JP2014121737A - 油圧アクチュエータ装置の製造方法 - Google Patents

油圧アクチュエータ装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリンダ内周面の仕上げ切削加工を行うだけで、シリンダ内周面の表面粗さ形状を、液密用シール部材の摺動磨耗を抑える形状に管理すること。
【解決手段】ベルト式無段変速機CVTに備える油圧アクチュエータ装置としての駆動プーリ12,22の製造方法において、プライマリ圧室14及びセカンダリ圧室24を油密状態にするシールリング15,25が摺動するシリンダ内周面12d,22dを加工する生切削加工工程と、シリンダ12b,22bの表面を硬化する熱処理工程と、シリンダ内周面12d,22dを、チップホルダ47に保持された切削チップ46を用いて加工する仕上げ切削加工工程と、を有する。仕上げ切削加工工程は、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、切削チップ46を保持するチップホルダ47を交換する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ピストン/シリンダ機構のシリンダ内周面を仕上げ切削加工する油圧アクチュエータ装置の製造方法に関する。
従来、油保持性の向上を図ることができ、耐磨耗性が向上したベルト式CVTプーリを再現性よく製造することを目的とするベルト式無段変速機用プーリの製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記プーリ製造方法は、接触面の形状を形成する研削工程と、形成された接触面の表面粗さを粗くすることにより、接触面に溝部を形成する溝部形成工程と、溝部が形成された接触面の表面をラップフィルムにて研磨して潤滑油を保持させるための油溝を残す接触面研磨工程と、を有する。そして、接触面の表面粗さは、最大高さ粗さRzが4μm以下、粗さ曲線要素の平均長さRSmが30〜60μm、粗さ曲線のスキューネスRskが−2.7〜−0.6(無単位)、突出山部高さRpkが0.09μm以下、突出谷部深さRvkが0.4〜1.3μmとしている。
特開2011−137492号公報
上記ベルト式無段変速機用プーリの製造方法にあっては、油保持性の向上を図ることを目的とし、溝部を有するシーブ面の表面粗さ形状を、5つの表面粗さパラメータを用いて管理している。
しかしながら、無段変速機用プーリのうち、駆動プーリ(スライドプーリ)のシリンダ内周面については、表面粗さ形状の管理や加工に関し、何ら記載されていない。そして、シーブ面は、油保持性と耐磨耗性の両立を意図し、表面粗さ形状(溝と接触面)を管理する必要があるのに対し、シリンダ内周面は、接触摺動する液密用シール部材の摺動磨耗を抑え、油密性の長期確保を意図し、表面粗さ形状を管理する必要がある。さらに、シーブ面の仕上げ加工は、ラッピングフィルムを用いたラッピング加工(研磨加工)であるのに対し、シリンダ内周面の仕上げ加工は、切削チップを用いた切削加工である。すなわち、シーブ面とシリンダ内周面は、管理意図と加工方法が全く異なるものである以上、シーブ面表面粗さ形状の管理手法を、シリンダ内周面粗さ形状の管理手法として適用することはできない。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、シリンダ内周面の仕上げ切削加工を行うだけで、シリンダ内周面の表面粗さ形状を、液密用シール部材の摺動磨耗を抑える形状に管理する油圧アクチュエータ装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、シリンダのシリンダ内周面に摺接するピストンの外周に液密用シール部材が装着されたピストン/シリンダ機構で構成され、油圧が供給されることによって駆動される油圧アクチュエータ装置の製造方法において、生切削加工工程と、熱処理工程と、仕上げ切削加工工程と、を有する。
前記生切削加工工程は、前記シリンダ内周面を、次の熱処理工程による熱歪みを考慮した加工寸法とする生切削加工を行う。
前記熱処理工程は、前記生切削加工した前記シリンダの表面を硬化するように熱処理する。
前記仕上げ切削加工工程は、前記熱処理工程を経過した後の前記シリンダ内周面を、チップホルダに保持された切削チップを用いた切削により設計寸法とする仕上げ切削加工を行う。
そして、前記仕上げ切削加工工程は、前記シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして、高さ方向の特徴平均パラメータである粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)を用い、前記クルトシス(Rku)と前記スキューネス(Rsk)の測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、前記切削チップを保持する前記チップホルダを交換する。
本発明者は、シリンダのストローク耐久終了品について、液密用シール部材に磨耗が発生しているか否かに分けてシリンダ内周面の表面粗さ形状を測定する比較実験を行った。この実験により、クルトシス(Rku)とスキューネス(Rsk)の測定値のうち、少なくとも一方が所定値を超えると、液密用シール部材の摺動磨耗が進むことを見出した。さらに、長期使用や高負荷使用等によりチップホルダの磨耗が進行すると、切削チップの保持性が損なわれてしまい、クルトシス(Rku)とスキューネス(Rsk)の測定値を上昇させる原因になっていることを見出した。
そこで、本発明では、仕上げ切削加工工程において、クルトシス(Rku)とスキューネス(Rsk)の測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、切削チップを保持するチップホルダを交換するようにした。
このように、シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして、クルトシス(Rku)とスキューネス(Rsk)を用い、これをチップホルダの交換指標として仕上げ切削加工工程に反映させた。このため、シリンダ内周面の仕上げ切削加工を行うだけで、シリンダ内周面の表面粗さ形状を、液密用シール部材の摺動磨耗を抑える形状に管理することができる。
実施例1の製造方法により製造された駆動プーリ(油圧アクチュエータ装置の一例)を備えるベルト式無段変速機を示す要部構成図である。 実施例1の駆動プーリの製造方法のうち生切削加工工程における駆動プーリワークの生切削加工部分を示す加工部分説明図である。 実施例1の駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程における駆動プーリワークの仕上げ切削加工部分を示す加工部分説明図である。 実施例1の駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程にて用いられる駆動プーリワークの仕上げ切削加工装置の概略を示す平面図である。 実施例1の駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程におけるシリンダ内周面加工処理後のチップ及びチップホルダの交換要否判定の流れを示すフローチャートである。 シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして用いられる算術平均粗さRaの定義を説明する表面性状図である。 シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして用いられる粗さ曲線のクルトシスRkuの定義を説明する表面性状図である。 シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして用いられる粗さ曲線のスキューネスRskの定義を説明する表面性状図である。 駆動プーリのストローク耐久終了品のシリンダ内周面の表面粗さ測定値の実験結果を合格品と不合格品で分けて示した粗さ測定値対比図である。
以下、本発明の油圧アクチュエータ装置の製造方法を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
実施例1のベルト式無段変速機に備える駆動プーリ(油圧アクチュエータ装置の一例)の製造方法を、「ベルト式無段変速機の要部構成」、「駆動プーリの製造方法」、「仕上げ切削加工装置の概略構成」、「チップ及びチップホルダの交換要否の判定処理」、「背景技術」、「シリンダ内周面仕上げ加工処理後の交換要否判定作用」、「シリンダ内周面の粗さ形状管理作用」に分けて説明する。
[ベルト式無段変速機の要部構成]
図1は、実施例1の製造方法により製造された駆動プーリを備えるベルト式無段変速機を示す。以下、図1に基づき、ベルト式無段変速機の要部構成を説明する。
実施例1のベルト式無段変速機CVTは、図1に示すように、プライマリプーリ1と、セカンダリプーリ2と、ベルト3と、を備えている。
前記プライマリプーリ1は、シーブ面11aを有する固定プーリ11と、シーブ面12aを有する駆動プーリ12と、の組み合わせにより構成される。
前記固定プーリ11は、シーブ面11a側を正面側としたとき、背面側に入力シャフト部11bを一体に有し、正面側にプーリ支持シャフト部11cを一体に有する。入力シャフト部11bとプーリ支持シャフト部11cは、トランスミッションケース4に対しそれぞれベアリング5,6を介して回転可能に支持されていて、軸心位置にプライマリ圧油路13が形成されている。
前記駆動プーリ12は、シーブ面12a側を正面側としたとき、背面側に大径円筒状のシリンダ12bと、小径円筒状のボス部材12cと、が一体に形成されている。シリンダ12bには、プライマリ圧室14(油圧室)を液密状態にする環状のシールリング15(液密用シール部材)が摺動するシリンダ内周面12dを有する。シールリング15は、プーリ支持シャフト部11cに固定され、対向間隔が最大のときにボス部材12cのボス端面12eに接触する固定ピストンプレート16(ピストン)の外周位置の凹溝に装着されている。ボス部材12cとプーリ支持シャフト部11cの間には、駆動プーリ12を軸方向に移動可能で回転方向に固定するボールスプライン機構17が介装されている。シールリング15は、フッ素樹脂を素材として形成されている。
前記セカンダリプーリ2は、シーブ面21aを有する固定プーリ21と、シーブ面22aを有する駆動プーリ22と、の組み合わせにより構成される。
前記固定プーリ21は、シーブ面21a側を正面側としたとき、背面側にケース支持シャフト部21bを一体に有し、正面側にプーリ支持シャフト部21cを一体に有する。ケース支持シャフト部21bとプーリ支持シャフト部21cは、トランスミッションケース4に対しそれぞれベアリング7,8を介して回転可能に支持されていて、軸心位置にセカンダリ圧油路23が形成されている。
前記駆動プーリ22は、シーブ面22a側を正面側としたとき、背面側に大径円筒状のシリンダ22bと、小径円筒状のボス部材22cと、が一体に形成されている。シリンダ22bには、セカンダリ圧室24(油圧室)を液密状態にする環状のシールリング25(液密用シール部材)が摺動するシリンダ内周面22dを有する。シールリング25は、プーリ支持シャフト部21cに固定され、対向間隔が最大のときにボス部材22cのボス端面12eに接触する固定ピストンプレート26(ピストン)の外周位置の凹溝に装着されている。ボス部材22cとプーリ支持シャフト部21cの間には、駆動プーリ12を軸方向に移動可能で回転方向に固定するボールスプライン機構27が介装されている。シールリング25は、フッ素樹脂を素材として形成されている。
前記ベルト3は、プライマリプーリ1のシーブ面11a,12aとセカンダリプーリ2のシーブ面21a,22aに架け渡たされ、シーブ面11a,12aとシーブ面21a,22aの対向間隔を変化させることで無段階に変速する。ベルト3は、プーリ接触傾斜面を持ちシーブベルト移動方向に多数重ねたエレメントと、円環状薄板を層状に重ねた2組のリングにより構成される。シーブ面11a,12aの対向間隔は、プライマリ圧室14への油圧(油量)により駆動プーリ12を軸方向に移動させることで変化する。シーブ面21a,22aの対向間隔は、セカンダリ圧室24への油圧(油量)により駆動プーリ22を軸方向に移動させることで変化する。
[駆動プーリの製造方法]
図2は、駆動プーリの製造方法のうち生切削加工工程における駆動プーリワークの生切削加工部分を示し、図3は、仕上げ切削加工工程における駆動プーリワークの仕上げ切削加工部分を示す。以下、図2及び図3に基づき、駆動プーリ12,22の製造方法について説明する。
駆動プーリワークから製造する前記駆動プーリ12,22の製造方法は、駆動プーリ12,22のシリンダ内周面に着目した場合、鍛造工程→生切削加工工程→熱処理工程→仕上げ切削加工工程を経過することでなされる。
前記生切削加工工程は、旋盤を用いた生切削により鍛造品から駆動プーリの概略形状品を加工する工程である。この生切削加工工程では、図2に示すように、駆動プーリワークW1の背面側に形成された円筒状のシリンダのうち、油圧室を油密状態にする液密用シール部材が摺動するシリンダ内周面を、次の熱処理工程による熱歪みを考慮した加工寸法D1(切削余裕代を持たせた寸法)とする生切削加工を行う。なお、生切削加工工程においては、シリンダ内周面以外に、図2の太線に示す部分を含めて切削加工部分とする。
前記熱処理工程は、生切削加工した駆動プーリワークW1に対して表面硬化熱処理を施し、熱処理後の駆動プーリワークW2にする工程である。ここで、表面硬化熱処理としては、例えば、浸炭焼き入れ焼き戻しを行い、シーブ面やシリンダ内周面を含めて駆動プーリワークW1の表面を硬化する。
前記仕上げ切削加工工程は、熱処理後の駆動プーリワークW2を、図4に示す装置を用いた仕上げ切削により設計寸法による駆動プーリ形状に仕上げる工程である。この仕上げ切削加工工程では、図3に示すように、熱処理後の駆動プーリワークW2のシリンダ内周面を、仕上げ切削加工装置のチップホルダ47に保持された切削チップ46を用いた切削により設計寸法D2(>D1)とする仕上げ切削加工を行う(図4参照)。仕上げ切削加工工程においては、図3の太線に示すように、シリンダ内周面の仕上げ切削加工以外にボス端面の仕上げ切削加工も併せて行う。そして、仕上げ切削加工後は、複合研削や洗浄を経過して完成部品としての駆動プーリ12,22を製造する。
[仕上げ切削加工装置の概略構成]
図4は、駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程にて用いられる駆動プーリワークW2の仕上げ切削加工装置の概略を示す。以下、図4に基づき、仕上げ切削加工装置の概略構成を説明する。
前記仕上げ切削加工装置は、精密加工旋盤の構成であり、図4に示すように、主軸40と、ワークチャック41と、可動バイト台42と、ヘッド取り付けベース43と、バイトヘッド44と、チップバイト45と、を備えている。
前記主軸40は、一体に取り付けられたワークチャック41と共にモータにより回転する。ワークチャック41には、主軸40の軸心にワーク中心軸を合わせた状態で、駆動プーリワークW2が固定される。
前記可動バイト台42は、図外のサーボモータとボールスクリューをそれぞれ用いることで、矢印X方向(シリンダ内周面の切削深さ方向)と矢印Z方向(シリンダ内周面の切削進行方向)に移動可能に設けられる。この可動バイト台42には、複数のバイトヘッドを取り付けることが可能なヘッド取り付けベース43と、ヘッド取り付けベース43に固定されたバイトヘッド44と、が設けられる。つまり、ヘッド取り付けベース43とバイトヘッド44は、可動バイト台42と共に矢印X方向と矢印Z方向に移動する。
前記チップバイト45は、バイトヘッド44に差し込み固定されたもので、切削チップ46と、チップホルダ47と、押さえ金48と、締め付けボルト49と、を有する。
この切削チップ46は、チップホルダ47の先端部上面に形成されたチップ段差部47aに対して回動を拘束する状態で嵌合され、上方から押さえ金48にて押さえ、さらに、締め付けボルト49にて押さえ金48を締め付けることで固定される。つまり、段差嵌合と押さえ固定により、切削抵抗に打ち勝つ切削チップ46の固定強度が得られるようにしている。
[チップ及びチップホルダの交換要否の判定処理]
図5は、駆動プーリの製造方法のうち仕上げ切削加工工程におけるシリンダ内周面の加工処理後のチップ及びチップホルダの交換要否の判定処理の流れを示す。以下、図5に基づき、チップ及びチップホルダの交換要否の判定処理の各ステップを説明する。
ここで、シリンダ内周面の加工処理後の切削チップ46及びチップホルダ47の交換要否の判定情報として、“算術平均粗さRa”と“粗さ曲線のクルトシスRku”と“粗さ曲線のスキューネスRsk”を用いている。これらの値は、シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータであり、その定義を先に説明する。
前記算術平均粗さRaは、図6に示すように、高さ方向の振幅平均パラメータの一つであり、基準長さlrにおけるZ(x)の絶対値の平均をあらわす
Ra=(1/lr)∫|Z(x)|dx
の式にて定義される。
前記粗さ曲線のクルトシスRku(尖りku)は、図7に示すように、高さ方向の特徴平均パラメータの一つであり、基準長さlrにおけるZ(x)の四乗平均を二乗平均平方根の四乗で割った
Rku=1/Rq4〔(1/lr)∫|Z4(x)|dx〕
の式にて定義される。そして、図7に示すように、粗さ曲線の凸部の先端が尖っているとRku>3となる。
前記粗さ曲線のスキューネスRsk(歪みsk)は、図8に示すように、高さ方向の特徴平均パラメータの一つであり、基準長さlrにおけるZ(x)の三乗平均を二乗平均平方根の三乗で割った
Rsk=1/Rq3〔(1/lr)∫|Z3(x)|dx〕
の式にて定義される。そして、図8に示すように、粗さ曲線の凸部の先端が尖っているとRsk>0となる。
ステップS1では、ワーク加工の終了後、切削チップ46の交換後1ヶ目であるか否かを判断する。YES(チップ交換後1ヶ目)の場合はステップS2へ進み、NO(チップ交換後1ヶ目以外)の場合はステップS9へ進む。
ステップS2では、ステップS1でのチップ交換後1ヶ目であるとの判断、あるいは、ステップS9でのチップ交換後150ヶ目であるとの判断に続き、シリンダ内周面の粗度を測定し、ステップS3へ進む。
ステップS3では、ステップS2でのシリンダ内周面粗度測定に続き、算術平均粗さRaが管理値以下であるか否かを判断する。YES(Ra≦管理値)の場合はステップS4へ進み、NO(Ra>管理値)の場合はステップS8へ進む。
ステップS4では、ステップS3でのRa≦管理値であるとの判断に続き、粗さ曲線のクルトシスRkuが管理値以下であるか否かを判断する。YES(Rku≦管理値)の場合はステップS5へ進み、NO(Rku>管理値)の場合はステップS7へ進む。
ステップS5では、ステップS4でのRku≦管理値であるとの判断に続き、粗さ曲線のスキューネスRskが管理値以下であるか否かを判断する。YES(Rsk≦管理値)の場合はステップS6へ進み、NO(Rsk>管理値)の場合はステップS7へ進む。
ステップS6では、ステップS5でのRsk≦管理値であるとの判断に続き、切削チップ46及びチップホルダ47の交換不要であると判定し、判定終了へ進む。
ステップS7では、ステップS4またはステップS5でのNOとの判断に続き、切削チップ46及びチップホルダ47の一式交換が必要であると判定し、判定終了へ進む。
ステップS8では、ステップS3でのRa>管理値であるとの判断、あるいは、ステップS12でのRa>管理値であるとの判断に続き、切削チップ46の交換が必要であると判定し、判定終了へ進む。
ステップS9では、ステップS1でのチップ交換後1ヶ目以外であるとの判断に続き、チップ交換後150ヶ目であるか否かを判断する。YES(チップ交換後150ヶ目)の場合はステップS2へ進み、NO(チップ交換後150ヶ目以外)の場合はステップS10へ進む。
ステップS10では、加工された駆動プーリワークが就業初品(その日の最初に加工するワーク)であるか否かを判断する。YES(就業初品)の場合はステップS11へ進み、NO(就業初品でない)の場合はステップS14へ進む。
ステップS11では、ステップS10での就業初品であるとの判断、あるいは、ステップS14での就業終品であるとの判断に続き、シリンダ内周面の粗度を測定し、ステップS12へ進む。
ステップS12では、ステップS11でのシリンダ内周面粗度測定に続き、算術平均粗さRaが管理値以下であるか否かを判断する。YES(Ra≦管理値)の場合はステップS13へ進み、NO(Ra>管理値)の場合はステップS8へ進む。
ステップS13では、ステップS12でのRa≦管理値であるとの判断、あるいは、ステップS14での就業終品でないとの判断に続き、切削チップ46及びチップホルダ47の交換不要であると判定し、判定終了へ進む。
ステップS14では、ステップS10での就業初品でないとの判断に続き、加工された駆動プーリワークが就業終品(その日の最後に加工するワーク)であるか否かを判断する。YES(就業終品)の場合はステップS11へ進み、NO(就業終品でない)の場合はステップS13へ進む。
[シリンダ内周面仕上げ加工処理後の交換要否判定作用]
上記図5に示すフローチャートに沿って実行されるシリンダ内周面仕上げ加工処理後の交換要否判定作用を、「就業初品」、「チップ交換後1ヶ目」、「チップ交換後150ヶ目」、「就業終品」に分けて説明する。
(就業初品)
シリンダ内周面の加工処理を施したワークが最初の就業初品であるときは、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS9→ステップS10→ステップS11へ進み、ステップS11では、シリンダ内周面の粗度が測定される。そして、ステップS12のRa条件が成立するとステップS13へと進み、ステップS13では、切削チップ46及びチップホルダ47の交換が不要であると判定される。
一方、ステップS12のRa条件が不成立であるとステップS8へと進み、ステップS8では、切削チップ46の交換が必要であると判定される。
(チップ交換後1ヶ目)
シリンダ内周面の加工処理を施したワークが、切削チップ46の交換後1ヶ目のワークのであるときは、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2へ進み、ステップS2では、シリンダ内周面の粗度が測定される。そして、ステップS3でのRa条件と、ステップS4でのRku条件と、ステップS5でのRsk条件と、の全てかが成立するとステップS6へと進み、ステップS6では、切削チップ46及びチップホルダ47の交換が不要であると判定される。
一方、ステップS3でのRa条件が不成立であるとステップS8へと進み、ステップS8では、切削チップ46の交換が必要であると判定される。
さらに、ステップS3のRa条件は成立するが、ステップS4のRku条件とステップS5のRsk条件のうち、少なくとも一方の条件が不成立であるとステップS7へ進み、ステップS7では、切削チップ46及びチップホルダ47の一式交換が必要であると判定される。
(チップ交換後150ヶ目)
シリンダ内周面の加工処理を施したワークが、切削チップ46の交換後150ヶ目のワークのであるときは、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS9→ステップS2へ進み、ステップS2では、シリンダ内周面の粗度が測定される。そして、ステップS3でのRa条件と、ステップS4でのRku条件と、ステップS5でのRsk条件と、の全てかが成立するとステップS6へと進み、ステップS6では、切削チップ46及びチップホルダ47の交換が不要であると判定される。
一方、ステップS3でのRa条件が不成立であるとステップS8へと進み、ステップS8では、切削チップ46の交換が必要であると判定される。
さらに、ステップS3のRa条件は成立するが、ステップS4のRku条件とステップS5のRsk条件のうち、少なくとも一方の条件が不成立であるとステップS7へ進み、ステップS7では、切削チップ46及びチップホルダ47の一式交換が必要であると判定される。
(就業終品)
シリンダ内周面の加工処理を施したワークが就業終品であるときは、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS9→ステップS10→ステップS14→ステップS11へ進み、ステップS11では、シリンダ内周面の粗度が測定される。そして、ステップS12のRa条件が成立するとステップS13へと進み、ステップS13では、切削チップ46及びチップホルダ47の交換が不要であると判定される。
一方、ステップS12のRa条件が不成立であるとステップS8へと進み、ステップS8では、切削チップ46の交換が必要であると判定される。
[背景技術]
シリンダ内周面の仕上げ切削加工においては、シリンダ内周面の粗度を測定し、算術平均粗さRaが管理値を超えると、切削チップを交換していた。一方、チップホルダについては、使用開始から予め定められた期間、あるいは、予め定められたワーク加工数を超えたら交換していた。
この管理手法にて製造された駆動プーリのストローク耐久終了品を精査すると、その殆どがシールリングを磨耗させない駆動プーリであるものの、一部にシールリングを磨耗させた駆動プーリが含まれることが分かった。つまり、切削チップの交換についてのみ、管理パラメータとして算術平均粗さRaを用いて管理するようにしているため、シールリングを磨耗させない駆動プーリを安定的に製造するには、シリンダ内周面の粗度管理が十分でないことが明らかになった。
そこで、本発明者等は、シールリングに磨耗が発生しているか否かに分けてシリンダ内周面の表面粗さ形状を測定する比較実験を行った。この実験結果を図9に示す。
図9の実験結果から明らかなように、算術平均粗さRaについては、シールリングを磨耗させない駆動プーリである合格品と、シールリングを磨耗させた駆動プーリである不合格品と、で粗さ測定値の差が小さく僅かである。これは、算術平均粗さRaの測定値によっては、合格品と不合格品を切り分けることができないことをあらわし、上記のように、算術平均粗さRaのみを用いて管理すると、シールリングを磨耗させた駆動プーリが一部に含まれることがあることが証明された。
そこで、算術平均粗さRa以外の表面粗さ形状の管理パラメータである「最大高さ粗さRz」と「粗さ曲線のスキューネスRsk」と「粗さ曲線のクルトシスRku」と「突出山部高さRpk」を同時に測定した。この結果、「最大高さ粗さRz」と「突出山部高さRpk」については、合格品と不合格品の粗さ測定値の差が小さいことが分かった。これに対し、「粗さ曲線のスキューネスRsk」と「粗さ曲線のクルトシスRku」については、合格品と不合格品の粗さ測定値の差が大きいことが分かった。具体的には、スキューネスRskの場合、不合格品測定値が合格品測定値より3〜4倍という差ΔRskが出ているし、クルトシスRkuの場合、不合格品測定値が合格品測定値より2倍以上という差ΔRkuが出ている。
つまり、この比較実験により、「粗さ曲線のスキューネスRsk」と「粗さ曲線のクルトシスRku」のうち、少なくとも一方が所定値を超えると、シールリングの磨耗が進むことを見出した。
さらに、長期使用や高負荷使用等によりチップホルダの磨耗が進行すると、切削チップのチップホルダに対する保持性が損なわれ、仕上げ切削加工時に切削チップが磨耗隙間によるガタ分により振れ、「クルトシスRku」と「スキューネスRsk」の測定値を上昇させる。つまり、チップホルダの磨耗進行が、「クルトシスRku」と「スキューネスRsk」の測定値を上昇させる原因の一つになっていることを見出した。
なお、算術平均粗さRaの管理値は、切削チップ46の交換判断閾値であり、RaとRkuの相関関係およびRaとRskの相関関係に基づき、RkuやRskの測定値が上昇する相関関係まで達しないRa値に設定される。クルトシスRkuの管理値は、チップホルダ47の交換判断閾値であり、複数のRku測定値分布から合格品と不合格品を切り分ける値(所定値)より小さい値に設定される。スキューネスRskの管理値は、チップホルダ47の交換判断閾値であり、複数のRsk測定値分布から合格品と不合格品を切り分ける値(所定値)より小さい値に設定される。
[シリンダ内周面の粗さ形状管理作用]
上記のように、「クルトシスRku」と「スキューネスRsk」を管理パラメータとして用い、シリンダ内周面の粗さ形状を管理すると、シールリングの磨耗抑制に有効であることを見出した。以下、これを駆動プーリの製造方法に反映させたシリンダ内周面の粗さ形状管理作用を説明する。
実施例1では、粗さ曲線のクルトシスRkuと粗さ曲線のスキューネスRskの測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、切削チップ46を保持するチップホルダ47を交換する仕上げ切削加工工程を採用した。
すなわち、図5のステップS4またはステップS5からステップS7へ進む流れにより、切削チップ46及びチップホルダ47の一式交換が必要であると判定され、チップホルダ47が交換される。
したがって、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値のうち、少なくとも一方が管理値を超えないようにすると、シールリング15,25による摺動磨耗が抑えられる(図9)。そして、クルトシスRkuとスキューネスRskのうち、少なくとも一方の測定値が管理値を超えた場合には、チップホルダ47を交換すると、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値が管理値を超えて、シールリング15,25の摺動磨耗を進める所定値まで上昇してしまうことを抑えられる。
このように、シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして、クルトシスRkuとスキューネスRskを用い、これをチップホルダ47の交換指標として仕上げ切削加工工程に反映させた。このため、駆動プーリ12,22の製造時、シリンダ内周面12d,22dの仕上げ切削加工を行うだけで、シリンダ内周面12d,22dの表面粗さ形状が、シールリング15,25の摺動磨耗を抑える形状に管理される。
実施例1では、切削チップ46を交換した後、交換した切削チップ46の磨耗が進む前、つまり、切削チップ46の交換後一ヶ目の加工の後に、クルトシスRkuとスキューネスRskを測定し、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、切削チップ46を保持するチップホルダ47を交換する仕上げ切削加工工程を採用した。
すなわち、切削チップ46の磨耗が進む前のチップ交換後1ヶ目であると、図5のステップS1からステップS2へ進む流れにより、シリンダ内周面の粗度が測定される。そして、ステップS4またはステップS5からステップS7へ進む流れにより、切削チップ46及びチップホルダ47の一式交換が必要であると判定され、チップホルダ47が交換される。
したがって、切削チップ46の交換直後であって、切削チップ46の磨耗が進む前であるにもかかわらず、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、管理値を超えた原因は、チップホルダ47にあることが推定できる。
この推定に基づき、チップホルダ47を交換するので、チップホルダ47がまだ十分に使用可能な状態にもかかわらず、交換してしまうといった無駄を排除し、既に磨耗が進行しているチップホルダ47を続けて使用するのが防止される。
実施例1では、算術平均粗さRaの測定値が予め設定された管理値以下のとき、粗さ曲線のクルトシスRkuと粗さ曲線のスキューネスRskの測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、切削チップ46を保持するチップホルダ47を交換する仕上げ切削加工工程を採用した。
すなわち、図5のステップS3でRa≦管理値であると判断されたときにのみ、ステップS4→ステップS5へ進み、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えているか否かを判断する。
したがって、切削チップ46に問題が無いという前提で、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値の判断が少ない頻度で行われる。このため、効率良く、且つ、精度良く、既に磨耗が進行しているチップホルダ47が交換される。
ちなみに、磨耗が進んだ切削チップ46で加工したシリンダ内周面12d,22dは、算術平均粗さRaが管理値を超えてしまう場合があるが、このような切削チップ46で加工した場合、粗さ曲線のクルトシスRkuや粗さ曲線のスキューネスRskも管理値を超えてしまう場合がある。その場合、クルトシスRkuやスキューネスRskの測定値判断だけでは、切削チップ46に問題があるのか、チップホルダ47に問題があるのかを特定することができない。このため、算術平均粗さRaが管理値を超えた場合には、粗さ曲線のクルトシスRkuや粗さ曲線のスキューネスRskの測定値が管理値を超えているか否かの判断をしないようにしている。
実施例1では、チップホルダ47を交換する場合、同時に切削チップ46も交換する仕上げ切削加工工程を採用した。
すなわち、図5のステップS7では、チップホルダ47の交換が必要であると判定されると、同時に切削チップ46の交換も必要であると判定するようにしている。
このように、チップホルダ47を交換した場合は、切削チップ46も交換するので、磨耗したチップホルダ47によって加工を行ったことで切削チップ46の劣化が進んでも、劣化した切削チップ46で加工を続けることが回避される。
次に、効果を説明する。
実施例1の駆動プーリ12,22の製造方法にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) シリンダ12b,22bのシリンダ内周面12d,22dに摺接するピストン(固定ピストンプレート16,26)の外周に液密用シール部材(シールリング15,25)が装着されたピストン/シリンダ機構で構成され、油圧が供給されることによって駆動される油圧アクチュエータ装置(駆動プーリ12,22)の製造方法において、
前記シリンダ内周面12d,22dを、次の熱処理工程による熱歪みを考慮した加工寸法D1とする生切削加工を行う生切削加工工程と、
前記生切削加工した前記シリンダ12b,22bの表面を硬化するように熱処理する熱処理工程と、
前記熱処理工程を経過した後の前記シリンダ内周面12d,22dを、チップホルダ47に保持された切削チップ46を用いた切削により設計寸法D2とする仕上げ切削加工を行う仕上げ切削加工工程と、を有し、
前記仕上げ切削加工工程は、前記シリンダ内周面12d,22dの表面粗さ形状の管理パラメータとして、高さ方向の特徴平均パラメータである粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)を用い、前記クルトシス(Rku)と前記スキューネス(Rsk)の測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、前記切削チップ46を保持する前記チップホルダ47を交換する。
このため、シリンダ内周面12d,22dの仕上げ切削加工を行うだけで、シリンダ内周面12d,22dの表面粗さ形状を、液密用シール部材(シールリング15,25)の摺動磨耗を抑える形状に管理することができる。
特に、車両用の変速機においては、コンタミネーションによるバルブの作動不良を抑制するため油圧回路内にフィルターが用いられるが、シール部材が磨耗すると磨耗によって生じた粉体がフィルターに詰まり、油圧回路内の圧損の原因となる場合がある。本実施例のように、シール部材の摺動磨耗を抑えることができれば、シール性の低下のみならず、油圧回路全体への圧力損失の影響を低減することができる。
(2) 前記仕上げ切削加工工程は、前記切削チップ46を交換した後、交換した切削チップ46の磨耗が進む前に、粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)を測定し、その測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、前記切削チップ46を保持する前記チップホルダ47を交換する。
このため、(1)の効果に加え、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値のうち、少なくとも一方が管理値を超える原因が、チップホルダ47にあることの推定に基づき、チップホルダ47を交換するので、チップホルダ47がまだ十分に使用可能な状態にもかかわらず、交換してしまうといった無駄を排除し、既に磨耗が進行しているチップホルダ47を続けて使用するのを防止することができる。
(3) 前記仕上げ切削加工工程は、前記シリンダ内周面12d,22dの表面粗さ形状の管理パラメータとして、高さ方向の振幅平均パラメータである算術平均粗さ(Ra)を用い、前記算術平均粗さ(Ra)の測定値が予め設定された管理値以下のとき、粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)の測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、前記切削チップ46を保持する前記チップホルダ47を交換する。
このように、切削チップ46に問題が無いという前提で、クルトシスRkuとスキューネスRskの測定値判断を少ない頻度で行うようにしたため、(1)または(2)の効果に加え、効率良く、且つ、精度良く、既に磨耗が進行しているチップホルダ47を交換することができる。
(4) 前記仕上げ切削加工工程は、前記チップホルダ47を交換する場合、同時に前記切削チップ46も交換する。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、磨耗したチップホルダ47によって加工を行ったことで切削チップ46の劣化が進んだとき、劣化した切削チップ46で加工を続けることを回避することができる。
(5) 前記シリンダがベルト式無段変速機CVTの駆動プーリ12,22の背面側に形成されるシリンダ12b,22bであり、前記ピストンが前記駆動プーリ12,22の軸部に固定され、前記シリンダ12b,22bと協働して油圧室(プライマリ圧室14,セカンダリ圧室24)を形成するピストン(固定ピストンプレート16,26)である。
このため、ベルト式無段変速機CVTの駆動プーリ12,22の製造時、シリンダ内周面12d,22dの仕上げ切削加工を行うだけで、シリンダ内周面12d,22dの表面粗さ形状を、液密用シール部材(シールリング15,25)の摺動磨耗を抑える形状に管理することができる。
以上、本発明の油圧アクチュエータ装置の製造方法を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、仕上げ切削加工工程として、チップ交換後1ヶ目の加工が終了すると、クルトシスRkuとスキューネスRskを測定し、その測定値が管理値を超えているかどうかを判断する例を示した。しかし、仕上げ切削加工工程としては、切削チップを交換した後、交換した切削チップの磨耗が進む前であれば、チップ交換後1ヶ目の加工が終了タイミングではなく、例えば、数個の加工が終了するタイミングとしても良い。
実施例1では、油圧アクチュエータ装置の製造方法をベルト式無段変速機CVTの駆動プーリの製造に適用する例を示した。しかし、本発明の油圧アクチュエータ装置の製造方法は、ベルト式無段変速機の駆動プーリに限らず、様々な油圧アクチュエータ装置に適用することができる。すなわち、シリンダのシリンダ内周面に摺接するピストンの外周に液密用シール部材が装着されたピストン/シリンダ機構で構成され、油圧が供給されることによって駆動される油圧アクチュエータ装置であれば適用できる。
CVT ベルト式無段変速機
1 プライマリプーリ
11 固定プーリ
11a シーブ面
12 駆動プーリ(油圧アクチュエータ装置)
12a シーブ面
12b シリンダ
12d シリンダ内周面
14 プライマリ圧室(油圧室)
15 シールリング(液密用シール部材)
16 固定ピストンプレート(ピストン)
2 セカンダリプーリ
21 固定プーリ
21a シーブ面
22 駆動プーリ(油圧アクチュエータ装置)
22a シーブ面
22b シリンダ
22d シリンダ内周面
24 セカンダリ圧室(油圧室)
25 シールリング(液密用シール部材)
26 固定ピストンプレート(ピストン)
3 ベルト
46 切削チップ
47 チップホルダ
Ra 算術平均粗さ
Rku 粗さ曲線のクルトシス
Rsk 粗さ曲線のスキューネス
W1,W2 駆動プーリワーク
D1 加工寸法
D2 設計寸法

Claims (5)

  1. シリンダ内周面に摺接するピストンの外周に液密用シール部材が装着されたピストン/シリンダ機構で構成され、油圧が供給されることによって駆動される油圧アクチュエータ装置の製造方法において、
    前記シリンダ内周面を、次の熱処理工程による熱歪みを考慮した加工寸法とする生切削加工を行う生切削加工工程と、
    前記生切削加工した前記シリンダの表面を硬化するように熱処理する熱処理工程と、
    前記熱処理工程を経過した後の前記シリンダ内周面を、チップホルダに保持された切削チップを用いた切削により設計寸法とする仕上げ切削加工を行う仕上げ切削加工工程と、を有し、
    前記仕上げ切削加工工程は、前記シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして、高さ方向の特徴平均パラメータである粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)を用い、前記クルトシス(Rku)と前記スキューネス(Rsk)の測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、前記切削チップを保持する前記チップホルダを交換することを特徴とする油圧アクチュエータ装置の製造方法。
  2. 前記仕上げ切削加工工程は、前記切削チップを交換した後、交換した切削チップの磨耗が進む前に、粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)を測定し、その測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、前記切削チップを保持する前記チップホルダを交換することを特徴とする請求項1に記載の油圧アクチュエータ装置の製造方法。
  3. 前記仕上げ切削加工工程は、前記シリンダ内周面の表面粗さ形状の管理パラメータとして、高さ方向の振幅平均パラメータである算術平均粗さ(Ra)を用い、前記算術平均粗さ(Ra)の測定値が予め設定された管理値以下のとき、粗さ曲線のクルトシス(Rku)と粗さ曲線のスキューネス(Rsk)の測定値のうち、少なくとも一方が予め設定された管理値を超えた場合、前記切削チップを保持する前記チップホルダを交換することを特徴とする請求項1または2に記載の油圧アクチュエータ装置の製造方法。
  4. 前記仕上げ切削加工工程は、前記チップホルダを交換する場合、同時に前記切削チップも交換することを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の油圧アクチュエータ装置の製造方法。
  5. 前記シリンダがベルト式無段変速機の駆動プーリの背面側に形成されるシリンダであり、前記ピストンが前記駆動プーリの軸部に固定され、前記シリンダと協働して油圧室を形成するピストンであることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の油圧アクチュエータ装置の製造方法。
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