JP2014123557A - アルカリ電池正極用結合剤及びアルカリ電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により(a1)となるビニルモノマー(a2)を必須構成単位とする重合体(A)を含んでなる結合剤であって、下記の要件(1)及び(2)の要件を具備してなるアルカリ電池正極用結合剤(B)。
要件(1):結合剤(B)の水可溶性成分量が結合剤(B)の重量を基準として50〜95重量%であること。
要件(2):40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及び結合剤(B)2重量部を撹拌混合して調製し、40℃で24時間放置した後の配合物(C)の粘度(25℃)(V24)が5〜50Pa・sであること。
【選択図】 図1
Description
そこで、本発明は、長期に亘る放電特性(放電量及び放電時間)の維持に優れたアルカリ電池正極用結合剤及びそれを用いたアルカリ電池を提供することを目的とする。
要件(1):結合剤(B)の水可溶性成分量が結合剤(B)の重量を基準として50〜95重量%であること。
要件(2):40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及び結合剤(B)2重量部を撹拌混合して調製し、40℃で24時間放置した後の配合物(C)の粘度(25℃)(V24)が5〜50Pa・sであること。
本発明のアルカリ電池正極は、上記のアルカリ電池正極用結合剤(B)、二酸化マンガン及び黒鉛を含有してなることを要旨とする。
本発明のアルカリ電池は、上記の正極と、亜鉛又は亜鉛粉末を含んでなる負極と、水酸化カリウム水溶液を含んでなる電解液とを有してなることを要旨とする。
本発明の結合剤(B)を使用した場合、少量の結合剤で強度の高い正極を作成することができる。また、本発明の結合剤(B)を用いたアルカリ電池は、放電の持続時間が長く、極めて優れたアルカリ電池を作成することができる。
重合体(A)の必須構成単量体である水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)としては特に限定がないが、例えば、特開2005−075982号公報に記載の水溶性ラジカル重合単量体等が挙げられる。これらのうち、放電特性の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー{アニオン性基(カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基及び水酸基等)を有するビニルモノマー}、特に好ましくは炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩){不飽和モノカルボン酸(塩){(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸及びこれらの塩等};不飽和ジカルボン酸(塩)(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸及びこれらの塩等);及び前記不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル(マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステル等}、次に好ましくは不飽和モノカルボン酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
しかしながら、重合体(A)においては、後述する非加水分解性架橋剤(b2)の水溶性が乏しいため、水溶性ビニルモノマー(a1)の中和度が高い状態で重合すると、所定量の架橋剤(b2)を添加しても架橋剤(b2)がモノマー水溶液から分離し所定の架橋が行えず規定の物性の重合体(A)が得られない場合がある。そこで、この架橋剤(b2)の分離を抑制する観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)の中和度を0〜30モル%としておいて、架橋剤(b2)を含有させて重合を行った後、必要により含水ゲルに水酸化アルカリ金属を添加して中和度を調整する方がより好ましい。
水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の両方を構成単量体とする場合、これらのビニルモノマー単位のモル比{(a1)/(a2)}は、アルカリ電池の放電特性の観点から、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜98/2、最も好ましくは90/10〜95/5である。
(i)炭素数8〜30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン及びジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2〜20の脂肪族エチレン性モノマー
アルケン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等];並びにアルカジエン[ブタジエン及びイソプレン等]等。
(iii)炭素数5〜15の脂環式エチレン性モノマー
モノエチレン性不飽和モノマー[ピネン、リモネン及びインデン等];並びにポリエチレン性ビニル重合性モノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
加水分解性結合としてはエステル結合及びアミド結合等が含まれる。
加水分解性架橋剤(b1)のうち、結合剤(B)の粘度安定性の観点から、架橋剤(b11)及び多価グリシジル化合物が好ましく、さらに好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及び多価グリシジル化合物であり、次にさらに好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びエチレングリコールジグリシジルエーテルであり、特に好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
分子内にアリル基を2個有しかつ水酸基を1〜5個有する架橋剤(b222)としては、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル及びポリグリセリン(重合度2〜5)ジアリルエーテル等が挙げられる。
分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を有さない架橋剤(b223)としては、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル及びテトラアリルオキシエタン等が挙げられる。
分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有する架橋剤(b224)としては、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールトリアリルエーテル及びポリグリセリン(重合度3〜13)ポリアリルエーテル等が挙げられる。
架橋剤(b2)のうち、2個以上のアリルエーテル結合を有する架橋剤(b22)が好ましく、さらに好ましくは分子内にアリル基を2個有しかつ水酸基を1〜5個有する架橋剤(b222)及び分子内にアリル基えお3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有する架橋剤(b224)、特に好ましくは分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有する架橋剤(b224)、最も好ましくはソルビトールトリアリルエーテル及びペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。これらの架橋剤を用いると、水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)との相溶性が良く効率的な架橋が行えるので好ましい。
要件(1)は、放電特性の向上に必要な要件である。
また、要件(2)は、アルカリ電池の正極の強度を高くするために必要な要件である。
要件(2):40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及び結合剤(B)2重量部を撹拌混合して調製し、40℃で24時間放置した後の配合物(C)の粘度(25℃)(V24)が5〜50Pa・sであること。
<水可溶性成分量の測定方法>
2000mlのビーカーに結合剤(B)を約1g{小数点以下4桁までを測定し(W0)とする}とイオン交換水1000gを入れ、マグネティックスターラーを用いて300rpmで24時間攪拌した。攪拌した溶液を濾紙(東洋濾紙社製、No.2タイプ)でろ過し、ろ液を採取した。ろ液をエバポレーターで濃縮した後、乾燥機を用いて120℃で蒸発乾固させ、蒸発残分の重量(W1)gを測定した。下式−(1)により、結合剤(B)のイオン交換水への水可溶性成分量(%)を算出した。
水可溶性成分量(%)=(W1)×100/(W0) 式−(1)
<配合物(C)の粘度(V24)の測定方法>
デジタル粘度計DV−II+Pro(ブルックフィールド社製)を用いて、40℃で24時間放置した後の配合物(C)の粘度を、測定温度25℃で、JIS−K7117−1:1999に準拠して測定し、配合物(C)の粘度(V24)とする。なお、ローターNo.64を使用し、回転数3rpmで測定する。
<配合物(C)の粘度(V1)の測定方法>
デジタル粘度計DV−II+Pro(ブルックフィールド社製)を用いて、40℃で1時間放置した後の配合物(C)の粘度を、測定温度25℃で、JIS7117−1:1999に準拠して測定し、配合物(C)の粘度(V1)とする。なお、ローターNo.64を使用し、回転数3rpmで測定する。
粘度比(V24)/(V1)=配合物(C)の粘度(V24)/配合物(C)の粘度(V1) 式−(4)
<10%水酸化カリウム水溶液中での可溶性成分量の測定方法>
500mlのビーカーに結合剤(B)を約1g{小数点以下4桁までを測定し(W0)とする}と10%水酸化カリウム水溶液200gを入れ、マグネティックスターラーを用いて300rpmで24時間攪拌した。攪拌した溶液をブフナー型ガラス濾過器(相互理化学硝子製作所社製、No.1タイプ)で濾過し、濾液を採取した。濾液20gに10%硫酸水溶液を添加してpHを7.0に調整し、エバポレーターで濃縮した後、乾燥機を用いて120℃で蒸発乾固させ、蒸発残分の重量(W2)gを測定した。ブランクとして、使用した10%の水酸化カリウム水溶液20gに10%硫酸水溶液を添加し、pHを7.0に調整したブランク溶液をエバポレーターで濃縮した後、乾燥機を用いて120℃で蒸発乾固させ、蒸発残分の重量(W3)gを測定した。下式−(2)により、結合剤(B)の10%水酸化カリウム水溶液への可溶性成分量(%)を算出した。
10%水酸化カリウム水溶液への可溶性成分量(%)={(W2)−(W3)}×100/(W0)×D 式−(2)
D:希釈倍率(D=200/20=10)
300mlのビーカーに、結合剤(B)1.0g及び0.9重量%食塩水249.0gを加えて、20〜30℃で3時間攪拌した後、不溶分をろ別してろ液を得る。このろ液を高速液体クロマトグラフィー法(以下の条件)により既知濃度のビニルモノマー又は架橋剤を用いて作成した検量線を使用して、(a1)及び(a2)の合計含有量を求める。
測定条件
カラム:SCR−101H(長さ0.3m×内径7.9mm、株式会社島津製作所製)
展開溶液:0.015重量%リン酸水溶液
流速:0.5ml/min
サンプル注入量:100μl
検出器:UV検出器、波長195nm
カラム温度:40℃
もし、重合していない(a1)及び(a2)の合計含有量が上述の範囲を満たさない場合は、特開平1−62317号公報及び特開平8−157737号公報記載の添加方法において、必要により還元性物質又は水溶性チオール化合物水溶液又は水分散体として、後述の(A)の含水ゲルをアルカリで中和する工程の際に混合することで満たすことができる。
もし、重合していない(a1)及び(a2)の合計含有量が上述の範囲を満たさない場合は、特開2006−131767号公報記載の重合方法において、必要により熟成工程を行うことで満たすことができる。
重合体(A)を得るための重合方法としては公知の重合方法が適用でき、たとえば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合又は乳化重合のいずれでもよい。
最も好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)を主体とするモノマー水溶液に架橋剤(b1)及び/又は架橋剤(b2)を添加溶解し重合する水溶液重合法、並びに分散剤の存在下、疎水性有機溶媒(例えばヘキサン、トルエン、キシレン等)中に同様なモノマー水溶液を分散・懸濁して重合する逆相懸濁重合法である。これらの重合方法であると、放電特性に優れた結合剤を得ることができる。
長期に亘る放電特性の観点から、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、過酸化水素、過硫酸カリウム及びレドックス開始剤(L−アスコルビン酸と過酸化水素水)が好ましい。
また、水溶液重合法の重合温度は、ポリマーの平均重合度の観点から、−10〜100℃が好ましく、より好ましくは−10〜80℃である。
重合時の溶存酸素量に関しては、ラジカル開始剤の添加量等にもよるが、ポリマーの平均重合度の観点から、0〜2ppm(2×10-4重量%以下)が好ましく、より好ましくは0〜0.5ppm(0.5×10-4重量%以下)である。これらの範囲であると、吸収倍率に優れた重合体(A)を製造することができる。
また、(メタ)アクリル酸は、同一条件で重合を行った場合、中和度が低い方が重合度(吸収倍率)が上がりやすい。したがって、重合体(A)を重合する場合、ポリマーの重合度を大きくするためにも、中和度が低い状態で重合を行った方が好ましい。
逆相懸濁重合におけるモノマー水溶液と疎水性有機溶媒との重量比(W/O比)は、0.1〜2.0が好ましく、より好ましくは0.3〜1.0である。これらの範囲であると、重合体(A)の粒子径が調整しやすい。
上記Mwが、200,000以上となる条件で重合を行うと、正極活物質(二酸化マンガン)及び導電剤(黒鉛)との分散性が良く、アルカリ電池正極の強度を維持することできるため、長期に亘る放電特性がさらに優れる。また、上記Mwが1,500,000以下であると、アルカリ電池正極の強度を維持することできるため、長期に亘る放電特性がさらに優れる。
なお、重合体(A)を構成する水溶性ビニルモノマー(a1)がアクリル酸である場合は、上記Mwは下記により求める。
<Mwの測定>
重合体(A)について、架橋剤を用いない以外は全く同じ条件で重合体(X)を製造する。
40重量%水酸化カリウム水溶液を下記量と、重合体(X)を下記量を撹拌混合して調製し、40℃で24時間放置した後の配合物(C’)の25℃における粘度(25℃)を測定する。
重合体(X)の量(重量部)=1.64/72×〔[72×{1−0.01×(重合体(X)の中和率(%))}]+[94×0.01×{重合体(X)の中和率(%)}]〕
40重量%水酸化カリウム水溶液の量(重量部)=100−[重合体(X)の量(重量部)]
また、40重量%水酸化カリウム水溶液を98.36重量部と、Mwが既知のポリアクリル酸(和光純薬社製ポリアクリル酸、Mw:25,000、250,000、1,000,000を用いる)を1.64重量部、撹拌混合して調製し、40℃で24時間放置した後の配合物の粘度(25℃)から、検量線を作成し、配合物(C’)の粘度を検量線に当てはめて、Mwを算出する。
水溶液重合の場合の含水ゲルの乾燥方法としては、含水ゲルをミートチョッパーやカッター式の粗砕機でゲルをある程度細分化(細分化のレベルは0.5〜20mm角程度)あるいはヌードル化し、必要により水酸化アルカリ金属等を添加して含水ゲルの中和を行った後、透気乾燥(パンチングメタルやスクリーン上に含水ゲルを積層し、強制的に50〜150℃の熱風を通気させて乾燥する等)や通気乾燥(含水ゲルを容器中に入れ、熱風を通気・循環させ乾燥、ロータリーキルンの様な機械で更にゲルを細分化しながら乾燥する)等の方法を例示できる。これらの中で、透気乾燥が短時間で効率的な乾燥が行えるため好ましい。
一方、逆相懸濁重合の場合の含水ゲルの乾燥方法としては、重合した含水ゲルと有機溶媒をデカンテーション等の方法で固液分離した後、減圧乾燥(減圧度;圧力が100〜50,000Pa程度)又は通気乾燥を行うのが一般的である。
重合体(A)の含水ゲルと乾燥助剤との混合方法としては、混合されれば特に制限がないが、乾燥助剤は重合体(A)の乾燥体ではなく、(A)の含水ゲル又は(A)を重合する前の重合液と混合されることが、(A)に均一に含有される観点から、好ましく、さらに好ましくは(A)の含水ゲルと混合されることである。なお、混合は、練り込むように均一混合することが好ましい。
逆相懸濁重合法又は乳化重合により重合体(A)を得るとき、乾燥助剤と(A)とを混合するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中、重合工程直後、脱水工程中(水分10重量%前後まで脱水する工程中)、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中、含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、重合工程中、重合工程直後、脱水工程中、脱水工程直後、重合に用いた有機溶媒を分離留去する工程中が好ましく、さらに好ましくは重合工程中、重合工程直後である。
なお、混合温度(℃)は20〜100が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは50〜80である。
尚、乾燥後の任意の段階で、磁気を利用した除鉄機を用いて混入した鉄等の金属粉末を除去するのが好ましい。しかし、除鉄機を用いてかなり精密に除鉄を行っても、除鉄機では磁性のない金属を除去するのは困難であり、また磁性のある金属に関しても、乾燥したポリマー粒子内部に含まれているものや乾燥粒子に付着しているものは除去できないので、初めからこれら金属が混入しないように、生産設備に関しても、十分に配慮することが望ましい。
他の添加剤としては、放電特性向上剤等が挙げられる。
放電特性向上剤を含有する場合の含有量は、重合体(A)の合計重量に基づいて、0〜5.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜3.0重量%である。
本発明のアルカリ電池正極の作成方法は、結合剤、二酸化マンガン及び黒鉛を使用して、アルカリ電池正極を作成する通常の作成方法を使用できる。例えば、本発明の結合剤(B)、正極活物質(二酸化マンガン)、導電剤(黒鉛)及び必要により他の添加剤(放電特性向上剤)を事前混合した後、アルカリ電解液(例えば水酸化カリウム水溶液)を混合して正極合剤を作成し、続いて圧延、成型することにより作成できる。作成したアルカリ電池正極は、アルカリ電池に充填する。
本発明のアルカリ電池の作成方法としては、正極端子板、収縮チューブ、正極、外装缶、セパレーター、集電棒、ガスケット、負極端子板及びゲル負極を使用して、アルカリ電池を作成する通常の作成方法を使用できる。
特に限定するものではないが、正極端子板1の材質としては、例えばニッケルメッキ鋼板等が挙げられる。収縮チューブ2の材質としては例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はポリエステル樹脂等の熱収縮性樹脂のチューブが挙げられる。正極3は、本発明の結合剤(B)、正極活物質(二酸化マンガン)、導電剤(黒鉛)、アルカリ電解液(水酸化カリウム水溶液)及び必要により他の添加剤(放電特性向上剤)が添加された正極物質が用いられる。外装缶4の材質としては、例えばニッケルメッキ鋼板等が挙げられる。セパレーター5の材質としては、耐アルカリ性セルロース、ナイロン、ポリオレフィン、アクリロニトリル−塩化ビニル共重合体、ポリビニルアルコール又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。集電棒6の材質としては、スズめっきした黄銅製の棒や鉄製の棒等が挙げられる。ガスケット7の材質としては、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。負極端子板8の材質としては、たとえばニッケルメッキ鋼板等が挙げられる。ゲル負極9は、アルカリ電解液(水酸化カリウム水溶液など)、亜鉛粉末又は亜鉛粉末及び必要によりゲル化剤又は増粘剤が添加された負極物質が用いられる。
[重合体(A1)の製造]
2リットルのビーカーに、アクリル酸300g及びイオン交換水700gを入れて撹拌混合してアクリル酸水溶液を調整し、4℃に冷却した。
アクリル酸水溶液を1.5リットルの断熱重合槽に入れ、水溶液に窒素を通じてアクリル酸水溶液中の溶存酸素量を0.1ppm以下とした。この断熱重合層に、0.1%過酸化水素水8.0g、0.1%L−アスコルビン酸水溶液8.0g及び2%2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド](和光純薬工業株式会社製、商品名:VA−086)水溶液5.0gを添加し、重合が開始するまで水溶液中への窒素通気を継続した。重合が開始し、アクリル酸水溶液の粘度が上昇し始めたのを確認後、窒素通気を停止して6時間重合し、重合体(J1)を得た。なお、打点温度計で重合時のアクリル酸水溶液の温度を測定したところ、最高到達温度は、97℃であった。
ブロック状の重合体(J1)の含水ゲルを断熱重合槽から取り出し、小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いてゲルを3〜10mmの太さのヌードル状になるように細分化し、重合体(A1)の含水ゲルを得た。
含水ゲルを、目開き850μmのSUS製のスクリ−ンの上に、厚さ5cmで積層し、小型透気乾燥機(井上金属株式会社製)を用いて120℃の熱風を1時間含水ゲルに透気させて、含水ゲルを乾燥した。
乾燥物をクッキングミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて32〜500μm(400メッシュ〜40メッシュ)の粒径のものを採取し、本発明の結合剤(1)を得た。
尚、上記重合体(A1)を重合体(X1)として用いて、下記のMwの測定に従ってMwを求めたところ、Mwは約700,000であった。
重合体(A1)を重合体(X1)として用いた。
40%水酸化カリウム水溶液98.36部及び重合体(X1)1.64部を撹拌混合して配合物(C’1)を調製し、40℃で24時間放置した後の配合物(C’1)の粘度(25℃)を、デジタル粘度計DV−II+Pro(ブルックフィールド社製)を用いて、測定温度25℃で、JIS7117−1:1999に準拠して測定した。なお、ローターNo.64を使用し、回転数3rpmで測定した。
また、40%水酸化カリウム水溶液98.36部及びMwが既知のポリアクリル酸(和光純薬社製ポリアクリル酸、Mw:25,000、250,000、1,000,000)の1.64部を撹拌混合して調製し、上記と同様にして、40℃で24時間放置した後の配合物の粘度(25℃)を測定し、検量線を作成し、配合物(C’1)の粘度を検量線に当てはめて、Mwを算出した。
実施例1において、「アクリル酸300g及びイオン交換水700g」に代えて、「アクリル酸300g、トリメチロールプロパントリアクリレート0.3g(架橋剤、対アクリル酸0.1%)及びイオン交換水700g」、小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いて細分化したゲルに、40%水酸化ナトリウム(試薬特級)水溶液125g(アクリル酸の中和度30モル%相当)を加え含水ゲルを中和した以外は、実施例1と同様にして、重合体(A2)を製造し、本発明の結合剤(2)を得た。Mwは約700,000であった。
重合体(A2)の製造において、架橋剤を用いない以外は同様にして重合体(X2)を製造した。
実施例1のMwの測定において、40%水酸化カリウム水溶液を「98.36部」に代えて「98.21部」用いて、「重合体(X1)1.64部」に代えて「重合体(X2)1.79部」を用いる以外は同様にして(C’2)を調製し粘度(25℃)測定し検量線に当てはめて、Mwを算出した。
実施例2において、中和した含水ゲルに、10.0重量%亜硫酸ナトリウム水溶液45.2g{アクリル酸(塩)と架橋剤との合計重量に対して1.5重量%}を加え、前記小型ミートチョッパーで含水ゲルに均一混錬した以外は、実施例2と同様にして、重合体(A3)を製造し、本発明の結合剤(3)を得た。Mwは約650,000であった。
重合体(A3)の製造において、架橋剤を用いない以外は同様にして重合体(X3)を製造した。
実施例1のMwの測定において、40%水酸化カリウム水溶液を「98.36部」に代えて「98.21部」用いて、「重合体(X1)1.64部」に代えて「重合体(X3)1.79部」を用いる以外は同様にして(C’3)を調製し粘度(25℃)測定し検量線に当てはめて、Mwを算出した。
実施例1において、「アクリル酸300g、イオン交換水700g、0.1%過酸化水素水8.0g、0.1%L−アスコルビン酸水溶液8.0g及び2%2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド](和光純薬工業株式会社製、商品名:VA−086)水溶液5.0g」に代えて、「アクリル酸200g、イオン交換水800g、0.1%過酸化水素水2.7g、0.1%L−アスコルビン酸水溶液5.3g及び10%2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−50)水溶液2.0g」とした以外は、実施例1と同様にして、重合体(A4)を製造し、本発明の結合剤(4)を得た。Mwは約1,200,000であった。
重合体(A4)を重合体(X4)として用いた。
実施例1のMwの測定と同様にして(C’4)を調製し粘度(25℃)測定し検量線に当てはめて、Mwを算出した。
実施例4において、細分化した含水ゲルに、10.0%亜硫酸ナトリウム水溶液40g{アクリル酸(塩)に対して2.0%}を加え、前記小型ミートチョッパーで含水ゲルに均一混錬した以外は、実施例4と同様にして、重合体(A5)を製造し、本発明の結合剤(5)を得た。Mwは約1,000,000であった。
重合体(A5)を重合体(X5)として用いた。
実施例1のMwの測定と同様にして(C’5)を調製し粘度(25℃)測定し検量線に当てはめて、Mwを算出した。
実施例1において、「アクリル酸300g、イオン交換水700g、0.1%過酸化水素水8.0g、0.1%L−アスコルビン酸水溶液8.0g及び2%2,2’−アゾビス
[2−メチル−N−(2−ハイドロキシエチル)−プロピオンアミド](和光純薬工業株式会社製、商品名:VA−086)水溶液5.0g」に代えて「アクリル酸200g、メチレンビスアクリルアミド0.1g(架橋剤、対アクリル酸0.05%)、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.04g(架橋剤、対アクリル酸0.02%)、イオン交換水800g、0.1%過酸化水素水2.7g、0.1%L−アスコルビン酸水溶液5.3g及び10%2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−50)水溶液2.0g」とし、小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いて細分化したゲルに、40%水酸化ナトリウム(試薬特級)水溶液97g(アクリル酸の中和度35モル%相当)を加え、前記小型ミートチョッパーで均一混練し、含水ゲルを中和し、さらに10.0%亜硫酸ナトリウム水溶液40g{アクリル酸(塩)に対して2.0%}を加え、前記小型ミートチョッパーで含水ゲルに均一混練した以外は実施例1と同様にして、重合体(A6)を製造し、本発明の結合剤(6)を得た。Mwは約1,000,000であった。
重合体(A6)の製造において、架橋剤を用いない以外は同様にして重合体(X6)を製造した。
実施例1のMwの測定において、40%水酸化カリウム水溶液を「98.36部」に代えて「98.18部」用いて、「重合体(X1)1.64部」に代えて「重合体(X6)1.82部」を用いる以外は同様にして(C’6)を調製し粘度(25℃)測定し検量線に当てはめて、Mwを算出した。
実施例6で得られた結合剤(6)をクッキングミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて45μm以下(350メッシュ)の粒径のものを採取し、本発明の結合剤(7)を得た。
実施例6で得られた結合剤(6)をクッキングミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて20μm以下(635メッシュ)の粒径のものを採取し、本発明の結合剤(8)を得た。
実施例6において、前記小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いて細分化したゲルに、40%水酸化ナトリウム(試薬特級)水溶液97g(アクリル酸の中和度35モル%相当)を加え、前記小型ミートチョッパーで均一混練し、含水ゲルを中和し、次に10.0%亜硫酸ナトリウム水溶液40g{アクリル酸(塩)に対して2.0%}を加え、前記小型ミートチョッパーで含水ゲルに均一混練し、さらに乾燥助剤[リョートーシュガーエステルS−770、HLB値7、三菱化学フーズ社製]0.04gを加え、前記小型ミートチョッパーで含水ゲルに均一混練した以外は、実施例6と同様にして、重合体(A9)を製造し、本発明の結合剤(9)を得た。Mwは約1,000,000であった。
実施例9で得られた結合剤(9)をクッキングミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて20μm以下(635メッシュ)の粒径のものを採取し、本発明の結合剤(10)を得た。
市販のポリアクリル酸(Mw:25,000、和光純薬株式会社製)を比較用の結合剤(H1)とした。
実施例2において、トリメチロールプロパントリアクリレートに替えてペンタエリスリトールトリアリルエーテルの添加量を9.0g(対アクリル酸3.0%)とした以外は、実施例2と同様にして、重合体(A’1)を製造し、比較用の結合剤(H2)を得た。
容量1リットルの2軸のニーダー(入江商会社製、品名:PNV−1)に、二酸化マンガン200g、黒鉛10g、結合剤0.6gを添加し、50rpmの回転速度で60分間混合した。続いてその混合物に40%水酸化カリウム水溶液5.3gを添加し、再び50rpmの回転速度で60分間混合した。次にこの混合物をプレス機にて圧延した後、粉砕機にて粒径100〜1000μm程度に粉砕、篩い分けした。さらにプレス機にて環状に成形し、正極を得た。
この作成した正極の加圧試験を行い、破損したときの圧力を測定し、これを破断強度とした。なお、表2においては実施例1の破断強度を100とした相対比を示した。
容量1リットルの2軸のニーダー(入江商会社製、品名:PNV−1)に、二酸化マンガン200g、黒鉛10g、結合剤0.6gを添加し、50rpmの回転速度で60分間混合した。続いてその混合物に40%水酸化カリウム水溶液5.3gを添加し、再び50rpmの回転速度で60分間混合した。次にこの混合物をプレス機にて圧延した後、粉砕機にて粒径100〜1000μm程度に粉砕、篩い分けした。さらにプレス機にて環状に成形し、正極を得た。
この正極10gを、LR−6型のモデル電池の正極容器内に注入し、モデル電池を作成した。
なお、ここで、モデル電池の正極以外の各部位の構成材料としては、収縮チューブの材質としてはポリエチレン、ゲル負極の材質としては亜鉛粉末4.0g、40%水酸化カリウム水溶液2.0g、ゲル化剤0.04g及び増粘剤0.04gからなる配合物、外装缶の材質としては、ニッケルメッキ鋼板、セパレーターの材質としては、ポリオレフィン、集電棒の材質としては、スズめっきした黄銅製の棒、ガスケットの材質としては、ポリオレフィン系樹脂、負極端子板の材質としては、ニッケルメッキ鋼板を用いた。
作成したモデル電池に、室温(20〜25℃)で2Ωの外部抵抗を接続して、連続放電し、電圧が0.9Vに低下するまでの時間を電池の持続時間(hour)とした。
モデル電池作成後、60℃の恒温槽で60日間放置したモデル電池に関しても同様な操作を行い、電池の持続時間を測定した。
これらの結合剤を使用した表2の結果から、正極の強度並びに作成直後及び60℃×60日後の電池の持続時間の全ての項目において、本発明の結合剤を使用したものが優れることが分かる。
すなわち、本発明の結合剤を用いたアルカリ電池は、放電特性の維持に優れることが分かる。
2 収縮チューブ
3 正極
4 外装缶
5 セパレーター
6 集電棒
7 ガスケット
8 負極端子板
9 ゲル負極
Claims (6)
- 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により(a1)となるビニルモノマー(a2)を必須構成単位とする重合体(A)を含んでなる結合剤であって、
下記の要件(1)及び(2)の要件を具備してなるアルカリ電池正極用結合剤(B)。
要件(1):結合剤(B)の水可溶性成分量が結合剤(B)の重量を基準として50〜95重量%であること。
要件(2):40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及び結合剤(B)2重量部を撹拌混合して調製し、40℃で24時間放置した後の配合物(C)の粘度(25℃)(V24)が5〜50Pa・sであること。 - 下記粘度(V24)と下記粘度(V1)との粘度比(V24)/(V1)が0.3〜20である請求項1に記載のアルカリ電池正極用結合剤(B)。
粘度(V24):40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及び結合剤(B)2重量部を撹拌混合して調製し、40℃で24時間放置した後の配合物(C)の粘度(25℃)。
粘度(V1):40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及び結合剤(B)2重量部を撹拌混合して調製し、40℃で1時間放置した後の配合物(C)の粘度(25℃)。 - 結合剤(B)の10重量%水酸化カリウム水溶液への可溶性成分量が50〜100重量%である請求項1又は2に記載のアルカリ電池正極用結合剤(B)。
- 重合していない水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の結合剤(B)中の合計含有量が、(B)の重量を基準として10〜2000ppmである請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ電池正極用結合剤(B)。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のアルカリ電池正極用結合剤(B)、二酸化マンガン及び黒鉛を含有してなるアルカリ電池正極。
- 請求項5に記載のアルカリ電池正極と、亜鉛又は亜鉛粉末を含んでなる負極と、水酸化カリウム水溶液を含んでなる電解液とを有してなるアルカリ電池。
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