JP2014124666A - 圧延制御装置、圧延制御方法および圧延制御プログラム - Google Patents

圧延制御装置、圧延制御方法および圧延制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】特別なハードウェアを追設することなく、高精度にスタンド間の板厚を推定すること。
【解決手段】複数のロール対における圧延順の最後段に配置されたロール対の出側の板厚測定結果を取得し、取得した出側の板厚に基づいてマスフロー一定の法則に従って入側の板厚を計算し、ロール対の入側の板厚の計算結果を、直前に配置されたロール対から送り出される被圧延材の板厚として用いて同一の計算を繰り返すことにより、先頭に配置されたロール対の入側の板厚を計算し、計算された先頭に配置されたロール対の入側の板厚と、異なる方法によって得られた先頭に配置されたロール対の入側の板厚との誤差を算出し、算出した誤差に基づき、複数のロール対における圧延順の先頭の直後に配置されたロール対から最後段に配置されたロール対までの、夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の誤差を補正することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧延制御装置、圧延制御方法および圧延制御プログラムに係わり、より詳細にはマスフロー一定測による中間板厚の推定値の高精度化に関する。
圧延スタンドを複数台並べることにより、被圧延材を複数回圧延して所望の板厚を得るタンデム圧延機がある。このようなタンデム圧延機においては、圧延される板の速度を検知して圧延機直下の板厚推定値(以降「マスフロー推定板厚」とする)を求めて板厚制御を行うマスフロー板厚制御が行われる場合がある。
被圧延材である鋼板の先端が各圧延スタンドに噛み込まれて行くときの圧延を安定化し、鋼板の先端で高精度な圧延結果、即ち目的通りの板厚や板幅を得るためには、各圧延スタンドの荷重、即ち圧下位置とロール速度の指令値を、適切な値にする必要がある。荷重が不適切だと、鋼板先端の板厚が目標の値にならないため、品質不良が発生する。またロール速度が後段圧延スタンドのロール速度に対して早いと、圧延スタンド間で板がたるみ、圧延が不安定になる。逆にロール速度が遅いと後段圧延スタンドとの間で鋼板が引っ張られ、過大な張力が発生する。この結果、板幅や板厚が縮み、鋼板品質を悪化させる。
各圧延スタンドの荷重を推定するためには、圧延スタンド入出側の板厚の値が必要である。また各圧延スタンドのロール速度は、圧延スタンド入側と出側で板厚と板速の積が一定である法則(以降、「マスフロー一定則」とする)を基に計算される。通常の熱間圧延設備では、板厚計は最終圧延スタンドの出側にのみ備えられる。このため、圧延スタンドと圧延スタンドの間の板厚(以降、「中間板厚」とする)は推定するしかなく、中間板厚の推定精度向上が、従来から重要な課題であった。
中間板厚の推定精度を向上するための従来手法として、例えば、鋼板が各圧延スタンドを通過する時刻の情報からロール周速と出側板速の比を示す先進率の実績を求め、先進率計算モデルを学習し、最終圧延スタンド出側で鋼板先端の板厚と各圧延スタンドのロール周速を同時に検出し、これらと計算先進率とから、マスフロー一定則により、各スタンド間の板厚を算出する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、スタンド間に取り付けたルーパ回転検出器でスタンド間板速を実測し、最終圧延スタンド出側板厚計で検出した板厚とスタンド間板速から、マスフロー一定則に基づいて圧延スタンド間板厚を推定する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平10−15606 特開平5−305320
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、鋼板が各スタンドを通過する時刻は、各圧延スタンドで検出した圧延荷重の立上り変化、即ち、鋼板先端が圧延スタンドに噛み込まれた際の荷重応答に対応付けて決定するが、立上り変化そのものに一定時間を必要とするため、通過時刻を高い精度で決定することが困難な問題があった。さらに5m程度の一様な圧延スタンド間距離に対して、鋼板速度は後段圧延スタンドに行くにしたがって速くなるため、通過時刻の決定精度が後段スタンドほど低下する。特許文献1の手法ではこの点に配慮していないため、通過時刻の決定精度がばらつく問題があった。また特許文献2の手法では、ルーパ回転検出器の設置とメンテナンスがコスト高になる問題があった。
本発明は上述したような課題を解決するためのものであり、特別なハードウェアを追設することなく、高精度にスタンド間の板厚を推定することを目的とする。
本発明の一態様は、被圧延材を複数のロール対で圧延するタンデム圧延機を制御する圧延制御装置であって、複数のロール対における圧延順の最後段に配置されたロール対の出側の板厚測定結果を取得し、取得した出側の板厚に基づいてマスフロー一定の法則に従って入側の板厚を計算し、ロール対の入側の板厚の計算結果を、直前に配置されたロール対から送り出される被圧延材の板厚として用いて同一の計算を繰り返すことにより、先頭に配置されたロール対の入側の板厚を計算し、計算された先頭に配置されたロール対の入側の板厚と、異なる方法によって得られた先頭に配置されたロール対の入側の板厚との誤差を算出し、算出した誤差に基づき、複数のロール対における圧延順の先頭の直後に配置されたロール対から最後段に配置されたロール対までの、夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の誤差を補正することを特徴とする。
また、本発明の他の態様は、被圧延材を複数のロール対で圧延するタンデム圧延機を制御する圧延制御方法であって、複数のロール対における圧延順の最後段に配置されたロール対の出側の板厚測定結果を取得し、取得した出側の板厚に基づいてマスフロー一定の法則に従って入側の板厚を計算し、ロール対の入側の板厚の計算結果を、直前に配置されたロール対から送り出される被圧延材の板厚として用いて同一の計算を繰り返すことにより、先頭に配置されたロール対の入側の板厚を計算し、計算された先頭に配置されたロール対の入側の板厚と、異なる方法によって得られた先頭に配置されたロール対の入側の板厚との誤差を算出し、算出した誤差に基づき、複数のロール対における圧延順の先頭の直後に配置されたロール対から最後段に配置されたロール対までの、夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の誤差を補正することを特徴とする。
また、本発明の他の態様は、被圧延材を複数のロール対で圧延するタンデム圧延機を制御する圧延制御プログラムであって、複数のロール対における圧延順の最後段に配置されたロール対の出側の板厚測定結果を取得するステップと、取得した出側の板厚に基づいてマスフロー一定の法則に従って入側の板厚を計算するステップと、ロール対の入側の板厚の計算結果を、直前に配置されたロール対から送り出される被圧延材の板厚として用いて同一の計算を繰り返すことにより、先頭に配置されたロール対の入側の板厚を計算するステップと、計算された先頭に配置されたロール対の入側の板厚と、異なる方法によって得られた先頭に配置されたロール対の入側の板厚との誤差を算出するステップと、算出した誤差に基づき、複数のロール対における圧延順の先頭の直後に配置されたロール対から最後段に配置されたロール対までの、夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の誤差を補正するステップとを情報処理装置に実行させることを特徴とする。
本発明によれば、特別なハードウェアを追設することなく、高精度にスタンド間の板厚を推定することができる。
本発明の実施形態に係る圧延機及び圧延制御装置の全体構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る粗圧延の態様を示す図である。 本発明の実施形態に係る粗圧延の先進率計算動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る粗材厚み推定動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る中間板厚推定動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る圧延荷重学習動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るセットアップ動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係るドラフトスケジュールテーブルを示す図である。 本発明の実施形態に係る速度パターンテーブルを示す図である。 本発明の実施形態に係る速度指令補正手段の構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る先端値抽出動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る定常値抽出動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る先端値記憶手段、定常値記憶手段による記憶値を示す図である。 本発明の実施形態に係る速度指令補正動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る速度指令補正動作の態様を示す図である。 本発明の実施形態に係る速度指令バランス動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る速度指令バランス動作の態様を示す図である。 本発明の実施形態に係る圧延制御装置のハードウェア構成を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態に係る圧延システムにおいては、原材料であるスラブを中間板厚になるまで往復圧延する粗圧延と、粗圧延された鋼材を目標板厚に高精度にタンデム圧延する仕上げ圧延とを行う。そして、仕上げ圧延においては、マスフロー一定測により求めた先頭圧延スタンド入側の板厚と、異なる方法により求めた先頭圧延スタンド入側の板厚との誤差に基づき、マスフロー一定測により求めた中間板厚を補正する。これにより、中間板厚の推定値を高精度化することが可能であり、この結果、鋼板先端の圧延を安定化できるとともに、高品質な鋼板が生産できる。
図1は、本発明の実施形態に係る圧延制御装置の機能構成を示すブロック図である。熱間タンデム圧延ミルの制御装置100は制御対象150、即ち粗圧延スタンド及び仕上げ圧延スタンドを含む圧延機から種々の信号を受信し、制御信号を制御対象150に出力する。まず制御対象150の構成を説明する。本実施例で制御対象150は、粗ミル151と仕上げミル160を備えた熱間圧延ミルであり、図の例で粗ミル151は竪型圧延機152と水平圧延機153から構成される。
また仕上げミル160は複数の圧延スタンドから構成され、本実施例ではF1〜F7までの圧延スタンド161を7つ連続配置した構成となっている。図1において、被圧延材である鋼板は左から右に移動し、粗ミル151よりも更に前工程である加熱炉から抽出された高温のスラブ154に対して、粗ミル151で往復圧延が行われる。1回の圧延をパスと呼び、通常3〜7パス程度の圧延が行われる。
粗ミル151では、スラブを往復させ、竪型圧延機152でスラブの幅を整える圧延を行い、水平圧延機153でスラブの厚みを薄くする圧延が行われる。粗ミル151において、スラブ154は最終的に厚さ30mm程度の粗材157に加工され、仕上げミル160に送り出される。粗材157は、粗バー、インカミングバー、トランスファーバー等の名称で、呼ばれることもある。
仕上げミル160において、粗材157は各圧延スタンド161による圧延により順次薄く加工され、F7出側で最終的な目標板厚の鋼板、例えば1mm〜15mm程度の鋼板163として、払い出される。粗ミル151および仕上げミル160で、スラブ154、粗材157および鋼板163を直接圧延するのは水平圧延機153や各圧延スタンド161に備えられたワークロール162で、本発明でロール速度とはワークロール162の周速を意味している。
スラブ154、粗材157および鋼板163の状態を把握するための検出器として本実施例では、粗ミル151の入側にスラブの幅を計測するための板幅計155を備えている。また粗ミル151の出側に粗材157の幅を計測するための板幅計156と粗材157の到着を検出するためのHMD(Hot Metal Detector)158を備えている。さらに仕上げミル160の最終圧延スタンド(F7)出側に、鋼板163の板厚や板幅を測定するマルチゲージ164が備えられている。
本実施例では省略しているが、実際には、スラブ154、粗材157および鋼板163の状態を把握するための検出器として、温度計や板の平坦度を計測する形状計、粗材157の先尾端形状イメージを測定するクロッププロファイル計、鋼板163の表面傷を検知する表面疵計等、種々の検出器が、必要に応じて各所に備えられる。
次に熱間タンデム圧延ミルの制御装置100の構成を説明する。熱間タンデム圧延ミルの制御装置100においては、セットアップ手段101が、圧延される鋼板のそれぞれについて、上位計算機50から、鋼種、目標板厚、目標板幅等の圧延に必要な情報を受信する。そして、セットアップ手段101は、ドラフトスケジュールテーブル102と速度パターンテーブル103を参照して、各圧延スタンド161に対して圧延荷重、ワークロール162の圧下位置(ロールギャップ)、ワークロール162のロール速度等を計算する。
また、実績収集手段110は、制御対象150からの圧延実績や熱間圧延ミルの制御装置100が実際に制御対象に出力した制御指令値を収集する。粗圧延先進率推定手段111は、実績収集手段110が収集したデータを用いて、粗ミル151での最終パスの圧延における先進率を推定する。粗材厚み推定手段112は、実績収集手段110が収集したデータと粗圧延先進率推定手段111の出力から粗材157の厚みを推定する。中間板厚推定手段113は、実績収集手段110が収集したデータから仕上げミル160の各圧延スタンド161間の鋼板厚み(以下、中間板厚)を推定し、さらに推定した中間板厚を粗材厚み推定手段112が推定した粗材157の厚みを用いて補正することで、最終的な中間厚みを推定する。
ここで先進率とは、ワークロールの周速とワークロールで圧延される板の出側速度との比に対応した値であり、以下の式(1)のように、入側板厚H、出側板厚h、偏平ロール径R´、変形抵抗K、入側張力t及び出側張力tにより求められる。
f=F(H、h、R´、K、t、t)・・・(1)
また、圧延荷重学習手段114は、実績収集手段110が収集したデータと中間板厚推定手段113が推定した板厚を用いて、圧延荷重を計算するときに使用する学習係数を算出する。速度指令補正手段120は、次回圧延される鋼板に対してセットアップ手段101が算出したロール速度を補正する。速度指令バランス手段121は、速度指令補正手段120の出力を取り込み、各圧延スタンド161のそれぞれに対する速度補正量を圧延スタンド間のバランスに配慮して上下限内にリミットする。
速度制御手段122は、最終的なロール速度の指令に対して、速度制御を行う。圧下位置制御手段130は、セットアップ手段101が出力した圧下位置指令に対して、マルチゲージ164で計測した実績板厚と目標板厚の差(板厚偏差)等の信号を用いて実際の圧下位置を制御する。
以下、各部の動作を詳細に説明する。図2に粗ミル151の詳細構成を示す。粗ミル151では、スラブ154が往復圧延により順次薄く加工され、さらに並行して、竪型圧延機152により、粗材157が所定の幅になるように、幅制御が行われる。粗ミル151の最終パスの圧延では、仕上げミル160に対して粗材157の送り出しが行われる。
水平圧延機153が備えたワークロール201の、最終パスの圧延における周速Vに対して、ワークロール201で圧延された粗材157の速度Vは、先進率を用いて以下の式(2)で表される。
=(1+f)・V・・・(2)
ここでfは先進率であり、ワークロール201の周速Vに対して粗材157の速度Vが(1+f)倍早いことを示しているが、fを直接検出することはできない。そこで圧延の実績を用いて、fを推定することを考える。
尚、粗圧延における最終パスは、仕上げ圧延のために仕上げミル160に被圧延材を挿入する直前の圧延処理であり、粗ミル151に対して被圧延材の先頭から終端までを1回搬送する最終粗圧延処理である。
図3に粗圧延先進率推定手段111が先進率を推定する処理を示す。水平圧延機153が最終パスの圧延を開始した時刻をt、最終パスの圧延を終了した時刻をtとし、この間のワークロール201の周速をV(t)とする。さらに粗材157がHMD158に到着した時刻をt2、水平圧延機153とHMD158の距離をLhmdとする。
本実施例ではHMD158到着を距離算出の基準点としたが、水平圧延機153での圧延中に、粗材157が距離算出基準点に到着する必要がある。すなわちt<tである必要がある。粗ミル151と仕上げミル160の間には通常、粗材157の到着を検知できる装置として、「板あり検出信号」を出力する板幅計156や、「板到着信号」を出力し、粗材157の先端形状を計測するクロッププロファイルゲージ等が備わっている。HMD158が適当な位置に設置されていない場合には、距離算出の基準点として、これらの信号を使用することも考えられる。
図3に示すように粗圧延先進率推定手段111は、先ず水平圧延機153のロードオン信号を取り込み(S301)、tを取得する。次に、粗圧延先進率推定手段111は、HMD158が粗材157の先端を検出した信号を取り込み(S302)、tを求める。そして、粗圧延先進率推定手段111は、水平圧延機153のロードオンからHMD158で先端を検出するまでのワークロール201の周速の積分により、以下の式(3)によってワークロール201の回転周長Lwr1を算出する(S303)。
Figure 2014124666
回転周長Lwr1を算出すると、粗圧延先進率推定手段111は、水平圧延機153のロードオンからHMD158で先端を検出するまでの平均的な先進率の値を算出する(S304)。先進率の推定値festは以下の式(4)で求めることができる。
est=Lhmd/Lwr・・・(4)
図4に粗材厚み推定手段112の処理を示す。図4に示すように、粗材厚み推定手段112は、スラブ154の厚み、長さ、幅を取り込む(S401)。これらの値は、一般にあらかじめ前工程で測定された値が上位計算機50から送られてくるが、本実施例ではスラブ幅を板幅計155で計測できる。このように検出器が備えられている項目については、制御対象150から取り込んだ値で書き換えても良く、最も高精度な値を使用する。
そして、粗材厚み推定手段112は、板幅計155で計測したスラブ154の幅の値を制御対象150から取り込み(S402)、粗ミル151の最終パスにおいて、水平圧延機153の圧延開始から圧延終了までの間の、ワークロール201の周長Lwr2を求める(S403)。周長は、以下の式(5)に示すように、周速V(t)の値を、水平圧延機153の圧延開始時刻tから圧延終了時刻tまでの間で積分することにより得られる。
Figure 2014124666
粗材厚み推定手段112は、上記式(5)によりワークロール201の周長Lwr2を求めると、以下の式(6)に示すように、Lwr2に先進率festを乗じることで、粗材157の長さLを求める
=fest×Lwr2・・・(6)
粗材厚み推定手段112は、上記式(6)により粗材157の長さLを求めると、スラブ154と粗ミル151で圧延済みの粗材157において、体積が保存されることに着目して、スラブ厚t、スラブ幅W、スラブ長L、粗材の幅W及び粗材の長さLを用いて、以下の式(7)により粗材の厚みtを推定する。即ち、粗材厚み推定手段112が、粗圧延結果取得部として機能する。
=(t×W×L)/(W×L)・・・(7)
図5に中間板厚推定手段113が実行する処理を示す。中間板厚推定手段113は圧延が終了した当該の鋼板163について、その圧延実績を基に中間板厚を推定する。図5に示すように、中間板厚推定手段113は、最終スタンド(F7)出側のマルチゲージ164で計測した板厚の値tを取り込む(S501)。
F7の入側と出側では、板厚と板速の積が一定の、いわゆるマスフロー一定速が成立する。中間板厚推定手段113は、マスフロー一定則に従い、以下の式(8)によりF6出側板厚を推定する(S502)。
=t×V×(1+f)/{V×(1+f)}・・・(8)
ここで、tは計測したF7出側板厚、VはF7ワークロールの周速、fはF7の先進率、VはF6ワークロールの周速、fはF6の先進率を示す。即ち、中間板厚推定手段113が、マルチゲージ164で計測された板厚の値tを取得する出側板厚取得部として機能すると共に、マスフロー一定測に基づいて各スタンドの出側板厚を計算する板厚計算部として機能する。
先進率f、fとしては、セットアップ手段101により、当該鋼板の圧延に先立って算出された値を使用する。算出は、上述した式(1)を用いて行うが、数式を用いた推定による計算なので一定の誤差を含んだ値であり、これにより推定した中間板厚にも誤差が重畳している。この誤差の補正は後述するS505、S506において実行される。これが、本実施形態に係る要旨の1つである。
中間板厚推定手段113は、上記式(8)と同様の処理を繰り返すことにより、F5、F4、F3、F2、F1の順で、各圧延スタンドの出側板厚、即ちタンデム圧延における中間板厚を推定する(S503)。このように、中間板厚推定手段113は、各先進率と圧延スタンド出側の板厚からスタンド入側の板厚を求める演算を、下流圧延スタンドから順に行う。更に、中間板厚推定手段113は、同様の処理により以下の式(9)を用いて粗材157の板厚tb_estを推定する。
b_est=t×V×(1+f)/V・・・(9)
ここで、tは推定したF1出側板厚、VはF1ワークロールの周速、fはF1の先進率、Vは粗材157の速度を示す。
そして、中間板厚推定手段113は、粗材厚み推定手段112が推定した粗材157の厚みtと、推定した粗材厚みtb_estとの偏差Δtを算出する(S505)。更に、中間板厚推定手段113は、以下の式(10)を用いて、Δtを用いて中間板厚の推定値を補正し、学習手段101や速度指令補正手段120での計算に使用する中間板厚を算出する(S506)。
i_est=t+Δt×(t/tb_est)・・・(10)
ここで、tはS502、S503において推定されたFスタンドの出側板厚を示す。即ち、中間板厚推定手段113が、誤差補正部として機能する。
このように、本実施形態においては、タンデム圧延機の最後段に設けられた圧延スタンドの出側に設けられた板厚計の計測結果に基づいてマスフロー一定測に従った計算を行うことにより、各スタンドの入側の板厚を算出する。そのようにして算出された入側の板厚は、その直前に配置された圧延スタンドの出側板厚であるため、マスフロー一定測に従った計算を繰り返すことにより、各段の圧延スタンドの出側板厚、即ち中間板厚を順番に求めることが可能である。
そのようなマスフロー一定測に従った計算を繰り返すことにより求められたタンデム圧延機の先頭に設けられた圧延スタンドの入側板厚と、図2において説明した方法により求めた粗材157の板厚、即ち、タンデム圧延機の入側板厚との誤差により、マスフロー一定測に従って求めた各中間板厚の誤差を補正する。このような処理により、中間板厚の推定精度を向上することが本実施形態に係る要旨の1つである。
また、本実施形態においては、マスフロー一定測に従って求めた各中間板厚を補正する際、マスフロー一定測に従って求めたタンデム圧延機の入側の板厚と、他の方法により求めたタンデム圧延機入側の板厚との誤差に基づいて各中間板厚を補正するための補正値を決定する。その際、上記式(10)に示すように、マスフロー一定測に従って求めたタンデム圧延機の入側の板厚に対する補正対象の板厚の割合を上記誤差に乗ずることによって、補正値を算出する。即ち、上記式(10)に含まれる数式のうち、Δt×(t/tb_est)の部分が、補正値を示す部分である。このような処理により、各中間板厚の補正を好適に求めることができる。
尚、上述したように求めたマスフロー一定測に従って求めたタンデム圧延機の入側の板厚と、他の方法により求めたタンデム圧延機入側の板厚との誤差に基づいて各中間板厚に適用するための補正値を算出する際には、上述したような方法の他、上記誤差を各中間板厚に分配するような態様も考えられる。分配の方法については、均等に分配する態様の他、各圧延スタンドにおける圧下率に基づいて決定することも可能である。
このような処理により中間板厚の推定精度が向上されることにより、中間板厚を用いた以降の処理の精度を向上することが可能となる。以下に、以降の処理について説明する。図6に圧延荷重学習手段114の処理を示す。圧延荷重学習手段114は、制御対象150から取り込んだ圧延温度や圧延速度の実績やスタンド入出側の板厚の推定値等から各スタンドの圧延荷重を推定し、制御対象150から取り込んだ各スタンドの実績圧延荷重との比較から、圧延荷重推定値を補正するための圧延荷重補正係数を算出する。即ち、圧延荷重学習手段114が、圧延荷重計算部として機能する。
図6に示すように、圧延荷重学習手段114は、制御対象150から、当該圧延におけるF1〜F7の圧延荷重実績を取り込む(S601)。次に、圧延荷重学習手段114は、夫々のスタンド毎に、制御対象150から取り込んだ圧延荷重予測式を用いて、圧延荷重の推定演算を行う(S602)。
圧延荷重は入側板厚を出側板厚まで薄くするのに必要な荷重で、入側板厚が大きく、出側板厚が小さいほど、また変形抵抗が大きいほど大きな値となる。また入側板厚と出側板厚の値が正確であるほど、圧延荷重を高精度に推定できる。圧延荷重予測式は、例えば板幅w、変形抵抗Kp、圧下力関数Qp及び摩擦係数μを用いて、以下の式(11)で表される。
P=g(w、K、Q、t、t、R´、H、h、μ)・・・(11)
上記式(11)において、入側板厚Hと出側板厚hは式(10)で推定したti_estを用いる。言うまでもなくti_estは、(i+1)スタンドの入側板厚としても使用される。後方張力t、前方張力tとして制御対象150から取り込んだ実績値を使用し、偏平ロール径R´や変形抵抗K、圧下力関数Qの計算も、実績値や実績値から計算した値を使用して行う。
そして、書き式(12)により、圧延荷重学習手段114は、実績荷重と推定荷重から圧延荷重補正係数Zを算定する。
(Zp)=(Pact/(Pest・・・(12)
ここで、(Pactは、制御対象150から取り込んだ仕上げミル160のiスタンドの実績荷重、 (Pestは、式(11)で計算したiスタンドの推定荷重、(Zは、iスタンドの圧延荷重補正係数である。(Zは、セットアップ手段101において、次回圧延される鋼板163のための圧延荷重の推定計算に使用される。
図7にセットアップ手段101が実行する処理を示す。セットアップ手段101は、上位計算機50から、鋼種、目標板厚、目標板幅等の圧延に必要な情報を受信した後、これから圧延される鋼板に対する圧下位置やロール速度等の制御指令を算出する。本来セットアップ手段101は、粗ミル151と仕上げミル160に対してこの演算を行うが、本実施例では粗ミル151に対する演算は省略し、本発明の適用範囲である仕上げミル160に対するセットアップ演算の内容のみを記載する。
仕上げミル160において鋼板163の先端は、セットアップ手段101が出力した制御指令に従って圧延されるので、先端から所望の鋼板厚みを得るためには、圧延荷重やワークロール162の圧下位置が適切であることが必要である。また、鋼板が下流スタンドに噛み込むときの挙動を安定化するためには、各スタンドのロール速度を、鋼板163のマスフローが乱れないようなバランスの良い指令にすることが必要である。
図7に示すように、セットアップ手段101は、ドラフトスケジュールテーブル102の対応する項目から、F1〜F7の圧延スタンド161夫々において、粗材157および鋼板163をどれくらい薄くするかに対応した情報であるドラフトスケジュールを取り込む(S701)。図8にドラフトスケジュールテーブル102の構成例を示す。図8の例に係るドラフトスケジュールは、粗材157と鋼板163の厚み差に対して、各圧延スタンド161で圧延される値を、厚み差に対するパーセントで格納しており、各ドラフトスケジュールは圧延される鋼板の鋼種、板厚、板幅で層別されている。
例えば鋼種がSS400、目標板厚が2.5mm、目標板幅が900mmの35mmの粗材157を考える。目標板厚は2.0〜3.0mm、目標板幅は1000mm以下の層別が該当する。35mmの粗材157を2.5mmの鋼板163に圧延するので、板厚差32.5mmについて、F1ではその24%、F2では16%を圧延することを示している。すなわちF1では、以下の式(13)に示す圧延が行われ、35mmの粗材を35mm−7.8mmで、27.2mmに圧延する。
32.5mm×24/100=7.8mm・・・(13)
同様に、F2では、16%であるから、以下の式(14)に示す圧延が行われ、27.2mmの板を27.2mm−5.2mmで、22.0mmに圧延する。
32.5mm×16/100=5.2mm・・・(14)
ある層別に対して、ドラフトスケジュールの各圧延スタンドの数値の総和は100であり、同様の計算手順を繰り返すと、最終スタンドであるF7の出側板厚は目標板厚である2.5mmになる。このようにしてセットアップ手段101は、S701において、上位計算機50から受け取った次回圧延される鋼板の鋼種、板厚、板幅からドラフトスケジュールテーブル102の該当層別箇所を検索し、各圧延スタンドの圧延量を取り込む。
尚、図8に示すドラフトスケジュールは、上述したΔtに基づいて各中間板厚を補正する際の補正量の決定に際しても用いることが可能である。即ち、上述したように求めたマスフロー一定測に従って求めたタンデム圧延機の入側の板厚と、他の方法により求めたタンデム圧延機入側の板厚との誤差に基づいて各中間板厚に適用するための補正値を算出する際に、図8に示すドラフトスケジュールの各圧延スタンドの数値を用いても良い。
例えば、F1の入側の板厚を補正する際には、Δtの100%を適用し、F1の出側、即ちF2の入側の板厚を補正する際には、100から24を引いた76%を適用する。また、F2の出側、即ち、F3の入側の板厚を補正する際には、76から16を引いた80%を適用する。このように、各圧延スタンドに対する圧下量の分配に応じて誤差を分配することによっても、各中間板厚の誤差を好適に補正することが可能である。
次に、セットアップ手段101は、速度パターンテーブル103から速度パターンを取り込み(S702)、各圧延スタンドのロール速度を計算する。図9に速度パターンテーブル103の構成を示す。鋼板163の鋼種、目標板厚、目標板幅に対して、最終圧延スタンドであるF7から鋼板163の先端が払い出されるときの速度、即ち初期速度、その後、第1加速度、第2加速度、最大速度、最大速度から鋼板160の尾端を圧延するときの終期速度まで減速するときの減速度、および終期速度が、各層別毎に蓄積されている。
セットアップ手段101は、鋼板163の鋼種、板厚、板幅を判定して、速度パターンテーブル103から対応する速度パターンを抽出する。たとえば鋼種がSUS304、板厚2.0〜3.0mm、板幅が100mm以下のときには、初期速度650mpm、第1加速度2mpm/s、第2加速度12mpm/s、定常速度1050mpm、減速度6mpm/s、終期速度900mpmが設定されることを示している。
次にセットアップ手段101は、圧延温度を推定する(S703)。粗材157および鋼板163の温度は、温度計で検出した値と、熱輻射、熱伝達等を考慮した温度予測計算を組み合わせて推定する。温度推定方法は熱力学の文献等で多数紹介されているため詳しい説明は省略する。
そして、セットアップ手段101は、各圧延スタンドで圧延される鋼板の硬さに相当する値である変形抵抗を計算する(S704)。変形抵抗については種々の文献で述べられており、代表的な計算式として、推定された圧延時の鋼板温度Tを用いて以下の式(15)により求められる。
kf=Kε(dε/dt)exp(A/T)・・・(15)
ここで、 εはひずみ、(dε/dt)は、ひずみ速度、K、n、m、Aは鋼種ごとに決まる定数である。
次に、セットアップ手段101は、で各圧延スタンドのロール速度を計算する(S705)。S702で取り込んだ速度パターンはF7出側の板速なので、これを基に各圧延スタンドの出側板速を、以下により計算する。まず各圧延スタンドの出側板速を以下の式(16)で計算する。
Vs=Vs×h/h・・・(16)
ここで、Vsは第iスタンドの出側板速、hiは第iスタンドの出側板厚、hは第7スタンド(最終圧延スタンド)の出側板厚を示す。
次にセットアップ手段101は、先進率を用いて、各圧延スタンドの出側板速から各圧延スタンドのロール速度を算出する。先進率を用いると、ロール速度と出側板速の間には以下の式(17)の関係がある。
Vr=Vs/f・・・(17)
ここで、Vrは、第iスタンドのロール速度、fは、第iスタンドの先進率を示す。
そして、セットアップ手段101は、先進率を圧延スタンド毎に計算し、各圧延スタンドのロール速度を求める。さらに、セットアップ手段101は、圧延荷重を計算する(S706)。圧延荷重は上記式(11)で計算される。最後に、セットアップ手段101は、ワークロール162の圧下位置(ロールギャップ)を計算する(S707)。圧下位置算出の基本部分は、以下の式(18)の関係式で表されるが、実際には算出精度を上げるため、種々の補正項が付加される。
S=h−P/k・・・(18)
ここで、Sは圧下位置、Pは圧延荷重、Kはミルばね定数を示す。
セットアップ手段101は、次回圧延される鋼板に対応して上記のように計算したロール速度や圧下位置を制御指令として出力する。このような処理が、上述したように高精度化された中間板厚に基づいて実行されるため、実際の圧延現象、特に、フィードバック制御が安定するまでの鋼板の先端における圧延結果を、意図した目標値に近付けることが可能となる。
図10に速度指令補正手段120の構成を詳しく示す。速度指令補正手段120は、実績収集手段110が制御対象150から収集したデータから、前回圧延された鋼板163の先端部の圧延データを抽出する先端値抽出手段1001、先端値抽出手段1001が抽出した値を記憶する先端値記憶手段1003、前回の鋼板163の圧延が定常状態に達した後の、各圧延スタンド161のロール速度、圧延荷重、圧下位置を抽出する定常値抽出手段1002、定常値抽出手段1002が抽出した値を記憶する定常値記憶手段1003、先端値記憶手段1003と定常値記憶手段1004の内容を取り込み、次回圧延される鋼板に対してセットアップ手段101が算出したロール速度を補正する速度補正値算出手段1010により、構成される。
図11に先端値抽出手段1001の処理を示す。先端値抽出手段105は実績収集手段110の出力の中から、鋼板163の先端が圧延されたときの圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を、圧延スタンド毎に取り込む。本実施例では圧下位置と圧延荷重については実績値、ロール速度については速度制御手段122が出力した設定値を取り込むことにする。
図11に示すように、先端値抽出手段1001は、各圧延スタンドにおける鋼板163の払い出し長さ(圧延長)が一定長に到達したかどうかを判定する(S1101)。圧延長は通常、制御対象150から取り込む信号の中に含まれており、上記式(17)の関係を用いて、各圧延スタンドのロール速度から先進率を用いて推定した鋼板163の速度を積分して算出される。本実施例では圧延長に着目して先端部のデータの抽出を行う。
S1101において鋼板163の払い出し長さが一定長に到達していないと判定された場合(S1101/NO)、先端値抽出手段1001は、S1101の処理を繰り返す。払い出し長さが一定長に到達していると判定された場合(S1101/YES)、先端値抽出手段1001は、実績収集手段から、該当圧延スタンドのロール速度、圧下位置、圧延荷重を取り込む(S1102)。
そして、先端値抽出手段1001は、すべての圧延スタンドについて処理が終了したかどうかを判定し(S1103)、終了していない場合には(S1103/NO)、処理が終了していない圧延スタンドについて、S1101からの処理を繰り返す。すべての圧延スタンドについて、鋼板先端のロール速度、圧下位置、圧延荷重の取り込みが終わった時点で(S1103/YES)、この鋼板163に対する先端値抽出手段1001の処理を終了する。
図12に定常値抽出手段106の処理を示す。定常値抽出手段106は実績収集手段104の出力の中から、圧延が定常状態に到達したときの各圧延スタンド同一時刻の圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を取り込む。図12に示すように、定常値抽出手段106は、鋼板160のF7払い出し長さ(圧延長)が一定長に到達したかどうかを判定する(S1201)。圧延長は通常、制御対象150から取り込む信号の中に含まれており、上記式(17)の関係を用いて、F7のロール速度から先進率を用いて推定した鋼板163の速度をF7ロードオンのタイミングを起点とした積分の結果として、算出される。
F7の圧延長が小さいとき、圧延は鋼板163を噛込んだ直後の過渡状態であるが、圧延長が大きくなると、圧延は安定する。この点に着目して、本実施例では圧延長に着目して圧延の安定性を判定し、定常データの抽出を行う。鋼板163のF7払い出し長さが一定長に到達していないと判定された場合(S1201/NO)には、定常値抽出手段106はS1201からの処理を繰り返す。F7払い出し長さが一定長に到達していると判定された場合には(S1201/YES)、定常値抽出手段106は、実績収集手段から、各圧延スタンドのロール速度、圧下位置、圧延荷重を、一斉に取り込む(S1202)。
図13に先端値記憶手段1003と定常値記憶手段1004の構成を示す。先端値記憶手段1003は、各圧延スタンドが鋼板先端を圧延した時に対応して先端値抽出手段1001が抽出して出力した圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を格納している。例えばF1の圧下位置は30.40mm、圧延荷重は2364ton、ロール速度は27mpmであったことが記憶されている。
定常値記憶手段1004は、圧延が定常状態に到達したときに対応して定常値抽出手段1002が出力した各圧延スタンド圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を格納している。例えばF1の圧下位置は29.78mm、圧延荷重は2380ton、ロール速度は26.4mpmであったことが記憶されている。
図14に速度補正値算出手段1010が実行する処理を示す。図14に示すように、速度補正値算出手段1010は、まず先端値記憶手段1003から、各圧延スタンドに対応した前コイル先端部の圧下位置、圧延荷重、ロール速度を取り込む(S1401)。次に、速度補正値算出手段1010は、定常値記憶手段1004から、各圧延スタンドに対応した前コイル定常部の圧下位置、圧延荷重、ロール速度を取り込む(S1402)。
次に、速度補正値算出手段1010は、圧延スタンド毎に速度指令の補正量を算出する(S1403)が、算出方法について、図15を用いて詳しく説明する。図15(a)、(b)に、鋼板先端と定常状態の圧延スタンドの挙動を第jスタンド(Fj)を例に示す。図15(a)は鋼板先端の挙動で、鋼板先端1503を圧延した直後の圧延荷重、圧下位置、ロール速度がそれぞれ、Pact−top、Sact−top、Vset、Fjスタンド出側の板厚がhであることを示している。
一方、図15(b)は圧延が定常状態に達した後の挙動で、鋼板先端1503はF7(最終圧延スタンド)出側にあり、全圧延スタンドが圧延を行っており、釣り合っている。このときの圧延荷重、圧下位置、ロール速度がそれぞれ、Pact−stab、Sact−stab、Vstab、またFjスタンド出側の板厚がhであることを示している。このとき板厚と板速の積(マスフロー)が一定であることから、釣り合い状態から先端のあるべきロール速度を導出すると、以下の式(19)が得られる。
top_est・(1+ ftop)・(Stop+Ptop/M)
=Vstab・(1+fstab)・(Sstab+Pstab/M)・・・(19)
ここで、Vtop_estは、鋼板先端を圧延した時のあるべきロール速度、ftopは、鋼板先端部を圧延した時の先進率、Stopは、鋼板先端部を圧延した時の圧下位置、Ptopは、鋼板先端部を圧延した時の圧延荷重、Mは、ミル定数、Vstabは、鋼板定常部を圧延した時のロール速度、fstabは、鋼板定常部を圧延した時の先進率、Sstabは、鋼板定常部を圧延した時の圧下位置、Pstabは、鋼板定常部を圧延した時の圧延荷重を示す。
上記式(19)においては、V・(1+f)が板速、(S+P/M)が板厚に対応している。ここで、1+ftop≒1+fstabとすると、以下の式(20)が成り立つ。
top_est・(Stop+Ptop/M)
=Vstab・(Sstab+Pstab/M)・・・(20)
従って、以下の式(21)が成り立つこととなる。
top_est=Vstab・(Sstab+Pstab/M)/(Sstab+Pstab/M+Stop―Sstab+(Ptop―Pstab)/M)
=Vstab・h/(h+Stop―Sstab+(Ptop―Pstab)/M)・・・(21)
(Sstab―Pstab/M=h)
同様にF7(最終圧延スタンド)について、以下の式(22)が成り立つ。
7top_est=V7stab・h/(h+S7top−S7stab+(P7top−P7stab)/M)・・・(22)
また、最終圧延スタンドは速度制御の起点で、ロール速度は圧延中に変化しないので、以下の式(23)が成り立つ。
7stab=V7set・・・(23)
速度制御の起点を他のスタンドにすることもできる。各圧延スタンドの速度補正係数αiは、前回圧延した鋼板163に設定した速度指令と、圧延が釣り合った状態のロール速度から算出したあるべき速度指令の比である。あるべき速度指令は各スタンドで、圧延が釣り合った状態のロール速度を、このときの鋼板厚みと鋼板先端が圧延されたときの鋼板厚みを用いて、マスフローが一定則にしたがって鋼板先端のロール速度に換算することで求められる。
すなわち、以下の式(24)で計算できる。
αi=(Vi・top_est/Vi・set)・(V7・set/V7・top_est
=(Vi・act_stab/Vi・set)・h/{(h+Si・act_top−Si・act_stab+Pi・act_top−Pi・act_stab)/M}・{(h+S7・act_top-S7・act_stab+P7・act_top−P7・act_stab)/M}/h・・・(24)
ここで、Vi・act_stabは、第iスタンドが鋼板定常部を圧延した時のロール速度、Vi・setは、第iスタンドが鋼板先端を圧延した時のロール速度設定値、hは、第iスタンドの出側板厚、Si・act_topは、第iスタンドが鋼板先端部を圧延した時の圧下位置、Si・act_stabは、第iスタンドが鋼板定常部を圧延した時の圧下位置、Pi・act_topは、第iスタンドが鋼板先端部を圧延した時の圧延荷重、Pi・act_stabは、第iスタンドが鋼板定常部を圧延した時の圧延荷重、Mは、第iスタンドのミル定数、V7・act_stabは、第7スタンドが鋼板定常部を圧延した時のロール速度、V7・setは、第7スタンドが鋼板先端を圧延した時のロール速度設定値、hは、第7スタンドの出側板厚、S7・act_topは、第7スタンドが鋼板先端部を圧延した時の圧下位置、S7・act_stabは、第7スタンドが鋼板定常部を圧延した時の圧下位置、P7・act_topは、第7スタンドが鋼板先端部を圧延した時の圧延荷重、P7・act_stabは、第7スタンドが鋼板定常部を圧延した時の圧延荷重、Mは、第7スタンドのミル定数を示す。
すなわち前回圧延した鋼板の先端を圧延したときのロール速度、圧延荷重、圧下位置、鋼板の圧延が定常状態に達した後のロール速度、圧延荷重、圧下位置から、セットアップ手段が算出したロール速度を補正するための補正値が算出できる。あるいは計算を簡単にするために、以下の式(25)のように計算することも考えられる。
α=(Vi・top_est/Vi・set)・(V7・set/V7・top_est
=(Vi・act_stab/Vi・set)・h/{(h+Si・act_top−Si・act_stab+Pi・act_top−Pi・act_stab)/M}・・・(25)
速度補正値算出手段1010は、このような計算により圧延スタンド毎に速度指令の補正量を算出する。ちなみにF7(最終圧延スタンド)の速度指令補正量α7は、速度指令の起点になる圧延スタンドであることから、0である。速度補正値算出手段1010は、すべての圧延スタンドについて速度補正量の算出が終わったかを判定し(S1404)、終わってなければ(S1404/NO)、S1401からの処理を繰り返す。すべての圧延スタンドについて速度補正量の算出が終わっていれば(S1404/YES)、処理を終了する。
図16に速度指令バランス手段121が行う処理を示す。速度指令バランス手段121は、速度指令補正手段120が出力した各圧延スタンドの速度指令補正量を取り込み、上下限制約を超えた補正量が算出された圧延スタンドががあった場合に、これを制限内にリミットした上で他の圧延スタンドの補正量をバランスさせる処理を行う。図16に示すように、速度指令バランス手段121は、速度指令補正量が上下限を超えた圧延スタンドがあるかどうかを判定する(S1601)。
上下限を超えた圧延スタンドがない場合は(S1601/NO)、速度指令バランス手段121は、処理を終了する。上下限を超えた圧延スタンドがある場合には(S1601/YES)、速度指令バランス手段121は、S1602以降で、この圧延スタンドの速度指令補正量を上下限にリミットする処理を行う。まず、速度指令バランス手段121は、速度指令補正量の絶対値が最大の圧延スタンドを特定し、以下の式(26)に示すように、速度指令補正量の上下限値αLを速度指令補正量絶対値の最大値で割り、速度補正バランス量α0を算出する(S1602)。
α=α/|αmax|・・・(26)
ここで、αは、速度補正バランス量、αは、速度補正量の上下限値、αmaxは、速度補正量絶対値の最大値を示す。
次に、速度指令バランス手段121は、以下の式(27)により、各圧延スタンドの補正量にαを乗じることで、バランス後の補正量を算出する(S1603)。
αi−b=α・α・・・(27)
ここで、αi−bは、バランスされた後の速度補正量を示す。
図17に速度指令バランス手段121の処理内容を模式的に示す。図では速度補正量に対して、αLの幅で上限1703と下限1704が設けられている。バランス前の補正量1701により、第1スタンド(F1)の速度指令補正量が最大となり、第2スタンド(F2)の速度指令補正量とともに、上限1703の値を逸脱している。ここで上下限値であるαをαmaxで割ることにより、速度補正バランス量αが得られる。そして各バランス前の速度補正量(図の白丸)を速度補正バランス量αで割ることによりバランス後の補正量1702(図の黒丸)が得られる。
圧下位置制御手段130は、セットアップ手段101から受けとった圧下位置指令を、圧延荷重の実績の変化やマルチゲージ164で検出した実績板厚と目標板厚の差を反映して補正し、補正後の値を制御対象150に出力する。圧下位置の制御はAGC(Automatic Gauge Control)と呼ばれ、Bisra AGC、Monitor AGC、Gauge meter AGC等、種々の手法が知られている。また、圧下位置が変化すると入側鋼板と出側鋼板のマスフローの値が変化することに対して、これを補償するために圧下位置が変化したスタンドとこのスタンドから見た上流スタンドのロール速度を変化させる。
速度制御手段122は、速度指令バランス手段110が出力した速度指令に、圧下位置制御手段130が出力した速度補正量を加算した値を指令値にして、ワークロール162の速度制御を行う。速度制御系は、通常ASR(Automatic Speed Control)と呼ばれる比例・積分の制御系で構成される。
本実施例では、速度指令補正量の上限と下限の値を絶対値としては同一としたが、異なった値でも、αmaxをαと上下限値の比で定義することにより、同様の考え方で処理することが出来る。また速度バランス手段121を省略し、速度指令補正手段109が出力した速度指令にしたがって速度制御手段122が動作する構成も考えられる。
また本実施例では圧延長に着目して定常部データの抽出を行ったが、圧下位置、圧延荷重、ロール速度の値を直接用いて、それらが一定以上変化しないことで圧延の安定性を判定し、定常データ抽出の条件とすることも出来る。
さらに図2でセットアップ手段101はドラフトスケジュールから計算を始めて、圧延荷重、圧下位置、ロール速度を計算したが、荷重バランスから計算を始める手法も知られており、本発明は、この場合にも同様に適用できる。
また、本発明ではワークロール162の周速を速度指令の補正対象にしたが、ワークロールを駆動する主機モータの回転速度、主機ドライブの速度指令等補正の対象にしても、等価な処理で実現できる。
また、図1において説明した制御装置100は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実現される。ここで、本実施形態に係る制御装置100の各機能を実現するためのハードウェアについて、図18を参照して説明する。図18は、本実施形態に係る制御装置100を構成する情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図18に示すように、本実施形態に係る制御装置100は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理端末と同様の構成を有する。
即ち、本実施形態に係る制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40およびI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60および操作部70が接続されている。
CPU10は演算手段であり、制御装置100全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。
HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。また、I/F50は、夫々の装置が情報をやり取りし、若しくは圧延機に対して情報を入力するためのインタフェースとしても用いられる。
LCD60は、オペレータが制御装置100の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、オペレータが制御装置100に情報を入力するためのユーザインタフェースである。このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記録媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がそのプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る制御装置100の機能が実現される。
尚、上記実施形態においては、各機能が1つの情報処理装置に全て含まれている場合を例として説明した。このように全ての機能を1つの情報処理装置において実現しても良いし、より多くの情報処理装置に各機能を分散して実現しても良い。
10 CPU
20 ROM
30 RAM
40 HDD
50 I/F
60 LCD
70 操作部
100 熱間タンデム圧延ミルの制御装置
101 セットアップ手段
102 ドラフトスケジュールテーブル
103 速度パターンテーブル
110 粗圧延先進率推定手段
111 粗材厚み手段
112 中間板厚推定手段
113 中間板厚推定手段
120 速度指令補正手段
121 速度指令バランス手段
150 制御対象
151 粗ミル
161 仕上げミル
154 スラブ
157 粗材
163 鋼板
1001 先端値抽出手段
1002 定常値抽出手段
1003 先端値記憶手段
1004 定常値記憶手段
1010 速度補正値算出手段

Claims (11)

  1. 被圧延材を複数のロール対で圧延するタンデム圧延機を制御する圧延制御装置であって、
    前記複数のロール対における圧延順の最後段に配置されたロール対の出側に配置された板厚計による板厚測定結果を取得する出側板厚取得部と、
    前記ロール対に挿入される被圧延材の搬送速度と板厚の積と、そのロール対から送り出される被圧延材の搬送速度と板厚の積とが一定である法則に従い、前記ロール対の出側の板厚に基づいて前記ロール対の入側の板厚を計算する板厚計算部と、
    前記複数のロール対における圧延順の先頭の直後に配置されたロール対から最後段に配置されたロール対までの、夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の誤差を補正する誤差補正部とを含み、
    前記板厚計算部は、取得された前記板厚測定結果に基づいて前記最後段に配置されたロール対の入側板厚を計算すると共に、その計算結果を直前に配置されたロール対から送り出される被圧延材の板厚として用いて前記法則に従った計算を繰り返すことにより、前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚を計算し、
    前記誤差補正部は、前記法則に従った計算を繰り返すことにより計算された前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚と、異なる方法によって得られた前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚との誤差を算出し、算出した前記誤差に基づいて夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の誤差を補正することを特徴とする圧延制御装置。
  2. 前記誤差補正部は、前記法則に従った計算を繰り返すことにより計算された前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚に対する補正対象のロール対の入側の板厚の割合に基づき、算出した前記誤差のうち前記夫々のロール対の入側の板厚の計算結果を補正するために適用する値を決定することを特徴とする請求項1に記載の圧延制御装置。
  3. 前記誤差補正部は、算出した前記誤差の量のうち、前記法則に従った計算を繰り返すことにより計算された前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚に対する補正対象のロール対の入側の板厚の割合に応じた量を、前記夫々のロール対の入側の板厚の計算結果を補正するために適用する値とすることを特徴とする請求項2に記載の圧延制御装置。
  4. 前記誤差補正部は、算出した前記誤差を前記夫々のロール対の入側の板厚の計算結果に分配することにより、前記夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の誤差を補正することを特徴とする請求項1に記載の圧延制御装置。
  5. 前記誤差補正部は、前記複数のロール対に対する圧下量の分配に応じて、算出した前記誤差に基づく前記夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の補正量を決定することを特徴とする請求項1に記載の圧延制御装置。
  6. 前記誤差補正部は、前記複数のロール対による圧延に先駆けて前記被圧延材を圧延する粗圧延処理における圧延結果の板厚と、前記法則に従った計算を繰り返すことにより計算された前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚との誤差を算出することを特徴する請求項1に記載の圧延制御装置。
  7. 前記粗圧延処理における圧延結果を取得する粗圧延結果取得部を含み、
    粗圧延結果取得部は、
    前記複数のロール対に前記被圧延材を挿入する直前の圧延処理であって、前記粗圧延処理のために用いられる粗圧延用ロール対に前記被圧延材の先頭から終端までを1回搬送する最終粗圧延処理において、前記被圧延材が前記粗圧延用ロール対に挿入されて圧延が開始された開始タイミングを取得し、
    前記最終粗圧延処理において、前記粗圧延用ロール対から送り出された被圧延材が所定の搬送位置に到達した到達タイミングを取得し、
    前記粗圧延用ロール対の圧延面の速度である周速を前記開始タイミングから前記到達タイミングまで積分することにより、前記最終粗圧延処理において前記被圧延材が前記粗圧延用ロール対から前記所定の搬送位置まで搬送される間に前記粗圧延用ロール対が圧延を行った長さである所定間隔粗圧延長を算出し、
    前記粗圧延用ロール対の位置から前記所定の搬送位置までの間隔と前記所定間隔粗圧延長との比率に基づいて前記最終粗圧延処理における先進率を計算し、
    前記最終粗圧延処理において、前記被圧延材の終端が前記粗圧延用ロール対によって圧延されて圧延が完了した完了タイミングを取得し、
    前記粗圧延用ロール対の圧延面の速度である周速を前記開始タイミングから前記完了タイミングまで積分することにより、前記最終粗圧延処理において前記粗圧延用ロール対が圧延を行った全長を算出し、
    前記全長及び前記先進率に基づいて前記粗圧延処理によって圧延された前記被圧延材の全長である粗圧延後全長を算出し、
    前記粗圧延処理される前の前記被圧延材の寸法と、算出された前記粗圧延後全長とに基づいて前記粗圧延処理によって圧延された前記被圧延材の板厚を算出し、
    前記誤差補正部は、算出された前記前記粗圧延処理によって圧延された前記被圧延材の板厚を、前記粗圧延処理における圧延結果の板厚として用いて前記誤差を算出することを特徴とする請求項6に記載の圧延制御装置。
  8. 前記粗圧延処理は、粗圧延処理に用いるロール対に対して前記被圧延材を繰り返し挿入することにより前記被圧延材を圧延する処理であり、
    前記最終荒圧延処理は、粗圧延処理に用いるロール対に対する前記被圧延材の挿入の繰り返しの最後であることを特徴とする請求項7に記載の圧延制御装置。
  9. 補正された前記ロール対の入側の板厚及び出側の板厚の計算結果に基づいて前記ロール対における圧延荷重の推定値を計算する圧延荷重計算部を含み、
    前記圧延荷重計算部は、計算した前記圧延荷重の推定値と前記ロール対における圧延荷重の実績値との差異に基づいて前記圧延荷重計算部による前記圧延荷重の推定値の計算式を補正することを特徴とする請求項1に記載の圧延制御装置。
  10. 被圧延材を複数のロール対で圧延するタンデム圧延機を制御する圧延制御方法であって、
    前記複数のロール対における圧延順の最後段に配置されたロール対の出側に配置された板厚計による板厚測定結果を取得し、
    前記ロール対に挿入される被圧延材の搬送速度と板厚の積と、そのロール対から送り出される被圧延材の搬送速度と板厚の積とが一定である法則に従い、前記ロール対の出側の板厚に基づいて前記ロール対の入側の板厚を計算し、
    前記ロール対の入側の板厚の計算結果を、直前に配置されたロール対から送り出される被圧延材の板厚として用いて前記法則に従った計算を繰り返すことにより、前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚を計算し、
    前記法則に従った計算を繰り返すことにより計算された前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚と、異なる方法によって得られた前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚との誤差を算出し、
    算出した前記誤差に基づき、前記複数のロール対における圧延順の先頭の直後に配置されたロール対から最後段に配置されたロール対までの、夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の誤差を補正することを特徴とする圧延制御方法。
  11. 被圧延材を複数のロール対で圧延するタンデム圧延機を制御する圧延制御プログラムであって、
    前記複数のロール対における圧延順の最後段に配置されたロール対の出側に配置された板厚計による板厚測定結果を取得するステップと、
    前記ロール対に挿入される被圧延材の搬送速度と板厚の積と、そのロール対から送り出される被圧延材の搬送速度と板厚の積とが一定である法則に従い、前記ロール対の出側の板厚に基づいて前記ロール対の入側の板厚を計算するステップと、
    前記ロール対の入側の板厚の計算結果を、直前に配置されたロール対から送り出される被圧延材の板厚として用いて前記法則に従った計算を繰り返すことにより、前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚を計算するステップと、
    前記法則に従った計算を繰り返すことにより計算された前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚と、異なる方法によって得られた前記先頭に配置されたロール対の入側の板厚との誤差を算出するステップと、
    算出した前記誤差に基づき、前記複数のロール対における圧延順の先頭の直後に配置されたロール対から最後段に配置されたロール対までの、夫々のロール対の入側の板厚の計算結果の誤差を補正するステップとを情報処理装置に実行させることを特徴とする圧延制御プログラム。
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