JP4574294B2 - アルカリ電池用増粘剤及びアルカリ電池 - Google Patents
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Description
(i)長期間に渡って、放電の持続時間に極めて優れた電池を作成することができる。
(ii)アルカリ電解液は、液切れが良いため、電池生産速度の高速化によるアルカリ電解液の高速充填にも十分対応できる。
(iii)充填時の電池1個あたりの電解液の充填量のバラツキが少ないため、大量生産時も均一な品質を有する電池を生産できる。
(iv)増粘剤中において亜鉛よりイオン化傾向の低い金属の含量が少ないと、アルカリ電解液中で亜鉛粉末と接触させても殆ど水素ガスを発生しないため、電池内部の圧力の上昇による電解液の流出や電池の破損を起こす恐れがない。
(v)サイズが小さい電池に於いても、均一に且つ高速で負極ゲルを充填することができるため、均一な品質を有する電池を生産できる。
要件(1):増粘剤2.0重量%及び亜鉛粉末200重量%を添加した濃度37重量%水酸化カリウム水溶液の1日後及び60日後の40℃の粘度が40〜300Pa・sである。
要件(2):増粘剤3.0重量%を添加した濃度37重量%水酸化カリウム水溶液の曳糸性が0〜30mmである。
並びに、該増粘剤をアルカリ電解液重量に対して0.5〜10重量%添加したアルカリ電池である。
本発明の増粘剤は高濃度のアルカリ水溶液中で使用されるため、架橋重合体(A)は未中和体であっても中和体であっても構わないが、(A)の粘着性低減や分散性改良、(A)を製造する上での作業性の改良等の目的で(メタ)アクリル酸の一部あるいは全てを中和するのが好ましい。
ノニオン性の水溶性エチレン性不飽和単量体;例えば(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(炭素数1〜3)置換(メタ)アクリルアミド[N−メチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド等]、N−ビニルアセトアミド、モノヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度:2〜100)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度:2〜100)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(重合度:2〜100)モノ(メタ)アクリレート等;
他のモノエチレン性不飽和単量体;例えば(メタ)アルキル(炭素数1〜5)アクリレート、酢酸ビニル等を例示することができる。これらのエチレン性不飽和単量体は、所定量の範囲で2種以上を併用しても良い。
これら(メタ)アクリル酸(アルカリ)以外のエチレン性不飽和単量体の添加量は、重合時の(メタ)アクリル酸の重量に対して好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜30重量%である。
アルカリ性下で分解する架橋剤(a)とは、室温で37%KOH水溶液中に増粘剤を1%添加し、1時間攪拌したときに50%以上が分解するものをいう。(a)としては分子内にエステル基、アミド基、エポキシ基からなる群から選ばれる基を有する化合物が挙げられる。
具体的には、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等に代表される分子内の官能基数が2〜10の共重合性の架橋剤(a1);エチレングリコールジグリシジルエーテル等に代表される2〜10価の多価グリシジル化合物、エチレンジアミン等に代表される2〜10価の多価アミン化合物及びグリセリン等に代表される2〜10価の多価アルコール化合物等に代表されるカルボン酸と反応する架橋剤(a2)を例示することができる。
これらの内好ましくは共重合性の架橋剤(a1)及び多価グリシジル化合物であり、より好ましくはエステル系の共重合性架橋剤及び多価グリシジル化合物である。
(a2)を使用した場合は、架橋剤添加後、任意の段階で、好ましくは100〜230℃、より好ましくは120〜160℃に加熱し架橋反応を進行させるのが一般的である。また、(a2)は、所定量の範囲で2種以上、更には(a1)と併用しても良い。
本発明において、(メタ)アクリル酸(アルカリ)を水溶液重合法又は逆相懸濁重合法で重合する方法は、通常の方法で良く、例えばラジカル重合開始剤を用いて重合する方法、放射線、紫外線、電子線等を照射する方法があげられる。
ラジカル重合開始剤を用いる方法において、この開始剤としてはアゾ化合物[アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物[過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等]、有機過酸化物[ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等]、レドックス開始剤[アルカリ金属塩の亜硫酸塩もしくは重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、L−アスコルビン酸等の還元剤と、アルカリ金属塩の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の過酸化物の組み合わせ]及びこれらの2種類以上の併用があげられる。
開始剤の量に関しても、特に限定はないが、(メタ)アクリル酸(アルカリ)の合計重量に対して、ポリマーの重合度をアップするために好ましくは0.000001〜3.0%、より好ましくは0.000001〜0.5%である。
重合時の(メタ)アクリル酸の中和度は、所定量の架橋剤(a)がモノマー水溶液に完全に溶解できるのであれば特に限定はないが、(メタ)アクリル酸は、同一条件で重合を行った場合、中和度が低い方が重合度が上がりやすいため、ポリマーの重合度をアップさせるためにも、中和度が低い状態で重合を行った方が好ましい。
尚、この逆相懸濁重合法に関しては、重合時分散剤の使用が必須となるが、分散剤としてはHLBが3〜8のソルビタンモノステアリン酸エステル等のソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリンモノステアリン酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステル類及び蔗糖ジステアリン酸エステル等の蔗糖脂肪酸エステル類等の界面活性剤;エチレン/アクリル酸共重合体やエチレン/酢酸ビニル共重合体のマレイン化物、スチレンスルホン酸(Na)/スチレン共重合体の様に分子内に親水性基を有しかつ、モノマー水溶液を分散させる溶媒に可溶な高分子分散剤(親水性基;0.1〜20重量%、重量平均分子量;1,000〜1,000,000)等を例示できるが、分散剤としては高分子分散剤を使用した方が、溶媒中でのモノマー水溶液の懸濁粒子の大きさを調整しやすく、必要とする粒径の含水ゲルを作成できるので好ましい。
逆相懸濁重合におけるモノマー水溶液と疎水性有機溶剤とのW/O比は、重量換算で0.1〜2.0が好ましく、0.3〜1.0がより好ましい。
本発明では、(メタ)アクリル酸(アルカリ)の水溶液を、上記の様なマイルドな条件で重合することにより、架橋剤を使用しない場合のポリマーの平均重合度が、好ましくは5,000〜1,000,000であり、より好ましくは10,000〜1,000,000となる条件で重合することが好ましい。平均重合度が、5,000以上となる条件で重合を行うと、適量の架橋剤を使用することにより、増粘剤を添加した高濃度アルカリ水溶液の粘度ダウン及び/又は曳糸性のアップを防止することが出来る。上記重合度の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)にて行った。
含水ゲルの乾燥方法に関しては、水溶液重合の場合は、例えば重合ゲルをミートチョッパーやカッター式の粗砕機でゲルをある程度細分化(細分化のレベルは0.5〜20mm角程度)あるいはヌードル化し、必要によりアルカリ金属塩水酸化物を添加して含水ゲルの中和を行った後、透気乾燥(パンチングメタルやスクリーン上に含水ゲルを積層し、強制的に50〜150℃の熱風を通気させて乾燥する等)や通気乾燥(含水ゲルを容器中に入れ、熱風を通気・循環させ乾燥、ロータリーキルンの様な機械で更にゲルを細分化しながら乾燥する)等の方法を例示できる。これらの中で、透気乾燥は短時間で効率的な乾燥が行えるため好ましい。
一方、逆相懸濁重合の場合の含水ゲルの乾燥方法は、重合した含水ゲルと有機溶媒をデカンテーション等の方法で固液分離した後、減圧乾燥(減圧度;100〜50,000Pa程度)や該通気乾燥を行うのが一般的である。
このようにして得られた架橋重合体の乾燥物は、必要により粉砕して粉末化する。粉砕方法は、通常の方法でよく、例えば衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル、ACMパルペライザー等)や空気粉砕(ジェット粉砕機等)で行うことができる。
尚、乾燥物の粉砕を行う際も、金属同志回転部が直接接触する様な粉砕機を使用すると、機械的な摩耗により発生した金属粉末が増粘剤中に混入する恐れがあり、使用しないのが好ましい。
必要により乾燥した乾燥粉末は、必要により所望のスクリーンを備えたフルイ機(振動フルイ機、遠心フルイ機等)を用いて、所望の粒径の乾燥粉末を採取することができる。
尚、本発明において、乾燥後の任意の段階で、除鉄機を用いて混入した鉄等の金属粉末を除去するのが好ましい。しかし、除鉄機を用いてかなり精密に除鉄を行っても、除鉄機では磁性のない金属を除去するのは困難であり、また磁性のある金属に関しても、乾燥したポリマー粒子内部に含まれているものや乾燥粒子に付着しているものは除去できないので、初めからこれら金属が混入しないように、生産設備に関しても、十分に配慮することが望ましい。
架橋重合体(A)の質量平均粒子径は、好ましくは0.1〜2,000μmであり、より好ましくは1〜1000μm、特に好ましくは5〜850μmである。0.1μmより大きいと、亜鉛の沈降を防止でき、2,000μm以下であれば亜鉛同士の接触頻度を妨げず、放電特性の低下が起こらない。また、0.1μm未満の粒子の含有量が3%以下であり、2,000μmを超える粒子径の含有量が3%以下であることが好ましい。
件を満たすアルカリ可溶性の増粘剤である。
使用する増粘剤の粘度[要件(1)]は、増粘剤2.0重量%及び亜鉛粉末200重量%を添加した濃度37重量%水酸化カリウム水溶液の初期及び60日後の40℃での粘
度が、好ましくは40〜300Pa・sであり、より好ましくは50〜200Pa・s
である。粘度が40Pa・s未満であると、電池中での亜鉛粉末の沈降を殆ど防止できず
、300Pa・sを超えると水酸化カリウム水溶液の取り扱い性が容易ではない。
重量%を添加した濃度37重量%水酸化カリウム水溶液の曳糸性が0〜30mm、好ま
しくは0〜25mmである。曳糸性が30mmを超えると増粘剤を含むアルカリ電解液
を電池に高速注入する際に液切れが不良で、電池外部に電解液が付着して作業性を悪化
させる。
や前記生産設備に関しても十分に配慮を行うことより、増粘剤中の亜鉛よりイオン化傾
向の小さい金属の含量を、増粘剤中に好ましくは0〜15ppm、より好ましくは0〜
10ppmとすることができる。[要件(3)]
増粘剤中の亜鉛よりイオン化傾向の小さい金属の含量が15ppm以下であると、使
用する電池の構造や容量、電池への増粘剤の添加量にもよるが、電池中で中で亜鉛粉末
と混入した金属イオンの間で電池を形成しにくく、電気分解により水素ガスが発生しに
くく、電池内部の圧力が上昇せずアルカリ電解液の流出や電池の破損を引き起こす場合
がないので好ましい。
(i)(メタ)アクリル酸(アルカリ)を主体とするモノマー水溶液に、所定量(0.05〜1.0重量%の範囲、但し、架橋剤量はポリマーの平均重合度や重合濃度等により最適点が異なるため、規定の範囲内での調整が必要)のアルカリ性下で分解する架橋剤(a)を(メタ)アクリル酸(アルカリ)の重量に対して0.05〜3重量%添加し、架橋剤をモノマー水溶液に完全かつ均一に溶解させる。
(ii)(a)を添加しない場合のポリマーの平均重合度が5,000〜1,000,000となり、かつ過度の自己架橋(重合濃度は40重合%以下が好ましい)が起こりにくいマイルドな重合条件で、水溶液重合法及び/又は逆相懸濁重合法により重合を行い、架橋重合体(A)の含水ゲルを作成するのが好ましい。
(iii)水溶液重合の場合は、得られた含水ゲルに必要によりある程度含水ゲルを細分化した後、必要によりアルカリ金属の水酸化物を添加し中和度を調整し、透気乾燥法又は通気乾燥法を用いて乾燥するのが好ましい。逆相懸濁重合の場合は、含水ゲルを固液分離した後、減圧乾燥法又は通気乾燥法を用いて乾燥するのが好ましい。
尚、乾燥時も加熱によるポリマー熱架橋を抑制させるために、乾燥温度(品温)150℃以下(好ましくは130℃以下)で出きるだけ短時間で乾燥する。
(iv)乾燥した粉砕物を必要により粉砕し、必要によりフルイ機を用いて、乾燥物の粒子が質量平均粒子径で好ましくは0.1〜2,000μmであり、より好ましくは1〜1000μm、特に好ましくは5〜850μmのものを主体とする架橋重合体(A)を作成するのが好ましい。
(v)中和度を規定量内で行う。
通常、アルカリ電池の陰極物質は、アルカリ電解液(酸化亜鉛を溶解させた35〜40%水酸化カリウム水溶液)100重量部に対して、平均粒子径10〜400μm程度の亜鉛粉末又は亜鉛合金粉末30〜200重量部及びゲル化剤約0.1〜10重量部で構成されているが、本発明のアルカリ電池はゲル化剤約0.1〜10部に替えて、本発明の増粘剤を用いるものである。
増粘剤の添加量は、陰極容器の構造や該亜鉛粉末の粒径やアルカリ電解液に対する添加量によっても種々異なるが、アルカリ電解液に対して、0.5〜10重量%が好ましく、1.0〜5.0重量%がより好ましい。添加量が、0.5〜10重量%であると、アルカリ電解液の粘度が適度となり、亜鉛粉末の沈降を防止でき取り扱い性も容易である。
ゲル化剤としては、例えば、CMC、天然ガム、架橋分岐型ポリ(メタ)アクリル酸(アルカリ)、架橋型のポリ(メタ)アクリル酸(アルカリ)、微粉末状の微架橋型のポリ(メタ)アクリル酸(アルカリ)等を例示することができる。これらの中で、架橋型のポリ(メタ)アクリル酸(アルカリ)は、耐衝撃性を付与出来るため、また微粉末状の微架橋型のポリ(メタ)アクリル酸(アルカリ)は、樹脂自体の曳糸性が比較的小さく、かつ陰極物質混合物の充填時の流動性を与えるので好ましい。
これら必要により添加するゲル化剤の添加量は、アルカリ電解液に対して、好ましくは0〜5.0重量%、より好ましくは0〜3.0重量%である。
ゲル化剤の添加方法は、本発明の増粘剤とゲル化剤とを事前にドライブレンドした後亜鉛粉末及びアルカリ電解液等の他の陰極物質とブレンドする方法、陰極物質の混合物作成時に本発明の増粘剤とは別に添加し混合する方法、アルカリ電解液とゲル化剤混合した後、本発明の増粘剤及び亜鉛粉末とを混合する方法等;を例示することができるが、必要により所定量のゲル化剤を添加できる方法であればいずれでも良い。
以下、実施例で用いた試験法を示す。
予め、増粘剤2gと亜鉛粉末200gをナウターミキサーにて混合し、200mlの蓋付きの透明なポリ容器に投入後、37%水酸化カリウム水溶液100gを、内容物がままこにならないように徐々に投入しながら攪拌した。全体が均一にゲル化(あるいは増粘)した後、40℃の恒温機に入れ密閉下1日放置した後、デジタルB型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて内容物の粘度を測定し、1日後の粘度とした。(測定温度:40℃、ローターNo.4、回転数:3rpm)
粘度の測定が終わったサンプルの一部を密閉し、再度40℃の恒温機に入れ密閉下60日放置した後、デジタルB型粘度計を用いて同様な条件で内容物の粘度を測定し、60日後の粘度とした。
一日後の粘度を測定した増粘剤のサンプルに、曳糸性試験器(共和化学社製)付属の一方に直径2.5mm、長さ10mmの円柱状の結合部を備えた長さ11mm、幅8mmの回転楕円状のガラス玉を、円柱の付け根までサンプルの中に入れ、16mm/秒の速度でガラス玉を上昇させ、ゲルからガラス玉を抜き上げた。ガラス玉がサンプルから完全に分離した時点でガラス玉の上昇を停止させ、曳糸性試験器付属の測定器を用いて、サンプル上部面からガラス玉がサンプルから分離した点の距離(mm)を測定した。同様な操作を10回行いその平均値を曳糸性(mm)とした。
湿式灰化装置(マイルストーン社製:MLS−1200MEGA)に付属のテフロン(登録商標)分解容器に増粘剤0.5g、塩酸3ml、硝酸4mlを加えた後、密閉とし、湿式灰化装置にテフロン(登録商標)容器をセット後、湿式灰化装置を稼働させ、試料を完全に分解させた。分解させた試料に超純水を加えて、トータルで液量を9gとし、ICP(インダクティブリーカップリングプラズマ)を用いてFe、Ni、Cr、Sn、Pb、Cu、Agの金属に関して含量を測定した。別途、標準液を用いて上記金属の検量線を作成し、検量線を用いて、各金属の含量を測定した。
金属イオン含量(ppm)=増粘剤中の(Fe、Ni、Cr、Sn、Pb、Cu、Ag)のトータル量(g)/増粘剤サンプル量(g)
2リットルのビーカーに、アクリル酸200gとトリメチロールプロパントリアクリレート0.6g(0.3重量%/アクリル酸)とイオン交換水800gを入れ8℃に冷却した。
アクリル酸水溶液を1.5リットルの断熱重合槽に入れ、水溶液に窒素を通じて水溶液中の溶存酸素量を0.1ppm以下とし、0.1%の過酸化水素水4.0gと0.1%L−アスコルビン酸水溶液4.0g及び2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド(和光純薬工業社製、商品名:V−50)の10%水溶液1.0gを添加し、重合が開始するまで水溶液中への窒素パージを継続した。重合が開始し、アクリル酸水溶液の粘度が上昇し始めたので、窒素のパージを停止し、6時間重合した。打点温度計でアクリル酸水溶液の温度を測定したところ、最高到達温度は、63℃であった。
尚、上記重合において、上記の架橋剤を除いて重合したポリマーの平均重合度をGPCを用いて測定したところ、ポリマーの平均重合度は約28,000であった。
ブロック状の架橋された含水ゲルを断熱重合槽から取り出し、小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いてゲルを3〜10mmに細分化した後、水酸化ナトリウム(試薬特級)の40%水溶液222g(中和度80モル%)を加え含水ゲルを中和した。
乾燥物をクッキングミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて32〜500μm(JIS 400メッシュ〜JIS 30メッシュ)の粒径のものを採取し、本発明の増粘剤(1)を得た。
増粘剤(1)に関して、増粘剤中の金属の含量、増粘剤2.0%と亜鉛粉末200%を添加した37%水酸化カリウム水溶液の一日後及び60日後の粘度、曳糸性を測定した。
また、実施例2〜5、比較例1〜8についても同様な測定を行った。その結果を表1に示した。
実施例1において、トリメチロールプロパントリアクリレートに替えてエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセ化成社製、商品名:デナコール810)を用いて架橋重合体(A2)を得た以外は、実施例−1と同様な操作を行い、本発明の増粘剤(2)を得た。
1リットルのビーカーにアクリル酸100gとイオン交換水272.2g、を入れて混合し溶解させた。ビーカーを氷浴で冷却しながら、40%の水酸化ナトリウム水溶液100gを添加し、アクリル酸の一部(72モル%)を中和した。中和したモノマー溶液にエチレングリコールジグリシジルエーテル0.3g(0.3重量%/アクリル酸)を入れ、混合し架橋剤を溶解させた。架橋剤を溶解させたモノマー水溶液を5℃に冷却した後、重合開始剤として過硫酸カリウム0.2gを添加した。
攪拌機とコンデンサー(冷却器)を備えた2リットルのセパラブルフラスコに、シクロヘキサン1000ml及び分散剤としてスチレンスルホン酸Na/スチレンブロック共重合体10gを、湯浴を用いて内容物を60℃に加熱し攪拌して、シクロヘキサンに分散剤を溶解させた。
攪拌機の回転を停止し、生成した含水ゲルを沈降させた後、デカンテーションによりシクロヘキサンを除去し、残った含水ゲルを数回シクロヘキサンで洗浄し、含水ゲルに付着した分散剤を除去した。
得られた球状の含水ゲルを、離型紙の上に広げ、80℃の減圧乾燥機(10,000〜20,000Pa)で2時間乾燥させて、本発明の増粘剤(3)を得た。
実施例1において、乾燥方法を下記の方法に替える以外は、実施例1と同様にして、本発明の増粘剤(4)を得た。
(乾燥方法)
160℃に加熱した鉄とクロムの合金からなるドラムドライヤー(楠木機械社製)と、ドラムドライヤー付属のテフロン(登録商標)製の加圧ロールの間(クリアランス0.5mm)に細分化した含水ゲルを入れ、含水ゲルを0.5mmの膜厚でドラムドライヤー上に圧延して3分間乾燥した。乾燥後、ドラムドライヤー付属のナイフ(SUS製)をドラムドライヤーに接触させて、乾燥したフィルムをドラムドライヤーから剥離させた。フィルムの膜厚を、膜厚計で測定したところ厚みは約0.2mmであった。
乾燥したフィルムをクッキングミキサーを用いて粉砕し、フルイ機を用いて3〜500μmのものを採取した。
市販のカルボキシメチルセルロース(CMC2450、ダイセル化学工業社製)を比較の増粘剤(I)とした。
市販の微架橋型ポリアクリル酸微粉末(カーボポール941、BFグットリッチカンパニー社製、質量平均粒子径約20μm)を比較の増粘剤(II)とした。
実施例1において、トリメチロールプロパントリアクリレートの添加量を0.06g(0.03%/アクリル酸)とする以外は、実施例1と同様にして比較の増粘剤(III)を得た。
実施例1において、トリメチロールプロパントリアクリレートの添加量を8.0g(4.0%/アクリル酸)とする以外は、実施例1と同様にして比較の増粘剤(IV)を得た。
実施例1において、添加した重合開始剤(過酸化水素、アスコルビン酸、V−50)の添加量を10倍とし、イオン交換水のかわりに20%のエタノール水溶液(エタノール/水=20/80)とした以外は、実施例1と同様な操作を行い、比較の増粘剤(V)を得た。
実施例1に使用したトリメチロールプロパントリアクリレートを用いずに、実施例1と同じ操作を行い比較の増粘剤(VI)を得た。
その結果を表2に示す。
1リットルの2軸のニーダー(入江商会社製、品名:PNV−1)に37%水酸化カリウム水溶液150gと質量平均粒子径120μmの亜鉛粉末300g、増粘剤1.5g及びゲル化剤(商品名:サンフレッシュ DK−500B、三洋化成工業社製)1.5gを添加し、50rpmの回転速度で60分間混合し、負極ゲルを作成した。
作成した負極ゲル50gを、密閉可能な容量50mlのサンプル瓶(直径34mm、高さの77mm、ポリプロピレン製)に入れ、混合時に入った気泡を減圧下で脱泡した。
サンプル瓶を密閉し、40℃の恒温槽で30日間放置した後、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)付属の装置を用いて、300回スクリュー管を3cmの高さからタッピング(30回/MIN)して、亜鉛粉末の沈降を促進させた。タッピングを終了した後、亜鉛粉末の初期の位置から亜鉛粉末の最も沈降した距離(mm)を測定し、これを亜鉛粉末の沈降性(mm)とした。
1リットルの2軸のニーダーに37%水酸化カリウム水溶液150gと平均粒径120μmの亜鉛粉末300g、増粘剤1.5g及びゲル化剤(商品名:サンフレッシュ DK−500B、同上)1.5gを添加し、50rpmの回転速度で60分間混合し、負極ゲルを作成した。作成した負極ゲルをビーカーに移し、混合時に入った気泡を減圧下で脱泡した。
脱泡したゲル状の水酸化カリウム水溶液を、注入口が2mmの内径を有し、かつ0.1ml単位の目盛りを有する20mlの注射器内部に吸引した。
5mlのサンプル瓶(内径18mm、高さ40mm)の口に高さから、注射器を2.0ml圧縮してゲル状の水酸化カリウム水溶液をサンプル瓶注入し、注射器の圧縮を終了した時点から、注射器注入口からゲル状の水酸化カリウム水溶液が完全に分離した時点までの時間(秒)をストップウオッチで測定した。同様な操作を計20回繰り返してその平均値を注入時間(秒)とした。
サンプル瓶に注入された水酸化カリウム水溶液の重量(20回)を測定し、注入量の標準偏差(σ)を算出して、注入量のバラツキとした。
50mlのサンプル瓶(直径34mm、高さの77mm、ポリプロピレン製)に37%水酸化カリウム水溶液15gと平均粒径120μmの亜鉛粉末30g、増粘剤0.15g及びゲル化剤(商品名:サンフレッシュ DK−500B、同上)0.15gを添加し、50rpmの回転速度で60分間混合した。
サンプル瓶に蓋(ガス検知管が挿入可能な直径約3mmの穴をあけ、その部分をシールテープで塞いだもの)して内部を密閉した後、50℃の恒温槽に10日間入れた。
30日後にサンプル瓶を取り出し、予め開口しておいた蓋の穴に水素ガス検知管(北川式ガス検知管、光明理化学工業社製、水素ガス測定範囲:500〜8000ppm)をサンプル瓶の気相部に挿入して、気相中の水素ガス濃度を測定した。
1リットルの2軸のニーダーに、37%の水酸化カリウム水溶液150gと亜鉛粉末300g及び増粘剤1.5g、ゲル化剤(商品名:サンフレッシュ DK−500B、同上)1.5gを添加し、50rpmで60分間混合し、負極ゲルを作成した。
減圧下で脱泡を行った後、この負極ゲルを用い15gを、図1に示したLR−20及びLR−6型のモデル電池の負極容器内に注入し、モデル電池を作成した。作成したモデル電池に、室温(20〜25℃)で2Ωの外部抵抗を接続して、連続放電し、電圧が0.9Vに低下するまでの時間を電池の持続時間(hour)とした。モデル電池作成後、60℃の恒温槽で60日間放貯蔵したモデル電池に関しても同様な操作を行い、電池の持続時間を測定した。
2.収縮チューブ
3.正極剤(MnO2+炭素)
4.外装缶
5.セパレーター
6.集電棒
7.ガスケット
8.負極端子板
9.ゲル負極
Claims (6)
- アルカリ性下で分解する架橋剤(a)を用いて水溶液重合法若しくは逆相懸濁重合法により得られた、(メタ)アクリル酸及び/若しくはそのアルカリ金属塩を主構成単量体単位とする架橋重合体(A)からなるアルカリ可溶性の増粘剤であって、下記(1)、(2)の要件を具備するアルカリ電池用増粘剤。
要件(1);増粘剤2.0重量%及び亜鉛粉末200重量%を添加した濃度37重量%水酸化カリウム水溶液の1日後及び60日後の40℃の粘度が40〜300Pa・sである。
要件(2);増粘剤3.0重量%を添加した濃度37重量%水酸化カリウム水溶液の曳糸性が0〜30mmである。 - さらに下記(3)の要件を具備するものである請求項1記載のアルカリ電池用増粘剤。
要件(3);増粘剤中における、亜鉛よりイオン化傾向の小さい金属の含量が0〜15ppmである。 - 前記(A)の架橋剤を用いない場合の重合体の平均重合度が5,000〜1,000,000である請求項1又は2記載のアルカリ電池用増粘剤。
- 前記(a)が分子内にエステル基、アミド基、エポキシ基からなる群から選ばれる基を有するものである請求項1〜3の何れか記載のアルカリ電池用増粘剤。
- 前記(A)の含水ゲルを乾燥する工程において、含水ゲルを透気乾燥及び/又は通気乾燥するか、含水ゲルを固液分離した後減圧乾燥及び/又は通気乾燥する方法によって得られてなる請求項1〜4の何れか記載のアルカリ電池用増粘剤。
- 亜鉛粉末を含有するアルカリ電解液を負極とするアルカリ電池において、請求項1〜5の何れか記載の増粘剤をアルカリ電解液重量に対して0.5〜10重量%添加したアルカリ電池。
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