JP2014118817A - 内燃機関の燃焼状態判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】点火プラグにカーボンが堆積すると中心電極と側方電極間に燻ぶりによる漏洩電流が発生し、漏洩電流とプレイグニッションの発生による燃焼波形とを正確に区別して燃焼状態を判定することは困難である。
【解決手段】少なくともイグナイタ60から1次コイル10への通電中の区間内で設定される燃焼状態判定区間内における一定の時間の間隔で抽出する複数のイオン波形出力値からの移動平均値を算出し、移動平均値が第1の閾値を超え、且つ、第1の閾値を超えた時点から前回算出した移動平均値を第2の閾値としてイオン波形出力値が第2の閾値を所望の時間を超えると内燃機関のプレイグニッションの発生と判定する。
【選択図】図9
【解決手段】少なくともイグナイタ60から1次コイル10への通電中の区間内で設定される燃焼状態判定区間内における一定の時間の間隔で抽出する複数のイオン波形出力値からの移動平均値を算出し、移動平均値が第1の閾値を超え、且つ、第1の閾値を超えた時点から前回算出した移動平均値を第2の閾値としてイオン波形出力値が第2の閾値を所望の時間を超えると内燃機関のプレイグニッションの発生と判定する。
【選択図】図9
Description
本発明は、自動車等の内燃機関用の点火装置に関し、特に、内燃機関の燃焼により発生するイオン電流を用いた燃焼状態判定装置に関するものである。
従来より、1次コイルと2次コイルが電磁結合されてなる内燃機関用の点火装置において、内燃機関のシリンダ内に供給した空気及び燃料の混合気を、点火プラグの放電により燃焼させ、燃焼時のシリンダ内のイオン化した分子を点火プラグに高電圧を印加することでイオン電流を検出するイオン電流検出回路を備えたものがあり、検出したイオン電流から内燃機関の燃焼状態を判定している。
ところが、点火プラグの電極周辺では、内燃機関の空燃比が低いと不完全燃焼によってカーボンが発生する。カーボンがプラグの電極に堆積すると中心電極と側方電極間の絶縁抵抗を低下させミスファイヤーにつながる。また、冬季は外気温が低いので、ガソリンが細かい霧状にならず、空気と上手く混ざらないため不完全燃焼が発生し易くなる。即ち、燻ぶりという現象を起こしてしまう。このため、燻ぶりによって流れる中心電極と側方電極間に漏洩電流が、実際のイオン電流に合成されたイオン電流に基づいた燃焼状態の判定が行われるため、誤判定を招く恐れが生じる。
このような問題点を解決する内燃機関の燃焼状態判定装置としては、例えば、特開2009−108760号公報(以下「特許文献1」)が知られている。当該特許文献1では、内燃機関の燃焼室内に設置される電極と、前記燃焼室内で混合気が燃焼する際に生じるイオン電流を検出するために前記電極に電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧の印加時に前記電極間に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、前記検出されたイオン電流からプレイグニッションまたはその前兆現象を検出するための検出区間を設定する検出区間設定手段を含み、前記検出区間における前記イオン電流の変化に対応したイオン電流データを抽出するデータ抽出手段と、前記抽出されたイオン電流データに基づき、前記検出区間内におけるイオン電流の変化形状が上に凸である領域を検出する凸検出手段と、前記上に凸である領域と比較するための比較値を設定する比較設定手段を含み、前記上に凸である領域が前記比較値より早いタイミングである場合にプレイグニッションまたはその前兆現象が発生していると判定するプレイグニッション判定手段とを備え、前記凸検出手段は、前記電極間に発生するリーク電流の発生有無を判断するリーク電流判断手段を含み、前記リーク電流が発生していると判断された場合に、前記上に凸である領域の検出を有効とする内燃機関の燃焼状態判定装置が記載されている。
また、別の例として、特開2009−150306号公報(以下「特許文献2」)が知られている。当該特許文献2では、内燃機関の燃焼室に設置され点火電圧が印加されることにより前記燃焼室内で飛火放電を発生して混合気燃料に点火しこれを燃焼させる電極を備えた点火プラグと、点火信号の発生に基づいて前記点火電圧を誘起する点火コイルとを備えた内燃機関に於ける燃焼状態を検出する装置であって、前記燃焼により生ずるイオンによるイオン電流を発生させる電圧を前記点火プラグの電極に印加する電圧印加装置と、前記電圧印加手段により印可された電圧により前記電極を介して流れる電流を検出する電流検出装置と、前記電流検出装置により検出された電流のうち前記内燃機関の動作行程の所定期間に設定した第1の検出区間に流れる前記電流に基づいて比較しきい値を設定する比較しきい値設定装置と、前記電極を介して流れる電流のうち前記内燃機関の動作行程の前記点火信号が発生している期間を含む所定期間に設定した第2の検出区間に流れる電流と前記設定した比較しきい値との比較に基づいて前記内燃機関のプレイグニッションの発生の有無を判定するプレイグニッション発生判断装置とを備えたことを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定装置が記載されている。
しかしながら、上記従来のイオン電流検出装置では次のような問題が発生している。即ち、特許文献1では、凸検出手段によって上に凸である領域が比較値より早いタイミングである場合にプレイグニッションまたはその前兆現象が発生していると判定しているが、上に凸である領域と燻ぶりによるリーク電流の大きさが近似している場合、ノイズによる上に凸であるのかプレイグニッションによる上に凸であるのかを精度良く検出することが困難である。
また、特許文献2では、第1の検出区間に流れる前記電流に基づいて設定される比較しきい値と第2の検出区間に流れる電流との比較に基づいて前記内燃機関のプレイグニッションの発生の有無を判定しているが、第2の検出区間を流れる電流にノイズが重畳するとノイズをプレイグニッションと誤判定してしまう問題が生じる。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、点火プラグに堆積するカーボンによって、中心電極と側方電極間を流れる漏洩電流が発生しても、イオン電流から正確にプレイグニッションの発生を判定することができる内燃機関の燃焼状態判定装置を提供することを目標とする。
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。即ち、請求項1の発明においては、1次コイルと2次コイルが電磁結合されて点火プラグに高電圧を印加するコイル部と、当該1次コイルへの通電のON・OFFを切り替えるイグナイタと、当該イグナイタに点火信号を供給するECUと、コンデンサをバイアス電源として前記点火プラグに発生するイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、を備え、前記ECUは、前記イオン電流検出回路が検出したイオン電流から内燃機関の燃焼状態を判定する内燃機関の燃焼状態判定装置において、前記ECUは、燃焼状態判定区間内における一定時間の間隔で抽出する複数のイオン波形出力値からの移動平均値を算出し、当該移動平均値が第1の閾値を超え、且つ、当該イオン波形値が第2の閾値を所望の時間を超えると前記内燃機関のプレイグニッションの発生と判定することを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定装置とする。
上記構成においては、前記第2の閾値は、前記第1の閾値を超えた時点から前回算出した前記移動平均値を設定してもよい。また、前記燃焼状態判定区間は、少なくとも前記イグナイタから前記1次コイルへの通電中の区間内で設定してもよい。さらに、前記燃焼状態判定区間は、前記内燃機関のクランクが下死点の位置から180度の範囲以内で設定してもよい。
上記の通り、1次コイルと2次コイルが電磁結合されて点火プラグに高電圧を印加するコイル部と、1次コイルへの通電のON・OFFを切り替えるイグナイタと、イグナイタに点火信号を供給するECUと、コンデンサをバイアス電源として点火プラグに発生するイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、を備え、ECUは、イオン電流検出回路が検出したイオン電流から内燃機関の燃焼状態を判定する内燃機関の燃焼状態判定装置において、ECUは、少なくともイグナイタから1次コイルへの通電中の区間内で設定される燃焼状態判定区間内における一定時間の間隔で抽出する複数のイオン波形出力値からの移動平均値を算出し、移動平均値が第1の閾値を超え、且つ、第1の閾値を超えた時点から前回算出した移動平均値を第2の閾値としてイオン波形値が第2の閾値を所望の時間を超えると内燃機関のプレイグニッションの発生と判定することで、点火プラグに堆積するカーボンによって、中心電極と側方電極間を流れる漏洩電流が発生しても、イオン電流から正確にプレイグニッションの発生を判定する内燃機関の燃焼状態判定装置が実現できる。
以下に、本発明の実施の形態を示す実施例を図1乃至図9に基づいて説明する。
本発明の第1の実施例とするイオン電流検出装置の回路図を示す図を図1に、イオン電流検出装置の1次コイルへの充電時の動作を示す図を図2に、イオン電流検出装置の2次コイルからの放電時の動作を示す図を図3に、イオン電流検出装置のイオン電流検出時の動作を示す図を図4に、内燃機関の動作を現す点火信号、2次電圧、及び、イオン電流を示すタイムチャートを図5に、(a)は燻ぶり有・プレイグ有のイオン電流波形を示し、(b)は燻ぶり有・プレイグ有のイオン電流の移動平均を示すタイムチャートを図6に、(a)は燻ぶり有・プレイグ無のイオン電流波形を示し、(b)は燻ぶり有・プレイグ無のイオン電流の移動平均を示すタイムチャートを図7に、(a)は燻ぶり無・プレイグ有のイオン電流波形を示し、(b)は燻ぶり無・プレイグ有のイオン電流の移動平均を示すタイムチャートを図8に、内燃機関の燃焼状態判定装置の制御を示すフローチャートを図9に、それぞれ示す。
図1において、内燃機関用のイオン電流検出装置100は、コイル部、イグナイタ60、及び、イオン電流検出回路90から構成されている。当該コイル部は1次巻線を巻き回した1次コイル10と、2次巻線を巻き回した2次コイル20と、珪素鋼板からなる鉄芯30と、を電磁結合して構成されている。また、当該イグナイタ60はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)から構成されている。さらに、当該イオン電流検出回路90は、ツェナーダイオード92a、第1のダイオード92b、第2のダイオード92c、コンデンサ94、オペアンプ96、第1の抵抗98a、及び、第2の抵抗98bと、から構成されている。
また、前記2次コイル20の高圧側は、内燃機関のシリンダ内に放電を行うと共に、内燃機関の燃焼によって電極間に発生するイオン電流を検出する点火プラグ50の中心電極と接続し、当該点火プラグ50の側方電極は、車体側に配備されるグランドに接続されている。さらに、当該点火プラグ50は、当該内燃機関の不完全燃焼によりカーボンが当該中心電極と側方電極間に堆積することで発生する燻ぶり抵抗RLが並列に接続されているものと見なしている。
また、前記2次コイル20の低圧側は、前記イオン電流検出回路90と接続され、前記ツェナーダイオード92aのカソード端子と接続されている。さらに、前記ツェナーダイオード92aのアノード端子は、前記第1のダイオード92bのアノード端子と接続され、前記第1のダイオード92bのカソード端子はグランドと接続されている。
また、前記コンデンサ94は、前記ツェナーダイオード92aと並列に接続される。さらに、前記コンデンサ94のプラス端子は、前記ツェナーダイオード92bのカソード端子と接続され、マイナス端子は、前記ツェナーダイオード92aのアノード端子と接続される。
また、前記第1の抵抗98aは、前記コンデンサ94のマイナス端子と接続され、前記第1の抵抗98aの前記コンデンサ94と接続される反対側は、前記オペアンプ96の反転入力端子と接続されている。さらに、前記オペアンプ96の反転入力端子と前記第1の抵抗98aとの接続部は、前記第2のダイオード92cのカソード端子と接続され、前記第2のダイオード92cのアノード端子は、グランドと接続されている。
また、検出抵抗と呼ばれる前記第2の抵抗98bは、前記オペアンプ96の反転入力端子と出力端子と並列に接続される。さらに、前記オペアンプ96の正電源端子は、電源と接続されることで電力の供給を受け、前記オペアンプ96の非反転入力端子及び負電源端子は、グランドと接続される。
また、前記ツェナーダイオード92aは、ブレークダウン電圧が270Vのツェナーダイオードとなっており、前記ツェナーダイオード92aのブレークダウン電圧の値によって前記コンデンサ94に充電される電圧が270Vに制限されている。
また、前記1次コイルの高圧側は、前記イグナイタ60のコレクタ端子と接続され、前記イグナイタ60のエミッタ端子は、グランドと接続されている。さらに、前記イグナイタ60のゲート端子は、自動車のエンジンECU80と接続され、当該エンジンECU80は、前記イグナイタ60のゲート端子へ点火信号を供給している。
次に、図2から、イオン電流検出装置の1次コイルへの充電時の動作説明をする。
図2において、前記エンジンECU80から前記イグナイタ60のゲート端子に対して点火信号SGが入力されると、前記イグナイタ60のゲート・コレクタ間に矢印に示すようにゲート電流が流れる。すると、前記イグナイタ60のコレクタ・エミッタ間が通電される。その結果、図2の矢印に示すように、前記電源40→前記1次コイル10→前記イグナイタ60の経路で1次電流I1が流れる。
次に、図3からイオン電流検出装置の2次コイルからの放電時の動作説明をする。
図3において、前記ECU80から前記イグナイタ60のゲート端子に対する点火信号SGが遮断されると、前記1次コイル10に流れていた1次電流I1が電磁誘導によって前記2次コイル20に逆起電力を発生させる。その結果、図3の矢印に示すように、前記点火プラグ50→前記2次コイル20→前記ツェナーダイオード92a→前記第1のダイオード92bの経路で2次電流I2が流れる。また、前記コンデンサ94は、前記ツェナーダイオード92aのブレークダウン電圧と対応して充電される。
次に、図4からイオン電流検出装置のイオン電流検出時の動作説明をする。
図4において、前記点火プラグ50からの放電が収束していくと、上記図3の2次コイルからの放電時に充電された前記コンデンサ94の両端電圧をバイアス電源として、図4の矢印に示すように、前記第2の抵抗98b→前記第1の抵抗98a→前記コンデンサ94→前記2次コイル20→前記点火プラグ50の経路でイオン電流Iionが流れる。その結果、前記オペアンプ96からイオン電流Iionに対応する検出信号が出力される。また、前記エンジンECU80は、前記オペアンプ96から出力された検出信号を基に、前記内燃機関の燃焼状態の判定を行っている。
図5において、前記内燃機関の動作を現す点火信号、2次電圧、及び、イオン電流を示すタイムチャートが示されている。前記内燃機関は、吸気工程→圧縮工程→燃焼行程→排気工程の4つの燃焼サイクルからなる4サイクルエンジンである。また、図5(a)より、前記ECU80から前記イグナイタ60へ供給される点火信号SGであり、圧縮工程毎に前記ECU80からパルス波が出力される。さらに、図5(b)より、点火信号SGの立下りに対応して前記2次コイル20から30kV前後の高電圧が発生する。
また、図5(c)より、イオン電流Iionは、前記点火プラグ50の放電動作が収束すると形成される。さらに、イオン電流Iionは前記内燃機関の燃焼後、ピーク位置に向かって上昇し、ピーク位置から徐々に下降し収束していく波形を描く。前記ECU80は、図5(a)に示す点火信号SGが通電中の区間を燃焼状態判定区間として、図5(c)に示すイオン電流Iionから前記内燃機関に発生するプレイグニッションの有無を判定している。
また、図6(a)では、燻ぶり有・プレイグニッション有の時の前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に生じるイオン電流Iionの波形を示す。さらに、図6(a)で示したイオン電流Iionの波形は前記中心電極と前記側方電極間に生じる燻ぶりによる漏洩電流が流れ、前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電の立下り付近に向かうにしたがって収束し、前記点火プラグ50からの放電までに前記内燃機関の残留熱による温度上昇から自然発火を引き起こすプレイグニッションの燃焼波形が流れることで波形が急峻に立上る。
また、図6(b)では、燻ぶり有・プレイグニッション有の時の前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に生じるイオン電流Iionの移動平均のタイムチャートを示す。さらに、図6(b)で示したイオン電流Iionの移動平均値は20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流値3点分を用いて算出されている。
また、図7(a)では、燻ぶり有・プレイグニッション無の時の前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に生じるイオン電流Iionの波形を示す。さらに、図7(a)で示したイオン電流Iionの波形は前記中心電極と前記側方電極間に生じる燻ぶりによる漏洩電流が流れ、前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電の立下り付近に向かうにしたがって収束していく。
また、図7(b)では、燻ぶり有・プレイグニッション無の時の前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に生じるイオン電流Iionの移動平均のタイムチャートを示す。さらに、図7(b)で示したイオン電流Iionの移動平均値は20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流値3点分を用いて算出されている。
また、図8(a)では、燻ぶり無・プレイグニッション有の時の前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に生じるイオン電流Iionの波形を示す。さらに、図8(a)で示したイオン電流Iionの波形は前記点火プラグ50からの放電までに前記内燃機関の残留熱による温度上昇から自然発火を引き起こすプレイグニッションの燃焼波形が流れることで波形が急峻に立上る。
また、図8(b)では、燻ぶり無・プレイグニッション有の時の前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に生じるイオン電流Iionの移動平均のタイムチャートを示す。さらに、図8(b)で示したイオン電流Iionの移動平均値は20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流Iion3点分を用いて算出されている。
次に、内燃機関の燃焼状態判定装置の動作を図9に基づいて説明する。
図9において、前記イオン電流検出回路90は、前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に前記点火プラグ50の電極間に発生するイオン電流Iionを検出し、前記ECU80は、前記イオン電流検出回路90からイオン電流Iionに対応する検出信号が入力されている(S1)。また、前記ECU80は、S1で検出したイオン電流Iionから20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流値3点を用いて移動平均値を算出する(S2)。さらに、前記ECU80は、S2で算出した移動平均値>第1の閾値となるかの判定を行い(S3)、S3で移動平均値>第1の閾値となる場合、前記ECU80は、S3の条件を満たす1つ前に算出した移動平均値を第2の閾値として決定する(S4)。
また、前記ECU80は、S3を満たした時点からのイオン電流値>第2の閾値となるかの判定を行い(S5)、S5でイオン電流値>第2の閾値となる場合、前記ECU80は、イオン電流値>第2の閾値を連続8回満たすかの判定を行う(S6)。さらに、S6でイオン電流値>第2の閾値を連続8回満たす場合、前記ECU80は、前記内燃機関にプレイグニッションが発生していると判定する(S7)。
前記図6を前記図9のフローチャートに基づいて説明すると、前記イオン電流検出回路90は、前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に前記点火プラグ50の電極間に発生するイオン電流Iionを検出し、前記ECU80は、前記イオン電流検出回路90からイオン電流Iionに対応する検出信号が入力されている(S1)。また、前記ECU80は、S1で検出したイオン電流Iionから20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流値3点を用いて移動平均値を算出する(S2)。さらに、前記ECU80は、S2で算出した移動平均値>第1の閾値となるかの判定を行うと、漏洩電流が発生する期間では第1の閾値を超すことはなく、プレイグニッションが発生する期間で第1の閾値を超す(S3)。
また、前記ECU80は、移動平均値>第1の閾値を満たした時点の1つ前に算出した移動平均値を第2の閾値と設定する(S4)。さらに、前記ECU80は、第1の閾値を満たした時点からのイオン電流値>第2の閾値となるかの判定を行うと、プレイグニッションが発生する期間で第2の閾値を超す(S5)。
また、前記ECU80は、S5でイオン電流値>第2の閾値を連続8回満たすかの判定を行うと、プレイグニッションが発生する期間でイオン電流値>第2の閾値を連続8回満たす(S6)。さらに、S6でイオン電流値>第2の閾値を連続8回満たしているので、前記ECU80は、前記内燃機関にプレイグニッションが発生していると判定する(S7)。
前記図7を前記図9のフローチャートに基づいて説明すると、前記イオン電流検出回路90は、前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に前記点火プラグ50の電極間に発生するイオン電流Iionを検出し、前記ECU80は、前記イオン電流検出回路90からイオン電流Iionに対応する検出信号が入力されている(S1)。また、前記ECU80は、S1で検出したイオン電流Iionから20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流値3点を用いて移動平均値を算出する(S2)。さらに、前記ECU80は、S2で算出した移動平均値>第1の閾値となるかの判定を行うと、漏洩電流が発生する期間において第1の閾値を超すことはないため、前記内燃機関にプレイグニッションが発生していないと判定する(S3)。
前記図8を前記図9のフローチャートに基づいて説明すると、前記イオン電流検出回路90は、前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に前記点火プラグ50の電極間に発生するイオン電流Iionを検出し、前記ECU80は、前記イオン電流検出回路90からイオン電流Iionに対応する検出信号が入力されている(S1)。また、前記ECU80は、S1で検出したイオン電流Iionから20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流値3点を用いて移動平均値を算出する(S2)。さらに、前記ECU80は、S2で算出した移動平均値>第1の閾値となるかの判定を行うと、プレイグニッションが発生する期間で第1の閾値を超す(S3)。
また、前記ECU80は、移動平均値>第1の閾値を満たした時点の1つ前に算出した移動平均を第2の閾値と設定する(S4)。さらに、前記ECU80は、第1の閾値を満たした時点からのイオン電流値>第2の閾値となるかの判定を行うと、プレイグニッションが発生する期間で第2の閾値を超す(S5)。
また、前記ECU80は、S5のイオン電流値>第2の閾値を連続8回満たすかの判定を行うと、プレイグニッションが発生する期間でイオン電流値>第2の閾値を連続8回満たす(S6)。さらに、S6でイオン電流値>第2の閾値を連続8回満たしているので、前記ECU80は、前記内燃機関にプレイグニッションが発生していると判定する(S7)。
上記構成により、燃焼状態判定区間において検出されるイオン電流Iionから20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流値3点を用いて移動平均値を算出し、移動平均値>第1の閾値となる1つ前に算出した移動平均値を第2の閾値として決定し、第1の閾値を満たした時点からのイオン電流値>第2の閾値となると共に、イオン電流値>第2の閾値を連続8回満たす場合、前記内燃機関にプレイグニッションが発生していると判定する。これにより、前記点火プラグ50に燻ぶりが発生し、中心電極と側方電極間に漏洩電流の有無に関係なく、前記内燃機関のプレイグニッションの判定を正確に行うことができると共に、イオン電流Iionにノイズが重畳しても、所望の時間連続でイオン電流値>第2の閾値を満たす必要があることからノイズをプレイグニッションとして誤判定することを防げる。
前記図6に示す燻ぶり有・プレイグニッション有の時の前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に生じるイオン電流Iionからプレイグニッション判定を行う構成では、イオン電流Iionから移動平均値を算出し第1の閾値を比較することで前記点火プラグ50の燻ぶりによる漏洩電流をプレイグニッションとして誤判定することを防げる。
また、第1の閾値を満たした時点からのイオン電流値>第2の閾値となると共に、イオン電流値>第2の閾値を連続8回満たす場合、前記内燃機関にプレイグニッションが発生していると判定することで図6(a)内に示す初期ノイズのような一時的に発生するノイズをプレイグニッションとして誤判定することを防げる。
前記図7に示す燻ぶり有・プレイグニッション無の時の前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に生じるイオン電流Iionからプレイグニッション判定を行う構成では、イオン電流Iionから移動平均値を算出し第1の閾値を比較することで前記点火プラグ50の燻ぶりによる漏洩電流をプレイグニッションとして誤判定することを防げる。
前記図8に示す燻ぶり無・プレイグニッション有の時の前記イグナイタ60から前記1次コイル10への通電時に生じるイオン電流Iionからプレイグニッション判定を行う構成では、第1の閾値を満たした時点からのイオン電流値>第2の閾値となると共に、イオン電流値>第2の閾値を連続8回満たす場合、前記内燃機関にプレイグニッションが発生していると判定することで図8(a)内に示す初期ノイズのような一時的に発生するノイズをプレイグニッションとして誤判定することを防げる。
なお、上記実施例1の変形例として、前記イオン電流検出装置100は、前記内燃機関の燃焼行程から前記点火プラグ50に発生するイオン電流を検出できる構成であればその他は設計事情によって任意の回路構成に変更してもよい。また、燃焼状態判定区間は、前記内燃機関のクランクが下死点の位置から180度の範囲内で設定してもよいし、少なくとも前記1次コイル10への通電中から前記点火プラグ50の放電開始までの範囲内で設定してもよい。前記ECU80は、燃焼状態判定区間において20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流Iion3点から移動平均値を算出したが、移動平均値は任意の間隔で抽出すると共に複数点から算出してよい。しかし、なるべく多くの点から移動平均値を算出した方がノイズの影響を受けない精度の高い移動平均値を算出できるが、前記ECU80の処理速度が遅くなるので精度と処理速度のバランスを考慮した算出方法を実施するのが望ましい。
また、前記第1の閾値は、前記コイル部からの出力等の前記内燃機関の構成によって設定されるものとしてよい。さらに、前記第2の閾値は、移動平均値>第1の閾値を満たす1つ前に算出した移動平均値を設定したが、前記コイル部からの出力等の前記内燃機関の構成によって任意の数値に変更してよい。
また、20マイクロsec毎に抽出されるイオン電流値が連続8回でイオン電流値>第2の閾値を満たすことでプレイグニッションの判定することで、合計で160マイクロsec未満の時間の燃焼波形はノイズと判断する構成としたが、例えば、50マイクロsec毎に抽出されるイオン電流値が連続3回でイオン電流値>第2の閾値を満たすとプレイグニッションと判定することで、合計で150マイクロsec未満の時間の燃焼波形はノイズと判断する構成とすると、判定回数による抽出時間の合計が150マイクロsec前後になるようにすれば、初期ノイズのような一時的に発生するノイズをプレイグニッションとして誤判定することを防げるため、抽出時間と連続判定回数を任意の設定に変更することができる。
10:1次コイル
20:2次コイル
30:鉄芯
40:電源
50:点火プラグ
52:中心電極
54:側方電極
60:イグナイタ(IGBT)
80:ECU
90:イオン電流検出回路
92a:ツェナーダイオード
92b:第1のダイオード
92c:第2のダイオード
94:コンデンサ
96:オペアンプ
98a:第1の抵抗
98b:第2の抵抗(検出抵抗)
100:イオン電流検出装置
20:2次コイル
30:鉄芯
40:電源
50:点火プラグ
52:中心電極
54:側方電極
60:イグナイタ(IGBT)
80:ECU
90:イオン電流検出回路
92a:ツェナーダイオード
92b:第1のダイオード
92c:第2のダイオード
94:コンデンサ
96:オペアンプ
98a:第1の抵抗
98b:第2の抵抗(検出抵抗)
100:イオン電流検出装置
Claims (4)
- 1次コイルと2次コイルが電磁結合されて点火プラグに高電圧を印加するコイル部と、当該1次コイルへの通電のON・OFFを切り替えるイグナイタと、当該イグナイタに点火信号を供給するECUと、コンデンサをバイアス電源として前記点火プラグに発生するイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、を備え、
前記ECUは、前記イオン電流検出回路が検出したイオン電流から内燃機関の燃焼状態を判定する内燃機関の燃焼状態判定装置において、
前記ECUは、燃焼状態判定区間内における一定時間の間隔で抽出する複数のイオン波形出力値からの移動平均値を算出し、当該移動平均値が第1の閾値を超え、且つ、当該イオン波形値が第2の閾値を所望の時間を超えると前記内燃機関のプレイグニッションの発生と判定することを特徴とする内燃機関の燃焼状態判定装置。 - 前記第2の閾値は、前記第1の閾値を超えた時点から前回算出した前記移動平均値を設定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用の燃焼状態判定装置。
- 前記燃焼状態判定区間は、少なくとも前記イグナイタから前記1次コイルへの通電中の区間内で設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃焼状態判定装置。
- 前記燃焼状態判定区間は、前記内燃機関のクランクが下死点の位置から180度の範囲以内で設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の燃焼状態判定装置。
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---|---|---|---|
JP2012271872A JP2014118817A (ja) | 2012-12-13 | 2012-12-13 | 内燃機関の燃焼状態判定装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2012
- 2012-12-13 JP JP2012271872A patent/JP2014118817A/ja active Pending
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