄部が色を呈して表示されるからである。
また、印刷層は絵柄等のパターンを有するものであってもよい。パターンを有することにより、レンチキュラーレンズシート上の絵柄部と重なった際に、より複雑且つデザイン性の高い絵柄とすることができるからである。
印刷層のパターンとしては、特に限定されるものではないが、中でも上述した絵柄部および画像部とは異なるものであることが好ましい。また、シート平坦部上に文字図柄部を有する場合、印刷層のパターンは文字図柄部と異なるものであることが好ましい。より多くの絵柄および情報を1枚のセキュリティカードに付することができるからである。
印刷層の印刷方法としては、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェットプリント等の公知の印刷方法が挙げられる。また、使用されるインクとしては、例えば顔料、染料等を用いることができる。
印刷層の大きさ、厚さ等については、得られるカードが規格等で規定される寸法等を満たす範囲内で、適宜設計することが好ましい。
印刷層の配置位置としては、絵柄部と平面視上に重なるように、カード基材の表面の少なくとも一部に配置されればよいが、レンチキュラーレンズと重ならない領域であることが好ましい。レンチキュラーレンズを介して画像部を視認する際に、印刷層の絵柄が画像部の視認を阻害する場合があるからである。また、上記印刷層は上記絵柄部と平面視上に重なるように配置されるものであるが、重なる領域が全面であってもよく、一部であっても良い。
(2)その他の部材
本発明のセキュリティカードは、上述した印刷層の他に、例えば磁気シート、ICチップ、透明カバー層等を有していてもよい。
4.セキュリティカード
本発明のセキュリティカードの大きさおよび厚さについては、用途に応じて適宜設定することができるが、セキュリティカードのサイズは、例えばISO7816等の規格により規定されているため、上記規格規定内の寸法とする必要がある。
5.用途
本発明のセキュリティカードの用途としては、視認性、偽造防止性、デザイン性が求められる分野に用いることが可能であり、例えば、クレジットカード等の個人情報管理カード、ICカード、各種証明カード、政府文書等の機密性を要する情報媒体に用いることが可能である。
6.セキュリティカードの製造方法
本発明のセキュリティカードの製造方法としては、上述の構成を有するカードを製造可能な方法であれば特に限定されるものではないが、「A.カード用原版」の項で説明したカード用原版を用いて製造することが好ましい。カード表面に寸法精度および配置精度の高いレンチキュラーレンズと絵柄部とを一括形成することができるからである。
図11は本発明のセキュリティカードの製造方法の一例を示す工程図である。なお、図11中の符号については、図2および図7において説明したものと同様とする。
まず、金属基板の一方の面にレンチキュラーレンズ形成部3および絵柄形成部6を有するカード用原版10を準備する(図11(a))。なお、当該一方の面を転写面と称する場合がある。また、カード基材12aの一方の表面上にシート基材11aを積層させる(図11(b))。このとき、カード基材12aとシート基材11aとの間に接着層を介して接着させてもよく、接着層を設けずに後述する転写の際に加熱接着させてもよい。
次に、加熱Hしながらカード用原版10の転写面をシート基材11aに押し当て(図11(c))、冷却後剥離することで、レンチキュラーレンズ14と、一部に絵柄部18が形成されたシート平坦部13とを有するレンチキュラーレンズシート11を形成する(図11(d))。なお、レンチキュラーレンズ14は、ストライプ状に配置された複数本の半円柱形レンズ15と、隣り合う上記半円柱形レンズ15の間に形成されたレンズ間溝部16とを有するものである。また、絵柄部18は、複数個のドット部17が集合して成るものである。
次に、半円柱形レンズ15を介して異なる2方向からレーザー光Z1およびZ2を照射することにより(図11(e))、カード基材12aに含有される発色材料の炭化により、カード基材に文字や数字等の情報を印字された画像部19aおよび19bが形成され(図11(f))、所望のセキュリティカード20を製造することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1〜9]
(カード用原版の作製)
<レジスト層形成工程>
カード用原版に使用する金属基板として、板厚0.5mm、300mm角サイズの圧延材料であるSUS304材を準備した。上記金属基板の一方の面を、アルカリ脱脂(NaOH水溶液5%、60℃)、硫酸電解(硫酸水溶液5%、常温、電流密度dk=3)、塩酸ディップ(塩酸水溶液10%、常温)により整面処理を行った。
次に、整面処理を行った金属基板の上記一方の面に、ドライフィルムレジストを使用してラミネーターにてラミネートを行い、15μm〜25μm程度の厚さを有するフォトレジスト層を形成した。
次に、平行光露光機を使い、マスクを介して紫外線照射によるパターン露光を行った後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液で現像を行い、フォトレジスト層に対してパターン形成を行った。
形成されたパターンにおいては、カード1枚の外形に対応する領域の大きさは85mm×50mm程度とし、さらに、作製されたカード用原版を使って得られるセキュリティカードにおいてレンチキュラーレンズが左下部に位置し、絵柄部が右下部に位置するように、レンチキュラー形成部と絵柄形成部とに対応するパターンをそれぞれ配置した。レンチキュラーレンズ形成部は20mm×20mm程度の大きさの矩形状となるようにした。また、絵柄部が10mm×10mmの大きさとなるように、複数個のドット形成部用の開口部(円形)を設けた。
なお、各実施例におけるドット形成部用の開口部の直径、および隣接する2つのドット形成部用の開口部のピッチ幅については、以下の表1に示すものとした。
<エッチング工程>
パターニングされた上記フォトレジスト層を介して、金属基板の上記一方の面に対して条件を変えながら塩化第二鉄液によるエッチングを行い、半円柱形レンズ転写部および隔壁部を有するレンチキュラーレンズ形成部、および一部に絵柄形成部が形成された平面部を有するカード用原版を得た。
上記絵柄形成部は、同一の直径(外形幅)を有する円形且つ凹形状のドット形成部が、所定のピッチ幅を有して碁盤の目状に複数個の配置された形状を有するものであり、実施例1〜9の各カード用原版においては、ドット形成部の外形幅、隣接する2つのドット形成部のピッチ幅、および(外形幅/ピッチ幅)の値を、以下の表1に示すものとした。
[検証1−1:レンチキュラーレンズ形成部の形状の確認]
マスクによるレンチキュラーレンズ形成部の設計については、レジスト層の解像度およびエッチング条件等に依存するため、マスクのパターンのみではレンズ形状は決まらないため、最終的に得られたエッチング後の形状で、マスクのパターン形状およびエッチング条件の検証を行った。エッチング後の形状としては、隔壁部の頂部の幅、半円柱形レンズ転写部の幅、深さ、ピッチ幅および底部の曲率半径の大きさが、加工形状として主に制御できるものと想定して加工した。
検証の結果、隔壁部の頂部の幅5μm〜20μmの範囲内に対して、5μmごとに段階的に変えた形状が得られた。また直線状凹部曲面部の形状については、浸漬時間、スプレー噴射圧力等のエッチング条件により、10μmごとに段階的に変えた形状が得られた。
[検証1−2:絵柄形成部における表面粗さについて]
実施例1〜9のカード用原版について、絵柄形成部のドット形成部の表面粗さ(Rz)と、隣接するドット形成部間に有する未処理領域の表面粗さ(Rz)との関係を検証した。絵柄形成部のドット形成部の表面粗さ(Rz)は、未処理領域の表面粗さ(Rz)の2倍〜3倍程度の値となり、ドット形成部の表面においては光沢を有さないことが確認された。
(セキュリティカード1A〜9Aの製造)
実施例1〜9の各カード用原版を用いて、以下の方法によりセキュリティカード1A〜9Aをそれぞれ製造した。
<転写工程>
カーボンブラックを含有したカード基材(厚さ50μm〜100μm)と、ポリカーボネートを主成分としたシート基材(厚さ50μm〜100μm)との積層体を予め準備した。次に、カード用原版を平面プレス機に装着し、当該積層体に対して200℃で20分、1kg/cmでプレスを行った後、30分程度冷却を行い、シート基材が硬化する温度まで低下させた。
冷却後に平面プレス機を開放し、上記シート基材からカード用原版を剥離させた。この実施により、上述のシート基材上に上記カード用原版の転写面が転写され、円形のドット部が集合して成る絵柄部を一部に有するシート平坦部と、半円柱形レンズおよびレンズ間溝部から成るレンチキュラーレンズと、を有するレンチキュラーレンズシートを得た。
<印字工程>
半円柱形レンズと平面視上に重なる位置に、各半円柱形レンズに対して異なる2方向からYAGレーザー照射を行い、2種類の異なる情報を有する画像部を印字してセキュリティカードを得た。当該セキュリティカードにおいては、観察角度に応じて視認される画像部の情報が変化した。
[検証2:視認性]
実施例1〜9のカード用原版におけるドット形成部の外形幅、ピッチ幅および視認性と、各カード用原版により得られるセキュリティカード1A〜9A上の絵柄部の視認性との関係について、目視による検証を行った。なお、実施例1〜9については、表1で示す区分に分類した。
視認性については、カード用原版における絵柄形成部の粒状感および色(光沢または白濁の有無)、およびカードにおける絵柄部の粒状感および透明性を、以下の基準で評価した。
(絵柄形成部および絵柄部の粒状感)
・あり:ドットの形状が認識できる。
・なし:ドットの形状が認識できない。
(絵柄形成部の色感)
・白濁:光沢が無く、全体が白色に認識できる。
・やや白濁:光沢感よりも白濁感のほうが強く認識できる。
・光沢:白濁がなく、特に光沢感を顕著に認識できる。
(絵柄部の透明性)
・不透明:カード基材の色は認識できるが、霞んで見える。
・やや不透明:カード基材の色が若干霞んで見える。
・透明:カード基材の色が明瞭に認識できる。
<区分1>
実施例1、2のカード用原版では、ドット形成部の外形幅が100μmに満たないため、ドット形成部の粒状感は確認されなかった。また、ドット形成部の外形幅をピッチ幅で割った値が0.5以上であるため、各ドット形成部間の未処理領域は小さく、ドット形成部が密に配置されていることから、絵柄形成部が白色を帯びたものとして視認された。
また、実施例1、2のカード用原版により得られるカード1A、2Aについては、絵柄部は粒状感がなく全体が不透明であり、カード基材の色とは異なる色調を有するものとして視認された。
<区分2>
実施例3のカード用原版では、区分1のドット形成部の外形幅と同じであるが、ドット形成部の外形幅をピッチ幅で割った値が0.5未満であり、各ドット形成部間の未処理領域が大きいため、絵柄形成部が光沢を帯びたものとして視認された。
また、上記カード用原版により得られるカード3Aについては、絵柄部が区分1における絵柄部と比較して透明性を有し、カード基材の色に近い色調を有するものとして視認された。
<区分3〜5>
実施例4、5のカード用原版では、ドット形成部の外形幅が100μm以上であるため、実施例1〜3とは異なり、絵柄形成部に粒状感が確認された。
また、実施例4のカード用原版では、ドット形成部の外形幅をピッチ幅で割った値が0.5以上であるため、未処理領域が比較的大きく、絵柄形成部全体が白色を帯びて認識され、一方、実施例5のカード用原版では、ドット形成部の外形幅をピッチ幅で割った値が0.5未満であったため、絵柄形成部全体が光沢感を有するように認識された。
実施例4のカード用原版により得られるカード4Aの絵柄部は、粒状感を有するとともに全体が不透明に認識され、実施例5のカード用原版により得られるカード5Aの絵柄部は、粒状感を有するがカード4Aよりも全体に透明性を有した。このように、区分1のカード1A〜3Aとの表示態様の違いが確認された。
実施例6〜9のカード用原版においては、実施例4、5と比較してドット形成部の外形幅がさらに大きいため、絵柄形成部において粒状感が認識された。実施例6、7と比較して、実施例8、9のほうがドット形成部の粒状感はより強く認識された。
また、実施例6、8は実施例4と比較して白濁感が弱まり、実施例7、9は実施例5と比較して光沢感が弱まったことから、ドット形成部のピッチ幅の違いによる色感への影響は小さくなったことが示唆された。
実施例6〜9のカード用原版により得られるカード6A〜9Aにおいても、絵柄部は粒状感が認識された。カード6A、7Aと比較して、カード8A、9Aのほうが絵柄部の粒状感はより強く認識された。
また、カード6A、8Aはカード4Aと比較して不透明感が感じられず、また、カード7A、9Aはカード5Aと比較して透明感が感じられなかったことから、ドット部のピッチ幅の違いによる透明性への影響は小さくなったことが示唆された。
検証2から、カード用原版の絵柄形成部について、ドット形成部の外形幅およびピッチ幅を選択して段階的に配置することにより、得られるカードにおいて、当該絵柄形成部により転写形成された絵柄部を、グラデーション表示させることが可能であることが示唆された。
1 … 金属基板
2 … 平面部
3 … レンチキュラーレンズ形成部
4 … 半円柱形レンズ転写部
5 … 隔壁部
6 … 絵柄形成部
7 … ドット形成部
10 … セキュリティカード用転写原版(カード用原版)
11 … レンチキュラーレンズシート
12 … カード基材
13 … シート平坦部
14 … レンチキュラーレンズ
15 … 半円柱形レンズ
16 … レンズ間溝部
17 … ドット部
18 … 絵柄部
19 … 画像部
20 … セキュリティカード

Claims (11)

  1. 金属基板の一方の面上に平面部およびレンチキュラーレンズ形成部を有し、
    前記レンチキュラーレンズ形成部が、ストライプ状に配置された複数本の半円柱形レンズ転写部と、隣り合う前記半円柱形レンズ転写部の間に形成される隔壁部とを有し、
    前記平面部の少なくとも一部に複数個のドット形成部が集合して成る絵柄形成部を有することを特徴とするセキュリティカード用転写原版。
  2. 前記ドット形成部は、前記金属基板の前記一方の面から凹んだ凹形状であることを特徴とする請求項1に記載のセキュリティカード用転写原版。
  3. 前記ドット形成部の外形幅が、30μm〜1000μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセキュリティカード用転写原版。
  4. 一の前記ドット形成部の前記外形幅が、他の前記ドット形成部の前記外形幅と異なることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかの請求項に記載のセキュリティカード用転写原版。
  5. 隣接する2つの前記ドット形成部間のピッチ幅が、互いに隣接する他の2つの前記ドット形成部間のピッチ幅と異なることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかの請求項に記載のセキュリティカード用転写原版。
  6. 画像部を有するカード基材、および前記カード基材の一方の表面上に配置されるレンチキュラーレンズシートを有し、
    前記レンチキュラーレンズシートが、複数個のドット部が集合して成る絵柄部を少なくとも一部に含むシート平坦部と、レンチキュラーレンズとを有し、
    前記レンチキュラーレンズが、ストライプ状に配置された複数本の半円柱形レンズと、隣り合う前記半円柱形レンズの間に形成されたレンズ間溝部とを有し、
    前記半円柱形レンズと前記画像部とが平面視上に重なるように配置され、観察角度によって前記レンチキュラーレンズを介して視認される前記画像部が異なることを特徴とするセキュリティカード。
  7. 前記ドット部は、前記シート平坦部の表面から突出した凸形状であることを特徴とする請求項6に記載のセキュリティカード。
  8. 前記ドット部の外形幅が、30μm〜1000μmの範囲内であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のセキュリティカード。
  9. 一の前記ドット部の外形幅が、他の前記ドット部の外形幅と異なることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかの請求項に記載のセキュリティカード。
  10. 隣接する2つの前記ドット部間のピッチ幅が、互いに隣接する他の2つの前記ドット部間のピッチ幅と異なることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかの請求項に記載のセキュリティカード。
  11. 前記レンチキュラーレンズシートが配置される前記カード基材の表面の少なくとも一部に印刷層が形成されており、
    前記絵柄部と前記印刷層とが平面視上に重なるように配置されていることを特徴とする請求項6から請求項10のいずれかの請求項に記載のセキュリティカード。
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