JP2014118860A - 電磁弁駆動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】開弁指令に基づく通常の同時開弁を妨げることなく、コンデンサから各コイルへの異常な放電を適切に検出して、意図しない電磁弁が誤って開弁してしまうのを防ぐ。
【解決手段】過電流検出部24は、コンデンサC1からの放電電流と自身が設定する過電流閾値とを比較して、放電電流の過電流状態を検出する。放電制御部21から出力される、コンデンサC1から複数系統のコイル11a〜16aへの放電を系統毎に個別に制御するための系統毎の放電駆動信号MD1,MD2,MD3は、過電流検出部24にも入力される。過電流検出部24は、各放電駆動信号MD1〜MD3のうち何れか1つがHレベルとなって1つの系統のコイルへ放電が行われる場合は、過電流閾値を第1過電流閾値に設定する。一方、複数の放電駆動信号がHレベルとなって複数系統のコイルへ同時に放電が行われる場合は、過電流閾値を第1過電流閾値よりも大きい第2過電流閾値に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電磁弁を駆動する電磁弁駆動装置に関する。
車両に搭載された内燃機関の各気筒にそれぞれ燃料を噴射供給するインジェクタ(燃料噴射弁)としては、一般に、コイルへの通電により開弁する電磁弁が使用されている。このようなインジェクタを駆動するインジェクタ駆動装置は、入力される噴射信号に従って各コイルへの通電を行う。
また、このようなインジェクタ駆動装置として、次のような構成のものが知られている。即ち、インジェクタの開弁応答を早めるために、DC−DCコンバータ等の昇圧回路により直流電源電圧を昇圧して放電用のコンデンサを充電する。そして、コイルに通電すべき駆動期間の開始時には、その放電用のコンデンサに蓄積しておいた高電圧のエネルギー(電気エネルギー)をコイルに放電して規定の大電流(いわゆるピーク電流)を流すことにより、そのインジェクタを速やかに開弁状態へ移行させる。開弁後は、コンデンサからの放電を停止させると共に駆動期間が終了するまでコイルへ一定電流を供給してインジェクタを開弁状態に保持させる(例えば、特許文献1参照。)。
上記構成のインジェクタ駆動装置で各インジェクタが駆動される場合、一般に、各インジェクタは、同時に通電(開弁)されることのない2つ以上のインジェクタを1つのグループとして複数のグループに分けられる。コンデンサにおける高電位側から各コイルの一端への配線(上流側配線)はグループ毎に個別に設けられ、各コイルの他端からコンデンサの低電位側への配線(下流側配線)は基本的にはコイル毎に個別に設けられる。各上流側配線にはそれぞれ、その上流側配線を導通・遮断するための放電用スイッチが直列接続され、各下流側配線にはそれぞれ、その下流側配線を導通・遮断するための気筒選択スイッチが直列接続される。
そして、インジェクタ駆動装置は、ある気筒のインジェクタを開弁すべき旨の噴射信号が入力されると、その開弁対象のインジェクタに対応した気筒選択スイッチをオンさせると共に、そのインジェクタが属するグループに対応した放電用スイッチをオンさせることにより、コンデンサからそのインジェクタのコイルへの放電を開始させる。放電開始後、コイルに流れる電流がピーク電流に達したら、放電用スイッチをオフさせてそのコイルへの放電を停止させ、別途設けられている定電流供給回路による、開弁保持のための一定電流供給を行う。
ところで、上記構成のインジェクタ駆動装置では、当該装置とコイルとの間の配線が車両のボディに接触するなどしてグランドラインへ短絡する故障(以下「GNDショート」ともいう)が発生するおそれがある。特に、その配線のうち上流側配線がGNDショート(以下「上流側GNDショート」ともいう)すると、放電を開始したときにコンデンサからその上流側GNDショートの部位へ過大な電流が流れ、放電用スイッチが破損するなどの種々の故障を引き起こすおそれがある。
これに対し、上流側GNDショートを検出して過電流から装置を保護するための回路として、コンデンサの一端側にコンデンサからの放電電流を検出する電流検出抵抗を設け、この電流検出抵抗により検出される放電電流が過電流閾値以上となった場合に放電を強制停止させるなどの保護措置をとる保護回路が知られている。
このような保護回路において、過電流判定用の過電流閾値は、一般に、複数グループの各コイルへ同時に放電が行われて対応する各気筒のインジェクタから同時に燃料が噴射されるオーバーラップ噴射(同時噴射)が行われる場合があることを考慮して、オーバーラップ噴射時にコンデンサから放電される最大電流値(即ち、オーバーラップ噴射時に放電対象の各コイルに流れる電流の総和の最大値)よりも大きい値に設定される。例えば、異なるグループの2つのコイルに同時にコンデンサから放電が行われることがある場合には、コンデンサからの放電電流は最大で2つのコイルのピーク電流の2倍に達するため、過電流閾値は、そのオーバーラップ噴射時の最大電流を考慮して、ピーク電流の2倍の値よりも大きい値に設定される。
特開2002−61534号公報
しかし、オーバーラップ噴射を考慮して過電流閾値が設定された保護回路では、例えばあるインジェクタのコイルの下流側端子とインジェクタ駆動装置を接続する配線(下流側配線の一部)がGNDショート(以下「下流側GNDショート」ともいう)した場合に、次のような問題が生じる。
即ち、あるコイルで上記のような下流側GNDショートが発生している状態において、そのコイルと同じグループの他のコイルを放電対象としてそのコイルへの放電が開始されると、コンデンサからの放電電流は、その放電対象のコイルだけではなく、下流側GNDショートが発生している他のコイルにも流れてしまう。つまり、本来は放電対象のコイル1つに放電が行われるべきところ、下流側GNDショートが発生している同グループの他のコイルにも放電電流が流れてしまう。
しかし、オーバーラップ噴射を考慮して高めの過電流閾値に設定された保護回路では、下流側GNDショートにより上記のような異常な放電が行われても、その放電電流が過電流閾値にまでは達せず、過電流が検出されない。その結果、放電対象のコイルのインジェクタが開弁して燃料が噴射されるだけでなく、下流側GNDショートが発生している他のコイルのインジェクタも開弁して燃料が噴射されてしまう。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、噴射信号等の開弁指令に基づく通常の同時開弁を妨げることなく(つまり通常の同時開弁時に誤って過電流と判断することなく)、コンデンサから各コイルへの異常な放電を適切に検出して、意図しない電磁弁が誤って開弁してしまうのを防ぐことを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の電磁弁駆動装置は、コイルへの通電により開弁する複数の電磁弁と、各電磁弁のコイルに供給する電気エネルギーが蓄積されるコンデンサとを備える。複数の電磁弁は、同時に通電されることのない2つ以上の電磁弁を1つのグループとして、複数のグループにグループ分けされている。
また、電磁弁駆動装置は、複数の上流側配線と、複数のグループ選択スイッチと、複数の電磁弁選択スイッチと、放電制御手段と、放電電流検出手段と、保護手段と、過電流閾値設定手段とを備える。
各上流側配線は、コンデンサから各電磁弁の各コイルへの通電経路を構成するものであって、グループ毎に設けられ、コンデンサから対応するグループの各コイルへそれぞれ通電するためにコンデンサと対応するグループの各コイルの一端とを接続する。各グループ選択スイッチは、上流側配線毎に設けられ、対応する上流側配線を導通・遮断するためにその上流側配線に直列に接続されている。各電磁弁選択スイッチは、電磁弁毎に設けられ、対応する電磁弁のコイルの通電経路を個別に導通・遮断するためにその通電経路に直列に接続されている。
放電制御手段は、電磁弁毎に個別に入力される開弁指令に従い、その開弁指令が入力された電磁弁に対し、その電磁弁に対応した電磁弁選択スイッチをオンすると共にその電磁弁が属するグループに対応したグループ選択スイッチをオンすることで、コンデンサからその電磁弁のコイルへの放電を開始させ、その放電開始後、その電磁弁を開弁させるための所定の電気エネルギーがその電磁弁のコイルへ供給された放電完了タイミングでその電磁弁のコイルへの放電を停止させる。放電電流検出手段は、コンデンサからの放電電流を検出する。保護手段は、放電電流検出手段により検出される放電電流が予め設定された過電流閾値以上になった場合にコンデンサからの放電を強制的に減少又は停止させる。
過電流閾値設定手段は、過電流閾値を設定する。具体的には、過電流閾値設定手段は、何れか1つのグループ選択スイッチがオンされている場合は、過電流閾値として所定の単一放電用過電流閾値を設定し、複数のグループ選択スイッチが同時にオンされている場合は、過電流閾値として単一放電用過電流閾値よりも大きい所定の複数放電用過電流閾値を設定する。
このように構成された本発明の電磁弁駆動装置によれば、1つのグループ選択スイッチがオンされている場合(即ち1つのコイルへ放電されて対応する1つの電磁弁が開弁される場合)と、複数のグループ選択スイッチが同時にオンされている場合(即ちグループが異なる複数のコイルへ同時に放電されて対応する各電磁弁が同時に開弁される場合)とで、過電流閾値が切り替わる。即ち、前者の場合の単一放電用過電流閾値に対して後者の場合の複数放電用過電流閾値の方が大きい値に設定される。これにより、1つのコイルへの通電時と複数のコイルへの同時放電時とでそれぞれ過電流閾値を適切に設定することができる。
そのため、開弁指令に基づく通常の同時開弁を妨げることなく(つまり通常の同時開弁時に誤って過電流と判断することなく)、コンデンサから各コイルへの異常な放電を適切に検出して、意図しない電磁弁が誤って開弁してしまうのを防ぐことができる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態のインジェクタ駆動システムの概略構成を表す説明図である。 第1実施形態の過電流検出部の概略構成を表す回路図である。 第1実施形態のEDUの動作例(システム正常時のシーケンス)を表す説明図である。 第1実施形態のEDUの動作例(下流側GNDショートの異常時のシーケンス)を表す説明図である。 異常時において過電流検出部でその異常を検出できない場合の動作例を表す説明図である。 第2実施形態の過電流検出部の概略構成を表す回路図である。 第2実施形態のEDUの動作例を表す説明図である。 第3実施形態の過電流検出部の概略構成を表す回路図である。 第3実施形態の過電流閾値制御処理を表すフローチャートである。 第4実施形態の過電流検出部の概略構成を表す回路図である。 第4実施形態のEDUの動作例を表す説明図である。 第4実施形態のEDUの動作例を表す説明図である。 第4実施形態のEDUの動作例を表す説明図である。 過電流検出部の変形例の概略構成を表す回路図である。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、下記の実施形態によって何ら限定して解釈されない。下記の実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略した態様も本発明の実施形態であり、下記の複数の実施形態を適宜組み合わせて構成される態様も本発明の実施形態である。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態のインジェクタ駆動装置(以下「EDU」という)1は、車両に搭載された多気筒(この例では6気筒)エンジンの各気筒♯1〜♯6に燃料を噴射供給する6個のインジェクタ(電磁弁)11,12,13,14,15,16を駆動するものである。より詳しくは、EDU1は、図示しない制御装置から入力される気筒毎の噴射信号IJT1〜IJT6(本発明の開弁指令の一例に相当)に従い、各インジェクタ11〜16のコイル11a,12a,13a,14a,15a,16aへの通電を個別に行って各インジェクタ11〜16を個別に開閉させる。
各インジェクタ11〜16は、常閉式の電磁弁により構成されており、コイル11a〜16aに通電されると開弁して燃料噴射を行う。また、コイル11a〜16aへの通電が遮断されると閉弁して燃料噴射を停止する。
本実施形態では、全6気筒分のインジェクタ11〜16が2気筒分ずつ3つのグループに分けられている。具体的には、気筒♯1及び気筒♯4の各インジェクタ11,14が第1グループとして、それらの各コイル11a,14aの上流側の一端がEDU1の第1コモン端子8に接続されている。また、気筒♯2及び気筒♯5の各インジェクタ12,15が第2グループとして、それらの各コイル12a,15aの上流側の一端がEDU1の第2コモン端子9に接続されている。また、気筒♯3及び気筒♯6の各インジェクタ13,16が第3グループとして、それらの各コイル13a,16aの上流側の一端がEDU1の第3コモン端子10に接続されている。各グループはいずれも、同時に駆動(通電)されることがない2つのインジェクタ同士で構成されている。
各コイル11a〜16aの下流側の端部は、それぞれEDU1の端子41,42,43,44,45,46を介して気筒選択用のトランジスタ(以下「気筒選択トランジスタ」という)T1,T2,T3,T4,T5,T6の一方の出力端子(ドレイン)にそれぞれ接続されている。そして、それら各気筒選択トランジスタT1〜T6の他方の出力端子(ソース)は、インジェクタのグループ毎に駆動電流検出抵抗R2,R3,R4を介してグランドラインに接続(接地)されている。
このため、気筒♯1,気筒♯4に対応した気筒選択トランジスタT1,T4を介して第1グループのインジェクタ11,14のコイル11a,14aに流れる電流が、駆動電流検出抵抗R2に生じる電圧として検出され、気筒♯2,♯5に対応した各気筒選択トランジスタT2,T5を介して第2グループのインジェクタ12,15のコイル12a,15aに流れる電流が、駆動電流検出抵抗R3に生じる電圧として検出され、気筒♯3,♯6に対応した各気筒選択トランジスタT3,T6を介して第3グループのインジェクタ13,16のコイル13a,16aに流れる電流が、駆動電流検出抵抗R4に生じる電圧として検出される。尚、EDU1内にスイッチング素子として設けられている各トランジスタT0,T1〜T6,T11,T12,T21,T22,T31,T32は、全てMOSFETである。
また、EDU1は、定電流制御用の3つのトランジスタ(以下「定電流トランジスタ」という)T11,T21,T31と、放電用の3つのトランジスタ(以下「放電用トランジスタ」という)T12,T22,T32と、6つのダイオードD1〜D6と、コンデンサC1と、放電電流検出抵抗R1と、制御IC3と、昇圧回路5とを備えている。
コンデンサC1は、各インジェクタ11〜16を開弁させるための電気エネルギーを蓄積(充電)するためのものである。
3つの放電用トランジスタT12,T22,T32のうち1つの放電用トランジスタ(以下「第1の放電用トランジスタ」ともいう)T12は、コンデンサC1から第1グループのインジェクタ11,14のコイル11a,14aへ開弁のための電気エネルギー(大電流)を供給するためのものであり、他の1つの放電用トランジスタ(以下「第2の放電用トランジスタ」ともいう)T22は、コンデンサC1から第2グループのインジェクタ12,15のコイル12a,15aへ開弁のための電気エネルギーを供給するためのものであり、もう1つの放電用トランジスタ(以下「第3の放電用トランジスタ」ともいう)T32は、コンデンサC1から第3グループのインジェクタ13,16のコイル13a,16aへ開弁のための電気エネルギーを供給するためのものである。
3つの定電流トランジスタT11,T21,T31のうち1つの定電流トランジスタ(以下「第1の定電流トランジスタ」ともいう)T11は、第1グループのインジェクタ11,14のコイル11a,14aへ、開弁後にその開弁状態を保持させるための一定の電流(保持電流)を流すためのものであり、他の1つの定電流トランジスタ(以下「第2の定電流トランジスタ」ともいう)T21は、第2グループのインジェクタ12,15のコイル12a,15aへ、開弁後にその開弁状態を保持させるための一定の保持電流を流すためのものであり、もう1つの定電流トランジスタ(以下「第3の定電流トランジスタ」ともいう)T31は、第3グループのインジェクタ13,16のコイル13a,16aへ、開弁後にその開弁状態を保持させるための一定の保持電流を流すためのものである。
昇圧回路5は、直流電源としての車載バッテリ7の直流電圧(バッテリ電圧)VB(本例では例えば12V)を昇圧して、そのバッテリ電圧VBよりも高い電圧を生成してコンデンサC1を充電する。
より具体的には、昇圧回路5は、インダクタL0と、充電用のトランジスタ(以下「充電用トランジスタ」という)T0とを備えている。インダクタL0は、一端がバッテリ電圧VBの供給される電源ラインLpに接続され、他端が充電用トランジスタT0の一方の出力端子(ドレイン)に接続されている。充電用トランジスタT0の他方の出力端子(ソース)は充電電流検出抵抗R0を介して接地されている。充電用トランジスタT0のゲートは、制御IC3内の充電制御部23に接続され、この充電制御部23の出力に応じて充電用トランジスタT0がオン/オフされる。
更に、インダクタL0と充電用トランジスタT0との接続点に、逆流防止用のダイオードD0を介してコンデンサC1の一端(正極側端子)が接続されている。コンデンサC1の他端(負極側端子)は、放電電流検出抵抗R1の一端に接続され、放電電流検出抵抗R1の他端は接地されている。
昇圧回路5においては、充電用トランジスタT0がオン/オフされると、インダクタL0と充電用トランジスタT0との接続点に、バッテリ電圧VBよりも高いフライバック電圧(逆起電圧)が発生し、そのフライバック電圧により、ダイオードD0を通じてコンデンサC1が充電される。充電制御部23は、コンデンサC1がバッテリ電圧VBよりも高い所定の目標充電電圧に充電されるように、コンデンサC1の充電電圧や充電電流検出抵抗R0の検出値等に基づいて充電用トランジスタT0をフィードバック制御する。
第1の放電用トランジスタT12は、コンデンサC1から第1コモン端子8に接続されている第1グループのコイル11a,14aへ放電させるために設けられている。第1の放電用トランジスタT12がオンされると、コンデンサC1の正極側端子(高電圧側の端子)が第1コモン端子8に接続される。第2の放電用トランジスタT22は、コンデンサC1から第2コモン端子9に接続されている第2グループのコイル12a,15aへ放電させるために設けられている。第2の放電用トランジスタT22がオンされると、コンデンサC1の正極側端子が第2コモン端子9に接続される。第3の放電用トランジスタT32は、コンデンサC1から第3コモン端子10に接続されている第3グループのコイル13a,16aへ放電させるために設けられている。第3の放電用トランジスタT32がオンされると、コンデンサC1の正極側端子が第3コモン端子10に接続される。
第1の定電流トランジスタT11は、第1コモン端子8に接続された第1グループのコイル11a,14aに保持電流を流すために設けられている。気筒♯1に対応した気筒選択トランジスタT1又は気筒♯4に対応した気筒選択トランジスタT4の何れかがオンされている状態で、第1の定電流トランジスタT11がオンされると、各気筒選択トランジスタT1,T4のうちでオンされている方に接続されているコイル(11a又は14a)に、電源ラインLpから逆流防止用のダイオードD1を介して電流が流れる。尚、ダイオードD2は、コイル11a、14aに対する定電流制御のための帰還ダイオードであり、各気筒選択トランジスタT1,T4の何れかがオンされている状態で第1の定電流トランジスタT11がオンからオフされた時に、コイル11a,14aに電流を還流させるものである。
同様に、第2の定電流トランジスタT21は、第2コモン端子9に接続された第2グループのコイル12a,15aに保持電流を流すために設けられている。気筒♯2に対応した気筒選択トランジスタT2又は気筒♯5に対応した気筒選択トランジスタT5の何れかがオンされている状態で、第2の定電流トランジスタT21がオンされると、各気筒選択トランジスタT2,T5のうちでオンされている方に接続されているコイル(12a又は15a)に、電源ラインLpから逆流防止用のダイオードD3を介して電流が流れる。尚、ダイオードD4は、コイル12a、15aに対する定電流制御のための帰還ダイオードである。
同様に、第3の定電流トランジスタT31は、第3コモン端子10に接続された第3グループのコイル13a,16aに保持電流を流すために設けられている。気筒♯3に対応した気筒選択トランジスタT3又は気筒♯6に対応した気筒選択トランジスタT6の何れかがオンされている状態で、第3の定電流トランジスタT31がオンされると、各気筒選択トランジスタT3,T6のうちでオンされている方に接続されているコイル(13a又は16a)に、電源ラインLpから逆流防止用のダイオードD5を介して電流が流れる。尚、ダイオードD6は、コイル13a、16aに対する定電流制御のための帰還ダイオードである。
制御IC3には、図示しない電子制御装置から、各気筒♯1〜♯6毎に個別に噴射信号IJT1〜IJT6が入力される。各噴射信号IJT1〜IJT6は、その信号のレベルがハイレベル(Hレベル)の間だけ、対応するインジェクタのコイルに通電する(つまり、対応する気筒のインジェクタを開弁させる)、という意味を持っている。
本実施形態では、グループが異なる複数のコイルに同時に通電が行われてそれら複数のコイルに対応した複数のインジェクタが同時に開弁する、オーバーラップ噴射が行われることがある。なお、ここでいう同時とは、通電(開弁)の開始から終了までの全期間が完全に一致していることのみを意味しているのではなく、複数のインジェクタの通電期間の少なくとも一部が重複してそれにより各インジェクタから同時に噴射される期間が生じるようなあらゆる場合を全て含むものである。
本実施形態におけるオーバーラップ噴射は、具体的には、例えば気筒♯1のインジェクタ11と気筒♯2のインジェクタ12とが同時に開弁(放電開始)される場合や、例えば気筒♯2のインジェクタ12への放電が開始された後に気筒♯3のインジェクタ13への放電が開始される場合など、様々なケースがある。そして、オーバーラップ噴射のケースによっては、グループが異なる複数のコイルに対して同時にコンデンサC1から放電(以下「同時放電」ともいう)が行われる期間が生じるケースも多々発生する。
制御IC3は、放電制御部21と、定電流制御部22と、充電制御部23と、過電流検出部24とを備えている。
また、制御IC3は、図示は省略したものの、各気筒選択トランジスタT1〜T6を制御するための気筒選択制御部も備えている。この気筒選択制御部は、入力される気筒毎の噴射信号IJT1〜IJT6に基づき、各気筒選択トランジスタT1〜T6のゲートへ、対応する噴射信号と同じ論理レベルの気筒選択信号を出力する。例えば、気筒♯1に対応した噴射信号IJT1がローレベル(Lレベル)の間は、対応する気筒選択トランジスタT1へLレベルの気筒選択信号を出力してこの気筒選択トランジスタT1をオフさせる。逆にその噴射信号IJT1がHレベルの間は、対応する気筒選択トランジスタT1へHレベルの気筒選択信号を出力してこの気筒選択トランジスタT1をオンさせる。
充電制御部23は、充電用トランジスタT0をオン/オフ駆動させることによりコンデンサC1を充電する。具体的には、充電制御部23は、コンデンサC1からの放電が行われている間も、電圧が一定値を切った場合に、充電用トランジスタT0をオン/オフ駆動させて、目標充電電圧になるまで充電を行わせる。
放電制御部21は、入力される気筒毎の噴射信号IJT1〜IJT6に基づいて各放電用トランジスタT12,T22,T32をオンさせ、そのオン後、通電されているコイルの駆動電流に基づいてそのオンさせている放電用トランジスタをオフさせる。より具体的には、放電制御部21は、第1グループの気筒♯1,♯4の何れかに対応した噴射信号(IJT1又はIJT4)がHレベルになったときに、第1の放電用トランジスタT12への第1系統放電駆動信号MD1をHレベルにすることで第1の放電用トランジスタT12をオンさせる。このとき、噴射信号が示す気筒に対応した気筒選択トランジスタもオンされるため、コンデンサC1からその気筒のコイルへの放電が開始される。そして、第1の放電用トランジスタT12のオン後、第1グループに対応した駆動電流検出抵抗R2により検出される駆動電流(即ち、放電電流が流れているコイルの駆動電流)が、予め設定されたピーク電流(本発明の放電完了時電流値の一例に相当)に達したら、第1の放電用トランジスタT12をオフさせることによりコンデンサC1から第1グループへの放電を停止させる。なお、「第1系統」とは第1グループを意味するものである。即ち、本明細書では、「系統」と「グループ」は同義である。
第2グループについても同様であり、第2グループの気筒♯2,♯5の何れかに対応した噴射信号(IJT2又はIJT5)がHレベルになったときに、第2の放電用トランジスタT22への第2系統放電駆動信号MD2をHレベルにすることで第2の放電用トランジスタT22をオンさせる。このとき、噴射信号が示す気筒に対応した気筒選択トランジスタもオンされるため、コンデンサC1からその気筒のコイルへの放電が開始される。そして、そのオン後、第2グループに対応した駆動電流検出抵抗R3検出される駆動電流がピーク電流に達したら、第2の放電用トランジスタT22をオフさせることによりコンデンサC1からの放電を停止させる。第3グループについても同様であるため、詳細説明は省略する。
なお、コンデンサC1からの放電を停止させるタイミング(本発明の放電完了タイミングの一例に相当)は、本実施形態では、上記のように駆動電流がピーク電流に達したときであるが、これはあくまでも一例である。他の方法として、例えば、放電開始からの経過時間に基づいて放電を停止させるようにしてもよい。つまり、コンデンサC1からの放電によって開弁対象のインジェクタを開弁させることができる限り、放電をどのタイミングで停止させるかについては適宜決めることができる。
定電流制御部22は、入力される気筒毎の噴射信号IJT1〜IJT6に基づいて各定電流トランジスタT11,T21,T31を個別にオン/オフさせることにより、対応するグループのコイルに保持電流を流す。より具体的には、定電流制御部22は、第1グループの気筒♯1,♯4の何れかに対応した噴射信号(IJT1又はIJT4)がHレベルになっている期間中、第1グループの駆動電流が一定の保持電流となるように、第1の定電流トランジスタT11をオン/オフ駆動(デューティ駆動)する。このデューティ駆動は、第1グループに対応した駆動電流検出抵抗R2により検出される駆動電流に基づいて行われる。なお、コンデンサC1から放電が行われることにより駆動電流が保持電流を上回っている間は、第1の定電流トランジスタT11はオフされる。第2グループ及び第3グループについても同様である。
過電流検出部24は、コンデンサC1からの放電電流が所定の過電流閾値以上の過電流状態となった場合にこれを検出し、過電流を検出した場合には各コイル11a〜16aへの通電を全て停止させる。
過電流検出部24は、具体的には、図2に示すように、3つのAND回路31,32,33と、これら3つのAND回路31,32,33の出力の論理和を演算して出力するOR回路34と、放電電流が過電流か否かの実質的判断を行うコンパレータ35とを備えている。
3つのAND回路31,32,33のうち第1AND回路31は、放電制御部21から第1の放電用トランジスタT12へ出力される第1系統放電駆動信号MD1と放電制御部21から第2の放電用トランジスタT22へ出力される第2系統放電駆動信号MD2とが入力され、これら各放電駆動信号MD1,MD2の論理積を演算してOR回路34へ出力する。
第2AND回路32は、放電制御部21から第2の放電用トランジスタT22へ出力される第2系統放電駆動信号MD2と放電制御部21から第3の放電用トランジスタT32へ出力される第3系統放電駆動信号MD3とが入力され、これら各放電駆動信号MD2,MD3の論理積を演算してOR回路34へ出力する。第3AND回路33は、放電制御部21から出力される第1系統放電駆動信号MD1と第3系統放電駆動信号MD3の論理積を演算してOR回路34へ出力する。
このような構成により、各インジェクタ11〜16のうち何れか1つのみにコンデンサC1から放電されている場合(即ち、各放電駆動信号MD1〜MD3のうち何れか1つのみHレベルの場合)は、各AND回路31〜33の出力はいずれもLレベルとなって、OR回路34の出力もLレベルとなる。
一方、例えば第1グループと第2グループとのオーバーラップ噴射が行われる際に、第1系統放電駆動信号MD1と第2系統放電駆動信号MD2の双方がHレベルになって同時放電が開始されると、第1AND回路31の出力がHレベルとなり、OR回路34の出力もHレベルとなる。つまり、オーバーラップ噴射が行われていない場合はOR回路34の出力はLレベルとなり、オーバーラップ噴射が行われている間(詳しくは複数の放電駆動信号が共にHレベルとなって同時放電が行われている間)はOR回路34の出力はHレベルとなる。
コンパレータ35の非反転入力端子(以下「+端子」という)には、抵抗R13の一端が接続されている。この抵抗R13の他端は、コンデンサC1と放電電流検出抵抗R1の接続点に接続されている。また、抵抗R13の一端は、抵抗R12を介して制御電源電圧Vccに接続されている。制御電源電圧Vccは、図示しないレギュレータによって生成される一定電圧である。
このような構成により、抵抗R12と抵抗R13の接続点の電圧(即ちコンパレータ35の+端子に入力される電圧)は、コンデンサC1からの放電電流によって変化する。つまり、コンパレータ35の+端子には、コンデンサC1からの放電電流に応じた電圧が入力される。具体的には、コンデンサC1からの放電電流が大きくなるほど、コンパレータ35の+端子に入力される電圧は低くなっていく。
一方、コンパレータ35の反転入力端子(以下「−端子」という)には、直列接続された抵抗R11と抵抗R14の接続点の電圧が入力される。抵抗R11は、一端が制御電源電圧Vccに接続されて他端が抵抗R14の一端に接続されている。抵抗R14の他端は接地されている。更に、抵抗R14には、これと並列に、抵抗R15と閾値設定トランジスタT41が直列接続されてなる回路が接続されている。閾値設定トランジスタT41は、本実施形態ではバイポーラトランジスタであり、OR回路34の出力がベースに入力される。
このような構成により、OR回路34の出力がLレベルで閾値設定トランジスタT41がオフされている場合は、コンパレータ35の−端子には、制御電源電圧Vccが抵抗R11と抵抗R14とで分圧された分圧値(以下「第1電圧閾値」ともいう)が入力される。OR回路34の出力がHレベルになって閾値設定トランジスタT41がオンされると、抵抗R14と並列に抵抗R15が接続された状態となり、その分、コンパレータ35の−端子に入力される電圧は第1電圧閾値よりも低い所定値(以下「第2電圧閾値」ともいう)となる。
第1電圧閾値は、コンデンサC1からの放電電流が所定の第1過電流閾値以上であるか否かを判定するための判定基準値であり、第1過電流閾値に基づいて設定される。換言すれば、第1過電流閾値に基づいて各抵抗R11,R14の抵抗値が決められている。
つまり、第1電圧閾値は、コンデンサC1からの放電電流が第1過電流閾値より低い場合は+端子に入力される電圧よりも低くなるよう、且つコンデンサC1からの放電電流が第1過電流閾値以上の場合は+端子に入力される電圧以上となるように設定されている。
第1過電流閾値(本発明の単一放電用過電流閾値の一例に相当)は、オーバーラップ噴射が行われていない場合に、コンデンサC1からの放電電流が過電流状態となっているか否かを判断するための判断基準値であり、本実施形態では、上記ピーク電流よりも大きく且つ上記ピーク電流の2倍の値よりは小さい所定の値(例えば、上記ピーク電流の値に2Aを加えた値)に設定されている。
そのため、閾値設定トランジスタT41がオフされている場合において、放電電流が第1過電流閾値より低いときは、コンパレータ35の+端子に入力される電圧は−端子に入力される第1電圧閾値よりも高くなり、よってコンパレータ35の出力はHレベルとなる。一方、閾値設定トランジスタT41がオフされている場合において、放電電流が第1過電流閾値以上になると、コンパレータ35の+端子に入力される電圧は−端子に入力される第1電圧閾値以下となり、よってコンパレータ35の出力はLレベルとなる。
第2電圧閾値は、コンデンサC1からの放電電流が第1過電流閾値よりも大きい所定の第2過電流閾値以上であるか否かを判定するための判定基準値であり、第2過電流閾値に基づいて設定される。換言すれば、第2過電流閾値に基づいて抵抗R15の抵抗値が決められている。
つまり、第2電圧閾値は、コンデンサC1からの放電電流が第2過電流閾値より低い場合は+端子に入力される電圧よりも低くなるよう、且つコンデンサC1からの放電電流が第2過電流閾値以上の場合は+端子に入力される電圧以上となるように設定されている。
第2過電流閾値(本発明の複数放電用過電流閾値の一例に相当)は、複数グループの各コイルへの同時放電が行われている場合に、コンデンサC1からの放電電流が過電流状態となっているか否かを判断するための判断基準値であり、本実施形態では、上記ピーク電流の2倍の値より大きく且つピーク電流の3倍の値よりは小さい所定の値(例えば、上記ピーク電流の2倍の値に2Aを加えた値)に設定されている。第2過電流閾値をこのように設定しているのは、本実施形態で発生するオーバーラップ噴射は2つの気筒への同時噴射であって3つ以上の気筒への同時噴射は発生しないことに基づいている。
そのため、閾値設定トランジスタT41がオンされている場合において、放電電流が第2過電流閾値より低いときは、コンパレータ35の+端子に入力される電圧は−端子に入力される第2電圧閾値よりも高くなり、よってコンパレータ35の出力はHレベルとなる。一方、閾値設定トランジスタT41がオンされている場合において、放電電流が第2過電流閾値以上になると、コンパレータ35の+端子に入力される電圧は−端子に入力される第2電圧閾値以下となり、よってコンパレータ35の出力はLレベルとなる。
このように、何れか1つの放電用トランジスタのみオンされてコンデンサC1から放電が行われている場合は、閾値設定トランジスタT41がオフし、コンパレータ35の−端子には第1電圧閾値が入力される。即ち、過電流閾値が第1過電流閾値に設定される。そして、放電電流が第1過電流閾値以上になった場合は、コンパレータ35の+端子の電圧が第1電圧閾値以下となり、コンパレータ35からは過電流を示すLレベルの過電流検出信号が出力される。一方、オーバーラップ噴射時に何れか2つの放電用トランジスタがオンされて対応する各グループへの放電が行われている場合は、閾値設定トランジスタT41がオンし、コンパレータ35の−端子には第1電圧閾値よりも低い第2電圧閾値が入力される。即ち、過電流閾値が第1過電流閾値よりも高い第2過電流閾値に設定される。そして、放電電流が第2過電流閾値以上になった場合は、コンパレータ35の+端子の電圧が第2電圧閾値以下となり、コンパレータ35からは過電流を示すLレベルの過電流検出信号が出力される。コンパレータ35からのHレベル又はLレベルの過電流検出信号は、放電制御部21及び定電流制御部22へ出力される。
放電制御部21は、何れかの放電用トランジスタをオンさせてコンデンサC1からの放電を開始させた後、過電流検出部24からLレベルの過電流検出信号が入力された場合は、全ての放電用トランジスタをオフさせて放電を停止させる。つまり、駆動電流がピーク電流に達していなくても放電を強制的に停止させる。そして、その強制停止後、全ての噴射信号IJT1〜IJT6がLレベルに立ち下がった後に再びいずれかの噴射信号が立ち上がるまでは、その強制停止状態を維持させる。定電流制御部22も、定電流制御中(保持電流通電中)に過電流検出部24からLレベルの過電流検出信号が入力された場合は、全ての定電流トランジスタをオフさせて保持電流通電を停止させる。
なお、過電流検出時にコンデンサC1からの放電や定電流制御を停止させるのは必須ではなく、例えば放電電流や保持電流を減少させるようにしてもよい。つまり、過電流に対して適切な保護を行うことができる限り、過電流検出時に具体的にどのような保護動作を行うかについては適宜決めることができる。
このように構成された本実施形態のEDU1の動作例(シーケンス)について、図3及び図4を用いて説明する。まず、インジェクタ駆動システム全体にGNDショート等の異常がない正常時のシーケンスについて、図3を用いて説明する。なお、図3に示す各波形のうち、噴射信号IJTnとは、気筒♯1の噴射信号IJT1とは別系統(別グループ)の気筒n(nは3〜6の何れか)に対する噴射信号を示し、第1INJ駆動電流とは、気筒♯1のインジェクタ11のコイル11aに流れる駆動電流を示し、第nINJ駆動電流とは、気筒♯1とは別系統の気筒♯nのインジェクタのコイルに流れる駆動電流を示し、第m系統放電駆動信号MDmとは、第1系統(第1グループ)とは異なる何れかの第m(mは2,3の何れか)グループの放電用トランジスタへの放電駆動信号を示す。
図3に(a)で示すシーケンスは、オーバーラップ噴射がなく気筒♯1に対する噴射信号IJT1が時刻t1でHレベルに立ち上がる例である。この例では、時刻t1で噴射信号IJT1がHレベルに立ち上がると、第1系統放電駆動信号MD1がHレベルとなって第1の放電用トランジスタT12がオンし、コンデンサC1から気筒♯1のインジェクタ11への放電が開始される。そして、時刻t2で第1INJ駆動電流がピーク電流に到達することによりインジェクタ11が開弁すると、コンデンサC1からの放電が停止されて保持電流通電に切り替わる。そして、時刻t3で噴射信号IJT1がLレベルに立ち下がることにより、インジェクタ11への通電が終了してインジェクタ11が閉弁する。
この場合、過電流検出部24においては、過電流閾値が、1気筒のみへの放電が考慮された第1過電流閾値Ithaに設定される。この第1過電流閾値Ithaはピーク電流よりも若干高い値(本例では2A高い値)であるため、正常時においてはコンデンサC1からの放電電流はこの第1過電流閾値Itha以上にはならず、過電流は検出されない。
図3に(b)で示すシーケンスは、気筒♯1と気筒♯nとのオーバーラップ噴射があり、時刻t1で双方に対する噴射信号IJT1,IJTnが同時にHレベルに立ち上がる例である。この例では、時刻t1で各噴射信号IJT1,IJTnが共にHレベルに立ち上がると、第1の放電用トランジスタT12及び第mの放電用トランジスタが共にオンし、コンデンサC1から気筒♯1及び気筒♯nの各インジェクタへの放電が開始される。そのため、コンデンサC1からの放電電流は、2つのインジェクタへの放電によって、前述のオーバーラップ噴射無しの場合の放電電流よりも急上昇し、第1過電流閾値Ithaは超えることになる。
一方、過電流検出部24においては、過電流閾値が、同時放電が考慮された第2過電流閾値Ithbに設定される。この第2過電流閾値Ithbはピーク電流の2倍よりも若干高い値である。このように、同時放電時には、その分放電電流が大きくなるものの、過電流閾値も高い値に切り替わるため、正常時においては過電流は検出されない。なお、時刻t2で各放電駆動信号がいずれもLレベルとなってコンデンサC1からの放電が終了すると、過電流閾値は再び第1過電流閾値Ithaに切り替わる。
次に、気筒♯4のインジェクタ14のコイル14aにおいて下流側GNDショート(例えばEDU1の端子44のGNDショート)が生じた異常時のシーケンスについて、図4を用いて説明する。なお、図4に示す各波形のうち、第4INJ駆動電流とは、下流側GNDショートが生じている気筒♯4のコイル14aに流れる駆動電流を示す。また、図4に示す各シーケンスは、いずれもオーバーラップ噴射及び同時放電がある場合の例を示している。
図4に(a)で示す異常パターン1−1のシーケンスは、異常が生じている気筒♯4と同じ第1系統(第1グループ)の気筒♯1に対する噴射信号IJT1がまず時刻t1でHレベルに立ち上がり、その後時刻t3で別系統の気筒♯nに対する噴射信号IJTnがHレベルに立ち上がる例である。
この例では、時刻t1で第1系統放電駆動信号MD1がHレベルになり、これにより第1の放電用トランジスタT12がオンして、コンデンサC1から気筒♯1への放電が開始される。このとき、放電対象のインジェクタは気筒♯1のみであるが、同じ系統の別の気筒♯4のコイル14aに下流側GNDショートが発生しているため、コンデンサC1からはこの異常状態の気筒♯4のコイル14aにも放電される。そのため、放電電流は、1気筒への放電時よりも急上昇していく。
しかしこの場合、過電流検出部24においては過電流閾値が第1過電流閾値Ithaに設定されている。そのため、気筒♯4の異常により放電電流が急上昇するものの、その放電電流が時刻t2で第1過電流閾値Ithaに到達すると、過電流が検出されて放電が強制停止される。
図4に(b)で示す異常パターン1−2のシーケンスは、気筒♯1の噴射信号IJT1の後に立ち上がる気筒♯nの噴射信号IJTnの立ち上がりタイミングが(a)で示した異常パターン1−1よりも早い例(過電流が検出される前に立ち上がる例)である。
この例では、異常パターン1−1と同様、時刻t1でコンデンサC1から気筒♯1への放電が開始されると、同系統の異常状態の気筒♯4へも放電される。そして、その放電開始後、放電電流が第1過電流閾値に達する前に、時刻t2で気筒♯nへの放電も開始される。時刻t2で同時放電が開始されることで、過電流検出部24においては過電流閾値が第2過電流閾値Ithbに切り替わるが、このとき、コンデンサC1からは、正常状態の2つのコイルと異常状態の1つのコイルの計3つのコイルに対して放電がなされているため、放電電流はさらに急上昇していき、時刻t3で第2過電流閾値Ithbに達する。そのため、時刻t3で、全ての放電用トランジスタT12,T22,T32がオフされ、コンデンサC1からの放電が強制停止される。
図4に(c)で示す異常パターン1−3のシーケンスは、まず時刻t1で正常な第m系統の気筒♯nに対する噴射信号IJTnがHレベルに立ち上がり、その後時刻t2で異常が生じている気筒♯4と同じ第1系統の気筒♯1に対する噴射信号IJT1がHレベルに立ち上がる例である。
この例では、時刻t2で同時放電が始まると、コンデンサC1からは異常状態の気筒も含めて計3気筒分の放電電流が流れるため、放電電流は急上昇していくが、放電電流が第2過電流閾値Ithbに達するよりも前の時刻t3で、先に放電開始された第m系統の気筒♯nの第nINJ駆動電流がピーク電流に達してその気筒♯nへの放電は停止(正常停止)される。そのため、時刻t3になると、コンデンサC1からの放電電流は、正規の気筒♯1への放電と異常状態の気筒♯4への放電の計2気筒分の値となり、過渡的に一旦第1過電流閾値Ithaよりも低くなって再び上昇する。
この場合、過電流検出部24においては、時刻t3で第m系統への放電が停止されることで過電流閾値は第2過電流閾値Ithbから第1過電流閾値Ithaへ切り替わる。そのため、時刻t3でオーバーラップ噴射が終了して放電電流が低下しても、その放電電流はやがて(時刻t4で)第1過電流閾値Ithaに到達し、過電流が検出されて放電が強制停止される。
図4に(d)で示す異常パターン1−4のシーケンスは、気筒♯nの噴射信号IJTnの後に立ち上がる気筒♯1の噴射信号IJT1の立ち上がりタイミングが(c)で示した異常パターン1−3よりも遅い例である。
この例では、時刻t3でオーバーラップ噴射状態になる前に、先に放電開始された気筒♯nについてはコンデンサC1からの放電が停止されて保持電流による定電流制御に移行する(時刻t2)。これにより、時刻t3からオーバーラップ噴射が開始されるものの、そのときオンされる放電用トランジスタは第1の放電用トランジスタT12のみであって、気筒♯nに対応した第mの放電用トランジスタはオンされない。従って、過電流検出部24においては過電流閾値は第1過電流閾値Ithaのままである。
そのため、時刻t3で気筒♯1に対する噴射信号IJT1がHレベルに立ち上がって、第1系統放電駆動信号MD1がHレベルに立ち上がると、気筒♯1及び異常状態の気筒♯4の計2気筒分の放電電流がコンデンサC1から放電されることになるが、その放電電流は時刻t4で第1過電流閾値Ithaに到達し、過電流が検出されて放電が強制停止される。またこのとき、定電流制御されている別系統の気筒♯nについても、その定電流制御が強制停止され、気筒♯nのインジェクタも閉弁される。
以上説明した本実施形態のEDU1によれば、1つの放電用トランジスタがオンされている場合(オーバーラップ噴射無しの場合)と、複数(本例では2つ)の放電用トランジスタが同時にオンされている場合(オーバーラップ噴射・同時放電ありの場合)とで、過電流閾値が切り替わる。即ち、前者の場合の第1過電流閾値Ithaに対して後者の場合の第2過電流閾値Ithbの方が大きい値に設定される。
そして、第1過電流閾値Ithaは、1つのインジェクタにのみ通電されることを考慮して、1つ分のピーク電流の値より若干大きく2つ分のピーク電流の値よりは小さい値に設定される。第2過電流閾値Ithbは、グループが異なる2つのインジェクタに同時に放電されることを考慮して、2つ分のピーク電流の値より若干大きく3つ分のピーク電流の値よりは小さい値に設定される。つまり、各過電流閾値Itha,Ithbは、それぞれ、同時に放電されるインジェクタの数に応じた適切な値に設定される。
そのため、噴射信号に基づく通常のオーバーラップ噴射を妨げることなく(つまり通常のオーバーラップ噴射における同時放電時に誤って過電流と判断することなく)、コンデンサC1からの異常な放電(過電流)を適切に検出して、意図しないインジェクタが誤って開弁してしまうのを防ぐことができる。
[第2実施形態]
図4に(b)で示した異常パターン1−2は、気筒♯1に対する噴射信号IJT1がHレベルに立ち上がったすぐ後に(気筒♯1の第1INJ駆動電流がピーク電流に達するよりも前に)、別系統の気筒♯nの噴射信号IJTnがHレベルに立ち上がる例であった。この例では、既に説明したように、時刻t3で放電電流が第2過電流閾値Ithbに到達し、これにより過電流が検出される。
しかし、噴射信号IJT1の立ち上がりタイミング(時刻t1)に対して別系統の噴射信号IJTnが立ち上がるタイミングによっては、気筒♯1の第1INJ駆動電流がピーク電流に達しても放電電流が第2過電流閾値Ithbに到達せずに過電流を検出できないおそれがある。そのように過電流を検出できない場合の具体的な例を、図5に示す。
図5に示す検出不可パターンは、システムの前提としては図4に(b)で示した異常パターン1−2と同じであるが、気筒♯nの噴射信号IJTnが立ち上がるタイミングが若干異なる。この図5の例では、時刻t2で気筒♯nの噴射信号IJTnが立ち上がると、第1系統及び第m系統の2つの放電用トランジスタが共にオンされて放電電流が急上昇するが、時刻t3で気筒♯1の第1INJ駆動電流がピーク電流に到達しても、放電電流は第2過電流閾値Ithbまでは到達していない。そのため、過電流が検出されることなく第1系統への放電が終了してしまう。このように、同時放電が開始されるタイミングによっては、過電流を検出できないおそれがある。
そこで本実施形態では、EDU1における過電流検出部を、図2に示した第1実施形態の過電流検出部24に代えて、図6に示す過電流検出部40とする。なお、図6において、図2の過電流検出部24と同じ構成要素には図2と同じ符号を付している。
本実施形態の過電流検出部40は、図6に示す通り、第1実施形態の過電流検出部24と比較して、過電流閾値を生成する回路が異なる。即ち、本実施形態の過電流検出部40は、コンパレータ35の−端子について、抵抗R11を介して制御電源電圧Vccに接続されていることは第1実施形態と同じであるが、グランドライン側については、コンパレータ35の−端子は、抵抗R21を介して接地されているのに加え、その抵抗R21と並列に抵抗R22及び抵抗R23が接続されている。
ただし、抵抗R21は直接接地されているのに対し、抵抗R22は、第1トランジスタT41と第2トランジスタT42の並列回路を介して接地され、抵抗R23は第3トランジスタT43を介して接地されている。
第1トランジスタT41のベースは、抵抗R24を介して制御電源電圧Vccに接続されると共に第4トランジスタT44のコレクタに接続されている。第4トランジスタT44のエミッタは接地され、ベースは第5トランジスタT45のコレクタに接続されると共にOR回路49の出力端子に接続されている。このOR回路49には、3つの放電駆動信号MD1〜MD3が入力され、これら各放電駆動信号MD1〜MD3の論理和が演算されて出力される。
第5トランジスタT45は、エミッタが接地され、ベースには遅延回路55からの出力信号が入力される。遅延回路55には、OR回路47からの出力信号が入力される。このOR回路47には、3つの放電駆動信号MD1〜MD3が入力され、これら各放電駆動信号MD1〜MD3の論理和が演算されて遅延回路55へ出力される。
遅延回路55は、抵抗R27及びコンデンサC2を有する積分回路と、この積分回路の積分出力が+端子に入力されて所定の基準電圧が−端子に入力されるコンパレータ48とを備えている。積分回路は、OR回路47からの出力信号を積分してコンパレータ48の+端子へ入力するものである。そのため、OR回路47の出力がLレベルの間はコンパレータ48の+端子への入力電圧もLレベル(0V)のままであるが、OR回路47の出力がHレベルになると、コンパレータ48の+端子への入力電圧は、0Vから徐々に上昇していき、抵抗R27及びコンデンサC2の時定数によって定まる所定の遅延時間が経過するとHレベルの電圧(即ちOR回路47の出力電圧値)となる。コンパレータ48の−端子に入力される基準電圧は、制御電源電圧Vccを抵抗R25及び抵抗R26で分圧した値である。そのため、OR回路47の出力がLレベルからHレベルに転じた後、しばらくの間は、コンパレータ48の出力はLレベルであるが、+端子に入力される電圧が上昇していってやがて−端子の基準電圧を超えると、コンパレータ48の出力はHレベルとなる。なお、OR回路47の出力がHレベルに転じてからコンパレータ48の出力がHレベルになるまでの期間を、以下、駆動初期期間という。
従って、第5トランジスタT45は、各放電駆動信号MD1〜MD3が全てLレベルの間は、遅延回路55からベースに入力される信号がLレベルとなってオフされる。そして、各放電駆動信号MD1〜MD3の何れかがHレベルになると、そのHレベルになったタイミングから駆動初期期間が経過したときに、遅延回路55からベースに入力される信号がHレベルとなってオンされる。
第2トランジスタT42のベース及び第3トランジスタT43のベースは、何れもOR回路34の出力端子に接続されている。このOR回路34及びその入力側に配置されている3つのAND回路31,32,33からなる回路構成は、図2に示した第1実施形態の過電流検出部24における該当部分(同一符号の回路構成部分)と同じである。なお、第1トランジスタT41〜第5トランジスタT45の5つのトランジスタは、本実施形態ではいずれもバイポーラトランジスタである。
このように構成された本実施形態の過電流検出部40は、次のように動作する。即ち、各放電駆動信号MD1〜MD3が全てLレベルの場合は、第2トランジスタT42〜第5トランジスタT45の4つのトランジスタが全てオフし、第1トランジスタT41がオンする。そのため、コンパレータ35の−端子に入力される電圧閾値は、制御電源電圧Vccを抵抗R11と抵抗R21及び抵抗R22の並列合成抵抗とで分圧した値(以下「中電圧閾値」という)となる。なお、この中電圧閾値により定まる放電電流の過電流閾値を、以下、中過電流閾値という。中過電流閾値は、本発明の単一放電用過電流閾値の一例に相当するものである。本実施形態では、中電圧閾値は第1実施形態の第1電圧閾値と同じ値であり、よって中過電流閾値は第1実施形態の第1過電流閾値Ithaと同じ値である。
各放電駆動信号MD1〜MD3のうち何れか1つがHレベルに立ち上がると、第4トランジスタT44がオンし、これにより第1トランジスタT41がオフする。そのため、コンパレータ35の−端子に入力される電圧閾値は、制御電源電圧Vccを抵抗R11と抵抗R21とで分圧した値(以下「低電圧閾値」という)となる。なお、この低電圧閾値により定まる放電電流の過電流閾値を、以下、低過電流閾値Ithzという。低過電流閾値Ithzは、本発明の初期過電流閾値の一例に相当するものである。低電圧閾値は中電圧閾値よりも大きく、よって低過電流閾値Ithzは中過電流閾値Ithaよりも低い値となる。
このように、何れか1つの系統への放電が開始されると過電流閾値は中過電流閾値Ithaから低過電流閾値Ithzに低下する。しかし、その放電開始と同時に、遅延回路55の動作(積分動作)も開始され、駆動初期期間が経過すると第5トランジスタT45がオンし、これにより第4トランジスタT44はオフして第1トランジスタT41はオンする。そのため、コンパレータ35の−端子に入力される電圧閾値は再び中電圧閾値となり、よって過電流閾値は再び中過電流閾値Ithaとなる。
その後さらに、複数の放電駆動信号がHレベルとなって同時放電が開始されると、OR回路34の出力がHレベルになることから、第2トランジスタT42及び第3トランジスタT43が共にオンする。そのため、コンパレータ35の−端子に入力される電圧閾値は、制御電源電圧Vccを、抵抗R11と、3つの抵抗R21,R22,R23の並列合成抵抗とで分圧した値(以下「高電圧閾値」という)となる。なお、この高電圧閾値により定まる放電電流の過電流閾値を、以下、高過電流閾値という。高過電流閾値は、本発明の複数放電用過電流閾値の一例に相当するものである。本実施形態では、高電圧閾値は第1実施形態の第2電圧閾値と同じ値であり、よって高過電流閾値は第1実施形態の第2過電流閾値Ithbと同じ値である。
このように構成された本実施形態のEDU1の動作例(シーケンス)について、図7を用いて説明する。
図7に(a)で示すシーケンスは、GNDショート等の異常が発生していない正常状態時の動作例である。この例では、時刻t1で気筒♯1の噴射信号IJT1がHレベルに立ち上がり、コンデンサC1から気筒♯1のインジェクタ11への放電が開始される。このとき、過電流閾値は、中過電流閾値Itha(例えば10A)から低過電流閾値Ithz(例えば5A)へ一時的に切り替わる。そして、時刻t1から駆動初期期間(例えば0.5msec.)が経過した時刻t2で、過電流閾値は再び中過電流閾値Ithaへ切り替わる。本例は正常時の動作例であるため、駆動初期期間において過電流閾値が低過電流閾値Ithzへ低下するものの、この駆動初期期間中には放電電流は低過電流閾値Ithzにまでは達しない。また、駆動初期期間の終了タイミングは、駆動電流がピーク電流に到達するタイミング(図7の例では時刻t4)よりも前であれば適宜決めることができるが、本例では放電開始からピーク電流に到達するまでの時間(例えば1msec.)の約半分の時間となるように設定されている。つまり、駆動初期期間の長さ及び低過電流閾値Ithzの値は、正常時且つ同時放電が行われない場合において駆動初期期間中に放電電流が低過電流閾値Ithzに到達することがないように、それぞれ設定されている。
そして、時刻t3で、気筒♯nのコイルへの放電開始により同時放電が開始され、これにより放電電流は急上昇していくが、それに合わせて過電流閾値は高過電流閾値Ithb(例えば20A)に切り替わるため、誤って過電流が検出されることはない。時刻t4で気筒♯1への放電が終了すると、過電流閾値は再び中過電流閾値Ithaに切り替わる。
図7に(b)で示すシーケンスは、第1系統の気筒♯4のコイル14aにおいて下流側GNDショートの異常が発生している場合の動作例である。この例では、時刻t1で気筒♯1の噴射信号IJT1がHレベルに立ち上がることによりコンデンサC1から気筒♯1のインジェクタ11への放電が開始される。同時に、下流側GNDショートが発生している気筒♯4のコイル14aにも放電される。一方、過電流閾値は、放電開始時に中過電流閾値Ithaから低過電流閾値Ithzへ低下する。そのため、放電開始後、過電流閾値が中過電流閾値Ithaに戻る時刻t3よりも前の時刻t2で放電電流が低電流閾値Ithzに到達すると、放電が強制停止される。つまり、放電開始からしばらくは過電流閾値が低過電流閾値Ithzに低下するため、過電流異常が確実かつ迅速に検出される。
なお、駆動初期期間で過電流閾値が低過電流閾値Ithzに設定されている間に、複数系統のコイルへの同時放電が開始された場合は、その同時放電への対応を優先して、過電流閾値が高過電流閾値Ithbに切り替わる。そのため、正常動作時のオーバーラップ噴射・同時放電は妨げられない。
従って、本実施形態の過電流検出部40によれば、何れかのコイルへの放電開始からそのコイルの駆動電流がピーク電流に達するよりも前の一定期間(駆動初期期間)は過電流閾値が低過電流閾値Ithzに下げられる。そのため、正常動作時の放電(同時放電を含む)を妨げることなく、同時放電が始まるタイミングにかかわらず過電流を迅速且つより適切に検出することができる。
[第3実施形態]
第2実施形態の過電流検出部40は、過電流閾値の三段階の切り替えを、各種ロジック回路や遅延回路55等のハードウェアにより実現する構成であったが、過電流閾値の切り替えはマイコン等によるソフトウェア処理を用いて実現することもできる。その具体例が、図8に示す過電流検出部50である。なお、図8において、図6の過電流検出部40と同じ構成要素には図6と同じ符号を付している。
図8に示す本実施形態の過電流検出部50では、マイコン51が、第1トランジスタT41及び第3トランジスタT43を制御することで、過電流閾値を三段階に切り替える。具体的には、マイコン51が図9に示す過電流閾値制御処理を実行することで、過電流閾値が切り替えられる。
マイコン51は、自身の動作が開始されると、図9の過電流閾値制御処理を繰り返し実行する。マイコン51は、この過電流閾値制御処理を開始すると、S110で、過電流閾値を中過電流閾値Ithaに制御する。具体的には、第1トランジスタT41をオンして第3トランジスタT43をオフする。S120では、放電駆動信号があるか否か、即ち各放電駆動信号MD1〜MD3の何れかがHレベルとなったか否かを判断する。各放電駆動信号MD1〜MD3がいずれもLレベルの間はS120の判断処理を繰り返すが、何れか1つでもHレベルになったら、S130で、放電駆動信号のオーバーラップがあるか否か、即ち何れか複数の放電駆動信号が同時にHレベルになっているか否かを判断する。
S130で、放電駆動信号のオーバーラップがある場合は、S210に進んで過電流閾値を高過電流閾値Ithbに制御する。具体的には、第1トランジスタT41及び第3トランジスタT43を共にオンする。S130で、放電駆動信号のオーバーラップがない場合は、S140に進む。
S140では、過電流閾値を低過電流閾値Ithzに制御する。具体的には、第1トランジスタT41及び第3トランジスタT43を共にオフする。S150では、マイコン51が内蔵しているタイマ52をスタートさせて計時を開始する。S160では、S130と同様に放電駆動信号のオーバーラップがあるか否かを判断する。
S160で、放電駆動信号のオーバーラップがある場合は、S210に進んで過電流閾値を高過電流閾値Ithbに制御する。S160で、放電駆動信号のオーバーラップがない場合は、S170に進み、タイムオーバーしたか否か、即ちタイマ52の計時時間が、既述の駆動初期期間に相当する時間に達したか否かを判断する。タイムオーバーしていない場合はS160に戻るが、タイムオーバーした場合はS180に進む。
S180では、過電流閾値を中過電閾値Ithaに制御する。S190では、S120と同様に放電駆動信号があるか否かを判断する。S190で放電駆動信号がない場合はこの過電流閾値制御処理を終了する。S190で放電駆動信号がある場合は、S200で、S130と同様に放電駆動信号のオーバーラップがあるか否かを判断する。S130で放電駆動信号のオーバーラップがない場合はS190に戻るが、放電駆動信号のオーバーラップがある場合は、S210で、過電流閾値を高過電流閾値Ithbに制御する。
S220では、S130と同様に放電駆動信号のオーバーラップがあるか否かを判断する。S220で放電駆動信号のオーバーラップがある場合はS210に戻るが、S220で放電駆動信号のオーバーラップがない場合は、S230で過電流閾値を中過電流閾値Ithaに制御する。S240では、S120と同様に放電駆動信号があるか否かを判断し、放電駆動信号がなくなったらこの過電流閾値制御処理を終了する。
このように構成された本実施形態の過電流検出部50によっても、第2実施形態の過電流検出部40と同様の作用・効果を得ることができる。なお、本実施形態のようにソフトウェア処理を利用して過電流閾値を切り替える構成は、本実施形態に限らず、既述の第1実施形態の過電流検出部24(図2)や後述する図10の過電流検出部60などに対しても同様に適用できる。
[第4実施形態]
第1実施形態では、コンデンサC1から各系統への同時放電が最大で何れか2つの系統に対して行われることを前提構成としていたが、本発明は、3系統あるいはそれ以上の系統に対して同時放電が行われる場合にも適用できる。そこで本実施形態では、最大で3系統のコイルに対して同時放電が行われる場合の過電流検出部の構成例とその動作について説明する。
図10に示す本実施形態の過電流検出部60は、同時放電が行われている系統の数に応じて過電流閾値を三段階に切り替えることが可能に構成されている。なお、図10において、図2の過電流検出部24と同じ構成要素には図2と同じ符号を付している。
本実施形態の過電流検出部60では、図10に示すように、コンパレータ35の−端子とグランドラインとの間に、3つの抵抗R14,R15,R31の並列回路が接続されている。このうち抵抗R14におけるグランドライン側の端子はグランドラインに直接接続されているが、抵抗R15におけるグランドライン側の端子は第1トランジスタT51を介して接地され、抵抗R31におけるグランドライン側の端子は第2トランジスタT52を介して接地されている。各トランジスタT51,T52は、本実施形態ではいずれもバイポーラトランジスタである。
第1トランジスタT51のベースには、OR回路34からの出力信号が入力される。このOR回路34及びその入力側に配置されている3つのAND回路31,32,33からなる回路構成は、図2に示した第1実施形態の過電流検出部24における該当部分(同一符号の回路構成部分)と同じである。
第2トランジスタT52のベースには、AND回路61からの出力信号が入力される。AND回路61は、3つの放電駆動信号MD1〜MD3の論理積を演算して第2トランジスタT52のベースに出力する。
このように構成された本実施形態の過電流検出部60は、次のように動作する。即ち、各放電駆動信号MD1〜MD3が全てLレベルの場合及び何れか1つのみがHレベルの場合は、各トランジスタT51,T52はいずれもオフする。そのため、コンパレータ35の−端子に入力される電圧閾値は、制御電源電圧Vccを抵抗R11と抵抗R14とで分圧した第1電圧閾値となる。つまり、過電流閾値が第1過電流閾値Ithaに設定される。
各放電駆動信号MD1〜MD3のうち何れか2つがHレベルになると、第2トランジスタT52はオフのままだが第1トランジスタT51はオンする。そのため、コンパレータ35の−端子に入力される電圧閾値は、制御電源電圧Vccを抵抗R11と抵抗R14及び抵抗R15の並列合成抵抗とで分圧した第2電圧閾値となる。つまり、過電流閾値が第2過電流閾値Ithbに設定される。これら第1過電流閾値Itha及び第2過電流閾値Ithbは第1実施形態と同じである。
さらに、3つの放電駆動信号MD1〜MD3が全てHレベルになると、各トランジスタT51,T52が何れもオンする。そのため、コンパレータ35の−端子に入力される電圧閾値は、制御電源電圧Vccを、抵抗R11と、3つの抵抗R14,R15,R31の並列合成抵抗とで分圧した値(以下「第3電圧閾値」という)となる。この第3電圧閾値により定まる放電電流の過電流閾値を、以下、第3過電流閾値という。第3過電流閾値(本発明の複数放電用過電流閾値の一例に相当)は、3つのグループ全てに対して同時放電が行われている場合にコンデンサC1からの放電電流が過電流状態となっているか否かを判断するための判断基準値であり、本実施形態では、上記ピーク電流の3倍の値より大きく且つピーク電流の4倍の値よりは小さい所定の値(例えば、上記ピーク電流の3倍の値に2Aを加えた値)に設定されている。
このように構成された本実施形態のEDU1の動作例(シーケンス)について、図11〜図13を用いて説明する。図11〜図13に示す動作例はいずれも、第1実施形態の図4の動作例と同様、一例として第2グループの気筒♯4のコイル14aに下流側GNDショートの異常が発生していて他の各気筒の各コイルは何れも正常である場合の動作例である。
図11に(a)で示す異常パターン3−1のシーケンスは、時刻t1で気筒♯1への放電が開始された後、時刻t3で他の2つの系統の気筒♯2及び気筒♯3への放電が開始(即ち同時放電が開始)されるよりも前の時刻t2で過電流が検出される例である。この異常パターン3−1では、時刻t1での放電は1系統に対するものであるため、過電流閾値は第1過電流閾値Ithaに設定される。これに対し、コンデンサC1からの放電電流は、正規の気筒♯1だけでなく異常が生じている気筒♯4にも行われるため、放電電流は正常時よりも急に上昇し、やがて時刻t2で第1過電流閾値Ithaに到達して過電流が検出される。
図11に(b)で示す異常パターン3−2のシーケンスは、時刻t1で気筒♯1への放電が開始されたすぐ後の時刻t2で他の2つの系統の気筒♯2及び気筒♯3への放電も開始(即ち3系統への同時放電が開始)される例である。この異常パターン3−2では、時刻t2で3系統への同時放電が開始されると、過電流閾値は第3過電流閾値Ithcに設定される。そのため、仮にシステム全体が正常ならば、3系統同時放電が行われても放電電流が第3過電流閾値Ithcに達することはないが、気筒♯4に異常が生じていることから、3系統への同時放電が開始されると、実際には異常気筒♯4への放電も行われて計4系統分の放電電流がコンデンサC1から放電されることになる。そのため、時刻t3で放電電流が第3過電流閾値Ithcに到達し、過電流が検出される。
図12に(a)で示す異常パターン3−3のシーケンスは、時刻t1で気筒♯1への放電が開始されたすぐ後の時刻t2で気筒♯2への放電も開始(即ち2系統への同時放電が開始)される例である。この異常パターン3−3では、時刻t2で2系統への同時放電が開始されると、過電流閾値は第2過電流閾値Ithbに設定される。その後、所定時間経過したら気筒♯3に対する噴射信号IJT3もHレベルに立ち上がるのだが、それよりも前の時刻t3で、放電電流が第2過電流閾値Ithbに到達する。そのため、時刻t3で過電流が検出されて放電が停止されるため、その後に気筒♯3に対する噴射信号IJT3が立ち上がっても気筒♯3への噴射は行われない。
図12に(b)で示す異常パターン3−4のシーケンスは、時刻t1で気筒♯1への放電が開始され、そのすぐ後の時刻t2で気筒♯2への放電も開始(即ち2系統への同時放電が開始)され、さらにそのすぐ後の時刻t3で気筒♯3への放電も開始(即ち3系統への同時放電が開始)される例である。この異常パターン3−4では、時刻t2で過電流閾値が第2過電流閾値Ithbに設定され、時刻t3で過電流閾値が第3過電流閾値Ithcに設定される。時刻t1〜t3の間は過電流が検出されないが、3系統同時放電により過電流閾値が第3過電流閾値Ithcに設定された後の時刻t4で、放電電流が第3過電流閾値Ithcに到達し、過電流が検出される。
図13に(a)で示す異常パターン3−5のシーケンスは、時刻t1で正常な2つの系統の気筒♯2及び気筒♯3への放電が開始され、その後の時刻t2で異常が生じている第1系統への放電が開始される例である。この異常パターン3−5では、時刻t1で2系統への同時放電が開始されることにより過電流閾値が第2過電流閾値Ithbに設定され、さらに時刻t2で3系統への同時放電が開始されることにより過電流閾値が第3過電流閾値Ithcに設定される。
一方、時刻t2で異常系統への放電が開始されると異常が生じている気筒♯4への放電も行われていることから、放電電流は正常時よりも急上昇していき、やがて第3過電流閾値Ithcに達するはずである。しかし、放電電流が第3過電流閾値に達するよりも前の時刻t3で、正常な2つの系統における各駆動電流が共にピーク電流に達してコンデンサC1からの放電が完了する。そのため、時刻t3までの間では過電流は検出されない。しかし、時刻t3で正常な2系統の放電が完了することから、過電流閾値は第1過電流閾値Ithaに切り替わる。これに対し、コンデンサC1からは、第1系統における、正常な気筒♯1及び異常が生じている気筒♯4の双方へ放電される。そのため、時刻t4でその放電電流が第1過電流閾値Ithaに到達し、過電流が検出される。
図13に(b)で示す異常パターン3−6のシーケンスは、時刻t1で正常な2つの系統の気筒♯2及び気筒♯3への放電が開始され、その後、それら2つの気筒♯2,♯3への放電が完了して定電流制御に以降した後の時刻t3で異常が生じている第1系統への放電が開始される例である。この異常パターン3−6では、時刻t1で2系統への同時放電が開始されるが、それに合わせて過電流閾値も第2過電流閾値Ithbに設定されるため、過電流が誤検出されることはない。時刻t2でその正常な2系統への放電が完了すると、過電流閾値は再び第1過電流閾値Ithaに設定される。
その後、時刻t3で異常系統への放電が開始されると、異常が生じている気筒♯4への放電も行われていることから、放電電流は正常時よりも急上昇していく。しかし、過電流閾値は1系統の放電に対応した第1過電流閾値Ithaに設定されていることから、時刻t4で放電電流が第1過電流閾値Ithaに到達し、過電流が検出される。
このように、本実施形態の過電流検出部60は、同時放電が行われる系統の数(1〜3系統の何れか)に応じて過電流閾値も3段階に切り替わる。これら各過電流閾値Itha〜Ithcは、同時放電される系統の数が多いほどそれに合わせて大きい値となる。より詳しくは、同時放電される系統数に応じて、ピーク電流にその系統数を乗じた値よりも大きく且つピーク電流にその系統数より1つ大きい数を乗じた値よりは小さくなるように、各過電流閾値Itha〜Ithcが設定されている。そのため、最大で3系統の同時放電が行われる本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記各実施形態では、過電流検出部の具体的構成をいくつか示したが、これらはあくまでも一例であり、同様の作用・効果を奏する他の構成を採用してもよい。放電時の過電流を検出するための他の構成例として、例えば図14に示す構成例が考えられる。図14に示す構成では、放電用のコンデンサC1の正極側(高電位側)に放電電流検出抵抗R40が設けられており、この放電電流検出抵抗R40の両端の電圧が、放電電流を示す値として過電流検出部70に入力される。
放電電流検出抵抗R40の両端の電圧は、過電流検出部70内において、抵抗R46,R47,R48,R49及びオペアンプ71等からなる差動増幅回路によって増幅され、コンパレータ35の+端子に入力される。コンパレータ35の−端子には、過電流閾値を設定するための、第1実施形態の過電流検出部24と同様の構成の回路が接続されている。即ち、制御電源電圧Vccが、抵抗R41と、抵抗R42及び抵抗R43の並列合成抵抗とで分圧され、その分圧値がコンパレータ35の−端子に入力される。ただし、抵抗R43にはこれと直列にトランジスタT41が接続されている。トランジスタT41は、NOR回路72からの出力信号によってオン/オフされる。NOR回路72には、3つのAND回路31,32,33からの各出力が入力される。各AND回路31,32,33の入力信号は第1実施形態と同じである。
そのため、何れか1つの系統のみ放電が行われている場合はNOR回路72の出力信号はHレベルとなってトランジスタT41はオンし、コンパレータ35の−端子には相対的に低い電圧値が入力される。この電圧値は、第1過電流閾値Ithaを決定付けるものである。一方、複数系統への同時放電が開始されると、NOR回路72の出力信号はLレベルとなってトランジスタT41はオフし、コンパレータ35の−端子には相対的に高い電圧値が入力される。この電圧値は、第2過電流閾値Ithbを決定付けるものである。このように構成された過電流検出部70によっても、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
また、過電流検出部における、過電流閾値を切り替えるための具体的回路構成は、図2,図6,図8,図10,図14に示した構成に限らず、他の回路構成によって実現してもよい。トランジスタのオン・オフによって並列合成抵抗を変化させることにより過電流閾値を変化させる方法自体も、あくまでも一例にすぎない。放電電流の検出方法についても、図1に示した放電電流検出抵抗R1を用いた検出方法や、図14に示した放電電流検出抵抗R40を用いた検出方法はあくまでも一例であり、放電用のコンデンサC1からの放電電流を検出できる限り、放電電流検出をどこでどのように行うかについては特に限定されるものではない。
また、上記第2実施形態では、駆動初期期間(過電流閾値を一旦低過電流閾値Ithzに下げる期間)を遅延回路55で決定する例を示したが、他の回路構成等によって駆動初期期間を決定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、6気筒エンジンの各気筒が3グループにグループ分けされている場合を例に挙げて説明したが、本発明の適用は、6気筒以外のエンジンにも適用でき、また、3グループ以外の複数のグループに分けられている場合にも適用できる。つまり、複数の電磁弁を備え、そのうち同時に通電されることのない2つ以上の電磁弁を1つのグループとして複数のグループにグループ分けされているような電磁弁駆動装置であれば、本発明を適用できる。また、同時放電が行われるグループ数(系統数)の最大数も特に限定されるものではなく、4系統以上の同時放電が行われる構成であっても本発明は適用可能である。
1…EDU、3…制御IC、5…昇圧回路、7…車載バッテリ、8…第1コモン端子、9…第2コモン端子、10…第3コモン端子、11〜16…インジェクタ、11a〜16a…コイル、21…放電制御部、22…定電流制御部、23…充電制御部、24,40,50,60,70…過電流検出部、31〜33,61…AND回路、34,41,47…OR回路、35,48…コンパレータ、41〜46…端子、51…マイコン、52…タイマ、55…遅延回路、71…オペアンプ、72…NOR回路、C1,C2…コンデンサ、D0,D1〜D6…ダイオード、L0…インダクタ、Lp…電源ライン、R0…充電電流検出抵抗、R1,R40…放電電流検出抵抗、R2,R3,R4…駆動電流検出抵抗、R11〜R15,R21〜R27,R31,R41〜R43,R46〜R49…抵抗、T0…充電用トランジスタ、T1〜T6…気筒選択トランジスタ、T11,T21,T31…定電流トランジスタ、T12,T22,T32…放電用トランジスタ、T41,T51…第1トランジスタ(閾値設定トランジスタ)、T42,T52…第2トランジスタ、T43…第3トランジスタ、T44…第4トランジスタ、T45…第5トランジスタ

Claims (6)

  1. コイル(11a〜16a)への通電により開弁する複数の電磁弁であって、同時に通電されることのない2つ以上の前記電磁弁を1つのグループとして、複数の前記グループにグループ分けされてなる複数の電磁弁(11〜16)と、
    前記各電磁弁のコイルに供給する電気エネルギーが蓄積されるコンデンサ(C1)と、
    前記コンデンサから前記各電磁弁の各コイルへの通電経路を構成するものであって、前記グループ毎に設けられ、前記コンデンサから対応する前記グループの前記各コイルへそれぞれ通電するために前記コンデンサと対応する前記グループの前記各コイルの一端とを接続する複数の上流側配線と、
    前記上流側配線毎に設けられ、対応する前記上流側配線を導通・遮断するためにその上流側配線に直列に接続された複数のグループ選択スイッチ(T12,T22,T32)と、
    前記電磁弁毎に設けられ、対応する前記電磁弁のコイルの通電経路を個別に導通・遮断するためにその通電経路に直列に接続された複数の電磁弁選択スイッチ(T1〜T6)と、
    前記電磁弁毎に個別に入力される開弁指令に従い、その開弁指令が入力された前記電磁弁に対し、その電磁弁に対応した前記電磁弁選択スイッチをオンすると共にその電磁弁が属する前記グループに対応した前記グループ選択スイッチをオンすることで、前記コンデンサからその電磁弁のコイルへの放電を開始させ、その放電開始後、その電磁弁を開弁させるための所定の電気エネルギーがその電磁弁のコイルへ供給された放電完了タイミングでその電磁弁のコイルへの放電を停止させる放電制御手段(21)と、
    前記コンデンサからの放電電流を検出する放電電流検出手段(R1,R40,24,40,50,60,70)と、
    前記放電電流検出手段により検出される前記放電電流が予め設定された過電流閾値以上になった場合に前記コンデンサからの放電を強制的に減少又は停止させる保護手段(21)と、
    前記過電流閾値を設定する過電流閾値設定手段(24,40,50,60,70)と、
    を備え、
    前記過電流閾値設定手段は、何れか1つの前記グループ選択スイッチがオンされている場合は、前記過電流閾値として所定の単一放電用過電流閾値を設定し、複数の前記グループ選択スイッチが同時にオンされている場合は、前記過電流閾値として前記単一放電用過電流閾値よりも大きい所定の複数放電用過電流閾値を設定する
    ことを特徴とする電磁弁駆動装置(1)。
  2. 請求項1に記載の電磁弁駆動装置であって、
    前記過電流閾値設定手段は、複数の前記グループ選択スイッチが同時にオンされている場合、その同時にオンされている前記グループ選択スイッチの数が多いほど大きい値となるように前記複数放電用過電流閾値を設定する
    ことを特徴とする電磁弁駆動装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電磁弁駆動装置であって、
    前記過電流閾値設定手段(40)は、前記各グループ選択スイッチが全てオフされている状態から何れかの前記グループ選択スイッチがオンされた場合に、そのオンタイミングから所定の駆動初期期間は、前記過電流閾値として前記単一放電用過電流閾値よりも低い所定の初期過電流閾値を設定する
    ことを特徴とする電磁弁駆動装置。
  4. 請求項3に記載の電磁弁駆動装置であって、
    前記過電流閾値設定手段(40)は、前記駆動初期期間中に複数の前記グループ選択スイッチが同時にオンされた状態になった場合は、前記過電流閾値を前記初期過電流閾値から前記複数放電用過電流閾値に切り替える
    ことを特徴とする電磁弁駆動装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の電磁弁駆動装置であって、
    前記駆動初期期間は、前記放電完了タイミングよりも前の所定のタイミングで終了するように設定されている
    ことを特徴とする電磁弁駆動装置。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の電磁弁駆動装置であって、
    1つの前記電磁弁のコイルに対して前記コンデンサから放電が行われた場合に前記放電完了タイミングで前記コイルに流れる電流の値を放電完了時電流値とし、同時にオンされている前記グループ選択スイッチの数を同時オン数として、前記過電流閾値設定手段は、前記単一放電用過電流閾値及び前記複数放電用過電流閾値を、前記放電完了時電流値に前記同時オン数を乗じた値よりも大きく、且つ前記放電完了時電流値に前記同時オン数よりも1つ大きい数を乗じた値よりは小さい所定の値に設定する
    ことを特徴とする電磁弁駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017002857A (ja) * 2015-06-12 2017-01-05 株式会社デンソー 噴射弁駆動装置
JP2017072082A (ja) * 2015-10-07 2017-04-13 株式会社デンソー 燃料噴射制御装置
KR101967557B1 (ko) * 2017-12-04 2019-04-09 현대오트론 주식회사 듀얼 인젝터의 단락을 검출하고 듀얼 인젝터의 동작을 제어하는 장치

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