JP2014124647A - Mg合金の連続鋳造方法、Mg合金の鋳造材、Mg合金の鋳造コイル材、Mg合金の展伸材、およびMg合金の構造体 - Google Patents

Mg合金の連続鋳造方法、Mg合金の鋳造材、Mg合金の鋳造コイル材、Mg合金の展伸材、およびMg合金の構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】鋳造時の酸化マグネシウムの生成を従来よりも少なくすることができるMg合金の連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】一対の可動鋳型3の間に鋳造ノズル2からMg合金の溶湯4’を供給し、その溶湯4’を一対の可動鋳型3の間で急冷凝固させることでMg合金の鋳造材4を連続的に作製するMg合金の連続鋳造方法である。このMg合金の連続鋳造法では、鋳造ノズル2の外周を覆って、その覆った部分の内部空間の雰囲気と、覆った部分の外部空間の雰囲気とを異ならせることができる状態とした上で、不活性ガスを内部空間に連続的に導入し、鋳造ノズル2の注湯口21近傍の鋳造雰囲気における少なくとも酸素濃度をモニターすると共に、そのモニター結果に基づいて不活性ガスの導入量を調整することで鋳造雰囲気を一定に制御しながら連続鋳造を実施する。
【選択図】図1

Description

本発明は、Mg合金(純Mgを含む)の鋳造材を作製するMg合金の連続鋳造方法と、その方法により得られたMg合金の鋳造材、並びにそのMg合金の鋳造材を加工して得られたMg合金の鋳造コイル材・Mg合金の展伸材・Mg合金の構造体に関するものである。
電気機器の筐体などの素材となる板状の鋳造材は、例えば、可動鋳型を用いる双ロール法(ツインロール法)、双ベルト法(ツインベルト法)、車輪ベルト法(ベルトアンドホイール法)といった連続鋳造法で作製することができる。例えば、双ロール式連続鋳造方法は、互いに反対方向に回転する一対の鋳造ロールの間に溶湯を供給し、鋳造ロールの間で溶湯を急冷凝固させることで板状の鋳造材を得る。この双ロール式連続鋳造方法で作製された鋳造材は通常、巻き取りリールに巻き取られ、所定長となったところで切断され、巻き取りリールごと別の加工工程の現場へ運ばれたり、出荷されたりする。
ところで、鋳造対象となる合金がMg合金(純Mgを含む)である場合、Mg合金は酸素と反応して酸化マグネシウムを生じ易く、その酸化マグネシウムがMg合金の鋳造材の表面性状を低下させたり、塑性加工時に割れの起点になるなどの不具合を生じさせる恐れがある。そこで、特許文献1では、鋳造雰囲気中の酸素濃度を5体積%以下の低酸素状態にすることが行なわれている。
特開2009−174008号公報
近年、軽量で高強度のMg合金で電気機器の筐体などを作製することが盛んに行なわれており、その材料となるMg合金鋳造材の需要も高まっている。その需要に応じるべく、従来よりも鋳造時の酸化マグネシウムの生成が少なく、そのため欠陥の少ないMg合金鋳造材を連続的に作製することができるMg合金の連続鋳造方法が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的の一つは、鋳造時の酸化マグネシウムの生成を従来よりも少なくすることができるMg合金の連続鋳造方法、およびその方法により得られたMg合金の鋳造材を提供することにある。また、本発明の別の目的は、本発明のMg合金の鋳造材を巻き取ったMg合金の鋳造コイル材、本発明のMg合金の鋳造材または鋳造コイル材を圧延加工したMg合金の展伸材、並びに本発明のMg合金展伸材をプレス加工したMg合金の構造体を提供する。
本発明者らの最近の研究から、鋳造ノズルの注湯口近傍の鋳造雰囲気における酸素濃度を一定に制御することが、欠陥の少ないMg合金の鋳造材を連続的に作製する上で重要であることが分かった。この知見に基づいて本発明を以下に規定する。
本発明は、一対の可動鋳型の間に鋳造ノズルからMg合金の溶湯を供給し、その溶湯を一対の可動鋳型の間で急冷凝固させることでMg合金の鋳造材を連続的に作製するMg合金の連続鋳造方法に係る。本発明のMg合金の連続鋳造法では、鋳造ノズルの外周を覆って、その覆った部分の内部空間の雰囲気と、覆った部分の外部空間の雰囲気とを異ならせることができる状態とする。そのような状態とした上で、本発明のMg合金の連続鋳造方法では、不活性ガスを内部空間に連続的に導入し、鋳造ノズルの注湯口近傍の鋳造雰囲気における少なくとも酸素濃度をモニターすると共に、そのモニター結果に基づいて不活性ガスの導入量を調整することで上記鋳造雰囲気を一定に制御しながら連続鋳造を実施する。なお、本発明におけるMg合金は、99.8質量%以上のMgと不可避的不純物とからなる純Mgも含む。
本発明のMg合金の連続鋳造方法において内部空間内に導入する不活性ガスとしては、例えばNガス、Arガスなどを挙げることができる。これら不活性ガスであれば、無用なMg合金の化学状態の変化を抑制することができる。ここで、不活性ガスの導入量(流量)は、高すぎるとMg合金の溶湯を不必要に冷却してしまうし、低すぎると内部空間内の大気の追い出しが十分でなく、鋳造ノズル近傍の鋳造雰囲気を制御することが難しい。不活性ガスの流量は、1分間あたり、内部空間の体積以下とすることが好ましい。例えば、内部空間が10Lであれば、不活性ガスの流量は10L/min以下とすることが好ましい。
上記本発明の構成のように、鋳造ノズルの外周を覆って、その覆った部分の内部空間の雰囲気と、覆った部分の外部空間の雰囲気とを異ならせることができる状態とし、その内部空間へ連続的に不活性ガスを導入することで、鋳造雰囲気における酸素濃度を容易に管理することができる。加えて、本発明のMg合金の連続鋳造方法では、鋳造雰囲気における少なくとも酸素濃度をモニターすると共に、必要に応じて不活性ガスの導入量を調整することで、鋳造雰囲気を一定に制御しながら連続鋳造を行なっている。そのため、欠陥の少ないMg合金の鋳造材を連続的に安定して作製することができる。
一方、本発明の構成と異なり、例えば鋳造ノズル周辺に向かって不活性ガスを吹き付けるだけでは鋳造雰囲気を一定に制御することが困難であり、また鋳造ノズル周辺を覆って不活性ガスを一旦パージするだけでは鋳造雰囲気の変化が起こる場合がある。いずれの構成であっても、欠陥の少ないMg合金の鋳造材を連続的に安定して作製することは難しい。また、先行技術として例示した上記特許文献1に記載されるMg合金の連続鋳造方法は、鋳造雰囲気中の酸素濃度を5体積%以下の低酸素状態とするとはいうものの、その酸素濃度を一定に制御する構成が欠けているため、作製する鋳造材の長さが長くなるほど、鋳造材に欠陥が発生する可能性が高くなると予想される。
本発明のMg合金の連続鋳造方法の一形態として、内部空間への不活性ガスの導入により、注湯口近傍の鋳造雰囲気における酸素濃度を制御することで、Mg合金の溶湯と可動鋳型との接触位置を調整する形態を挙げることができる。
上記構成における注湯口近傍の鋳造雰囲気における酸素濃度の制御は、例えば、内部空間に導入する不活性ガスの流量によって調節することができる。鋳造雰囲気の酸素濃度を低くすれば、Mg合金の溶湯の表面に形成される酸化皮膜を薄くすることができ、その結果、溶湯の表面張力を低下させることができる。溶湯の表面張力が小さくなると、溶湯とロール(可動鋳型)との接触位置は鋳造ノズル側に移動する。ここで、双ロール式連続鋳造方法における急冷凝固においては、その凝固開始位置、即ち鋳造ノズルから吐出されるMg合金の溶湯とロールとの接触位置が、鋳造材の品質に非常に大きな影響を与える。溶湯とロールとの接触位置は、鋳造ノズルとロールとの位置関係、溶湯の送り圧、溶湯の表面張力など、様々な因子によって決定される。これらの因子のうち、位置関係の調節には限界があるし、溶湯の送り圧は精度良く制御することが難しい。これに対して、不活性ガスの導入によって鋳造雰囲気の酸素濃度を制御する本発明の構成によれば、溶湯の表面張力を比較的容易に微調整することができ、表面張力の変化に伴う溶湯とロールとの接触位置の微調整を行なうことができる。
なお、Mg合金の種類によって溶湯の表面張力が異なるため、Mg合金の種類によって溶湯表面の酸化皮膜の形成のされ方が異なる。つまり、Mg合金が純Mgであるか、あるいはどのような添加元素をどの程度含むかによって、溶湯とロールとの接触位置に差が生じてくる。そのような合金種の違いによる溶湯とロールとの接触位置の変化に対して、鋳造雰囲気の酸素濃度を制御することで対応することが可能である。既に述べたように、鋳造雰囲気の酸素濃度の制御によって、溶湯とロールとの接触位置を所望の位置に調整することが比較的容易であるからである。
本発明のMg合金の連続鋳造方法の一形態として、上記鋳造雰囲気を、露点8℃以下、酸素濃度15体積%以下、温度65℃〜450℃に制御する形態を挙げることができる。なお、言う迄もないが、露点とは、水蒸気を含む気体を冷却したときに凝結が始まる温度のことで、露点が低いほど乾燥した気体といえる。
本発明者らの最近の研究から、溶融したMg合金は、低酸素雰囲気下においても雰囲気中の水蒸気と反応して酸化マグネシウムを生成する可能性があることが分かった。つまり、鋳造雰囲気中の酸素濃度と湿度とを一体的に調整することが、欠陥の少ないMg合金の鋳造材を連続的に作製する上で重要であることが分かった。また、不活性ガスのフローによって酸素濃度と湿度を調整するにあたり、鋳造雰囲気の温度が高くなり過ぎたり低くなり過ぎたりしないように調整することも、欠陥の少ないMg合金の鋳造材を連続的に作製するためには重要である。
露点8℃以下で酸素濃度15体積%以下の鋳造雰囲気中では、Mgが非常に酸化し難い。また、鋳造雰囲気の温度を65℃以上とすることで、鋳造ノズル中でMg合金の溶湯が凝固することを抑制できる。一方、鋳造雰囲気を450℃以下とすることで、鋳造ノズルから可動鋳型に吐出されたMg合金の溶湯の冷却速度を十分に確保することができる。以上、鋳造雰囲気における露点、酸素濃度、および温度を規定範囲内とすることで、欠陥の少ないMg合金の鋳造材を連続的に得ることができる。
本発明のMg合金の連続鋳造方法の一形態として、内部空間内への不活性ガスの導入は、鋳造ノズルの側方で、かつ下方から行なう形態を挙げることができる。
内部空間に不活性ガスを導入する場合、その不活性ガスが直接、溶湯や鋳造ノズルに当たらないようにすることが好ましい。溶湯や鋳造ノズルが部分的に冷却されて、鋳造材に凝固ムラができる恐れがあるからである。また、内部空間は上昇気流が生じ易い環境にあるため、下方から不活性ガスを導入すれば、自然と内部空間内における不活性ガスの割合を高めることができ、その内部空間における鋳造ノズルの注湯口近傍の鋳造雰囲気を上記規定範囲内にすることができる。
本発明のMg合金の連続鋳造方法の一形態として、Mg合金は、ASTM規格のAZ91相当のMg合金である形態を挙げることができる。
本発明におけるMg合金(純Mgを含む)は特に限定されないが、Mgに添加元素としてAlを含有させたMg−Al合金は、耐食性に優れるため、好ましい。特に、ASTM規格のAZ91相当のMg合金は、Alを8.3質量%〜9.5質量%、Znを0.5質量%〜1.5質量%含有し、非常に優れた耐食性を備える。このAZ91相当のMg合金の鋳造材は、その耐食性のために、種々の工業製品に好適に利用可能である。
一方、本発明のMg合金の鋳造材は、上記本発明のMg合金の連続鋳造方法で得られたことを特徴とする。
既に述べたように、本発明のMg合金の連続鋳造方法では、Mg合金の酸化が生じ難い。そのため、本発明のMg合金の連続鋳造方法で得られた本発明のMg合金の鋳造材では、酸化マグネシウムからなる表面欠陥および内部欠陥が従来品よりも少ない。具体的には、幅が約200mm〜600mm、厚さが約3mm〜5mmのMg合金の鋳造材を連続的に作製した場合、本発明のMg合金の鋳造材の表面性状および内部性状は、鋳造直後の状態で次の数値を満たす。
[表面性状]…直径0.5mm以上の酸化マグネシウムによる表面欠陥が、鋳造材1m当たり0.1個以下。
[内部性状]…直径20μm以上の酸化マグネシウムによる内部欠陥が、鋳造材の断面1mm当たり0.1個以下。
鋳造ノズルから可動鋳型までの間で鋳造雰囲気に触れることで生成した酸化マグネシウムは、そのまま鋳造材の表面に残ったり、ノズル内を移動中に溶湯内部に巻き込まれたり、可動鋳型で溶湯が圧縮される際に鋳造材の内部に巻き込まれたりする。内部に巻き込まれた酸化マグネシウムは、巻き込まれる際に分断されて、表面に残った酸化マグネシウムよりも小さくなる傾向にある。参考までに、Mg合金の鋳造材の断面における酸化マグネシウムからなる内部欠陥の顕微鏡写真を図4に示す。図4に示すように、鋳造材に生成した酸化マグネシウムは、タバコの焼け跡のようになっており、その周りの健全な組織とは明らかに異なるため、見た目に確認することができる。なお、鋳造材の表面に残った酸化マグネシウムは、鋳造材から脱落して、鋳造材の表面に穴を形成することがある(後述する実施形態の図2(B)を参照)。つまり、鋳造材の表面に形成された穴の存在によって、間接的に酸化マグネシウムが生成されたことを知ることもできる。
上述したように、本発明のMg合金の鋳造材では、酸化マグネシウムからなる表面欠陥および内部欠陥が従来に比べて少ないため、曲げたり、塑性加工したりしても鋳造材にクラックなどの欠陥が生じ難い。そのため、本発明のMg合金の鋳造材をコイル状に巻き取ることで形成されたMg合金の鋳造コイル材、本発明のMg合金の鋳造材または本発明のMg合金の鋳造コイル材を圧延加工して得られたMg合金の展伸材、本発明のMg合金の展伸材をプレス加工して得られたMg合金の構造体も、クラックなどの欠陥を殆ど有さない工業材料となる。
本発明のMg合金の連続鋳造方法によれば、酸化マグネシウムからなる表面欠陥および内部欠陥が従来よりも少ないMg合金の鋳造材を作製することができる。
図1(A)は、実施形態で使用した双ロール式連続鋳造装置の概略横断面図、図1(B)は当該双ロール式連続鋳造装置の概略縦断面図である。 図2(A)は酸化マグネシウムによる表面欠陥が殆ど存在しないMg合金の鋳造材の表面写真を示す図であり、図2(B)は酸化マグネシウムによる表面欠陥を有するMg合金の鋳造材の表面写真を示す図である。 図3(A)は酸化マグネシウムによる内部欠陥が殆ど存在しないMg合金の鋳造材の断面写真を示す図であり、図3(B)は酸化マグネシウムによる内部欠陥を有するMg合金の鋳造材の断面写真を示す図である。 Mg合金の鋳造材の断面における酸化マグネシウムからなる内部欠陥の拡大写真を示す図である。
以下、鋳造雰囲気を種々変化させてMg合金の鋳造材を作製し、そのMg合金の鋳造材における表面性状および内部性状を調べた。
まず、Mg合金の鋳造材の製造に用いる鋳造装置を図1に基づいて説明する。図1の鋳造装置は、対向する一対の鋳造ロール3U,3D(可動鋳型3)と、これら鋳造ロール3U,3Dの間にMg合金の溶湯4’を供給する鋳造ノズル2とを備え、水平方向に鋳造材4を製造する、いわゆる横式の双ロール式連続鋳造装置1である。
鋳造ロール3U,3Dは、円筒状の部材であり、所定の間隔を空けて対向配置され、図1(B)に示すように互いに反対方向に回転する。これら鋳造ロール3U,3D間の間隔は、作製する鋳造材4の厚さに応じて変更可能である。鋳造ロール3U,3Dは、溶湯4を急激に冷却して凝固させるために、冷却機構を備えている。
一方、鋳造ノズル2は、その先端に矩形状に開口した注湯口21を備え、この注湯口21が上述した鋳造ロール3U,3Dの間に差し込まれるように配置される。また、鋳造ノズル2は、その両端部に鋳造材4の幅を規定するサイド部材25を備える。このサイド部材25は、鋳造ロール3U,3Dの間に差し込まれるように配置され、鋳造ロール3U,3Dから溶湯4が漏れないようにする堰の役割も果たす。
本実施形態の鋳造装置1ではさらに、鋳造ノズル2の外周全体がカバーされており、そのカバーされた部分の内部空間の雰囲気を、カバーされた部分の外部空間の雰囲気(大気雰囲気)とは異なる状態にすることができるようになっている。カバーの状態をより詳しく説明すると、鋳造ノズル2を支持するノズル支持体2Hのうち、鋳造ノズル2の側方に位置する部分が、鋳造ロール3U,3Dを回転可能に支持する鋳型支持体3Hに接触している。一方、ノズル支持体2Hのうち、鋳造ノズル2の上方と下方に位置する部分には、鋳造ノズル2よりも幅広の板バネ材2C,2Cが取り付けられ、その板バネ材2C,2Cが鋳造ロール3U,3Dに接触している(図1(B)を参照)。板バネ材2C,2Cにおける鋳造ロール3U,3Dとの接触箇所にはフェルト材が取り付けられており、板バネ材2C,2Cが直接鋳造ロール3U,3Dに接触して鋳造ロール3U,3Dを損傷しないようになっている。このようにして、鋳造ノズル2は四方から取り囲まれた状態になっている。その取り囲まれた空間の体積(鋳造ノズル2の外周面と、ノズル支持体2Hの内周面と、鋳造ロール3U,3Dの外周面と、鋳型支持体3Hの内周面と、で囲まれる空間の体積)は、およそ10Lであった。
また、カバーされた部分の内部空間には、その内部空間に不活性ガスを導入するための導入管2P,2Pが設けられている。導入管2P,2Pは、具体的には、鋳造ノズル2の両側に一対、設けられている。この導入管2P,2Pのガス噴出口は、鋳造ロール2側に開口し、かつ若干上方に向いている。そのため、導入管2P,2Pから導入した不活性ガスは、鋳造ノズル2から鋳造ロール3U,3Dに向かう方向で、かつ鋳造ノズル2の下方から上方に向かう方向に流れ、鋳造ノズル2に直接当たらないようになっている。
導入管2P,2Pから内部空間への不活性ガスの導入量は、図示しない制御機構により制御される。具体的には、制御機構は、内部空間における注湯口21の幅方向端部近傍に配置した各種センサの検知結果に基づいて、不活性ガスの導入量を調整する。この制御機構によって不活性ガスの導入量を調整することで、注湯口21の近傍の鋳造雰囲気を一定に制御することができる。なお、本実施形態では、雰囲気内の露点、酸素濃度、および温度を測定するセンサを設けた。これらセンサには公知の構成を利用することができる。
以上説明した構成により、カバー内の空間は完全に封止されるわけではないが、ガス導入管2P,2Pから不活性ガスを導入し続ける限り、カバーされた部分の内部空間の雰囲気は、カバーされた部分の外の大気雰囲気とは異なる状態になる。
以上説明した鋳造装置1を用いて、カバーされた部分の内部空間の雰囲気を変化させて、長さ600m、幅300mm、厚さ4mmのMg合金の鋳造材4を複数作製した。そして、得られたMg合金の鋳造材4の表面性状と内部性状を調べた。内部空間における鋳造ノズル2の注湯口21の近傍の雰囲気条件、および評価結果を表1に示す。
表1における流量は、内部空間に導入するNガスの流量である。流量が『0』となっているものは、Nガスを導入しなかったことを示す(つまり、大気雰囲気)。雰囲気内の露点、酸素濃度、および温度は、内部空間における注湯口の幅方向端部近傍に配置した各種センサにより測定した値である。
また、表面性状は、100mの鋳造材の表面に形成された直径0.5mm以上の酸化マグネシウムによる表面欠陥を目視にてカウントし、1m当たりの当該欠陥の数で評価した。図2(A)は、酸化マグネシウムによる表面欠陥が殆ど存在しない鋳造材の表面写真を示す図であり、図2(B)は、酸化マグネシウムが脱落してできた穴状の表面欠陥を有する鋳造材の表面写真を示す図である。表面欠陥のカウントにあたっては、図2(B)に示される穴状の表面欠陥や、酸化マグネシウムそのものからなる表面欠陥をカウントする。
一方、内部性状は、鋳造開始から10m,200m,400m,600m程度の位置で鋳造材を横断し、その横断面に形成された直径20μm以上の酸化マグネシウムからなる欠陥をSEM観察にてカウントし、1mm当たりの当該欠陥の数で評価した。観察した断面の視野の広さは4mm×15mm、視野の数は6個であった。図3(A)は、酸化マグネシウムからなる内部欠陥が殆ど存在しない鋳造材の断面写真を示す図であり、図3(B)は、図面上方、やや右寄りの位置に酸化マグネシウムからなる内部欠陥を有する鋳造材の断面写真を示す図である。内部欠陥のカウントにあたっては、図3(B)に示される酸化マグネシウムからなる内部欠陥をカウントする。
表1の結果から、露点8℃以下、酸素濃度15体積%以下、温度65℃〜450℃の鋳造雰囲気で作製された試料E,F,Hにおける酸化マグネシウムの欠陥の数は、表面および断面のいずれにおいても、他の試料に比べて格段に少なかった。具体的には、試料E,F,Hの表面酸化物の個数は、0.1個/m以下、内部酸化物の個数は、0.1個/mm以下であった。このように表面にも内部にも殆ど欠陥が存在しない試料E,F,Hの鋳造材であれば、さらに曲げたり塑性加工したりしても、鋳造材にクラックなどの欠陥が生じ難いと予想される。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
本発明のMg合金の連続鋳造方法は、種々の工業製品の材料となるMg合金の鋳造材の作製に好適に利用可能である。
1 双ロール式連続鋳造装置(連続鋳造装置)
2 鋳造ノズル 21 注湯口 25 サイド部材
2H ノズル支持体 2C 板バネ材 2P 導入管
3 可動鋳型 3U,3D 鋳造ロール
3H 鋳型支持体
4 Mg合金の鋳造材 4’ Mg合金の溶湯

Claims (9)

  1. 一対の可動鋳型の間に鋳造ノズルからMg合金の溶湯を供給し、その溶湯を前記一対の可動鋳型の間で急冷凝固させることでMg合金の鋳造材を連続的に作製するMg合金の連続鋳造方法であって、
    前記鋳造ノズルの外周を覆って、その覆った部分の内部空間の雰囲気と、覆った部分の外部空間の雰囲気とを異ならせることができる状態とした上で、不活性ガスを前記内部空間に連続的に導入し、
    前記鋳造ノズルの注湯口近傍の鋳造雰囲気における少なくとも酸素濃度をモニターすると共に、そのモニター結果に基づいて前記不活性ガスの導入量を調整することで前記鋳造雰囲気を一定に制御しながら連続鋳造を実施するMg合金の連続鋳造方法。
  2. 前記内部空間への不活性ガスの導入により、前記注湯口近傍の鋳造雰囲気における酸素濃度を制御することで、前記溶湯と前記可動鋳型との接触位置を調整する請求項1に記載のMg合金の連続鋳造方法。
  3. 前記鋳造雰囲気を、露点8℃以下、酸素濃度15体積%以下、温度65℃〜450℃に制御する請求項1または2に記載のMg合金の連続鋳造方法。
  4. 前記内部空間への不活性ガスの導入は、前記鋳造ノズルの側方で、かつ下方から行なう請求項1〜3のいずれか一項に記載のMg合金の連続鋳造方法。
  5. 前記Mg合金は、ASTM規格のAZ91相当のMg合金である請求項1〜4のいずれか一項に記載のMg合金の連続鋳造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のMg合金の連続鋳造方法で得られたMg合金の鋳造材。
  7. 請求項6に記載のMg合金の鋳造材をコイル状に巻き取ることで形成されたMg合金の鋳造コイル材。
  8. 請求項6に記載のMg合金の鋳造材、または請求項7に記載のMg合金の鋳造コイル材を圧延加工して得られたMg合金の展伸材。
  9. 請求項8に記載のMg合金の展伸材をプレス加工して得られたMg合金の構造体。
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