JP2014172086A - 圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧下率が小さい場合においても被圧延材を所望の板厚に圧延するために必要な圧延荷重を精度高く推定すること。
【解決手段】プロセス用計算機8が、圧延機の圧下率が所定値以下であるか否かを判別し、圧延機の圧下率が所定値以下である場合、データベースサーバ9が、圧延荷重を推定する圧延条件データとの類似度が所定値以上である過去の圧延条件データを抽出し、抽出された過去の圧延条件データとその圧延条件データに関連付けされた圧延荷重とを用いた回帰計算によって圧延荷重と圧延条件データとの関係を示す回帰式を作成し、作成された回帰式に圧延荷重を推定する対象の圧延条件データを入力することによって、圧延荷重を推定する。
【選択図】図1
【解決手段】プロセス用計算機8が、圧延機の圧下率が所定値以下であるか否かを判別し、圧延機の圧下率が所定値以下である場合、データベースサーバ9が、圧延荷重を推定する圧延条件データとの類似度が所定値以上である過去の圧延条件データを抽出し、抽出された過去の圧延条件データとその圧延条件データに関連付けされた圧延荷重とを用いた回帰計算によって圧延荷重と圧延条件データとの関係を示す回帰式を作成し、作成された回帰式に圧延荷重を推定する対象の圧延条件データを入力することによって、圧延荷重を推定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法に関する。
冷間圧延機を利用して被圧延材を所望の板厚に圧延するためには、冷間圧延機の正確なセットアップが必要である。冷間圧延機のセットアップとは、被圧延材を所定の入側板厚から出側板厚まで圧延するために必要な圧延荷重を算出し、算出された圧延荷重を被圧延材に作用させた際の圧延反力による冷間圧延機の剛性伸びを考慮して冷間圧延機のロールギャップを算出、設定する作業である。冷間圧延機の剛性伸びは、冷間圧延機の剛性が機械的に決まるために精度高く求めることができる。このため、冷間圧延機のセットアップでは、圧延荷重の予測精度がセットアップ精度に大きな影響を与える。
一般に、圧延荷重は、Bland & Fordの式等の圧延理論に基づく物理モデル式を用いて予測される。ところが、物理モデル式に含まれる従属変数の中には未知のものが含まれている。このため、未知の従属変数は、圧延理論や実験により求められたモデル式を利用して算出される。具体的には、圧延荷重Pは、例えば以下に示す数式(1)を用いて予測される。
ここで、数式(1)中、F()は関数式、Hは冷間圧延機の入側における被圧延材の板厚(入側板厚)、hは冷間圧延機の出側における被圧延材の板厚(出側板厚)、Tbは冷間圧延機の入側における被圧延材の張力(後方張力)、Tfは冷間圧延機の出側における被圧延材の張力(前方張力)、Rは冷間圧延機のロール半径、R’は冷間圧延機の偏平ロール半径、μは冷間圧延機の作業用ロール表面と被圧延材との摩擦係数、Kmは被圧延材の平均変形抵抗を表している。
数式(1)中に含まれる未知の従属変数のうち、偏平ロール半径R’は物理モデル式を用いて算出することができる。しかしながら、偏平ロール半径R’を求める物理モデル式の従属変数の中には圧延荷重Pがある。このため、一般に、偏平ロール半径R’は、収束演算を行うことによって圧延荷重Pの物理モデル式と偏平ロール半径R’の物理モデル式との双方を満足する圧延荷重Pと偏平ロール半径R’とを算出することにより、算出されている。
これに対して、数式(1)中に含まれる未知の従属変数である摩擦係数μや変形抵抗Kmは、物理モデル式を用いて算出することができない。このため、摩擦係数μや変形抵抗Kmは、実験から求められたモデル式を用いて算出されている。具体的には、摩擦係数μや変形抵抗Kmは、プロセス用計算機が圧延諸元情報(入側板厚H,出側板厚h、後方張力Tb,前方張力Tf、ロール半径R等)を実験から求められたモデル式に代入することにより、算出されている。
ところが、実験から求められたモデル式は、限られた実験条件から求められたものであるために、圧延荷重を常に精度高く求めることは困難である。このため、実験から求められたモデル式を修正するための各種学習方法が提案されている。具体的には、以下に示す数式(2),(3)を用いて前回の処理における圧延荷重の予測値と実績値との誤差に基づいて今回の処理における圧延荷重の予測値を補正する方法や、前回の処理における圧延荷重の予測値と実績値との誤差に基づいて実験から求められたモデル式に含まれる従属変数に係数を付けて線形多項式を作成し、逐次最小二乗法を利用して係数を学習する方法(特許文献1参照)が提案されている。
ここで、数式(2)中、Pは補正後の圧延荷重の予測値、PCALは補正前の圧延荷重の予測値、Kは学習係数、PACTは圧延荷重の実績値、αは忘却係数(0<α<1)を表している。
しかしながら、上述の学習方法には、実験から求められたモデル式による圧延荷重の予測精度がある程度高いことを前提としていることや圧延する被圧延材の材質が実験で用いた被圧延材の材質と大きく異なる場合等の急激な変化に対応できないといった問題がある。また、特に冷間圧延では、次工程で冷延鋼板の表面にめっき加工を施すために、冷間圧延機の最終スタンドの作業ロールにダル加工(ロール表面に小さな凹凸を付与する加工)を施したロールを適用する場合が多い。
この場合、作業用ロール表面の摩擦係数はダル加工を施していない作業用ロール表面の摩擦係数より大きくなるために、圧下率は10%未満程度と小さくなる。そして、圧下率が小さくなると、圧下荷重のモデル式から求められる圧下荷重の誤差が大きくなるために、学習係数が安定せず、圧下荷重を精度高く予測することができなくなる。特に圧下率が5%未満の軽圧下率である場合には、圧下荷重の予測精度は大幅に低下する。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、圧下率が小さい場合においても被圧延材を所望の板厚に圧延するために必要な圧延荷重を精度高く推定可能な圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法を提供することにある。
本発明に係る圧延機の圧延荷重推定装置は、圧延機を利用した過去の圧延処理における圧延条件データと圧延荷重とを関連付けして格納する記憶手段と、圧延機の圧下率が所定値以下であるか否かを判別し、圧延機の圧下率が所定値以下である場合、圧延荷重を推定する圧延条件データとの類似度が所定値以上である過去の圧延条件データを記憶手段から抽出する抽出手段と、抽出手段によって抽出された過去の圧延条件データと圧延条件データに関連付けされた圧延荷重とを用いた回帰計算によって圧延荷重と圧延条件データとの関係を示す回帰式を作成する作成手段と、作成手段によって作成された回帰式に圧延荷重を推定する対象の圧延条件データを入力することによって、圧延荷重を推定する推定手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る圧延機の圧延荷重推定装置は、上記発明において、記憶手段に格納されている過去の圧延条件データの値を正規化する正規化手段を備えることを特徴とする。
本発明に係る圧延機の圧延荷重推定装置は、上記発明において、記憶手段に圧延条件データを格納する際、圧延条件データとの類似度が所定値以上である過去の圧延条件データが既に格納されているか否かを判別し、類似度が所定値以上である過去の圧延条件データが既に格納されている場合、格納対象の圧延条件データと類似度が所定値以上である過去の圧延条件データとを用いた指数平滑処理によって類似度が所定値以上である過去の圧延条件データを更新する更新手段を備えることを特徴とする。
本発明に係る圧延機の圧延荷重推定装置は、上記発明において、圧延条件データは、圧延機の入側における被圧延材の板厚、圧延機の出側における被圧延材の板厚、被圧延材の板幅、圧延機のロール半径、圧延速度、圧延機の入側における被圧延材の張力、圧延機の出側における被圧延材の張力、被圧延材の成分値、及び被圧延材の熱延巻取温度のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする。
本発明に係る圧延機の圧延荷重推定方法は、圧延機の圧下率が所定値以下であるか否かを判別する判別ステップと、圧延機の圧下率が所定値以下である場合、圧延荷重を推定する圧延条件データとの類似度が所定値以上である過去の圧延条件データを抽出する抽出ステップと、抽出ステップにおいて抽出された過去の圧延条件データと圧延条件データで圧延処理を行った際の圧延荷重とを用いた回帰計算によって圧延荷重と圧延条件データとの関係を示す回帰式を作成する作成ステップと、作成ステップにおいて作成された回帰式に圧延荷重を推定する対象の圧延条件データを入力することによって、圧延荷重を推定する推定ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法によれば、圧下率が小さい場合においても被圧延材を所望の板厚に圧延するために必要な圧延荷重を精度高く推定することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である冷間圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法について説明する。
〔冷間圧延ラインの構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態である冷間圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法が適用される冷間圧延ラインの構成について説明する。但し、本発明の適用範囲は図1に示す冷間圧延ラインに限定されることはなく、本発明は調質圧延機等の圧下率が10%未満程度と低い圧延ライン全般に適用することができる。
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態である冷間圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法が適用される冷間圧延ラインの構成について説明する。但し、本発明の適用範囲は図1に示す冷間圧延ラインに限定されることはなく、本発明は調質圧延機等の圧下率が10%未満程度と低い圧延ライン全般に適用することができる。
図1は、本発明の一実施形態である冷間圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法が適用される冷間圧延ラインの構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である冷間圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法が適用される冷間圧延ライン1は、被圧延材Sの搬送方向に沿って配設された複数の圧延スタンド2a,2b,2c,2d,2eと、各圧延スタンドに設けられた圧下装置3a,3b,3c,3d,3eと、を備えている。
圧延スタンド2a〜2eはそれぞれ、一対の作業ロールを備えている。圧延スタンド2a〜2eの一対の作業ロールのうち、最終の圧延スタンド2eの作業ロールの表面にはダル加工が施されている。圧下装置3a〜3eはそれぞれ、対応する圧延スタンドを構成する一対の作業ロール間のギャップを制御することにより、被圧延材Sを指定された板厚まで圧延する。
冷間圧延ライン1は、制御系として、各圧延スタンドの入側及び最終の圧延スタンド2eの出側に配設された張力計4a,4b,4c,4d,4e,4fと、圧延スタンド2a,2eの出側にそれぞれ設けられた板厚計5a,5bと、生産管理用計算機6と、ライン制御装置7と、プロセス用計算機8と、データベースサーバ9と、を備えている。
張力計4a〜4fはそれぞれ、配置位置における被圧延材Sの張力を測定し、張力の測定値をライン制御装置7に入力する。板厚計5a,5bはそれぞれ、配置位置における被圧延材Sの板厚を測定し、板厚の測定値をライン制御装置7に入力する。生産管理用計算機6は、ワークステーション等の情報処理装置によって構成され、冷間圧延ライン1において圧延する被圧延材Sの材料データを管理する。生産管理用計算機6は、プロセス用計算機8からの要求に応じて被圧延材Sの材料データをプロセス用計算機8に伝送する。被圧延材Sの材料データには、被圧延材Sの装入厚、装入幅、目標板厚、炭素含有量、ケイ素含有量、及び熱延巻取温度に関する情報が含まれている。
ライン制御装置7は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成され、圧下装置3a〜3eから被圧延材Sの圧延荷重の実績値及び作業ロールの周速(圧延速度)に関する情報を取得する。ライン制御装置7は、張力計4a〜4fから取得した張力の測定値、板厚計5a,5bから取得した板厚の測定値、及び圧下装置3a〜3eから取得した圧延荷重の実績値及び圧延速度に関する情報を圧延実績データとしてプロセス用計算機8に入力する。
プロセス用計算機8は、ワークステーション等の情報処理装置によって構成され、生産管理用計算機6から取得した被圧延材Sの材料データとライン制御装置7から取得した圧延実績データとを関連付けしてデータベースサーバ9内に送信する。データベースサーバ9は、ワークステーション等の情報処理装置によって構成されている。データベースサーバ9は、プロセス用計算機8から送信された被圧延材Sの材料データと圧延荷重の実績値以外の圧延実績データとを過去の圧延条件データとして、過去の圧延条件データと圧延荷重の実績値とを関連づけして記憶する。
なお、データベースサーバ9は、過去の圧延条件データの値を正規化して記憶することが望ましい。また、圧延条件データを格納する際、データベースサーバ9は、格納対象の圧延条件データとの類似度が所定値以上である過去の圧延条件データが既に格納されているか否かを判別し、類似度が所定値以上である過去の圧延条件データが既に格納されている場合、格納対象の圧延条件データと類似度が所定値以上である過去の圧延条件データとを用いた指数平滑処理によって類似度が所定値以上である過去の圧延条件データを更新することが望ましい。これにより、データベースの容量が大きくなることによって過去の圧延条件データを利用する処理に膨大な時間が掛かることと圧延頻度が高いデータに偏ることによって後述する処理において圧延荷重を精度高く推定できなくなることを抑制できる。
〔セットアップ処理〕
このような構成を有する冷間圧延ライン1では、プロセス用計算機8及びデータベースサーバ9が、以下に示すセットアップ処理を実行することによって、被圧延材Sを所望の板厚に圧延するために必要な圧延スタンド2a〜2eの圧延荷重を精度高く予測する。以下、図2に示すフローチャートを参照して、このセットアップ処理を実行する際のプロセス用計算機8及びデータベースサーバ9の動作について説明する。
このような構成を有する冷間圧延ライン1では、プロセス用計算機8及びデータベースサーバ9が、以下に示すセットアップ処理を実行することによって、被圧延材Sを所望の板厚に圧延するために必要な圧延スタンド2a〜2eの圧延荷重を精度高く予測する。以下、図2に示すフローチャートを参照して、このセットアップ処理を実行する際のプロセス用計算機8及びデータベースサーバ9の動作について説明する。
図2は、本発明の一実施形態であるセットアップ処理の流れを示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、生産管理用計算機6からプロセス用計算機8に被圧延材Sの圧延指示が入力されたタイミングで開始となり、セットアップ処理はステップS1の処理に進む。
ステップS1の処理では、プロセス用計算機8、生産管理用計算機6から被圧延材Sの圧延条件データX(n)(n=1〜N,Nは圧延条件の総数)を取得する。圧延条件のデータの中には、被圧延材Sの装入厚、装入幅、目標板厚、及び成分値(炭素含有量及びケイ素含有量)と圧延スタンド2a〜2eを構成する作業ロールの半径(ロール径)及び種別に関する情報とが含まれている。本実施形態では、作業ロールの種別に関する情報とは、作業ロールがロール表面にダル加工が施されているものであるか否かを示す情報のことを意味する。これにより、ステップS1の処理は完了し、セットアップ処理はステップS2の処理に進む。
ステップS2の処理では、プロセス用計算機8が、ステップS1の処理により取得した圧延条件データX(n)に基づいて、圧延スタンド2a〜2eの出側における被圧延材Sの目標板厚と圧延スタンド2a〜2e間における被圧延材Sの目標張力とをドラフトスケジュールとして決定する。具体的には、プロセス用計算機8は、被圧延材Sの装入厚及び目標板厚に基づいて圧延スタンド2a〜2e間の荷重比が予め定められた設定値になるように圧延スタンド2a〜2eの出側における被圧延材Sの目標板厚を算出する。また、プロセス用計算機8は、被圧延材Sの装入厚、装入幅、及び成分値に基づいて圧延スタンド2a〜2e間における被圧延材Sの張力を算出する。これにより、ステップS2の処理は完了し、セットアップ処理はステップS3の処理に進む。
ステップS3の処理では、プロセス用計算機8が、圧延荷重を予測する対象の圧延スタンド番号を示すプログラムカウンタIの値を1にリセットする。本実施形態では、圧延スタンド2a〜2eにそれぞれスタンド番号1,2,3,4,5を付与しているものとする。これにより、ステップS3の処理は完了し、セットアップ処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、プロセス用計算機8が、プログラムカウンタIの値が最終スタンド2eを示す5であり、且つ、最終スタンド2eを構成する作業ロールのロール種別がダル加工を施された作業ロールであるか否かを判別する。判別の結果、プログラムカウンタIの値が5であり、且つ、最終スタンド2eを構成する作業ロールのロール種別がダル加工を施された作業ロールである場合、プロセス用計算機8はセットアップ処理をステップS5の処理に進める。一方、プログラムカウンタIの値が5でない、又は、最終スタンド2eを構成する作業ロールのロール種別がダル加工を施された作業ロールでない場合には、プロセス用計算機8はセットアップ処理をステップS9の処理に進める。
ステップS5の処理では、データベースサーバ9が、ステップS1の処理によってプロセス用計算機8が取得した圧延条件データX(n)の各値を正規化する。具体的には、データベースサーバ9は、過去の圧延条件データYi(n)(i=1〜M,Mは実績データの総数)から各圧延条件データX(n)の平均値Xave及び標準偏差σを算出し、以下に示す数式(4)を用いて±2σの範囲内を上限値として圧延条件データX(n)の各値を±1.0の範囲内に正規化する。なお、正規化の結果、値が±1.0の範囲を超える圧延条件データX(n)がある場合、データベースサーバ9は、その圧延条件データX(n)の値を強制的に±1.0の範囲内に調整する。これにより、ステップS5の処理は完了し、セットアップ処理はステップS6の処理に進む。
ステップS6の処理では、データベースサーバ9が、ステップS5の処理によって正規化された圧延条件データX(n)との類似度が高い過去の圧延条件データYi(n)を抽出し、抽出された過去の圧延条件データYi(n)を用いて以後の処理に用いるデータベースを作成する。具体的には、始めに、データベースサーバ9は、ステップS5の処理によって正規化された圧延条件データX(n)を変数空間上のベクトルX(=[X(1),X(2),X(3),…,X(n)])にベクトル変換する。同様に、データベースサーバ9は、過去の圧延条件データYi(n)を変数空間上のベクトルY(=[Yi(1),Yi(2),Yi(3),…,Yi(n)])にベクトル変換する。
次に、データベースサーバ9、ベクトルXとベクトルYとの間の距離dを算出する。距離dとしては、ユークリッド距離やマハラノビス距離等を例示することができる。そして、データベースサーバ9は、距離dが所定値以下である過去の圧延条件データYi(n)を類似度が高い過去の圧延条件データYi(n)として抽出し、抽出された圧延条件データYi(n)を用いて以後の処理に用いるデータベースを作成する。これにより、ステップS6の処理は完了し、セットアップ処理はステップS7の処理に進む。
ステップS7の処理では、データベースサーバ9が、ステップS6の処理によって作成されたデータベースを用いて、例えば以下に示す数式(5)により表される圧延荷重を求める圧延条件の一次線形モデル(回帰式)の係数A0〜A10を多重回帰計算により算出する。そして、データベースサーバ9は、算出された係数A0〜A10を適用した圧延条件の一次線形モデルにステップS5の処理によって正規化された圧延条件データX(n)を代入することによって、I番目の圧延スタンドの圧延荷重Pの予測値を算出する。これにより、ステップS7の処理は完了し、セットアップ処理はステップS8の処理に進む。
ここで、数式(5)中、Hは冷間圧延機の入側における被圧延材の板厚(入側板厚)、hは冷間圧延機の出側における被圧延材の板厚(出側板厚)、Wは被圧延材Sの板幅、Rは冷間圧延機のロール半径、Vは圧延速度、Tbは冷間圧延機の入側における被圧延材の張力(後方張力)、Tfは冷間圧延機の出側における被圧延材の張力(前方張力)、C%は被圧延材の炭素含有量、Si%は被圧延材のケイ素含有量、CTは被圧延材の熱延巻取温度を表している。
ステップS8の処理では、データベースサーバ9が、ステップS7の処理によって算出されたI番目の圧延スタンドの圧延荷重Pが圧延スタンドの仕様や操業条件によって決まる所定の上下限値の範囲内にあるか否かを判別する。判別の結果、圧延荷重Pが所定の上下限値の範囲内にない場合、データベースサーバ9は、各圧延スタンドの出側における被圧延材Sの板厚を修正するためにセットアップ処理をステップS2の処理に戻す。一方、圧延荷重Pが所定の上下限値の範囲内にある場合には、データベースサーバ9は、セットアップ処理をステップS16の処理に進める。
ステップS9の処理では、プロセス用計算機8が、実験により予め求められた変形抵抗のモデル式を用いてI番目の圧延スタンドの入側及び出側における被圧延材Sの変形抵抗及び平均変形抵抗Kmを算出する。これにより、ステップS9の処理は完了し、セットアップ処理はステップS10の処理に進む。
ステップS10の処理では、プロセス用計算機8が、統計により求められた摩擦係数のモデル式を用いてI番目の圧延スタンドを構成する作業ロール表面の摩擦係数μを算出する。これにより、ステップS10の処理は完了し、セットアップ処理はステップS11の処理に進む。
ステップS11の処理では、プロセス用計算機8が、I番目の圧延スタンドを構成する作業用ロールの偏平ロール半径R’を算出するための初期荷重値Piniを設定する。これにより、ステップS11の処理は完了し、セットアップ処理はステップS12の処理に進む。
ステップS12の処理では、プロセス用計算機8が、例えばHitchcockの式を用いてI番目の圧延スタンドを構成する作業用ロールのロール半径RとステップS11又は前回のステップS15の処理において設定された初期荷重値PiniとからI番目の圧延スタンドを構成する作業用ロールの偏平ロール半径R’を算出する。これにより、ステップS12の処理は完了し、セットアップ処理はステップS13の処理に進む。
ステップS13の処理では、プロセス用計算機8が、例えばBland & Fordの式を用いてI番目の圧延スタンドを構成する作業用ロールの偏平ロール半径R’、後方張力Tb、前方張力Tf、平均変形抵抗Km、及び摩擦係数μ等からI番目の圧延スタンドの圧延荷重Pを算出する。これにより、ステップS13の処理は完了し、セットアップ処理はステップS14の処理に進む。
ステップS14の処理では、プロセス用計算機8が、ステップS11の処理又は前回のステップS15の処理によって設定された初期荷重値PiniとステップS13の処理によって算出された圧延荷重Pとの差が所定値以下であるか否かを判別する。判別の結果、差が所定値以下である場合、プロセス用計算機8はセットアップ処理をステップS15の処理に進める。一方、差が所定値以下でない場合には、プロセス用計算機8は、ステップS13の処理によって算出された圧延荷重Pを次回の処理における初期荷重値Piniに設定した後、セットアップ処理をステップS12の処理に戻す。
ステップS15の処理では、プロセス用計算機8が、ステップS13の処理によって算出されたI番目の圧延スタンドの圧延荷重Pが圧延スタンドの仕様や操業条件によって決まる所定の上下限値の範囲内にあるか否かを判別する。判別の結果、圧延荷重Pが所定の上下限値の範囲内にない場合、プロセス用計算機8は、各圧延スタンドの出側における被圧延材Sの板厚を修正するためにセットアップ処理をステップS2の処理に戻す。一方、圧延荷重Pが所定の上下限値の範囲内にある場合には、プロセス用計算機8は、セットアップ処理をステップS16の処理に進める。
ステップS16の処理では、プロセス用計算機8が、プログラムカウンタIの値が5であるか否かを判別する。判別の結果、プログラムカウンタIの値が5でない場合、プロセス用計算機8は、ステップS17の処理としてプログラムカウンタIの値を1増数した後、セットアップ処理をステップS4の処理に戻す。一方、プログラムカウンタIの値が5である場合には、プロセス用計算機8はセットアップ処理をステップS18の処理に進める。
ステップS18の処理では、プロセス用計算機8が、各圧延スタンドの圧延荷重Pを含む圧延条件に基づいて各圧延スタンドにおける圧延速度(ロール周速)を算出する。これにより、ステップS18の処理は完了し、セットアップ処理はステップS19の処理に進む。
ステップS19の処理では、プロセス用計算機8が、ステップS18の処理によって算出された各圧延スタンドの圧延速度と各圧延スタンドを構成する作業ロールのロール半径R及び圧延荷重Pとから各圧延スタンドにおいて圧延に必要なトルクを算出する。これにより、ステップS19の処理は完了し、セットアップ処理はステップS20の処理に進む。
ステップS20の処理では、プロセス用計算機8が、ゲージメータ式を用いて圧延荷重Pを被圧延材Sに作用させた際の圧延反力による圧延スタンドの作業用ロールの剛性伸びを考慮して一対の作業用ロール間のロールギャップを算出する。これにより、ステップS20の処理は完了し、一連のセットアップ処理は終了する。
以後、プロセス用計算機8は、算出されたロールギャップの値をライン制御装置7に入力し、ライン制御装置7は、プロセス用計算機8から入力されたロールギャップの値に基づいて圧下装置3a〜3eを制御することにより被圧延材Sの圧延処理を実行する。
〔実施例〕
図3は、本願発明及び従来技術を利用して求められたダル加工が施された最終スタンドの圧延荷重の予測値と実績値とを示す図である。図4は、本願発明を利用して求められたダル加工が施された最終スタンドの圧延荷重の予測値と実績値との関係を示す散布図である。図5は、従来技術を利用して求められたダル加工が施された最終スタンドの圧延荷重の予測値と実績値との関係を示す散布図である。
図3は、本願発明及び従来技術を利用して求められたダル加工が施された最終スタンドの圧延荷重の予測値と実績値とを示す図である。図4は、本願発明を利用して求められたダル加工が施された最終スタンドの圧延荷重の予測値と実績値との関係を示す散布図である。図5は、従来技術を利用して求められたダル加工が施された最終スタンドの圧延荷重の予測値と実績値との関係を示す散布図である。
図5に示すように、従来技術を利用して求められた圧延荷重では、予測誤差の標準偏差σは187.6であったのに対して、図4に示すように、本願発明を利用して求められた圧延荷重では、予測誤差の標準偏差σは74.7であった。以上のことから、本願発明によれば、ダル加工が施された最終スタンド等のように圧下率が低い場合であっても圧延荷重を精度高く算出できることが確認された。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 冷間圧延ライン
2a,2b,2c,2d,2e 圧延スタンド
3a,3b,3c,3d,3e 圧下装置
4a,4b,4c,4d,4e,4f 張力計
5a,5b 板厚計
6 生産管理用計算機
7 ライン制御装置
8 プロセス用計算機
9 データベースサーバ
S 被圧延材
2a,2b,2c,2d,2e 圧延スタンド
3a,3b,3c,3d,3e 圧下装置
4a,4b,4c,4d,4e,4f 張力計
5a,5b 板厚計
6 生産管理用計算機
7 ライン制御装置
8 プロセス用計算機
9 データベースサーバ
S 被圧延材
Claims (5)
- 圧延機を利用した過去の圧延処理における圧延条件データと圧延荷重とを関連付けして格納する記憶手段と、
圧延機の圧下率が所定値以下であるか否かを判別し、圧延機の圧下率が所定値以下である場合、圧延荷重を推定する圧延条件データとの類似度が所定値以上である過去の圧延条件データを前記記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された過去の圧延条件データと該圧延条件データに関連付けされた圧延荷重とを用いた回帰計算によって圧延荷重と圧延条件データとの関係を示す回帰式を作成する作成手段と、
前記作成手段によって作成された回帰式に圧延荷重を推定する対象の圧延条件データを入力することによって、圧延荷重を推定する推定手段と、
を備えることを特徴とする圧延機の圧延荷重推定装置。 - 前記記憶手段に格納されている過去の圧延条件データの値を正規化する正規化手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧延機の圧延荷重推定装置。
- 前記記憶手段に圧延条件データを格納する際、該圧延条件データとの類似度が所定値以上である過去の圧延条件データが既に格納されているか否かを判別し、類似度が所定値以上である過去の圧延条件データが既に格納されている場合、格納対象の圧延条件データと類似度が所定値以上である過去の圧延条件データとを用いた指数平滑処理によって類似度が所定値以上である過去の圧延条件データを更新する更新手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延機の圧延荷重推定装置。
- 前記圧延条件データには、圧延機の入側における被圧延材の板厚、圧延機の出側における被圧延材の板厚、被圧延材の板幅、圧延機のロール半径、圧延速度、圧延機の入側における被圧延材の張力、圧延機の出側における被圧延材の張力、被圧延材の成分値、及び被圧延材の熱延巻取温度のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうち、いずれか1項に記載の圧延荷重推定装置。
- 圧延機の圧下率が所定値以下であるか否かを判別する判別ステップと、
圧延機の圧下率が所定値以下である場合、圧延荷重を推定する圧延条件データとの類似度が所定値以上である過去の圧延条件データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出された過去の圧延条件データと該圧延条件データで圧延処理を行った際の圧延荷重とを用いた回帰計算によって圧延荷重と圧延条件データとの関係を示す回帰式を作成する作成ステップと、
前記作成ステップにおいて作成された回帰式に圧延荷重を推定する対象の圧延条件データを入力することによって、圧延荷重を推定する推定ステップと、
を含むことを特徴とする圧延機の圧延荷重推定方法。
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JP2013049455A JP2014172086A (ja) | 2013-03-12 | 2013-03-12 | 圧延機の圧延荷重推定装置及び圧延荷重推定方法 |
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JP2021133415A (ja) * | 2020-02-28 | 2021-09-13 | Jfeスチール株式会社 | モデル学習方法、走間板厚変更方法、鋼板の製造方法、モデル学習装置、走間板厚変更装置および鋼板の製造装置 |
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2013
- 2013-03-12 JP JP2013049455A patent/JP2014172086A/ja active Pending
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