JP2017103217A - アルカリ電池用ゲル化剤 - Google Patents

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松本 吉正
Yoshimasa Matsumoto
吉正 松本
小川 裕之
Hiroyuki Ogawa
裕之 小川
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Abstract

【課題】 長期に亘る放電特性(放電量及び放電時間)の維持及び耐衝撃性に優れたアルカリ電池用ゲル化剤及びそれを用いたアルカリ電池を提供する。
【解決手段】 水溶性ビニルモノマー及び/又は加水分解により該水溶性ビニルモノマーとなるビニルモノマー、アルカリ性で加水分解する加水分解性架橋剤並びにアルカリ性で加水分解しない非加水分解性架橋剤を必須構成単量体とする架橋重合体と界面活性剤とを含有するアルカリ電池用ゲル化剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アルカリ電池用ゲル化剤に関する。
従来より、アルカリ電池の負極には、高濃度のアルカリ電解液(高濃度の水酸化カリウム水溶液、必要により酸化亜鉛等を含有させたもの)と亜鉛粉末及び/又は亜鉛合金粉末等混合物が主として使用されており、アルカリ電解液中の亜鉛粉末の沈降防止、電池からの液漏れ防止及び電池の生産効率アップの観点から曳糸性を抑える目的で、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩類を架橋剤で不溶化した吸水性樹脂等を増粘剤として使用したものが提案されている(特許文献1)。
特開2008−34379号公報
しかしながら、アルカリ電池は近年さらなる高性能化が要求されるようになり、これら吸水性樹脂のゲル化剤を使用するアルカリ電池は、アルカリ電池の最も重要な特性である、長期に亘る放電特性(放電量及び放電時間)の維持及び耐衝撃性の点で必ずしも満足し得ない。さらに、アルカリ電解液の曳糸性により生産効率アップの点でも満足し得ない。
そこで、本発明は長期に亘る放電特性(放電量及び放電時間)の維持及び耐衝撃性に優れたアルカリ電池用ゲル化剤及びそれを用いたアルカリ電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により(a1)となるビニルモノマー(a2)、アルカリ性で加水分解する加水分解性架橋剤(b)並びにアルカリ性で加水分解しない非加水分解性架橋剤(c)を必須構成単量体とする架橋重合体(A)と界面活性剤(D)とを含有するアルカリ電池用ゲル化剤(E)である。
本発明のアルカリ電池用ゲル化剤、アルカリ電池用負極材、アルカリ電池は下記の効果を奏する。
(1)アルカリ電池に使用した場合、少量でかつ長期間に亘って、放電の持続時間(放電特性)や耐衝撃性に極めて優れた電池を作成することができる。
(2)電池1個あたりの負極材の充填量のバラツキが少ないため、大量生産時も均一な品質を有する電池を生産できる。
(3)サイズが小さい電池においても、均一に且つ高速で負極材を充填することができるため、均一な品質を有する電池を生産できる。
本発明における架橋重合体(A)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により(a1)となるビニルモノマー(a2)、アルカリ性で加水分解する加水分解性架橋剤(b)並びにアルカリ性で加水分解しない非加水分解性架橋剤(c)を必須構成単量体とする。
本発明において、水溶性ビニルモノマーとは、25℃の水100gに少なくとも100g溶解する性質を持つビニルモノマーを意味する。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)としては特に限定がないが、例えば、特開2005−075982号公報に記載の水溶性ラジカル重合単量体が挙げられる。これらのうち、放電特性の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)が好ましく、さらに好ましくはアニオン性ビニルモノマー、特に好ましくは炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩){不飽和モノカルボン酸(塩)[((メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸及びこれらの塩等];不飽和ジカルボン酸(塩)(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸及びこれらの塩等);及び前記不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル(マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸のエチルカルビトールモノエステル、フマル酸のエチルカルビトールモノエステル、シトラコン酸モノブチルエステル及びイタコン酸グリコールモノエステル等}、さらに特に好ましくは不飽和モノカルボン酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
なお、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、「・・・酸(塩)」とは「・・・酸」及び/又は「・・・酸塩」を意味する。塩としては、カリウム、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、カルシウム等のアルカリ土類金属塩が含まれる。
架橋重合体(A)の構成単量体である水溶性ビニルモノマー(a1)がアニオン性ビニルモノマーの場合、未中和体であっても、中和体(水溶性ビニルモノマー塩単位)であっても構わないが、架橋重合体(A)の粘着性低減や分散性改良、架橋重合体(A)を製造する上での作業性の改良等の目的で水溶性ビニルモノマー(a1)単位の一部あるいは全てを中和して水溶性ビニルモノマー塩単位とするのが好ましい。
(a1)としてアニオン性ビニルモノマーを使用した場合に、(A)に含まれるアニオン性ビニルモノマー由来のアニオン部分を中和物としたい場合は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、水酸化カルシウム等の水酸化アルカリ土類金属又はその水溶液を重合前のモノマー段階、あるいは重合後の含水ゲルに添加すれば良い。一方、後述するアルカリ性で加水分解しない架橋剤(c)は水溶性が乏しいため、水溶性ビニルモノマー(a1)の中和度が高い状態で重合すると、所定量の架橋剤(c)を添加しても架橋剤(c)がモノマー水溶液から分離しやすく、よりよい架橋重合体(A)が得られない場合がある。この架橋剤(c)の分離を抑制する観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)の中和度を0〜30モル%としておいて、架橋剤(c)も含有させて重合を行った後、必要により含水ゲルに水酸化アルカリ金属を添加して中和度を調整する方がより好ましい。
架橋重合体(A)の水溶性ビニルモノマー(a1)として、アニオン性ビニルモノマー{最も好ましくはアクリル酸(塩)}を使用する場合、アニオン性ビニルモノマーの最終的な中和度{アニオン性ビニルモノマーのアニオン基及びアニオン塩基の合計モル数に基づく、アニオン塩基の含有量(モル%)}は、好ましくは0〜80、さらに好ましくは30〜70、特に好ましくは40〜60である。この範囲であると、アルカリ電解液の耐衝撃性や放電特性がさらによくなる。なお、アニオン塩基とは中和されたアニオン基を意味する。
水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の含有量は、アルカリ電池の放電特性の観点から、(a1)、(a2)、アルカリ性で加水分解する架橋剤(b)及びアルカリ性で加水分解しない架橋剤(c)の合計重量に対して、98.0〜99.90重量%が好ましく、さらに好ましくは99.0〜99.85重量%、特に好ましくは99.2〜99.83重量%である。
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又はビニルモノマー(a2)は、それぞれ、単独で構成単量体としてもよく、2種以上を構成単量体としてもよい。
水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)のうち、アルカリ電池の放電特性の観点から、(a1)が好ましく、さらに好ましくは(a1)を単独で構成単量体とすることである。
水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の両方を構成単量体とする場合、これらのビニルモノマー単位のモル比{(a1)/(a2)}は、アルカリ電池の放電特性の観点から、75/25〜99/1が好ましく、さらに好ましくは85/15〜98/2、最も好ましくは90/10〜95/5である。
架橋重合体(A)は、架橋剤を用いて架橋する。本発明の架橋剤としては、アルカリ性で加水分解する加水分解性架橋剤(b)及びアルカリ性で加水分解しない非加水分解性架橋剤(c)を併用する。
これらの加水分解性架橋剤(b)及び非加水分解性架橋剤(c)を併用することにより、ゲル化剤の粘度安定性がさらに向上し、後述のアルカリ電池用負極材の離漿を防止することできるため、長期間に亘る放電を維持することができる。さらに電池へ充填する際に均一に注入する事ができ、電池1個あたりの電解液の注入量の偏りも小さくなるので好ましい。
なお、ここでアルカリ電池用負極材の離漿とは、該負極材のほぼ均一な混合状態を保持できず、負極材からアルカリ電解液が分離してしまう現象である。
アルカリ性で加水分解する加水分解性架橋剤(b)において「アルカリ性で加水分解する」とは、架橋重合体(A)において(b)に由来する単位が加水分解性結合を有することを意味し、加水分解性結合は、架橋剤(b)がもともと分子内に有する結合であってもよいし{この場合の架橋剤を分子内に加水分解性結合を有する架橋剤(b1)とする}、架橋重合体(A)を構成する他の単量体{(a1)又は(a2)}と架橋反応して生成する結合が加水分解するものであってもよい{この場合の架橋剤を架橋反応して生成する結合が加水分解性の架橋剤(b2)とする}。アルカリ電池用負極材の離漿率、アルカリ電池の放電特性の観点から、好ましいのは、加水分解性架橋剤(b)に由来する加水分解性結合が、室温で40重量%水酸化カリウム水溶液中にゲル化剤を1重量%添加し、1時間攪拌したときに50重量%以上が分解するものである。加水分解性結合としてはエステル結合及びアミド結合等が含まれる。
分子内に加水分解性結合を有する架橋剤(b1)としては、例えば、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリグリセリン(重合度3〜13)ポリアクリレート等の分子内に2〜10のエチレン性不飽和結合を有する共重合性の架橋剤が挙げられる。
架橋反応して生成する結合が加水分解性の架橋剤(b2)としては、多価グリシジル化合物(エチレングリコールジグリシジルエーテル等)、多価イソシアネート化合物(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等)、多価アミン化合物(エチレンジアミン等
)及び多価アルコール化合物(グリセリン等)等に代表されるカルボン酸と反応する反応型架橋剤が挙げられる。反応型架橋剤は、(メタ)アクリル酸(塩)と反応してエステル結合又はアミド結合を形成することができる。
アルカリ性で加水分解する加水分解性架橋剤(b)のうち、ゲル化剤の粘度安定性の観点から、架橋剤(b1)及び多価グリシジル化合物が好ましく、さらに好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及び多価グリシジル化合物、次にさらに好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びエチレングリコールジグリシジルエーテル、特に好ましくはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
架橋剤(b2)を使用した場合は、架橋剤添加後、任意の段階で、反応性の観点から、好ましくは100〜230℃、より好ましくは120〜160℃に加熱し架橋反応を進行させる。また、架橋剤(b2)は、所定量の範囲で2種以上、更には架橋剤(b1)と併用しても良い。
アルカリ性で加水分解しない非加水分解性架橋剤(c)は、加水分解性結合を分子内に有さず、また、架橋反応により加水分解性結合を生成しない架橋剤である。このような架橋剤(c)としては、2個以上のビニルエーテル結合を有する架橋剤(c1)及び2個以上のアリルエーテル結合を有する架橋剤(c2)等が挙げられる。反応性等の観点から、2個以上のアリルエーテル結合を有する架橋剤(c2)が好ましい。
2個以上のビニルエーテル結合を有する架橋剤(c1)としては、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル(重合度2〜5)、ビスフェノールAジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ソルビトールトリビニルエーテル及びポリグリセリン(重合度3〜13)ポリビニルエーテル等が挙げられる。
2個以上のアリルエーテル結合を有する架橋剤(c2)としては、分子内にアリル基を2個有しかつ水酸基を含まない化合物(c21)、分子内にアリル基を2個有しかつ水酸基を1〜5個有する化合物(c22)、分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を有さない化合物(c23)、分子内にアリル基が3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有する化合物(c24)等が挙げられる。分子内に水酸基を含むと、ビニルモノマー(a1)及び/又は(a2){特に(メタ)アクリル酸(塩)}との相溶性が良く、架橋の均一性がアップしてゲル化剤の安定性が向上し、負極材の離漿、アルカリ電池の放電特性がさらに優れる。
分子内にアリル基を2個有しかつ水酸基を含まない化合物(c21)としては、ジアリルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアリルエーテル、アルキレン(炭素数2〜5)グリコールジアリルエーテル、及びポリエチレングリコール(重量平均分子量:100〜4000)ジアリルエーテル等が挙げられる。
分子内にアリル基を2個有しかつ水酸基を1〜5個有する化合物(c22)としては、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル及びポリグリセリン(重合度2〜5)ジアリルエーテル等が挙げられる。
分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を有さない化合物(c23)としては、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル及びテトラアリルオキシエタン等が挙げられる。
分子内にアリル基が3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有する化合物(c24)としては、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジグリセリントリアリルエーテル、ソルビトールトリアリルエーテル及びポリグリセリン(重合度3〜13)ポリアリルエーテル等が挙げられる。
アルカリ性で加水分解しない非加水分解性架橋剤(c)は2種以上を併用してもよい。
架橋剤(c)のうち、2個以上のアリルエーテル結合を有する化合物(c2)が好ましく、さらに好ましくは2〜10個のアリル基及び1〜5個の水酸基を有する化合物{(c22)及び(c24)}、特に好ましくは分子内にアリル基を3〜10個有しかつ水酸基を1〜3個有する化合物(c24)、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジグリセリントリアリルエーテル及びソルビトールトリアリルエーテルである。
これらの架橋剤を用いると、水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)との相溶性が良く効率的な架橋が行えるので好ましい。
本発明の架橋重合体(A)において、構成単量体中のアルカリ性で加水分解する加水分解性架橋剤(b)の含有量は、架橋剤(b)の種類及び平均重合度にもよるが、好ましくは架橋重合体(A)の重量に対して0.05〜1重量%、さらに好ましくは0.1〜0.8重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%である。この範囲であると、アルカリ電解液の離漿を防止できるため、長期に亘る放電特性がさらに優れる。
架橋重合体(A)において、構成単量体中のアルカリ性で加水分解しない非加水分解性架橋剤(c)の含有量は、架橋剤(c)の種類にもよるが、架橋重合体(A)の重量に対して0.05〜1重量%、さらに好ましくは0.05〜0.5重量%、特に好ましくは0.1〜0.3重量%である。この範囲であると、アルカリ電池の放電特性がさらに優れる。
架橋重合体(A)において、構成単量体中の架橋剤(b)と架橋剤(c)との重量比[(b)/(c)]は、好ましくは1.0〜5.0、さらに好ましくは1.2〜4.5、特に好ましくは1.3〜4.0である。この範囲であると、負極材の離漿が少なくなる。
架橋剤(b)及び架橋剤(c)の合計含有量は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、好ましくは0.10〜2重量%、さらに好ましくは0.15〜1.3重量%、特に好ましくは0.17〜0.8重量%である。この範囲であると、ゲル化剤の安定性が向上し、負極材の離漿がさらに少なくなる。
[アルカリ電池用ゲル化剤(E)]
本発明のアルカリ電池用ゲル化剤(E)は、前記架橋重合体(A)と界面活性剤(D)とを含有してなる。
本発明おける界面活性剤(D)は、経日安定性の観点から、HLBが1〜12であり、25℃、103hPaで固体であるものが好ましい。
ここで「HLB」とは、親水性と親油性のバランスを示す指標であって、例えば「界面活性剤入門」〔2007年三洋化成工業株式会社発行、藤本武彦著〕212頁に記載されている小田法によって、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
HLB=10×無機性/有機性
HLBを導き出すための有機性の値及び無機性の値については前記「界面活性剤入門」213頁に記載の表の値を用いて算出できる。
界面活性剤(D)としては、イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤が含まれる。
イオン界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤が含まれ、具体的には、国際公開第99/03577号パンフレット、国際公開第2002/005949号パンフレット及びUSP4331447号明細書に記載されているもの等が挙げられる。
界面活性剤(D)としては、ゲルの粘度、負極材の高速注入性の観点から、非イオン界面活性剤が好ましい。
非イオン界面活性剤は、水に溶けてもイオン性を示さないが、界面活性を呈するものである。本発明において、非イオン界面活性剤としては、特に限定ないが、ゲルの粘度、負極材の高速注入性の観点から、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖に炭素数8〜22の脂肪酸がエステル結合したものが含まれ、具体的には、ショ糖ステアリン酸エステル[例えば、第一工業製薬社製のもの{DKエステルF−50(HLB=6)、F−70(HLB=8)及びF−110(HLB=11)等}、三菱化学フーズ(株)製のもの{リョートーシュガーエステルS−370(HLB=約3)、S−770(HLB=約7)、S−970(HLB=約9)、S−1170(HLB=約11)及びS−1170F(HLB=約11)等}等]等が挙げられる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンに炭素数8〜22の脂肪酸がエステル結合したものが含まれ、具体的には、ソルビタンパルミテート[花王(株)製のもの{レオドールSP−P10(HLB=6.7)等}及び理研ビタミン社製のもの{リケマールP−300(HLB=5.6)等}等]等が挙げられる。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリン及び/又はグリセリンの重合物(重合度2〜20)に炭素数8〜22の脂肪酸がエステル結合したものが含まれる。
具体的には、ジグリセリンモノラウレート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムDL−100(HLB=9.4)等}等]、ジグリセリンモノミリステート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムDM−100(HLB=8.7)等}等]、ジグリセリンモノステアレート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムDS−100A(HLB=7.7)等}等]、ジグリセリンモノオレート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムDO−100V(HLB=7.3)、リケマールDO−100(HLB=7.4)等}等]、デカグリセリンステアレート[理研ビタミン(株)製のもの{ポエムJ−0081HV(HLB=12)、ポエムJ−0381V(HLB=12)等}等]等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、炭素数8〜22の脂肪酸とエタノールアミンがアミド結合したものが含まれる。具体的には、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド[三洋化成工業(株)製のもの{プロファンAB−20(HLB=11)等}等]、ステアリン酸モノエタノールアミド[三洋化成工業(株)製のもの{プロファンSME(HLB=10)等}等]等が挙げられる。
界面活性剤(D)のHLBは、負極材の高速注入性、負極材の離漿の観点から、1〜12が好ましく、さらに好ましくは3〜11、特に好ましくは5〜9である。
また、界面活性剤(D)としては、負極材の高速注入性、負極材の離漿の観点から、非イオン界面活性剤が好ましく、さらに好ましくはショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本発明のゲル化剤において、界面活性剤(D)の含有量は、架橋重合体(A)の重量を基準として、負極材の高速注入性、負極材の離漿の観点から、0.001〜2.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.005〜1.0重量%であり、特に好ましくは0.01〜0.8重量%であり、最も好ましくは0.01〜0.5重量%である。
界面活性剤(D)の形状が粉末状である場合、界面活性剤の粒径は特に限定されないが、体積平均粒子径は、架橋重合体(A)へのドライブレンド性の観点から、好ましくは0.1〜2000μm、さらに好ましくは0.5〜1500μm、特に好ましくは1〜1000μmである。
次に、本発明のアルカリ電池用ゲル化剤(E)の製造方法について説明する。
架橋重合体(A)を得るための重合方法としては公知の重合方法が適用でき、たとえば、水溶液重合、懸濁重合、塊状重合、逆相懸濁重合又は乳化重合のいずれでもよい。
これらの重合方法のうち、好ましいのは水溶液重合、懸濁重合、逆相懸濁重合及び乳化重合、さらに好ましくは水溶液重合、逆相懸濁重合及び乳化重合、特に好ましくは水溶液重合及び逆相懸濁重合、最も好ましいのは水溶液重合である。これらの重合には、公知の重合開始剤、連鎖移動剤及び/又は溶媒等が使用できる。
最も好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)を主体とするモノマー水溶液に架橋剤(b)及び架橋剤(c)を添加溶解し重合する水溶液重合法、及び分散剤の存在下、疎水性有機溶媒(例えばヘキサン、トルエン、キシレン等)中に同様なモノマー水溶液を分散・懸濁して重合するいわゆる逆相懸濁重合法である。これらの重合方法であると、放電特性及び耐衝撃性に優れたゲル化剤を得ることができる。
(メタ)アクリル酸(塩)を水溶液重合法又は逆相懸濁重合法で重合する方法は、公知の方法で良く、例えばラジカル重合開始剤を用いて重合する方法、放射線、紫外線、電子線等を照射する方法があげられる。
ラジカル重合開始剤を用いる場合、この開始剤としては、アゾ化合物[アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過 酸化物[過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等]、有機過酸化物[ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等]、レドックス開始剤[アルカリ金属塩の亜硫酸塩もしくは重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム、L−アスコルビン酸等の還元剤と、アルカリ金属塩の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の過酸化物の組み合わせ]等が挙げられる。これらは2種類以上を併用してもよい。
重合温度は使用する開始剤の種類等によっても異なるが、ポリマーの重合度をアップする観点から、好ましくは−10℃〜100℃、より好ましくは−10℃〜80℃である。
開始剤の量に関しても、特に限定はないが、ビニルモノマー(a1)及び(a2)の合計重量に対して、ポリマーの重合度をアップする観点から、0.000001〜3.0重量%が好ましく、更に好ましくは0.000001〜0.5重量%である。
水溶液重合の場合、単量体の重合濃度(重量%)は、他の重合条件によっても種々異なるが、(メタ)アクリル酸(塩)は、重合濃度を高くすると重合反応と並行してモノマー自体の疑似架橋(自己架橋)が起こり易く、吸収量の低下やポリマーの平均重合度の低下を招くこと、また重合時の温度コントロールも行いづらくポリマーの平均重合度の低下やオリゴマー成分の増加を招きやすいので、重合濃度は、10〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。また、重合温度に関しては−10〜100℃が好ましく、より好ましくは−10〜80℃である。重合時の溶存酸素量に関しては、ラジカル開始剤の添加量等にもよるが、0〜2ppm(2×10-4重量%以下)が好ましく、より好ましくは0〜0.5ppm(0.5×10-4重量%以下)である。これらの範囲であると、高重合度の架橋重合体(A)を製造することができる。
重合時の(メタ)アクリル酸の中和度は、所定量の加水分解性架橋剤(b)及び非加水分解性架橋剤(c)がモノマー水溶液に完全に溶解できるのであれば特に限定はないが、(b)に比べて、(c)は水溶性が乏しく、また特に(メタ)アクリル酸(塩)水溶 液に対する溶解度は極めて低く所定量の(c)を添加しても(c)がモノマー水溶液から分離し所定の架橋が行えない場合があるので、重合時の(メタ)アクリル酸の中和度は、0〜30モル%で重合を行ない必要により重合後に更に中和するのが好ましく、未中和の状態で重合した後必要により重合後に中和するのがより好ましい。
また、(メタ)アクリル酸は、同一条件で重合を行った場合、中和度が低い方が重合度が上がりやすいため、ポリマーの重合度を大きくするためにも、中和度が低い状態で重合を行った方が好ましい。
逆相懸濁重合法に関しては、ヘキサン、トルエン、キシレン等に代表される疎水性有機溶媒中で(メタ)アクリル酸(塩)の水溶液を、分散剤の存在下、懸濁・分散して重合する重合法であるが、この重合法においても、上記同様モノマー水溶液中のモノマー濃度は10〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜30重量%である。この範囲であると、高重合度の架橋重合体(A)を製造することができる。
尚、この逆相懸濁重合法に関しては、重合時に分散剤を使用してもよい。分散剤としては、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が3〜8のソルビタンモノステアリン酸エステル等のソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリンモノステアリン酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステル類及びショ糖ジステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル類等の界面活性剤;エチレン/アクリル酸共重合体のマレイン化物、エチレン/酢酸ビニル共重合体のマレイン化物、スチレンスルホン酸(塩)/スチレン共重合体等の分子内に親水性基を有しかつ、モノマー水溶液を分散させる溶媒に可溶な高分子分散剤(親水性基;0.1〜20重量%、重量平均分子量;1,000〜1,000,000)等を例示できるが、分散剤としては高分子分散剤を使用した方が、溶媒中でのモノマー水溶液の懸濁粒子の大きさを調整しやすく、必要とする粒子径の架橋重合体(A)の含水ゲルを作成できるので好ましい。
分散剤の添加量は、アルカリ電池の放電特性の観点から、疎水性有機溶媒の重量に対して、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%である。
逆相懸濁重合におけるモノマー水溶液と疎水性有機溶媒との重量比(W/O比)は、0.1〜2.0が好ましく、0.3〜1.0がより好ましい。これらの範囲であると、架橋重合体(A)の粒子径がさらに調整しやすい。
架橋重合体(A)の製造において、架橋剤を使用しない以外は全く同じ条件で重合体を製造した場合のポリマーの平均重合度が、好ましくは5,000〜1,000,000であり、より好ましくは10,000〜1,000,000となる条件で重合するとさらに好ましい。
平均重合度が、5,000以上となる条件で重合を行うと、適量の架橋剤を使用することによりゲル化剤を添加した高濃度アルカリ水溶液の粘度低下及び/又は曳糸性の増大を防止することが出来る。上記平均重合度の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)にて行った。
本発明において、水溶液重合又は逆相懸濁重合等により得た架橋重合体(A)は、水を含むゲル(含水ゲル)として得られる。含水ゲルは、乾燥した後にゲル化剤として使用する。
含水ゲルの乾燥方法に関しては、水溶液重合の場合、含水ゲルをミートチョッパーやカッター式の粗砕機でゲルをある程度細分化(細分化のレベルは0.5〜20mm角程度)あるいはヌードル化し、必要により水酸化アルカリ金属等を添加して含水ゲルの中和を行った後、透気乾燥(パンチングメタルやスクリーン上に含水ゲルを積層し、強制的に50〜150℃の熱風を通気させて乾燥する等)や通気乾燥(含水ゲルを容器中に入れ、熱風を通気・循環させ乾燥、ロータリーキルンの様な機械で更にゲルを細分化しながら乾燥する)等の方法を例示できる。これらの中で、透気乾燥が短時間で効率的な乾燥が行えるため好ましい。
一方、逆相懸濁重合の場合の含水ゲルの乾燥方法は、重合した含水ゲルと有機溶媒をデカンテーション等の方法で固液分離した後、減圧乾燥(減圧度;100〜50,000Pa程度)又は通気乾燥を行うのが一般的である。
水溶液重合における含水ゲルの他の乾燥方法としては、例えば、ドラムドライヤー上に含水ゲルを圧縮延伸して乾燥する接触乾燥法等があるが、含水ゲルは熱伝導が悪いため、乾燥を行うためにドラム上等に含水ゲルの薄膜を作成する必要がある。しかし、市販のドラムドライヤーの材質は、鉄、クロム、ニッケル等の亜鉛よりイオン化傾向の低い金属で形成されているのが一般的であるため、含水ゲルあたりのドラム金属面と接触する頻度が極めて高くなり、また含水ゲルはポリ(メタ)アクリル酸(塩)の含水ゲルであるため、ゲル中に溶出する亜鉛よりイオン化傾向の低い金属元素の含有量が多くなる。さらに、該含水ゲルとドラムとの接触頻度が極めて高く、該含水ゲルは粘着性が高いため、ナイフの様なものをドラムドライヤーに接触させて乾燥物をドラムドライヤーから剥離させる必要があり、ドラムとナイフの機械的摩耗のためドラムあるいはナイフの金属面が摩耗し、金属が乾燥物中に混入する。以上の様に、ドラムドライヤー等の接触乾燥法を利用すると、ゲル化剤中に金属イオンや金属粉末が混入しやすく、これら亜鉛よりイオン化傾向の低い金属(標準電極電位が亜鉛よりも低い金属のことで、Cr、Fe、Ni、Sn、Pb、Cu、Hg、Ag等の原子記号で表せる金属)イオンや金属粉末をかなり多量に含有することになる。これらのゲル化剤をアルカリ電池用のゲル化剤として使用すると、電池中の亜鉛粉末が亜鉛よりイオン化傾向の低い金属イオン又は金属粉末との間で電池を形成するため、電気分解により水素ガスが発生し、それにより電池内部の圧力が上昇し、さらにはアルカリ電解液の流出やひどい場合は電池の破損を引き起こす場合がある。更に、含水ゲルをドラムドライヤー上等で圧縮延伸して乾燥した薄膜フィルム状乾燥物は、その後粉砕を行い乾燥物の粒径を所望の粒径に調整しても粒子が鱗片状となっているため、透気乾燥法や通気乾燥法でブロック状の乾燥物の粉砕物と比較すると遙かに強度が弱く、高濃度のアルカリ水溶液中で膨潤させ亜鉛粉末と機械的に攪拌混合すると、膨潤したゲルが破壊されてしまいゲルが小さくなる。従って、ドラムドライヤー等の接触乾燥法を利用しないのが好ましい。
本発明において、含水ゲル乾燥時の乾燥温度は、使用する乾燥機や乾燥時間等により種々異なるが、好ましくは、50〜150℃、より好ましくは80〜130℃である。乾燥温度が、150℃以下であると乾燥時の熱によりポリマーが架橋しにくく、熱架橋により架橋度が上がりすぎることがなく、吸収量が低下しないし、アルカリ電解液中での粘度が低下しない。50℃以上であると乾燥に長時間を要さず効率的である。乾燥時間に関しても、使用する乾燥機の機種及び乾燥温度等により異なるが、好ましくは5〜300分、より好ましくは、5〜120分である。
このようにして得られた架橋重合体(A)の乾燥物は、必要により粉砕して粉末化する。粉砕方法は、公知の方法でよく、例えば衝撃粉砕機(ピンミル、カッターミル、スキレルミル、ACMパルペライザー等)や空気粉砕機(ジェット粉砕機等)で行うことができる。
粉末化した架橋重合体(A)は、必要により所望のスクリーンを備えたフルイ機(振動フルイ機、遠心フルイ機等)を用いて、所望の粒子径の乾燥粉末を採取することができる。(A)の体積平均粒子径(μm)は、負極剤の高速注入性の観点から、好ましくは1〜1000、さらに好ましくは5〜850、特に好ましくは10〜500である。
架橋重合体(A)は、必要により表面架橋剤を反応させて、表面を架橋処理してもよい。
表面架橋剤としては、公知の表面架橋剤、例えば、特開2003−225565号公報に記載の表面架橋剤が使用できる。
これらの表面架橋剤のうち、アルカリ電池の放電特性の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位の水溶性置換基{カルボキシ基、水酸基等}及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の加水分解によって生成する水溶性置換基{カルボキシ基、水酸基等}と反応し得る官能基を少なくとも2個以上有する架橋剤が好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル、特に好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテル及びグリセリンジグリシジルエーテル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
表面架橋剤の含有量(モル%)は、アルカリ電池の放電特性の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位のモル数に基づいて、0.001〜0.30が好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.25、特に好ましくは0.010〜0.20である。
表面架橋反応の方法は、公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003−165883号公報、特開2005−75982号公報、特開2005−95759号公報}の方法が適用できる。
本発明のゲル化剤(E)は、架橋重合体(A)と界面活性剤(D)とを含有するゲル化剤(E)であり、負極材の高速注入の観点から、架橋重合体(A)の表面近傍に界面活性剤(D)を有していることが好ましい。
架橋重合体(A)の表面近傍に界面活性剤(D)を有するものとしては、下記方法により得たものが挙げられる。
(1)固体である界面活性剤(D)をそのまま架橋重合体(A)に例えばドライブレンド法のように直接混合させる方法;
(2)水や親水性有機溶媒中に、界面活性剤(D)をスラリー状に分散させて架橋重合体(A)に混合する方法;
(3)疎水性の有機溶媒中に、界面活性剤(D)を溶解させて、架橋重合体(A)を含浸させ、乾燥する方法。
これらの混合方法のうち、乾燥のしやすさ及び残留溶剤が少ない観点から、(1)が好ましい。
本発明のゲル化剤(E)には、必要により任意の段階{架橋重合体(A)製造工程のうち、重合工程、細断工程、乾燥工程、粉砕工程、表面架橋工程及び/又はこれらの工程の前後、並びに(A)と(D)とを混合する工程後等}において、添加物を添加することができる。
尚、本発明において、乾燥後の任意の段階で、磁気を利用した除鉄機を用いて混入した鉄等の金属粉末を除去するのが好ましい。しかし、除鉄機を用いてかなり精密に除鉄を行っても、除鉄機では磁性のない金属を除去するのは困難であり、また磁性のある金属に関しても、乾燥したポリマー粒子内部に含まれているものや乾燥粒子に付着しているものは除去できないので、初めからこれら金属が混入しないように、生産設備に関しても、十分に配慮することが望ましい。
本発明のゲル化剤(E)の体積平均粒子径の調整方法は、例えば、(A)を水溶液重合で得た場合には、粉砕方法において粉砕条件を調整することで、容易に調整できる。該体積平均粒子径は、好ましくは1〜500μm、さらに好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜200μm、最も好ましくは15〜150μmである。
なお、上記の体積平均粒子径は以下の方法で測定する。
<ゲル化剤(E)の体積平均粒子径>
本発明のゲル化剤(E)をメタノールに分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置[マイクロトラック(日機装株式会社製)]により測定する。
なお、後述の実施例におけるゲル化剤(E)の体積平均粒子径は、上記方法に従った。
本発明のゲル化剤(E)のヌレ時間(I)は、好ましくは10〜90秒、さらに好ましくは15〜80秒、特に好ましくは20〜70秒である。この範囲であれば、負極材の高速注入性、負極材の離漿性に優れる。
ヌレ時間(I)は、25℃の0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50gを入れた有効容積100ml(内径50mm)のビーカーに、ゲル化剤(E)1.00gを一括で投入してからゲル化剤(E)が湿潤するまでの時間のことである。
ヌレ時間(I)は、具体的には、下記測定方法によって測定する。
25℃の0.90質量%塩化ナトリウム水溶液50gを入れた、軸方向を鉛直として置かれた有効容量100mlのビーカー(内径50mm、高さ70mm)の上部に、JIS−K3362記載の見かけ密度測定用ロートを、その下部口の液面からの高さが50mmになるように設置する。該ロートの下部口を開けた状態で、該ロート内に静かにゲル化剤1.00gを投入し、ゲル化剤を投入してからゲル化剤が湿潤するまでの時間を測定する。ゲル化剤の外観が透明になった時点を湿潤した時点として判断する
なお、後述の実施例におけるゲル化剤(E)のヌレ時間(I)は、上記方法に従った。
ヌレ時間(I)を好ましい範囲に調整する方法としては、架橋重合体(A)の重量を基準として、0.001〜2.0重量%の範囲を満たすとよい。もし、ヌレ時間が早かった場合は、この範囲内で(D)の量を増やし、ヌレ時間が遅かった場合は、上記範囲内で(D)の量を減らすことで満たすことができる。
ゲル化剤(E)のゲル(GA)の粘度(25℃)は、好ましくは5〜100Pa・s、さらに好ましくは7〜80Pa・s、特に好ましくは10〜70Pa・sである。この範囲であると長期に渡る放電特性がさらに優れる。
本発明におけるゲル(GA)は、40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及びゲル化剤(E)2重量部を均一になるまで撹拌混合して調製し、25℃で24時間放置した後のゲルである。
このゲル(GA)の粘度は以下の方法で測定する。
<ゲル(GA)の粘度の測定方法>
デジタルB型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて、測定温度25℃でのゲル(GA)の粘度を、JIS7117−1:1999に準拠して測定し、ゲル(GA)の粘度とする。なお、ローターNo.4を使用し、回転数3rpmで測定する。
なお、後述の実施例におけるゲル(GA)の粘度は、上記方法に従った。
ゲル(GA)の粘度を好ましい範囲に調整する方法としては、(b)及び(c)のそれぞれの量が(a1)及び(a2)の合計重量に対する量を前記好ましい範囲にするとよく、架橋重合体(A)に含有される(b)と(c)との重量比[(b)/(c)]を前記好ましい範囲にするとよい。もし、粘度が高かった場合は、この範囲内で(c)の量を増やし、粘度が低かった場合は、この範囲内で(c)の量を減らすことで満たすことができる。
40重量%水酸化カリウム水溶液を吸収して膨潤した本発明のゲル化剤(E)[ゲル(GA)]の体積平均粒子径(GS1)[ゲル(GA)の体積平均粒子径(GS1)]は、40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及びゲル化剤2重量部を撹拌混合し、25℃で24時間放置した後、下記の方法によって求められる。
なお、上記40重量%水酸化カリウム水溶液を吸収して膨潤したゲル化剤(E)[ゲル(GA)]の体積平均粒子径(GS1)は以下の方法で測定する。
40重量%水酸化カリウム水溶液を吸収して膨潤した本発明のゲル化剤(E)を40重量%水酸化カリウム水溶液に分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置[マイクロトラック(日機装株式会社製)]により測定する。
なお、後述の実施例におけるゲル(GA)の体積平均粒子径は、上記方法に従った。
ゲル(GA)の体積平均粒子径(GS1)の調整方法は、架橋剤(b)及び(c)の量を調整すること又は下記粉砕方法においてゲル化剤(E)の粉砕条件を調整することで、容易に調整でき、生産安定性の観点から、3〜1500μmであることが好ましく、さらに好ましくは15〜900μm、特に好ましくは30〜600μm、最も好ましくは45〜450μmである。
[アルカリ電池用負極材]
本発明のアルカリ電池用負極材は、前記アルカリ電池用ゲル化剤(E)、亜鉛粉末および水酸化カリウム水溶液を含有してなる。すなわち、前記ゲル(GA)と亜鉛粉末とを混合したものが好ましい。なお、本発明において水酸化カリウム水溶液は、アルカリ電解液ともいう。
本発明における亜鉛粉末の体積平均粒子径(S2)は以下の方法で測定する。
<亜鉛粉末の体積平均粒子径>
亜鉛粉末をイオン交換水に分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置[マイクロトラック(日機装株式会社製)]により測定する。
なお、後述の実施例における亜鉛粉末の体積平均粒子径は、上記方法に従った。
亜鉛粉末の体積平均粒子径(S2)の調整方法は、下記ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801−1:2000)を用いてふるいわけることで、容易に調整できる。該体積平均粒子径は、電池の持続時間の観点から、好ましくは30〜600μm、さらに好ましくは45〜450μmである。
本発明のゲル化剤(E)の体積平均粒子径(S1)と亜鉛粉末の体積平均粒子径(S2)との比[(S2)/(S1)]は、好ましくは1〜10、さらに好ましくは2〜8、特に好ましくは2〜7、最も好ましくは3〜5である。この範囲であると長期に渡る放電特性がさらに優れる。
40重量%水酸化カリウム水溶液を吸収して膨潤した前記ゲル(GA)の体積平均粒子径(GS1)と亜鉛粉末の体積平均粒子径(S2)との比[(S2)/(GS1)]は、好ましくは0.2〜4、さらに好ましくは0.3〜3、特に好ましくは0.5〜2、最も好ましくは0.8〜1.8である。この範囲であると長期に渡る放電特性がさらに優れる。
本発明アルカリ電池用負極材の離漿率は、好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは00.2〜1.8重量%、特に好ましくは0.4〜1.6重量%、最も好ましくは0.6〜1.6重量%である。この範囲であると長期に渡る放電特性がさらに優れる。
なお、上記の離漿率は以下の方法で測定する。
<離漿率の測定方法>
前記ゲル(GA)100重量部及び亜鉛粉末200重量部を均一になるまで撹拌混合してアルカリ電池用負極材を調製する。25℃で72時間放置した後のアルカリ電池用負極材を、JIS K7223−1996に準拠して作製した、目開きが57μm(400メッシュ)のナイロンスクリーンからなるティーバッグの底部に75.0g入れ、このティーバッグをクリップでつり下げ静置して30分間水切りを行った後、ティーバッグの水切り後の重量(W1)(g)を測定する。また、ゲル(GA)を入れずにティーバッグのみで同様の操作を行い、水切り後のティーバッグの重量(W2)(g)を測定する。下式により離漿率を算出する。
なお、後述の実施例におけるアルカリ電池用負極材、その離漿率(重量%)は該方法に従った。
離漿率(重量%)=[{75.0}−{W1}+{W2}]/{75.0}
[アルカリ電池]
本発明のアルカリ電池は、前記アルカリ電池用負極材を用いてなる。すなわち、前記ゲル(GA)と、亜鉛粉末とを含有してなるアルカリ電池用負極材をアルカリ電池へ充填する方法が好ましい。
本発明のゲル化剤をアルカリ電解液のゲル化剤として適用できるアルカリ電池としては特に限定されず、のアルカリ電池、例えばLR−20(単1型アルカリ電池)、LR−6型(単3型アルカリ電池)はもとより、その他各種のアルカリ電池に適用できる。アルカリ電池は、外装缶の中に正極剤、集電棒及びゲル負極が封入された構造を有し、正極剤とゲル負極とはセパレーター等により分離されている。
本発明のゲル化剤のアルカリ電池への充填方法は、
(1)本発明のゲル化剤、アルカリ電解液(例えば高濃度の水酸化カリウム水溶液、必要により酸化亜鉛などを含有する)、亜鉛粉末(及び/又は亜鉛合金粉末)及び必要により他の添加剤を事前混合し負極物質の混合物(負極材)を作成し、電池の負極容器内にこれを充填してゲル状負極とする方法、
(2)本発明のゲル化剤及び亜鉛粉末(及び/又は亜鉛合金粉末)及び必要により他の添加剤を電池の負極容器内に充填した後、アルカリ電解液を充填し容器内でゲル状負極を生成する方法等を例示できる。
上記のうち、亜鉛粉末が電池の負極容器内に均一に分散できるため、上記(1)の方法が好ましい。
ゲル化剤の添加量は、負極容器の構造、亜鉛粉末の粒径、及びアルカリ電解液の濃度によっても種々異なるが、アルカリ電解液に対して、0.5〜10重量%が好ましく、1.0〜5.0重量%がより好ましい。添加量が、上記範囲であると、アルカリ電解液の粘度が適度となり、亜鉛粉末の沈降を防止でき取り扱い性も容易である。
本発明のゲル化剤は架橋重合体(A)以外に負極物質の混合物の充填時の流動性の改善等を目的として、作業性や電池特性に問題が起こらない範囲で、必要により他の添加剤を含んでも良い。
他の添加剤としては、増粘剤、耐振動衝撃性向上剤及び放電特性向上剤等が挙げられる。
他の増粘剤としては、例えば、CMC(カルボキシメチルセルロース)、天然ガム(グァーガム等)、架橋されていないポリ(メタ)アクリル酸(塩)及びポリビニルアルコール等の水溶性樹脂等を例示することができる。
これら必要により添加する増粘剤の粒子径は、特に限定されないが、乾燥物の重量平均粒子径で0.1〜100μmが好ましく、更に好ましくは0.1〜50μmである。この範囲であると他の添加剤の添加により負極物質混合物の若干曳糸性が増大しても、アルカリ下で膨潤した粒子が小さく、かつ負極物質混合物の電池あたりの充填量にはさほど影響を与えないので好ましい。
耐振動衝撃性向上剤としては、チタン、インジウム、スズ及びビスマスからなる群から選ばれる金属元素の酸化物、水酸化物及び硫化物等が使用できる。
放電特性向上剤としては、二酸化珪素、珪酸カリウムなどの公知の化合物が挙げられる。
放電特性向上剤を含有する場合の含有量は、生産安定性の観点から、アルカリ電解液に対して、0〜5.0重量%が好ましく、0〜3.0重量%が更に好ましい。
他の添加剤を含有する場合の含有量は、アルカリ電解液に対して、生産安定性の観点から、0〜5.0重量%が好ましく、0〜3.0重量%が更に好ましい。
増粘剤の添加方法は、本発明のゲル化剤と増粘剤とを予めドライブレンドした後亜鉛粉末及びアルカリ電解液等の他の負極物質とブレンドする方法、負極物質の混合物作成時に本発明のゲル化剤とは別に添加し混合する方法、アルカリ電解液と本発明のゲル化剤とを混合した後、増粘剤及び亜鉛粉末とを混合する方法等;を例示することができるが、必要により所定量の他の増粘剤を添加できる方法であればいずれでも良い。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、超純水は電気伝導率0.06μS/cm以下の水、イオン交換水は電気伝導率1.0μS/cm以下の水を示す。
<実施例1>
2リットルのビーカーに、アクリル酸190g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.34g(対アクリル酸0.18%)、トリメチロールプロパントリアクリレート0.66g(対アクリル酸0.35%)及びイオン交換水800gを入れて撹拌混合してアクリル酸水溶液を調整し、3℃に冷却した。
アクリル酸水溶液を1.5リットルの断熱重合槽に入れ、水溶液に窒素を通じてアクリル酸水溶液中の溶存酸素量を0.1ppm以下とした。この断熱重合層に、1.0%過酸化水素水0.57g、1.0%L−アスコルビン酸水溶液0.57g及び10%2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−50)水溶液5.7gを添加し、重合が開始するまで水溶液中への窒素通気を継続した。重合が開始し、アクリル酸水溶液の粘度が上昇し始めたのを確認後、窒素通気を停止して6時間重合した。打点温度計でアクリル酸水溶液の温度を測定したところ、最高到達温度は、61℃であった。
ブロック状の架橋された含水ゲルを断熱重合槽から取り出し、小型ミートチョッパー(ローヤル社製)を用いてゲルを3〜10mmの太さのヌードル状になるように細分化した後、40%水酸化ナトリウム(試薬特級)水溶液132g(アクリル酸の中和度50モル%相当)を加え含水ゲルを中和し、次に界面活性剤[リョートーシュガーエステルS−770、HLB値7、三菱化学フーズ社製]0.19gを加え、前記小型ミートチョッパーで含水ゲルに均一混練した。
均一混錬した含水ゲルを、目開き850μmのSUS製のスクリ−ンの上に、厚さ5cmで積層し、小型透気乾燥機(井上金属株式会社製)を用いて120℃の熱風を1時間含水ゲルに透気させて、含水ゲルを乾燥した。
乾燥物をクッキングミキサーを用いて粉砕し、フルイを用いて75μm(200メッシュ)以下の粒径のものを採取し、本発明のゲル化剤(E−1)を得た。
尚、(E−1)の体積平均粒子径は50μmであった。
<実施例2>
実施例1において、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルの添加量を0.19g(対アクリル酸0.1%)、トリメチロールプロパントリアクリレートの添加量を0.19g(対アクリル酸0.1%)とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−2)を得た。
<実施例3>
実施例1において、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルの添加量を0.50g(対アクリル酸0.26%)、トリメチロールプロパントリアクリレートの添加量を0.50g(対アクリル酸0.26%)とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−3)を得た。
<実施例4>
実施例1において、リョートーシュガーエステルS−770の添加量を0.02gとした以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−4)を得た。
<実施例5>
実施例1において、リョートーシュガーエステルS−770に代えてリョートーシュガーエステルS−370[HLB値3、三菱化学フーズ社製]とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−5)を得た。
<実施例6>
実施例1において、40%水酸化ナトリウム(試薬特級)水溶液の添加量を211g(アクリル酸の中和度80モル%相当)とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−6)を得た。
<実施例7>
実施例1において、フルイを用いて20μm(635メッシュ)以下の粒径のものを採取した以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−7)を得た。
<実施例8>
実施例1において、リョートーシュガーエステルS−770に代えてリョートーシュガーエステルS−1170[HLB値11、三菱化学フーズ社製]とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−8)を得た。
<実施例9>
実施例1において、リョートーシュガーエステルS−770に代えてレオドールSP−P10[HLB値6.7、花王社製]とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−9)を得た。
<実施例10>
実施例1において、リョートーシュガーエステルS−770に代えてポエムDS−100A[HLB値7.7、理研ビタミン社製]とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−10)を得た。
<実施例11>
実施例1において、リョートーシュガーエステルS−770に代えてプロファンSME[HLB値10、三洋化成工業社製]とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のゲル化剤(E−11)を得た。
<比較例1>
実施例3において、リョートーシュガーエステルS−770を添加しない以外は、実施例3と同様して、比較用のゲル化剤(HE−1)を得た。
実施例1〜11、比較例1の結果を表1に示す。
<実施例12〜33、比較例2〜3>
上記で得られた各アルカリ電池用ゲル化剤(E)2重量部及び40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部を均一になるまで撹拌混合して調製し、25℃で24時間放置し、各アルカリ電池用ゲル化剤(E)を用いたゲル(GA)を作成した。
各アルカリ電池用ゲル化剤(E)を用いたゲル(GA)100部と亜鉛粉末200部とを表2に従って撹拌混合し、本発明のアルカリ電池用負極材を得た。
得られたアルカリ電池用負極材について以下の(1)の手順に従って、評価した。結果を表2に示す。
また、得られたアルカリ電池用負極材を以下の(2)、(3)の手順に従って、アルカリ電池を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
(1)注入時間と注入量のバラツキ
作成した負極材をビーカーに移し、混合時に入った気泡を減圧下で脱泡した。
脱泡した負極材を、注入口が2mmの内径を有し、かつ0.1ml単位の目盛りを有する10mlの注射器内部に吸引した。
5mlのサンプル瓶(内径18mm、高さ40mm)の口の高さから、注射器を5.0ml分圧縮して負極材をサンプル瓶に注入し、注射器の圧縮を終了した時点から、注射器注入口から負極材が完全に分離した時点までの時間(秒)をストップウオッチで測定した。同様な操作を計20回繰り返してその平均値を注入時間(秒)とした。
サンプル瓶に注入された負極材の重量(20回それぞれ)を測定し、注入量の標準偏差(σ)を算出して、注入量のバラツキとした。
(2)電池の持続時間
アルカリ電池用負極材を減圧下で脱泡を行った後、15gを、LR−6型のモデル電池の負極容器内に注入し、アルカリ電池(モデル電池)を作成した。
なお、ここで、モデル電池の負極材以外の各部位の構成材料としては、収縮チューブの材質としてはポリエチレン、正極剤の材質としては電解二酸化マンガン10.7g、アセチレンブラック1.1g及び濃度40%水酸化カリウム水溶液0.2gからなる配合物、外装缶の材質としては、ニッケルメッキ鋼板、セパレーターの材質としては、ポリオレフィン、集電棒の材質としては、スズめっきした黄銅製の棒、ガスケットの材質としては、ポリオレフィン系樹脂、負極端子板の材質としては、ニッケルメッキ鋼板を用いた。
作成したモデル電池に、室温(20〜25℃)で2Ωの外部抵抗を接続して、連続放電し、電圧が0.9Vに低下するまでの時間を電池の持続時間(hour)とした。
モデル電池作成後、60℃の恒温槽で60日間放置したモデル電池に関しても同様な操作を行い、電池の持続時間を測定した。
(3)電池の耐衝撃性
上記と同様にして作成したモデル電池に、室温(20〜25℃)で2Ωの外部抵抗を接続して連続放電しながら、モデル電池を1mの高さから木材上に10回連続して落下させ、初回の落下前の電圧と10回目の落下直後の電圧を測定し、下式により耐衝撃性(%)を算出した。
耐衝撃性(%)=[10回目の落下直後の電圧(V)]×100/[初回の落下前の電圧(V)]
モデル電池作成後、80℃の恒温槽で15日間放置したモデル電池に関しても同様な操作を行い、耐衝撃性を求めた。
表1〜2から、本発明のアルカリ電池用ゲル化剤は、比較のものと比べ、負極材の離漿率、負極材の注入時間と注入量のばらつきに優れている。また、該ゲル化剤を使用したアルカリ電池に、優れた持続時間と耐衝撃性を付与できることが分かる。
本発明のアルカリ電池用ゲル化剤は、円筒状のアルカリ電池のみならず、アルカリボタン電池、酸化銀電池、ニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル水素蓄電池等の一次及び二次アルカリ電池用のゲル化剤としても有用である。また、本発明のゲル化剤を用いたアルカリ電池は、耐衝撃性に優れ、放電特性の維持に優れ、粘度安定性に優れるため生産効率が向上したアルカリ電池として有用である。

Claims (15)

  1. 水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により(a1)となるビニルモノマー(a2)、アルカリ性で加水分解する加水分解性架橋剤(b)並びにアルカリ性で加水分解しない非加水分解性架橋剤(c)を必須構成単量体とする架橋重合体(A)と界面活性剤(D)とを含有するアルカリ電池用ゲル化剤(E)。
  2. 下記の配合物のゲル(GA)の粘度(25℃)が5〜100Pa・sである請求項1に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
    ゲル(GA):40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及びゲル化剤(E)2重量部を均一になるまで撹拌混合して調製し、25℃で24時間放置した後のゲル。
  3. 下記に示すヌレ時間(I)が10〜90秒である請求項1又は2に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
    ヌレ時間(I):25℃の0.90重量%塩化ナトリウム水溶液50gを入れた有効容積100ml(内径50mm)のビーカーに、ゲル化剤(E)1.00gを一括で投入してからゲル化剤(E)が湿潤するまでの時間。
  4. 界面活性剤(D)のHLBが1〜12であり、該(D)が25℃、103hPaで固体である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
  5. 界面活性剤(D)が、非イオン界面活性剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
  6. 界面活性剤(D)が、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
  7. 加水分解性架橋剤(b)及び非加水分解性架橋剤(c)のそれぞれの量が水溶性ビニルモノマー(a1)及びビニルモノマー(a2)の合計重量に対して0.05〜1重量%であり、加水分解性架橋剤(b)と非加水分解性架橋剤(c)との重量比[(b)/(c)]が1.0〜5.0である請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
  8. 加水分解性架橋剤(b)が、エステル結合及び/若しくはアミド結合を有する化合物、又はエステル結合及び/若しくはアミド結合を形成し得る化合物である請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
  9. 非加水分解性架橋剤(c)が2〜10個のアリル基及び1〜5個の水酸基を有する化合物である請求項1〜8のいずれか1項に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
  10. 水溶性ビニルモノマー(a1)が炭素数3〜30のビニル基含有カルボン酸(塩)である請求項1〜9のいずれか1項に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
  11. 水溶性ビニルモノマー(a1)がアニオン性ビニルモノマーであり、アニオン性ビニルモノマー中のアニオン基の中和度が0〜80モル%である請求項1〜10のいずれか1項に記載のアルカリ電池用ゲル化剤。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のアルカリ電池用ゲル化剤(E)、亜鉛粉末及び水酸化カリウム水溶液を含有してなるアルカリ電池用負極材。
  13. 亜鉛粉末の体積平均粒子径(S2)と、下記の配合物のゲル(GA)の体積平均粒子径(GS1)との
    比[(S2)/(GS1)]が0.2〜4である請求項12に記載のアルカリ電池用負極材。
    ゲル(GA):40重量%水酸化カリウム水溶液98重量部及びゲル化剤(E)2重量部を均一になるまで撹拌混合して調製し、25℃で24時間放置した後のゲル。
  14. 25℃、72時間後の離漿率が0〜2重量%である請求項12又は13に記載のアルカリ電池用負極材。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項に記載のアルカリ電池用負極材を用いてなるアルカリ電池。

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WO2023074720A1 (ja) * 2021-10-27 2023-05-04 住友精化株式会社 α,β-不飽和カルボン酸化合物の架橋重合体及びその用途

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