JP2014122681A - 風力発電装置の減速機、および風力発電装置の減速機の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化することができる風力発電装置の減速機、および風力発電装置の減速機の製造方法を提供する。
【解決手段】風力発電装置の減速機20は、ブレードの回転軸をヨー方向に旋回させる旋回装置に駆動力を伝達する風力発電装置の減速機20として構成される。減速機20は、入力軸21、内歯部51を有するハウジング50、外歯車60、偏心カム70、総ころ軸受、および出力軸22を備える。総ころ軸受は、複数のころ43を有する。複数のころ43は、偏心カム70と外歯車60の挿入孔60Aとの間に配置される。
【選択図】図2
【解決手段】風力発電装置の減速機20は、ブレードの回転軸をヨー方向に旋回させる旋回装置に駆動力を伝達する風力発電装置の減速機20として構成される。減速機20は、入力軸21、内歯部51を有するハウジング50、外歯車60、偏心カム70、総ころ軸受、および出力軸22を備える。総ころ軸受は、複数のころ43を有する。複数のころ43は、偏心カム70と外歯車60の挿入孔60Aとの間に配置される。
【選択図】図2
Description
本発明は、風力発電装置の減速機、および風力発電装置の減速機の製造方法に関する。
特許文献1は、従来の減速機の一例を開示している。特許文献1の減速機は、内部の偏心体を回転させることにより、偏心体に取り付けられた外歯車が偏心回転する。
軸受の耐荷重の容量は、軸受のころの大きさおよび数によって決定される。減速機において、軸受の耐荷重の容量は、他の部位の耐荷重の容量よりも低いことが多い。このため、減速機の耐荷重の容量を大きくする要望があるとき、耐荷重の容量の大きい軸受が採用される。このため、減速機の耐荷重の容量を大きくする要望があるとき、軸受のサイズが大型化する。このため、減速機のサイズが大型化する。
ここで、風力発電装置は、旋回装置および減速機を有する。旋回装置は、ブレードの回転軸をヨー方向に旋回させる。減速機は、旋回装置に駆動力を減速して伝達する。この減速機は、減速比が大きい。このため、軸受に要求される耐荷重の容量が大きい。このため、耐荷重の容量の大きい軸受が採用される。このため、減速機が大型化する。
本発明は、以上の背景をもとに創作されたものであり、小型化することができる風力発電装置の減速機、および風力発電装置の減速機の製造方法を提供する。
(1)本手段の一形態は、「ブレードの回転軸をヨー方向に旋回させる旋回装置に駆動力を伝達する風力発電装置の減速機であって、駆動源と接続される入力軸と、内周に複数の内歯が形成される内歯車と、前記内歯車の内周側に配置され、外周に前記複数の内歯と噛み合う複数の外歯が形成され、挿入孔を有する外歯車と、前記挿入孔に配置され、前記内歯車の軸心に対して前記外歯車を偏心回転させ、前記入力軸と一体的に回転する偏心カムと、前記偏心カムと前記挿入孔との間に配置される総ころ軸受と、前記外歯車に接続されて前記外歯車とともに回転し、前記外歯車の回転を前記旋回装置に出力する出力軸とを備える風力発電装置の減速機」を含む。
風力発電装置の減速機の偏心カムと挿入孔との間の軸受は、総ころ軸受として構成される。総ころは、保持器を有しない。このため、減速機は、保持器を有していると仮定した場合と比較して、ころの数を多くすることができる。このため、風力発電装置の減速機を小型化することができる。
(2)上記手段の一形態は、「前記ころは、治具が挿入される治具挿入部を有する風力発電装置の減速機」を含む。
ころは、治具挿入部を有する。このため、保持治具に全てのころの治具挿入部を嵌め込むことにより、全てのころを同時に偏心カムと挿入孔との間に挿入することができる。このため、減速機を簡便に組み付けることができる。
ころは、治具挿入部を有する。このため、保持治具に全てのころの治具挿入部を嵌め込むことにより、全てのころを同時に偏心カムと挿入孔との間に挿入することができる。このため、減速機を簡便に組み付けることができる。
(3)上記手段の一形態は、「前記治具挿入部は、前記ころを貫通する風力発電装置の減速機」を含む。
(4)上記手段の一形態は、「前記ころは、クラウニング加工が施される風力発電装置の減速機」を含む。ころは、クラウニング加工が施される。このため、ころを偏心カムと挿入孔との間に挿入するとき、ころを偏心カムと挿入孔との間に挿入しやすい。
(4)上記手段の一形態は、「前記ころは、クラウニング加工が施される風力発電装置の減速機」を含む。ころは、クラウニング加工が施される。このため、ころを偏心カムと挿入孔との間に挿入するとき、ころを偏心カムと挿入孔との間に挿入しやすい。
(5)本手段の一形態は、「ブレードの回転軸をヨー方向に旋回させる旋回装置に駆動力を伝達する風力発電装置の減速機の製造方法であって、前記減速機は、駆動源と接続される入力軸と、内周に複数の内歯が形成される内歯車と、前記内歯車の内周側に配置され、外周に前記複数の内歯と噛み合う複数の外歯が形成され、挿入孔を有する外歯車と、前記挿入孔に配置され、前記内歯車の軸心に対して前記外歯車を偏心回転させ、前記入力軸と一体的に回転する偏心カムと、治具挿入部を有する複数のころを有し、前記偏心カムと前記挿入孔との間に配置される総ころ軸受と、前記外歯車に接続されて前記外歯車とともに回転し、前記外歯車の回転を前記旋回装置に出力する出力軸とを備え、前記風力発電装置の減速機の製造方法は、前記外歯車および前記内歯車を組み付ける本体前組付工程と、前記治具挿入部に保持治具を挿入することにより前記複数のころを互いの位置関係が前記偏心カムと前記挿入孔との間に配置されたときと同一のアセンブリ状態に保持するアセンブリ準備工程と、前記アセンブリ準備工程の後に、前記複数のころを同時に前記偏心カムと前記挿入孔との間に挿入するアセンブリ挿入工程とを備える風力発電装置の減速機の製造方法」を含む。
風力発電装置の減速機の製造方法により製造される減速機の偏心カムと挿入孔との間の軸受は、総ころ軸受として構成される。総ころは、保持器を有しない。このため、減速機は、保持器を有していると仮定した場合と比較して、ころの数を多くすることができる。このため、風力発電装置の減速機を小型化することができる。
本風力発電装置の減速機、および風力発電装置の減速機の製造方法は、小型化することができる。
図1を参照して、風力発電装置1の構成について説明する。
風力発電装置1は、複数のブレード11、回転軸12、ナセル13、発電機14、駆動源15、タワー16、旋回装置17、および減速機20を有する。風力発電装置1は、複数のブレード11の回転を、回転軸12を介して発電機14に伝達する。
風力発電装置1は、複数のブレード11、回転軸12、ナセル13、発電機14、駆動源15、タワー16、旋回装置17、および減速機20を有する。風力発電装置1は、複数のブレード11の回転を、回転軸12を介して発電機14に伝達する。
回転軸12は、複数のブレード11と発電機14とを接続する。
ナセル13は、発電機14、駆動源15、および複数の減速機20を収容する。
旋回装置17は、ナセル13とタワー16とを接続する。旋回装置17は、ナセル13を、風向きに応じてヨー方向に旋回させる。すなわち、旋回装置17は、ブレード11および回転軸12をヨー方向に旋回させる。駆動源15は、減速機20に駆動力を伝達する。駆動源15の電力は、発電機14により発電された電力が用いられる。各減速機20は、旋回装置17の内歯車18の内周に配置される。各減速機20の出力歯車22Aは、旋回装置17の内歯車18に噛み合わされる。内歯車18は、ナセル13に固定されている。ナセル13は、内歯車18の回転によりヨー方向に旋回する。
ナセル13は、発電機14、駆動源15、および複数の減速機20を収容する。
旋回装置17は、ナセル13とタワー16とを接続する。旋回装置17は、ナセル13を、風向きに応じてヨー方向に旋回させる。すなわち、旋回装置17は、ブレード11および回転軸12をヨー方向に旋回させる。駆動源15は、減速機20に駆動力を伝達する。駆動源15の電力は、発電機14により発電された電力が用いられる。各減速機20は、旋回装置17の内歯車18の内周に配置される。各減速機20の出力歯車22Aは、旋回装置17の内歯車18に噛み合わされる。内歯車18は、ナセル13に固定されている。ナセル13は、内歯車18の回転によりヨー方向に旋回する。
図2および図3を参照して、各減速機20の構成について説明する。なお、各減速機20は、同一の構成を有する。このため、1つの減速機20の構成を説明し、他の減速機20の構成を省略する。
図2に示されるように、減速機20は、入力軸21、出力軸22、円錐ころ軸受23、第1減速部30、および第2減速部40を有する。減速機20は、駆動源15から入力された回転を減速して旋回装置17(図1参照)に出力する。減速機20は、駆動源15から入力された回転を、第1減速部30および第2減速部40により2段階で減速して旋回装置17に出力する。減速機20の減速比としては、例えば1600とすることができる。減速機20の減速比としては、1000以上が好ましい。
入力軸21は、駆動源15および第1減速部30の歯車機構33に接続される。入力軸21は、開口部31Aに挿入されている。入力軸21は、駆動源15からの回転を第1減速部30に出力する。
出力軸22は、第2減速部40の第2出力軸42の旋回装置17(図1参照)側の端部として形成されている。出力軸22は、出力歯車22Aを有する。出力歯車22Aは、旋回装置17の内歯車18(図1参照)に噛み合う。出力軸22は、第2減速部40に接続される。出力軸22は、第2減速部40からの回転を旋回装置17に出力する。出力軸22は、入力軸21と同軸的に配置されている。円錐ころ軸受23は、出力軸22を回転可能に支持する。
第1減速部30は、第1ハウジング31、球軸受32、歯車機構33、および第1出力軸34を有する。
第1ハウジング31は、タワー16(図1参照)に固定されている。第1ハウジング31は、駆動源15側の端部に開口部31Aを有する。
第1ハウジング31は、タワー16(図1参照)に固定されている。第1ハウジング31は、駆動源15側の端部に開口部31Aを有する。
球軸受32は、開口部31Aと入力軸21との間に配置される。球軸受32は、入力軸21を回転可能に支持する。
歯車機構33は、入力軸21から入力された回転を減速する。第1出力軸34は、歯車機構33および第2減速部40に接続される。第1出力軸34は、歯車機構33により減速された回転を第2減速部40に出力する。
歯車機構33は、入力軸21から入力された回転を減速する。第1出力軸34は、歯車機構33および第2減速部40に接続される。第1出力軸34は、歯車機構33により減速された回転を第2減速部40に出力する。
第2減速部40は、第2入力軸41、第2出力軸42、複数のころ43、第2ハウジング50、外歯車60、および偏心カム70を有する。なお、第2ハウジング50は、「内歯車」に相当する。
第2ハウジング50は、内歯部51を有する。内歯部51は、内周に複数の内歯52を有する。第2入力軸41は、第1出力軸34の第2減速部40側の部分として構成されている。
外歯車60は、第1外歯部61および第2外歯部65を有する。第1外歯部61および第2外歯部65は、各別に形成されている。第1外歯部61の第1内周面63および第2外歯部65の第2内周面67は、挿入孔60Aを形成している。挿入孔60Aは、内部に偏心カム70が挿入されている。
第1外歯部61は、複数の第1外歯62、第1内周面63、および複数の第1円孔64を有する。第1外歯部61は、第2外歯部65よりも駆動源15側に位置している。複数の第1外歯62は、第1外歯部61の外周面に形成されている。第1外歯62は、内歯52と噛み合う。第1外歯部61の歯数は、内歯部51の歯数よりも少ない。このため、第1外歯部61は、回転にともなって第1外歯62のうちの一部が順に噛み合う。各第1円孔64は、第1外歯部61を軸方向に貫通している。
第2外歯部65は、複数の第2外歯66、第2内周面67、および複数の第2円孔68を有する。複数の第2外歯66は、第2外歯部65の外周面に形成される。第2外歯66は、内歯52と噛み合う。第2外歯部65の歯数は、内歯部51の歯数よりも少ない。このため、第2外歯部65は、回転にともなって第2外歯66のうちの一部が順に噛み合う。各第2円孔68は、第2外歯部65を軸方向に貫通している。第2外歯部65の中心軸は、入力軸21の中心軸を挟んで、第1外歯部61の中心軸と対向している。このため、内歯52と噛み合っている第1外歯62と、内歯52と噛み合っている第2外歯66とは、入力軸21の中心軸を挟んで対向している。
偏心カム70は、第1偏心カム部71および第2偏心カム部72を有する。第1偏心カム部71は、第2偏心カム部72よりも駆動源15側に位置している。第1偏心カム部71は、第1外周面71Aを有する。第2偏心カム部72は、第2外周面72Aを有する。第2偏心カム部72は、第1偏心カム部71を第2入力軸41の中心軸まわりに180度回転させた構造を有する。
第1偏心カム部71の中心軸は、第1外歯部61の中心軸と一致する。第2偏心カム部72の中心軸は、第2外歯部65の中心軸と一致する。このため、第1外歯部61の中心軸は、入力軸21の中心軸を挟んで対向する。
複数のころ43は、第1内周面63と第1外周面71Aとの間、および第2内周面67と第2外周面72Aとの間に配置される。第1内周面63と第1外周面71Aとの間に配置される複数のころ43は、第1ころ列43Aを形成している。第2内周面67と第2外周面72Aとの間に配置される複数のころ43は、第2ころ列43Bを形成している。
図3に示されるように、第1ころ列43Aは、16個のころ43により構成されている。第1ころ列43Aは、総ころ軸受として構成される。第1ころ列43Aを構成する複数のころ43のうち、周方向において隣り合うころ43は、互いに接触している。第1外歯部61は外輪に相当する。第1内周面63は、第1ころ列43Aの外輪軌道面を形成している。第1偏心カム部71は、内輪に相当する。第1外周面71Aは、第1ころ列43Aの内輪軌道面を形成している。
第2ころ列43Bは、16個のころ43により構成されている。第2ころ列43Bは、総ころ軸受として構成される。第2ころ列43Aを構成する複数のころ43のうち、周方向において隣り合うころ43は、互いに接触している。第2外歯部65は外輪に相当する。第2内周面67は、第2ころ列43Bの外輪軌道面を形成している。第2偏心カム部72は、内輪に相当する。第2外周面72Aは、第2ころ列43Bの内輪軌道面を形成している。
図2に示されるように、第2出力軸42は、複数のピン42Aおよびキャリア42Bを有する。
各ピン42Aは、それぞれ第1円孔64および第2円孔68に挿入される。各ピン42Aの外径は、第1円孔64および第2円孔68の内径よりも小さい。このため、各ピン42Aは、第1円孔64および第2円孔68の内部で移動できる。
各ピン42Aは、それぞれ第1円孔64および第2円孔68に挿入される。各ピン42Aの外径は、第1円孔64および第2円孔68の内径よりも小さい。このため、各ピン42Aは、第1円孔64および第2円孔68の内部で移動できる。
キャリア42Bは、複数のピン42Aをピン42Aの軸方向の両端部において接続する。このため、複数のピン42Aおよびキャリア42Bは、一体的に回転する。キャリア42Bの側の旋回装置17側の端部は、出力軸22として構成される。このため、第2出力軸42は、第2減速部40により減速された回転を旋回装置17に出力する。
第2減速部40の動作について説明する。
第1外歯部61および第2外歯部65は、入力軸21の回転により、入力軸21の中心軸に対して偏心して回転する。内歯部51の中心軸は、入力軸21の中心軸に一致している。このため、第1外歯部61および第2外歯部65は、内歯部51の中心軸に対して偏心して回転する。
第1外歯部61および第2外歯部65は、入力軸21の回転により、入力軸21の中心軸に対して偏心して回転する。内歯部51の中心軸は、入力軸21の中心軸に一致している。このため、第1外歯部61および第2外歯部65は、内歯部51の中心軸に対して偏心して回転する。
駆動源15の回転により入力軸21が回転したとき、第1外歯部61は、入力軸21に対して偏心して回転する。内歯部51は、タワー16に固定されているため、回転しない。このため、第1外歯部61は、内歯部51との歯数差に応じて僅かに回転する。このとき、各ピン42Aは、第1円孔64の内周に対する摺接位置が変化する。各ピン42Aは、入力軸21の回転にともなって第1円孔64の内周を周回する態様で揺動する。この揺動成分は、ピン42Aおよび第1円孔64の隙間によって吸収される。このため、ピン42Aは、第1外歯部61とともに入力軸21まわりで自転する。
駆動源15の回転により入力軸21が回転したとき、第2外歯部65は、入力軸21に対して偏心して回転する。内歯部51は、タワー16に固定されているため、回転しない。このため、第2外歯部65は、内歯部51との歯数差に応じて僅かに回転する。このとき、各ピン42Aは、第2円孔68の内周に対する摺接位置が変化する。各ピン42Aは、入力軸21の回転にともなって第2円孔68の内周を周回する態様で揺動する。この揺動成分は、ピン42Aおよび第2円孔68の隙間によって吸収される。このため、ピン42Aは、第2外歯部65とともに入力軸21まわりで回転する。
第2減速部40の減速比は、内歯部51と第1外歯部61との歯数差、および内歯部51と第2外歯部65との歯数差により決定される。各ころ43は、低速で自転する。ころ43は、例えば、毎分約100回転する。
図4を参照して、ころ43の構造について説明する。
ころ43は、治具挿入部44および外周面45を有する。治具挿入部44は、ころ43をころ43の軸方向に貫通する。外周面45は、クラウニング加工が施されている。このため、ころ43の軸方向の端部の外径は、軸方向の中間部分の外径よりも小さい。
ころ43は、治具挿入部44および外周面45を有する。治具挿入部44は、ころ43をころ43の軸方向に貫通する。外周面45は、クラウニング加工が施されている。このため、ころ43の軸方向の端部の外径は、軸方向の中間部分の外径よりも小さい。
図5および図6を参照して、減速機20の製造方法について説明する。
減速機20の製造方法は、部品製造工程、本体前組付工程、アセンブリ準備工程、アセンブリ挿入工程、治具抜き工程、および本体後組付工程を有する。減速機20の各部品は、部品製造工程において個別に製造される。
減速機20の製造方法は、部品製造工程、本体前組付工程、アセンブリ準備工程、アセンブリ挿入工程、治具抜き工程、および本体後組付工程を有する。減速機20の各部品は、部品製造工程において個別に製造される。
本体前組付工程において、外歯車60が、偏心カム70の外周に組み付けられる。また、第2ハウジング50が、外歯車60の外周に組み付けられる。
アセンブリ準備工程およびアセンブリ挿入工程は、保持治具80を用いる。保持治具80は、図5および図6に示されるとおり、16個の挿入ピン81および板部82を有する。板部82は、円盤形状を有する。各挿入ピン81は、板部82の周方向において等間隔に配置される。各挿入ピン81は、軸方向が互いに平行している。
アセンブリ準備工程およびアセンブリ挿入工程は、保持治具80を用いる。保持治具80は、図5および図6に示されるとおり、16個の挿入ピン81および板部82を有する。板部82は、円盤形状を有する。各挿入ピン81は、板部82の周方向において等間隔に配置される。各挿入ピン81は、軸方向が互いに平行している。
アセンブリ準備工程は、図5および図6に示される作業状態を形成する。16個のころ43は、それぞれ治具挿入部44が挿入ピン81に挿入される。このため、16個のころ43は、等間隔に配置される。このとき、16個のころは、互いに接触している。複数のころ43は、保持治具80により、互いの位置関係が偏心カム70と挿入孔60Aとの間に配置されたときと同一のアセンブリ状態に保持される。
アセンブリ挿入工程においては、本体前組付工程において組み付けた外歯車60および偏心カム70の間に16個のころ43が同時に挿入される。保持治具80に保持された16個のころは、第1ころ列43Aとして、駆動源15側の端部から第1内周面63および第1外周面71Aの間に挿入される。
治具抜き工程においては、保持治具80が各ころ43から抜き取られる。アセンブリ準備工程、アセンブリ挿入工程、および治具抜き工程は、第2ころ列43Bについても同様に行われる。すなわち、保持治具80を用いて16個のころ43が第1内周面63および第1外周面71Aの間に挿入される。第2ころ列43Bのアセンブリ挿入工程においては、各ころ43は、旋回装置17側の端部から第2内周面67および第2外周面72Aの間に挿入される。
本体後組付工程においては、複数のピン42Aが第1円孔64および第2円孔68に挿入される。また、複数のピン42Aが第1円孔64および第2円孔68に挿入された状態で、キャリア42Bが複数のピン42Aの両端部に取り付けられる。
減速機20の作用について説明する。
減速機20において、偏心カム70の回転を受けるころ軸受は、他の部品と比較して受ける荷重が大きい。一方、ころ軸受の耐荷重の容量は、ころの数を多いほど、またはころの径が大きいほど大きい。しかし、ころの数を多くする、またはころの径を大きくした場合、ころ軸受は大型化する。このため、減速機20が大型化する。
減速機20において、偏心カム70の回転を受けるころ軸受は、他の部品と比較して受ける荷重が大きい。一方、ころ軸受の耐荷重の容量は、ころの数を多いほど、またはころの径が大きいほど大きい。しかし、ころの数を多くする、またはころの径を大きくした場合、ころ軸受は大型化する。このため、減速機20が大型化する。
減速機20は、偏心カム70および外歯車60の間に総ころ軸受を有する。総ころ軸受は、保持器を有しない。このため、保持器を有する仮想のころ軸受と比較して、同じ体積の配置空間内に配置できるころ43の数を多くすることができる。
減速機20は、偏心カム70が総ころ軸受の内輪として構成される。このため、内輪と偏心カム70とが別体の仮想のころ軸受と比較して、ころ43の配置空間を大きくすることができる。このため、ころ43の径を大きくすることができる。このため、ころ軸受の耐荷重の容量を大きくすることができる。
減速機20は、外歯車60が総ころ軸受の外輪として構成される。このため、内輪と偏心カム70とが別体の仮想のころ軸受と比較して、ころ43の配置空間を大きくすることができる。このため、ころ43の径を大きくすることができる。このため、ころ軸受の耐荷重の容量を大きくすることができる。
総ころ軸受においては、ころ43が互いに接触する。このため、保持器を有するころ軸受と比較して、回転抵抗が大きくなるおそれがある。減速機20は、減速比が大きい。また、ころ43は低速回転する。このため、減速比の小さい仮想の減速機と比較して、ころ43同士の接触による回転抵抗の影響を小さくすることができる。
総ころ軸受においては、隣り合うころ43が互いに接触する。このため、保持治具80を用いない仮想の減速機の製造方法においては、ころ43を偏心カム70と外歯車60との間に順次挿入する。この仮想の減速機の製造方法は、偏心カム70と外歯車60との間に挿入したころ43を、全てのころ43が挿入されるまで適切な位置に維持する必要がある。このため、仮想の減速機の製造方法は、手間がかかる。複数のころ43は、保持治具80により偏心カム70と外歯車60との間に同時に挿入される。このため、簡便に減速機20を製造することができる。
各ころ43は、ころ43を貫通する治具挿入部44を有する。減速機20は、減速比が大きい。このため、ころ43の外径が大きい。このため、ころ43の外径に対する治具挿入部44の径を小さくすることができる。このため、治具挿入部44によりころ43の強度が低下することを抑制できる。
各ころ43は、外周面45にクラウニング加工が施されている。このため、各ころ43の軸方向の端部の外径が軸方向の中間部の外径よりも小さい。また、各ころ43の軸方向の端部が曲面を有する。このため、アセンブリ挿入工程において、各ころ43を偏心カム70と外歯車60との間に挿入しやすい。
減速機20は、以下の効果を奏する。
(1)減速機20の偏心カム70と挿入孔60Aとの間の軸受は、総ころ軸受として構成される。総ころは、保持器を有しない。このため、減速機20は、保持器を有していると仮定した場合と比較して、ころ43の数を多くすることができる。このため、風力発電装置1の減速機20を小型化することができる。
(1)減速機20の偏心カム70と挿入孔60Aとの間の軸受は、総ころ軸受として構成される。総ころは、保持器を有しない。このため、減速機20は、保持器を有していると仮定した場合と比較して、ころ43の数を多くすることができる。このため、風力発電装置1の減速機20を小型化することができる。
(2)ころ43は、治具挿入部44を有する。このため、保持治具80に全てのころの治具挿入部44を嵌め込むことにより、全てのころ43を同時に偏心カム70と挿入孔60Aとの間に挿入することができる。このため、減速機20を簡便に組み付けることができる。
(3)ころ43は、クラウニング加工が施される。このため、ころ43を偏心カム70と挿入孔60Aとの間に挿入するとき、ころ43を偏心カム70と挿入孔60Aとの間に挿入しやすい。
(4)減速機20は、偏心カム70が総ころ軸受の内輪として構成される。このため、内輪を偏心カム70と別体にする構成と比較して、減速機20のサイズを小型化できる。また、減速機20は、外歯車60が総ころ軸受の外輪として構成される。このため、外輪を外歯車60と別体にする構成と比較して、減速機20のサイズを小型化できる。
(その他の実施形態)
本減速機は、上記実施形態以外の実施形態を含む。以下、本減速機のその他の実施形態としての上記実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることができる。
本減速機は、上記実施形態以外の実施形態を含む。以下、本減速機のその他の実施形態としての上記実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることができる。
・実施形態のころ43は、ころ43を貫通する治具挿入部44を有する。ただし、ころ43の構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例のころ43は、ころ43を貫通しない治具挿入部44を有する。
・実施形態のころ43は、治具挿入部44を有する。ただし、ころ43の構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例のころ43は、治具挿入部44を省略している。この変形例のころ43は、ころ43の軸方向の端部を把持する保持治具80を用いて偏心カム70と挿入孔60Aとの間に複数のころ43を同時に挿入することもできる。
・実施形態の第1ころ列43Aは、16個のころ43により構成されている。ただし、第1ころ列43Aの構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の第1ころ列43Aは、15個以下、または17個以上のころ43により構成される。
・実施形態の第2ころ列43Bは、16個のころ43により構成されている。ただし、第2ころ列43Bの構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の第2ころ列43Bは、15個以下、または17個以上のころ43により構成される。
・実施形態の減速機20は、第1外歯部61および第2外歯部65が各別に構成されている。ただし、減速機20の構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の減速機20は、第1外歯部61および第2外歯部65が一体的に構成される。
・実施形態の減速機20は、第1減速部30および第2減速部40を有する。ただし、減速機20の構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の減速機20は、第1減速部30を省略している。
・実施形態の減速機20の製造方法は、本体前組付工程において外歯車60が偏心カム70の外周に組み付けられる。ただし、減速機20の製造方法の構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の減速機20の製造方法の本体前組付工程において、第2外歯部65が偏心カム70の外周に組み付けられる。次に、第2ころ列43Bを構成する複数のころ43が保持治具80を用いて駆動源15側の端部から同時に第2内周面67および第2外周面72Aの間に挿入される。次に、保持治具80が、第2ころ列43Bを構成する複数のころ43から抜かれる。次に、第1外歯部61が偏心カム70の外周に組み付けられる。次に、第1ころ列43Aを構成する複数のころ43が保持治具80を用いて駆動源15側の端部から同時に第1内周面63および第1外周面71Aの間に挿入される。次に、保持治具80が、第2ころ列43Bを構成する複数のころ43から抜かれる。
・実施形態の旋回装置17は、各減速機20の出力歯車22Aと噛み合わされる内歯車を有する。ただし、減速機20の構成は、実施形態に例示された内容に限られない。例えば、変形例の旋回装置17は、各減速機20の出力歯車22Aと噛み合わされる外歯車を有する。
1…風力発電装置、11…ブレード、12…回転軸、13…ナセル、14…発電機、15…駆動源、16…タワー、17…旋回装置、18…内歯車、20…減速機、21…入力軸、22…出力軸、22A…出力歯車、23…円錐ころ軸受、30…第1減速部、31…第1ハウジング、31A…開口部、32…球軸受、33…歯車機構、34…第1出力軸、40…第2減速部、41…第2入力軸、42…第2出力軸、42A…ピン、42B…キャリア、43…ころ、43A…第1ころ列、43B…第2ころ列、44…治具挿入部、45…外周面、50…第2ハウジング(内歯車)、51…内歯部、52…内歯、60…外歯車、60A…挿入孔、61…第1外歯部、62…第1外歯、63…第1内周面、64…第1円孔、65…第2外歯部、66…第2外歯、67…第2内周面、68…第2円孔、70…偏心カム、71…第1偏心カム部、71A…第1外周面、72…第2偏心カム部、72A…第2外周面、80…保持治具、81…挿入ピン、82…板部。
Claims (5)
- ブレードの回転軸をヨー方向に旋回させる旋回装置に駆動力を伝達する風力発電装置の減速機であって、
駆動源と接続される入力軸と、
内周に複数の内歯が形成される内歯車と、
前記内歯車の内周側に配置され、外周に前記複数の内歯と噛み合う複数の外歯が形成され、挿入孔を有する外歯車と、
前記挿入孔に配置され、前記内歯車の軸心に対して前記外歯車を偏心回転させ、前記入力軸と一体的に回転する偏心カムと、
前記偏心カムと前記挿入孔との間に配置される総ころ軸受と、
前記外歯車に接続されて前記外歯車とともに回転し、前記外歯車の回転を前記旋回装置に出力する出力軸と
を備える風力発電装置の減速機。 - 前記ころは、治具が挿入される治具挿入部を有する
請求項1に記載の風力発電装置の減速機。 - 前記治具挿入部は、前記ころを貫通する
請求項2に記載の風力発電装置の減速機。 - 前記ころは、クラウニング加工が施される
請求項1〜3のいずれか一項に記載の風力発電装置の減速機。 - ブレードの回転軸をヨー方向に旋回させる旋回装置に駆動力を伝達する風力発電装置の減速機の製造方法であって、
前記減速機は、
駆動源と接続される入力軸と、
内周に複数の内歯が形成される内歯車と、
前記内歯車の内周側に配置され、外周に前記複数の内歯と噛み合う複数の外歯が形成され、挿入孔を有する外歯車と、
前記挿入孔に配置され、前記内歯車の軸心に対して前記外歯車を偏心回転させ、前記入力軸と一体的に回転する偏心カムと、
治具挿入部を有する複数のころを有し、前記偏心カムと前記挿入孔との間に配置される総ころ軸受と、
前記外歯車に接続されて前記外歯車とともに回転し、前記外歯車の回転を前記旋回装置に出力する出力軸とを備え、
前記風力発電装置の減速機の製造方法は、
前記外歯車および前記内歯車を組み付ける本体前組付工程と、
前記治具挿入部に保持治具を挿入することにより前記複数のころを互いの位置関係が前記偏心カムと前記挿入孔との間に配置されたときと同一のアセンブリ状態に保持するアセンブリ準備工程と、
前記アセンブリ準備工程の後に、前記複数のころを同時に前記偏心カムと前記挿入孔との間に挿入するアセンブリ挿入工程と
を備える風力発電装置の減速機の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012279928A JP2014122681A (ja) | 2012-12-21 | 2012-12-21 | 風力発電装置の減速機、および風力発電装置の減速機の製造方法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2014122681A true JP2014122681A (ja) | 2014-07-03 |
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ID=51403323
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JP2012279928A Pending JP2014122681A (ja) | 2012-12-21 | 2012-12-21 | 風力発電装置の減速機、および風力発電装置の減速機の製造方法 |
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JP (1) | JP2014122681A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN106122453A (zh) * | 2016-08-22 | 2016-11-16 | 资阳中车传动有限公司 | 一种行走卷扬减速器、行走卷扬装置和旋挖钻机 |
JP2016194324A (ja) * | 2015-03-31 | 2016-11-17 | 住友重機械工業株式会社 | 歯車装置 |
CN110234907A (zh) * | 2017-03-15 | 2019-09-13 | 株式会社日精 | 差动减速器 |
-
2012
- 2012-12-21 JP JP2012279928A patent/JP2014122681A/ja active Pending
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CN110234907B (zh) * | 2017-03-15 | 2023-03-10 | 株式会社日精 | 差动减速器 |
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