JP5811820B2 - 鋳片の鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造法を始めとし、造塊法やバッチ式の半連続鋳造方法で製造する鋳片の鋳造方法に関し、特に鋳片内のポロシティを低減することが可能な鋳造方法に関する。
橋梁や建築部材等に用いられる極厚鋼板を製造するにあたり、素材となるスラブ鋳片を鋳造する際に圧下比を大きく取らないと、鋳造欠陥であるポロシティが十分に圧着されずに残存し、製品の欠陥となることが問題となる。
スラブ鋳片の圧下比を大きくとるには鋳片の断面を大きくすればよい。しかし、連続鋳造法では、連続鋳造機の機長に限界があることから、大断面の鋳片を製造するには鋳造速度を低速とする必要があり、鋳片の製造効率が非常に低い。また、連続鋳造ではない通常の造塊法でも大径の鋳塊を鋳造することができるものの、鋳造速度を低速とした連続鋳造法よりも一層製造効率が低いことはいうまでもない。
極厚鋼板用の鋳片のポロシティを低減する方法として、例えば特許文献1において、鋳片の厚さ中心部の固相率が0.8以上、1.0未満の範囲において、未凝固部を含む鋳片の幅中央部を一対の圧下ロールにより3〜15mm圧下することにより鋳造された鋳片を素材として、仕上げ圧延までの圧下比が1.5〜4.0の条件で熱間圧延する極厚鋼板の製造方法が開示されている。
特許文献1では、この方法によれば、この方法を適用しない場合と比較してポロシティの体積を1/3以下に低減することができるとしている。
特開平2007−196265号公報
しかし、ポロシティ低減の要求が今後益々厳しくなることや、薄肉の鋳片を高速で鋳造し、仕上げ圧延の圧下比を低くすることが望ましいこと等を考慮すると、特許文献1で提案した方法ではポロシティの低減は十分であるとはいえない。
また、特許文献1で提案した方法よりも圧延の圧下比を大きくしても、ポロシティの体積を十分に低減できない場合がある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、鋳片中心部に形成されるポロシティの体積を十分に低減することが可能な方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、圧延の圧下量を大きくしたとしてもポロシティの体積を十分に低減できない場合について検討した。その結果、以下の知見を得た。そもそも、鋳片中心部に形成されるポロシティは凝固収縮孔であり、ガスを内包している。ポロシティ内部に存在するガスは、主に水素および窒素である。圧下によるポロシティの体積の減少とともに、このガスの圧力が大きくなり、それが抵抗となる。これらのことから、圧下量を大きくしてもポロシティの体積の低減が進行しないと推察される。
そこで、本発明者らは、鋳片の凝固完了直前から直後までの間に鋳片表面から圧縮力を与えて、鋳片中心部に形成されるポロシティの体積を低減する方法について、解析と実験を種々繰り返して検討した。この検討の内容については後述する。
この検討の結果、鋳片中心部の変形抵抗が、ポロシティ内部のガスの全圧力よりも大きい状態のときに鋳片表面から圧縮力を与えることでポロシティの体積を低減することができることを知見した。
さらに検討した結果、極厚鋼板の工業的生産においては、鋳片中心部の変形抵抗が、ポロシティ内部のガスの全圧の3倍以上であるときに圧下を加えることが、ポロシティの体積を低減する上で好ましく、4倍以上であるときがさらに好ましいことを知見した。
本発明は、以上の知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下記に示す鋳片の鋳造方法にある。
鋳片の凝固完了直前から直後までの間に鋳片表面から圧縮力を付与し、鋳片中心部に形成されるポロシティの体積を減少させる鋳片の鋳造方法であって、前記鋳片を圧下する際に、鋳片中心部の偏析を考慮した窒素および水素の濃度と平衡する窒素ガスおよび水素ガスの圧力の和をポロシティの内部のガスの全圧力とし、かつ、圧下時の鋳片中心部の温度と、あらかじめ同定しておいた鋼材の変形抵抗との関係に基づき鋳片中心部の変形抵抗を求め、前記鋳片中心部の変形抵抗が、前記ポロシティの内部のガスの圧力よりも大きくなるように圧下量を設定し、鋳片を圧下することを特徴とする鋳片の鋳造方法。
本発明において、「凝固完了直前」とは、鋳片中心部の固相率(以下「中心固相率」という。)が0.8以上1.0未満の状態である時点をいい、「凝固完了直後」とは中心固相率が1.0となった時点をいう。「鋳片中心部」とは、鋳片幅方向の位置が凝固完了直前の未凝固部に相当する位置であり、鋳片厚さ方向の位置が鋳片厚さ方向の中心から±10mm以内である領域をいう。
以下の説明では、鋼の成分組成についての「質量%」を単に「%」、「質量ppm」を単に「ppm」と表記する。
本発明の鋳片の鋳造方法によれば、鋳片中心部に形成されるポロシティの体積を十分に低減することができる。この鋳片を用いることにより、高品質の極厚の鋼板の製造が可能となる。
試験に使用した垂直曲げ型の連続鋳造装置の構成図である。 試験に使用した鋼の温度と変形抵抗との関係を示す図である。 鋼中の溶質と平衡するガスの圧力の温度依存性を示す図であり、同図(a)は鋼中の水素と平衡する水素ガスの分圧、同図(b)は鋼中の窒素と平衡する窒素ガスの分圧、同図(c)は水素ガスの分圧と窒素ガスの分圧の和を示す図である。
以下、本発明を完成させるための検討の内容および本発明を実施するための形態について説明する。
鋳片中心部に形成されるポロシティの内部に存在するガスとして考えられるのは、炭酸ガス(CO2)、窒素ガス(N2)および水素ガス(H2)である。このうち、炭酸ガスは極少量であるか、ほぼ0であるため、ポロシティ内部に存在するガスは、ほとんどが窒素ガスと水素ガスであり、これらのガスの分圧の和がポロシティ内部の全てのガスの圧力(全圧)にほぼ等しい。
ポロシティ内のガスの全圧は、ポロシティ内のガスとポロシティ周辺の鋼中の溶質(鋼中に存在するガスを構成する原子)とが平衡する値である。また、ポロシティ内の窒素ガスおよび水素ガスそれぞれの分圧は、ポロシティ内の窒素ガスおよび水素ガスとポロシティ周辺の鋼中の窒素および水素それぞれとが平衡する値である。
鋳片中心部には、各種の偏析が生じており、鋳片中の偏析が生じた部分における窒素および水素の濃度は、もとの成分濃度よりも高い値となる。偏析としては、中心偏析等のマクロ偏析、V偏析、等軸晶粒間のセミマクロ偏析、およびデンドライト樹間で生じるミクロ偏析が挙げられる。
窒素原子および水素原子がマクロ偏析からミクロ偏析を経て鋼中での濃度が上昇し、ポロシティの内部で放出され、放出された窒素ガスおよび水素ガスそれぞれが分圧を形成するため、ポロシティ内のガスの全圧は大気圧と比較して高くなる。
上述したポロシティ内の全圧と、窒素ガスおよび水素ガスそれぞれの分圧との関係は下記(1)式で表される。また、ポロシティ内のガスの全圧と、ポロシティの体積とポロシティ内のガスの温度との関係は下記(2)式で表される。
P=PN+PH …(1)
PV/T=α …(2)
ここで、P:ポロシティ内のガスの全圧、PN:窒素ガスの分圧、PH:水素ガスの分圧、V:ポロシティの体積、T:ポロシティ内のガスの絶対温度、α:定数である。
(1)式および(2)式において、ポロシティ内のガスの全圧Pは、ポロシティ内のガスと鋼中の溶質とが平衡する値である。ポロシティ内のガスの全圧Pは、(2)式より、ポロシティを圧縮するに従って、減少するポロシティの体積Vに反比例して大きくなる。ポロシティ内のガスの全圧Pが、ポロシティが存在する部分の鋼の変形抵抗によりも大きくなると、圧縮力をポロシティに作用させても、ポロシティは圧縮されずに、ポロシティの周辺の鋼が延びて変形するのみとなる。すなわち、ポロシティ内のガスの全圧Pが、ポロシティが存在する部分の鋼の変形抵抗よりも大きくなった時点が、ポロシティの圧着限界に達した時点であると考えられる。
したがって、圧下によりポロシティを完全に潰すには、鋳片の圧下量を大きくするのみならず、ポロシティ周辺すなわち鋳片中心部の変形抵抗が、ポロシティ内のガスの全圧Pを超える値のときに、圧縮変形を付与する必要があることがわかった。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。ポロシティへの圧縮変形の付与は、鋳片表面から鋳片に圧縮力を付与すること、例えば鋳片表面をロールで圧下することによって行うことができる。ここで、「鋳片中心部」とは、鋳片幅方向の位置が凝固完了直前の未凝固部に相当する位置であり、鋳片厚さ方向の位置が鋳片厚さ方向の中心から±10mm以内の領域をいう。
また、圧縮により、ポロシティの体積が縮小し、ポロシティ内のガスの全圧Pが大きくなることを考慮すると、鋳片中心部の変形抵抗が、圧下前のポロシティ内のガスの全圧Pよりさらに大きいときに圧下することが好ましい。圧下するときの鋳片中心部の変形抵抗は、後述するように、圧下直前のポロシティ内のガスの全圧Pの3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましい。
一方、鋼の変形抵抗の大きさは、鋼材の温度と相関があり、一般的に鋼材の温度が低くなるにつれて大きくなる。この変形抵抗は、鋼材の種類によって固有の値を有する。鋳片中心部の変形抵抗は、伝熱解析または計測により求めた鋳片中心部の温度と、あらかじめ同定しておいた鋼材の変形抵抗と温度との関係から求めることができる。鋼材の変形抵抗と温度との関係は、鋼材の引張試験等によって同定するのが一般的である。
これらのことから、本発明の鋳片の鋳造方法では、鋳片の凝固完了直前から直後までの間に鋳片を圧下するにあたって、鋳片中心部の変形抵抗が所定の値となる温度まで鋳片中心部が冷却された時点で圧下を実施すればよい。「凝固完了直前」とは、鋳片の中心固相率が0.8以上1.0未満の状態である時点をいい、「凝固完了直後」とは中心固相率が1.0となった時点をいう。
圧下直前のポロシティ内のガスの全圧は、窒素ガスの分圧と水素ガスの分圧の和にほぼ等しく、窒素ガスの分圧および水素ガスの分圧は、各ガスと鋼中の溶質との平衡圧であるため、ポロシティの大きさの影響を受けない。また、窒素ガスの分圧および水素ガスの分圧は、Sivertsの式に基づく下記(3)〜(6)式から算出することができる(日本学術振興会製鋼第19委員会編、「製鋼反応の推奨値」、日本学術振興会、1984年)。
N=([%N]/KN2 …(3)
log10N=450/T−1.955 …(4)
H=([%H]/KH2 …(5)
log10H=−1182/T−2.369 …(6)
ここで、PN:窒素ガスの分圧(atm)、PH:水素ガスの分圧(atm)、[%N]:窒素の溶質濃度(質量%)、[%H]:水素の溶質濃度(質量%)、T:鋳片中心部の温度(K)、KN:窒素の平衡定数(質量%/atm0.5)、KH:水素の平衡定数(質量%/atm0.5)である。
実際の鋳片においては、ポロシティ内のガスの全圧は鋼中の溶質との平衡圧として定まるが、偏析の程度により溶質の濃度には不測のばらつきが大きい。そのため、ポロシティを安定して低減するには、圧下するときの鋳片中心部の変形抵抗を、上記(1)〜(6)式で算出されるポロシティ内のガスの全圧Pよりも大きく設定する必要がある。
圧下するときの鋳片中心部の変形抵抗は、圧下直前のポロシティ内のガスの全圧Pの3倍以上が好ましく、4倍以上がより好ましい。全圧Pの3倍以上が好ましいのは、鋳片中心部の変形抵抗が全圧Pの3倍以上であるときに鋳片を圧下すると、ポロシティの体積を圧下前の1/4以下とすることができるからである。ポロシティの体積が通常鋳片の1/4以下となると、厚板製品では超音波検査等の品質基準を満たす。
鋳片中心部の変形抵抗が、圧下直前のポロシティ内のガスの全圧Pの3倍未満では、ポロシティの低減効果にばらつきが生じ、十分にポロシティを低減できないことがある。また、鋳片中心部の変形抵抗が全圧Pの10倍以上であると、鋳片全体の変形抵抗が大きくなりすぎて、圧下操作が進行しにくくなる。
本発明は、連続鋳造法により製造した鋳片のみならず、造塊法で製造したインゴット、およびバッチ式の半連続鋳造法で製造した鋳片にも適用できる。
本発明の鋳片の鋳造方法の効果を確認するため、以下に示す試験を実施して、その結果を評価した。
1.試験条件
図1は、試験に使用した垂直曲げ型の連続鋳造装置の構成図である。タンディッシュ1からタンディッシュ2を経て銅製の鋳型3に注入された溶鋼4は、鋳型3およびその下方の二次冷却スプレーノズル群(図示せず)から噴射されるスプレー水によって冷却され、凝固シェル5が形成され、鋳片6となる。鋳片6は、凝固シェル5の内部に溶鋼4からなる未凝固部を保持したまま、ガイドロール群7によって支持され、ピンチロール8によって引き抜かれ、圧下ロール9で圧下される。このようにして得られた鋳片を試料として用いた。
圧下ロール9は、直径470mmとし、鋳型3内の溶鋼メニスカスから21m下流に配置した。圧下ロール9の最大圧下力は600tであった。鋳片6は、厚さ300mm、幅1800mmとし、二次冷却水量は、0.85L/kg−steelとした。
図2は、試験に使用した鋼の温度と変形抵抗との関係を示す図である。試験に使用した鋼の組成は、0.6%Cであり、その変形抵抗は、同図に示すように、温度が高いほど変形抵抗が小さいという温度依存性を示した。
表1に、No.1〜6の鋳片の圧下条件として、鋳造速度、設定圧下量、鋳片中心部の温度、鋳片中心部の変形抵抗および鋳片表面の温度を示す。鋳片中心部の温度および鋳片表面の温度は、非定常伝熱解析により計算した圧下直前の鋳片の厚さ方向の温度分布によるものである。
Figure 0005811820
圧下ロールへの鋳片の接触時間は数秒であるため、鋳片の圧下の開始時点と終了時点での温度の差はほとんどなく、圧下ロールの接触による鋳片中心部の変形抵抗の変化もほとんどない。
No.1〜3は、鋳造速度を0.58m/minとし、圧下ロールによる圧下量をそれぞれ12mm、24mmおよび36mmと異なる値に設定した。No.4〜6は、鋳造速度を0.55m/minとし、圧下ロールによる圧下量をそれぞれ12mm、24mmおよび36mmと異なる値に設定した。
No.1〜3では、圧下直前の鋳片中心部の温度は1400℃であり、鋳片中心部の変形抵抗は1.1MPaであったのに対し、No.4〜6では、圧下直前の鋳片中心部の温度は1375℃と低く、鋳片中心部の変形抵抗は2.1MPaと高かった。これは、No.4〜6の方がNo.1〜3よりも鋳造速度が遅かったため、圧下ロール位置までに鋳片の冷却が進行したからである。
図3は、鋼中の溶質と平衡するガスの圧力の温度依存性を示す図であり、同図(a)は鋼中の水素と平衡する水素ガスの分圧、同図(b)は鋼中の窒素と平衡する窒素ガスの分圧、同図(c)は水素ガスの分圧と窒素ガスの分圧の和を示す図である。上述のように、水素の分圧と窒素の分圧の和が、ポロシティ内のガスの全圧にほぼ等しい。
試験に使用した溶鋼中の水素の濃度は1ppm、窒素の濃度は55ppmであり、水素および窒素も他の元素と同様に偏析し、その中心偏析比は経験上3.6程度であることから、鋳片中心部の水素の濃度は4ppm、窒素の濃度は200ppmと推測できる。図3に示すポロシティ内のガスの分圧は、これらの濃度および上記(3)〜(6)式を使用して算出した。同図から、No.1〜3では、圧下直前のポロシティ内のガスの全圧(水素分圧と窒素分圧の和)は0.119MPa(1400℃)であり、No.4〜6では0.118MPa(1375℃)であったことがわかる。
2.評価項目
評価項目は、圧下を行った鋳片のポロシティ体積Vと、圧下を行わなかった鋳片のポロシティ体積V0の比の値V/V0とした。
No.1〜6の各鋳片から、ポロシティ調査用のサンプルを採取した。サンプルの採取場所は、鋳片の定常部の横断面ブロックの厚さ方向中心部から幅方向に等間隔に15箇所とした。鋳片の定常部とは、一定の鋳造速度で鋳造れた部分をいう。サンプルの大きさは、鋳片の横断面に平行な面を幅30mm、高さ30mmとし、厚さを横断面に垂直な方向に20mmとした。
同様に各鋳片から、基準密度測定用のサンプルを、鋳片幅方向の中央部の鋳片表面から厚さ方向に厚さの1/4の位置から採取した。このサンプルの密度を基準密度としたのは、この位置では通常ほとんどポロシティは存在しないからである。基準密度測定用のサンプルの大きさは、ポロシティ調査用のサンプルと同じとした。
ポロシティ調査用のサンプルおよび基準密度測定用のサンプルの密度を測定した。密度は、各サンプルの重量と体積から算出した。体積は、水中でのサンプルの浮力と、水の密度とから算出した。浮力は、サンプルの重量と、水中にサンプルを浸漬して測定した重量の差から求めた。これらの結果を用いて、鋳片の単位重量あたりのポロシティの体積を下記(7)式から算出した。
V=1/ρv−1/ρ …(7)
ここで、V:鋳片の単位重量あたりのポロシティの体積、ρv:15個のポロシティ調査用のサンプルの密度の平均値、ρ:基準密度測定用のサンプルの密度である。
また、No.1〜6の鋳片と、圧下処理を行わなかった点だけが異なる鋳片を作成し、この鋳片についても鋳片の単位重量あたりのポロシティの体積を算出した。この鋳片のポロシティ体積をV0とした。
3.試験結果
前記表1には、圧下条件と併せてV/V0の値を百分率として示した。また、圧下直前および直後のポロシティ内のガスの全圧も示した。
No.1では、V/V0の値が23.5%であり、圧下によりポロシティの体積が、圧下を行わなかった場合の約1/4となった。この鋳片の圧下直後のポロシティ内のガスの全圧は0.5MPaであり、圧下直前の全圧(0.119MPa)の約4倍であった。圧下直後のポロシティ内のガスの全圧は、鋳片中心部の変形抵抗(1.1MPa)よりも小さかったため、圧下量を増大することでポロシティの体積がさらに減少する可能性がある。
No.1よりも圧下量を増したNo.2では、V/V0の値が10.8%であり、圧下によりポロシティの体積が、圧下を行わなかった場合の約1/10となった。この鋳片の圧下直後のポロシティ内のガスの全圧は1.1MPaであり、鋳片中心部の変形抵抗1.1MPaとほぼ同じ値であった。
No.3では、V/V0の値が10.9%であり、No.2とほぼ同じ値であった。このことから、圧下量を24mmから36mmにしても、それ以上ポロシティの体積が減少しないことがわかった。これは、それ以上ポロシティを変形させ、体積を減少させようとしても、ポロシティ内のガスの全圧がポロシティ周辺の鋼の変形抵抗よりも大きくなろうとするために、ポロシティ周辺の鋳片に加えた力がポロシティ内のガスの全圧に負けてしまうためと考えられる。
No.4では、V/V0の値が24.1%であり、圧下によりポロシティの体積が、圧下を行わなかった場合の約1/4となった。これは、圧下量が同じであった、No.1とほぼ同じ値であった。この鋳片の圧下直後のポロシティ内のガスの全圧は0.5MPaであり、圧下直前の全圧(0.118MPa)の約4倍であった。圧下直後のポロシティ内のガスの全圧は、鋳片中心部の変形抵抗(1.1MPa)よりも小さかったため、圧下量を増大することでポロシティの体積がさらに減少する可能性がある。
No.4よりも圧下量を増したNo.5では、V/V0の値が5.6%であり、圧下によりポロシティの体積が、圧下を行わなかった場合の約1/20となった。これは、圧下量が同じであった、No.2の約半分であり、大幅にポロシティの体積が減少した。この鋳片の圧下直後のポロシティ内のガスの全圧の計算値は2.1MPaであり、鋳片中心部の変形抵抗とほぼ同じ値であった。No.2よりもポロシティの体積が減少した理由は、鋳片中心部の変形抵抗がNo.5ではNo.2よりも大きかったためと考えられる。
No.6では、V/V0の値が5.8%であり、No.5とほぼ同じ値であった。このことから、圧下量を24mmから36mmにしても、それ以上ポロシティの体積が減少しないことがわかった。これは、No.2とNo.3との関係と同様であり、それ以上ポロシティの体積を減少させようとしても、ポロシティ内のガスの全圧がポロシティ周辺の鋼の変形抵抗よりも大きくなろうとするために、ポロシティの体積の減少が進行しなくなったこめと考えられる。
以上の結果から、鋳片中心部に形成されるポロシティの体積を減少させるには、鋳片中心部の変形抵抗がポロシティ内の水素分圧と窒素分圧の和よりも大きい状態で圧下を加えることが必要であることが明確に示された。
本発明の鋳片の鋳造方法によれば、鋳片中心部に形成されるポロシティの体積を十分に低減することができる。この鋳片を用いることにより、高品質の極厚の鋼板の製造が可能となる。
1:タンディッシュ、 2:浸漬ノズル、 3:鋳型、 4:溶鋼、 5:凝固シェル、 6:鋳片、 7:ガイドロール群、 8:ピンチロール、 9:圧下ロール

Claims (1)

  1. 鋳片の凝固完了直前から直後までの間に鋳片表面から圧縮力を付与し、鋳片中心部に形成されるポロシティの体積を減少させる鋳片の鋳造方法であって、
    前記鋳片を圧下する際に、鋳片中心部の偏析を考慮した窒素および水素の濃度と平衡する窒素ガスおよび水素ガスの圧力の和をポロシティの内部のガスの全圧力とし、かつ、
    圧下時の鋳片中心部の温度と、あらかじめ同定しておいた鋼材の変形抵抗との関係に基づき鋳片中心部の変形抵抗を求め、
    前記鋳片中心部の変形抵抗が、前記ポロシティの内部のガスの圧力よりも大きくなるように圧下量を設定し、鋳片を圧下することを特徴とする鋳片の鋳造方法。
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