以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る導電材料は、硬化性化合物と、カチオン発生剤と、アミン化合物と、導電性粒子とを含む。上記アミン化合物は、芳香族環を有する第1級アミンである。
本発明に係る導電材料が上述した組成を有することにより、特に上記カチオン発生剤と上記芳香族環を有する第1級アミンとを用いることにより、カチオン発生剤を用いているにも関わらず、導電材料の保存安定性がかなり高くなる。本発明に係る導電材料では、長期間保管されても、硬化性が変化し難い。この結果、導電材料により接着された接続対象部材の接着性がより一層高くなる。さらに、本発明に係る導電材料では、カチオン発生剤を用いているにも関わらず、電極間を電気的に接続した場合に、電極間の導通信頼性を高めることができる。
また、本発明者らは、カチオン発生剤を用いることで、カチオン発生剤以外の熱硬化剤(イミダゾール化合物など)を用いた場合と比べて、導通信頼性を効果的に高めることができることを見出した。
また、本発明者らは、上記芳香族環を有する第1級アミンを用いることで、芳香族環を有しないアミン化合物を用いたり、第1級アミン以外のアミン化合物を用いたりした場合と比べて、カチオン発生剤を含む導電材料において、導電材料の保存安定性、及び電極間の導通信頼性を高めることができることを見出した。
本発明に係る導電材料を硬化させる方法としては、導電材料に光を照射する方法、導電材料を加熱する方法、導電材料に光を照射した後、導電材料を加熱する方法、並びに導電材料を加熱した後、導電材料に光を照射する方法が挙げられる。また、光硬化の速度及び熱硬化の速度が異なる場合などには、光の照射と加熱とを同時に行ってもよい。なかでも、導電材料に光を照射した後、導電材料を加熱する方法が好ましい。光硬化と熱硬化との併用により、導電材料を短時間で硬化させることができる。本発明に係る導電材料を硬化させる際には、少なくとも加熱が行われることが好ましい。すなわち、本発明に係る導電材料は、熱硬化されて用いられることが好ましい。また、光硬化の速度及び熱硬化の速度が異なる場合などには、光の照射と加熱とを同時に行ってもよい。なかでも、導電材料に光を照射した後、導電材料を加熱する方法が好ましい。光硬化と熱硬化との併用により、導電材料を短時間で硬化させることができる。
上記硬化性化合物は、加熱により硬化可能な硬化性化合物(熱硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)であってもよく、光の照射により硬化可能な硬化性化合物(光硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)であってもよい。上記硬化性化合物は、加熱により硬化可能な硬化性化合物(熱硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)であることが好ましい。
上記導電材料は、加熱により硬化可能な導電材料であり、上記硬化性化合物として、加熱により硬化可能な硬化性化合物(熱硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)を含んでいてもよい。該加熱により硬化可能な硬化性化合物は、光の照射により硬化しない硬化性化合物(熱硬化性化合物)であってもよく、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物(光及び熱硬化性化合物)であってもよい。
また、上記導電材料は、光の照射と加熱との双方により硬化可能な導電材料であり、上記硬化性化合物として、光の照射により硬化可能な硬化性化合物(光硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)をさらに含むことが好ましい。この場合には、光の照射により導電材料を半硬化(Bステージ化)させ、導電材料の流動性を低下させた後、加熱により導電材料を硬化させることができる。上記光の照射により硬化可能な硬化性化合物は、加熱により硬化しない硬化性化合物(光硬化性化合物)であってもよく、光の照射と加熱との双方により硬化可能な硬化性化合物(光及び熱硬化性化合物)であってもよい。
本発明に係る導電材料に含まれている上記カチオン発生剤は、加熱によりカチオンを発生するカチオン発生剤(熱カチオン発生剤、又は光及び熱カチオン発生剤)であってもよく、光の照射によりカチオンを発生する光カチオン発生剤(光カチオン発生剤、又は光及び熱カチオン発生剤)であってもよい。上記カチオン発生剤は、加熱によりカチオンを発生するカチオン発生剤(熱カチオン発生剤、又は光及び熱カチオン発生剤)であることが好ましい。
本発明に係る導電材料は、硬化剤を含む。本発明に係る導電材料は、上記硬化剤として、カチオン発生剤を含む。
本発明に係る導電材料は、光硬化開始剤を含んでいてもよい。本発明に係る導電材料は、上記光硬化開始剤として、光ラジカル発生剤を含むことが好ましい。
上記導電材料は、上記硬化性化合物として、熱硬化性化合物を含み、光硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物を更に含むことが好ましい。上記導電材料は、上記硬化性化合物として、熱硬化性化合物と光硬化性化合物とを含むことが好ましい。
以下、先ず、本発明に係る導電材料に好適に用いられる各成分の詳細を説明する。
(硬化性化合物)
上記導電材料に含まれている硬化性化合物は特に限定されない。上記硬化性化合物として、従来公知の硬化性化合物が使用可能である。上記硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化性化合物は、エポキシ基を有する硬化性化合物を含有することが好ましい。エポキシ基を有する硬化性化合物は、エポキシ化合物である。上記エポキシ基を有する硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ基を有する硬化性化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましく、ナフタレン環であることが更に好ましい。ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることが可能である。
上記導電材料の硬化性を高める観点からは、上記硬化性化合物の全体100重量%中、上記エポキシ基を有する硬化性化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、100重量%以下である。上記硬化性化合物の全量が上記エポキシ基を有する硬化性化合物であってもよい。上記エポキシ基を有する硬化性化合物と該エポキシ基を有する硬化性化合物とは異なる他の硬化性化合物とを併用する場合には、上記硬化性化合物の全体100重量%中、上記エポキシ基を有する硬化性化合物の含有量は、好ましくは99重量%以下、より好ましくは95重量%以下、更に好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。
上記硬化性化合物は、エポキシ基を有する硬化性化合物とは異なる他の硬化性化合物をさらに含有していてもよい。該他の硬化性化合物としては、不飽和二重結合を有する硬化性化合物、フェノール硬化性化合物、アミノ硬化性化合物、不飽和ポリエステル硬化性化合物、ポリウレタン硬化性化合物、シリコーン硬化性化合物及びポリイミド硬化性化合物等が挙げられる。上記他の硬化性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性をより一層高めたりする観点からは、上記硬化性化合物は、不飽和二重結合を有する硬化性化合物を含有することが好ましい。上記導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体における導通信頼性を更に一層高めたりする観点からは、上記不飽和二重結合を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物であることが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物の使用により、Bステージ化した導電材料全体(光が直接照射された部分と光が直接照射されなかった部分とを含む)で硬化率を好適な範囲に制御することが容易になり、得られる接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。
Bステージ化した導電材料層の硬化率を容易に制御し、更に得られる接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
Bステージ化した導電材料層の硬化率を容易に制御し、更に得られる接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、(メタ)アクリロイル基を1個又は2個有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物としては、エポキシ基を有さず、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物、及びエポキシ基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを示す。上記「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルとを示す。上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとを示す。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも使用可能である。
上記エポキシ基を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上有する化合物の一部のエポキシ基を、(メタ)アクリロイル基に変換することにより得られる硬化性化合物であることが好ましい。この硬化性化合物は、部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物である。
上記硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物を含有することが好ましい。この反応物は、エポキシ基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って触媒の存在下で反応させることにより得られる。エポキシ基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換(転化率)されていることが好ましい。転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ化合物としては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記硬化性化合物として、エポキシ基を2個以上有するフェノキシ樹脂の一部のエポキシ基が(メタ)アクリロイル基に変換された変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。すなわち、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する変性フェノキシ樹脂を用いてもよい。
また、上記硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱硬化性化合物と光硬化性化合物とを併用する場合には、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との配合比は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との種類に応じて適宜調整される。上記導電材料は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを重量比で、1:99〜90:10で含むことが好ましく、5:95〜60:40で含むことがより好ましく、10:90〜40:60で含むことが更に好ましい。
(硬化剤)
上記導電材料は、硬化剤を含む。該硬化剤は、熱硬化剤を含んでいてもよく、光硬化開始剤を含んでいてもよい。該硬化剤は、カチオン発生剤を含む。該カチオン発生剤として従来公知のカチオン発生剤が使用可能である。また、本発明では、カチオン発生剤は、導電材料を光硬化のみさせるための光カチオン発生剤として用いるのではなく、導電材料を少なくとも熱硬化させるための熱カチオン発生剤として用いることが好ましい。さらに、本発明では、カチオン発生剤は、導電材料を光硬化させるための光カチオン発生剤として用いるのではなく、導電材料を熱硬化させるための熱カチオン発生剤として用いることが好ましい。上記カチオン発生剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記カチオン発生剤として、ヨードニウム塩及びスルフォニウム塩が好適に用いられる。例えば、上記カチオン発生剤の市販品としては、三新化学社製のサンエイドSI−45L、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−150L、並びにADEKA社製のアデカオプトマーSP−150、SP−170等が挙げられる。
好ましいカチオン発生剤のアニオン部分としては、PF6、BF4、及びB(C6F5)4が挙げられる。
また、上記カチオン発生剤の他の具体例としては、2−ブテニルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2−ブテニルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、2−ブテニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、3−メチル−2−ブテニルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、3−メチル−2−ブテニルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、3−メチル−2−ブテニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、4−ヒドロキシフェニルシンナミルメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−ヒドロキシフェニルシンナミルメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、4−ヒドロキシフェニルシンナミルメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、α−ナフチルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、α−ナフチルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、α−ナフチルメチルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、シンナミルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、シンナミルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、シンナミルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、シンナミルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、シンナミルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、シンナミルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、ビフェニルメチルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビフェニルメチルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、ビフェニルメチルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、ビフェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビフェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、ビフェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルメチルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルメチルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、フェニルメチルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、フェニルメチルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、フルオレニルメチルジメチルスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フルオレニルメチルジメチルスルフォニウムテトラフルオロボレート、フルオレニルメチルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート、フルオレニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フルオレニルメチルテトラメチレンスルフォニウムテトラフルオロボレート、及びフルオレニルメチルテトラメチレンスルフォニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
上記カチオン発生剤は、加熱により無機酸イオンを放出するか、又は加熱によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出することが好ましい。上記カチオン発生剤は、加熱により無機酸イオンを放出する成分であることが好ましく、加熱によりホウ素原子を含む有機酸イオンを放出する成分であることも好ましい。
加熱により無機酸イオンを放出するカチオン発生剤は、アニオン部分としてSbF6−又はPF6−を有する化合物であることが好ましい。上記カチオン発生剤は、アニオン部分としてSbF6−を有する化合物であることが好ましく、アニオン部分としてPF6−を有する化合物であることも好ましい。
上記カチオン発生剤のアニオン部分がB(C6X5)4 −で表されることが好ましい。ホウ素原子を含む有機酸イオンを放出するカチオン発生剤は、下記式(1)で表されるアニオン部分を有する化合物であることが好ましい。
上記式(1)中、Xはハロゲン原子を表す。上記式(1)中のXは、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
上記カチオン発生剤のアニオン部分がB(C6F5)4 −で表されることが好ましい。上記ホウ素原子を含む有機酸イオンを放出するカチオン発生剤は、下記式(1A)で表されるアニオン部分を有する化合物であることがより好ましい。
上記カチオン発生剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物100重量部に対して、上記カチオン発生剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは5重量部以上、特に好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記硬化性化合物に対する上記カチオン発生剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料が充分に硬化する。
上記加熱により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記カチオン発生剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは5重量部以上、特に好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記加熱により硬化可能な硬化性化合物に対する上記カチオン発生剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料が充分に熱硬化する。
電極間の導通信頼性及び接続構造体の高湿下での接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料は、上記カチオン発生剤と、熱ラジカル発生剤との双方を含むことが好ましい。上記熱ラジカル発生剤は特に限定されない。上記熱ラジカル発生剤として、従来公知の熱ラジカル発生剤を用いることができる。上記熱ラジカル発生剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。ここで、「熱ラジカル発生剤」とは、加熱によってラジカル種を生成する化合物を意味する。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び過酸化物等が挙げられる。上記過酸化物としては、ジアシルパーオキサイド化合物、パーオキシエステル化合物、ハイドロパーオキサイド化合物、パーオキシジカーボネート化合物、パーオキシケタール化合物、ジアルキルパーオキサイド化合物、及びケトンパーオキサイド化合物等が挙げられる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記加熱により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、更に好ましくは5重量部以上、特に好ましくは10重量部以上、好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、更に好ましくは20重量部以下である。上記熱硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料を充分に熱硬化させることができる。上記熱硬化剤の含有量は、上記熱硬化剤が熱カチオン発生剤のみである場合には、カチオン発生剤の含有量を示し、上記熱硬化剤がカチオン発生剤と他の熱硬化剤(熱ラジカル発生剤など)との双方を含む場合には、カチオン発生剤と他の熱硬化剤との合計の含有量を示す。
上記硬化剤が熱ラジカル発生剤を含む場合に、上記硬化性化合物中の上記加熱により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記熱ラジカル発生剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。上記熱ラジカル発生剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料を充分に熱硬化させることができる。
上記導電材料は、上記硬化剤として、光硬化開始剤を含んでいてもよい。光硬化開始剤には、上述した光カチオン発生剤(光カチオン発生剤、又は光及び熱カチオン発生剤)が含まれる。上記光硬化開始剤は特に限定されない。上記光硬化開始剤として、従来公知の光硬化開始剤を用いることができる。電極間の導通信頼性及び接続構造体の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料は、光ラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記光硬化開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記カチオン発生剤以外の他の光硬化開始剤としては、特に限定されず、アセトフェノン光硬化開始剤(アセトフェノン光ラジカル発生剤)、ベンゾフェノン光硬化開始剤(ベンゾフェノン光ラジカル発生剤)、チオキサントン、ケタール光硬化開始剤(ケタール光ラジカル発生剤)、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記光硬化開始剤の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物中の上記光の照射により硬化可能な硬化性化合物100重量部に対して、上記光硬化開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。上記光硬化開始剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電材料を適度に光硬化させることができる。導電材料に光を照射し、Bステージ化することにより、導電材料の流動を抑制できる。上記光硬化開始剤の含有量は、上記光硬化開始剤がカチオン発生剤のみである場合には、カチオン発生剤の含有量を示し、上記光硬化開始剤がカチオン発生剤と他の光硬化開始剤との双方を含む場合には、カチオン発生剤と他の光硬化開始剤との合計の含有量を示す。
(アミン化合物)
上記導電材料に含まれているアミン化合物は、芳香族環を有する第1級アミンである。この特定のアミン化合物の使用は、カチオン発生剤を含む導電材料の保存安定性の向上に大きく寄与する。上記アミン化合物は、芳香族環を有する第1級アミンであれば特に限定されない。上記アミン化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第1級アミンにおける芳香族環としては、上記硬化性化合物の芳香族環として挙げた芳香族環が挙げられる。なかでも、ベンゼン環が好ましい。
上記芳香族環を有する第1級アミンの具体例としては、ベンジルアミン、α,α−ジメチルベンジルアミン、アニリン、2−ナフチルアミン、1−ナフチルメチルアミン、2−アミノビフェニル及び4−アミノビフェニル等が挙げられる。
上記導電材料中のカチオン発生剤と上記芳香族環を有する第1級アミンとの含有量は、重量比(カチオン発生剤:第1級アミン)で、99.9:0.1〜97:3であることが好ましく、99.5:0.5〜98:2であることがより好ましい。
上記芳香族環を有する第1級アミンの含有量が、上述した好ましい範囲内であると、導電材料の保存安定性と電極間の導通信頼性とがより一層安定する。
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、導電性の表面に導電部を有していればよい。該導電部は導電層であることが好ましい。図3に、導電性粒子の一例を断面図で示すように、導電性粒子11は、基材粒子12と、基材粒子12の表面上に配置された導電層13とを備えていてもよい。導電性粒子は、全体が導電部である金属粒子であってもよい。なかでも、コストを低減したり、導電性粒子の柔軟性を高くして、電極間の導通信頼性を高めたりする観点からは、基材粒子と、基材粒子の表面上に配置された導電部とを有する導電性粒子が好ましい。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属粒子を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記基材粒子は、樹脂により形成された樹脂粒子であることが好ましい。導電性粒子を用いて電極間を接続する際には、導電性粒子を電極間に配置した後、圧着することにより導電性粒子を圧縮させる。基材粒子が樹脂粒子であると、上記圧着の際に導電性粒子が変形しやすく、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなる。このため、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン系共重合体等としては、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体及びジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記無機粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。
上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。さらに、導電性粒子が、全体が導電部である金属粒子である場合、該金属粒子を形成するための金属は特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。なかでも、電極間の接続抵抗がより一層低くなるので、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金が好ましく、ニッケル又はパラジウムが好ましい。
上記導電層は、1つの層により形成されていてもよい。導電層は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、導電層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電層が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電層である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。
上記基材粒子の表面に導電層を形成する方法は特に限定されない。導電層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、導電層の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積を充分に大きくなり、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子が形成されにくくなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
上記導電層の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm以下である。導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、充分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が充分に変形する。
上記導電層が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電層の厚みは、特に最外層が金層である場合の金層の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電層の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電層による被覆が均一になり、耐腐食性が充分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が充分に低くなる。また、上記最外層が金層である場合の金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
上記導電層の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子又は導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。
電極と導電性粒子との接触面積を大きくし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層(第1の導電層)とを有することが好ましい。
上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、更に好ましくは19重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
(他の成分)
上記導電材料は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーの使用により、導電材料の硬化物の熱線膨張率を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、窒化アルミニウム、アルミナ、ガラス、窒化ボロン、窒化ケイ素、シリコーン、カーボン、グラファイト、グラフェン及びタルク等が挙げられる。フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱伝導率が高いフィラーを用いると、本硬化時間が短くなる。
上記導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、導電材料の粘度を容易に調整できる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
(導電材料の詳細及び用途)
本発明に係る導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。本発明に係る導電材料は、電極の電気的な接続に用いられる導電材料であることが好ましい。本発明に係る導電材料は、ペースト状又はフィルム状の導電材料であり、ペースト状の導電材料であることが好ましい。ペースト状の導電材料は、導電ペーストである。フィルム状の導電材料は、導電フィルムである。導電材料が導電フィルムである場合、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
また、本発明に係る導電材料は、有機エレクトロルミネッセンス表示素子における電極の電気的な接続に好適に用いられる。本発明に係る導電材料は、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板の電極間の電気的な接続により好適に用いられる。上記有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板としては、有機エレクトロルミネッセンス素子を備える有機エレクトロルミネッセンス基板及び封止基板等が挙げられる。上記封止基板は、有機エレクトロルミネッセンス素子を封止するための基板である。本発明に係る導電材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子を備える有機エレクトロルミネッセンス基板の電極と、封止基板の電極との電気的な接続により好適に用いられる。
接続対象部材の熱劣化を抑制する観点からは、本発明に係る導電材料は、120℃を超える温度に加熱せずに、120℃以下の温度に加熱して、熱硬化されて用いられることが好ましく、100℃を超える温度に加熱せずに、100℃以下の温度に加熱して、熱硬化されて用いられることがより好ましい。有機エレクトロルミネッセンス素子用基板では、120℃を超える温度に加熱されると、熱劣化がかなり問題となることがある。本発明に係る導電材料の使用により、上記温度以下に加熱して、熱硬化させることが可能である。
導電材料の保存安定性をより一層高くし、電極間の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料の25℃でのpHは、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上、好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8以下である。
本発明に係る導電材料は、導電ペーストであって、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗布される導電ペーストであることが好ましい。
上記導電ペーストの25℃での粘度は、好ましくは20Pa・s以上、より好ましくは100Pa・s以上、好ましくは700Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記粘度が上記下限以上であると、導電ペースト中での導電性粒子の沈降を抑制できる。上記粘度が上記上限以下であると、導電性粒子の分散性がより一層高くなる。塗布前の上記導電ペーストの上記粘度が上記範囲内であれば、第1の接続対象部材上に導電ペーストを塗布した後に、硬化前の導電ペーストの流動をより一層抑制でき、更にボイドがより一層生じ難くなる。なお、ペースト状には液状も含まれる。
本発明に係る導電材料は、様々な接続対象部材を接着するために使用できる。上記導電材料は、第1,第2の接続対象部材が電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。上記導電材料は、第1,第2の接続対象部材の電極間が電気的に接続されている接続構造体を得るためにより好適に用いられる。
図1に、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いた接続構造体の一例を模式的に正面断面図で示す。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を電気的に接続している接続部3とを備える。接続部3は、硬化物層であり、導電性粒子5を含む導電材料を硬化させることにより形成されている。接続部3は、異方性導電材料を硬化させることにより形成されていることが好ましい。
第1の接続対象部材2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材4は表面(下面)に、複数の第2の電極4aを有する。第1の電極2aと第2の電極4aとが、1つ又は複数の導電性粒子5により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材2,4が導電性粒子5により電気的に接続されている。
第1,第2の電極2a,4a間の接続は、通常、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とを導電材料を介して第1,第2の電極2a,4a同士が対向するように重ね合わせた後に、導電材料を硬化させる際に、加圧することにより行われる。加圧により、一般に導電性粒子5は圧縮される。
第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びにプリント基板、フレキシブルプリント基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記導電材料は、電子部品の接続に用いられる導電材料であることが好ましい。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上記第1の接続対象部材の表面に、上記導電材料により導電材料層を配置する工程と、上記導電材料層の上記第1の接続対象部材側と反対側の表面に、上記第2の接続対象部材を配置する工程と、上記導電材料層を熱硬化させて、上記第1,第2の接続対象部材を電気的に接続している接続部を形成する工程とを備えることが好ましい。この場合に、上記導電材料は、120℃を超える温度に加熱せずに、120℃以下の温度に加熱して、熱硬化されることが好ましく、100℃を超える温度に加熱せずに、100℃以下の温度に加熱して、熱硬化されることがより好ましい。
また、図1に示す接続構造体1は、例えば、図2(a)〜(c)に示す状態を経て、以下のようにして得ることができる。
図2(a)に示すように、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、第1の接続対象部材2の表面に、複数の導電性粒子5を含む導電材料を配置し、第1の接続対象部材2の表面に導電材料層3Aを形成する。このとき、第1の電極2a上に、1つ又は複数の導電性粒子5が配置されていることが好ましい。
次に、導電材料層3Aに光を照射することにより、導電材料層3Aの硬化を進行させる。図2(a)〜(c)では、導電材料層3Aに光を照射して、導電材料層3Aの硬化を進行させて、導電材料層3AをBステージ化している。すなわち、図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の表面に、Bステージ化された導電材料層3Bを形成している。Bステージ化により、第1の接続対象部材2とBステージ化された導電材料層3Bとが仮接着される。Bステージ化された導電材料層3Bは、半硬化状態にある半硬化物である。Bステージ化された導電材料層3Bは、完全に硬化しておらず、熱硬化が更に進行され得る。但し、導電材料層3AをBステージ化せずに、導電材料層3Aに光を照射又は導電材料層3Aを加熱して、導電材料層3Aを一度に硬化させてもよい。導電材料層3Aを加熱して、導電材料層3Aを熱硬化させることが好ましい。
導電材料層3Aの硬化を効果的に進行させるために、光を照射する際の光照射強度は0.1〜8000mW/cm2の範囲内であることが好ましい。積算光量は、0.1〜20000J/cm2であることが好ましい。光を照射する際に用いる光源は特に限定されない。該光源としては、例えば、波長420nm以下に充分な発光分布を有する光源等が挙げられる。また、光源の具体例としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ及びLEDランプ等が挙げられる。
次に、図2(c)に示すように、Bステージ化された導電材料層3Bの第1の接続対象部材2側とは反対の表面に、第2の接続対象部材4を積層する。第1の接続対象部材2の表面の第1の電極2aと、第2の接続対象部材4の表面の第2の電極4aとが対向するように、第2の接続対象部材4を積層する。
さらに、第2の接続対象部材4の積層の際に、Bステージ化された導電材料層3Bを加熱することにより、Bステージ化された導電材料層3Bを更に硬化させ、接続部3を形成する。但し、第2の接続対象部材4の積層の前に、Bステージ化された導電材料層3Bを加熱してもよい。さらに、第2の接続対象部材4の積層の後にBステージ化された導電材料層3Bを加熱してもよい。
加熱により導電材料層3A又はBステージ化された導電材料層3Bを硬化させる際の加熱温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、より一層好ましくは100℃以上、更に好ましくは140℃以上、特に好ましくは160℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。本発明に係る導電材料が、有機エレクトロルミネッセンス表示素子における電極の電気的な接続に用いられる場合には、上記導電材料層3A又はBステージ化された導電材料層3Bを硬化させる際の加熱温度は120℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
Bステージ化された導電材料層3Bを硬化させる際に、加圧することが好ましい。加圧によって第1の電極2aと第2の電極4aとで導電性粒子5を圧縮することにより、第1,第2の電極2a,4aと導電性粒子5との接触面積を大きくすることができる。このため、導通信頼性を高めることができる。さらに、導電性粒子5を圧縮することで、第1,第2の電極2a,4a間の距離が拡がっても、この拡がりに追従するように導電性粒子5の粒子径が大きくなる。
Bステージ化された導電材料層3Bを硬化させることにより、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とが、接続部3を介して接続される。また、第1の電極2aと第2の電極4aとが、導電性粒子5を介して電気的に接続される。このようにして、導電材料を用いた図1に示す接続構造体1を得ることができる。ここでは、光硬化と熱硬化とが併用されているため、導電材料を短時間で硬化させることができる。
本発明に係る導電材料は、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、又はフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等に使用できる。なかでも、上記導電材料は、FOG用途又はCOG用途に好適であり、COG用途により好適である。本発明に係る導電材料は、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続、又は半導体チップとガラス基板との接続に用いられる導電材料であることが好ましく、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続に用いられる導電材料であることがより好ましい。
本発明に係る接続構造体では、上記第2の接続対象部材と上記第1の接続対象部材とが、フレキシブルプリント基板とガラス基板とであるか、又は半導体チップとガラス基板とであることが好ましく、フレキシブルプリント基板とガラス基板とであることがより好ましい。
また、本発明に係る接続構造体は、有機エレクトロルミネッセンス表示素子であることも好ましい。上記有機エレクトロルミネッセンス表示素子における電極が、上記導電材料に含まれる導電性粒子により電気的に接続されていてもよい。
また、上記第1,第2の接続対象部材はそれぞれ、有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板であることが好ましい。上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とが、有機エレクトロルミネッセンス素子を備える有機エレクトロルミネッセンス基板と封止基板とであることが好ましい。この場合に、上記第1の接続対象部材が上記有機エレクトロルミネッセンス基板でありかつ上記第2の接続対象部材が上記封止基板であってもよく、上記第1の接続対象部材が上記封止基板でありかつ上記第2の接続対象部材が上記有機エレクトロルミネッセンス基板であってもよい。
電極幅(第1の電極幅及び第2の電極幅)は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。電極間幅(第1の電極間幅及び第2の電極間幅)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。また、電極幅/電極間幅であるL/S(ライン/スペース)は、好ましくは5μm/5μm以上、より好ましくは10μm/10μm以上、好ましくは500μm/500μm以下、より好ましくは300μm/300μm以下である。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)異方性導電材料の調製:
ビスフェノールA変性エポキシ樹脂(DIC社製「EPICLON EXA−4850−150」)40重量部、及びビスフェノールFエポキシ樹脂(DIC社製「EXA−835LV」)30重量部に、カチオン発生剤であるSI−60L(三新化学社製のサンエイド)3重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)20重量部と、光硬化開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)1重量部と、フィラーである平均粒子径0.25μmのシリカ10重量部と、ベンジルアミン0.05重量部と、平均粒子径10μmの導電性粒子A4重量部とを添加し、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、導電ペーストを得た。
なお、用いた導電性粒子Aは、ジビニルベンゼン樹脂粒子の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている導電層を有する導電性粒子である。
(2)接続構造体の作製:
有機EL素子を備えており、L/Sが500μm/500μm、長さが20mmのMo/Al/Mo電極パターンが上面に形成された有機EL基板(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが500μm/500μm、長さが20mmのMo/AL/Mo電極パターンが下面に形成された封止基板(第2の接続対象部材)を用意した。
上記第1の接続対象部材上に、作製直後の導電ペーストを幅2mm、厚さ50μmとなるようにディスペンサーを用いて塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層上に上記第2の接続対象部材を、電極同士が対向するように積層した。365nmの紫外線を光照射強度が3000mW/cm2となるように3秒間照射し、光重合によって異方性導電ペースト層を半硬化させ、Bステージ化した。この積層体を用いて、かつ貼り合せ装置を用いて、0.3MPaの圧力をかけて100℃で30分間異方性導電ペースト層を硬化させ、有機EL表示素子(接続構造体X)を得た。
また、導電ペーストを遮光プラスチック容器中30℃で72時間放置した。作製直後の導電ペーストにかえて、30℃で72時間放置した後の導電ペーストを用いたこと以外は接続構造体Xと同様にして、有機EL表示素子(接続構造体Y)を得た。
(実施例2)
ベンジルアミンの添加量を0.05重量部から0.09重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(実施例3)
ベンジルアミンの添加量を0.05重量部から0.003重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(実施例4)
上記アミン化合物の種類を、ベンジルアミンから、α,α−ジメチルベンジルアミンに変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(実施例5)
熱硬化性化合物の種類を、ビスフェノールFエポキシ樹脂(DIC社製「EXA−835LV」)から、ビスフェノールE(プリンテック社製「EPOX−MK R1710」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(実施例6)
カチオン発生剤の種類を、SI−60L(三新化学社製のサンエイド)から、CXC−1612(K−PURE社製のK−PURE CXC)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(比較例1)
ベンジルアミンを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(比較例2)
上記アミン化合物の種類を、ベンジルアミンから、N−メチルベンジルアミン(芳香族環を有する第2級アミン)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(比較例3)
上記アミン化合物の種類を、上記ベンジルアミンから、n−ヘキシルアミン(脂肪族骨格を有する第1級アミン)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(参考例1)
カチオン発生剤であるSI−60Lを添加せずに、熱硬化剤(イミダゾール化合物、四国化成工業社製「2P−4MZ」)15重量部を添加したこと以外は、実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(参考例2)
カチオン発生剤であるSI−60Lを添加せずに、熱硬化剤(イミダゾール化合物、四国化成工業社製「2P−4MZ」)15重量部を添加したこと、並びにベンジルアミンを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストを用いて、実施例1と同様にして、接続構造体X,Yを得た。
(評価)
(1)導電材料のpH
作製直後の導電ペーストの25℃でのpHを測定した。pHを下記の基準で判定した。
[pHの判定基準]
A:pHが6以上、8以下
B:pHが4以上、6未満、又は8を超え、10以下
C:pHが4未満、又は10を超える
(2)保存安定性(硬化性)
作製直後の導電ペーストを用意して、導電ペーストを遮光プラスチック容器中30℃で72時間放置した。作製直後(放置前)の導電ペーストと、放置後の導電ペーストとを100℃1時間オーブンにて硬化させ、硬化物(直径10mm、厚み1mm)を得た。
ショア硬度計(D型)にて作製直後(放置前)の導電ペーストの硬化物の硬度D1と、放置後の導電ペーストの硬化物の硬度D2とから、導電ペーストの硬化性を下記の基準で判定した。
[保存安定性(硬化性)の判定基準]
○:硬度D2の硬度D1に対する比が0.9以上
△:硬度D2の硬度D1に対する比が0.8以上、0.9未満
×:硬度D2の硬度D1に対する比が0.8未満
(3)保存安定性(粘度)
作製直後の導電ペーストを用意して、導電ペーストを30℃で72時間放置した。作製直後(放置前)の導電ペーストの粘度η1と、放置後の導電ペーストの粘度η2とから、導電ペーストの保存安定性を下記の基準で判定した。なお、上記粘度η1及びη2は、E型粘度測定装置(TOKI SANGYO CO.LTD社製「VISCOMETER TV−22」、コーンローター:No.7)を用いて、2.5rpm及び25℃の条件で測定された値である。
[保存安定性(粘度)の判定基準]
○○:粘度η2の粘度η1に対する比が1.2未満
○:粘度η2の粘度η1に対する比が1.2以上、1.4未満
△:粘度η2の粘度η1に対する比が1.4以上、1.6未満
×:粘度η2の粘度η1に対する比が1.6以上
(4)導通信頼性(接続抵抗値)
得られた接続構造体X,Yの上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。100箇所の接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。得られた接続構造体X,Yの導通信頼性を下記の基準で判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○○:3Ω未満
○:3Ω以上、4Ω未満
△:4Ω以上、5Ω未満
×:5Ω以上