JP2007050413A - 板幅制御方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パラメータの調整が簡単でかつ高いモデル予測精度を有する板幅制御方法および装置を提供することを目的とする。
【解決手段】予測対象である被圧延材の各種操業要因の設定値を入力する予測対象データ入力工程と、仕上幅変化量に影響を与える操業要因の設定値あるいは実績値と、仕上幅変化量実績とが圧延事例データとして過去の被圧延材ごとに保存されているデータベースから、予測対象である被圧延材の操業因子と類似した操業要因を有する過去の被圧延材を複数抽出して、抽出した被圧延材の圧延事例データを選択する類似データ選択工程と、選択した圧延事例データの仕上幅変化量に基づいて予測対象である被圧延材の仕上幅変化量を予測する予測値算出工程と、予測した仕上幅変化量に基づいて粗圧延機出側における板幅の目標値を設定する粗出側幅目標値算出工程と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被圧延材の熱間圧延に係わり、特に熱間粗圧延に用いると好適な板幅制御方法および装置に関するものである。
熱間圧延においては、例えば鋼板の場合、まず粗圧延により、板厚250mm程度、板幅800〜2000mm程度の大きさのスラブから板厚40mm程度のシートバーが製造される。その後、先のシートバーが仕上圧延により、決められた製品厚あるいは次工程で必要とされる1〜20mm程度の板厚に圧延され、コイラーで巻き取られる。粗圧延および仕上圧延は、それぞれ複数の圧延機からなる圧延機群により構成される。板厚とともに、板幅についても仕上圧延後にあらかじめ設定された目標板幅になるように制御する必要があり、粗圧延、仕上圧延ともに板幅制御が行われている。
粗圧延における板幅制御では、加熱炉で加熱されたスラブを、金型を用いて該スラブを板幅方向に縮幅加工する一対のプレス工具を有するサイジングプレス(以下単にプレスという)、およびエッジャー(竪ロール)により板幅方向に圧下する方法が取られている。仕上圧延における板幅制御としては、複数設置された仕上圧延機(スタンド)の間の被圧延材に負荷されている張力を操作することによって、仕上圧延の入側から出側に至る間における被圧延材の幅変化量(仕上幅変化量)を制御する方法が取られることがある。
しかしながら、その幅制御能力は粗圧延の幅制御能力に比べて小さいため、板幅を大きく変化させるのは粗圧延の役目となり、その製品の板幅精度は粗圧延出側の目標幅をいかに定め、実際の板幅を該目標幅にいかに精度よく制御するかにかかっている。
被圧延材の粗圧延出側における目標幅(粗出側目標幅)は、次の(1)式で与えられる。なお、以下の説明では、粗圧延出側、仕上圧延出側などの記載を、途中の圧延を省略して、粗出側、仕上出側のように簡略記載する。
粗出側目標幅=熱間圧延における製品幅+余幅(余裕代)+粗出側〜コイラー間での幅変化量 ・・・・・・・・・・・・・(1)
また、上式中の粗出側〜コイラー間での幅変化量は、(2)式に示すように2つの項に分割して与える場合もある。
粗出側〜コイラー間での幅変化量=粗出側〜仕上出側間での幅変化量+仕上出側〜コイラー間での幅変化量 ・・・・・・・・・・・・・(2)
さらに、余幅は、粗出側〜コイラー間での幅変化量の被圧延材間のばらつきや、一本の被圧延材内における板幅変動に対する余裕代であり、製品の歩留まり上は小さい方が望ましいが、小さくしすぎると製品幅を下回ってしまう被圧延材が発生するため、そのリスクを考えて適正な値に設定される。余幅が、担当者が適切な値になるように設定する操業変数であるのに対し、粗出側〜コイラー間での幅変化量は、圧延現象による板幅変化を圧延を行う前に予測して設定する量であり、テーブルあるいはモデル式によって板幅変化の予測値が与えられる。
この板幅変化の予測に基づく板幅制御に関しては、たとえば特許文献1では、被圧延材の板幅、板厚、スタンド間張力、材料温度、変形抵抗に基づいて仕上圧延機における幅拡がり量と幅縮み量とを演算し、この演算値と仕上圧延機出側の目標幅に基づいて仕上圧延機入側の目標幅を求めて粗圧延のエッジャーのロール開度を制御する方法が開示されている。また、特許文献2、特許文献3では、板クラウンを考慮して板幅変化量を予測演算して板幅制御を行う方法が開示されている。
特開昭62−68616号公報 特開平7−32019号公報 特開平8−112609号公報
しかしながら、これまでに提案されている仕上圧延機における板幅変化を予測する方法は、いずれも板幅変化に影響を与える因子を入力として板幅変化量を出力とした関数をあらかじめ定めておき、個々の被圧延材の圧延条件にしたがって該関数の入力値を与えることにより板幅予測量を得るものであった。以下、この仕上圧延機における板幅変化を仕上幅変化、その予測を行うための関数を仕上幅モデルとよぶ。仕上幅モデルは、実機あるいは実験用の圧延機における板幅変化に関する知見から得られたものではあるが、実際に板幅制御に適用するにあたっては、実機における板幅変化量を定量的に表現するためにモデルに含まれるパラメータを調整する必要がある。
例えば、特許文献1では、被圧延材がロールを通過することによって生じる幅拡がり量と、スタンド間張力による幅縮み量をそれぞれ別のモデル式で表し、それらを加算することによって仕上幅変化量を予測している。前者の幅拡がり量は、(3)式で与えられる。
幅拡がり量=f(入側板厚,出側板厚,ロール半径,入側幅)・・・・・・・・・・・・(3)
また、後者の幅縮み量は、(4)式で与えられる。
幅縮み量=板幅×(a×スタンド間張力+b)・・・・・・・・・・・・(4)
(4)式で、a, bは被圧延材の温度、変形抵抗、板幅、板厚により決まる定数であり、(3)式の具体的な形は与えられていないが、同様に被圧延材に依存するパラメータが存在する。
これらのパラメータの値は、(3)、(4)式による予測量が実機における実績値と一致するように、被圧延材ごとにあらかじめ決定しておく必要があるが、ロールバイトにおける幅拡がりとスタンド間における幅縮みは仕上圧延機内で連続して生じる現象であり、それらを分離して測定することは不可能である。したがって、仕上圧延機入出側、あるいはスタンド間に設けられた板幅計で測定した板幅実績値を用いて、(3)、(4)式の和が板幅変化量に等しくなるようにパラメータを調整することになるが、実際の板幅変化は、各スタンドおよびスタンド間における変化が累積したものであり、数少ない台数の板幅計の測定値からパラメータを正確に合わせ込むのは困難である。また、これらのパラメータは、被圧延材の鋼種、サイズ、板厚のスケジュールなどの圧延条件によって最適値が変わる。そのため、被圧延材をいくつかのグループに分け、グループごとに最適値を求める必要がある。また、各グループについて、圧延条件や設備の経時変化などによってパラメータが不適切なものとなり、予測精度が低下する場合がある。そのような場合にはパラメータのメンテナンスを行うことによって必要な予測精度を回復する必要がある。
また、特許文献2および特許文献3では、板クラウンを考慮して板幅変化量を予測演算して板幅制御を行う方法において用いられる仕上幅モデル式についても同様に、圧延実績にモデルを合わせこむためのパラメータ調整、およびメンテナンスが必要であり、モデルの入力が増え、構造が複雑になれば一層そのための労力は大きくなる。
このように、従来の仕上幅モデルは、モデルの構造はさまざまであるが、いずれもそれらによる仕上幅変化量が実績値にできるだけ一致するようにパラメータを調整する労力、およびその精度を維持管理するための労力が大きく、すべての被圧延材に対して常に予測制度を確保するのが困難であった。そのために予測精度が低下すると製品の板幅精度が劣化し、板幅の公差を外れた不良品の発生率が高くなったり、それを防ぐために余幅の設定が過剰になったりして歩留まりが低下するという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、パラメータの調整が簡単でかつ高いモデル予測精度を有する板幅制御方法および装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、熱間圧延の仕上圧延出側における被圧延材の板幅を所望の値に制御するにあたり、予測対象である被圧延材の各種操業因子の設定値を入力する予測対象データ入力工程と、仕上圧延の入側から出側に至る間における被圧延材の幅変化量である仕上幅変化量に影響を与える操業因子の設定値あるいは実績値と、仕上幅変化量実績とが圧延事例データとして過去の被圧延材ごとに保存されているデータベースから、予測対象である被圧延材の操業因子と類似した操業因子を有する過去の被圧延材を複数抽出して、抽出した被圧延材の圧延事例データを選択する類似データ選択工程と、選択した圧延事例データの仕上幅変化量に基づいて予測対象である被圧延材の仕上幅変化量を予測する予測値算出工程と、予測した仕上幅変化量に基づいて粗圧延出側における板幅の目標値を設定する粗出側幅目標値算出工程と、を有することを特徴とする板幅制御方法である。
また本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の板幅制御方法において、被圧延材の圧延終了後に、その圧延実績に基づいて前記データベースの内容を更新するデータベース更新工程を有することを特徴とする板幅制御方法である。
さらに本発明の請求項3に係る発明は、熱間圧延の仕上圧延出側における被圧延材の板幅を制御する板幅制御装置であって、操業を管理および制御するための操業用計算機と、過去の圧延事例データを蓄積・記憶するためのデータベースと、仕上圧延の入側から出側に至る間における被圧延材の幅変化量である仕上幅変化量の予測を行うための仕上幅変化量予測装置とを備え、該仕上幅変化量予測装置は、前記操業用計算機からの予測計算開始指令を受け付ける仕上幅変化量予測演算要求入力部と、予測対象である被圧延材の各種操業因子の設定値を前記操業用計算機から入力する予測対象材データ入力部と、前記データベースから予測演算の為に必要な過去の圧延事例データを読み込むデータベース読込部と、該データベース読込部および前記予測対象材データ入力部からの出力データを入力して、これらのデータに基づいて、仕上幅変化量を予測すると共に、その予測結果を前記操業計算機に出力する予測値演算部と、から成ることを特徴とする板幅制御装置である。
本発明では、仕上幅変化量を予測するにあたり、従来の技術のように仕上幅モデルに特定の関数を仮定して、そのパラメータを実績に合わせて調整するのではなく、仕上幅変化量に影響を与える因子と、その結果として生じる幅変化量実績とをデータベースとして保存し、仕上幅変化量予測の対象となる被圧延材と前記仕上幅変化量に影響を与える因子が類似している過去の被圧延材を複数抽出し、該抽出した圧延例の幅変化量に基づいて前記予測対象材の幅変化量を予測するようにしたので、従来の技術におけるパラメータ調整が不必要となる。
また、被圧延材の圧延実績に基づいて上記データベースの内容を更新するようにしたので、圧延条件や設備の経時変化などによって仕上幅変化量が変動した場合にも、それがデータベースに反映され、仕上幅変化量予測もその変動が考慮されたものとなり、常に高い予測精度が維持できる。そのため、従来の技術のように、モデル精度維持のためのメンテナンスは不要となり、そのためのメンテナンス負荷が大きく軽減されるという効果もある。
本発明を実施するための具体的な処理方法としては、例えば次のような方法を採ることができる。
(1)仕上幅変化量に影響を与える因子の実績値あるいは設定値と、その結果として生じる幅変化量実績とをデータベースとして保存しておく。
(2)被圧延材間で、仕上幅変化量に影響を与える因子に関する類似度をあらかじめ定義しておく。
(3)予測の対象となる被圧延材と、データベースに保存された過去の被圧延材の間の類似度を計算し、類似度の高い順にあらかじめ定められた本数の被圧延材を抽出する。
(4)抽出した過去の被圧延材の仕上幅変化量実績を(3)で計算した類似度で重みを付けて平均値を求め、その平均値をもって予測対象材の仕上幅変化量予測値とする。
本発明では、モデルのパラメータではなく圧延実績そのものをデータベースとして保存し、それから直接的に仕上幅変化予測量を求めるため、以下のことが可能となった。
(1)従来のように具体的なモデルの関数形を仮定せず、今回の被圧延材に類似した過去の複数の被圧延材の仕上幅変化量実績の重み付き平均値により予測対象の被圧延材の仕上幅変化量を求めている。そのため、仮定したモデルの関数形が不適切であるためにモデルによる予測値と実績値がずれてしまう問題が発生しない。
(2)具体的なモデルの関数形を仮定しないこと、および圧延実績そのものをデータベースとして保存することにより、予測に用いる変数の追加、削除が容易に行える。
以下にその実施形態の一例を説明する。
図6は、本発明が対象とする熱間仕上圧延機の構成例を示す図である。図6の場合、F1からF7まで7台のスタンド(圧延ロール)が直列に配置されており、被圧延材がそれらを連続的に通過することによって圧延が行われる。圧延機の入側と出側には板幅計が設置されており、被圧延材の板幅を長手方向に連続して測定することができる。入側と出側で、長手方向で対応する部分の板幅を測定し、その差を求めることにより、仕上幅変化量の実績値を得ることができる。
図1は本発明に係る板幅制御方法の概念を説明する図である。過去の圧延事例データベース内には、仕上幅変化量に影響を与える操業因子の設定値あるいは実績値(以下、入力変数とよぶ)と、その結果として生じる仕上幅変化量実績(以下、出力とよぶ)が過去の被圧延材ごとに保存されている。
先ず、予測対象データ入力工程(Step11)では、予測対象である被圧延材の各種操業設定値が入力変数として入力される。類似データ選択工程(Step12)では、予測対象である被圧延材の入力変数と操業設定値の類似した過去の圧延事例を複数選択する。予測値算出工程(Step13)では、選択されたデータに対する過去の出力実績値(仕上幅変化量)から予測対象材の仕上幅変化量を予測する。粗出側幅目標値算出工程(Step14)では、予測対象材の熱間圧延における製品幅、余幅、仕上出側〜コイラー間での幅変化量、および仕上幅変化量予測値に基づいて粗出側幅目標値を算出する。以上が、本発明に係る板幅制御方法の大まかな処理の流れである。
図2は、本発明に係る板幅制御装置の一構成例を示す図である。板幅制御装置は、大きく分けて、操業を管理および制御するための操業用計算機(プロセスコンピュータ)1、過去の操業データを蓄積・記憶するためのデータベース2、および本発明の中心部分である仕上幅変化量予測を行うための仕上幅変化量予測装置3から構成される。
操業用計算機1は、一本の被圧延材の圧延が完了するたびに、圧延データを入力し、それをデータベース2に格納する。また、操業用計算機1は、次の被圧延材の仕上幅変化量を予測するために、仕上幅変化量予測装置3に対して予測計算の開始を要求するとともに、その予測対象材の入力変数(各種操業設定値)等を仕上幅変化量予測装置3に出力する。仕上幅変化量予測装置3は、データベース2に格納された過去の圧延事例データに基づいて仕上幅変化量予測値を算出し、それに従って粗圧延出側目標幅が操業用計算機1で設定される。
データベース2は、例えば図4に示すような入力変数(仕上幅変化量に影響を与える因子の設定値あるいは実績値)と出力値(仕上幅変化量)とが対となっているデータ構造を有している。
仕上幅変化量予測装置3は、さらに仕上幅変化量予測演算要求入力部31、データベース読込部33、予測対象材データ入力部32、予測値演算部34、および記憶装置35とからなる。
仕上幅変化量予測演算要求入力部31は、操業用計算機1からの予測計算開始指令を受け付け、これを予測演算部34に出力することで、予測演算が実行される。データベース読込部33は、データベース2から予測演算の為に必要な過去の圧延事例データを読み込み処理をおこない、予測演算部34に出力する。予測対象材データ入力部32は、予測対象材のデータを操業用計算機1から入力し、予測演算部34に出力する。ここで入力されるデータは、例えば図5に示すような構造のデータである。
予測演算部34では、予測対象材のデータと、過去の圧延事例データとに基づいて、仕上幅変化量を予測し、その結果を操業用計算機1に出力する。操業用計算機1は、予測対象材の熱間圧延における製品幅、余幅、仕上出側〜コイラー間での幅変化量、および仕上幅変化量予測値に基づいて粗出側幅目標値を設定する。さらに、対象とする被圧延材の圧延終了後に、その圧延実績に基づいて前記データベースの内容を更新するために、圧延ラインから圧延データを入力し、それをデータベース2に格納する。なお、記憶装置36は、予測演算部34における中間結果の一時保存用として用いられる。
図3は、仕上幅変化量予測装置での処理手順の一例を示すフロー図である。図を用いて処理フローの詳細を、以下説明していく。先ず、操業用計算機から仕上幅変化量予測演算開始要求の信号が入力されると、仕上幅変化量予測装置での演算が開始する。
予測対象材データ入力部は、操業用計算機から仕上幅変化予測に必要なデータを受け取り、それらを予測値演算部に出力する。予測値演算部は下記のベクトルへの変換や正規化処理が実行する(Step101)。ここで入力されるデータは、予測対象材に関する入力変数q(1),q(2),q(3),・・・,q(n)であり、与えられた複数の入力変数を入力変数空間上のベクトルとして、(5)式のように表し、予測要求点と呼ぶことにする。なお、nは入力変数の個数であり、あらかじめ定められた数である。
q=[q(1),q(2),q(3),・・・,q(n)]・・・・・・・・・(5)
次に、過去の圧延事例データが、操業用計算機からデータベース読込部を経由して予測値演算部に出力される。予測値演算部では、予測対象材のデータに対する処理と同様に、ベクトルへの変換、正規化処理を実行する(Step102)。過去の圧延事例データについても入力変数空間上のベクトルとして、(6)式のように表す。
Xj =[xj(1), xj(2), xj (3),・・・, xj (n)] ・・・・・・・・・(6)
ここで、(j=1,2,3,・・・,m;mはデータベース内のデータ個数であり、圧延事例数をあらわし、nは入力変数の個数をあらわす)
また、データベース内のデータ構造は、図4のように、入力変数(仕上幅変化量に影響を与える因子の設定値あるいは実績値)に対して、出力結果(仕上幅変化量結果)が対応付けされたテーブル構造とする。
次に、qとそれぞれの過去の圧延事例データXj(j=1〜m)との距離djを算出し、それぞれに過去実績データXj(j=1〜m)に対応づけて距離djの値を演算部の記憶装置(メモリ、ハードディスク等)に記憶する(Step103)。
予測要求点からの入力変数空間上の距離を算出する方法としては、例えば、以下の(7)式で表されるユークリッド距離djを用いることができる。
ただし、S1,S2,・・・,Sn:入力変数間重み係数
過去の圧延事例データXj(j=1〜m)の中で、djの値が小さいものは、予測対象材と仕上幅変化量に影響を与える因子が類似していることになるから、それらが仕上ミル内でどのような幅変化を生じたかは予測対象材の仕上幅変化予測に対してよい情報となる。そこで、djの値が小さいものから順にk個の過去の圧延事例データを選択(step104)し、それらを用いて仕上幅変化量予測結果を算出する(step105)。仕上幅変化量予測値の算出方法としては、例えば、選択された圧延事例データ(k個の過去の圧延事例データを、yj(j=1〜k)と並び替えて)の仕上幅変化量実績値yjを距離djを考慮して重み付き平均した以下の(8)式を用いることができる。
ただし、wは距離に応じた重み関数であり、距離dの関数である。
または、入力変数を説明変数とし、出力を目的変数とする回帰式を用い、選択された圧延事例データを用いて重回帰分析により求めることもできる。その重回帰分析で使用するデータを本願発明の方法により選択する。重回帰分析を行う場合は選択するデータの所定数を多めにし、例えば、数10本から100本程度の圧延事例を選択するようにして、下記重回帰式にもとづき、偏回帰係数を求める。
最終的には、上記重回帰式により、予測要求点(X=q)に対する出力予測値を次のように求める。
図7に、従来の仕上幅モデルによる仕上幅変化量予測と、本発明による仕上幅変化量予測の精度を比較した結果の例を示す。従来の仕上幅モデルは、入力変数として仕上ミル出側における板厚、板幅、温度、クラウンの各目標値、各スタンド間における張力目標値に基づいて仕上幅変化量を予測するものである。比較のため、本発明による仕上幅変化量予測においても入力変数は従来の仕上幅モデルと同じものを用いた。また、データベースには圧延事例データ数として3000本分の被圧延材のデータを格納し、類似データの選択個数は20個とした。予測方法としては、重みつき平均値を用いた。予測誤差のバラツキを示す標準偏差が1.87から1.27に減少して、本発明による仕上幅変化量予測は、従来の仕上幅モデルによる予測に対して予測精度を向上することができた。
本実施例では、予測対象材と過去の圧延事例の類似度を評価するのにユークリッド距離を用いたが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば、入力変数の各変数ごとに区分を設けて細分化したテーブルを設けておき、予測対象材が該当するテーブル区分の圧延事例について、それらがすべて予測対象材と等しい類似度を持つとして、出力の重み付き平均値、あるいは重回帰式によって仕上幅変化量予測値を求めることもできる。この場合は、予測対象材とデータベース中の各圧延事例との距離を計算する必要がなく、距離が小さいものから圧延事例を選択する必要もないので、計算量の点で有利である。
また、過去の圧延事例データベースは、すべての圧延事例を一つのデータベースとしておく必要はなく、鋼種や寸法などにより、必要に応じて大まかな区分に分けて圧延事例を格納することにより、類似した圧延事例の検索に要する時間を短縮することができる。
本発明に係る板幅制御方法の概念を説明する図である。 本発明に係る板幅制御装置の一構成例を示す図である。 仕上幅変化量予測装置での処理手順の一例を示すフロー図である。 圧延事例データベースのデータ構造例を示す図である。 予測対象材の入力データ構造例を示す図である。 熱間仕上圧延機の構成例を示す図である。 本発明による仕上幅変化量の予測精度を従来の仕上幅モデルの予測精度と比較した結果の例を示す図である。
符号の説明
1 操業用計算機
2 データベース
3 仕上幅変化量予測装置
31 仕上幅変化量予測演算要求入力部
32 予測対象材データ入力部
33 データ読込部
34 予測値演算部
35 記憶装置

Claims (3)

  1. 熱間圧延の仕上圧延出側における被圧延材の板幅を所望の値に制御するにあたり、
    予測対象である被圧延材の各種操業因子の設定値を入力する予測対象データ入力工程と、
    仕上圧延の入側から出側に至る間における被圧延材の幅変化量である仕上幅変化量に影響を与える操業因子の設定値あるいは実績値と、仕上幅変化量実績とが圧延事例データとして過去の被圧延材ごとに保存されているデータベースから、予測対象である被圧延材の操業因子と類似した操業因子を有する過去の被圧延材を複数抽出して、抽出した被圧延材の圧延事例データを選択する類似データ選択工程と、
    選択した圧延事例データの仕上幅変化量に基づいて予測対象である被圧延材の仕上幅変化量を予測する予測値算出工程と、
    予測した仕上幅変化量に基づいて粗圧延出側における板幅の目標値を設定する粗出側幅目標値算出工程と、
    を有することを特徴とする板幅制御方法。
  2. 請求項1に記載の板幅制御方法において、
    被圧延材の圧延終了後に、その圧延実績に基づいて前記データベースの内容を更新するデータベース更新工程を有することを特徴とする板幅制御方法。
  3. 熱間圧延の仕上圧延出側における被圧延材の板幅を制御する板幅制御装置であって、
    操業を管理および制御するための操業用計算機と、
    過去の圧延事例データを蓄積・記憶するためのデータベースと、
    仕上圧延の入側から出側に至る間における被圧延材の幅変化量である仕上幅変化量の予測を行うための仕上幅変化量予測装置とを備え、
    該仕上幅変化量予測装置は、前記操業用計算機からの予測計算開始指令を受け付ける仕上幅変化量予測演算要求入力部と、
    予測対象である被圧延材の各種操業因子の設定値を前記操業用計算機から入力する予測対象材データ入力部と、
    前記データベースから予測演算の為に必要な過去の圧延事例データを読み込むデータベース読込部と、
    該データベース読込部および前記予測対象材データ入力部からの出力データを入力して、これらのデータに基づいて、仕上幅変化量を予測すると共に、その予測結果を前記操業計算機に出力する予測値演算部と、
    から成ることを特徴とする板幅制御装置。
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